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hellog〜英語史ブログ / 2018-12-08

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2018-12-08 Sat

#3512. 認識動詞の種類と頻度の通時的変化 [frequency][verb][comment_clause][semantic_field]

 秋元 (162) より「中英語から現代英語における認識動詞の種類と頻度」の表を掲げよう.表中 (p) は "personal",(i) は "impersonal" の用法を示す.なお,この表は「各時代で扱われた動詞を頻度順におおざっぱに示したもの」とのことである.

14th15th16th17th18th19th20th
knowesupposeknowknowthinkthinkthink
witentrustthinkthinkbelievesupposeknow
thinke (p)trowtrowfind supposeknowsuppose 
semeunderstandtrust/wotbelieveknowbelievebelieve
wenewotbelievesupposeguessguessguess
trowehopewenefancy   
thinke (i)knowsupposeguess   
understondedeme/think/weneguesstrust   
demedeme     
menedoubt     
trustbelieve     
hopeguess     
gessen      
leve      
undertake      
suppose      
beleven      


 通時的な傾向としては,次の点が認められる(秋元,p. 162--63).

1. think と know が一貫して多く使われている.
2. suppose は15世紀には最も多く使われたが,その後再び18世紀以降に多くなっていった.
3. believe は中英語 (Chaucer),15世紀にはほとんど使われなかったが,17世紀以降多く使われるようになった.
4. guess は一貫してそれほど多くはない.
5. witen, wene, wot は17世紀ごろを境に使われなくなった.
6. trowe も17世紀ごろを境に使われなくなった.またこの動詞はほとんど as 〜 の形で使われた.
7. 表にははっきりとは表れていないが,fancy は現代英語では使われなくなった.


 秋元 (170) は,これらの動詞の通時的な盛衰を,意味場 (semantic_field) を巡る競合と位置づけている.

witan, wene の衰退は think の増大が関係し,また know の増大の結果でもあると考えられる.Fancy は17世紀ごろからしばらく使われていたが,20世紀に入ると,epistemic phrase として使われなくなったのは,imagine などの動詞に追いやられたり,あるいはその語自身が他の用法(fancy restaurant のような名詞,形容詞的用法)を発達させたからであると考えられる.逆に競合関係が保たれているのは,語同士がいわば棲み分けを行っており,そのバランスの上に機能しているからだと考えられる.Think, believe, suppose, know, guess の comment cl はそのような棲み分けられた状態において機能しているからであろう.


 認識動詞という高頻度の形式だけをとっても,通時的に種類や頻度を追ってみることで,意味の場の競合というダイナミックな現象が観察されることに感心した.

 ・ 秋元 実治 「第8章 Comment clause のまとめ」『Comment Clause の史的研究 ――その機能と発達――』秋元 実治(編) 英潮社フェニックス,2010年.161--72頁.

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最終更新時間: 2019-05-23 17:48

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