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[2010-10-15-1]の記事に関連して,Brewer の論文から補足.その記事で OED の引用数を時代別にグラフ化したものを掲げたが,特に顕著な増加を示している箇所を数字で示した版を以下に示す.
Brewer (58) によると,(1)--(5) の各増加は OED 編纂上の要因によるところが大きいとされる.それぞれの事情は以下の通りである.
(1) 1291--1300年の増加.1470年以前についてはしばしばテキストの年代が不明であり,そのような場合には便宜上各世紀の中央や両端に年代を仮設定するという編集上の方針があった.また,特にこの時代については,Robert of Gloucester (1297年,3222用例) や Cursor Mundi (1300年,10771用例で OED における被引用数第2位の作品) から,かなり集中的に引用が取り込まれているという事情もある.
(2) 1391--1400年の増加.(1) と同様の世紀終わりという理由に加え,Trevisa (1387/98年,6750用例) から大量に取り込まれているという事情がある.
(3) 1521--1530年の増加.Palsgrave の Lesclarcissement (1530年,5418用例) からの大量の引用により,半ば説明される.
(4) 1581--1600年の増加.Shakespeare (33304用例) の影響が相当に大きい.
(5) 1631--1660年の増加.おそらく革命期のパンフレットからの多数の引用が影響している.
この5点の増加についてだけでも編集上の背景を具体的に知っておくと,OED の引用データの使い方(少なくともその姿勢)は変わってくるだろうと思い,メモした次第.関連する記事としては以下を参照.
・ [2010-10-10-1]: #531. OED の引用データをコーパスとして使えるか
・ [2010-10-14-1]: #535. OED の引用データをコーパスとして使えるか (2)
・ [2010-10-15-1]: #536. OED の引用データをコーパスとして使えるか (3)
・ Brewer, Charlotte. "OED Sources." Lexicography and the OED: Pioneers in the Untrodden Forest. Ed. Lynda Mugglestone. Oxford: OUP, 2000. 40--58.
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最終更新時間: 2024-10-26 09:48
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