フレッシュな書籍,田地野彰(編著)『小学生から知っておきたい英語の?ハテナ』(Jリサーチ出版,2024年)が出版されています.共著者の一人である高橋佑宜氏(神戸市外国語大学)よりご恵投いただきました(ありがとうございます!).
本書では,7名の著者が小学生に向けて分かりやすい言葉で英語に関する素朴な疑問に答えています.絵本といってもよいイラストの数々に彩られ,大人でも楽しめる異色の本です.本編を構成する7章の見出しを掲げます.
赤字で示した第2章の執筆者が,「ゆうき先生」こと,英語史を専門とする高橋佑宜氏です.次の5つのハテナが取り上げられています.
・ 英語はいつ,どこから来たの?
・ 英語って昔から変わらないの?
・ 英語はいつから世界中に広まったの?
・ どうして英語は世界中で使われているの?
・ アメリカ英語とイギリス英語は違うの?
この第2章は「ゆうき先生からの応援メッセージ」で締められています.この応援メッセージが実に熱いのです.ぜひ皆さんにも手に取っていただきたいと思います.
私自身「英語史をお茶の間に」をモットーにhel活 (helkatsu) を展開していますが,その観点から本書の出版企画と作りには興奮しました.まさか英語史を(中学生にであればまだしも)小学生にまで届けるとは! まずこの発想にたまげました.しかも,大人にも味わえるイラスト本として作り込まれている点にも感激しました.
取り上げられているハテナは35個と決して多いわけではありませんが,むしろ小学生のために厳選されたハテナリストとして解釈できます.このような本質的な疑問に,専門家たちがどのように端的に答えるのか,もし自分が回答者だったらどのように答えるか.このように考えながら読みなおしてみると,すべてのハテナが難問に思えてきました.なるほど,このような形で英語史(そして英語学習)について子供たちに導入できるのかと一本取られた感があります.新しいです.
高橋佑宜氏については,hellog でも「#4527. 英語の語順の歴史が概観できる論考を紹介」 ([2021-09-18-1]) および「#5059. heldio 初の「英語史クイズ」」 ([2023-03-04-1]) で言及しています.ぜひ今後もhel活でご一緒していければ!
・ 田地野 彰(編著),加藤 由崇・川原 功司・笹尾 洋介・高橋 佑宜・ハンフリー 恵子・山田 浩(著),りゃんよ(イラスト) 『小学生から知っておきたい英語の?ハテナ』 Jリサーチ出版,2024年.
本日,新年度の幕開きです.2024年度も「英語史をお茶の間に」広げていく活動,hel活 (helkatsu) を積極的に展開していきたいと思います.hellog を読まれている皆さんにおかれましては,hel活にご協力いただけますと幸いです.年度の切り替わりの機会に,note 上の「堀田隆一のプロフィール(2024年4月1日現在)」も更新しました.ご覧ください.
この4月には様々なhel活企画を展開していきますが,そのうちの1つをご紹介します.4週間ほど後,4月27日(土)の 17:30--19:00 に,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」がスタートします.全12回のシリーズとして月1回,指定の土曜日に開講していく予定です.
シリーズの趣旨は以下の通りです.
英語は歴史上さまざまな言語と接触し,豊かな語彙を蓄えてきました.英単語の語源を探ると,そこには常に新たな発見があります.その宝庫といえるのが,数多く存在する英語の語源辞典です.本講座では,英語語源辞典の記述を頼りに具体的な単語の語源を読み解きながら,丁寧に英語史をたどっていきます.資料は毎回配布します.
全12回のタイトル(第4回以降は予定タイトル)は以下の通りです.
1. 英語語源辞典を楽しむ(2024年4月27日)
2. 英語語彙の歴史を概観する(2024年5月18日)
3. 英単語と「グリムの法則」(2024年6月8日)
4. 現代の英語に残る古英語の痕跡(日付未定)
5. 英語,ラテン語と出会う(日付未定)
6. 英語,ヴァイキングの言語と交わる(日付未定)
7. 英語,フランス語に侵される(日付未定)
8. 英語,オランダ語と交流する(日付未定)
9. 英語,ラテン・ギリシア語に憧れる(日付未定)
10. 英語,世界の諸言語と接触する(日付未定)
11. 英語史からみる現代の新語(日付未定)
12. 勘違いから生まれた英単語(日付未定)
4月27日(土)の第1回は「英語語源辞典を楽しむ」と題して,シリーズ全体のイントロとなる話しをします.とりわけ英語語源辞典の読み解き方に注目します.余裕のある方はぜひ『英語語源辞典』(研究社,1997年)(= KDEE) を入手し,それを手元に置きつつ受講していただければ.
受講の仕方は,従来通り新宿教室での対面でも可能ですし,Vimeo を利用したオンライン・リアルタイムも可能です.また,1週間限定の見逃し配信サービスも提供されています.ご都合のよい方法でご参加いただければと思います.
英語の語源を調べるための資料としては KDEE をはじめとして様々な(語源)辞典がありますので,そちらも紹介していく予定です.KDEE を基本に据えつつ,注目した単語(語彙)の語源をじっくり読み解くことによって英語(語彙)史の流れをたどるのが本シリーズの狙いです.特に KDEE は私が強力に推してきた参考資料でもあり,本ブログでも「#5436. 私の『英語語源辞典』推し活履歴 --- 2024年3月15日版」 ([2024-03-15-1]) などの記事でたびたび取り上げてきました.そちらから関連コンテンツもご参照ください
新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」へ,多くの皆様の参加をお待ちしています!
(以下,後記:2024/04/24(Wed))
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
去る3月25日(月)13:30より予定通り Voicy heldio にて「「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん」をお届けしました.平日のお昼過ぎという時間帯ではありましたが,ライヴで参加し,盛り上げていただいたリスナーの皆さんに感謝いたします.生放送を収録したものを,翌朝の通常回にて「#1030. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む」として配信しました.精読の対象となった古英語テキストは,「#5444. 古英語の原文を読む --- 597年,イングランドでキリスト教の布教が始まる」 ([2024-03-23-1]) に掲載しています.本編53分の長尺配信ですが,聴き応えのある回となっていますので,お時間のあるときにでもどうぞ.
「シリーズ復活」と述べましたが,過去に3回ほどお届けしてきました.いずれも昨年の8月から9月にかけての配信です.
・ 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」
今回も含め本シリーズに出演していただいている2人と,その heldio 出演歴については,以下の記事をご覧ください.
・ 「#5445. 小河舜さんとのhel活(まとめ)」 ([2024-03-24-1])
・ 「#5446. まさにゃんとのhel活(まとめ)」 ([2024-03-25-1])
今回の配信回の復習には,まさにゃんが自身の note のなかで公開している「ゼロから学ぶ はじめての古英語(#4 生放送)」もご覧ください.
ちなみに生放送の日の朝6時の heldio では「#1029. 尊師ベーダ --- The Venerable Bede」と題して,古英語テキストの究極のソースを表わしたアングロサクソンの大学者を紹介しています.
さらに生放送の日の夜には,プレミアム限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) のほうで「【英語史の輪 #111】「はじめての古英語」生放送の反省会&アフタートーク」もお届けしています.
最後に,昨日付でコアリスナーの umisio さんが,今回の配信回のまとめノートを作り,それをこちらのページにて公開されています.
本シリーズをさらに続けていけますよう,皆さん,応援をよろしくお願い致します!
*
「日本で唯一のフランス語・フランス文化専門の総合月刊誌」という謳い文句で白水社より刊行されている『ふらんす』.先日発行された『ふらんす』2024年4月号(新年度開始号)より,12ヶ月にわたり「英語史で眺めるフランス語」というシリーズタイトルで2ページの連載記事をお届けします.
初回となる今回は「英語にはフランス語風味がたくさん」と題して,次のような小見出しで構成しています.
・ なぜ英語の歴史?
・ 1066年の衝撃
・ 英語語彙のなかのフランス語単語
・ 語彙以外へのフランス語の影響
『ふらんす』の誌上で英語(史)とは何事か,とみる向きもあるかと思います.そもそも白水社の編集者の方より連載執筆のお声がけをいただいた際の私自身の感想が「なぜ?」でした.私は,本ブログでもその他の媒体でも英語とフランス語の密接な関わりについて,主に英語史の観点から様々に発信してきました.試しに本ブログの french タグをクリックしてみると,実に313の記事がヒットします.それくらい英仏語の歴史的関係を強調してきたわけですが,まさかフランス語(文化)を専門とする雑誌に英語史に関する文章を載せられる日が来るとは思いも寄りませんでした.お話しをいただいたときには,上記のようにやや狼狽しつつも「チャンス!」と叫びつつ,謹んでお引き受けした次第です.
ご関心のある方々には,ぜひ1年間お付き合いいただければと存じます.初回はとりわけ最初の小見出し「なぜ英語の歴史?」にご注目ください.
この連載を機に,私自身もフランス語とフランス語史をもっと勉強しなければと気を引き締めています.フランス語史といえば,「三省堂のことばのコラム」より「歴史で謎解き!フランス語文法(フランス語教育 歴史文法派)」がお薦めです.現時点で第46回まで続いている長寿シリーズです.そちらにも英語(史)とフランス語(史)の関係に注目したコラムがいくつかあります.例えば,第18回「なぜ英語とフランス語は似ているの?」は,今回の『ふらんす』に掲載した記事と見事にシンクロします(cf. 「#4175. 「なぜ英語とフランス語は似ているの?」の記事紹介」 ([2020-10-01-1])).
1年間続く連載「英語史で眺めるフランス語」では,英語史とフランス語はとにかく相性がよいということを力説し続けようと思っています.「英語(史)とフランス語はペアでとらえるのが吉」,このことを訴えていきます.
年度替わりの時期で,新年度からフランス語学習に挑戦しようという方も少なくないかと思います.そのような方には,上記連載のみならず,私の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より以下の3本をお薦めしておきましょう.ぜひこちらもお聴きいただければ.
・ 「#26. 英語語彙の1/3はフランス語!」
・ 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」
・ 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」
(以下,後記:2024/04/02(Tue))
4月1日に heldio で「#1036. 月刊『ふらんす』で英語史の連載を始めています」を配信しました.
・ 堀田 隆一 「英語史で眺めるフランス語 第1回 英語にはフランス語風味がたくさん」『ふらんす』2024年4月号,白水社,2024年3月23日.62--63頁.
年度末です.新年度のhel活に向けて動き出す時期となりました.毎年度初めには,khelf(慶應英語史フォーラム)では,メンバーより英語史の話題を提供してもらい,それを日々 HP 上に公開していく「英語史コンテンツ50」の企画を実施しています.この4月から始まるラウンドで4年目4回目となります.本ブログでもご案内していくことになると思いますが,開始に先立ちまして,ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします.
さて,このタイミングで1年前の「英語史コンテンツ50 (2023)」で公開された50のコンテンツについて,最もよく閲覧されたベスト10のランキングを作ってみました.より抜きの10本となります.やめられないおもしろさです.ぜひ英語史の魅力をご堪能ください.
なお,2021年度と2022年度のランキングも,それぞれ「#4726. 昨年度のコンテンツ企画のベスト10」 ([2022-04-05-1]),「#5102. 2022年度の英語史コンテンツのベスト10 --- 昨年度の振り返り」 ([2023-04-16-1]) でまとめていますので,そちらも訪れていただければ.
【 2023年度の英語史コンテンツ企画のベスト10 】
・ 第1位(閲覧616回) 「#35. 強調構文の英語史 "It ARE John and Anne that are married." はアリ!?」
・ 第2位(閲覧603回) 「#44. ハリー・ポッターと英語の方言」
・ 第3位(閲覧436回) 「#40. 「play the piano の the を忘れるなよ!」の真偽」
・ 第4位(閲覧408回) 「#9. なぜ be going to は未来を意味するの」
・ 第5位(閲覧302回) 「#6. b と d は紛らわしい!」
・ 第6位(閲覧281回) 「#7. consumption の p はどこから?」
・ 第7位(閲覧276回) 「#1. 『平家物語』と英語史」
・ 第8位(閲覧267回) 「#42. 四体液説の遺産?英単語に残る伝統医学の教え?」
・ 第9位(閲覧250回) 「#4. 「時代区分」を考える」
・ 第10位(閲覧241回) 「#30. That'll be fun. ←この fun の品詞は...?」
本日3月25日(月)の午後1時30分より Voicy heldio の生放送にて「「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん」を配信します.久しぶりの「はじめての古英語」シリーズです.小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)および「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)とともに3人でお届けします.精読する予定の古英語原文は,一昨日の記事「#5444. 古英語の原文を読む --- 597年,イングランドでキリスト教の布教が始まる」 ([2024-03-23-1]) をご覧ください.
本日の生放送に出演予定のまさにゃんは,khelf(慶應英語史フォーラム)の元会長(現顧問)です.各種のメディアにて「英語史をお茶の間に」のhel活を実践してきた方です.以下,まさにゃんのhel活コンテンツをメディアごとに時間順にまとめます.
【 まさにゃん自身のメディア 】
・ YouTube チャンネル「毎日古英語」に10回分の古英語入門動画が公開されています
・ X(旧 Twitter)のアカウントも「毎日古英語」 @mainichikoeigo です
・ note 記事「まさにゃん」にフリジア語や古英語のコンテンツが公開されています
【 YouTube 「いのほた言語学チャンネル」 】
・ 「#76. まさにゃん,登場!何の記念でもない飲み会です.」
・ 「#78. なんでもない飲み会2です.おもしろい自信はありません.」
・ 「#84. 新しい時代のオーディエンス・デザイン論・歴史言語学にも導入!---水曜言語学雑談飲み会」
・ 「#86. 論文を書くことw・英語で書くこと:QuillBot.comのすごさ---もうネイティブチェックはいらない?」
・ 「#88. ブログ(hellog?英語史ブログ)を13年一日も欠かさず書き続けた堀田隆一の苦闘!」
・ 「#90. Oxford Word of the Year 2022はこのことば!/北澤茉奈さんの船上の社会言語学的体験!」
・ 「#92. 「釣りキチ三平」はアウト?セーフ?」
・ 「#104. 借用語の借りてきた時期のずれがおもしろさを生む!--コロニアル・ラグ(colonial lag)って何?」
・ 「#106. 英語学者たちの受験時代--最近の試験の英語は?--時代を映す受験,試験の英語」
・ 「#108. 青木輝さんのトートロジーの研究・英語は音ベースの言語」
・ 「#110. 古英語より中英語の方が実はむずかしい?(まさにゃん)---青木輝さんのdemonym研究・住民名,国民名は奥深い」
【 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」とプレミアム限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) 】
・ 「#149. 対談 「毎日古英語」のまさにゃんと,古英語ってどんな言語?」
・ 「#307. khelf 会長「まさにゃん」による『英語史新聞』の紹介」
・ 「#308. khelf 会長「まさにゃん」による「英語史コンテンツ50」の紹介」
・ 「#309. khelf 会長「まさにゃん」による「第一回古英語模試」」
・ 「#437. まさにゃんとの対談 ― メガフェップスとは何なの?」
・ 「#464. まさにゃんとの対談 ー 「提案・命令・要求を表わす動詞の that 節中では should + 原形,もしくは原形」」
・ 「#470. 実は khelf (慶應英語史フォーラム)会長のまさにゃんが,最近の khelf 活動を紹介します!」
・ 「#534. まさにゃんとの対談 --- 俺の英語原体験を聞いて!」
・ 「#550. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」
・ 「#551. khelf 大学院生と語る「英語史原体験」」
・ 「#557. まさにゃん対談:supply A with B の with って要りますか? --- 『ジーニアス英和辞典』新旧版の比較」
・ 「#558. まさにゃん対談:比較と英語史」
・ 「#600. 『ジーニアス英和辞典』の版比較 --- 英語とジェンダーの現代史」
・ 「#632. 今年度の khelf (慶應英語史フォーラム)の活動報告 with まさにゃん&青木くん」
・ 「#635. 英語と日本語の共通点って何かありますか?--- まさにゃん&青木くんと第2弾」
・ 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」
・ 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」
・ 「#699. 4月28日に「英語に関する素朴な疑問千本ノック(矢冨&堀田&まさにゃん)」を生放送でお届けしました」
・ 「#702. いいネーミングとは? --- 五所万実さん,藤原郁弥さん,まさにゃんとの対談」
・ 「#704. なぜ日本語には擬音語・擬態語が多いのか? --- 森田まさにゃん,五所さん,藤原くんと音象徴を語る爆笑回」
・ 「#706. 爆笑・語源バトル with まさにゃん&藤原くん」
・ 「#713. 英語史上の学説対立を khelf メンバー5人で語る」
・ 「#754. 6人で激論,言語学は英語教育に役に立つか? --- 「khelf 声の祭典」第8弾」
・ 「【英語史の輪 #21】英語学研究者の helwa メンバーとの4人飲み会 --- 金田拓さん,尾崎萌子さん,まさにゃんの登場」
・ 「#804. 今晩7時の生放送を念頭に英語学者4名に尋ねてみました「あなたにとって英語とは何?」 --- 尾崎萌子さん,金田拓さん,まさにゃんとの対談」
・ 「#805. 「英語は○○である」 ― あなたにとって英語とはなんですか?(生放送)」
・ 「#816. ネット時代の言葉遣い --- CMC (生放送のアーカイヴ)」
・ 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」
(以下,後記)
・ 「#1030. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む」
・ 「【英語史の輪 #121】「はじめての古英語」第5弾の生放送後のアフタートーク with 小河舜さん&まさにゃん」
・ 「#1057. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (2)
(後記,ここまで)
加えて,この hellog でも masanyan のタグのもとで小河さんを取り上げています.
以上,本日の生放送に備えつつ,まさにゃんコンテンツで英語史を学んでいただければ!
明日3月25日(月)の午後1時30分より Voicy heldio の生放送にて「「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん」を配信します.久しぶりの「はじめての古英語」シリーズです.小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)および「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)とともに3人でお届けします.精読する予定の古英語原文は,昨日の記事「#5444. 古英語の原文を読む --- 597年,イングランドでキリスト教の布教が始まる」 ([2024-03-23-1]) をご覧ください.
明日の生放送に出演予定の小河舜さんには,私の関わっている各種のhel活メディアでお世話になっています.以下に,これまでともに歩んできたhel活の履歴を,メディアごとに時間順にまとめます.
【 khelf(慶應英語史フォーラム) 】
・ 『英語史新聞』第8号(最新号)の第3面「英語史ラウンジ」にて,小河さんが注目の英語史研究者として取り上げられています(今回は Part 1 で,次号で Part 2 が続きます)
【 YouTube 「いのほた言語学チャンネル」 】
・ 「#144. イギリスの地名にヴァイキングの足跡ーゲスト・小河舜さん」
・ 「#146. イングランド人説教師Wulfstanのバイキングたちへの説教は歴史的異言語接触!」
・ 「#148. 天才説教師司教は詩的にヴァイキングに訴えかける!?」
・ 「#150. 宮崎県西米良村が生んだ英語学者(philologist)でピアニスト小河舜さん第4回」
【 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」とプレミアム限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) 】
・ 「#747. 金曜夜のコトバ対談(生放送) --- 「khelf 声の祭典」第1弾」
・ 「【英語史の輪 #5】金曜夜のコトバ対談(生放送)の2次会」
・ 「#759. Wulfstan て誰? --- 小河舜さんとの対談【第1弾】」
・ 「#761. Wulfstan の生きたヴァイキング時代のイングランド --- 小河舜さんとの対談【第2弾】」
・ 「#763. Wulfstan がもたらした超重要単語 "law" --- 小河舜さんとの対談【第3弾】」
・ 「#765. Wulfstan のキャリアとレトリックの変化 --- 小河舜さんとの対談【第4弾】」
・ 「#767. Wulfstan と小河さんのキャリアをご紹介 --- 小河舜さんとの対談【第5弾】」
・ 「#770. 大学での英語史講義を語る --- 小河舜さんとの対談【第6弾】」
・ 「#773. 小河舜さんとの新シリーズの立ち上げなるか!?」
・ 「#783. 古英詩の傑作『ベオウルフ』 (Beowulf) --- 唐澤一友さん,和田忍さん,小河舜さんと飲みながらご紹介」
・ 「#797. 唐澤一友さんに Beowulf のことを何でも質問してみました with 和田忍さん and 小河舜さん」
・ 「#799. 「名前プロジェクト」立ち上げ記念収録 with 小河舜さん,矢冨弘さん,五所万実さん」
・ 「#816. ネット時代の言葉遣い --- CMC (生放送のアーカイヴ)」
・ 「#819. 古英語地名入門 with 小河舜さん」
・ 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#825. ニックネームでブレスト --- khelf メンバー4名との雑談」
・ 「#826. ニックネームを語ろう【名前プロジェクト企画 #1】(生放送)」
・ 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「【英語史の輪 #45】リズムかロジックか --- 小河舜さんとの生対談」
・ 「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」
・ 「#880. 古英語の人名と父称 --- 小河舜さんとの対談」
・ 「#926. 名付ける際はここがポイント【名前プロジェクト企画 #2】(12月11日(月)生放送のアーカイヴ)」
・ 「【英語史の輪 #90】ごめんなさいの言語学 --- 五所万実さん,金田拓さん,小河舜さんとの飲み会対談」
・ 「#983. B&Cの第42節「文法性」の対談精読実況生中継 with 金田拓さんと小河舜さん」
・ 「#985. ちょっと遅れて新年会 --- 金田拓さん,五所万実さん,小河舜さんとの景気のよい雑談回」
・ 「#987. 接辞で増やす英語のボキャビル --- 金田拓さん,五所万実さん,小河舜さんとの対談」
・ 「#1010. 英語史クイズ in hel フェス(生放送のアーカイヴ)」
(以下,後記)
・ 「#1030. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む」
・ 「【英語史の輪 #121】「はじめての古英語」第5弾の生放送後のアフタートーク with 小河舜さん&まさにゃん」
・ 「#1054. 年度初めの「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」生放送 with 小河舜さん」
・ 「#1055. 「千本ノック with 小河舜さん」のアフタートーク」
・ 「#1057. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (2)
・ 「#1060. 5人で話す博士論文の世界(生放送):五所万実さん,北澤茉奈さん,尾崎萌子さん,小河舜さん&堀田隆一」
・ 「【英語史の輪 #124】5人で話す博士論文の世界(生放送)続編:五所万実さん,北澤茉奈さん,尾崎萌子さん,小河舜さん&堀田隆一」
・ 「#1069. 千本ノック(生放送) with 小河舜さん --- 陸奥四人旅 その2」
・ 「#1070. 塩竈神社で名前学への意気込みを語る --- 陸奥四人旅 その3」
・ 「【英語史の輪 #128】パワスポ巡りとなりました --- 陸奥四人旅 その4」
・ 「#1071. 「名前と英語史」シンポジウム終了(生放送) --- 陸奥四人旅 その5」
・ 「【英語史の輪 #130】小河舜さんの上智大学での生活について」
・ 「#1075. 「後期古英語期におけるヴァイキングの名称 --- 社会に呼応する名前とその役割」 --- 小河舜さんのシンポ発表ダイジェスト」
(後記,ここまで)
加えて,この hellog でも ogawashun のタグのもとで小河さんを取り上げています.
以上,明日の生放送に備えつつ,小河さんコンテンツで英語史を学んでください!
731年,ビード (あるいはベーダ;Bede [673--735]) によりラテン語で著わされた『英国民教会史』 (Historia Ecclesiastica Gentis Anglorum [= Ecclesiastical History of the English People]) は,古代イングランド史を記した貴重なテキストである.後にアルフレッド大王 (849--99) の指示のもとで古英語に翻訳されている.
597年,ローマの修道士で,後にカンタベリの初代大司教となる St. Augustine (?--604) が,イングランドに布教にやってきた.イングランド史上きわめて重大なこの年に起こった出来事について,Bede の古英語版より読んでみたい.以下,英語史の古典的名著 Baugh and Cable (pp. 58--60) に掲載されている古英語原文を再現する.
Ða wæs on þā tīd Æþelbeorht cyning hāten on Centrīce, and mihtig: hē hæfde rīce oð gemǣru Humbre strēames, sē tōscādeþ sūðfolc Angelþēode and norðfolc. Þonne is on ēasteweardre Cent micel ēaland, Tenet, þæt is siex hund hīda micel æfter Angelcynnes eahte. . . . On þyssum ēalande cōm ūp sē Godes þēow Augustinus and his gefēran; wæs hē fēowertiga sum. Nāmon hīe ēac swelce him wealhstodas of Franclande mid, swā him Sanctus Gregorius bebēad. And þā sende to Æþelbeorhte ǣrendwrecan and onbēad þæt hē of Rōme cōme and þæt betste ǣrende lǣdde; and sē þe him hīersum bēon wolde, būton twēon he gehēt ēcne gefēan on heofonum and tōweard rīce būton ende mid þone sōþan God and þone lifigendan. Ðā hē þā sē cyning þās word gehīerde, þa hēt hē hīe bīdan on þæm ēalande þe hīe ūp cōmon; and him þider hiera þearfe forgēaf, oð þæt hē gesāwe hwæt hē him dōn wolde. Swelce ēac ǣr þǣm becōm hlīsa tō him þǣre crīstenan ǣfæstnesse, forþon hē crīsten wīf hæfde, him gegiefen of Francena cyningcynne, Beorhte wæs hāten. Þæt wīf hē onfēng fram hiere ieldrum þǣre ārǣdnesse þæt hēo his lēafnesse hæfde þæt hēo þone þēaw þæs crīstenan gelēafan and hiere ǣfæstnesse ungewemmedne healdan mōste mid þȳ biscope, þone þe hīe hiere tō fultume þæs gelēafan sealdon, þæs nama wæs Lēodheard.
Ðā wæs æfter manigum dagum þæt sē cyning cōm tō þǣm ēalande, and hēt him ūte setl gewyrcean; and hēt Augustinum mid his gefērum þider tō his sprǣce cuman. Warnode hē him þȳ lǣs hīe on hwelc hūs tō him inēoden; brēac ealdre hēalsunga, gif hīe hwelcne drȳcræft hæfden þæt hīe hine oferswīðan and beswīcan sceolden. . . . Þā hēt sē cyning hīe sittan, and hīe swā dydon; and hīe sōna him līfes word ætgædere mid eallum his gefērum þe þǣr æt wǣron, bodedon and lǣrdon. Þā andswarode sē cyning and þus cwæð: "Fæger word þis sindon and gehāt þe gē brōhton and ūs secgað. Ac forðon hīe nīwe sindon and uncūðe, ne magon wē nū gēn þæt þafian þæt wē forlǣten þā wīsan þe wē langre tīde mid ealle Angelþēode hēoldon. Ac forðon þe gē hider feorran elþēodige cōmon and, þæs þe mē geþūht is and gesewen, þā þing, ðā ðe [gē] sōð and betst gelīefdon, þæt ēac swelce wilnodon ūs þā gemǣnsumian, nellað wē forðon ēow hefige bēon. Ac wē willað ēow ēac fremsumlīce on giestlīðnesse onfōn and ēow andleofne sellan and ēowre þearfe forgiefan. Ne wē ēow beweriað þæt gē ealle, ðā þe gē mægen, þurh ēowre lāre tō ēowres gelēafan ǣfæstnesse geðīeden and gecierren."
目下,Baugh and Cable の英語史書 A History of the English Language を1節ずつ丁寧に読んでいくオンライン読書会シリーズを Voicy heldio で展開中です(有料配信ですが第1チャプターは試聴可).上に引用した古英語原文が含まれているのは第47節で,これを扱った回は「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (47) The Language Illustrated」です.ただし,そこでは上記の古英語原文は,かなり長いために解説するのを割愛していました.
これを補うべく,明後日3月25日(月)の午後1時30分より heldio の生放送による解説を配信します.小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)および「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)とともに,「はじめての古英語」シリーズの一環としての特別企画です.上記の古英語原文は,その予習用として掲げた次第です.お楽しみに!
Bede の古英語訳の原文としては,ほかにも「#2900. 449年,アングロサクソン人によるブリテン島侵略」 ([2017-04-05-1]) を参照.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
昨日の記事 ([2024-03-19-1]) で紹介した 川添愛さんによる『世にもあいまいなことばの秘密』(筑摩書房,2023年)のあとがき (221--22) に,次のような文章があり,いたく共感しました.
ここ数年で言語学関連の一般書を何冊か出版してから,専門外の人々と言葉について話をする機会が増えました.そこで感じたのは,言語学の分野の中にいる人とそうでない人の間には,言葉に見方に大きな違いがあることです.
言語学の中にも多くのジャンルがあるため一概には言えませんが,言語学者はおおよそ,普段から言語学の知識に基づいて言葉を分析しています.ある意味,言葉に対する「解像度」が高いと言っていいかもしれません.言語学の内部にいるときは,そんなことはできて当たり前なので,それが世の中の役に立つという意識はありませんでした.しかし最近になって,そういった言語学者の知見がもう少し広まってもいいのではないかと思うようになりました.
本書のテーマである「言葉の曖昧さ」についても,言語学者はそれらを検知するトレーニングを受けていますし,原因もある程度特定することができます.しかし専門外の人々にとって,「曖昧さ」はその名のとおり曖昧模糊としているように思えます.とくに最近では文字のコミュニケーションが増えたことで,言葉によるすれ違いが頻発しています.お医者さんが患者さんのために病気の原因を特定して伝えるのと同じように,言語学者も言葉の問題に悩む人たちに「それはこれこれこういう理由で起こっているんですよ」と伝えられればいいのではないかと思い,本書を執筆しました.
私の専門は英語史や歴史言語学です.多くの方々とは異なる視点から言語を見ています.おそらく多くの言語研究者,とりわけ共時的な言語学を専攻する方々とも異なった観点から言語を見ています.
この hellog や拙著,また Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」などの媒体で日々英語史を中心とする情報を発信しています.多くの方々に言葉のもつ恐るべき力 --- 自分のためにも社会のためにも,創造にも破壊にも寄与する力 --- に気づいて欲しいという思いがあるからです.この凄まじい力をポジティヴに使いこなすことができれば,個人もにとっても集団にとってもすばらしいことでしょう.
・ 川添 愛 『世にもあいまいなことばの秘密』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉,2023年.
昨年12月に出版された,川添愛さんによる言葉をおもしろがる新著.表紙と帯を一目見るだけで,読んでみたくなる本です.くすっと笑ってしまう日本語の用例を豊富に挙げながら,ことばの曖昧性に焦点を当てています.読みやすい口調ながらも,実は言語学的な観点から言語学上の諸問題を論じており,(物書きの目線からみても)書けそうで書けないタイプの希有の本となっています.
どのような事例が話題とされているのか,章レベルの見出しを掲げてみましょう.
言語学的な観点からは,とりわけ統語構造への注目が際立っています.等位接続詞がつなげている要素は何と何か,否定のスコープはどこまでか,形容詞が何にかかるのか,助詞「の」の多義性,統語的解釈における句読点の役割等々.ほかに語用論的前提や意味論的曖昧性の話題も取り上げられています.
本書は日本語を読み書きする際に注意すべき点をまとめた本としては,実用的な日本語の書き方・話し方マニュアルとして読むこともできると思います.むしろ実用的な関心から本書を手に取ってみたら,言語学的見方のおもしろさがジワジワと分かってきた,というような読まれ方が想定されているのかもしれません.曖昧性の各事例については「問題」と「解答」(巻末)が付されています.
本書のもう1つの読み方は,例に挙げられている日本語の事例を英語にしたらどうなるか,英語だったらどのように表現するだろうか,などと考えながら読み進めることによって,両言語の言語としての行き方の違いに気づくというような読み方です.両言語間の翻訳の練習にもなりそうです.
本書については YouTube 「いのほた言語学チャンネル」にて「#205. 川添愛さん『世にもあいまいなことばの秘密』のご紹介」の回で取り上げています.ぜひご覧ください.
言語の曖昧性については hellog より「#2278. 意味の曖昧性」 ([2015-07-23-1]),「#4913. 両義性にもいろいろある --- 統語的両義性から語彙的両義性まで」 ([2022-10-09-1]) の記事もご一読ください.
・ 川添 愛 『世にもあいまいなことばの秘密』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉,2023年.
昨年秋に研究社より『ライトハウス英和辞典 第7版』が出版されました.前身の『ユニオン英和辞典』が1972年に上梓されて以来,半世紀以上もの間,丁寧に改訂を重ねてきた老舗の学習者用英和辞典です.今回の第7版は紙媒体で出版されていますが,この春にはウェブ版も公開予定です.
第7版の「まえがき」では,編者の赤須薫先生(東洋大学)が「紙の辞書を使う意義」を解説しています (1--2) .ウェブ辞書が広く利用できる現在,紙の辞書を使う意義は何なのでしょうか.
それは,紙の辞書のアナログさには実にいろいろな付加価値が伴うからです.論より証拠,『ライトハウス英和辞典』を実際に手に取ってみてください.まずいろいろな意味で「見やすい」のです.全体を一気に見渡すこと,つまり俯瞰ができます.どの語がどれほどの情報を持っているのかが一瞬でわかります.色がついていて,どの情報に注目すべきか,すぐにわかるように設計されています.特に「基本語」です.誰でも知っている一見易しい語,例えば and, can, in, make, that など,実はいろいろな意味と用法があるため本当は一番難しいのです.そのため,記載されている情報の量が多いのですが,紙の辞書はその全体像を一気に捉えることができます.人間の目はよくできていて,必要に応じてズーム・イン,ズーム・アウトしてくれるのです.そして「読みやすい」活字を使って,解説をわかりやすくしてあります.また,楽しい「道草」もできます.ある単語を引こうとしていると,つい思いがけない情報に出会うことがあり,そこで思わぬ発見をしたりするのです.紙の辞書は手で引きますので,ページをめくる感覚,紙のにおい・インクのにおいといったものも伴います.また,自由に書き込んだり,マーカーを引いたり,色をつけたりすることもできます.この五感に訴えてくる感覚は紙の辞書ならではのもので,体で覚えることにつながります.これがのちのちの記憶の下支えにもなるのです.
上記の「紙の辞書を使う意義」には,私も賛同します.基本語の使い方の難しさについても同意します.
皆さんも,紙の辞書で基本語の記述を読み解く習慣をつけてみませんか?
・ 赤須 薫(編) 『ライトハウス英和辞典 第7版』 研究社,2023年.
寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)の推し活を本格的に始めて8ヶ月ほどが経ちます.この期間に様々な媒体でこの辞典を推薦し,話題にしてきました.推し活に加わる方も周囲に増えてきており,喜ばしい限りです.この辺りで推し活履歴を振り返っておきたいと思います.以下,KDEE (= The Kenkyusha Dictionary of English Etymology) の略称も適宜用います (cf. kdee) .
・ 2023年7月18日 「ゆる言語学ラジオ」にお招きいただいて収録した YouTube 回「英単語帳の語源を全部知るために,研究者を呼びました【ターゲット1900 with 堀田先生】#247」が配信される.49分30秒辺りから堀田による KDEE の激推しがスタート.その後の数日間,KDEE がオンラインで入手しにくくなるという事態が発生したとか.
・ 2023年7月27日 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 にて「#787. 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)のスゴさをご紹介 --- 田辺春美先生との対談」を配信し,制作にも携わられた田辺春美先生(成蹊大学)とともに KDEE の実力を語る.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第8位に入った.
・ 2023年8月1日 「研究社note」より「『英語語源辞典』と活版印刷裏話」と題する記事が公開される(研究社編集部の N. A. さんが元研究社印刷社長の小酒井英一郎さんにインタビューして執筆された記事).
・ 2023年8月2日 hellog にて「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) が公開される.
・ 2023年9月6日 heldio にて「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」が配信され,画期的なインタビューシリーズ3部作の開始となる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第5位に入った.
・ 2023年9月12日 heldio にて「#834. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (2)」が配信される.
・ 2023年9月20日 heldio にて「#842. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (3)」が配信される.
・ 2023年9月22日 hellog にて「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1]) が公開される.
・ 2023年10月23日 heldio にて「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」が配信され,藤原郁弥さんとの画期的なシリーズの幕開きとなる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第2位に入った.
・ 2023年10月26日 heldio にて「#878. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (2) --- 藤原くんと foot を語る」が配信される.
・ 2023年11月8日 heldio にて「#891. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (3) --- khelf 藤原くんと marble を語る第1弾」が配信される.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第9位に入った.
・ 2023年11月11日 heldio にて「#894. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (4) --- khelf 藤原くんと marble を語る第2弾」が配信される.
・ 2023年11月14日 heldio にて「#897. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (5) --- khelf 藤原くんと marble を語る第3弾」が配信される.
・ 2023年12月15日 heldio にて「#928. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (6) --- khelf 藤原くんと2重語 compute/count を語る」が配信される.
・ 2024年1月6日 Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) にて「【英語史の輪 #77】umisio さんと『英語語源辞典』で England と English を精読する」が配信される.heidio/helwa リスナーの umisio さんとの差しでの KDEE 熟読会.
・ 2024年1月9日 umisio さんにより上記熟読会の手書きノートが note 上に公開される.
・ 2024年1月19日 heldio/helwa リスナーの lacolaco さんが note にて「英語語源辞典通読ノート」と題するマガジンを公開し始める.前代未聞の企画.これまでに11本の記事があり,すでに animal にまで到達している.
・ 2024年1月25日 helwa にて「【英語史の輪 #85】「『英語語源辞典』を読む(飲む)会」を画策しています」として,KDEE オンライン読書会の企画案が堀田により初めて提案される.その後,初回が2月20日に実施されることになった.
・ 2024年1月31日 heldio にて「#975. 『英語語源辞典』の収録語彙」が公開される.
・ 2024年2月2日 heldio にて「#977. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (7) --- khelf 藤原くんと同音異義語 bank の項を精読する」が配信される.
・ 2024年2月3日 heldio にて「#978. 『英語語源辞典』の語義・初出年代 --- khelf 藤原くんと凡例を読もう」が配信される.凡例を熟読するという稀代な企画がスタート.
・ 2024年2月20日 helwa のオンラインオフ会にて「『英語語源辞典』を漫然と読む/飲む」企画が初めて実現する.
・ 2024年2月22日 helwa にて「【英語史の輪 #97】「置換」か「駆逐」か」が配信される.この配信回では,上記オンラインオフ会で話題となった KDEE 中の「駆逐」という用語が議論された.
・ 2024年3月4日 khelf による『英語史新聞』第8号が発行され,その第1面にて「『英語語源辞典』を使ってみよう」という記事(藤原郁弥さん執筆)が公開される.
・ 2024年3月5日 hellog にて「#5426. 『英語史新聞』第8号が発行されました」 ([2024-03-05-1]) が公開され,改めて KDEE が言及される.
・ 2024年3月12日 helwa にて「【英語史の輪 #105】近代英語と中英語の anigh に直接の関連はない? --- lacolaco さんも二度見した『英語語源辞典』の記述」が配信される.
以上がこの8ヶ月間の KDEE 推し活履歴です.今後の主立った予定を2点挙げておきます.
・ 本日2024年3月15日の夕方,helwa のオンラインオフ会にて「『英語語源辞典』を漫然と読む/飲む」企画の第2回が開催される予定です.
・ 新年度4月より朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が開講される予定です.毎月1回のペースで指定土曜日に開催されます.KDEE 以外の英語語源辞典も参照しますが,メインはもちろん KDEE.なお,2018年にも『英語語源辞典』に注目しつつ朝カルで英語語源講座を開いたことがあります(cf. 「#3381. 講座「歴史から学ぶ英単語の語源」」 ([2018-07-30-1])).
皆さんも,ぜひ KDEE 推し活にご参加ください!
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)の推し活を本格的に始めて8ヶ月ほどが経ちます.この期間に様々な媒体でこの辞典を推薦し,話題にしてきました.推し活に加わる方も周囲に増えてきており,喜ばしい限りです.この辺りで推し活履歴を振り返っておきたいと思います.以下,KDEE (= The Kenkyusha Dictionary of English Etymology) の略称も適宜用います (cf. kdee) .
・ 2023年7月18日 「ゆる言語学ラジオ」にお招きいただいて収録した YouTube 回「英単語帳の語源を全部知るために,研究者を呼びました【ターゲット1900 with 堀田先生】#247」が配信される.49分30秒辺りから堀田による KDEE の激推しがスタート.その後の数日間,KDEE がオンラインで入手しにくくなるという事態が発生したとか.
・ 2023年7月27日 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 にて「#787. 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)のスゴさをご紹介 --- 田辺春美先生との対談」を配信し,制作にも携わられた田辺春美先生(成蹊大学)とともに KDEE の実力を語る.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第8位に入った.
・ 2023年8月1日 「研究社note」より「『英語語源辞典』と活版印刷裏話」と題する記事が公開される(研究社編集部の N. A. さんが元研究社印刷社長の小酒井英一郎さんにインタビューして執筆された記事).
・ 2023年8月2日 hellog にて「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) が公開される.
・ 2023年9月6日 heldio にて「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」が配信され,画期的なインタビューシリーズ3部作の開始となる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第5位に入った.
・ 2023年9月12日 heldio にて「#834. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (2)」が配信される.
・ 2023年9月20日 heldio にて「#842. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (3)」が配信される.
・ 2023年9月22日 hellog にて「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1]) が公開される.
・ 2023年10月23日 heldio にて「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」が配信され,藤原郁弥さんとの画期的なシリーズの幕開きとなる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第2位に入った.
・ 2023年10月26日 heldio にて「#878. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (2) --- 藤原くんと foot を語る」が配信される.
・ 2023年11月8日 heldio にて「#891. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (3) --- khelf 藤原くんと marble を語る第1弾」が配信される.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第9位に入った.
・ 2023年11月11日 heldio にて「#894. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (4) --- khelf 藤原くんと marble を語る第2弾」が配信される.
・ 2023年11月14日 heldio にて「#897. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (5) --- khelf 藤原くんと marble を語る第3弾」が配信される.
・ 2023年12月15日 heldio にて「#928. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (6) --- khelf 藤原くんと2重語 compute/count を語る」が配信される.
・ 2024年1月6日 Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) にて「【英語史の輪 #77】umisio さんと『英語語源辞典』で England と English を精読する」が配信される.heidio/helwa リスナーの umisio さんとの差しでの KDEE 熟読会.
・ 2024年1月9日 umisio さんにより上記熟読会の手書きノートが note 上に公開される.
・ 2024年1月19日 heldio/helwa リスナーの lacolaco さんが note にて「英語語源辞典通読ノート」と題するマガジンを公開し始める.前代未聞の企画.これまでに11本の記事があり,すでに animal にまで到達している.
・ 2024年1月25日 helwa にて「【英語史の輪 #85】「『英語語源辞典』を読む(飲む)会」を画策しています」として,KDEE オンライン読書会の企画案が堀田により初めて提案される.その後,初回が2月20日に実施されることになった.
・ 2024年1月31日 heldio にて「#975. 『英語語源辞典』の収録語彙」が公開される.
・ 2024年2月2日 heldio にて「#977. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (7) --- khelf 藤原くんと同音異義語 bank の項を精読する」が配信される.
・ 2024年2月3日 heldio にて「#978. 『英語語源辞典』の語義・初出年代 --- khelf 藤原くんと凡例を読もう」が配信される.凡例を熟読するという稀代な企画がスタート.
・ 2024年2月20日 helwa のオンラインオフ会にて「『英語語源辞典』を漫然と読む/飲む」企画が初めて実現する.
・ 2024年2月22日 helwa にて「【英語史の輪 #97】「置換」か「駆逐」か」が配信される.この配信回では,上記オンラインオフ会で話題となった KDEE 中の「駆逐」という用語が議論された.
・ 2024年3月4日 khelf による『英語史新聞』第8号が発行され,その第1面にて「『英語語源辞典』を使ってみよう」という記事(藤原郁弥さん執筆)が公開される.
・ 2024年3月5日 hellog にて「#5426. 『英語史新聞』第8号が発行されました」 ([2024-03-05-1]) が公開され,改めて KDEE が言及される.
・ 2024年3月12日 helwa にて「【英語史の輪 #105】近代英語と中英語の anigh に直接の関連はない? --- lacolaco さんも二度見した『英語語源辞典』の記述」が配信される.
以上がこの8ヶ月間の KDEE 推し活履歴です.今後の主立った予定を2点挙げておきます.
・ 本日2024年3月15日の夕方,helwa のオンラインオフ会にて「『英語語源辞典』を漫然と読む/飲む」企画の第2回が開催される予定です.
・ 新年度4月より朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が開講される予定です.毎月1回のペースで指定土曜日に開催されます.KDEE 以外の英語語源辞典も参照しますが,メインはもちろん KDEE.なお,2018年にも『英語語源辞典』に注目しつつ朝カルで英語語源講座を開いたことがあります(cf. 「#3381. 講座「歴史から学ぶ英単語の語源」」 ([2018-07-30-1])).
皆さんも,ぜひ KDEE 推し活にご参加ください!
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
昨秋より khelf(慶應英語史フォーラム)の企画として,一般の方々にも参加していただきつつ展開してきた「変なアルファベット表」がついに完成しました.先週の3月4日,khelf より『英語史新聞』第8号が発行されましたが,その第4面に「変なアルファベット表」が掲載されています.
英語の綴字と発音の乖離 (spelling_pronunciation_gap) の問題を逆手にとって,それをダシにして遊んでしまおうという企画でした.イラスト付きアルファベット表に A から Z の各文字で始まる単語が掲げられていますが,いずれの単語も発音との関係で何かしら「変な」語頭綴字を示しています.英語初学者にとっては「意地悪な」,したがって「大人の」アルファベット表ということになります.
昨秋の本企画発足以来,khelf では担当班を組織し,主に Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で進捗状況をお伝えするなど発信に努めてきました.まず,一般の方々に呼びかけて,各文字で始まる「変な」単語の候補をお寄せいただきました.その後,khelf で取りまとめた後に,各文字で始まる単語の候補のなかから,最も「変な」単語を決めていただくための投票を呼びかけました.N の単語については決選投票にまでもつれ込むことになりました.企画を進める過程で,そもそも綴字の(不)規則とは何なのかという本質的な問題にぶつかるなどしましたが,最終的には上記の通り「変なアルファベット表」が仕上がりました.各単語のイラストも khelf オリジナルの制作ですので,ぜひご注目ください.一般公募と一般投票という形で皆さんにご協力いただいた企画として,ここに完成の旨を報告し,改めて感謝申し上げます.
『英語史新聞』第8号の第4面には,「変なアルファベット表」のほか,投票結果なども掲載されています.次点候補の単語なども挙げられていますので,そちらも眺めながら綴字と発音の乖離という問題に思いを巡らせていただければと思います.
これまで「変なアルファベット表」企画に関するコンテンツを,heldio, helwa, hellog, YouTube などで様々に公開してきました.以下に一覧しておきます.特に heldio では,「変なアルファベット表」の公開後も,表に掲載されている各単語と関連する話題をお届けしています.向こう数日の配信回にもご期待ください.
・ heldio 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」
・ heldio 「#873. スペリングの規則と反則 --- 「変なアルファベット表」企画に寄せて」
・ heldio 「#887. khelf 寺澤志帆さんと「変なアルファベット表」企画の中間報告」
・ heldio 「#924. 今週は「変なアルファベット表」のための投票週間です」
・ heldio 「#933. 「変なアルファベット表」の投票は済ませましたか? --- khelf 寺澤さんと投票の呼びかけ」
・ heldio 「#966. 「変なアルファベット表」の n- の単語のための決選投票 --- khelf 寺澤志帆さんからの呼びかけ」
・ heldio 「#1011. 「変なアルファベット表」の完成と公開 with 寺澤志帆さん」
・ heldio 「#1015. cello --- 「変なアルファベット表」からの話題」
・ heldio 「#1016. schedule の発音は「スケジュール」か「シェデュール」か? --- 「変なアルファベット表」の S の項目より」
・ helwa (有料配信) 「【英語史の輪 #42】変なアルファベット表を作る企画」
・ helwa (有料配信) 「【英語史の輪 #43】変なアルファベット表企画への反響」
・ hellog 「#5303. 『英語史新聞』第7号が発行されました」 ([2023-11-03-1])
・ hellog 「#5341. 今週は「変なアルファベット表」企画の投票週間です」 ([2023-12-11-1])
・ hellog 「#5426. 『英語史新聞』第8号が発行されました」 ([2024-03-05-1])
・ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」 「#185. eye はもっとへんなつづりだった!!三文字規則が生み出した現象たち?---へんなアルファベット表向け単語大募集!」
先日の「#5422. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんをゲストにお迎えしての「言語学バル」が公開されています」 ([2024-03-01-1]) に引き続き,ゆる学徒カフェのスタジオにて水野さんとともに公開収録した「いのほた言語学チャンネル」のおしゃべり回第2弾が昨晩公開されました.「#212. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん再登場第2回・出版人/読書人としての水野さんにとっての言語学本」と題する27分ほどの動画となっています.昨晩の公開以来,いつもより多くの方々に視聴いただいており,コメント欄も賑わってきています.ぜひお時間のあるときにどうぞ.
今回のおしゃべりもおおよそランダムに展開しました.小見出しをつけるとすれば,次のような感じです.
・ 今井むつみ・秋田喜美(著)(『言語の本質』中公新書,2023年)の再紹介
・ 水野さんによる言語学系書籍の出版事情と未来についての持論
・ 日本の出版界における新書の位置づけ
・ audible などの音声メディアは日本で普及していくか?
・ 「ラジオ型言語」と「テレビ型言語」
最後の論点は,故鈴木孝夫先生による区分に基づきます.関連する話題は,本ブログの「#1655. 耳で読むのか目で読むのか」 ([2013-11-07-1]),「#2919. 日本語の同音語の問題」 ([2017-04-24-1]),「#3023. ニホンかニッポンか」 ([2017-08-06-1]) などで触れています.そちらもご参照ください.
水野さんとのおしゃべり回は,向こう2週間続いていく予定です.どうぞ水曜日の午後6時をお楽しみに!
一昨日,専修大学生田キャンパスにて英語史フェスティバル「helフェス」 (helfest) を開催しました.専修大学,法政大学,慶應義塾大学 (khelf) を中心とした複数大学合同の対面イベントで,開催校の専修大学の菊地翔太先生には,たいへんお世話になりました.イベントのメニューは,各大学からの代表者による卒業論文発表,修士論文発表,菊地先生による講演,英語史クイズ(heldio 生放送)などでした.ちなみに,夜はもちろん懇親会の1次会と2次会で盛り上がったことは言うまでもありません(その辺りの話題は,昨晩の Voicy でのプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の配信回「【英語史の輪 #102】helフェス2024報告」にて雑談風にお話ししています).
さて,メニューの1つである「英語史クイズ」 (helquiz) は,先日の記事「#5425. 本日の午後4時から「英語史クイズ」生放送 --- その前に過去の「英語史クイズ」で復習を!」[2024-03-04-1] で予告したとおり,heldio 生放送としてお届けしました.生放送の開始時間は予定時刻の午後4時から大幅に遅れてしまい,お待ちいただいたリスナーの方々にはご迷惑をおかけしましたが,何とかライヴ収録はできたようです.生放送を収録したものを,今朝の heldio で「#1010. 英語史クイズ in hel フェス(生放送のアーカイヴ)」として配信しました.本編は42分ほどの音声です.お時間のあるときに,じっくりお聴きください.
出題者は,矢冨弘さん(熊本学園大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)の3名です.生放送のMCは,小河舜さん,青木輝さん,Kさん,疋田くんの4名です.
会場では,質問をスクリーン上にスライドで示しながら6問のクイズを出題しました.今回は,アーカイヴ音声配信をお聴きの皆さんのために,そちらのテキストを取り出し,以下に示します.正解と解説はこちらには示しませんので,配信回そのものをお聴きいただければ.
Þt ge sin eowres fæder bearn þe on heofonum ys. Se þe deð þæt hys sunne up aspringð ofer þa godan & ofer þa yfelan.
(1) glorify
(2) make
(3) offer
(4) perform
【Q5. 「小河先生からの挑戦状」 27分55秒から】
以下は全てイングランドに現存する地名である.以下の中で古ノルド語に由来する要素を含む地名はどれか.
(1) Nasty (Hertfordshire)
(2) Whitby (North Yorkshire)
(3) Melbourn (Cambridgeshire)
(4) Canterbury (Kent)
【Q6. 「まさにゃんからの挑戦状」 32分14秒から】
動詞 forbid の後ろには何が来る? 辞書を見ると,例えば regard であれば,その訳語とともに [regard A as B] などのようにその動詞の後ろにどのような構造が来るか記載されていることが多い.では「禁止をする」という意味をもつ動詞 forbid について「<人>に〜することを禁ずる」という訳語とともに,動詞の後ろにどのような構造がくると書かれるいるか答えなさい.もしも複数ある場合は,すべて答えること.ただし,参照するのは,1993年に出版された「ジーニアス英和辞典(改訂版)第2版に相当する」とする.なお,ジーニアス英和辞典はその後も改訂を繰り返し,現在は第6版がでている.
以上,英語史クイズをお楽しみください!
全国の『英語史新聞』ファン(?)の皆さん,お待たせしました.昨日3月4日付けで,khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第8号がウェブ公開となりました.こちらよりPDFで閲覧・ダウンロードできます.
ほぼ2年前の4月1日に創刊号が発行されて以来,3ヶ月に一度のペース順調に号を重ねてきました.今回の第8号は本来であれば新年に発行という予定でしたが,諸事情で3月にずれ込みました.しかし,遅れた代わりに良質の記事が集まってきていますので,楽しく読んでいただけるかと思います.
第8号の公開および記事紹介などの情報は,今後立て続けに khelf 公式の X アカウント @khelf_keio からお届けしていく予定ですので,ぜひフォローのほどよろしくお願いします.読者の皆さんにおかれましても,そちらのリポストなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.
さて,今回も khelf の『英語史新聞』制作班が献身的に執筆・編集し,丁寧に作り込んでくれました.第8号の記事のラインナップをご紹介します.
・ シングリッシュとダイグロシア
・ 『英語語源辞典』を使ってみよう
・ ハリー・ポッターとロンの英語
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第3回 小河舜先生(Part 1)」
・ 変なアルファベット表 完成!
一言では紹介しきれない充実のラインナップです.執筆陣は学部3年生から大学院博士課程の学生まで,皆で協力して作りました.どれが目玉記事か決められないほど,いずれも充実の内容となっています.
前号で呼びかけた「変なアルファベット表」企画は,hellog 読者の皆さんにも投票などに参加していただきつつ数ヶ月かけてじっくり進めてきましたので,ここで特別に触れておきたいと思います.ご協力ありがとうございました.
本号は昨日の Voicy heldio でも「#1008. 『英語史新聞』第8号」としてご案内していますので,そちらもぜひお聴きください.
『英語史新聞』は上述の通り2022年4月に創刊号を発行して以来,おおよそ3ヶ月に1度のペースで発行し続けてきました.毎号の制作班のモチベーションが保たれているのも,多くの方々にお読みいただいているからこそです.ご愛読ありがとうございます.最新号も含め『英語史新聞』のすべての号は,教育目的での利用・配布について自由にお取り扱いいただけます.むしろ,英語史の魅力を広げるべく活動している発行主体の khelf としては,電子媒体・紙媒体を問わず,皆様に広く利用・配布していただけますと幸いです.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にお使いの場合には,ぜひこちらのフォームを通じてご一報くださいますと khelf の活動実績の把握につながるほか,『英語史新聞』編集委員の励みともなります.ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,ここに明記いたします.フォームへの入力を通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
日々,英語史を広める英語史活動(hel活)を展開していますが,その1つの形式として「英語史クイズ」 (hel_herald) なるものがあります.その名の通りのクイズ企画です.
本日午後4時から Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて「英語史クイズ」の生放送をお届けする予定です.本日は朝から晩まで,菊地翔太先生より専修大学生田キャンパスに会場をご用意いただき「helフェス」 (helfest) を開催する予定です.その中の1コーナーとして「英語史クイズ」イベントを午後4時から予定しており,すでに講師陣による出題のスタンバイが完了しています.
ぜひ都合のつく方々は午後4時からの「英語史クイズ生放送」をライヴでお聴きください.たっぷり1時間ほどお届けします.会場もライヴですが,heldio をお聴きの皆さんもぜひライヴで回答,意見,質問,コメント,突っ込み等を「お便り」で投げ込んでていただけると盛り上がるかと思います.
英語史クイズはこれまでも頻繁に開催してきたわけではありませんが,hellog の関連記事でいえば次の3つほどが挙がります.
・ 「#4831. 『英語史新聞』2022年7月号外 --- クイズの解答です」 ([2022-07-19-1])
・ 「#5059. heldio 初の「英語史クイズ」」 ([2023-03-04-1])
・ 「#5087. 「英語史クイズ with まさにゃん」 in Voicy heldio とクイズ問題の関連記事」 ([2023-04-01-1])
英語史クイズは,主に Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の企画として音声配信してきた経緯があります.今夕のイベントに先立って,ぜひ過去回を復習しておいていただければと思います.
・ 「#642. heldio 初の「英語史クイズ」」(2023/03/04配信)
・ 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」(2023/03/31配信)
・ 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」(2023/04/01配信)
ぜひ皆さんライヴでご参加を! (都合がつかない方のために,後日アーカイヴ配信もする予定です.)
2週間後の日曜日,3月17日の13:30--17:10に,オンライン(Zoom 利用)で歴史社会言語学・歴史語用論の研究会 HiSoPra* (= HIstorical SOciolinguistics and PRAgmatics) の第7回大会が開催されます.
プログラムはこの記事の末尾,あるいはこちらの正式版 (PDF) をご覧ください.
Zoom によるオンライン開催となりますので,参加には事前の申し込みが必要となります.3月14日(木)までに,こちらの Google フォームよりお申し込みください.3月15日(金)に Zoom のミーティング URL をお知らせします.
今回の研究会には,日本語分野からの研究発表が1件,英語史・英語学分野からの研究発表が2件あります.また,第2部では「歴史社会言語学・歴史語用論研究の動向と文献紹介」と題する懇談会風のラウンドテーブルを予定しています.ラウンドテーブルでは,4名の方々が日本語,英語,ドイツ語の最新の HiSoPra 研究動向についてトークします.セッションの後半は,参加者皆さんとの情報共有の時間となります.肩の凝らないおしゃべり回となりそうです.
過年度の HiSoPra* 研究会に関連する hellog 記事としては,hisopra をご覧ください.今回の第7回も,多くの方々の参加をお待ちしています!
2024年3月17日(日) オンライン開催
13:30 開会
13:35--14:10 研究発表1 司会 堀江 薫(関西外国語大学)
多田知子(青山学院大学)
「「わけ(だ)」文法化の経緯」
14:15--14:50 研究発表2 司会 椎名美智(法政大学)
青木 輝(慶應義塾大学大学院生)
「英語の歴史におけるトートロジー --- その慣習性と使用に着目して」
14:55--15:30 研究発表3 司会 椎名美智(法政大学)
高村 遼(立正大学)
「間主観的な機能から談話を構成する機能へ --- 談話標識 well の共時的分析から」
休憩
15:45--17:10
「歴史社会言語学・歴史語用論研究の動向と文献紹介」
司会 堀田隆一(慶應義塾大学)
話題提供者 小野寺典子(青山学院大学)
「談話標識の通時的研究の動向」
話題提供者 東泉裕子(東洋大学)
「漢語の歴史社会言語学・歴史語用論」
話題提供者 家入葉子(京都大学)
「Absolute Infinitive についての論文集の紹介」
話題提供者 高田博行(学習院大学)
「ドイツ語圏における歴史社会言語学・歴史語用論の動向」
17:10 閉会
「#5394. 2月9日,ゆる学徒カフェにて,ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんをゲストにお迎えして「いのほたチャンネル」の公開収録!」 ([2024-02-02-1]) で案内した通り,予定通りに公開収録終えました.その後編集を加えた動画が,一昨日の「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」)最新回にて公開されています.「#210. 水野太貴さん(ゆる言語学ラジオ)再登場!ゆる学徒カフェにお邪魔してます!」です.28分30秒ほどの動画です.ぜひお時間のあるときにご覧ください.
「言語学バル」の1シリーズとして水野さんをゲストにお迎えしたわけですが,収録場所はむしろ逆に我々がお呼ばれされたかのような具合で,池袋のゆる学徒カフェのスタジオにて収録させていただきました.30名ほどの聴衆の方々に温かく見守られながらの楽しいおしゃべりタイムとなりました.差し入れのシャンパンまで賜わり,それを味わいながらの収録でした.水野さん,聴衆の皆さん,カフェのスタッフ皆さんにお礼申し上げます.ありがとうございました.
話題としては,カタカナ語から始まり,水野さんが番組作りのためにいかにして生成文法を学んだか,生成文法以降の言語学の潮流,「ゆる言語学ラジオ」のコンテンツがいかにして制作されているかなどに飛び,語源のトポスにまで至ります.今回は水野さんシリーズの第1回で,今後第4回まで続く予定です.毎週水曜日の午後6時をお楽しみに!
水野さんを「言語学バル」にお呼びしたのは2度目のことです(1度目はまだ「言語学バル」という呼称はありませんでしたが).今回の配信と合わせて前シリーズの4回もご覧ください.
・ 第1弾 「#120. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんにお越しいただきました!」(2023年4月19日)
・ 第2回 「#122. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第2弾・語に始まって語に終わる」(2023年4月26日)
・ 第3回 「#124. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第3弾・ゆる言語学ラジオはゆるくない!」(2023年5月3日)
・ 第4回 「#126. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第4弾・水野さんから見たこのチャンネル?」(2023年5月10日)
引き続き「ゆる言語学ラジオ」と「いのほた言語学チャンネル」をよろしくお願いします!
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