謹賀新年.本年も「英語史をお茶の間に」をモットーに,英語史の魅力を広く伝える啓蒙活動「hel活」を展開していきます.こちらの「hellog~英語史ブログ」を引き続き毎日お届けしていくほか,姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 も毎朝6時に更新していきます.
年初ということで,昨年の hellog の振り返りをします.これまでの全記事を対象に,昨年1年間で最もよく読まれた記事は12月30日付のアクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事をご覧いただければと思います.過年度版は「#4997. 2022年によく読まれた記事」 ([2023-01-01-1]),「#4632. 2021年によく読まれた記事」 ([2022-01-01-1]),「#4267. 2020年によく読まれた記事」 ([2021-01-01-1]),「#3901. 2019年によく読まれた記事」 ([2020-01-01-1]) をご参照ください.
以下は,2023年に執筆・公開された記事に限定して,どの記事が最もよく読まれたかのランキングとなります.お正月の読み物としてどうぞ.まとめ読みしたい方はこちらの記事セットから.
・ 「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]) (2083)
・ 「#5142. 「ペレヒル」と「十五円五十銭」」 ([2023-05-26-1]) (1672)
・ 「#5099. 2023年度の「英語史」講義が始まります --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目」 ([2023-04-13-1]) (849)
・ 「#5065. 自然言語処理 (NLP) の基本タスク」 ([2023-03-10-1]) (817)
・ 「#5009. なぜバーナード・ショーの綴字ネタ「ghoti = fish」は強引に感じられるのか?」 ([2023-01-13-1]) (751)
・ 「#5047. 「大航海時代略年表」 --- 『図説大航海時代』より」 ([2023-02-20-1]) (621)
・ 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1]) (576)
・ 「#5152. 古英語聖書より「種をまく人の寓話」 --- 毒麦の話」 ([2023-06-05-1]) (554)
・ 「#5094. 英語史概説書等の書誌(2023年度版)」 ([2023-04-08-1]) (508)
・ 「#5041. 英語帝国主義の議論のために」 ([2023-02-14-1]) (402)
・ 「#5031. 接尾辞 -ism の起源と発達」 ([2023-02-04-1]) (393)
・ 「#5154. なぜ height はこの綴字でこの発音なの?」 ([2023-06-07-1]) (355)
・ 「#5145. 6月2日(金),Voicy プレミアムリスナー限定配信の新チャンネル「英語史の輪」を開始します」 ([2023-05-29-1]) (347)
・ 「#5147. 「ゆる言語学ラジオ」出演第3回 --- 『ジーニアス英和辞典』第6版を読む回で触れられた諸々の話題」 ([2023-05-31-1]) (323)
・ 「#5125. 「ゆる言語学ラジオ」初出演回で話題となった縦棒16連発の単語 --- unmummied」 ([2023-05-09-1]) (315)
・ 「#5205. Baugh and Cable の英語史概説書を1節ずつ読み進めながら Voicy heldio で自由にコメントしていく試みを始めています」 ([2023-07-28-1]) (296)
・ 「#5026. 接尾辞 -age」 ([2023-01-30-1]) (268)
・ 「#5132. なぜ be going to は未来を意味するの? --- 「文法化」という観点から素朴な疑問に迫る」 ([2023-05-16-1]) (254)
・ 「#5268. 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 ([2023-09-29-1]) (254)
・ 「#5166. 秋元実治(編)『近代英語における文法的・構文的変化』(開拓社,2023年)」 ([2023-06-19-1]) (242)
・ 「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) (231)
・ 「#4997. 2022年によく読まれた記事」 ([2023-01-01-1]) (212)
・ 「#5052. none は単数扱いか複数扱いか?」 ([2023-02-25-1]) (206)
・ 「#5240. Voicy heldio で「ゼロから学ぶはじめての古英語」シリーズが始まりました」 ([2023-09-01-1]) (201)
・ 「#5168. なぜアメリカで "spelling bee" が大人気なのか?」 ([2023-06-21-1]) (196)
・ 「#5111. チョーサーによるブルトン・レ「地方地主の話の序」を読む」 ([2023-04-25-1]) (193)
・ 「#5171. 3人称複数代名詞 we, you, they の総称的用法」 ([2023-06-24-1]) (192)
・ 「#5172. なぜ印欧祖語には母音交替があったのか?」 ([2023-06-25-1]) (179)
・ 「#5167. なぜ18世紀に規範文法が流行ったのですか?」 ([2023-06-20-1]) (170)
・ 「#5110. 国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ展」訪問に向けての予習」 ([2023-04-24-1]) (166)
・ 「#5223. 『英語史新聞』第6号が発行されました」 ([2023-08-15-1]) (166)
・ 「#5120. 井上・堀田の YouTube --- ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんのゲスト回第3弾」 ([2023-05-04-1]) (165)
・ 「#5194. 7月29日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」」 ([2023-07-17-1]) (163)
・ 「#5151. 日本語反対語辞典の「まえがき」より」 ([2023-06-04-1]) (162)
・ 「#5196. 「ゆる言語学ラジオ」出演第4回 --- 『英単語ターゲット』より英単語語源を語る回」 ([2023-07-19-1]) (161)
・ 「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]) (160)
・ 「#5202. 他動性 (transitivity) とは何か?」 ([2023-07-25-1]) (158)
・ 「#5139. 英語史において「ケルト語仮説」が取り沙汰されてきた言語項」 ([2023-05-23-1]) (154)
・ 「#5267. 言語におけるアイコン性について考えてみませんか?」 ([2023-09-28-1]) (152)
・ 「#5020. 2022年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2023-01-24-1]) (147)
・ 「#5010. 『中高生の基礎英語 in English』の連載第23回「なぜ現在分詞と動名詞は同じ -ing で表されるの?」」 ([2023-01-14-1]) (146)
・ 「#5167. なぜ18世紀に規範文法が流行ったのですか?」 ([2023-06-20-1]) (142)
・ 「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1]) (142)
・ 「#5238. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 ([2023-08-30-1]) (132)
・ 「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]) (132)
・ 「#5012. When Adam delved and Eve span, who was then the gentleman? --- John Ball の扇動から生まれた諺」 ([2023-01-16-1]) (131)
・ 「#5183. なぜ「文法の謎」があるのか?」 ([2023-07-06-1]) (130)
・ 「#5146. 強調構文の歴史に関するコンテンツを紹介」 ([2023-05-30-1]) (129)
・ 「#5187. 固有名詞学のハンドブック」 ([2023-07-10-1]) (123)
・ 「#5206. Beowulf の冒頭11行を音読」 ([2023-07-29-1]) (123)
新年は学び始めにふさわしい時期です.英語史に関心をもった方,さらに関心をもちたい方は「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]) とそこからリンクを張っている記事群をご参照ください.
なお,昨年の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 の聴取ランキングは「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]) にて取り上げています.
本年も,hellog, heldio ともにお付き合いのほど,よろしくお願いいたします.
今年も英語史・英語学・言語学に関して様々な発信活動を行なってきました.YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」でも,毎週水・日の午後6時に動画を配信してきました.2023年中に配信してきた,元日の第89回から12月27日(水)に公開された第193回までの104回分を対象に,最もよく視聴された動画10本を紹介します.
1. 「#120. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんにお越しいただきました!」
2. 「#122. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第2弾・語に始まって語に終わる」
3. 「#124. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第3弾・ゆる言語学ラジオはゆるくない!」
4. 「#126. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第4弾・水野さんから見たこのチャンネル?」
5. 「#160. もりてつさんにお越しいただきました!!!人気 YouTuber,人気予備校講師,人気 TOEIC 等英語講師もりてつさんの礎は認知言語学!?」
6. 「#176. 国際的音声学者・川原繁人さんが語る音声学・音韻論の遍歴!」
7. 「#103. アメリカもイギリスもオーストラリアも英語は公用語ではない.ニュージーランドは英語は公用語.なぜ? 日本語が公用語のところはあるけど日本じゃない!」
8. 「#141. ベストセラー本,今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』を語ってみました.」
9. 「#91. ゆるーい中世の英語の世界では綴りはマイルール?! through のスペリングは515通り! 堀田的ゆるさベスト10!」
10. 「#139. 現存する最古の英文の謎を堀田はどう読み解く?」
最上位にランクインした多くは,著名な方々との対談回でした.最もよく視聴されたのは,人気 YouTube/Podcast チャンネル「ゆる言語学ラジオ」のパーソナリティの1人である水野太貴さんとの飲み会対談回でした.2.5万回の再生数です.水野さんは今年も大活躍で,私自身「ゆる言語学ラジオ」に出演する機会もいただきまして,たいへんお世話になりました.本ブログの yurugengogakuradio の記事群もご参照ください.
YouTuber としてご活躍の英語予備校界で著名なもりてつさん,音韻論者・音声学者として破竹の勢いの川原繁人さんとの対談回も上位にランクイン.その後,井上さんと堀田からの話題も上位に食い込みました.視聴して下さった方々に御礼申し上げます.
本 YouTube チャンネルは,開設して1年10ヶ月ほどになります.来年2月末には2周年を迎えますが,その前の1月24日(水)には第200回の記念回も迎えることになります.この第200回には,初めて YouTube ライヴで配信しようと思っています.先日水曜日に公開された最新回「英語史,古英詩,文学史,英国文化エッセイをストレスゼロで縦横無尽に書きまくる唐澤一友さん(立教大学)第1弾!」の概要欄で告知している通り,「事前のご質問も大募集!」ですので,そちらのコメント欄などから寄せていただければと思います.
明日からの新年も「英語史をお茶の間に」届けるべく,英語史活動(hel活)を続けています.引き続きよろしくお願いいたします.
Voicy heldio にて小林めぐみ先生(成蹊大学)との対談回を配信しています.「#936. 映画と World Englishes は相性がよい! --- 小林めぐみ先生との対談」と題して,映画を用いた World Englishes の英語教育・言語教育というテーマでお話しいただいています.本編は10分ほどです.ぜひお聴きください.
昨今は NetFlix や YouTube などで配信される映画やドラマを通じて,世界の様々な英語変種が身近に聞かれるようになってきました.このような資源は,英語学習・教育(特にリスニング)の教材としても役立ちますし,世界各地の言語事情や英語事情を理解する上でも貴重です.小林先生はこの点に注目し,大学の英語や(社会)言語学の授業で,積極的に映画と World Englishes を導入されているとのことでした.そして,本編の最後では,小林先生の推しが「○○英語(映画)」であることが明らかにされます.皆さんの推しの英語変種は何でしょうか?
今回の小林先生との対談は第2弾でして,前回の第1弾は先日12月12日に「#925. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 小林めぐみ先生との韓国の英語をめぐる対談」として配信しています.こちらも今回の内容と関連が深いので,ぜひお聴きいただければ.また,関連する hellog 記事「#5345. 「韓国の英語」 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第10章」 ([2023-12-15-1]) も合わせてどうぞ.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
「2023年 heldio の推し配信回」を決める投票を,2023年12月25日(月)より12月31日(日) 23:59 までこちらの投票コーナーにて受け付けています(あるいは以下のQRコードよりどうぞ).ぜひ皆さんのマイベスト10を選んでいただければ幸いです.
上記の通り,「2023年 heldio の推し配信回」のランキングを決めるリスナー投票が大晦日の夜までオープンしています.今年の元日配信 #580 から12月24日配信の #937 までの計358回を対象にし,1人10件まで選択できる仕様です.
hellog 読者や heldio リスナーの皆さんにとっては,選択肢が多くて選びにくいかもしれませんし,すべての配信回を聴いているわけでもないかと思います.10件「まで」選択できるということですので,投票はマイベスト1やマイベスト3などにとどめていただいてもかまいません.参考までに Voicy のアナリティクスによる今年のランキングをいくつか公開していますので,ご参照ください.
・ 「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1])
・ 「#5354. 2023年の heldio 配信回のランキング --- コメント数編」 ([2023-12-24-1])
・ 「#5355. 2023年の heldio ではこんな配信回も注目されました --- 新規リスナー数といいね数編」 ([2023-12-25-1])
ただ,上に挙げたランキングはあくまで「客観的な数値に基づいた」ランキングです.これとは別に,リスナーの皆さんの各々の関心,思い入れ,ツボもあるかと思いますので,その辺りが反映されたリスナーによる「2023年 heldio の推し配信回」ランキングができあがるとおもしろいなと期待しています.
あわせて以下の情報も投票の参考になるかもしれませんので挙げておきます.
・ 「#5101. 2023年1月--3月の heldio 放送回ランキング」 ([2023-04-15-1])
・ note でのランキング記事
・ リスナー umisio さんによる note での振り返り記事
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第1四半期(1--3月)編」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第2四半期(4--6月)+7月 まるでカンブリア紀!?」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第3四半期(8--9月) ※7月は前回に含めた」
・ リスナー kitako さんによる Instagram での heldio 配信回紹介(カテゴリー化もなされています)
また,12月25日(月)には投票を呼びかける「#938. 2023年 heldio の推し配信回の投票を!」も配信しています.ぜひお聴きください.
私自身も昨日投票しました.皆さんの投票をお待ちしています!
同僚の井出新先生(慶應義塾大学文学部英米文学専攻)の新著『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)について,hellog でも「#5316. Shakespeare の作品一覧(執筆年代順) --- 井出新(著)『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)より」 ([2023-11-16-1]) や「#5323. Shakespeare 時代の主な劇団 --- 井出新(著)『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)より」 ([2023-11-23-1]) で取り上げてきました.
このたび新著をめぐって井出先生との Voicy heldio での対談が実現しましたので,お知らせします.「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」(33分ほどの尺)です.ぜひお聴きください.
対談のなかでは,
(1) 本書の出版や執筆の舞台裏
(2) 関連する heldio 配信回「#898. 井出新先生のご著書の紹介 --- 『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)」でリスナーさんから寄せられてきた大きな問い「なぜシェイクスピアは世界でこれほど突出した劇作家として知られているのか?」への回答
(3) 『ハムレット』における conscience の文献学的解釈
などが語られました.とりわけ (3) の話題は必聴です.文献学的解釈の醍醐味を味わっていただければと思います.
井出先生には,これまでも Shakespeare や初期近代の英語について英語史上興味深いお題を出していただく機会があり,例えば hellog でも「#4309. shall we の代わりとしての shall's (= shall us)」 ([2021-02-12-1]) などで触れています.今回の対談でもいろいろなお題を出していただきました.リラックスした雰囲気ながらも頭を刺激され続けた,楽しすぎる対談でした.井出先生,またよろしくお願いします!
・ 井出 新 『シェイクスピア それが問題だ!』 大修館,2023年.
中世英語英文学とその現代的意義を探究している岡本広毅先生(立命館大学)が,1ヶ月ほど前より NewsPicks にて「RPGで知る西洋の歴史」と題する興味深いトピックス記事の投稿を始めています.トピックスの説明によると,
エルフ,世界樹,エクスカリバー.
RPG や映画などでわたしたちが親しむこれらの言葉の起源が西洋の物語にあることは良く知られています.このような幻想的なアイテムや魔法は単なるフィクションとして片付けられるようなものではなく,西洋文明や英語文化の根幹にあるものです.このトピックスでは,世界的に愛されてきた名作ゲームや映画,物語でお馴染みの言葉から,西洋の基本的教養を味わいましょう.
とあります.早速読みたくなる方が多いのではないでしょうか.現時点で3本の記事が公開されています
1. ゲーム世界と西洋異国体験 --- RPGの鉱脈(2023年11月14日)
2. 剣と魔法と暗黒 --- 『クロノ・トリガー』にみる西洋の歴史(2023年11月28日)
3. モンスターの息づく世界 --- 野に返りし〈はぐりん〉を偲んで(2023年12月12日)
いずれも読者を引きつける記事ですが,とりわけ2つめの『クロノ・トリガー』に関する記事に引きつけられました.
この記事の後半で「中世」とは何かという話題が取り上げられています.そこで,岡本先生は medieval という単語の多義性に注目します.
ただ,中世とは単に歴史の一期間を指すだけでありません.手元の辞書で,「中世の」を意味する英語の形容詞 "medieval" を調べてみると,時代区分の次に「古臭い」「旧式の」といった後ろ向きの意味が出てきます.より専門的な辞書をみてみると「無知」「残酷」「野蛮」といったネガティブな語義が並びます."get medieval" というフレーズにおいては「中世風になる」ではなく「暴力的になる」ことを意味します.このあからさまな意味の凋落には当然疑問を覚えることでしょう.「クラシック」や「モダン」 といった語から連想するイメージを考慮すればなおさらです.
これを受け,先日12月19日に Voicy heldio で「#932. get medieval 「暴力を振るう」--- 岡本広毅さんの NewsPicks トピックスより」と題する回を配信しました.この配信回の第5チャプターには,なんと岡本先生ご本人が出演されていますので必聴です.同日の夜には,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) のほうでも続編として「【英語史の輪 #69】get medieval の続き」を配信しました(こちらには岡本先生は出演されていませんのでご注意).medieval という単語とその周辺については,もっといろいろと調べてみたいと思っています.
さて,岡本先生にはこれまでも heldio や hellog でおおいにお世話になっています.以下にリンクを張っておきますので,ぜひ渉猟していただければ.
【 heldio 対談回 】
・ heldio 「#173. 立命館大学,岡本広毅先生との対談:国際英語とは何か?」 (2021/11/20)
・ heldio 「#386. 岡本広毅先生との雑談:サイモン・ホロビンの英語史本について語る」 (2022/06/21)
・ heldio 「#478. 英語ヴァナキュラー談義(岡本広毅&堀田隆一)」 (2022/09/21)
・ heldio 「#544. 岡本広毅先生と『グリーン・ナイト』とその原作の言語をめぐって対談しました」
・ heldio 「#545. ヴァナキュラーな『グリーン・ナイト』(岡本&堀田の対談)」 (2022/11/27)
・ heldio 「#932. get medieval 「暴力を振るう」--- 岡本広毅さんの NewsPicks トピックスより (2023/12/19)
【 hellog 関連回 】
・ 「#4962. 岡本広毅先生と『グリーン・ナイト』とその原作の言語をめぐって対談しました」 ([2022-11-27-1])
・ 「#4600. egges or eyren:なぜ奥さんは egges をフランス語と勘違いしたのでしょうか?」 ([2021-11-30-1])
・ 「#4591. 立命館大学での講演「世界の "English" から "Englishes" の世界へ」を終えました」 ([2021-11-21-1])
一昨日の「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]),および昨日の「#5354. 2023年の heldio 配信回のランキング --- コメント数編」 ([2023-12-24-1]) に続き,2023年の heldio 配信回を振り返ります.今回は (1) 「新規リスナー」が多く参入した配信回と,(2) 「いいね」を多くいただいた配信回に基づいた2つのリストを提示します.いずれのランキングでも上位の配信回は一昨日のリスナー数に基づいたランキング表と重なるものが多いので,あえて後者ランキング表に含まれないものを選び,上位10件ずつを示します.
お聴きでない回,おもしろそうな回があれば,ぜひ年末年始にお時間のあるときにお聴きください.
(1) 「新規リスナー」の数に基づく上位配信回
1. 「#866. 「湯」は1語で hot water は2語 --- これは何を意味する?」 (2023/10/14)
2. 「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」 (2023/09/06)
3. 「#819. 古英語地名入門 with 小河舜さん」 (2023/08/28)
4. 「#680. なぜ「日本人」は Japanian などではなく Japanese なの? --- 青木輝さんとの対談」 (2023/04/11)
5. 「#654. 副業すると tax 絡みの task が増えまして --- 何だか似ている2語」 (2023/03/16)
6. 「#650. 英語史の知恵が AI に負けない3つの理由」 (2023/03/12)
7. 「#614. 朝ルーチンを確立して自動化する --- routine の話し」 (2023/02/04)
8. 「#604. なぜ慣用句では冠詞が省略されるの? --- for example や from hand to mouth など」 (2023/01/25)
9. 「#590. 日本は言語多様性指数がきわめて低い国」 (2023/01/11)
10. 「#589. come of age 「成人する」」 (2023/01/10)
(2) 「いいね」の数に基づく上位配信回
1. 「#756. "the title of the book" か "the book's title" か? with 川島さん --- 「khelf 声の祭典」第10弾」 (2023/06/26)
2. 「#647. メールの件名でみる RE: って何ですか?」 (2023/03/09)
3. 「#662. 印欧祖語の故郷をめぐるブナ問題」 (2023/03/24)
4. 「#809. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 (2023/08/18)
5. 「#876. ゼミ合宿収録シリーズ (7) --- 情報構造入門」 (2023/10/24)
6. 「#585. ウクライナ人がウクライナ語を学び始めてるってどういうこと? --- 国家と言語の複雑な関係」 (2023/01/06)
7. 「#637. なぜ「アメリカ語」ではないの?」 (2023/02/27)
8. 「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」 (2023/10/23)
9. 「#584. 旧ユーゴの言語事情」 (2023/01/05)
10. 「#631. 最近よく聞く generative って何? --- 語源探究回」 (2023/02/21)
昨日の記事 ([2023-12-23-1]) に引き続き,2023年の heldio 配信回のランキングを提示します.今日お示しするのは,寄せていただいたコメント数に基づく一風変わったランキング表です.今年は heldio のコメント欄がおおいに盛り上がり,リスナーコミュニティというべきものが徐々にできあがってきた年でした.コメント欄の盛り上がりをきっかけに聴いてみた,というような配信回もあったかもしれません.
その配信回がおもしろかったかどうかは別として,リスナーの皆さんから多くのコメントが寄せられてきたのには理由がありそうです.例えばトップに輝いた「#821. ニックネームを語ろう --- 9月3日(日) 19:00--20:00 の生放送のためにリスナーの皆さんへの呼びかけ」には112件ものコメントが付けられましたが,これは後日の生放送のために「ニックネーム」をお題としてリスナーの皆さんにコメント投稿を呼びかけたからです.第2位の「#800. 「英語は(私にとって)○○です」を募集します --- (日)の生放送に向けたリスナー参加型企画」も意見を募集する配信回でした.そのほか対談回もコメントがよく集まる傾向があるようです.
昨日のランキング表とあまり重なりがないラインナップとなっています.年末にかけて,ぜひいくつか聴いてみてください.
1. 「#821. ニックネームを語ろう --- 9月3日(日) 19:00--20:00 の生放送のためにリスナーの皆さんへの呼びかけ」 (2023/08/30)
2. 「#800. 「英語は(私にとって)○○です」を募集します --- (日)の生放送に向けたリスナー参加型企画」 (2023/08/09)
3. 「#637. なぜ「アメリカ語」ではないの?」 (2023/02/27)
4. 「#771. 「言語は○○のようだ」 --- 概念メタファーをめぐるリスナー参加型企画のご案内」 (2023/07/11)
5. 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」 (2023/10/20)
6. 「#650. 英語史の知恵が AI に負けない3つの理由」 (2023/03/12)
7. 「#704. なぜ日本語には擬音語・擬態語が多いのか? --- 森田まさにゃん,五所さん,藤原くんと音象徴を語る爆笑回」 (2023/05/05)
8. 「#773. 小河舜さんとの新シリーズの立ち上げなるか!?」 (2023/07/13)
9. 「#686. 英語史の知識は,英語の先生が英語を教えるときに本当に役立つのか?」 (2023/04/17)
10. 「#672. フレッシュに英語史,fresh に hel活」 (2023/04/03)
11. 「#794. 辞書で同一形態の単語に対して別見出しを立てるかどうか問題」 (2023/08/03)
12. 「#702. いいネーミングとは? --- 五所万実さん,藤原郁弥さん,まさにゃんとの対談」 (2023/05/03)
13. 「#809. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 (2023/08/18)
14. 「#690. なぜ leave の過去・過去分詞が left なの?」 (2023/04/21)
15. 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」 (2023/09/14)
16. 「#646. 「~を除いて」を意味する前置詞 save」 (2023/03/08)
17. 「#667. 五所万実さんとの対談 --- 商標言語学とは何か?」 (2023/03/29)
18. 「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」 (2023/10/31)
19. 「#635. 英語と日本語の共通点って何かありますか?--- まさにゃん&青木くんと第2弾」 (2023/02/25)
20. 「#919. リスナーの皆さんにお伺いです --- heldio を聴き始めたきっかけは何ですか?」 (2023/12/06)
21. 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」 (2023/03/31)
22. 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」 (2023/04/01)
23. 「#882. ゼミ合宿収録シリーズ (8) --- シンガポールの英語事情」 (2023/10/30)
24. 「#633. 答えを出すより問いを立てよ」 (2023/02/23)
25. 「#678. 4月7日に「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を heldio 生放送でお届けしました」 (2023/04/09)
26. 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」 (2023/09/07)
27. 「#654. 副業すると tax 絡みの task が増えまして --- 何だか似ている2語」 (2023/03/16)
28. 「#656. 現在から過去にさかのぼる英語史」 (2023/03/18)
29. 「#885. 慶早戦か早慶戦か? --- khelf 藤原くんと寺澤さんとの雑談」 (2023/11/02)
30. 「#903. "potato kid" のエピソード --- 『スペリングの英語史』の紹介」 (2023/11/20)
本ブログの姉妹版・音声版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)では,今年も1月1日から本日12月23日まで,毎朝6時に英語史の話題を声でお届けしてきました.元日配信の #580 から昨日配信の #935 までの計356回を2023年分の配信回とみなし,向こう数日をかけてランキング表や注目配信回のリストを提示していきます.そして,来週中,年末までの1週間で,リスナーの皆さんや hellog をお読みの皆さんに「2023年 heldio の推し配信回」を決めてもらう投票を行ないたいと思います.お付き合いの程よろしくお願いします.(過去のすべての配信回の一覧はこちらよりアクセスできます.)
以下に掲げる一覧は,Voicy のアナリティクスより提供された,当該配信回を聴取した「合計リスナー」数に基づいたベスト30のランキング表です.今年は人気 YouTube/Podcast チャンネル「ゆる言語学ラジオ」に出演させていただいたこともあり,そちらから heldio へリスナーさんの流入があり,結果として「ゆる言語学ラジオ」関連回は多くの方々に聴いていただきました.この事情がランキング上位に反映しているようです.そのほか khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーとの対談回や khelf による企画などにも注目が集まりました.「素朴な疑問」系の配信回も堅調でした.
ぜひこちらのランキング表を参考に,年末にかけて聴き逃していた回,改めて興味を抱いた回などをお聴きいただければ幸いです.
1. 「#705. ゆる言語学ラジオにお招きいただき初めて出演することに!」 (2023/05/06)
2. 「#729. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生のための英語史」 (2023/05/30)
3. 「#595. heah/hih/high --- 「ゆる言語学ラジオ」から飛び出した通時的パラダイム」 (2023/01/16)
4. 「#698. 先生,アルファベットの歴史を教えてください! --- 寺澤志帆さんとの対談」 (2023/04/29)
5. 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」 (2023/08/31)
6. 「#689. 『言語沼』 --- ゆる言語学ラジオから飛び出した言語本」 (2023/04/20)
7. 「#711. なぜ be going to は未来を意味するの? --- khelf 広報の渡邉さんとの対談」 (2023/05/12)
8. 「#621. なぜ new something ではなく something new なの?」 (2023/02/11)
9. 「#779. 「ゆる言語学ラジオ」で evident (evidence) について触れなかったこと --- 現在分詞なのに受け身の意味になっているゾ!」 (2023/07/19)
10. 「#628. 古英語の単語はどれくらい現代英語に受け継がれているの?」 (2023/02/18)
11. 「#625. Turkey --- トルコと七面鳥の関係」 (2023/02/15)
12. 「#784. なぜ進行形は be + -ing なのですか? --- リスナーさんからの素朴な疑問」 (2023/07/24)
13. 「#725. なぜ命令文には主語が現われないの?」 (2023/05/26)
14. 「#707. 先生,なんで doubt には発音しないのに <b> が入ってるんですか? --- 寺澤志帆さんとの対談」 (2023/05/08)
15. 「#735. 古英語音読 --- マタイ伝「種をまく人の寓話」より毒麦の話」 (2023/06/05)
16. 「#606. 英語のスペリングは漢字である」 (2023/01/27)
17. 「#715. ケルト語仮説」 (2023/05/16)
18. 「#602. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」 (2023/01/23)
19. 「#709. なぜ同一単語に多くのスペリングが存在し得たのか? --- 「ゆる言語学ラジオ」出演第2回で話題となった515通りの through の怪」 (2023/05/10)
20. 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」 (2023/10/20)
21. 「#688. なぜ不定詞には to 不定詞 と原形不定詞の2種類があるの?」 (2023/04/19)
22. 「#684. 英語史でみる不規則動詞の仕組み --- 藤原郁弥さんとの対談」 (2023/04/15)
23. 「#618. 英語史の時代区分」 (2023/02/08)
24. 「#708. unmummied --- 「ゆる言語学ラジオ」初出演回で話題となった縦棒16連発を記録した単語」 (2023/05/09)
25. 「#724. -er は本当に行為者接尾辞なの?」 (2023/05/25)
26. 「#745. 日本人よ,文字論に目覚めよ」 (2023/06/15)
27. 「#687. 「子音字+y は y を i に変えて -ed」 --- その規則いったい何?」 (2023/04/18)
28. 「#598. メタファーとは何か? 卒業生の藤平さんとの対談」 (2023/01/19)
29. 「#626. 陶磁器の china と漆器の japan --- 産地で製品を表わす単語たち」 (2023/02/16)
30. 「#734. Japan, Japanese, Nippon の語源と英語での初出年代」 (2023/06/04)
過去の heldio のランキングやその他の配信回一覧については,
・ 「#4996. 今年1年間でよく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-12-31-1])
・ 「#5101. 2023年1月--3月の heldio 放送回ランキング」 ([2023-04-15-1])
・ note のランキング記事
・ リスナー umisio さんによる note での振り返り記事
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第1四半期(1--3月)編」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第2四半期(4--6月)+7月 まるでカンブリア紀!?」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第3四半期(8--9月) ※7月は前回に含めた」
などもご参照ください.
本ブログの音声版というような位置づけで,毎朝 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)より英語史関連の話題を発信しています.目下 Voicy による音声配信に新しい可能性を見出しています.まず,上記2つの関連する配信回をお聴きいただければと思います(下に挙げるものは追加も含め3つの配信へのリンクです).
(1) 「#729. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生のための英語史」(2023年5月30日配信.上記の左の配信回です.)
(2) 「#929. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生からの反響」(2023年12月16日配信.上記の右の配信回です.)
(3) 「【英語史の輪 #68】今朝の中学生からの生の声をもっとお届け!」(2023年12月16日配信.(2) の続編ですが,こちらは有料のプレミアムリスナー限定配信チャンネルでの配信となっています.)
今年の5月末に,中学生のリスナーは事実上ゼロであることを知りながら,間接的に声が届く可能性に期待して (1) を配信しました.実際には,中学生のみならず一般リスナーの皆さんにも聴いて,考えていただきたい内容でお話ししました.配信直後よりリスナーの皆さんより多くの反響をいただき,これまでの heldio 配信回のなかでも飛び抜けてよく聴かれる回となりました.
そんな折,先日英語教員のリスナーの方より連絡がありました.中学校の生徒たちにこの配信回を聴いてもらい,意見を書いてもらうという授業課題を出すことを考えている,とのことでした.ぜひどうぞ,むしろよろしくお願いしますと返答したところ,後日,同先生より,中学1年生120名からの回答・意見を得たとのことで,その匿名化された文章を共有させていただきました.
私自身は(意外にも)多くの中学生に本当に声が届いた!という喜びを感じましたし,このような課題を思いつき実施した同先生の熱意にも感服しました.そして,何よりも生徒さん一人一人が,配信回を聴いた上で,じっくりと「なぜ英語を学ばなければならないの?」という問いに向き合った様子が,文章からはっきりと伝わってきことに,感動を覚えました.
ぜひこの気持ちを生徒さんや先生にフィードバックしたいと思い,中学校の英語教員経験のある khelf(慶應英語史フォーラム)の寺澤志帆さんとともに,(2) の配信回を収録し,公開したという次第です.
英語史研究者冥利,Voicy heldio パーソナリティ冥利に尽きる経験でした.ありがとうございました.
英語の先生方,本ブログをお読みの方々,heldio リスナーの皆さん,ぜひ機会がありましたら中学生(のみならず小学生,高校生,大学生など)に上記の配信回を聴いてもらえるよう促していただければ幸いです.
10月に昭和堂から出版された『World Englishes 入門』について,本ブログでも多く取り上げてきています.先日,本書の第12章「韓国の英語」を執筆された小林めぐみ先生(成蹊大学)と Voicy heldio にて対談しました.韓国は身近な国ですし,韓国が過酷な学歴社会であることや,関連する教育事情についての情報も入ってくることはあります.しかし,とりわけ英語教育事情については,知っているようでほとんど知らなかったことに,本書を読んで気づきました.今回の対談では執筆者の先生に直接お話しを伺い,たいへん勉強になりましたし,何よりもおしゃべりを楽しむことができました.小林先生,ご出演ありがとうございました.そして,今後ともどうぞよろしくお願いいたします.
本編で30分ほどの音声コンテンツとなっています.「#925. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 小林めぐみ先生との韓国の英語をめぐる対談」です.ぜひお聴き下さい.
今回話題となった本書の第10章「韓国の英語」 (pp. 163--75) は,以下の構成となっています.章末には「研究テーマ」コーナーと参考文献も付されています.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
先日12月11日(月)の18:00より「名前プロジェクト」 (name_project) のメンバー4名で「名付け」 (naming) についておしゃべりする Voicy heldio の生放送をお届けしました.ライヴで参加いただいたリスナーの皆様には,盛り上げに貢献くださり,ありがとうございました.
生放送の様子は,昨日13日(水)朝の通常配信回としてもお届けしましたので,本ブログの読者の皆様も,ぜひお時間のあるときにお聴きください.「#926. 名付ける際はここがポイント【名前プロジェクト企画 #2】(12月11日(月)生放送のアーカイヴ)」です(60分ほどの回です).
今回は「名付け」という人間らしい行為に注目し,事前にリスナーの方々より名付けに関して寄せられてきたコメントを読み上げつつ,メンバー4名であれこれとカジュアルにおしゃべりしました.人間は何に名前をつけるのか,名前をつける動機は何か,どの点を重視して名付けるのか,など自由に語り合いました.とりわけ「京都大学11月祭統一テーマ」の話題や,ファイル名をいかに付けるべきかなどの問いで盛り上がりました.
今回の heldio 生放送は,名前プロジェクトの第2弾としてお届けしました.同じメンバーによる heldio 生放送の第1弾は「#5248. ニックネームを考察するための切り口」 ([2023-09-09-1]) でまとめた通り,9月に「#826. ニックネームを語ろう【名前プロジェクト企画 #1】(生放送)」としてお届けしました.こちらも合わせてお聴きいただければ幸いです.
そもそもこの名前プロジェクトとは何なのか.これについては hellog 記事「#5217. 「名前プロジェクト」が立ち上がりました」 ([2023-08-09-1]) や heldio 配信回「#799. 「名前プロジェクト」立ち上げ記念収録 with 小河舜さん,矢冨弘さん,五所万実さん」をご参照ください.
メンバーは以下の4名で,今後もプロジェクト関連イベントを開いていきたいと思っています.よろしくお願いします.
- 五所万実さん(目白大学)
- 矢冨弘さん(熊本学園大学)
- 小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)
- 堀田隆一(慶應義塾大学)
ちなみに上記生放送の後,2次会と称してプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) でおしゃべりの続編を収録しました.「【英語史の輪 #66】博士論文とファイル名」というお題で,五所&小河&堀田の3人で語り続けています.こちらにご関心のある方は,ぜひサブスクリプションしていただいた上でお聴きいただければ.
標記の企画のために日々5件の投票フォームへのリンクを張りつけていきますので,こちらより多くの皆さんのご投票をお待ちしています(12月12日(火)以降の分は「後記」となります).
・ 1日目,12/11(月) ABCDE の投票フォーム
・ 2日目,12/12(火) FGHIJ の投票フォーム
・ 3日目,12/13(水) KLMNO の投票フォーム
・ 4日目,12/14(木) PQRST の投票フォーム
・ 5日目,12/15(金) UVWXYZ の投票フォーム
こちらの Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) は今朝の配信回です.「#924. 今週は「変なアルファベット表」のための投票週間です」として,khelf(慶應英語史フォーラム)の寺澤志帆さんとともに重要な「投票の呼びかけ」についての告知をいたしました.ぜひお聴き下さい.
2ヶ月近く前のことになりますが khelf によるの英語史活動の一環として「変なアルファベット表」を作ろうという企画が立ち上がりました.この企画については「#5303. 『英語史新聞』第7号が発行されました」 ([2023-11-03-1]) で紹介した『英語史新聞』第7号で触れたほか,Voicy heldio の配信で何度か広報してきました.さらに,やや遅ればせながら,つい先日のことになりますが「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」でも宣伝しました.この企画に関する広報関連リンクを以下に張っておきます.
・ heldio 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」
・ heldio 「#873. スペリングの規則と反則 --- 「変なアルファベット表」企画に寄せて」
・ heldio 「#887. khelf 寺澤志帆さんと「変なアルファベット表」企画の中間報告」
・ helwa 「【英語史の輪 #42】変なアルファベット表を作る企画」
・ helwa 「【英語史の輪 #43】変なアルファベット表企画への反響」
・ YouTube 「eye はもっとへんなつづりだった!!三文字規則が生み出した現象たち?--へんなアルファベット表向け単語大募集!【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル 第185回」
この2ヶ月ほどの間,皆さんから多くの「変な綴字の単語」の候補が寄せられてきました.予期していたよりも多く寄せていただきまして,応募にご協力いただいた方々には心より感謝申し上げます.ありがとうございました.
先日,単語応募を締め切りました.今週からは「変なアルファベット表」を作成するために次のステージに進みたいと思います.皆さんから寄せられた候補単語を整理し,Google Forms を利用して1人1票の投票を実現する「投票用紙」を準備しました.アルファベットの各文字で始まる単語のうち,「変なアルファベット表」に掲載するのに皆さんが最もふさわしいと考える「変な単語」を選択肢より1つ選び,ご回答いただければと思います.
上記の今朝の heldio 配信回で詳しくご案内していますが,今週1週間を集中的な投票期間としたいと思っております.本日(月)から始めて(金)までの5日間,毎日アルファベット順で5--6文字に注目し,それぞれの文字で始まる候補単語群から1つベスト(ワースト?)な単語を選んでいただきます.向こう数日間,毎朝の heldio,あるいは khelf の X(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より,投票用の Google Forms へのアクセスをリマインド致しますので,ぜひご投票いただけますと幸いです(khelf HP でも案内します).本日より順次公開されてくる全5件の Google Forms につきましては,皆さんの投票の便を図るために上記の通り毎朝都度ご案内していく予定ですが,その日の終わりに各フォームを閉じるわけではありません.向こう2週間12月24日(日)まですべてのフォームをオープンしていますので,都度でもまとめてでも,お時間の許すときにご投票いただければと思います.
一昨日12月8日(金)の夜に,帝京科学大学の金田拓さんとともに,Baugh and Cable の英語史書の「対談精読実況生中継」を Voicy heldio/helwa で配信しました.前半と後半を合わせて2時間弱の濃密なおしゃべり読書会となりました.ライヴでお聴きいただいた多くのリスナーの方々に感謝いたします.ありがとうございました.
精読対象となったのはの同書の第32節 The Germanic Conquest (ゲルマン征服)です.伝統的に英語史の開始とされる449年とその前後の出来事にフォーカスしました.対談相手を務めていただいた Taku さんとともに,著者の英文に唸りつつ,内容についてもなるべく深く掘り下げて議論しました.当該の英文テキストは,先日の予告記事「#5335. 「ゲルマン征服」 --- Baugh and Cable の英語史より」([2023-12-05-1])に掲載しています.
(1) 「#922. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(前半)」
(2) 「【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半)」(12月分のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) に含まれる有料配信です)
今回の対談精読実況生中継をお聴きになって,このオンライン精読シリーズに関心を持った方は,ぜひ本書を入手し,シリーズ初回からゆっくりと追いかけていただければと思います.間違いなく良書です.配信のバックナンバーは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) よりご確認ください.今後も週1,2回のペースでシリーズを継続していきます!
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
この5ヶ月ほど,Baugh and Cable の英語史の古典的名著 A History of the English Language (第6版)を原書で精読する Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) でのシリーズ企画(有料配信)を進めています.週に1,2回のペースで,1回1セクションを精読しながら,私が英文や内容について英語史の観点から自由にコメントしていくオンライン読書会というスタイルで続けています.一緒に読んでいく仲間も少しずつ増えてきています.バックナンバーは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]))にまとめてありますので,そちらからアクセスしてください.
普段は有料配信(ただし第1チャプターのみ試聴可)でお届けしているのですが,ときどきシリーズを紹介するという趣旨もあり無料公開しています.とりわけゲスト講師をお招きして一緒に対談精読実況生中継する特別回は,多くの方々に聴いていただきたいこともあり,長尺配信の少なくとも一部は無料公開しています.次のそのような機会は,来たる12月8日(金)の午後6時です.金田拓さん(帝京科学大学)とともに,本書の第32節となる "The Germanic Conquest" を実況生中継でお届けします.前半の通常配信と後半プレミアム限定配信を組み合わせ,計2時間弱の長尺配信となる見込みです.生配信しますのでできればライヴでお聴きいただき,コメントや質問なども投げていただければと思いますが,都合がつかない方のために後日アーカイヴとしても配信する予定です.
今回精読対象となる第32節 "The Germanic Conquest" 「ゲルマン征服」は,英語史上きわめて重要なセクションです.以下2ページ弱のテキストを掲載しておきます(できれば本書を入手していただくのがベストです).
32. The Germanic Conquest. About the year 449, an event occurred that profoundly affected the course of history. In that year, as traditionally stated, began the invasion of Britain by certain Germanic tribes, the founders of the English nation. For more than a hundred years, bands of conquerors and settlers migrated from their continental homes in the region of Denmark and the Low Countries and established themselves in the south and east of the island, gradually extending the area they occupied until it included all but the highlands in the west and north. The events of these years are wrapped in much obscurity. Although we can form a general idea of their course, we are still in doubt about some of the tribes that took part in the movement, their exact location on the continent, and the dates of their respective migrations.
The traditional account of the Germanic invasions goes back to Bede and the Anglo-Saxon Chronicle. Bede in his Ecclesiastical History of the English People, completed in 731, tells us that the Germanic tribes that conquered England were the Jutes, Saxons, and Angles. From what he says and from other indications, it seems possible that the Jutes and the Angles had their home in the Danish peninsula, the Jutes in the northern half (hence the name Jutland) and the Angles in the south, in Schleswig-Holstein, and perhaps in a small area at the base. The Saxons were settled to the south and west of the Angles, roughly between the Elbe and the Ems, possibly as far as the Rhine. A fourth tribe, the Frisians, some of whom almost certainly came to England, occupied a narrow strip along the coast from the Weser to the Rhine, together with the islands opposite. But by the time of the invasions, the Jutes had apparently moved down to the coastal area near the mouth of the Weser and possibly also around the Zuyder Zee and the lower Rhine, thus being in contact with both the Frisians and Saxons.
Britain had been exposed to attacks by the Saxons from as early as the fourth century. Even while the island was under Roman rule, these attacks had become sufficiently serious to necessitate the appointment of an officer known as the Count of the Saxon Shore, whose duty it was to police the southeastern coast. At the same time, the unconquered Picts and Scots in the north were kept out only at the price of constant vigilance. Against both of these sources of attack the Roman organization seems to have proved adequate. But the Celts had come to depend on Roman arms for this protection. They had, moreover, under Roman influence, settled down to a more peaceful mode of life, and their military traditions had lapsed. Consequently, when the Romans withdrew in 410, the Celts found themselves at a disadvantage. They were no longer able to keep out the warlike Picts and Scots. Several times they called upon Rome for aid, but finally the Romans, fully occupied in defending their own territory at home, were forced to refuse assistance. It was on this occasion that Vortigern, one of the Celtic leaders, is reported to have entered into an agreement with the Jutes whereby they were to assist the Celts in driving out the Picts and Scots and to receive as their reward the Isle of Thanet on the northeastern tip of Kent.
The Jutes, who had not been softened by contact with Roman civilization, were fully a match for the Picts and Scots. But Vortigern and the Celts soon found that they had in these temporary allies something more serious to reckon with than their northern enemies. The Jutes, having recognized the weakness of the Britons, decided to stay in the island and began making a forcible settlement in the southeast, in Kent. The settlement of the Jutes was a very different thing from the conquest of the island by the Romans. The Romans had come to rule the Celtic population, not to dispossess it. The Jutes came in numbers and settled on the lands of the Celts. They met the resistance of the Celts by driving them out. Moreover, the example of the Jutes was soon followed by the migration of other continental tribes. According to the Anglo-Saxon Chronicle, some of the Saxons came in 477, landed on the south coast, and established themselves in Sussex. In 495, further bands of Saxons settled a little to the west, in Wessex. Finally, in the middle of the next century, the Angles occupied the east coast and in 547 established an Anglian kingdom north of the Humber. Too much credence, of course, cannot be put in these statements or dates. There were Saxons north of the Thames, as the names Essex and Middlesex (the districts of the East Saxons and Middle Saxons) indicate, and the Angles had already begun to settle in East Anglia by the end of the fifth century. But the entries in the Chronicle may be taken as indicating in a general way a succession of settlements extending over more than a century, which completely changed the character of the island of Britain.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
本ブログの姉妹版・音声版 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)を毎朝6時にお届けしていますが,それと並行して月次サブスクリプションの有料チャンネル「プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa)」を毎週火木土の夕方6時に配信しています(ウェブブラウザ経由で入会いただくと手数料なしの月額800円です).
今年6月に開設したこの「英語史の輪」 (helwa) も,プレミアムリスナーの皆さんの温かいご支援のもとで,まる6ヶ月間続けてこられました.ありがとうございます.有志のコアリスナーによる heldio/helwa 応援系のコンテンツ発信も増えてきておりまして,感謝に堪えません.ぜひ「#5256. heldio/hel活応援リンク集」 ([2023-09-17-1]) をご参照ください(また「#5301. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の5ヶ月の軌跡」 ([2023-11-01-1]) もご覧ください).
今晩6時に配信予定の回をもって,11月分の全13回が出そろうことになります.出そろったところでタイトルを眺め,サブスク入会を検討される方もいらっしゃるかと思いますので,今月分のラインナップを以下に示します.
・ 【英語史の輪 #49】ピリオド,セミコロン,コロンでこんなに意味が変わる!(2023/11/02)
・ 【英語史の輪 #50】you について語る(2023/11/04)
・ 【英語史の輪 #51】you のおそるべき多義性(2023/11/07)
・ 【英語史の輪 #52】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(後半)(2023/11/09)
・ 【英語史の輪 #53】酒飲みが大騒ぎしたセミコロン(2023/11/11)
・ 【英語史の輪 #54】『英語史新聞』第7号慰労会を終えました(2023/11/14)
・ 【英語史の輪 #55】無文字言語 --- 伊藤雄馬さんの『ムラブリ』より(2023/11/16)
・ 【英語史の輪 #56】話し言葉は立体,書き言葉は平面 --- 伊藤雄馬さんの文字談義(2023/11/18)
・ 【英語史の輪 #57】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 2/3(2023/11/23)
・ 【英語史の輪 #58】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 3/3(2023/11/24)
・ 【英語史の輪 #59】アナロジー(2023/11/25)
・ 【英語史の輪 #60】アナロジーは本当に秩序をもたらしてくれる?(2023/11/28)
・ 【英語史の輪 #61】12月8日(金)の helwa 忘年会に向けて(2023/11/30)
振り返ってみると,今月は通常配信 heldio で取り上げた話題の発展版を helwa のほうでお届けする機会が多かったですね.「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを helwa 生放送でお届けするという企画も複数回実施しました.また,『ムラブリ』の著者の伊藤雄馬さんと helwa を通じて間接的に交流できたのも嬉しい出来事でした.
来たる12月8日(金)の夜には,プレミアムリスナーの皆さんとともに,オンラインでの helwa 忘年会を開催する予定です.プレミアムリスナーであれば参加自由の会ですので,これを機に,月替わりとなる明日以降,12月分にサブスクしていただければ幸いです.今後も hellog/heldio/helwa をよろしくお願いいたします!
11月22日(水)の午後に,khelf の藤原郁弥さんとともに,標題について Voicy heldio で対談精読実況生中継を配信しました(同日の hellog 記事「#5322. 印欧語族人の故郷 --- Baugh and Cable の英語史より」 ([2023-11-22-1]) も参照).
Baugh and Cable の英語史の古典的名著 A History of the English Language (第6版)を原書で精読していくシリーズの特別回としてお届けしました.今回注目したのは第2章の最後の節となる第26節 "The Home of the Indo-Europeans" です.印欧語比較言語学における最も重要な問題の1つであり,さぞかし対談も盛り上がるだろうと予想されたので,最初から長時間配信を念頭においていました.結果として,50分ほどの生配信を3回,合計で2時間半近くの長尺生放送をお届けすることになりました.ライヴでお聴きのリスナーの皆さんには貴重なコメントや励ましをいただきました.ありがとうございました.
生配信の後,第1回は11月23日(木)朝の通常配信,第2回は同日夜のプレミアム限定配信,第3回は24日(金)夜のプレミアム限定配信としてお届けしました.この週末などお時間のある折りに,以下より各回をお聴きください.
(1) 「#906. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans --- khelf 藤原くんとの実況中継 1/3」
(2) 「【英語史の輪 #57】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 2/3」
(3) 「【英語史の輪 #58】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 3/3」
英文精読を学べる読書会となっています.また今回は,印欧人の故郷をめぐる学説対立や各学説が依拠してきた証拠の問題など踏み込んだ部分についても議論できたと思います.
今後もこのオンライン読書会シリーズは,ゆっくりと続けていく予定です.精読の仲間も少しずつ増えてきています.ぜひ関心がある方は,テキストを入手の上ご参加ください.関連配信の一覧は「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]))に掲載しています.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
Baugh and Cable の英語史の古典的名著 A History of the English Language (第6版)を原書で精読する Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) でのシリーズ企画を始めて4ヶ月が過ぎました(cf. 「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1])).ゆっくりペースではありますが途切れずに進んでいますし,オンライン精読の仲間も少しずつ増えてきています.
目下,第2章の最終節,第26節 The Home of the Indo-Europeans 「印欧語族人の故郷」に入ろうというところです.本日の午後,khelf の藤原郁弥さんとともに,第26節(およびまとめとして第2章全体も)に注目して Voicy heldio/helwa にて対談精読実況生中継を配信する予定です.リラックスしたおしゃべり回の体裁をとりますが,中身の濃い回となるはずです.精密な英文解釈に加え,英語史研究者の立場から印欧語族とその故郷について縦横無尽に議論したいと思います.
開始時刻は午後2時頃の予定で,通常配信とプレミアム限定配信の生放送を組み合わせて最長で3時間ほどになる可能性があります.生配信でお聴きになれない方は,後日アーカイヴでも配信しますので,時間のあるときにそちらでゆっくり聴取していただければと思います.こちらの heldio チャンネルをフォローいただきますと,予定通知や開始通知を受け取ることができるようになりますので,ぜひフォローをよろしくお願いいたします(目下フォロワーは5,224名となっています).また,生配信では投げ込みのコメントや質問等もお待ちしていますので,ぜひお寄せください.
午後の配信に合わせ,4ページ余りの8段落からなる第26節のうち,最初の3段落を以下に掲載します.残りの部分を合わせた本節全文については,プレミアム限定配信にて共有いたします(できれば本書を入手していただくのがベストです).
26. The Home of the Indo-Europeans. It is obvious that if the languages just described represent the progressive differentiation of an original speech, this speech, which we may for convenience call the Indo-European language, must have been spoken by a population somewhere at some time. What can be learned about these people and their early location?
Concerning their physical character, practically nothing can be discerned. Continuity in language and culture does not imply biological descent. It is not an uncommon phenomenon in history for a people to give up their own language and adopt another. Sometimes they adopt the language of their conquerors, or of those whom they have conquered, or that of a people with whom they have simply become merged in a common territory. The Indo-European languages are spoken today in many cultures that until recently had completely unrelated heritages. To judge by the large variety of people who have spoken these languages from early times, it is quite possible that the people of the original Indo-European community already represented a wide ethnic diversity. Neither can we form any very definite idea of the date at which this people lived as a single, more or less coherent community. The period of their common life must have extended over a considerable stretch of time. It is customary to place the end of their common existence somewhere between 3500 and 2500 B.C.
With respect to the location of this community at a time shortly before their dispersal, we have at least a basis for inference. To begin with, we may assume that the original home was in that part of the world in which the languages of the family are chiefly to be found today, and we may omit from consideration Africa, Australia, and the American continents because we know that the extension of Indo-European languages in these areas has occurred in historical times. History and its related sciences, anthropology and archaeology, enable us also to eliminate certain other regions, such as the British Isles and the peninsulas of Southern Europe. Early literary tradition occasionally preserves traces of a people at a former stage in their history. The earliest books of the Hindus, for example, the Vedas, show an acquaintance with the Indus but not with the Ganges, indicating that the Indo-Europeans entered India from the northwest. In general, we may be fairly sure that the only regions in which it is reasonable to seek the original home of the Indo-European family are the mainland of Europe and the western part of Asia.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
本ブログでたびたび紹介している,この10月に昭和堂から出版された『World Englishes 入門』より,第12章「モンゴルの英語」というユニークな話題を紹介します.モンゴルの言語事情や英語学習・教育事情は,多くの日本人にとって未知の領域ではないでしょうか.私自身も,まったくといってよいほど知りませんでした.
先日,この章を執筆された梅谷博之先生(明海大学)と Voicy heldio にて対談する機会を得ました.初めてお目にかかっての対談でしたが,あまりに楽しくおもしろいおしゃべりとなり,いろいろな意味で目を開かれました.梅谷先生,ありがとうございました.そして,今後ともどうぞよろしくお願いいたします.「#901. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 梅谷博之先生とのモンゴルの英語をめぐる対談」です.本編で20分ほどの音声コンテンツとなっています.
今回取り上げた本書の第12章「モンゴルの英語」 (pp. 189--99) は,以下の構成となっています.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
伊藤雄馬さんによる『ムラブリ』(集英社インターナショナル,2023年)は,「ゆる言語学ラジオ」や「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」他でもすでに紹介されており,言語学界隈ではよく知られた存在になっています.
本書はインドシナ最後の森の狩猟民,ムラブリ (Mlabri) とその言語をフィールド調査した記録ですが,そのままムラブリに「持っていかれてしまった」言語学者,伊藤雄馬さんの青春記というべきものにもなっています.
先日,井上・堀田の YouTube に伊藤さんをゲストとしてお招きし,ムラブリや言語一般をめぐる対談回を収録しました.ただいま準備中ですが,いずれ公開されますので,そちらもお楽しみに!
・ 伊藤 雄馬 『ムラブリ』 集英社インターナショナル,2023年.
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