新著『World Englishes 入門』は,本ブログでもすでに何度か取り上げてきました.その第2章「アメリカとカナダの英語」を執筆された今村洋美先生(中部大学)と,Voicy heldio にて対談させていただきました.「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」です.本編とアフタートークを合わせて20分ほどの音声コンテンツです.ぜひお聴きください.
以下,第2章の内部の小見出し等を紹介します.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
早いもので今年も11月となりました.
本ブログの姉妹版・音声版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)では,今年の6月より,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) という月次サブスクリプションの有料チャンネルを開始しています.その収益は khelf(慶應英語史フォーラム)の英語史活動(hel活)に回し,日々の heldio の収録や,一昨日 khelf より発行された『英語史新聞』第7号の制作の関連費用などに充てています.
helwa を立ち上げて5ヶ月が経ちますが,現時点で40名超の方々にプレミアムリスナーとなっていただいています.毎月コミュニティが少しずつ大きくなってきており,少しずつ活動の質と量も高くなってきてます.新しい月となりましたので,関心はあるけれども入会に躊躇してきたという方々は,ぜひ今月こそプレミアムリスナーとしてコミュニティに加わっていただければと存じます.
月ごとのサブスクリプションで,新月のみならず過去月の各々もアーカイヴとして別途購入できます.10月分の13回の配信回も昨日付けで出そろっていますので,そちらもぜひお聴きください.ウェブブラウザ経由で月額800円となっております(Voicy アプリ経由ですとさらに多額の手数料がかかりますので,絶対にウェブブラウザ経由をお薦めします).
helwa はもともと週2回の配信で始まりましたが,先月10月より週3回へと更新頻度を上げました.目下,原則として(たまに生放送などの都合でズレることはありますが),毎週火木土のそれぞれ午後6時に配信しています.毎朝の通常回だけでは英語史養分が足りないという方や,hel活とその応援に関心のある方は,ぜひ helwa においでください.
この5ヶ月で醸成されてきた helwa コミュニティの特徴を5点ほど挙げます.
- 学びたいリスナーの集合体となっている
- 普通ではあり得ないブレスト集団となっている
- 事実上の heldio 企画委員会(というか諮問機関?)でもある
- コメントの質と量が著しい
- オフ会が盛り上がり楽しすぎる
以下,helwa を開始した6月以降の各月の配信回を一覧します.
【6月分(9回)】
・ 「【英語史の輪 #1】プレミアムリスナー限定配信チャンネルが始まりました」(2023/06/02配信)
・ 「【英語史の輪 #2】言語は暗号である」(2023/06/06配信)
・ 「【英語史の輪 #3】方言にもいろいろある」(2023/06/09配信)
・ 「【英語史の輪 #4】「書き言葉よりも話し言葉を優先すべし」という現代言語学の大前提は本当に正しいのか?」(2023/06/13配信)
・ 「【英語史の輪 #5】金曜夜のコトバ対談(生放送)の2次会」(2023/06/17配信)
・ 「【英語史の輪 #6】6月中旬のhel活報告」(2023/06/20配信)
・ 「【英語史の輪 #7】英語に関する素朴な疑問を ChatGPT に投げてみた」(2023/06/23配信)
・ 「【英語史の輪 #8】プレミアム限定のコメント返し&週末の学会でのhel活報告」(2023/06/27配信)
・ 「【英語史の輪 #9】語源って何?」(2023/06/30配信)
【7月分(8回)】
・ 「【英語史の輪 #10】言語は○○のようだ --- あなたは言語を何に喩えますか?」(2023/07/04配信)
・ 「【英語史の輪 #11】言語は○○のようだ --- 生激論」(2023/07/08配信)
・ 「【英語史の輪 #12】千本ノック&雑談回(生放送)」(2023/07/11配信)
・ 「【英語史の輪 #13】みんなでhel活の交流と発信を!」(2023/07/14配信)
・ 「【英語史の輪 #14】名前で英語史・言語学 --- あなたは何に名前をつけますか?」(2023/07/18配信)
・ 「【英語史の輪 #15】名前に意味があるかないか論争」(2023/07/21配信)
・ 「【英語史の輪 #16】なぜ私は英語史をおもしろいと思っているのか,英語史をお茶の間に広めたいと思っているのか?」(2023/07/25配信)
・ 「【英語史の輪 #17】英語の語源辞典を引く際には古今の「方言のズレ」に要注意」(2023/07/28配信)
【8月分(9回)】
・ 「【英語史の輪 #18】「英語は(私にとって)○○です」企画の発進」(2023/08/01配信)
・ 「【英語史の輪 #19】「私にとって英語は○○です」お披露目会」(2023/08/04配信)
・ 「【英語史の輪 #20】名前学に興奮しているので,その興奮をお裾分けします」(2023/08/08配信)
・ 「【英語史の輪 #21】英語学研究者の helwa メンバーとの4人飲み会 --- 金田拓さん,尾崎萌子さん,まさにゃんの登場」(2023/08/11配信)
・ 「【英語史の輪 #22】最近のhel活を雑談的に報告します」(2023/08/15配信)
・ 「【英語史の輪 #23】verbalization 「言語化」入門」(2023/08/18配信)
・ 「【英語史の輪 #24】文字の魅力から逃れられない --- 古代メキシコ展に行ってきました」(2023/08/22配信)
・ 「【英語史の輪 #25】ニックネーム論で行こう」(2023/08/25配信)
・ 「【英語史の輪 #26】鳥と卵の話し」(2023/08/29配信)
【9月分(9回)】
・ 「【英語史の輪 #27】長く発信を続けるコツは?」(2023/09/01配信)
・ 「【英語史の輪 #28】heldio/helwa のリスナーコミュニティはブレスト集団である」(2023/09/05配信)
・ 「【英語史の輪 #29】Taku さんとの英語類義語談義」(2023/09/08配信)
・ 「【英語史の輪 #30】類義語辞典を使っていますか?」(2023/09/12配信)
・ 「【英語史の輪 #31】語順のフシギ」(2023/09/15配信)
・ 「【英語史の輪 #32】ゼミ合宿でのお悩み相談」(2023/09/20配信)
・ 「【英語史の輪 #33】ゼミ合宿を終えて」(2023/09/22配信)
・ 「【英語史の輪 #34】中英語は標準綴字がないから辞書が引きにくい」(2023/09/26配信)
・ 「【英語史の輪 #35】月末の helwa としてのコメント返し 2023/09/29(Fri)」(2023/09/29配信)
【10月分(13回)】
・ 「【英語史の輪 #36】ハドリアヌスの長城と英語史」(2023/10/03配信)
・ 「【英語史の輪 #37】コメント返し,書字方向論続き,素朴な疑問,みんなのhel活」(2023/10/05配信)
・ 「【英語史の輪 #38】よい質問とは何か?」(2023/10/07配信)
・ 「【英語史の輪 #39】第2回オフ会 --- 学ぶ場としての helwa について語る」(2023/10/10配信)
・ 「【英語史の輪 #40】linguistics 「言語学」も -ics です」(2023/10/12配信)
・ 「【英語史の輪 #41】和田忍さん(駿河台大学)」(2023/10/15配信)
・ 「【英語史の輪 #42】変なアルファベット表を作る企画」(2023/10/17配信)
・ 「【英語史の輪 #43】変なアルファベット表企画への反響」(2023/10/19配信)
・ 「【英語史の輪 #44】茶色のもの」(2023/10/21配信)
・ 「【英語史の輪 #45】リズムかロジックか --- 小河舜さんとの生対談」(2023/10/24配信)
・ 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」(2023/10/26配信)
・ 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」(2023/10/28配信)
・ 「【英語史の輪 #48】セミコロンに注目;」(2023/10/31配信)
11月の配信回の初回は明日11月2日(木)となります.どうぞよろしくお願い致します.
10月26日(木)の夜に,帝京科学大学の金田拓さんとともに,Baugh and Cable の英語史書の「対談精読実況生中継」を Voicy heldio で配信しました.同書の第21節 Italic (イタリック語派)を題材に,英文を精読し,内容について様々な角度から議論と解説を行ないました.(一緒に講師を務めました Taku さん,対談内での重要かつ適切なコメントで盛り上げていただきましてありがとうございました!)
配信している側の2人は確かに豊かで実りある時間を過ごすことができたのですが,お聴きのリスナーの方々はいかがでしたでしょうか? まだお聴きでない方もいるかと思いますので,ぜひお時間のあるときにどうぞ.生放送のアーカイヴは3回に分かれており,第1回は通常配信で,第2回と第3回はプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) にてお届けしています(第1回だけでも50分超の長尺です).第1回で関心が湧いた方は,ぜひ第2第,第3回へもお進みいただければと存じます(後者2回は有料となります).
対談特別回だったこともあり,精読対象となったテキストを特別にこちらの PDF に上げておきます.できれば,オンライン読書会のシリーズ企画でもありますので,ぜひ本書そのものを入手し,今後も長くお付き合いください.
(1) 「#879. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(前半)」
(2) 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」(10月分の helwa に含まれる有料配信です)
(3) 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」(10月分の helwa に含まれる有料配信です)
各回にはリスナーの皆さんからも今回の精読について様々なコメントが寄せられてきていますので,そちらもご覧ください.
今回の対談精読実況生中継(第1回)は,先日の「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」と同様に,サンプル回ということで一般公開した次第です.普段は週に1,2回のペースでお届けする有料配信のシリーズとなっています.ぜひ「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) より過去回のラインナップをご覧いただければと思います.今後,皆さんとともに本書を読み進めていけることを楽しみにしています.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) でご紹介したとおり,Voicy heldio では英語で書かれた英語史の名著をじっくり読み進めていくというオンライン読書会風のシリーズ企画を始めています.有志のリスナーが集う有料配信のシリーズとなっています.
週に1,2回の配信で1節ずつゆっくり進んでおり,3ヶ月ほどかけて第20節まで進んできています.最新の第20節では,印欧語族のなかの1語派である Albanian 「アルバニア語派」が扱われています.この最新回については,ゲスト講師として小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)を招いての特別回として「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」を無料配信しています.生放送として収録したものをアーカイヴに置いておりますので,そちらからお聴きください.シリーズ企画の雰囲気や,そこで読み進めている英語史書のレベル感なども分かるかと思います.
第20節は短い英文ということもありますし,シリーズ企画の特別サンプル回という位置づけでもありますので,同節のテキスト全文を以下に掲載しておきます.この長くない文章を種に50分以上お話ししました.
20. Albanian. Northwest of Greece on the eastern coast of the Adriatic is the small language branch named Albanian. It is possibly the modern remnant of Illyrian, a language spoken in ancient times in the northwestern Balkans, but we have too little knowledge of this early tongue to be sure. Moreover, our knowledge of Albanian, except for a few words, extends back only as far as the fifteenth century of our era, and, when we first meet with it, the vocabulary is so mixed with Latin, Greek, Turkish, and Slavonic elements---owing to conquests and other causes---that it is somewhat difficult to isolate the original Albanian. For this reason, its position among the languages of the Indo-European family was slow to be recognized. It was formerly classed with the Hellenic group, but since the beginning of the present century it has been recognized as an independent member of the family.
本シリーズにご関心を抱かれた方は,ぜひ本書第6版を入手し,ご都合のよいタイミングとペースで読み進めていっていただければと思います.
ちなみに,今晩6時辺りからも,heldio/helwa で特別ゲストとの対談生放送として,第22節 Italic 「イタリック語派」を配信する予定です.ご都合がつく方は,ぜひライヴでお聴きください.
昨日の Voicy heldio にて「#873. ゼミ合宿収録シリーズ (7) --- 情報構造入門」を配信しました.khelf (慶應英語史フォーラム)のメンバー3名による収録で,ご好評いただいています(ありがとうございます).「桃太郎」を題材に,情報構造 (information_structure) という用語・概念の基本が丁寧に解説されています.
情報構造に関する基本的事項の1つに,「旧情報」 (given information) と「新情報」 (new information) の対立があります.談話は原則として,話し手と聞き手にとって既知の旧情報の提示に始まり,その上に未知の新情報を加えることで,段階的に共有知識が蓄積されていきます.つまり,旧情報→新情報と進み,次にこの蓄積全体が旧情報となって,その上に新情報が積み上げられ,さらにこれまでの蓄積全体が旧情報となって次の新情報が加えられる,等々ということです.
Cruse の用語辞典より "given vs new information" (74--75) の項目を引用します.
given vs new information These notions are concerned with what is called the 'information structure' of utterances. In virtually all utterances, some items are assumed by the speaker to be already present in the consciousness of the hearer, mostly as a result of previous discourse, and these constitute a platform for the presentation of new information. As the discourse proceeds, the new information of one utterance can become the given information for subsequent utterances, and so on. The distinction between given and new information can be marked linguistically in various ways. The indefinite article typically marks new information, and the definite article, given information: A man and a woman entered the room. The man was smoking a pipe. A pronoun used anaphorically indicates given information: A man entered the room. He looked around for a vacant seat. The stress pattern of an utterance can indicate new and given information (in the following example capitals indicate stress):
PETE washed the dishes. (in answer to Who washed the dishes?)
Pete washed the DISHES. (in answer to What did Pete do?)
Givenness is a matter of degree. Sometimes the degree of givenness is so great that the given item(s) can be omitted altogether (ellipsis):
A: What did you get for Christmas?
B: A computer. (The full form would be I got a computer for Christmas.)
談話は旧情報の上に新情報を付け加えることで流れていく,という情報構造の基本事項を導入しました.
・ Cruse, Alan. A Glossary of Semantics and Pragmatics. Edinburgh: Edinburgh UP, 2006.
一昨日の hellog 記事「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) でもお伝えしましたが,目下 Voicy heldio によるオンライン読書会シリーズに力を入れているところです.ウェブ時代の新スタイルの読書会・勉強会として,とてもおもしろい試みになっているという実感があります.参加者は今のところ20名程度ですが,読んでいる本のサイズを考えると理屈上は向こう数年間にわたって続いていくシリーズ企画ということもあり,これからメンバーがゆっくりと少しずつでも増えていくと楽しそうだなと夢想しています.毎回200円の有料配信ですが,第1チャプターは試聴可能となっています.
最新回は,昨日アップされた上記の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (19) Hellenic」です.毎週1,2回,指定の英語史書をゆっくりと1節ずつ読み進めていくという企画で,7月に開始したばかりなので,昨日ようやく第19節にたどり着いたところです.英語史といえど,まだ英語の歴史に本格的に入る前の段階で,印欧語族を構成する各語派を概説しているところです.その1つがギリシア語派ということになります.
今回はテキストに沿ってあくまで印欧語族のなかのギリシア語派を紹介しているのですが,この語派(とりわけギリシア語そのもの)の英語史上の意義については,さほどお話ししていません.ギリシア語については本ブログで greek の記事群にて多く取り上げてきましたが,ギリシア語の英語史上のエッセンスを箇条書きすれば,次の4点となるでしょうか.
・ 古典ギリシア語は『新訳聖書』の言語である.
・ ギリシア語とギリシア文明は,現代まで続く西洋文明の基礎を形成する.そこから,英語自体が拠って立つのも究極的にはギリシア語とギリシア文明といってよい側面がある.
・ ギリシア語は,ラテン語に多大な影響を与え,ラテン語はフランス語に影響を与え,フランス語は英語に影響を与えてきた.ギリシア語が英語史上重要であるのはこのような事情による.
・ ギリシア語は古代・中世・近現代を通じて,上記の歴史的経緯により汎ヨーロッパ的な威信言語とみなされてきた.現代でもとりわけ学術の分野では,国際的な学名や学術用語は,しばしばギリシア語要素によって作られる (cf. 新古典主義的複合語 (neo-classical compounds)).現代の最たる国際語である英語も,その伝統と要素を多分に受け継いでいる.
ギリシア語に関連した Voicy heldio の配信回としては 「#137. 英語とギリシア語の関係って?」もお聴きください.
なお,今晩19:30~20:00の間に,こちらの Voicy heldio にてゲストを招いての生放送を配信する予定です.その内容は,テキストの次の節「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian」を題材とした初の「オンライン読書会生実況中継」(?)となる予定です.今回に関しましては,放送回の概要欄などにテキストも添付しますのでライヴあるいはアーカイヴにてお気軽にお聴きいただければ.
このように一風変わったオンライン読書回シリーズですが,関心のある方はぜひ覗いていただければ.精読しているテキストは,こちらの Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013. です.名著であることは保証します.
今年の7月17日に開始した Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でのシリーズ企画が,毎週1~2回のペースで順調に進んでいます.Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013. という著名な英語史の本を,原文で毎回1セクションずつゆっくり精読していくというオンライン読書会です.英語の文章の1文1文を精読していくわけではないのですが,表現や文法の気になる点を指摘して厳密に解釈したり,セクションの内容について英語史の観点から深掘りするなど,テキストを元にして縦横無尽に「英語史する」企画です.シリーズ開始時の記事「#5205. Baugh and Cable の英語史概説書を1節ずつ読み進めながら Voicy heldio で自由にコメントしていく試みを始めています」 ([2023-07-28-1]) をご参照ください.
おかげさまで,ゆっくりペースながらも第18節の "Armenian" までたどり着いています(こちらの最新回は昨日より配信されています.さらにこの回は比較的短いこともあり,特別にサンプル回として該当節のテキスト全文を概要欄に載せています).また,シリーズへの参加メンバーも夏の間にじわじわと増えてきており,毎回の配信のコメント欄を通じてメンバー間のやりとりも行なわれるようになってきています.各回は有料配信ですが,第1チャプターは常に試聴可能となっていますので,関心のある方は雰囲気をご確認いただければと思います(料金はウェブブラウザ経由で200円なのに対して,Voicy アプリ経由では320円と手数料により割高となりますので,ぜひ前者からどうぞ).
本ブログ hellog や Voicy heldio などを通じて英語史への関心が湧いた方や,しっかりと書かれた英語で英文解釈力を鍛えたい方にはお薦めのオンライン読書会シリーズとなっています.実際,よく書かれた英語で精読対象としてふさわしい英文ですので,この点は保証します(精読の練習には,対象が良い英文であることが絶対の条件です).
読書会なのでB&Cのテキストが手元にないと参加しにくいという事情はあるかと思います.ぜひ上記よりご購入くださるか,あるいは古書や図書館での入手も結構かと思います.これから入手される場合には,改訂が重ねられてきた本であることに注意し,最新版である第6版を手に取っていただければと思います.オンライン読書会では第6版をベースに読み進めています.ただし,先立つ第5版などしか入手できないという場合でも,内容把握には大きな問題はありませんし,私自身の手元にも第5版や第4版がありますので,必要に応じて異同を確認できます.オンライン読書会の長所を活かし,メンバー間でインタラクティヴに「精読交流」もできますし,各自ご都合のよいタイミングとペースで無理なく読み進められるのもメリットかと思います.参加メンバーからの要望を受け,今後はたまに生実況回やゲスト講師を招いての精読回などもやってみようかとも企画中です.
以下,過去18回のラインナップです.第1回(第1節)の "The History of the English Language as a Cultural Subject" については,第6版からのテキスト全文を本ブログの「#3641. 英語史のすゝめ (1) --- 英語史は教養的な学問領域」 ([2019-04-16-1]) に掲載していますので,テキストをお持ちでない方も,そちらを参照して追いかけることができます.
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (1) The History of the English Language as a Cultural Subject」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (2) Influences at Work on Language」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (3) Growth and Decay」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (4) The Importance of a Language」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (5) The Importance of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (6) The Future of the English Language: Demography」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (7) External and Internal Aspects of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (8) Cosmopolitan Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (9) Inflectional Simplicity」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (10) Natural Gender」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (11) Language Constantly Changing」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (12) Dialectal Differentiation」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (13) The Discovery of Sanskrit」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (14) Grimm's Law」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (15) The Indo-European Family」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (16) Indian」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (17) Iranian」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (18) Armenian」
(以下,後記)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (19) Hellenic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」
- 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (22) Balto-Slavic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (23) Germanic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 【英語史の輪 #52】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (25) Twentieth-century Discoveries」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans --- khelf 藤原くんとの実況中継 1/3」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #57】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 2/3」
- 「【英語史の輪 #58】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 3/3」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (27) The Languages in England before English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (28) The Romans in Britain」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (29) The Roman Conquest」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (30) Romanization of the Island」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (31) The Latin Language in Britain」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (33) The Anglo-Saxon Civilization」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (34) The Names "England" and "English"」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (35) The Origin and Position of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (36) The Periods in the History of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (37) The Dialects of Old English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (38) Old English Pronunciation」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (39) Old English Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (40) Old English Grammar」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (41) The Noun」
・ 「#983. B&Cの第42節「文法性」の対談精読実況生中継 with 金田拓さんと小河舜さん」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (43) The Adjective」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (44) The Definite Article」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (45) The Personal Pronoun」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (46) The Verb」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (47) The Language Illustrated」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (48) The Resourcefulness of the Old English Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (49) Self-explaining Compounds」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (50) Prefixes and Suffixes」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (51) Syntax and Style」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (52) Old English Literature」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #146】 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (52) Old English Literature --- 和田忍さんとの実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (53) Contact of English with Other Languages」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (54) The Celtic Influence」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (55) Celtic Place-Names and Other Loanwords」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (56) Three Latin Influences on Old English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (57) Chronological Criteria」(←この回は「英語史ライヴ2024」での対談精読実況生中継により特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (58) Continental Borrowing (Latin Influence of the Zero Period)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (59) Latin through Celtic Transmission (Latin Influence of the First Period)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60) Latin Influence of the Second Period: The Christianizing of Britain」
- 「#1270. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-1) Latin Influence of the Second Period --- 対談精読実況中継」
- 「#1274. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-2) Latin Influence of the Second Period --- Taku さん対談精読実況中継」
(後記ここまで)
以下,リスナーの方々からの反応をいくつか挙げてみます.
・ 堀田先生,最高の企画をありがとうございます.学部・院時代が恋しくなりました.週1ペースだと5年ぐらいか…と思うとこれからの5年間が楽しみになりました
・ 夢のような企画,待っていました! 始まったばかりだというのに,もう次が待ち遠しいです.
・ 英語史の素養のない自分についていけるかなと一瞬躊躇しましたが,英語史は教養であるとの言葉に背中を押されて,本の注文ボタンもポチっと押しました.ありがとうございます.
・ 堀田先生,素敵な企画をありがとうございます! 先生の Voicy は楽しく拝聴しておりましたが,自分で英語で英語史の本を読むとなると,はて,読めるだろうか,と不安に感じながらも本をポチりました.
・ はじめまして.Twitterで見つけまして,本が届きましたので,今日より本を読んでいきたいと思います.自分も続けられるか自信がないですが,ゆっくり,歩んでいきたいと思います.宜しくお願いします!
・ 1セクションずつですと,熟読できて良いペースだと思います!
・ インタラクティブに読む!おおいに共感!本をお金を払ってまで所有する動機の一つは書き込み.
・ 1節に3時間かけて読んでます.超精読,とてもありがたいです.有料が妥当だと思います.私自身,体調不良が続き,皆さんからだいぶ遅れてしまいましたが,コツコツついてゆこうと思います.
・ 途中で脱落しそうになりましたが,やはり自分1人の読みですと気付けないことが多々あるので,ついて行けるよう少しずつ追いかけます!
ぜひともに楽しく英語史を学び,英文解釈力をつけていきましょう!
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
このブログでもすでに何度か紹介している新刊書『World Englishes 入門』の第1章「イギリスとケルトの英語」を執筆された和田忍先生(駿河台大学)と,直接対談する機会を得ました.一昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて配信しました.「#869. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 和田忍さんとの対談」です(15分ほどの音声コンテンツ).ぜひお聴きいただければ.
本書は文字通り世界英語 (world_englishes) に関する本ですが,その礎となる第1章は,実は凝縮された英語史概説となっています.つまり,古英語期以前から近代英語までを要領よくカバーした,18ページほどの英語史入門として読めるということです.
世界英語入門を謳う本書を手に取る読者の多くは,英米以外の英語の諸変種,例えばインド英語,シンガポール英語,ジャマイカ英語などの状況についてとりわけ知りたいと思っているのではないでしょうか.そのような読者にとっては,伝統的かつ主流派に属する英語変種であるイギリス英語やアメリカ英語には,むしろあまり関心が湧かないということもあるかと思います.
しかし,なぜ世界英語がこのように多様なのかという本質的な謎を解くためには,英語がたどってきた歴史の理解が欠かせません.その礎として,英語史の概略的な知識がぜひとも必要になります.第1章は,そのような位置づけとして読めるのではないかと思います.
しかも,単なる「イギリスの英語」ではなく「イギリスとケルトの英語」と「ケルト」がタイトルに添えてあるのが,心憎い演出です.英語は主に近代以降にイギリスの植民地支配を通じて世界展開していきますが,すでにその千年以上前から,ケルト人が住まっていたブリテン諸島において植民地支配の練習のようなことが行なわれていたからです.第1章は近代以降の英語の世界展開のミニチュア版を示してくれている --- そのような読み方が可能です.また,英語が歴史的に言語接触の多かった言語であることもよく分かる章となっています.
以下,第1章のなかの小見出しとコラムを挙げておきます.
日曜日に配信した YouTube の「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回は「#171. OED(オクスフォード英語辞典 --- Oxford English Dictionary)の特徴まるわかり!」です.本ブログでも何度となく登場している,世界最強の英語辞典 OED を一から導入しています.14分ほどの対談動画です.「OED ってよく聞くけど何?」という方は,ぜひご覧ください.画面の背景に OED 第2版の全20冊が並んでいます.
本ブログには OED の様々な側面を紹介する記事も多いですし,OED を実践的に用いて調査し執筆した記事も少なくありません(cf. oed の記事群を参照).今回の YouTube は OED とは何かという導入動画でしたので,同様にイントロ風の趣旨で執筆した記事,および Voicy heldio 配信回へのリンクを一覧しておきます.
・ 「#304. OED 制作プロジェクトののろし」 ([2010-02-25-1])
・ 「#638. 国家的事業としての OED 編纂」 ([2011-01-25-1])
・ 「#644. OED とヨーロッパのライバル辞書」 ([2011-01-31-1])
・ 「#898. OED2 と Web3 の比較対照表」 ([2011-10-12-1])
・ 「#2451. ワークショップ:OED Online に触れてみる」 ([2016-01-12-1])
・ 「#3544. 英語辞書史の略年表」 ([2019-01-09-1])
・ 「#4122. 物凄いツールが現われた --- OED Text Visualizer (beta)」 ([2020-08-09-1])
・ 「#4130. 英語語彙の多様化と拡大の歴史を視覚化した "The OED in two minutes"」 ([2020-08-17-1])
・ 「#4131. イギリスの世界帝国化の歴史を視覚化した "The OED in two minutes"」 ([2020-08-18-1])
・ 「#4133. OED による英語史概説」 ([2020-08-20-1])
・ 「#4141. 1150年を越えて残らなかった古英語単語は OED から外されている」 ([2020-08-28-1])
・ 「#4172. 映画『博士と狂人』の原作者による OED 編纂法の紹介文」 ([2020-09-28-1])
・ 「#4198. 映画『博士と狂人』を観ました」 ([2020-10-24-1])
・ 「#5220. OED と World Englishes」 ([2023-08-12-1])
・ heldio 「#503. OED は歴史的原則にもとづく辞書」(2022年3月2日配信)
・ heldio 「#275. どれだけ長くかかっているのよ,OED の編纂?」(2022年3月3日配信)
上記にもありますが,OED 編纂をめぐる映画『博士と狂人』(原題 The Professor and the Madman)は必見です.
また,「#5158. 家入葉子・堀田隆一著『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)を改めて紹介します」 ([2023-06-11-1]) で紹介した『文献学と英語史研究』の第2章1.1節では,研究ツールとしての OED について詳しく紹介しています.
先週末の10月14日(土)の午後,船橋の某所で開催された千葉慶友会の講演会にて「英語学習に役立つ英語史 --- 英語はこんなにおもしろい」をお話ししました.事前の準備から当日のハイブリッド開催の運営,そして講演会後の懇親会のアレンジまで,スタッフの皆さんにはたいへんお世話になり,感謝しております.ありがとうございました.とりわけ懇親会では千葉慶友会内外からの参加者の皆さんと直接お話しすることができ,実に楽しい時間でした.
90分ほどの講演の後,その場で続けて Voicy heldio の生放送をお送りしました.前もって運営スタッフの方々と打ち合わせしていた企画なのですが,事前に参加予定者より「英語に関する素朴な疑問」を寄せていただき,当日の投げ込み質問も合わせて,私が英語史の観点から回答していくのを heldio でライヴ配信しようというものです.
そちらの様子は,昨日 heldio のアーカイヴにて「#868. 千葉慶友会での「素朴な疑問」コーナー --- 2023年10月14日の生放送」として配信していますので,お時間のあるときにお聴きください(1時間弱の長尺となっています).
6件ほどの素朴な疑問にお答えしました.以下に分秒を挙げておきますので,聴く際にご利用ください.
(1) 02:25 --- 外国語からカタカナに音訳するときに何かルールはありますか.この質問をする理由は,例えば本によって「フロベール」だったり「フローベール」だったりすることがあるからです.また,カタカナを英語らしく発音するコツはありますか.
(2) 14:43 --- 英語の「パラフレーズ」の歴史的遷移について,なにか参考資料をご存知でしたら教えていただければ嬉しいです.Academic Writing を勉強している途中で興味を持ちました.
(3) 21:34 --- 英単語には island など読まない文字があるのはなぜですか?
(4) 30:43 --- 世界における言語の多様性の問題,および諸言語は今後どのように展開(分岐か収束か)していくのかという問題
(5) 39:05 --- 動詞によって目的語に -ing をとるか to 不定詞をとるかが決まっているのはなぜですか?
(6) 44:05 --- なぜ英語には無生物主語構文があるのですか?
時間内に取り上げられたのは6件のみですが,他にも多くの疑問をいただいていましたので,いずれ hellog/heldio で取り上げたいと思います.
実は慶友会の講演と絡めての Voicy heldio ライブの千本ノックは初めてではありません.同様の雰囲気をさらに味わいたい方は,3ヶ月半ほど前の「#5179. アメリカ文学慶友会での千本ノック収録を公開しました」 ([2023-07-02-1]) もご訪問ください.
一昨日配信した YouTube の「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回は「#169. なぜ Z はアルファベットの最後に追いやられたのか? --- 時代に翻弄された日陰者 Z の物語」です.歴史的に「日陰者 Z」と称されてきたかわいそうな文字にスポットライトを当て,12分ほど集中して語りました.これで Z が多少なりとも汚名返上できればよいのですが.
z の文字については,この hellog,および Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」等の媒体でも,様々に取り上げてきました.Z の汚名返上のために助力してきた次第ですが,さすがに Z に関する話題はこれ以上見つからなくなってきましたので,ネタとしてはいったん打ち切りになりそうです.
これまでの Z の推し活の履歴を列挙します.
[ hellog ]
・ 「#305. -ise か -ize か」 ([2010-02-26-1])
・ 「#314. -ise か -ize か (2)」 ([2010-03-07-1])
・ 「#446. しぶとく生き残ってきた <z>」 ([2010-07-17-1])
・ 「#447. Dalziel, MacKenzie, Menzies の <z>」 ([2010-07-18-1])
・ 「#799. 海賊複数の <z>」 ([2011-07-05-1])
・ 「#964. z の文字の発音 (1)」 ([2011-12-17-1])
・ 「#965. z の文字の発音 (2)」 ([2011-12-18-1])
・ 「#1914. <g> の仲間たち」 ([2014-07-24-1])
・ 「#2916. 連載第4回「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall --- 複線的思考のすすめ」」 ([2017-04-21-1])
・ 「#2925. autumn vs fall, zed vs zee」 ([2017-04-30-1])
・ 「#4990. 動詞を作る -ize/-ise 接尾辞の歴史」 ([2022-12-25-1])
・ 「#4991. -ise か -ize か問題 --- 2つの論点」 ([2022-12-26-1])
・ 「#5042. 『中高生の基礎英語 in English』の連載第24回(最終回)「アルファベット最後の文字 Z のミステリー」」 ([2023-02-15-1])
[ heldio (Voicy) ]
・ 「#171. z と r の発音は意外と似ていた!」 (2021/11/18)
・ 「#540. Z について語ります」 (2022/11/22)
・ 「#541. Z は zee か zed か問題」 (2022/11/23)
[ helsta (stand.fm) ←数日前に始めました ]
・ 「#3. 動詞を作る接尾辞 -ize の裏話」 (2023/10/08)
ただし,いずれ Z に関する新ネタを仕込むことができれば,もちろん Z の汚名返上活動に速やかに戻るつもりです.皆様,これからも Z にはぜひとも優しく接してあげてくださいね.
10月5日(木)の午前11時過ぎより,事前に大学生より寄せられた英語に関する素朴な疑問に英語史の観点から回答する「千本ノック」 (senbonknock) のイベントを開催しました.その様子は Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送でお届けしましたが,収録した音源をアーカイヴにも残してあります.「#859. 10月5日の「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」生放送」です.60分ほどの長さですので,お時間のあるときにお聴きください.
いずれもすぐれた「素朴な疑問」でした.疑問の抱き方が大事ですね.今回は10件の質問に回答しました.以下に本編(第2チャプター)の分秒を挙げておきます.
(1) 01:00 --- なぜ疑問文の最後に ? をつけるのか.
(2) 06:08 --- 人称代名詞について単数形と複数形では I → we,he/she/it → they と変わるのに,you は複数形になっても変わらないのはなぜか.また,なぜ3人称の複数形では同じ they になるのか.
(3) 15:54 --- なぜイギリス英語とアメリカ英語で綴字が違うものがあるのか.同じ綴字を使ったほうが便利ではなかったのか.
(4) 21:50 --- なぜ Good morning. というのか.
(5) 25:44 --- なぜ英語ではアルファベットしか用いられないのか.
(6) 35:17 --- なぜ be 動詞は主語によって使い分けるのか.
(7) 39:45 --- なぜ Wednesday の d はなぜ発音しないのか.
(8) 44:10 --- なぜ不定冠詞 a は「エイ」と発音することがあるのか.
(9) 47:53 --- なぜ形容詞は名詞の後ではなく前につくのか.
(10) 52:29 --- doctor はなぜ or で終わるのか.
本ブログの姉妹編というべき,毎朝6時に配信している Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」.おかげさまで2年5ヶ月ほど続いています.今年6月からはプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」も開始しており,この10月からは週3回(火木土)の午後6時に配信しています.通常配信と有料配信を含めた全配信回の一覧はこちらからどうぞ.
通常配信のなかから,とりわけよく聴かれている上位20回をご案内します.話題に広がりもありますので,この20回を流し聴きするだけでも,英語史の魅力が伝わるのではないかと思います.週末のゆったりした時間に,ぜひ耳からの学びを!
1. 「#333. 英語には借用語がやたらと多い!英語語彙にまつわる統計あれこれ」
2. 「#354. long と short は対等な反対語ではない?」
3. 「#318. can't, cannot, can not ー どれを使えばよいの?」
4. 「#322. butter, cheese, pepper ー 大陸時代に英語に入っていたラテン単語たち」
5. 「#338. fine と finish は同語源 --- 鍵は「切り裂く」!?」
6. 「#326. どうして古英語の発音がわかるのですか?」
7. 「#319. employee の ee って何?」
8. 「#390. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 7」
9. 「#336. 18世紀半ばに英文法を作り上げた Robert Lowth とはいったい何者?」
10. 「#391. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 8」
11. 「#317. dream, bloom, dwell ー 意味を借りた「意味借用」」
12. 「#331. 長い間英語には標準語がなかったって本当!?」
13. 「#384. morning 「朝」と mourning 「喪」は語源的に無関係」
14. 「#410. 「腕」 arm と「武器」 arms の関係」
15. 「#440. なぜ oneteen, twoteen ではなく eleven, twelve というの?」
16. 「#340. second, sect, sequence, sue, suit はすべて同語根!」
17. 「#353. 反対語っていろいろあっておもしろい!」
18. 「#522. many times ではなく many a time って何?」
19. 「#325. なぜ世界の人々は英語を学んでいるの?」
20. 「#653. 軽快な英語文化史エッセイ集『英文学者がつぶやく英語と英国文化をめぐる無駄話』の紹介」
先日の記事「#5268. 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 ([2023-09-29-1]) で紹介したこちらの本,一般発売が開始となったようです.
これまで本ブログでもWorld Englishes (世界英語')については多く取り上げてきました (cf. (world_englishes)) .21世紀に入ってから英語学・英語史でも驚くほど注目されるようになった今をときめく話題です.この15年ほどを振り返ってみても,英語学・英語史を専攻する大学生の研究テーマとして大人気のトピックといってよいでしょう.この World Englishes の人気の高まりには,間違いなく社会的な背景があると考えています.この問題についていろいろな機会に書いたり話したりしてきましたが,今後も注目していく予定です.
そんな折りに,この『World Englishes 入門』が出版されました.これから,本書を参照しつつ本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,関連する話題を取り上げていくつもりですので,ぜひ伴走していただければ.
大石晴美・梅谷博之氏による「序章 World Englishes---世界諸英語」では,世界の言語や英語に関する最新の事実や統計が示されています.いくつか引用します.
・ 現在,世界には196か国が存在し,7000以上の言語が使われている.(p. 6)
・ 2022年11月,世界の総人口は80億人を超えた(世界人口推計 2022).そのうち英語を使用する人口(母語,第二言語,外国語としての英語使用者)は約14億5000万人,そのうち母語話者が約3億7000万,第二言語,外国語としての使用者は約10億8000万人である (Ethnologue 2022) .このことから非母語話者の数が母語話者の数をはるかに上回っていることがわかる.(p. 9--10)
・ 世界で,英語を公用語もしくは準公用語と定めている国は54か国である.4か国のうち1か国が英語を公用語や準公用語にしていることになる.(p. 10)
・ 世界のインターネット総人口は,約41億6000万人(全人口の69%)である (Internet World Stats 2023) .そのうち,26%が英語仕様人口であり,インターネット普及率が英語の広がりにつながっている.(p. 10)
・ 世界で上映されている映画のうち英語が用いられているのは8割以上である. (p. 10)
本書はコラムも充実しています.例えば,序章のなかの2つめのコラムにおいて「世界の英語を映画で学ぶ研究会」(京都府立大学)が紹介されています.すべての映画が観たくなってしまい,たいへん困っています.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
待望の世界英語 (World Englishes) に関する最新の入門書が,来週半ばに出版されます(税込定価2,640円;Amazon で予約受付中).私自身,とりわけここ数年間,英語史の観点から世界英語の現象に関心を寄せ,いろいろと考えたり執筆・講演などをしてきました.手に取りやすく読みやすい本書の出版は,この現代的な問題のおもしろさが広く一般に知られる好機となると期待しています.関係者よりご献本いただきまして,目下楽しく拝読しています(ありがとうございました!).
本書は,2012年に昭和堂より出版された『World Englishes---世界の英語への招待』(田中春美・田中幸子(編))の続編に当たる本です.前著から,執筆メンバー,文献,データなどにおいて大きく刷新が加えられています.考察対象とされる世界英語変種も幅広さを増し,知りたくても知り得なかった,盲点というべきアジア地域の英語変種 --- 例えば中東地域,韓国,中華世界,モンゴル,ミャンマー --- なども取り上げられています.
以下,目次と各章の執筆者を掲載します.
序章 World Englishes --- 世界諸英語(大石 晴美・梅谷 博之)
第I部 母語としての英語
第1章 イギリスとケルトの英語(和田 忍)
第2章 アメリカとカナダの英語(今村 洋美)
第3章 オーストラリアとニュージーランドの英語(岡戸 浩子)
第II部 公用語・第二言語としての英語
第4章 インドの英語(榎木薗 鉄也・加藤 拓由)
第5章 東南アジアの英語(大石 晴美)
第6章 アフリカの英語(山本 忠行)
第7章 カリブ海の英語(山口 美知代)
第III部 国際語・外国語としての英語
第8章 ヨーロッパと中東の英語(高橋 真理子)
第9章 日本の英語(今村 洋美)
第10章 韓国の英語(小林 めぐみ)
第11章 中華世界の英語(山口 美知代)
第12章 モンゴルの英語(梅谷 博之)
第13章 ミャンマーの英語(大石 晴美)
終章 World Englishes の未来(大石 晴美)
発音について(梅谷 博之)
これまでも繰り返し述べてきましたが,世界英語はすぐれて現代的なトピックのように見えますし,実際にそうなのですが,実のところ英語史との親和性が非常に強い領域です.むしろ歴史的次元を抜きにして世界英語を論じることはできないだろうと私は考えています.英語史の国際学会でも世界英語に関する研究発表部屋が特別に用意されることは珍しくなくなってきていますし,世界英語に関するハンドブックの章なども英語史研究者が執筆していることが多いです.さらにいえば,本書の序章と第1章は,合わせて事実上の英語史概説となっていると言ってよいでしょう(第1章の著者は英語史を研究している和田忍先生(駿河台大学)です).
これから熟読した上で,今後も本書から話題を取り上げつつ,本ブログ記事を執筆したり,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で紹介していきたいと思っています.ご著者の先生方で,もし heldio 対談などをお受けくださるようであれば,ぜひよろしくお願いいたします!
本ブログの世界英語に関する記事群へは world_englishes よりご訪問ください.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
「#5259. khelf のゼミ合宿中です」 ([2023-09-20-1]) で触れたとおり,先週の9月21日(火)から23日(木)にかけて,khelf 所属の現役の学部生と大学院生とともに,泊まり込みゼミ合宿を実施しました.
初日と2日目は主に「ポスターなしポスターセッション」にて互いの個人研究の経過報告を聴き,質問や助言を交わし合うという形で進めました.そして,最終日3日目の朝には,3--4人1組でグループを組み,10分ほどの英語史・英語学に関する音声コンテンツを準備し,私の立ち会いのもと Voicy heldio の収録をするという課題を課しました.heldio 出演ではすでにベテランの院生もいればまったく初めての学部生もいるということで,すべてがスムーズに運んだわけではありませんが,それぞれのグループが工夫を重ね,独自の音声コンテンツができあがりました.
「ゼミ合宿収録シリーズ」開始ののろしとなる一昨日の院生たちによるコンテンツ「#845. ゼミ合宿最終日の朝,大学院生4人と雑談」配信に引き続き,今朝も「#847. ゼミ合宿収録シリーズ (1) --- khelf 会長の青木くんと学部生3名による emoji と CMC」を配信しました.
今朝の回では,多くの現代人が関心を寄せる絵文字 (emoji) と CMC (computer-mediated communication) が話題となっています.khelf 会長の青木輝さん主導による,学部生学生たちとの対談回となっています.hellog と heldio の関連回として以下を挙げておきます.
・ hellog 「#808. smileys or emoticons」 ([2011-07-14-1])
・ hellog 「#1664. CMC (computer-mediated communication)」 ([2013-11-16-1])
・ heldio 「#816. ネット時代の言葉遣い --- CMC (生放送のアーカイヴ)」
絵文字と CMC の話題は,10月に khelf より発行される予定の『英語史新聞』第7号のなかでも取り上げられる予定です.関連して khelf 公式のX(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio も,ぜひフォローしていただければと思います.
約2週間後の10月7日(土)の 15:30--18:45 に,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第3回となる「中英語の綴字 --- 標準なき繁栄」が開講されます.
今回の講座は,全4回のシリーズの第3回となります.シリーズのラインナップは以下の通りです.
・ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり(春・4月29日)
・ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ(夏・7月29日)
・ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄(秋・10月7日)
・ 第4回 近代英語の綴字 --- 標準化を目指して(冬・未定)
これまでの2回の講座では,まず英語史以前の文字・アルファベットの起源と発達を確認し,次に古英語期(449--1100年)におけるローマ字使用の実際を観察してきました.第3回で注目する時期は中英語期(1100--1500年)です.この時代までに英語話者はローマ字にはすっかり馴染んでいましたが,1066年のノルマン征服の結果,「標準英語」が消失し,単語の正しい綴り方が失われるという,英語史上でもまれな事態が展開していました.やや大げさに言えば,個々の英語の書き手が,思い思いに好きなように単語を綴った時代です.これは秩序崩壊とみればネガティヴとなりますが,自由奔放とみればポジティヴです.はたしてこの状況は,後の英語や英語のスペリングにいかなる影響を与えたのでしょうか.英語スペリング史において,もっともメチャクチャな時代ですが,だからこそおもしろい話題に満ちています.講座のなかでは中英語原文も読みながら,この時代のスペリング事情を眺めてみたいと思います.
講座の参加にご関心のある方は,ぜひこちらのページよりお申し込みください.対面のほかオンラインでの参加も可能です.また,参加登録された方には,後日見逃し配信としてアーカイヴ動画へのリンクも送られる予定です.ご都合のよい方法でご参加ください.全4回のシリーズものではありますが,各回の内容は独立していますので,単発でのご参加も歓迎です.
本シリーズと関連して,以下の hellog 記事,および Voicy heldio 配信回もご参照ください.
[ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり ]
・ heldio 「#668. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まります」(2023年3月30日)
・ hellog 「#5088. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まります」 ([2023-04-02-1])
・ hellog 「#5119. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」の第1回を終えました」 ([2023-05-03-1])
[ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ ]
・ hellog 「#5194. 7月29日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」」 ([2023-07-17-1])
・ heldio 「#778. 古英語の文字 --- 7月29日(土)の朝カルのシリーズ講座第2回に向けて」(2023年7月18日)
・ hellog 「#5207. 朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」を終えました」 ([2023-07-30-1])
[ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄 ](以下,2023/09/26(Tue)の後記)
・ heldio 「#848. 中英語の標準なき綴字 --- 10月7日(土)の朝カルのシリーズ講座第3回に向けて」(2023年9月26日)
この2ヶ月間ほど,ひょんなきっかけから,寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)の推し活を強力に進めてきました.この推し活においてとりわけ重要な契機となったのが,研究社会議室でのインタビューです.インタビューの様子を音声収録したものを,3週間,3回にわたって Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 で配信してきました.一昨日第3弾が公開され,シリーズ完結となりました.
・ 「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」
・ 「#834. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (2)」
・ 「#842. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (3)」
『英語語源辞典』の魅力,そして研究社における辞書作りの伝統と「匠の技」について,たっぷりインタビューで伺いました.私にとってもたいへんに勉強になる社会科見学でした.リスナーの皆さんにも,縁の下の力持ちである辞書作りに携わる方々の地道な仕事振り,職人技,矜持のほどが伝わったのではないでしょうか.私自身も,これから辞書を一枚一枚繰るたびに「ありがたやぁ」と唱えてしまいそうです.深く感謝しつつ今日も辞書を引き続けます!
今回のインタビューに応じていただきました小酒井英一郎さん(元研究社印刷社長),星野龍さん(研究社編集部長),中川京子さん(研究社編集部課長)には,改めてこの場を借りて感謝致します.また,対談のアレンジをしていただいた研究社の関係の方々にも御礼申し上げます.ありがとうございました.(他の辞書の話題,さらに辞書作り一般の話題について,もっと伺いたいくらいですので,またよろしくお願いいたします!)
今回のインタビューに先立つ『英語語源辞典』の推し活につきましては,「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) をご参照ください.
今後も『英語語源辞典』の推し活を続けます.Voicy heldio などで何か企画を考えたいと思っています.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
昨日9月19日(火)から2泊3日で khelf(慶應英語史フォーラム)のゼミ合宿を実施しています.コロナ禍でしばらく中断しており,4年振りの泊まり込み合宿となりました.解放感がありますね.
学部生・院生の合同合宿で,オフィシャルセッションでは各自の個人研究について進捗状況を報告しつつ,これまでの研究成果を披露してもらっています.発表形式は通常のプレゼンではなく,コロナ下でゼミとして新規に開発してきた「ポスターなしポスターセッション」です.いわゆるアクティヴラーニングの一形態で,そのかしこまらないスタイルは学術発表界における「立食パーティ」と称してもよい代物です.昨日の初日は主に院生と学部4年生が,2日目となる本日は主に学部3年生が,夏休みの研究成果をそれぞれ発表しています.
日中はみっちり皆で研究発表を通じて英語史を勉強しますが,アフター5はお楽しみです.グラスを片手に学部生・院生・教員が交わり,英語史のことやそれ以外のことを自由に語らっています.やおら Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送収録をスタートさせる可能性もありますので,その際には,ぜひ khelf ゼミ合宿の愉快な様子をお聴きください.
実際,昨晩はプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) で「【英語史の輪 #32】ゼミ合宿でのお悩み相談」のライヴ放送をお届けしました.
関連して khelf 公式のX(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio も,ぜひフォローをお願いします.
本ブログの読者の皆さんを含めまして,日頃多くの方々より「英語史活動」 (hel活)への応援をいただいています.今回はとりわけ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」(毎朝6時に配信)でのhel活を後押ししていただいている方々への感謝の意味を込め,リンク集を作成しました.heldio の紹介にとどまらず,配信回と連動した記事も公開されていますので,ぜひ訪問していただければ.
・ リスナー kitako さんによる日々の配信回のインスタストーリーでの紹介:毎日ご紹介ありがとうございます
・ リスナー umisio さんによる note での批評記事:ユーモアを含めた鋭いコメント,いつもありがとうございます
・ リスナーしゅがさんによる埼玉慶友会メルマガのバックナンバー "helmaga":目下3号まで公開されています
・ リスナー Kyu3 さんのブログ:heldio をお薦め番組としてご紹介いただいています
・ リスナー Karl さんのブログ:heldio を「英語の素朴な疑問」を大切にする番組としてご紹介いただいています
・ 菊地翔太先生(専修大学)の HP:heldio にもたびたび出演していただきお世話になっています
・ 最大の heldio 支援組織 khelf (慶應英語史フォーラム):内輪ですみません
上記はウェブ上で私が気づいた範囲内でのリンク紹介にとどまり,まったく網羅的ではないだろうと理解しています.ほかにも一般リスナーの皆さん,プレミアムリスナー限定配信チャンネルをお聴きのコアリスナーの皆さん,対談回などへの歴代出演者の皆さん,SNS上でコメントを盛り上げてくださっている皆さんにも感謝いたします.
heldio 関連でお気づきのリンク先を見つけましたら,ぜひ Voicy のコメント欄などを通じて,随時お知らせいただければ幸いです.
最後に,私の X(旧ツイッター)上のアカウント @chariderryu にて「heldio コミュニティ by 堀田隆一」というコミュニティを展開し始めている旨,お知らせします.承認制のコミュニティですが,基本的にはメンバーリクエストをいただければお入りいただけますので,ぜひご参加ください.コミュニティの趣旨は以下の通りです.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.
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