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「#1987. ピジン語とクレオール語の非連続性」 ([2014-10-05-1]) で,ピジン語とクレオール語に関するライフサイクル的な見方への懐疑論を紹介した.ライフサイクル的な見方とは,簡略化したピジン語が,母語話者をもつに及んで複雑化し,クレオール語となるという発展の仕方を想定するもので,いわば pidgin と creole を巡る伝統的な教科書風の記述に相当する.
しかし,ピジン語からクレオール語へ発展するという見方を採用するにしても,その途中段階を考慮に入れると,いくつかの種類を想定せざるをえない.現実には以下の3種類の経路が認められる (Jenkins 11 の図を改変).
この図は,ライフサイクル的に pidgin (あるいは jargon)という段階から creole へ至ることを前提にするにしても,creole 化という過程がどの中途段階からも起こり得ることを示している.また,creole 化を起こさずに jargon や pidgin の段階にとどまっている Type 0 という段階を,合わせて仮定してもよいかもしれないし,さらにほかのタイプもあり得るかもしれない.いずれのタイプが選ばれるかは,それぞれの段階における変種の言語的性質によるというよりは,それが使用されている社会における社会言語学的な状況によるのだろう.pidgin から creole に至る道程は種々別々であり,安易な一般化は難しいばかりではなく,creole 化の本質を見失わせることもあるかもしれない.
・Jenkins, Jennifer. World Englishes: A Resource Book for Students. Abingdon: Routledge, 2003.
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最終更新時間: 2024-10-26 09:48
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