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hel_education - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-05-01 05:55

2010-03-16 Tue

#323. 英語史のイントロクイズ(2009年度版)の解答 [flash][quiz][hel_education]

 昨日[2010-03-15-1]のクイズの解答は,こちらの Flash のスライドでどうぞ.(ファイルが500KB強とやや重いので,本記事には貼りつけなかった.直接,PDFのスライドとして落としたい方はこちらからどうぞ.)
 スライドでは,各問題の次のページが解答(と補足)になっている.昨日も述べた通り,クイズ自体は荒っぽいし,数値も数年前のものでありアップデートされていないので,あくまで参考までに.クイズ作成に利用した参考資料はいくつかあるが,Graddol を参照することが多かった.

 ・ Graddol, David. The Future of English? The British Council, 1997. Digital version available at http://www.britishcouncil.org/learning-research-futureofenglish.htm

Referrer (Inside): [2010-04-13-1]

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2010-03-15 Mon

#322. 英語史のイントロクイズ(2009年度版) [flash][quiz][hel_education]

 毎年度始め,英語史の初回の授業で以下のようなクイズを試している(全25問).かなり荒っぽいクイズではあるがそこそこ好評なので,1年ほど前に使用した2009年度版のクイズを以下に掲載する(全画面モードでどうぞ).直接,PDFのスライドとして落としたい方はこちらからどうぞ.答えは,明日の記事で.



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2010-01-19 Tue

#267. 人々が英語を学ぶ理由 [elf][hel_education]

 英語を学ぶ理由というは一見すると自明のように思えるかもしれない.多くの日本人の英語学習者からは,広く国際コミュニケーションのためという答えが返ってきそうである.しかし,世界は広い.人々が英語を学ぶ理由は,多岐にわたる.Jenkins (35--36) は,Crystal が提案したものとして6点を挙げ,自らもう一つを加えて計7点の「英語を学ぶ理由」を以下のごとく列挙した.

 1. Historical reasons: 英米帝国主義の遺産として.The Outer Circle の諸地域で特に強い.see [2009-11-30-1]
 2. Internal political reasons: 多民族国家における中立的な(特にメディア上の)言語として.
 3. External economic reasons: 国際市場の獲得を目指して.
 4. Practical reasons: 国際的な交通,会議,観光などのため.
 5. Intellectual reasons: 学術・技術の情報にアクセスするため.
 6. Entertainment reasons: 音楽をはじめとする大衆文化に接するため.
 7. Personal advantage/prestige reasons: 習得することによって社会的な地位を得られるため.

 地域によって,個人によって,英語を学ぶ理由は異なるだろうし,複数の理由が共存しているのが通常だろう.だが,日本に生活する一般の日本語母語話者にとって,1 や 2 の理由は縁遠いだろう.世界には 1 や 2 の理由を無視することのできない地域や個人が少なからず存在するということは,英語を学ぶ者みながよくよく知っておく必要がある.

 ・Jenkins, Jennifer. World Englishes: A Resource Book for Students. Abingdon: Routledge, 2003.
 ・Crystal, David. English As a Global Language. 2nd ed. Cambridge: CUP, 2003.

Referrer (Inside): [2010-09-23-1] [2010-06-13-1]

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2010-01-18 Mon

#266. 2009年度に提出された卒論の題目 [hel_essay][hel_education][sotsuron]

 2009年12月にゼミ学生が提出した卒業論文のタイトルをリストアップする.

・中英語期におけるアルファベット "v" の出現
・大母音推移期における英詩の脚韻
・前置詞 of の意味の広がり ?分離から所有へ?
・接辞のクラス分け ?接尾辞 -able の独自性の観点から?
・後期近代英語における May と Can の使用頻度の推移
・近代英語期における進行形の使用頻度の拡大
・かばん語の出現数の推移とその背景
・The Syntactic and Semantic Relation between the Act and Target in Terms of Directness
・(for) NP to V の異分析
The Peterborough Chronicle における se の屈折の種類の推移:古期英語から中期英語の屈折衰退の実証

 全体としてテーマの分布としては広がりがあってよかったのではないかと考えている.時代的には,古英語後期,中英語,近代英語,現代英語とカバーされているし,英語学の分野でも,文字,音声,形態,統語,語彙,意味のバランスがとれていた.しかし,比較的人気が高いと思われる英語方言や世界英語といった社会言語学的なテーマがなかった.
 英語学や英語史の分野ではこのような話題が卒論の研究対象になります,ということで参考までに.

Referrer (Inside): [2010-12-26-1]

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2010-01-05 Tue

#253. 英語史記述の二つの方法 [historiography][hel_education]

 英語史を含め歴史の記述には,時間の流れとの関係という観点から,二種類の方法がある.(1) 過去から現在へと向かう記述,(2) 現在から過去へと向かう記述,である.日本史,生物史,経済史など,一般に「歴史」のつく講義や概説書を思い起こすと,ほとんどすべてにおいて (1) が採用されているのではないだろうか.英語史の講義や概説書でも (1) が圧倒的多数である.
 しかし,(2) の記述法も十分に意味をなすし,英語史でも実際にいくつかの試みがなされている.(2) の遡及的記述法を採る古典的名著といえば,Strang である.最近では,関東学院大学の島村宣男氏が,近代英語期を起点に時代を遡及するという (2) のヴァリエーションといえる記述を採用している.
 二つの記述法にはそれぞれ長所と短所があり,一般論としてどちらがより有効ということはいえない.それは目的による.二つの記述法の比較は別の機会に試みたいが,今回は,少数派である遡及的記述をあえて採用した島村氏の言葉を借りて (2) の長所に迫ってみたい.

英語史の概説書の多くは,西北ヨーロッパの一島嶼において成立した地域言語としての「英語」が,やがて全地球的な規模の世界言語に発達するまでを叙述する.それは歴史学の記述と同じく,発生上の起源に遡るのが通例である.私は,何よりもまず,この「因習」を脱したいと考えた.いきなりイギリスの言語の発生的起源から説くことは,叙述の方法としてはいかにも理に適っているようにみえるが,初学者の「好奇心」を最初から殺ぐことになりはしないだろうか? これでは面白いわけがない.(2)


 遡及的記述の長所の一つは,この記述法が「現代英語の○○という現象の起源はどこにあるのか」という英語学習者のストレートな問いに答えるのに適した形態であることである.例えば,現代英語で動詞に三単現の s がつくのはなぜかという問いに答えようとする場合,歴史的に正確に答えるのであれば,遠く印欧祖語の動詞の曲用から始めて,ゲルマン祖語,古英語,中英語,近代英語と時間に沿って動詞の曲用の歴史を叙述する必要があるだろう.
 もう一つの説明は,時間を遡及するやり方である.三単現の s は,そもそも近代英語期に入るまでは -s ではなく -th であったこと,それ以前の中英語期には三単現のみならず他の人称・数・時制によっても動詞語尾が様々に変化したこと,それ以前の古英語では弱変化型か強変化型かで語尾変化のタイプが異なっていたこと,それ以前のゲルマン祖語では,云々.
 体系的に,正確に,歴史的事実を知りたい場合には,前者の説明が適切だろう.だが,現代的な視点に基づく好奇心を最大限に尊重しようとする立場からは,現代との関連の強い近過去から始めて徐々に関連が薄くなってゆく遠過去へと説明を進めるほうが適切である.単純なことから複雑なことへと順に知識を深めてゆくという方法は,学習上,教育上,研究上の定石である.みなが自然と採っているこの順序を歴史記述に応用しない手はないともいえる.
 私は今年度も伝統的な (1) の方法で英語史の講義を進めてきたが,後期の後半になって「現代に近づいてやっと面白くなってきました.このような内容でもっと授業をしてくれれば・・・」という趣旨のコメントを受け取って,複雑な思いである.「一年間ながらくお待たせしました・・・」と申し訳ない気持ちにならないでもない.
 先に述べたように,二つの記述法のいずれにも長所と短所がある.来年度は遡及的記述の長所である「現代的な視点に基づく好奇心をくすぐる」をうまく取り込んだ形の講義にしたいと思っている.今から模索を始めたい.

 ・Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970.
 ・島村 宣男 『新しい英語史?シェイクスピアからの眺め?』 関東学院大学出版会,2006年.

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2010-01-01 Fri

#249. 2009年度後期の英語史レポートで人気のあった話題 [hel_essay][hel_education]

 明けましておめでとうございます.昨年は hellog への訪問をありがとうございました.本年も続けます.よろしくお願いいたします.
 さて,新年の話題は,去る秋に英語史の授業で課した自由レポートについて.学生が英語史のどのような点に関心をもっているかを知りたかったので,レポートのテーマは自由にした.129名の学生から回収したレポートについて扱われている話題を大雑把にキーワードで分類し,人気上位を出した.以下の通りである.

RankPointSubjectLink within hellog
114借用語loanwords
213アメリカ英語(とイギリス英語の比較)American English
39フランス語の影響French influence
47方言(ME) dialects
47語源etymology
66イギリス史(と英語史の関連)history of Britain
75アルファベット(の歴史)alphabet
75世界語としての英語lingua franca
75中世の英語の復権reestablishment of English
75綴字と発音の乖離spelling-pronunciation gap
75統語論syntax


 1位の「借用語」は,英語のたどってきた諸言語との接触の歴史に広く関心がもたれたためだろう.語彙は「見えやすい」話題なので,上位に来ることは予想された.この点は4位タイの「語源」も同様である.
 2位は「アメリカ英語(とイギリス英語の比較)」.今回のレポートでも,普段の授業のリアクションペーパーでも,アメリカ英語についての話題の人気ぶりはとりわけ目立った.このようなランキングでは講義で扱った内容が学生の関心に影響を与えるということは多分にあるだろうが,アメリカ英語の歴史の講義は今回のレポートの提出後のことである.講義を受ける以前にデフォルトとして関心の高い話題だということがよく分かった.
 3位の「フランス語の影響」としては,特にフランス借用語への関心が高かった.中英語期におけるフランス(語)の支配とそこからの脱却の歴史(7位タイ「中世の英語の復権」)は,現代的な話題である7位タイ「世界語としての英語」を考える上でも,重要な歴史的役割を担っているという視点が多かったように思われる.
 4位タイの「方言」も,デフォルトで人気が高い.Irish English, Australian English, Black English, Malaysian English などを英語の方言として考えて票に含めるのであれば,もっと上位にランクインしただろう.
 6位の「社会史(と英語史の関連)」は,「かつて歴史の授業で学習した内容と英語史が結びついた」という趣旨のコメントからも理解できる.中世でいえば,黒死病,百年戦争,活版印刷術の発明といった著名な歴史の話題が,英語の歴史とも関連が深いという気づきが反映されているようだ.
 7位タイの「アルファベット(の歴史)」は,とりわけ講義で取りあげた話題ではないが,一定の人気があった.同じく7位タイの「綴字と発音の乖離」については,講義でも本ブログでも繰り返し取りあげた内容である.最後に「統語論」は,カテゴリーとして広くくくったこともあろうが,これまでに学んできた英文法への関心が反映されたということだろう.語順や do-periphrasis の話題が何件か扱われていた.
 以上,今期の英語史受講生の関心をざっとまとめた.「借用語」「語源」「綴字と発音の乖離」「統語論」などは英語学習との結びつきが比較的強い話題であり,上位に来ることは予想できた.また,「アメリカ英語」や「世界語としての英語」は現代英語のおかれている社会的役割を考えれば,関心のある話題であることは理解できる.一方,「アルファベット」の上位ランキングはやや意外だった.
 来期の英語史の講義を再構成するにあたって今回の結果を参考にしたいと思う.特に,アメリカ英語に関する話題の絶大な人気,方言や World Englishes への興味,アルファベット(ひいては文字論一般)への関心などは,今期の講義では比較的扱いが弱かったので,来年度の講義には是非とも反映したい.本ブログでも,今後,これらの話題を意識して取りあげるつもりである.
 全統計結果はこのページのHTMLソースを参照.

Referrer (Inside): [2010-05-05-1]

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2009-05-22 Fri

#24. なぜ英語史を学ぶか [hel_education]

 多くの現代人にとって,なぜ英語を学ぶのかという問いは自明であって,改めて問う必要はないかのように聞こえるだろう.私はこの問いの答えは必ずしも自明ではなく,各学習者が真剣に考えるべき問題だと思っているが,ひとまずその議論はおいておき,ここでは英語学習の自明性をひとまず認めておくことにしよう.
 では,なぜ英語史を学ぶのかという問いはどうだろうか.多くの英語学習者にとってこの答えは自明ではないかもしれないが,一度じっくり考えてみてほしい.ある人は,自分の学んでいる言語がたどってきた歴史文化を学ぶことは,学習上きっと大事なことにちがいない,という漠然とした関心を抱いているかもしれない.ある人は,なぜ英語がここまで世界で広く使用される言語になったのか,その理由を歴史の中に探りたい,という明確な問題意識を抱いているかもしれない.
 児馬修(『ファンダメンタル英語史』 ひつじ書房,1996年,ii--iii頁)は英語史を学ぶ意義について述べているが,私の解釈を含めてまとめると次の3点になろう.

 ・現代英語を深く理解することができる
 ・歴史に基づいた英語観を形成することができる(特に英語を教える立場にある者には必要)
 ・英語の言語変化を考える際の材料を得ることができる

 私なりに整理した「英語史を学ぶ意義」は次の5点である.

 (1) 現代英語の文法や語彙が学びやすくなる.(今まで関連の見えなかった現象につながりが見えてくる.不合理・不規則に見える現象の根拠を知ることができる.)
 (2) 英語の過去を通じて英語の未来を意識することで,能動的・戦略的に英語を学ぶ姿勢が身につけられる.(未来における英語の立場を予想できれば,英語学習が本当に必要かどうかを自分で判断できるようになる.英語学習の動機も高められる.)
 (3) 言語は変わるものであり,多様なものであるという許容的な言語観が形成され,おおらかに英語を学べる,あるいは教えられるようになる.
 (4) 英語史は一つの物語であるから,おはなしとして面白い.
 (5) 研究分野として純粋に面白い.(学問研究は世の役に立つからという理由で存在しているのではない.あくまで対象が美しいがゆえにそれに惹かれるということが学問研究の出発点である.結果として役に立つこともあるし,そうでないこともある.)

 英語史は,英語を学ぶ者すべてにとって大きな意義があると確信している.特に英語を教える立場にある人にとっては(2)や(3)のポイントは重要なのではないか.

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2009-05-16 Sat

#18. 英語史をオンラインで学習できるサイト [link][timeline][hel_education]

 今回はちょっとしたサイトの紹介だけ.BBC の Ages of English Timeline は,FLASH により遊び感覚で英語史の要点を学べる.

Referrer (Inside): [2016-10-19-1] [2013-02-03-1]

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