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hellog〜英語史ブログ / 2022-01-30

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2022-01-30 Sun

#4661. 2021年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか? [hel_education]

 毎年度末1年間の「英語史」講義を終えた後に,履修者に標題の問いを投げかけています.今年度も回答してもらいましたが,その中から印象に残ったものをピックアップしました.英語史のおもしろさを読み取ってもらえればと思います.英語史の学びの開始・継続のモチベーションとしてどうぞ.

 ・ 「書き言葉」と「話し言葉」がそれほど強く結びついていないということではないかと思う.これまでは書き言葉の方が多少堅いくらいかな程度にしか考えていなかったが,その成立過程をみたときに,それぞれの特性がいかに違うのかということを知ることが出来た.
 ・ 英語史の授業を通して英語をただの点としてではなく,歴史的な繋がりを内面史と外面史の両方の側面から学ぶことで,英語の見方が大きく変わりました.それはこれまでは文法や語彙が多い等の英語の内面的な部分しか考えたことがなかったですが,英語には外面史が大きく内面史に影響を与えていたことがわかったからです,
 ・ 英語の地位が復活した13世紀,14世紀には,権威を得たいという理由からフランス語やラテン語を借用している点という点から,言語は単に会話をするだけではなく,そこに人間の見栄も含まれているのだと思いました.
 ・ 私が英語史を学ぶ前は,英語が世界言語たり得た理由は,英語は構造が単純で,多くの人にわかりやすいからだと思っていた.しかしそれは違っていたことに気がついた.
 ・ 私が英語史の授業で学んだ事柄の中で,最も価値があると考えるのは,英語が初めから今日の世界の共通語としての英語のように,権威高い言語では決して無かったということを学べたことである.
 ・ 以前から○○史とつくものがあまり好きではなかったが,それは一つのきれいなストーリーを知るという姿勢でしか勉強していなかったからだと授業を受けて気がついた.例えば大母音推移について,そういう事象があったと知るだけではなく,なぜそれが起きたか考えたり,体系的にみえる変化の例外をみつけたり,あるいはラテン語の英語への借用を現代の英語の日本語への借用を重ねて比較したり,ただ歴史を知るのではなく,知ったうえで様々な視点から考えてこそ歴史を学ぶことがおもしろくなるのだと知ることができた.
 ・ 英語史を見る際,グリムの法則や大母音推移といった華やかとさえいえる大きな出来事ばかりに注目してしまいそうである.しかし,実は細かいちょっとした変化の方が大半であり,そういった小さな変化の積み重ねで英語史ができ上がっている.
 ・ 私の学んだ最も価値のあることは,言語を「話すために学ぶ」のではなく「人々のあり様の表象として学ぶ」姿勢だ.
 ・ 私が中学・高校で英語の先生に正しいと教えられた英語の形は昔に起きた様々な出来事や家庭を乗り越えてきたものであるということを知り,普段気付かないことを深掘りする楽しさを学ぶことができました.〔中略〕自分から全てを疑って物事を見ることは難しくなかなかできませんでしたが,学習する上において大事なことであると思い,疑って物事を見るということを学んだことは最も価値があると感じました.
 ・ よく「言語を知れば文化が分かる」等といわれるが,この英語史の授業を通してその意味を理解することができた.
 ・ 現代にいたるまで,まだ音変化の過程にある単語もあり,今まさに,その変化に立ち会えているという感動があった.
 ・ 日常生活の解像度が格段に上がったということです.英語は,グローバル社会である現代に生きている私たちにとってかなり身近なものですがその背景で起こったことに目を向ける機会はなかなかありません.英語の歴史,スペリングの謎,発音の謎など,「思い返せばずっと疑問だったな」ということが,この授業で一気に明らかになりました.
 ・ 「素朴な疑問をもち,その疑問を深掘りすることの楽しさ,大切さ」への気づき.
 ・ 「先入観を捨てると,ちがう世界をみることができるかもしれない」ということです.〔中略〕この授業では,今まで自分がどれほどこりかたまった思考をしていたのか,どれほどの先入観による判断をして生きてきたのかを思い知ることができたと同時に,学ぶ意味を再確認しました.

 ということで,今年度の「英語史」講義はこれにて終了.
 過年度の同趣旨の質問への回答は,以下をご覧ください.

 ・ 「#2470. 2015年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2016-01-31-1])
 ・ 「#3566. 2018年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2019-01-31-1])
 ・ 「#3922. 2019年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2020-01-22-1])

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最終更新時間: 2022-06-27 16:55

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