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昨日の午後2時から5時まで,2023年度の青山英語史研究会がオンラインで開催されました.今年度の研究会は,通常の研究発表ではなく,日本中の英語史研究者・教員たちが集まって大学レベルでの英語史教育について情報交換し議論するというユニークな趣旨で開催されました.私も参加する機会をいただきましたが,新しい試みで,研究会の3時間のあいだ,おおいにインスピレーションを得ることができました.主宰者の寺澤盾先生(青山学院大学)には感謝申し上げます.
研究会は,寺澤先生の開会の挨拶の後,まず第1部として「教員による推し英語史教科書」の紹介がありました.推薦者は和田忍先生(駿河台大学)で,和田先生らしい味わいのある選書が披露されました.(こちらに直接掲載することはできませんが)今後参考にさせていただきたいと思います.
続いて第2部は「英語史の模擬授業」.矢冨弘先生(熊本学園大学)と田辺春美先生(成蹊大学)による各30分間の模擬授業とその解説でした.それぞれ題目は「社会との繋がりに重きを置いた英語史授業」と「原典の精読に重きを置いた英語史授業」です.自分以外の英語史教員による英語史の授業を「受講」する機会はほとんどないので,自身の英語史教育の見方や方法を顧みるきっかけとなりました.
第3部は,第1部と第2部の登壇者,および寺澤先生も含めてのディスカッションです.僭越ながら私がその司会を務める役目になっておりました.30名ほどの参加者から質問やコメントを募りつつ,1時間ほど,よりよい英語史教育のために議論し,意見交換しました.
全体として気づきの多い研究会でした.備忘のために思いついた点を箇条書きにしておきます.
・ 英語史の通史記述において各教員の専門とする時代の扱いがことさらに厚くなるきらいはあるものの,それはそれで研究者としての情熱が発露する箇所でもあり,一概に悪いこととはいえない.ただし,もちろんバランスの偏りすぎには注意する必要がある.
・ 英語史に関連するすべての分野をカバーできることが理想だが,各大学のカリキュラムに応じて,関連授業との兼ね合いにより適宜「守備範囲」を設定することが大事である.
・ 英語史の授業でも,動画を用いるなど演習的,アクティヴラーニング的な運営方法はもっと開発されてしかるべきである.
・ 通史記述と原典講読のバランスが難しいが,やはり一方だけだと単調になってしまうので常に工夫が必要である.
・ 上記のような課題をスマートに解決するために,英語史教員の間で授業アイディアについて共有の機会や場所が準備されるとよいのではないか.
多くの英語史教員が似たような悩みや懸念を抱いているということが確認できただけでも,今回の研究会の意義があったように思います.ありがとうございました.
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最終更新時間: 2024-09-24 08:28
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