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hellog〜英語史ブログ / 2010-02-26

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2010-02-26 Fri

#305. -ise か -ize [spelling][ame_bre][bnc][corpus][suffix][z]

 私は,普段,英語を書くときにはイギリス綴りを用いている.英国留学中,指導教官に -ize / -ization の語を -ise / -isation に訂正されてから意識しだした習慣である.そのきっかけとなったこのペアは,一般には,アメリカ英語ではもっぱら -ize を用い,イギリス英語では -ise も用いられるとされる.
 イギリス英語での揺れの理由としては,アメリカ英語の影響や,接尾辞の語源としてギリシャ語の -izein に遡るために -ize がふさわしいと感じられることなどが挙げられるだろう.単語によって揺れ幅は異なるようだが,実際のところ,イギリス英語での -ise と -ize のあいだの揺れはどの程度あるのだろうか.
 この問題について,Tieken-Boon van Ostade (38) に BNC ( The British National Corpus ) を用いたミニ検査が示されていた.generalise, characterise, criticise, recognise, realise の5語で -ise と -ize の比率を調べたというものである.このミニ検査に触発されて,もう少し網羅的に揺れを調べてみようと思い立ち,BNC-XML で計399個の -ise / -ize に揺れのみられる動詞についてそれぞれの頻度を出してみた.以下は,-ise / -ize を合わせて頻度がトップ20の動詞である.ちなみに,399個の動詞についての全データはこちら

item-ise rate (freq)-ize rate (freq)-ise + -ize
recognise61.1% (9143)38.9% (5812)14955
realise63.2% (9442)36.8% (5492)14934
organise62.3% (5540)37.7% (3359)8899
emphasise60.0% (2998)40.0% (1998)4996
criticise54.9% (2054)45.1% (1688)3742
characterise52.2% (1398)47.8% (1278)2676
summarise61.4% (1164)38.6% (731)1895
specialise70.7% (1163)29.3% (481)1644
apologise68.8% (1084)31.2% (492)1576
advertise99.5% (1542)0.5% (7)1549
authorise64.5% (987)35.5% (543)1530
minimise65.4% (984)34.6% (521)1505
surprise99.9% (1345)0.1% (1)1346
supervise99.8% (1303)0.2% (3)1306
utilise68.9% (798)31.1% (360)1158
maximise63.2% (719)36.8% (418)1137
symbolise49.2% (324)50.8% (334)658
mobilise45.5% (286)54.5% (342)628
stabilise53.5% (334)46.5% (290)624
publicise69.4% (419)30.6% (185)604


 この表で advertise, surprise, supervise の3語については -ise が規則だとみなしてよいだろうが,それ以外は全体的に -ise がやや優勢なくらいで,イギリス英語でも -ize は十分に一般的であることがわかる.399語の平均を取ると,-ise の比率は51.6%となり,-ize とほぼ拮抗していることがわかる.詳しく調べれば個々の動詞の慣用というのがあるのかもしれないが,イギリス英語の綴り手としては,ひとまず「-ise に統一」と考えておくのも手かもしれない.

 ・ Tieken-Boon van Ostade, Ingrid. An Introduction to Late Modern English. Edinburgh: Edinburgh UP, 2009.

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