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hellog〜英語史ブログ / 2016-10-22

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2016-10-22 Sat

#2735. must とともに用いられる副詞 needs [adverb][genitive][adverbial_genitive]

 現代英語で,ほぼ常に must と共起する,副詞としての needs の用法がある.must の含意を強めて「どうしても,ぜひとも,必ず」を意味する.例文を挙げよう.

 ・ He must needs come. (ぜひ来ると強情を張ってきかない.)
 ・ Needs must when the Devil drives. (背に腹は変えられぬ.)
 ・ A man needs must lie down when he sleeps. (人は眠るにはいやでも横にならなければならぬ.)

 この needs の起源は古く,古英語に遡る.古英語の名詞 nēd (need) の属格形 nēdes に由来し,「必要で,必ず」を意味した.「#81. oncetwice の -ce とは何か」 ([2009-07-18-1]), 「#723. be nihtes」 ([2011-04-20-1]) で触れた,副詞的属格 (adverbial_genitive) の用法である.中英語期の用例は,MED より nēdes (adv.) を参照.
 だが,古英語には副詞的与格 (adverbial dative) の用法による nīede, nēade も同義で用いられており,これは中英語から近代英語にかけても nede, need などの形で存続し,OED によれば現代でも廃語とはなっていない.中英語期の用例は,MED より nēde(e (adv.) を参照.
 それでも歴史的には,need は明示的な語尾をもつ属格由来の needs に,事実上,置き換えられることになった.needs について,14--15世紀には behoveth とも共起したが,14世紀以降には現代のように must (< ME motan) とのみ共起する傾向が強まった.それでも,AV. Gen. 19. 9 の This one fellow came in to soiourne, and he will needs bee a Iudge. (この人は来り宿れる身なるに,つねに士師とならんとす.)のように will との共起などもある.このような用法では,「頑固さ」が含意されると言われる.
 現代英語では needs は共起制限の厳しい目立たない副詞と捉えられているが,実は,古英語期に発し,競合の時代をくぐり抜けてきた立派な古参である.

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最終更新時間: 2019-03-14 09:23

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