本ブログでは,「二言語変種使い分け」と訳されるダイグロシア (diglossia) について,様々に取り上げてきた.この術語は,唱者である Ferguson が提示したオリジナルの(狭い)意味で用いられる場合と,Fishman が発展させた広い意味で用いられる場合がある.さらに triglossia や polyglossia という用語も派生してきた.それぞれ論者によって適用範囲や解釈も異なり,うがった見方をすれば「底意ありげ」に用いられる場合もありそうだ.理論的にも厄介な代物である.
このような場合には,様々な用語辞典を比べてみるのがよい.その第1弾として,入門的な Trudgill (38--39) の社会言語学用語辞典より引こう.
diglossia (1) A term associated with the American linguist Charles A. Furguson which describes sociolinguistic situations such as those that obtain in Arabic-speaking countries and in German-speaking Switzerland. In such a diglossic community, the prestigious standard or 'High' (or H) variety, which is linguistically related to but significantly different from the vernacular or 'Low' (or L) varieties, has no native speakers. All members of the speech community are native speakers of one of the L varieties, such as Colloquial Arabic and Swiss German, and learn the H variety, such as Classical Arabic and Standard German, at school. H varieties are typically used in writing and in high-status spoken domains where preparation of what is to be said or read is possible. L varieties are used in all other contexts. (2) Ferguson's original term was later extended by the American sociolinguist Joshua Fishman to include sociolinguistic situations other than those where the H and L varieties are varieties of the same language, such as Arabic or German. In Fishman's usage, even multilingual countries such as Nigeria, where English functions as a nationwide prestige language which is learnt in school and local languages such as Hausa and Yoruba are spoken natively, are described as being diglossic. In these cases, languages such as English are described as H varieties, and languages such as Yoruba as L.
古今東西の diglossia の典型例が引かれている,Ferguson のオリジナルの解釈と Fish の拡大解釈が対比的に導入されているなど,簡便にまとまった記述となっている.まずはこの辺りから確認しておくのがよい.
・ Trudgill, Peter. A Glossary of Sociolinguistics. Oxford: Oxford University Press, 2003.
1ヶ月半ほど前のことになりますが,9月21日(火)から23日(木)にかけて,秩父のとある温泉宿にて2泊3日の khelf ゼミ合宿を実施しました.合宿中の課題の1つとして,最終日の朝に英語史・英語学に関する音声コンテンツを Voicy heldio のために収録する,というものを設定しました.合宿初日に3--4名1組のグループを決め,各グループが1日程度の短期間で音声コンテンツのテーマを決めた上で収録に臨むという,なかなかの無茶振り課題です.
半ば遊び的な課題ではありましたが,各グループがよく工夫してくれました.雰囲気はインフォーマルだけれども話題はフォーマルといった独特の収録回となりました.合宿後,その成果となる音声コンテンツを随時 heldio でお届けしてきましたが,昨日の第9回をもって「ゼミ合宿収録シリーズ」が完結となりました.以下がシリーズのラインナップです.
・ 「#847. ゼミ合宿収録シリーズ (1) --- khelf 会長の青木くんと学部生3名による emoji と CMC」(2023/09/25)
・ 「#850. ゼミ合宿収録シリーズ (2) --- K さんの司会による「ゼミ生に英語史ゼミを選んだ理由をきいてみた」」(2023/09/28)
・ 「#854. ゼミ合宿収録シリーズ (3) --- 藤原くんの司会による「ゼミ生に英語史ゼミを選んだ理由を聞いてみた」」(2023/10/02)
・ 「#858. ゼミ合宿収録シリーズ (4) --- 寺澤さんの司会による linguistics の -s って何?」(2023/10/06)
・ 「#863. ゼミ合宿収録シリーズ (5) --- 小林くんの司会による「ディズニーランドと political correctness」」(2023/10/11)
・ 「#870. ゼミ合宿収録シリーズ (6) --- 川島さんの司会による most unhappy or unhappiest?」(2023/10/18)
・ 「#876. ゼミ合宿収録シリーズ (7) --- 情報構造入門」(2023/10/24)
・ 「#882. ゼミ合宿収録シリーズ (8) --- シンガポールの英語事情」(2023/10/30)
・ 「#886. ゼミ合宿収録シリーズ (9) --- なぜ堀田ゼミを選んだの?」(2023/10/30)
配信回のなかには危うい間違い発言も含まれていますし,ゼミ生たちの不勉強が露呈されるシーンもありましたが,リスナーの皆様には,好意的に温かい目(耳?)で見守っていただきました.ありがとうございます.今後も khelf メンバーたちによる同趣旨の配信回を作っていきたいと思っておりますので,khelf による hel活(英語史活動)を応援いただければ幸いです.
「ゼミ合宿収録シリーズ」については,khelf HP のこちらのページにも案内があります.HP も内容が充実してきていますので,ぜひ訪れていただければ.
10月30日付けで,khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第6号がウェブ公開となりました.こちらよりPDFで閲覧・ダウンロードできます.
第7号の公開および記事紹介などの情報は,khelf 公式の X アカウント @khelf_keio からもお届けしています.フォローやリツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.
今回も khelf の『英語史新聞』第7号の制作班が,総力を結集して作り込んでくれました(関係者一同よく頑張りました,ありがとう!).第7号の記事のラインナップです.
・ 四季か二季か
・ 読書の秋に古英語を
・ 形を変えることわざ
・ 英語の擬態語: gl- と輝き
・ 「変なアルファベット表」単語募集フォーム
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第2回 矢冨弘先生(後編)」
・ EMOJI の発達と新たな時代のコミュニケーション~英語現代史の変化を考える~
今回も読者の皆さんを飽きさせない多種多様な記事を取りそろえています.読者参加型の「変なアルファベット表」企画についての案内もありますので,ご注目ください.また,目玉企画の「英語史ラウンジ by khelf」では,前号に引き続き,新進気鋭の英語史研究者である矢冨弘先生(熊本学園大学)にスポットライトを当てます.矢冨先生には khelf でもお世話になっていますし,Voicy heldio にも何度も出演していただいています(ありがとうございます).本号は voicy heldio でも「#884. 『英語史新聞』第7号発行!」としてご案内していますので,そちらもお聴きいただければ.
『英語史新聞』は昨年4月に創刊号を発行して以来,おおよそ3ヶ月に1度のペースで発行し続けてきました.毎号の制作班のモチベーションが保たれているのも,多くの方々にお読みいただいているからこそです.ご愛読ありがとうございます.最新号も含め『英語史新聞』のすべての号は,教育目的での利用・配布について自由にお取り扱いいただけます.むしろ,英語史の魅力を広げるべく活動している発行主体の khelf としては,電子媒体・紙媒体を問わず,皆様に広く利用・配布していただけますと幸いです.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にお使いの場合には,ぜひこちらのフォームを通じてご一報くださいますと khelf の活動実績の把握につながるほか,『英語史新聞』編集委員の励みともなります.ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,ここに明記いたします.フォームへの入力を通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
新著『World Englishes 入門』は,本ブログでもすでに何度か取り上げてきました.その第2章「アメリカとカナダの英語」を執筆された今村洋美先生(中部大学)と,Voicy heldio にて対談させていただきました.「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」です.本編とアフタートークを合わせて20分ほどの音声コンテンツです.ぜひお聴きください.
以下,第2章の内部の小見出し等を紹介します.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
10月26日(木)の夜に,帝京科学大学の金田拓さんとともに,Baugh and Cable の英語史書の「対談精読実況生中継」を Voicy heldio で配信しました.同書の第21節 Italic (イタリック語派)を題材に,英文を精読し,内容について様々な角度から議論と解説を行ないました.(一緒に講師を務めました Taku さん,対談内での重要かつ適切なコメントで盛り上げていただきましてありがとうございました!)
配信している側の2人は確かに豊かで実りある時間を過ごすことができたのですが,お聴きのリスナーの方々はいかがでしたでしょうか? まだお聴きでない方もいるかと思いますので,ぜひお時間のあるときにどうぞ.生放送のアーカイヴは3回に分かれており,第1回は通常配信で,第2回と第3回はプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) にてお届けしています(第1回だけでも50分超の長尺です).第1回で関心が湧いた方は,ぜひ第2第,第3回へもお進みいただければと存じます(後者2回は有料となります).
対談特別回だったこともあり,精読対象となったテキストを特別にこちらの PDF に上げておきます.できれば,オンライン読書会のシリーズ企画でもありますので,ぜひ本書そのものを入手し,今後も長くお付き合いください.
(1) 「#879. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(前半)」
(2) 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」(10月分の helwa に含まれる有料配信です)
(3) 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」(10月分の helwa に含まれる有料配信です)
各回にはリスナーの皆さんからも今回の精読について様々なコメントが寄せられてきていますので,そちらもご覧ください.
今回の対談精読実況生中継(第1回)は,先日の「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」と同様に,サンプル回ということで一般公開した次第です.普段は週に1,2回のペースでお届けする有料配信のシリーズとなっています.ぜひ「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) より過去回のラインナップをご覧いただければと思います.今後,皆さんとともに本書を読み進めていけることを楽しみにしています.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) でご紹介したとおり,Voicy heldio では英語で書かれた英語史の名著をじっくり読み進めていくというオンライン読書会風のシリーズ企画を始めています.有志のリスナーが集う有料配信のシリーズとなっています.
週に1,2回の配信で1節ずつゆっくり進んでおり,3ヶ月ほどかけて第20節まで進んできています.最新の第20節では,印欧語族のなかの1語派である Albanian 「アルバニア語派」が扱われています.この最新回については,ゲスト講師として小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)を招いての特別回として「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」を無料配信しています.生放送として収録したものをアーカイヴに置いておりますので,そちらからお聴きください.シリーズ企画の雰囲気や,そこで読み進めている英語史書のレベル感なども分かるかと思います.
第20節は短い英文ということもありますし,シリーズ企画の特別サンプル回という位置づけでもありますので,同節のテキスト全文を以下に掲載しておきます.この長くない文章を種に50分以上お話ししました.
20. Albanian. Northwest of Greece on the eastern coast of the Adriatic is the small language branch named Albanian. It is possibly the modern remnant of Illyrian, a language spoken in ancient times in the northwestern Balkans, but we have too little knowledge of this early tongue to be sure. Moreover, our knowledge of Albanian, except for a few words, extends back only as far as the fifteenth century of our era, and, when we first meet with it, the vocabulary is so mixed with Latin, Greek, Turkish, and Slavonic elements---owing to conquests and other causes---that it is somewhat difficult to isolate the original Albanian. For this reason, its position among the languages of the Indo-European family was slow to be recognized. It was formerly classed with the Hellenic group, but since the beginning of the present century it has been recognized as an independent member of the family.
本シリーズにご関心を抱かれた方は,ぜひ本書第6版を入手し,ご都合のよいタイミングとペースで読み進めていっていただければと思います.
ちなみに,今晩6時辺りからも,heldio/helwa で特別ゲストとの対談生放送として,第22節 Italic 「イタリック語派」を配信する予定です.ご都合がつく方は,ぜひライヴでお聴きください.
昨日の Voicy heldio にて「#873. ゼミ合宿収録シリーズ (7) --- 情報構造入門」を配信しました.khelf (慶應英語史フォーラム)のメンバー3名による収録で,ご好評いただいています(ありがとうございます).「桃太郎」を題材に,情報構造 (information_structure) という用語・概念の基本が丁寧に解説されています.
情報構造に関する基本的事項の1つに,「旧情報」 (given information) と「新情報」 (new information) の対立があります.談話は原則として,話し手と聞き手にとって既知の旧情報の提示に始まり,その上に未知の新情報を加えることで,段階的に共有知識が蓄積されていきます.つまり,旧情報→新情報と進み,次にこの蓄積全体が旧情報となって,その上に新情報が積み上げられ,さらにこれまでの蓄積全体が旧情報となって次の新情報が加えられる,等々ということです.
Cruse の用語辞典より "given vs new information" (74--75) の項目を引用します.
given vs new information These notions are concerned with what is called the 'information structure' of utterances. In virtually all utterances, some items are assumed by the speaker to be already present in the consciousness of the hearer, mostly as a result of previous discourse, and these constitute a platform for the presentation of new information. As the discourse proceeds, the new information of one utterance can become the given information for subsequent utterances, and so on. The distinction between given and new information can be marked linguistically in various ways. The indefinite article typically marks new information, and the definite article, given information: A man and a woman entered the room. The man was smoking a pipe. A pronoun used anaphorically indicates given information: A man entered the room. He looked around for a vacant seat. The stress pattern of an utterance can indicate new and given information (in the following example capitals indicate stress):
PETE washed the dishes. (in answer to Who washed the dishes?)
Pete washed the DISHES. (in answer to What did Pete do?)
Givenness is a matter of degree. Sometimes the degree of givenness is so great that the given item(s) can be omitted altogether (ellipsis):
A: What did you get for Christmas?
B: A computer. (The full form would be I got a computer for Christmas.)
談話は旧情報の上に新情報を付け加えることで流れていく,という情報構造の基本事項を導入しました.
・ Cruse, Alan. A Glossary of Semantics and Pragmatics. Edinburgh: Edinburgh UP, 2006.
一昨日の hellog 記事「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) でもお伝えしましたが,目下 Voicy heldio によるオンライン読書会シリーズに力を入れているところです.ウェブ時代の新スタイルの読書会・勉強会として,とてもおもしろい試みになっているという実感があります.参加者は今のところ20名程度ですが,読んでいる本のサイズを考えると理屈上は向こう数年間にわたって続いていくシリーズ企画ということもあり,これからメンバーがゆっくりと少しずつでも増えていくと楽しそうだなと夢想しています.毎回200円の有料配信ですが,第1チャプターは試聴可能となっています.
最新回は,昨日アップされた上記の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (19) Hellenic」です.毎週1,2回,指定の英語史書をゆっくりと1節ずつ読み進めていくという企画で,7月に開始したばかりなので,昨日ようやく第19節にたどり着いたところです.英語史といえど,まだ英語の歴史に本格的に入る前の段階で,印欧語族を構成する各語派を概説しているところです.その1つがギリシア語派ということになります.
今回はテキストに沿ってあくまで印欧語族のなかのギリシア語派を紹介しているのですが,この語派(とりわけギリシア語そのもの)の英語史上の意義については,さほどお話ししていません.ギリシア語については本ブログで greek の記事群にて多く取り上げてきましたが,ギリシア語の英語史上のエッセンスを箇条書きすれば,次の4点となるでしょうか.
・ 古典ギリシア語は『新訳聖書』の言語である.
・ ギリシア語とギリシア文明は,現代まで続く西洋文明の基礎を形成する.そこから,英語自体が拠って立つのも究極的にはギリシア語とギリシア文明といってよい側面がある.
・ ギリシア語は,ラテン語に多大な影響を与え,ラテン語はフランス語に影響を与え,フランス語は英語に影響を与えてきた.ギリシア語が英語史上重要であるのはこのような事情による.
・ ギリシア語は古代・中世・近現代を通じて,上記の歴史的経緯により汎ヨーロッパ的な威信言語とみなされてきた.現代でもとりわけ学術の分野では,国際的な学名や学術用語は,しばしばギリシア語要素によって作られる (cf. 新古典主義的複合語 (neo-classical compounds)).現代の最たる国際語である英語も,その伝統と要素を多分に受け継いでいる.
ギリシア語に関連した Voicy heldio の配信回としては 「#137. 英語とギリシア語の関係って?」もお聴きください.
なお,今晩19:30~20:00の間に,こちらの Voicy heldio にてゲストを招いての生放送を配信する予定です.その内容は,テキストの次の節「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian」を題材とした初の「オンライン読書会生実況中継」(?)となる予定です.今回に関しましては,放送回の概要欄などにテキストも添付しますのでライヴあるいはアーカイヴにてお気軽にお聴きいただければ.
このように一風変わったオンライン読書回シリーズですが,関心のある方はぜひ覗いていただければ.精読しているテキストは,こちらの Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013. です.名著であることは保証します.
今年の7月17日に開始した Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でのシリーズ企画が,毎週1~2回のペースで順調に進んでいます.Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013. という著名な英語史の本を,原文で毎回1セクションずつゆっくり精読していくというオンライン読書会です.英語の文章の1文1文を精読していくわけではないのですが,表現や文法の気になる点を指摘して厳密に解釈したり,セクションの内容について英語史の観点から深掘りするなど,テキストを元にして縦横無尽に「英語史する」企画です.シリーズ開始時の記事「#5205. Baugh and Cable の英語史概説書を1節ずつ読み進めながら Voicy heldio で自由にコメントしていく試みを始めています」 ([2023-07-28-1]) をご参照ください.
おかげさまで,ゆっくりペースながらも第18節の "Armenian" までたどり着いています(こちらの最新回は昨日より配信されています.さらにこの回は比較的短いこともあり,特別にサンプル回として該当節のテキスト全文を概要欄に載せています).また,シリーズへの参加メンバーも夏の間にじわじわと増えてきており,毎回の配信のコメント欄を通じてメンバー間のやりとりも行なわれるようになってきています.各回は有料配信ですが,第1チャプターは常に試聴可能となっていますので,関心のある方は雰囲気をご確認いただければと思います(料金はウェブブラウザ経由で200円なのに対して,Voicy アプリ経由では320円と手数料により割高となりますので,ぜひ前者からどうぞ).
本ブログ hellog や Voicy heldio などを通じて英語史への関心が湧いた方や,しっかりと書かれた英語で英文解釈力を鍛えたい方にはお薦めのオンライン読書会シリーズとなっています.実際,よく書かれた英語で精読対象としてふさわしい英文ですので,この点は保証します(精読の練習には,対象が良い英文であることが絶対の条件です).
読書会なのでB&Cのテキストが手元にないと参加しにくいという事情はあるかと思います.ぜひ上記よりご購入くださるか,あるいは古書や図書館での入手も結構かと思います.これから入手される場合には,改訂が重ねられてきた本であることに注意し,最新版である第6版を手に取っていただければと思います.オンライン読書会では第6版をベースに読み進めています.ただし,先立つ第5版などしか入手できないという場合でも,内容把握には大きな問題はありませんし,私自身の手元にも第5版や第4版がありますので,必要に応じて異同を確認できます.オンライン読書会の長所を活かし,メンバー間でインタラクティヴに「精読交流」もできますし,各自ご都合のよいタイミングとペースで無理なく読み進められるのもメリットかと思います.参加メンバーからの要望を受け,今後はたまに生実況回やゲスト講師を招いての精読回などもやってみようかとも企画中です.
以下,過去18回のラインナップです.第1回(第1節)の "The History of the English Language as a Cultural Subject" については,第6版からのテキスト全文を本ブログの「#3641. 英語史のすゝめ (1) --- 英語史は教養的な学問領域」 ([2019-04-16-1]) に掲載していますので,テキストをお持ちでない方も,そちらを参照して追いかけることができます.
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (1) The History of the English Language as a Cultural Subject」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (2) Influences at Work on Language」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (3) Growth and Decay」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (4) The Importance of a Language」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (5) The Importance of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (6) The Future of the English Language: Demography」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (7) External and Internal Aspects of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (8) Cosmopolitan Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (9) Inflectional Simplicity」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (10) Natural Gender」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (11) Language Constantly Changing」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (12) Dialectal Differentiation」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (13) The Discovery of Sanskrit」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (14) Grimm's Law」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (15) The Indo-European Family」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (16) Indian」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (17) Iranian」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (18) Armenian」
(以下,後記)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (19) Hellenic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」
- 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (22) Balto-Slavic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (23) Germanic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 【英語史の輪 #52】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (25) Twentieth-century Discoveries」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans --- khelf 藤原くんとの実況中継 1/3」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #57】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 2/3」
- 「【英語史の輪 #58】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 3/3」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (27) The Languages in England before English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (28) The Romans in Britain」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (29) The Roman Conquest」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (30) Romanization of the Island」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (31) The Latin Language in Britain」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (33) The Anglo-Saxon Civilization」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (34) The Names "England" and "English"」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (35) The Origin and Position of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (36) The Periods in the History of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (37) The Dialects of Old English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (38) Old English Pronunciation」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (39) Old English Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (40) Old English Grammar」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (41) The Noun」
・ 「#983. B&Cの第42節「文法性」の対談精読実況生中継 with 金田拓さんと小河舜さん」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (43) The Adjective」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (44) The Definite Article」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (45) The Personal Pronoun」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (46) The Verb」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (47) The Language Illustrated」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (48) The Resourcefulness of the Old English Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (49) Self-explaining Compounds」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (50) Prefixes and Suffixes」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (51) Syntax and Style」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (52) Old English Literature」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #146】 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (52) Old English Literature --- 和田忍さんとの実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (53) Contact of English with Other Languages」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (54) The Celtic Influence」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (55) Celtic Place-Names and Other Loanwords」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (56) Three Latin Influences on Old English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (57) Chronological Criteria」(←この回は「英語史ライヴ2024」での対談精読実況生中継により特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (58) Continental Borrowing (Latin Influence of the Zero Period)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (59) Latin through Celtic Transmission (Latin Influence of the First Period)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60) Latin Influence of the Second Period: The Christianizing of Britain」
- 「#1270. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-1) Latin Influence of the Second Period --- 対談精読実況中継」
- 「#1274. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-2) Latin Influence of the Second Period --- Taku さん対談精読実況中継」
(後記ここまで)
以下,リスナーの方々からの反応をいくつか挙げてみます.
・ 堀田先生,最高の企画をありがとうございます.学部・院時代が恋しくなりました.週1ペースだと5年ぐらいか…と思うとこれからの5年間が楽しみになりました
・ 夢のような企画,待っていました! 始まったばかりだというのに,もう次が待ち遠しいです.
・ 英語史の素養のない自分についていけるかなと一瞬躊躇しましたが,英語史は教養であるとの言葉に背中を押されて,本の注文ボタンもポチっと押しました.ありがとうございます.
・ 堀田先生,素敵な企画をありがとうございます! 先生の Voicy は楽しく拝聴しておりましたが,自分で英語で英語史の本を読むとなると,はて,読めるだろうか,と不安に感じながらも本をポチりました.
・ はじめまして.Twitterで見つけまして,本が届きましたので,今日より本を読んでいきたいと思います.自分も続けられるか自信がないですが,ゆっくり,歩んでいきたいと思います.宜しくお願いします!
・ 1セクションずつですと,熟読できて良いペースだと思います!
・ インタラクティブに読む!おおいに共感!本をお金を払ってまで所有する動機の一つは書き込み.
・ 1節に3時間かけて読んでます.超精読,とてもありがたいです.有料が妥当だと思います.私自身,体調不良が続き,皆さんからだいぶ遅れてしまいましたが,コツコツついてゆこうと思います.
・ 途中で脱落しそうになりましたが,やはり自分1人の読みですと気付けないことが多々あるので,ついて行けるよう少しずつ追いかけます!
ぜひともに楽しく英語史を学び,英文解釈力をつけていきましょう!
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
このブログでもすでに何度か紹介している新刊書『World Englishes 入門』の第1章「イギリスとケルトの英語」を執筆された和田忍先生(駿河台大学)と,直接対談する機会を得ました.一昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて配信しました.「#869. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 和田忍さんとの対談」です(15分ほどの音声コンテンツ).ぜひお聴きいただければ.
本書は文字通り世界英語 (world_englishes) に関する本ですが,その礎となる第1章は,実は凝縮された英語史概説となっています.つまり,古英語期以前から近代英語までを要領よくカバーした,18ページほどの英語史入門として読めるということです.
世界英語入門を謳う本書を手に取る読者の多くは,英米以外の英語の諸変種,例えばインド英語,シンガポール英語,ジャマイカ英語などの状況についてとりわけ知りたいと思っているのではないでしょうか.そのような読者にとっては,伝統的かつ主流派に属する英語変種であるイギリス英語やアメリカ英語には,むしろあまり関心が湧かないということもあるかと思います.
しかし,なぜ世界英語がこのように多様なのかという本質的な謎を解くためには,英語がたどってきた歴史の理解が欠かせません.その礎として,英語史の概略的な知識がぜひとも必要になります.第1章は,そのような位置づけとして読めるのではないかと思います.
しかも,単なる「イギリスの英語」ではなく「イギリスとケルトの英語」と「ケルト」がタイトルに添えてあるのが,心憎い演出です.英語は主に近代以降にイギリスの植民地支配を通じて世界展開していきますが,すでにその千年以上前から,ケルト人が住まっていたブリテン諸島において植民地支配の練習のようなことが行なわれていたからです.第1章は近代以降の英語の世界展開のミニチュア版を示してくれている --- そのような読み方が可能です.また,英語が歴史的に言語接触の多かった言語であることもよく分かる章となっています.
以下,第1章のなかの小見出しとコラムを挙げておきます.
昨日の午後2時から5時まで,2023年度の青山英語史研究会がオンラインで開催されました.今年度の研究会は,通常の研究発表ではなく,日本中の英語史研究者・教員たちが集まって大学レベルでの英語史教育について情報交換し議論するというユニークな趣旨で開催されました.私も参加する機会をいただきましたが,新しい試みで,研究会の3時間のあいだ,おおいにインスピレーションを得ることができました.主宰者の寺澤盾先生(青山学院大学)には感謝申し上げます.
研究会は,寺澤先生の開会の挨拶の後,まず第1部として「教員による推し英語史教科書」の紹介がありました.推薦者は和田忍先生(駿河台大学)で,和田先生らしい味わいのある選書が披露されました.(こちらに直接掲載することはできませんが)今後参考にさせていただきたいと思います.
続いて第2部は「英語史の模擬授業」.矢冨弘先生(熊本学園大学)と田辺春美先生(成蹊大学)による各30分間の模擬授業とその解説でした.それぞれ題目は「社会との繋がりに重きを置いた英語史授業」と「原典の精読に重きを置いた英語史授業」です.自分以外の英語史教員による英語史の授業を「受講」する機会はほとんどないので,自身の英語史教育の見方や方法を顧みるきっかけとなりました.
第3部は,第1部と第2部の登壇者,および寺澤先生も含めてのディスカッションです.僭越ながら私がその司会を務める役目になっておりました.30名ほどの参加者から質問やコメントを募りつつ,1時間ほど,よりよい英語史教育のために議論し,意見交換しました.
全体として気づきの多い研究会でした.備忘のために思いついた点を箇条書きにしておきます.
・ 英語史の通史記述において各教員の専門とする時代の扱いがことさらに厚くなるきらいはあるものの,それはそれで研究者としての情熱が発露する箇所でもあり,一概に悪いこととはいえない.ただし,もちろんバランスの偏りすぎには注意する必要がある.
・ 英語史に関連するすべての分野をカバーできることが理想だが,各大学のカリキュラムに応じて,関連授業との兼ね合いにより適宜「守備範囲」を設定することが大事である.
・ 英語史の授業でも,動画を用いるなど演習的,アクティヴラーニング的な運営方法はもっと開発されてしかるべきである.
・ 通史記述と原典講読のバランスが難しいが,やはり一方だけだと単調になってしまうので常に工夫が必要である.
・ 上記のような課題をスマートに解決するために,英語史教員の間で授業アイディアについて共有の機会や場所が準備されるとよいのではないか.
多くの英語史教員が似たような悩みや懸念を抱いているということが確認できただけでも,今回の研究会の意義があったように思います.ありがとうございました.
先日の記事「#5268. 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 ([2023-09-29-1]) で紹介したこちらの本,一般発売が開始となったようです.
これまで本ブログでもWorld Englishes (世界英語')については多く取り上げてきました (cf. (world_englishes)) .21世紀に入ってから英語学・英語史でも驚くほど注目されるようになった今をときめく話題です.この15年ほどを振り返ってみても,英語学・英語史を専攻する大学生の研究テーマとして大人気のトピックといってよいでしょう.この World Englishes の人気の高まりには,間違いなく社会的な背景があると考えています.この問題についていろいろな機会に書いたり話したりしてきましたが,今後も注目していく予定です.
そんな折りに,この『World Englishes 入門』が出版されました.これから,本書を参照しつつ本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,関連する話題を取り上げていくつもりですので,ぜひ伴走していただければ.
大石晴美・梅谷博之氏による「序章 World Englishes---世界諸英語」では,世界の言語や英語に関する最新の事実や統計が示されています.いくつか引用します.
・ 現在,世界には196か国が存在し,7000以上の言語が使われている.(p. 6)
・ 2022年11月,世界の総人口は80億人を超えた(世界人口推計 2022).そのうち英語を使用する人口(母語,第二言語,外国語としての英語使用者)は約14億5000万人,そのうち母語話者が約3億7000万,第二言語,外国語としての使用者は約10億8000万人である (Ethnologue 2022) .このことから非母語話者の数が母語話者の数をはるかに上回っていることがわかる.(p. 9--10)
・ 世界で,英語を公用語もしくは準公用語と定めている国は54か国である.4か国のうち1か国が英語を公用語や準公用語にしていることになる.(p. 10)
・ 世界のインターネット総人口は,約41億6000万人(全人口の69%)である (Internet World Stats 2023) .そのうち,26%が英語仕様人口であり,インターネット普及率が英語の広がりにつながっている.(p. 10)
・ 世界で上映されている映画のうち英語が用いられているのは8割以上である. (p. 10)
本書はコラムも充実しています.例えば,序章のなかの2つめのコラムにおいて「世界の英語を映画で学ぶ研究会」(京都府立大学)が紹介されています.すべての映画が観たくなってしまい,たいへん困っています.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で「#852. 5000フォロワー突破記念 --- 実はこの回路が知られていない!英語の素朴な疑問といえば英語史なんです!を配信しました.
メインタイトルに掲げた通り,先週中,同チャンネルのフォロワー数が5000人に到達しました.リスナーの皆さん,日々ご愛聴とご支援をいただきましてありがとうございます.英語の語源話を入り口として「英語史」というマイナーな領域に関心を寄せていただき感謝いたします.リスナーさんのなかには,積極的に英語史活動(hel活)にご協力してくださる方も少なからずいらっしゃり,大きな力を感じています.
5000フォロワー突破の機会に,リスナーの皆さんがどのようなきっかけで heldio を聴き始めたか(そして聞き続けているか)かをうかがっています.上記配信回のコメント欄を通じて,あるいは匿名回答をご希望の方はこちらの Google Forms より,聴き始めたきっかけをお知らせいただけますと幸いです.今後の heldio でのhel活のために参考にしたいと思います.
heldio を,この2年4ヶ月のあいだ毎朝6時に配信してきました.また,4ヶ月ほど前にプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」も開始しました.こちらは毎週火・金の午後6時に配信している有料チャンネルで,すでに40人超のリスナーの方々に参加いただいています.helwa 内部では,限定生放送,企画の提案,オフ会などを通じた活発なhel活が繰り広げられています.
さて,音声メディアでの発信活動は,一般にゆっくりとしか成長しないといわれています.テキストや動画のSNSに比べて音声メディア市場がそもそも小さいこと,たとえ10分の配信だとしても離脱率が高いこと,「バズる」ことが滅多にないことなどが背景にあります.
一方,音声メディアは耳だけあればよく目を奪わないこと,「ながら聴き」も可能で寝ている時間以外はすべて可処分時間であること,発信者にとっても発信(継続)に関わる負担が比較的少ないことなどのメリットがあります.
Voicy パーソナリティには,Voicy 社からリスナーさんの視聴行動に関する分析ツールが提供されています.そのアナリティクスを参考に,heldio の近況を10月1日付けの数字でお伝えします.
・ 総放送数(有料放送を含む):943回
・ 週平均放送:11回
・ 累計リスナー:24万8千人
・ 総再生時間:5万時間超
・ 総コメント数:6500件超
・ リスナーの職業別ボリュームゾーン:会社員が46%
・ リスナーの世代別ボリュームゾーン:30--50代が73%
・ リスナーの性別統計:男性51%,女性37%,その他12%
・ 最もよく聴かれている曜日:火,水,木曜日
・ 最もよく聴かれている時間帯:午前6--8時台
・ 最も人気のある放送10選:Voicy の定義(ユニークリスナーに基づく)による「人気の放送」によれば以下の通り:
1. 「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」
2. 「#2. flower (花)と flour (小麦粉)は同語源!」
3. 「#3. 「塵も積もれば山となる」に対応する英語の諺」
4. 「#408. 自己紹介:英語史研究者の堀田隆一です」
5. 「#4. harassment のアクセントはどこに置けばいいの?」
6. 「#6. なぜ月曜日 Monday はムーンデイではなくマンデイなの?」
7. 「#7. なぜ one と書いてオネではなくてワンなの?」
8. 「#5. meat のかつての意味は[[「食物」一般だった!」
9. 「#705. ゆる言語学ラジオにお招きいただき初めて出演することに!」
10 「#88. なぜ否定語が文頭に来ると VS 語順になるの?」
以上です.Voicy heldio,これからもよろしくお願いします!
待望の世界英語 (World Englishes) に関する最新の入門書が,来週半ばに出版されます(税込定価2,640円;Amazon で予約受付中).私自身,とりわけここ数年間,英語史の観点から世界英語の現象に関心を寄せ,いろいろと考えたり執筆・講演などをしてきました.手に取りやすく読みやすい本書の出版は,この現代的な問題のおもしろさが広く一般に知られる好機となると期待しています.関係者よりご献本いただきまして,目下楽しく拝読しています(ありがとうございました!).
本書は,2012年に昭和堂より出版された『World Englishes---世界の英語への招待』(田中春美・田中幸子(編))の続編に当たる本です.前著から,執筆メンバー,文献,データなどにおいて大きく刷新が加えられています.考察対象とされる世界英語変種も幅広さを増し,知りたくても知り得なかった,盲点というべきアジア地域の英語変種 --- 例えば中東地域,韓国,中華世界,モンゴル,ミャンマー --- なども取り上げられています.
以下,目次と各章の執筆者を掲載します.
序章 World Englishes --- 世界諸英語(大石 晴美・梅谷 博之)
第I部 母語としての英語
第1章 イギリスとケルトの英語(和田 忍)
第2章 アメリカとカナダの英語(今村 洋美)
第3章 オーストラリアとニュージーランドの英語(岡戸 浩子)
第II部 公用語・第二言語としての英語
第4章 インドの英語(榎木薗 鉄也・加藤 拓由)
第5章 東南アジアの英語(大石 晴美)
第6章 アフリカの英語(山本 忠行)
第7章 カリブ海の英語(山口 美知代)
第III部 国際語・外国語としての英語
第8章 ヨーロッパと中東の英語(高橋 真理子)
第9章 日本の英語(今村 洋美)
第10章 韓国の英語(小林 めぐみ)
第11章 中華世界の英語(山口 美知代)
第12章 モンゴルの英語(梅谷 博之)
第13章 ミャンマーの英語(大石 晴美)
終章 World Englishes の未来(大石 晴美)
発音について(梅谷 博之)
これまでも繰り返し述べてきましたが,世界英語はすぐれて現代的なトピックのように見えますし,実際にそうなのですが,実のところ英語史との親和性が非常に強い領域です.むしろ歴史的次元を抜きにして世界英語を論じることはできないだろうと私は考えています.英語史の国際学会でも世界英語に関する研究発表部屋が特別に用意されることは珍しくなくなってきていますし,世界英語に関するハンドブックの章なども英語史研究者が執筆していることが多いです.さらにいえば,本書の序章と第1章は,合わせて事実上の英語史概説となっていると言ってよいでしょう(第1章の著者は英語史を研究している和田忍先生(駿河台大学)です).
これから熟読した上で,今後も本書から話題を取り上げつつ,本ブログ記事を執筆したり,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で紹介していきたいと思っています.ご著者の先生方で,もし heldio 対談などをお受けくださるようであれば,ぜひよろしくお願いいたします!
本ブログの世界英語に関する記事群へは world_englishes よりご訪問ください.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
「#5259. khelf のゼミ合宿中です」 ([2023-09-20-1]) で触れたとおり,先週の9月21日(火)から23日(木)にかけて,khelf 所属の現役の学部生と大学院生とともに,泊まり込みゼミ合宿を実施しました.
初日と2日目は主に「ポスターなしポスターセッション」にて互いの個人研究の経過報告を聴き,質問や助言を交わし合うという形で進めました.そして,最終日3日目の朝には,3--4人1組でグループを組み,10分ほどの英語史・英語学に関する音声コンテンツを準備し,私の立ち会いのもと Voicy heldio の収録をするという課題を課しました.heldio 出演ではすでにベテランの院生もいればまったく初めての学部生もいるということで,すべてがスムーズに運んだわけではありませんが,それぞれのグループが工夫を重ね,独自の音声コンテンツができあがりました.
「ゼミ合宿収録シリーズ」開始ののろしとなる一昨日の院生たちによるコンテンツ「#845. ゼミ合宿最終日の朝,大学院生4人と雑談」配信に引き続き,今朝も「#847. ゼミ合宿収録シリーズ (1) --- khelf 会長の青木くんと学部生3名による emoji と CMC」を配信しました.
今朝の回では,多くの現代人が関心を寄せる絵文字 (emoji) と CMC (computer-mediated communication) が話題となっています.khelf 会長の青木輝さん主導による,学部生学生たちとの対談回となっています.hellog と heldio の関連回として以下を挙げておきます.
・ hellog 「#808. smileys or emoticons」 ([2011-07-14-1])
・ hellog 「#1664. CMC (computer-mediated communication)」 ([2013-11-16-1])
・ heldio 「#816. ネット時代の言葉遣い --- CMC (生放送のアーカイヴ)」
絵文字と CMC の話題は,10月に khelf より発行される予定の『英語史新聞』第7号のなかでも取り上げられる予定です.関連して khelf 公式のX(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio も,ぜひフォローしていただければと思います.
昨日9月19日(火)から2泊3日で khelf(慶應英語史フォーラム)のゼミ合宿を実施しています.コロナ禍でしばらく中断しており,4年振りの泊まり込み合宿となりました.解放感がありますね.
学部生・院生の合同合宿で,オフィシャルセッションでは各自の個人研究について進捗状況を報告しつつ,これまでの研究成果を披露してもらっています.発表形式は通常のプレゼンではなく,コロナ下でゼミとして新規に開発してきた「ポスターなしポスターセッション」です.いわゆるアクティヴラーニングの一形態で,そのかしこまらないスタイルは学術発表界における「立食パーティ」と称してもよい代物です.昨日の初日は主に院生と学部4年生が,2日目となる本日は主に学部3年生が,夏休みの研究成果をそれぞれ発表しています.
日中はみっちり皆で研究発表を通じて英語史を勉強しますが,アフター5はお楽しみです.グラスを片手に学部生・院生・教員が交わり,英語史のことやそれ以外のことを自由に語らっています.やおら Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送収録をスタートさせる可能性もありますので,その際には,ぜひ khelf ゼミ合宿の愉快な様子をお聴きください.
実際,昨晩はプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) で「【英語史の輪 #32】ゼミ合宿でのお悩み相談」のライヴ放送をお届けしました.
関連して khelf 公式のX(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio も,ぜひフォローをお願いします.
ここ数日間で,知識共有サービス Mond に寄せられてきた言語系の質問に5件ほど回答しました.こちらでもリンクを共有します.
(1) 敬語の表現が少ない英語の話者には,日本人よりも敬意を示す機会が少ないのでしょうか?
(2) 歴史的に見て「言語の変化=簡略化」なのでしょうか?
(3) ブログ,ラジオ,YouTubeなど,様々なメディアを通じて英語の歴史や語源に関する情報を発信していらっしゃいますが,これらのメディアごとにアプローチやコンセプトを変えて情報を提供していますか?
(4) なぜ人々は(もちろん個人差はあれど)イギリスやフランスなどのアクセントを“魅力的”とし,アジアやインドのアクセントを“魅力がない”とするのでしょうか?
(5) 言語の変化は,どの程度の速度で起こりますか? 例えば,新しい言葉や表現は,どのくらいの頻度で生まれるものなのでしょうか?
Mond に寄せられる言語系の質問は多様ですが,日本語と諸外国語との比較というジャンルの質問が目立ちます.今回も (1) や (4) がそのジャンルに属するかと思います.母語は万人にとって特別な存在であり,あまりに思い入れが強いために,他の言語と比べてきわめて特異な性質をもっているものと錯覚してしまうことがしばしば起こります.とりわけ語学を通じて理解の深まった他言語と比較するときに,母語の際立った言語特徴が目に付くことが多く,母語の特別視に拍車がかかります.
長年言語学に触れてきた経験から感じることは,母語の特別視は往々にして行き過ぎる傾向があるということです.確かに各々の言語には固有の特徴があるもので,その点では日本語も例外ではないのですが,日本語のみに観察される言語特徴というのは,さほど多くあるわけではなく,広く古今東西の諸言語を見渡せば類例はおおよそ見つかるものです.言語の素朴な疑問に関する直感は,当たることもありますが,割と外れることも多いのです.
今回の5件の質問のうちの3つ,(1), (2), (4) は,振り返ってみれば,言語にまつわる神話 (language_myth) に関わる質問だったように思います.言語学的な考察を通じて,言語の化けの皮を一枚一枚剥いでいくのが,何ともエキサイティングですね.
本ブログの読者の皆さんを含めまして,日頃多くの方々より「英語史活動」 (hel活)への応援をいただいています.今回はとりわけ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」(毎朝6時に配信)でのhel活を後押ししていただいている方々への感謝の意味を込め,リンク集を作成しました.heldio の紹介にとどまらず,配信回と連動した記事も公開されていますので,ぜひ訪問していただければ.
・ リスナー kitako さんによる日々の配信回のインスタストーリーでの紹介:毎日ご紹介ありがとうございます
・ リスナー umisio さんによる note での批評記事:ユーモアを含めた鋭いコメント,いつもありがとうございます
・ リスナーしゅがさんによる埼玉慶友会メルマガのバックナンバー "helmaga":目下3号まで公開されています
・ リスナー Kyu3 さんのブログ:heldio をお薦め番組としてご紹介いただいています
・ リスナー Karl さんのブログ:heldio を「英語の素朴な疑問」を大切にする番組としてご紹介いただいています
・ 菊地翔太先生(専修大学)の HP:heldio にもたびたび出演していただきお世話になっています
・ 最大の heldio 支援組織 khelf (慶應英語史フォーラム):内輪ですみません
上記はウェブ上で私が気づいた範囲内でのリンク紹介にとどまり,まったく網羅的ではないだろうと理解しています.ほかにも一般リスナーの皆さん,プレミアムリスナー限定配信チャンネルをお聴きのコアリスナーの皆さん,対談回などへの歴代出演者の皆さん,SNS上でコメントを盛り上げてくださっている皆さんにも感謝いたします.
heldio 関連でお気づきのリンク先を見つけましたら,ぜひ Voicy のコメント欄などを通じて,随時お知らせいただければ幸いです.
最後に,私の X(旧ツイッター)上のアカウント @chariderryu にて「heldio コミュニティ by 堀田隆一」というコミュニティを展開し始めている旨,お知らせします.承認制のコミュニティですが,基本的にはメンバーリクエストをいただければお入りいただけますので,ぜひご参加ください.コミュニティの趣旨は以下の通りです.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.
毎朝6時に音声配信している Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて「ゼロから学ぶはじめての古英語」シリーズが始まっています(不定期で無料の配信です).第3回まで配信してきましたが,嬉しいことにリスナーの皆さんにはご好評いただいています.各配信回の概要欄やチャプターに紐付けられたリンク先に,題材となっている古英語のテキストなども掲載していますので,そちらを参照しながら聴いていただければと思います.これまでの3回では,アルフレッド大王,古英語の格言,叙事詩『ベオウルフ』に関係する文章が取り上げられています.本当に「初めての方」に向けての講座となっていますので,お気軽にどうぞ.
ナビゲーターは英語史や古英語を専攻する次の3人です.小河舜さん(フェリス女学院大学ほか),khelf(慶應英語史フォーラム)元会長の「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),および堀田隆一です.3人で楽しそうに話しているのが魅力,との評価もいただいています.
毎回,厳選された古英語の短文を取り上げ,文字通り「ゼロから」解説しています.日本語による解説つきで気軽に始められる「古英語講座」なるものは,おそらくこれまでどの媒体においても皆無だったのではないでしょうか(唯一の例外は,まさにゃんによる「毎日古英語」かもしれません).このたびのシリーズは,その意味では本邦初といってよい試みとなります.ナビゲーター3人も,肩の力を抜いておしゃべりしていますので,それに見合った気軽さで聴いていただければと思います.
本シリーズのサポートページとして,まさにゃんによる note 記事「ゼロから学ぶはじめての古英語(#1~#3)」が公開されています.また,X(旧ツイッター)上の「heldio コミュニティ by 堀田隆一」にて関連情報も発信しています.このコミュニティは承認制ですが,基本的にはメンバーリクエストをいただければお入りいただけますので,ぜひご参加ください.
シリーズの第4弾もお楽しみに!
昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の配信で,待望の(?)の古英語入門講座がスタートしました.「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」です(上記の左側のパネル).シリーズ初回のメインパーソナリティは小河舜さん(フェリス女学院大学ほか),そして進行補佐が「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)と私,堀田隆一です.
初回ということで,古英語の短い1文のみを素材として導入しています.9世紀に文武両道で活躍したウェセックスのアルフレッド大王 (King Alfred) による言葉です.大英図書館のサイトの King Alfred's Translation of the Pastoral Care より,写本画像が閲覧できます.
Þeos boc sceal to Wiogora ceastre
今回取り上げるのはこの短い文のみですが,実はここに古英語とアングロサクソン文化の様々な側面が凝縮されているのです.小河さんが,それを解凍し,やさしく解説しくれています.また,まさにゃんもこちらの note 記事にて補足を加えてくれています.
私自身も,今朝の Voicy 配信で補足のお話しをお届けしています.「#823. 昨日の「ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1」の補足と関連過去回」をお聴き下さい(上記の右側のパネル).今朝の配信では関連する過去回に多く言及しましたが,Voicy から直接飛ぶには不便かと思いますので,以下にリンクを張っておきます.この週末などのお時間のあるときに,今回の例文 "Þeos boc sceal to Wiogora ceastre" と関連付けて,古英語とアングロサクソンの世界に浸っていただければと思います.
シリーズ第2回も近日公開予定ですので,お楽しみに! 初回へのご感想やご意見も Voicy のコメントよりお寄せいただけますと幸いです.
[ 指示代名詞 this をめぐる謎 ]
・ 「#233. this, that, the などの th は何を意味するの?」
・ 「#274. 不定指示形容詞の this」
・ 「#432. なぜ短縮形 that's はあるのに *this's はないの?」
・ 「#493. 指示詞 this, that, these, those の語源」
[ 名詞 book の深すぎる歴史 ]
・ 「#661. book と beech --- 本とブナの関係は?」
・ 「#662. 印欧祖語の故郷をめぐるブナ問題」
[ 衰退気味の shall の諸相 ]
・ 「#218. shall と will の使い分け規則はいつからあるの?」
・ 「#530. 日本ハム新球場問題の背後にある英語版公認野球規則の shall の用法について」
[ 前置詞の to もあるけれど不定詞マーカーの to にも注目を ]
・ 「#645. to 以外の不定詞マーカー」
・ 「#688. なぜ不定詞には to 不定詞 と原形不定詞の2種類があるの?」
[ イングランド地名についてアレコレ ]
・ 「#306. 市川誠先生との対談 長万部はイングランドか!?」
・ 「#349. 市川誠先生との対談 「ウスター」と「カステラ」,「レスター」と「リア王」」
・ 「#819. 古英語地名入門 with 小河舜さん」
[ 古英語一般の理解のために ]
・ 「#148. 古英語期ってどんな時代?」
・ 「#149. 対談 [[「毎日古英語」のまさにゃんと,古英語ってどんな言語?」
・ 「#326. どうして古英語の発音がわかるのですか?」
・ 「#628. 古英語の単語はどれくらい現代英語に受け継がれているの?」
・ 「#778. 古英語の文字 --- 7月29日(土)の朝カルのシリーズ講座第2回に向けて」
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