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最終更新時間: 2022-06-28 08:40

2017-10-24 Tue

#3102. 「キリスト教伝来と英語」のまとめスライド [slide][christianity][history][bible][runic][alphabet][latin][loan_word][link][hel_education][asacul]

 英語史におけるキリスト教伝来の意義について,まとめスライド (HTML) を作ったので公開する.こちらからどうぞ.大きな話題ですが,キリスト教伝来は英語に (1) ローマン・アルファベットによる本格的な文字文化を導入し,(2) ラテン語からの借用語を多くもたらし,(3) 聖書翻訳の伝統を開始した,という3つの点において,英語史上に計り知れない意義をもつと結論づけました.

 1. キリスト教伝来と英語
 2. 要点
 3. ブリテン諸島へのキリスト教伝来 (#2871)
 4. 1. ローマン・アルファベットの導入
 5. ルーン文字とは?
 6. 現存する最古の英文はルーン文字で書かれていた
 7. 古英語アルファベット
 8. 古英語の文学 (#2526)
 9. 2. ラテン語の英語語彙への影響
 10. 外来宗教が英語と日本語に与えた言語的影響の比較 (#206)
 11. 3. 聖書翻訳の伝統の開始
 12. 多数の慣用表現
 13. まとめ
 14. 参考文献
 15. 補遺1: Beowulf の冒頭の11行 (#2893)
 16. 補遺2:「主の祈り」の各時代のヴァージョン (#1803)

 他の「まとめスライド」として,「#3058. 「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド」 ([2017-09-10-1]),「#3068. 「宗教改革と英語史」のまとめスライド」 ([2017-09-20-1]),「#3089. 「アメリカ独立戦争と英語」のまとめスライド」 ([2017-10-11-1]) もご覧ください.

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2017-10-21 Sat

#3099. 連載第10回「なぜ you は「あなた」でもあり「あなたがた」でもあるのか?」 [link][notice][personal_pronoun][number][t/v_distinction][category][rensai][sobokunagimon][fetishism]

 昨日10月20日付けで,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第10回の記事「なぜ you は「あなた」でもあり「あなたがた」でもあるのか?」が公開されました.
 本文でも述べているように,この素朴な疑問にも「驚くべき歴史的背景が隠されて」おり,解説を通じて「英語史のダイナミズム」を感じられると思います.2人称代名詞を巡る諸問題については,これまでも本ブログで書きためてきました.以下に関連記事へのリンクを張りますので,どうぞご覧ください.

[ 各時代,各変種の人称代名詞体系 ]
 
 ・ 「#180. 古英語の人称代名詞の非対称性」 ([2009-10-24-1])
 ・ 「#181. Chaucer の人称代名詞体系」 ([2009-10-25-1])
 ・ 「#196. 現代英語の人称代名詞体系」 ([2009-11-09-1])
 ・ 「#529. 現代非標準変種の2人称複数代名詞」 ([2010-10-08-1])
 ・ 「#333. イングランド北部に生き残る thou」 ([2010-03-26-1])

[ 文法範疇とフェチ ]

 ・ 「#1449. 言語における「範疇」」 ([2013-04-15-1])
 ・ 「#2853. 言語における性と人間の分類フェチ」 ([2017-02-17-1])

[ 親称と敬称の対立 (t/v_distinction) ]

 ・ 「#167. 世界の言語の T/V distinction」 ([2009-10-11-1])
 ・ 「#185. 英語史とドイツ語史における T/V distinction」 ([2009-10-29-1])
 ・ 「#1033. 日本語の敬語とヨーロッパ諸語の T/V distinction」 ([2012-02-24-1])
 ・ 「#1059. 権力重視から仲間意識重視へ推移してきた T/V distinction」 ([2012-03-21-1])
 ・ 「#1126. ヨーロッパの主要言語における T/V distinction の起源」 ([2012-05-27-1])
 ・ 「#1552. T/V distinction と face」 ([2013-07-27-1])
 ・ 「#2107. ドイツ語の T/V distinction の略史」 ([2015-02-02-1])

[ thou, ye, you の競合 ]

 ・ 「#673. Burnley's you and thou」 ([2011-03-01-1])
 ・ 「#1127. なぜ thou ではなく you が一般化したか?」 ([2012-05-28-1])
 ・ 「#1336. なぜ thou ではなく you が一般化したか? (2)」 ([2012-12-23-1])
 ・ 「#1865. 神に対して thou を用いるのはなぜか」 ([2014-06-05-1])
 ・ 「#291. 二人称代名詞 thou の消失の動詞語尾への影響」 ([2010-02-12-1])
 ・ 「#2320. 17世紀中の thou の衰退」 ([2015-09-03-1])
 ・ 「#800. you による ye の置換と phonaesthesia」 ([2011-07-06-1])
 ・ 「#781. How d'ye do?」 ([2011-06-17-1])

[ 敬称の you の名残り ]

 ・ 「#440. 現代に残る敬称の you」 ([2010-07-11-1])
 ・ 「#1952. 「陛下」と Your Majesty にみられる敬意」 ([2014-08-31-1])
 ・ 「#3095. Your Grace, Your Highness, Your Majesty」 ([2017-10-17-1])

[ you の発音と綴字 ]

 ・ 「#2077. you の発音の歴史」 ([2015-01-03-1])
 ・ 「#2234. <you> の綴字」 ([2015-06-09-1])

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2017-10-11 Wed

#3089. 「アメリカ独立戦争と英語」のまとめスライド [slide][ame][ame_bre][history][link][hel_education][asacul]

 (アメリカ)英語史におけるアメリカ独立戦争の意義について,まとめスライド (HTML) を作ったので公開する.こちらからどうぞ.

 1. アメリカ独立戦争と英語
 2. 要点
 3. アメリカ英語の言語学的特徴
 4. アメリカ英語の社会言語学的特徴
 5. アメリカの歴史(猿谷の目次より)
 6. 「アメリカ革命」 (American Revolution)
 7. アメリカ英語の時代区分 (#158)
 8. 独立戦争とアメリカ英語
 9. ノア・ウェブスター(肖像画; #3087)
 10. ウェブスター語録
 11. ウェブスターの綴字改革
 12. まとめ
 13. 参考文献

 他の「まとめスライド」として,「#3058. 「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド」 ([2017-09-10-1]),「#3068. 「宗教改革と英語史」のまとめスライド」 ([2017-09-20-1]) もご覧ください.

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2017-10-01 Sun

#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました [notice][spelling][spelling_pronunciation_gap][history][hel_education][toc][link]

 9月20日付で,拙訳『スペリングの英語史』が早川書房より出版されました.原著は本ブログで何度も参照・引用している Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013. です.本ブログを読まれている方,そして英語スペリングの諸問題に関心をもっているすべての方に,おもしろく読んでもらえる内容です.

does_spelling_matter_front_cover
サイモン・ホロビン(著),堀田隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.302頁.ISBN: 978-4152097040.定価2700円(税別).



 「本書をただのスペリングの本だと思ったら大間違いである.ここには,英語史,英文学をはじめ,英語の教養がぎっしりと詰まっている」との推薦文を,東大の斎藤兆史先生より寄せていただきました.また,本書の帯に「オックスフォード大学英語学教授による,スペリングの謎に切り込む名解説」という売り文句がありますが,訳者も英語のスペリングに関する読ませる本としては最高のものであると確信しています(もう1冊の読ませるスペリング本として,Crystal, David. Spell It Out: The Singular Story of English Spelling. London: Profile Books, 2012. も薦めます).
 本書には,このスペリングやあのスペリングの背景にこんな歴史的な事件が関与していたのか,と驚くエピソードが満載です.例えば・・・

 ・ 合衆国副大統領の政治生命の懸かった,potato のスペリングをめぐる醜聞
 ・ 『指輪物語』のトールキンは,独自のアルファベット体系を考案し,それで日記をつけていた
 ・ 最古の英文はローマ字ではなくルーン文字で書かれていた
 ・ 中英語期には such の異なるスペリングが500種類もあった
 ・ ルネサンス期のラテン語かぶれの知識人が,doubt の <b> のような妙なスペリングの癖を生み出した
 ・ シェイクスピア『リア王』で語られる,英語における <z> の文字の冷遇
 ・ Smith さんか,Smythe さんか,はたまた Psmith さんか --- 名前のスペリングへのこだわり
 ・ みずからの遺産を理想的なアルファベット考案の賞金にあてた劇作家バーナード・ショー
 ・ ウェブスターがアメリカ式スペリングの改革に成功したのは,独立の愛国心とベストセラー『スペリング教本』の商業的成功ゆえ
 ・ 電子メールに溢れる省略スペリングは,英語の堕落の現われか,言語的創造力のたまものか

 本書の目次は,以下の通りとなっています.



 日本版への序文
 図一覧
 発音記号
 1 序章
 2 種々の書記体系
 3 起源
 4 侵略と改正
 5 ルネサンスと改革
 6 スペリングの固定化
 7 アメリカ式スペリング
 8 スペリングの現在と未来
 読書案内
 参考文献
 訳者あとがき
 語句索引



 原著の著者ついて,簡単に紹介しておきます.サイモン・ホロビン氏はオックスフォード大学モードリン・カレッジ・フェローの英語学教授です.英語史・中世英語英文学を専門としており,以下のような主要著書を世に送り出してきました.まさに気鋭の英語史研究者です.

 ・ Horobin, Simon and Jeremy Smith. An Introduction to Middle English. Edinburgh: Edinburgh UP, 2002.
 ・ Horobin, Simon. The Language of the Chaucer Tradition. Cambridge: Brewer, 2003.
 ・ Horobin, Simon. Chaucer's Language. 1st ed. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2006. 2nd ed. 2012.
 ・ Horobin, Simon. Studying the History of Early English. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2009.
 ・ Horobin, Simon. How English Became English: A Short History of a Global Language. Oxford: OUP, 2016.

 また,最近はあまり更新されていないようですが,著者は2012年から Spelling Trouble という英語のスペリングの話題を提供するブログで,いくつかの記事を書いています.
 ちなみに個人的なことをいえば,訳者はグラスゴー大学に留学し2005年に博士号を取得しましたが,当時,著者はグラスゴー大学で教鞭を執っており,訳者の学位審査官の1人でもありました.あのときもお世話になり,このたびもお世話になり,という経緯です.さらに,2年前の2014年12月には,本書にインスピレーションを受けて開催したシンポジウムに著者を招き,英語のスペリングについて一緒に議論する機会をもつことができました(cf. 「#2053. 日本中世英語英文学会第30回大会のシンポジウム "Does Spelling Matter in Pre-Standardised Middle English?" を終えて」 ([2014-12-10-1])).
 間違いなく英語のスペリングがよく分かるようになります.『スペリングの英語史』を是非ご一読ください.

 ・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
 ・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.

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2017-09-21 Thu

#3069. 連載第9回「なぜ try が tried となり,die が dying となるのか?」 [spelling][y][spelling_pronunciation_gap][minim][cawdrey][mulcaster][link][rensai][sobokunagimon][three-letter_rule]

 昨日9月20日付けで,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第9回の記事「なぜ try が tried となり,die が dying となるのか?」が公開されました.
 本ブログでも綴字(と発音の乖離)の話題は様々に取りあげてきましたが,今回は標題の疑問を掲げつつ,言うなれば <y> の歴史とでもいうべきものになりました.書き残したことも多く,<y> の略史というべきものにとどまっていますが,とりわけ各時代における <i> との共存・競合の物語が読みどころです.ということは,部分的に <i> の略史ともなっているということです.標題の素朴な疑問を解消しつつ,英語の綴字の歴史のさらなる深みへと誘います.
 本文の第3節で "minim avoidance" と呼ばれる中英語期の特異な綴字習慣を紹介していますが,これは英語の綴字に広範な影響を及ぼしており,本ブログでも以下の記事で触れてきました.連載記事を読んでから以下のそれぞれに目を通すと,おそらくいっそう興味をもたれることと思います.

 ・ 「#91. なぜ一人称単数代名詞 I は大文字で書くか」 ([2009-07-27-1])
 ・ 「#870. diacritical mark」 ([2011-09-14-1])
 ・ 「#223. woman の発音と綴字」 ([2009-12-06-1])
 ・ 「#1094. <o> の綴字で /u/ の母音を表わす例」 ([2012-04-25-1])
 ・ 「#2227. なぜ <u> で終わる単語がないのか」 ([2015-06-02-1])
 ・ 「#2740. word のたどった音変化」 ([2016-10-27-1])
 ・ 「#2450. 中英語における <u> の <o> による代用」 ([2016-01-11-1])
 ・ 「#3037. <ee>, <oo> はあるのに <aa>, <ii>, <uu> はないのはなぜか?」 ([2017-08-20-1])

 第4節では,リチャード・マルカスターの綴字提案とロバート・コードリーの英英辞書に触れました.1600年前後に活躍したこの2人の教育者については,「#441. Richard Mulcaster」 ([2010-07-12-1]) と「#603. 最初の英英辞書 A Table Alphabeticall (1)」 ([2010-12-21-1]) を始め,mulcastercawdrey の各記事もご参照ください.
 最後に,第5節で「3文字」規則に触れましたが,こちらに関しては「#2235. 3文字規則」 ([2015-06-10-1]),「#2437. 3文字規則に屈したイギリス英語の <axe>」 ([2015-12-29-1]) の記事を読むことにより理解が深まると思います.

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2017-09-20 Wed

#3068. 「宗教改革と英語史」のまとめスライド [reformation][renaissance][bible][emode][lexicology][slide][history][link][map][hel_education][asacul]

 英語史における宗教改革の意義について,reformation の各記事で考えてきた.現時点での総括として,「宗教改革と英語史」のまとめスライド (HTML) を公開したい.こちらからどうぞ.  *  *
 15枚からなるスライドで,目次は以下の通り.

 1. 宗教改革と英語史
 2. 要点
 3. 宗教改革とは?
 4. 歴史的背景
 5. イングランドの宗教改革とその特異性
 6. ルネサンスとは?
 7. イングランドにおける宗教改革とルネサンスの共存
 8. 英語文化へのインパクト
 9. プロテスタンティズムの拡大と定着
 10. 古英語研究の開始
 11. 語彙をめぐる問題
 12. 一連の聖書翻訳
 13. まとめ
 14. 参考文献
 15. 補遺:「創世記」11:1--9 (「バベルの塔」)の近現代8ヴァージョン+新共同訳

 別の「まとめスライド」として,「#3058. 「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド」 ([2017-09-10-1]) もご覧ください.

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2017-09-10 Sun

#3058. 「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド [black_death][reestablishment_of_english][history][sociolinguistics][slide][link][map][hel_education][asacul]

 ここ数日,集中的に英語史における黒死病の意義を考えてきた.これまで書きためてきた black_death の記事を総括する意味で「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド (HTML) を作ってみたので,こちらよりご覧ください.
 13枚からなるスライドで,目次は以下の通り.

 1. 英語史における黒死病の意義
 2. 要点
 3. 黒死病 (Black Death) とは?
 4. ノルマン征服による英語の地位の低下
 5. 英語の復権の歩み (#131)
 6. 黒死病の社会(言語学)的影響 (1)
 7. 黒死病と社会(言語学)的影響 (2)
 8. 英語による教育の始まり (#1206)
 9. 実は中英語は常に繁栄していた
 10. 黒死病は英語の復権に拍車をかけたにすぎない
 11. 村上,pp. 176--77
 12. まとめ
 13. 参考文献

 HTML スライドなので,そのまま hellog 記事にリンクを張ったり辿ったりでき,とても便利.英語史スライドシリーズとして,ほかにも作っていきたい.  *  *

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2017-08-22 Tue

#3039. 連載第8回「なぜ「グリムの法則」が英語史上重要なのか」 [grimms_law][consonant][loan_word][sound_change][phonetics][french][latin][indo-european][etymology][cognate][germanic][romance][verners_law][sgcs][link][rensai]

 昨日付けで,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第8回の記事「なぜ「グリムの法則」が英語史上重要なのか」が公開されました.グリムの法則 (grimms_law) について,本ブログでも繰り返し取り上げてきましたが,今回の連載記事では初心者にもなるべくわかりやすくグリムの法則の音変化を説明し,その知識がいかに英語学習に役立つかを解説しました.
 連載記事を読んだ後に,「#103. グリムの法則とは何か」 ([2009-08-08-1]) および「#102. hundredグリムの法則」 ([2009-08-07-1]) を読んでいただくと,復習になると思います.
 連載記事では,グリムの法則の「なぜ」については,専門性が高いため触れていませんが,関心がある方は音声学や歴史言語学の観点から論じた「#650. アルメニア語とグリムの法則」 ([2011-02-06-1]) ,「#794. グリムの法則と歯の隙間」 ([2011-06-30-1]),「#1121. Grimm's Law はなぜ生じたか?」 ([2012-05-22-1]) をご参照ください.
 グリムの法則を補完するヴェルネルの法則 (verners_law) については,「#104. hundredヴェルネルの法則」 ([2009-08-09-1]),「#480. fatherヴェルネルの法則」 ([2010-08-20-1]),「#858. Verner's Law と子音の有声化」 ([2011-09-02-1]) をご覧ください.また,両法則を合わせて「第1次ゲルマン子音推移」 (First Germanic Consonant Shift) と呼ぶことは連載記事で触れましたが,では「第2次ゲルマン子音推移」があるのだろうかと気になる方は「#405. Second Germanic Consonant Shift」 ([2010-06-06-1]) と「#416. Second Germanic Consonant Shift はなぜ起こったか」 ([2010-06-17-1]) のをお読みください.英語とドイツ語の子音対応について洞察を得ることができます.

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2017-07-20 Thu

#3006. 古英語の辞書 [lexicography][dictionary][oe][doe][bibliography][hel_education][link]

 古英語を学習・研究する上で有用な辞書をいくつか紹介する.

 (1) Bosworth, Joseph. A Compendious Anglo-Saxon and English Dictionary. London: J. R. Smith, 1848.
 (2) Bosworth, Joseph and Thomas N. Toller. Anglo-Saxon Dictionary. Oxford: OUP, 1973. 1898. (Online version available at http://lexicon.ff.cuni.cz/texts/oe_bosworthtoller_about.html.)
 (3) Hall, John R. C. A Concise Anglo-Saxon Dictionary. Rev. ed. by Herbert T. Merritt. Toronto: U of Toronto P, 1996. 1896. (Online version available at http://lexicon.ff.cuni.cz/texts/oe_clarkhall_about.html.)
 (4) Healey, Antonette diPaolo, Ashley C. Amos and Angus Cameron, eds. The Dictionary of Old English in Electronic Form A--G. Toronto: Dictionary of Old English Project, Centre for Medieval Studies, U of Toronto, 2008. (see The Dictionary of Old English (DOE) and Dictionary of Old English Corpus (DOEC).)
 (5) Sweet, Henry. The Student's Dictionary of Anglo-Saxon. Cambridge: CUP, 1976. 1896.

 おのおのタイトルからも想像されるとおり,詳しさや編纂方針はまちまちである.入門用の Sweet に始まり,簡略辞書の Hall から,専門的な Bosworth and Toller を経て,最新の Healey et al. による電子版 DOE に至る.DOE を除いて,古英語辞書の定番がおよそ19世紀末の産物であることは注目に値する.この時期に,様々なレベルの古英語辞書が,独自の規範・記述意識をもって編纂され,出版されたのである.
 現代風の書き言葉の標準が明確に定まっていない古英語の辞書編纂では,見出し語をどのような綴字で立てるかが悩ましい問題となる.使用者は,たいてい適切な綴字を見出せないか,あるいは異綴りの間をたらい回しにされるかである.大雑把にいえば,入門的な Sweet の立てる見出しの綴字は "critical" で規範主義的であり,最も専門的な DOE は "diplomatic" で記述主義的である.その間に,緩やかに "critical" な Hall と緩やかに "diplomatic" な Bosworth and Toller が位置づけられる.
 合わせて古英語語彙の学習には,以下の2点を挙げておこう.

 ・ Barney, Stephen A. Word-Hoard: An Introduction to Old English Vocabulary. 2nd ed. New Haven: Yale UP, 1985.
 ・ Holthausen, Ferdinand. Altenglisches etymologisches Wōrterbuch. Heidelberg: Carl Winter Universitätsverlag, 1963.

 Holthausen の辞書は,古英語語源辞書として専門的かつ特異な地位を占めているが,語源から語彙を学ぼうとする際には役立つ.Barney は,同じ趣旨で,かつ読んで楽しめる古英語単語リストである.

Referrer (Inside): [2020-06-24-1]

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2017-06-21 Wed

#2977. 連載第6回「なぜ英語語彙に3層構造があるのか? --- ルネサンス期のラテン語かぶれとインク壺語論争」 [notice][link][loan_word][borrowing][lexicology][french][latin][lexical_stratification][japanese][inkhorn_term][rensai][sobokunagimon]

 昨日付けで,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第6回の記事「なぜ英語語彙に3層構造があるのか? --- ルネサンス期のラテン語かぶれとインク壺語論争」が公開されました.
 今回の話は,英語語彙を学ぶ際の障壁ともなっている多数の類義語セットが,いかに構造をなしており,なぜそのような構造が存在するのかという素朴な疑問に,歴史的な観点から迫ったものです.背景には,英語が特定の時代の特定の社会的文脈のなかで特定の言語と接触してきた経緯があります.また,英語語彙史をひもといていくと,興味深いことに,日本語語彙史との平行性も見えてきます.対照言語学的な日英語比較においては,両言語の違いが強調される傾向がありますが,対照歴史言語学の観点からみると,こと語彙史に関する限り,両言語はとてもよく似ています.連載記事の後半では,この点を議論しています.
 英語語彙(と日本語語彙)の3層構造の話題については,拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』のの5.1節「なぜ Help me! とは叫ぶが Aid me! とは叫ばないのか?」と5.2節「なぜ Assist me! とはなおさら叫ばないのか?」でも扱っていますが,本ブログでも様々に議論してきたので,そのリンクを以下に張っておきます.合わせてご覧ください.また,同様の話題について「#1999. Chuo Online の記事「カタカナ語の氾濫問題を立体的に視る」」 ([2014-10-17-1]) で紹介した拙論もこちらからご覧ください.

 ・ 「#334. 英語語彙の三層構造」 ([2010-03-27-1])
 ・ 「#1296. 三層構造の例を追加」 ([2012-11-13-1])
 ・ 「#1960. 英語語彙のピラミッド構造」 ([2014-09-08-1])
 ・ 「#2072. 英語語彙の三層構造の是非」 ([2014-12-29-1])
 ・ 「#2279. 英語語彙の逆転二層構造」 ([2015-07-24-1])
 ・ 「#2643. 英語語彙の三層構造の神話?」 ([2016-07-22-1])
 ・ 「#387. trisociationtriset」 ([2010-05-19-1])

 ・ 「#1437. 古英語期以前に借用されたラテン語の例」 ([2013-04-03-1])
 ・ 「#32. 古英語期に借用されたラテン語」 ([2009-05-30-1])
 ・ 「#1945. 古英語期以前のラテン語借用の時代別分類」 ([2014-08-24-1])
 ・ 「#120. 意外と多かった中英語期のラテン借用語」 ([2009-08-25-1])
 ・ 「#1211. 中英語のラテン借用語の一覧」 ([2012-08-20-1])
 ・ 「#478. 初期近代英語期に湯水のように借りられては捨てられたラテン語」 ([2010-08-18-1])
 ・ 「#114. 初期近代英語の借用語の起源と割合」 ([2009-08-19-1])
 ・ 「#1226. 近代英語期における語彙増加の年代別分布」 ([2012-09-04-1])
 ・ 「#2162. OED によるフランス語・ラテン語からの借用語の推移」 ([2015-03-29-1])
 ・ 「#2385. OED による,古典語およびロマンス諸語からの借用語彙の統計 (2)」 ([2015-11-07-1])

 ・ 「#576. inkhorn term と英語辞書」 ([2010-11-24-1])
 ・ 「#1408. インク壺語論争」 ([2013-03-05-1])
 ・ 「#1409. 生き残ったインク壺語,消えたインク壺語」 ([2013-03-06-1])
 ・ 「#1410. インク壺語批判と本来語回帰」 ([2013-03-07-1])
 ・ 「#1615. インク壺語を統合する試み,2種」 ([2013-09-28-1])
 ・ 「#609. 難語辞書の17世紀」 ([2010-12-27-1])

 ・ 「#335. 日本語語彙の三層構造」 ([2010-03-28-1])
 ・ 「#1630. インク壺語,カタカナ語,チンプン漢語」 ([2013-10-13-1])
 ・ 「#1629. 和製漢語」 ([2013-10-12-1])
 ・ 「#1067. 初期近代英語と現代日本語の語彙借用」 ([2012-03-29-1])
 ・ 「#296. 外来宗教が英語と日本語に与えた言語的影響」 ([2010-02-17-1])
 ・ 「#1526. 英語と日本語の語彙史対照表」 ([2013-07-01-1])

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2017-06-10 Sat

#2966. 英語語彙の世界性 (2) [lexicology][loan_word][borrowing][statistics][link]

 英語語彙の世界性について,1年ほど前の記事 ([2016-06-24-1]) で様々なリンクを張ったが,その後書き足した記事もあるので,リンク等をアップデートしておきたい.記事を読み進めていけば,英語語彙史の概要が分かる.

1  数でみる英語語彙
  1.1  語彙の規模の大きさ (#898)
  1.2  語彙の種類の豊富さ (##756,309,202,429,845,1202,110,201,384)
  1.3  英語語彙史の概略 (##37,1526,126,45)
2  語彙借用とは?
  2.1  なぜ語彙を借用するのか? (##46,1794)
  2.2  借用の5W1H:いつ,どこで,何を,誰から,どのように,なぜ借りたのか? (#37)
3  英語の語彙借用の歴史 (#1526)
  3.1  大陸時代 (--449)
    3.1.1  ラテン語 (#1437)
  3.2  古英語期 (449--1100)
    3.2.1  ケルト語 (##1216,2443)
    3.2.2  ラテン語 (#32)
    3.2.3  古ノルド語 (##2625,2693,340,818)
    3.2.4  古英語本来語のその後 (##450,2556,648)
  3.3  中英語期 (1100--1500)
    3.3.1  フランス語 (##117,1210)
    3.3.2  ラテン語 (##120,1211)
    3.3.3  中英語の語彙の起源と割合 (#985)
  3.4  初期近代英語期 (1500--1700)
    3.4.1  ラテン語 (##478,114,1226)
    3.4.2  ギリシア語 (#516)
    3.4.3  ロマンス諸語 (##2385,2162,1411,1638)
  3.5  後期近代英語期 (1700--1900) と現代英語期 (1900--)
    3.5.1  語彙の爆発 (##203,616)
    3.5.2  世界の諸言語 (##874,2165,2164)
4  現代の英語語彙にみられる歴史の遺産
  4.1  フランス語とラテン語からの借用語 (#2162)
  4.2  動物と肉を表わす単語 (##331,754)
  4.3  語彙の3層構造 (##334,1296,335,1960)
  4.4  日英語の語彙の共通点 (##1645,296,1630,1067)
5  現在そして未来の英語語彙
  5.1  借用以外の新語の源泉 (##873,874,875)
  5.2  語彙は時代を映し出す (##625,631,876,889)


 英語語彙史を大づかみする上で最重要となる3点を指摘しておきたい.

  (1) 英語語彙史は,英語と他言語の交流の歴史と連動している
  (2) 語彙借用の動機づけは「必要性」のみではない
  (3) 語彙借用により類義語が積み上げられていき,結果として3層構造が生じた

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2017-05-23 Tue

#2948. 連載第5回「alive の歴史言語学」 [notice][link][syntax][adjective][rensai][fricative_voicing]

 昨日付けで,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第5回の記事「alive の歴史言語学」が公開されました.
 今回の主張は「一波動けば万波生ず」という言語変化のダイナミズムです.古英語から中英語にかけて生じた小さな音の弱化・消失が,形態,統語,綴字,語彙など,英語を構成する諸部門に少なからぬ影響を及ぼし,やや大げさにいうと「英語の体系を揺るがす」ほどの歴史的なインパクトをもった現象である,ということを説きました.英語史のダイナミックな魅力が伝われば,と思います.
 以下に,第5回の記事で触れた諸点に密接に関わる hellog 記事へのリンクを張っておきます.合わせて読むと,連載記事のほうもより面白く読めると思います.

 ・ 「#2723. 前置詞 on における n の脱落」 ([2016-10-10-1])
 ・ 「#1365. 古英語における自鳴音にはさまれた無声摩擦音の有声化」 ([2013-01-21-1])
 ・ 「#1080. なぜ five の序数詞は fifth なのか?」 ([2012-04-11-1])
 ・ 「#702. -ths の発音」 ([2011-03-30-1])
 ・ 「#374. <u> と <v> の分化 (2)」 ([2010-05-06-1])
 ・ 「#712. 独立した音節として発音される -ed 語尾をもつ過去分詞形容詞 (2)」 ([2011-04-09-1])
 ・ 「#1916. 限定用法と叙述用法で異なる形態をもつ形容詞」 ([2014-07-26-1])
 ・ 「#2435. eurhythmy あるいは "buffer hypothesis" の適用可能事例」 ([2015-12-27-1])
 ・ 「#2421. 現在分詞と動名詞の協働的発達」 ([2015-12-13-1])
 ・ 「#2422. 初期中英語における動名詞,現在分詞,不定詞の語尾の音韻形態的混同」 ([2015-12-14-1])
 ・ 「#2245. Meillet の "tout se tient" --- 体系としての言語」 ([2015-06-20-1])

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2017-05-18 Thu

#2943. 英語の発音と綴りが一致しない理由は「見栄」と「惰性」? [notice][spelling][spelling_pronunciation_gap][etymological_respelling][link]

 先日,「英語の発音と綴字の乖離」の問題について,DMM英会話ブログさんにインタビューしていただき,記事にしてもらいました.昨日その記事がアップロードされたので,今日はそれを紹介がてら,関連する hellog 記事へのリンクを張っておきます.記事のタイトルは,ずばり「圧倒的腹落ち感!英語の発音と綴りが一致しない理由を専門家に聞きに行ったら,犯人は中世から近代にかけての「見栄」と「惰性」だった。」です.こちらからどうぞ.
 最大限に分かりやすい解説を目指し,話しをとことんまで簡略化しました.簡略化するあまり,細かな点では不正確,あるいは言葉足らずなところもあると思いますが,多くの英語学習者の方々に関心をもたれる話題に対して,英語史の観点からどのように迫れるのか,英語史的な見方の入り口を垣間見てもらえるように,との思いからです.趣旨を汲み取ってもらえればと思います.かる?く,ゆる?く読んで「腹落ち感」を味わってください.
 さて,本ブログでは「英語の発音と綴字の乖離」問題について,spelling_pronunciation_gap の多くの記事で論じてきました.今回のインタビュー記事では,debt になぜ発音しない <b> があるのか,といった語源的綴字 (etymological_respelling) の話題を主として取り上げました.インタビュー中に言及のある具体的な事例との関係では,特に以下の記事をご覧ください.

 ・ debt の <b> の謎:「#116. 語源かぶれの綴り字 --- etymological respelling」 ([2009-08-21-1])
 ・ 中英語の through の綴字に見られる混乱:「#53. 後期中英語期の through の綴りは515通り」 ([2009-06-20-1])
 ・ 15世紀の through の綴字の収束:「#193. 15世紀 Chancery Standard の through の異綴りは14通り」 ([2009-11-06-1])
 ・ 発音と綴字が別々に走っていた件:「#2292. 綴字と発音はロープでつながれた2艘のボート」 ([2015-08-06-1])
 ・ 不規則性・不合理性を保つことに意味がある!?:「#1482. なぜ go の過去形が went になるか (2)」 ([2013-05-18-1])

 1時間ほどのインタビューで上手に話し尽くせるようなテーマではありませんでしたが,読者のみなさんがこの問題に,また英語史という分野に関心を抱く機会となれば,私としては目的達成です.

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2017-04-21 Fri

#2916. 連載第4回「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall --- 複線的思考のすすめ」 [notice][link][ame_bre][history][calendar][z][rensai][sobokunagimon]

 4月20日付で,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第4回の記事「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall --- 複線的思考のすすめ」が公開されました.
 今回は,拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』の6.1節「なぜアメリカ英語では r をそり舌で発音するのか?」および6.2節「アメリカ英語はイギリス英語よりも「新しい」のか?」で扱った英語の英米差について,具体的な単語のペア autumn vs fall を取り上げて,歴史的に深く解説しました.言語を単線的思考ではなく複線的思考で見直そう,というのが主旨です.
 英語の英米差は,英語史のなかでもとりわけ人気のある話題なので,本ブログでも ame_bre の多く取り上げてきました.今回の連載記事で取り上げた内容やツールに関わる本ブログ内記事としては,以下をご参照ください.

 ・ 「#315. イギリス英語はアメリカ英語に比べて保守的か」 ([2010-03-08-1])
 ・ 「#1343. 英語の英米差を整理(主として発音と語彙)」 ([2012-12-30-1])
 ・ 「#1730. AmE-BrE 2006 Frequency Comparer」 ([2014-01-21-1])
 ・ 「#1739. AmE-BrE Diachronic Frequency Comparer」 ([2014-01-30-1])
 ・ 「#428. The Brown family of corpora の利用上の注意」 ([2010-06-29-1])
 ・ 「#964 z の文字の発音 (1)」 ([2011-12-17-1])
 ・ 「#965. z の文字の発音 (2)」 ([2011-12-18-1])
 ・ 「#2186. 研究社Webマガジンの記事「コーパスで探る英語の英米差 ―― 基礎編 ――」」 ([2015-04-22-1])

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2017-04-20 Thu

#2915. Beowulf の冒頭52行 [beowulf][link][oe][literature][popular_passage][oe_text]

 「#2893. Beowulf の冒頭11行」 ([2017-03-29-1]) で挙げた11行では物足りなく思われたので,有名な舟棺葬 (ship burial) の記述も含めた Beowulf 冒頭の52行を引用したい.舟棺葬とは,6--11世紀にスカンディナヴィアとアングロサクソンの文化で見られた高位者の葬法である.
 原文は Jack 版で.現代英語訳は Norton Anthology に収録されているアイルランドのノーベル文学賞受賞詩人 Seamus Heaney の版でお届けする.

OEPDE translation
a-verseb-verse
Hwæt, wē Gār-Denain geārdagum,So. The Spear-Danes in days gone by
þēodcyningaþrym gefrūnon,and the kings who ruled them had courage and greatness.
hū ðā æþelingasellen fremedon.We have heard of those princes' heroic campaigns.
   Oft Scyld Scēfingsceaþena þrēatum,   There was Shield Sheafson, scourge of many tribes,
5monegum mǣgþummeodosetla oftēah,a wrecker of mead-benches, rampaging among foes.
egsode eorl[as],syððan ǣrest wearðThis terror of the hall-troops had come far.
fēasceaft funden;hē þæs frōfre gebād,A foundling to start with, he would flourish later on
wēox under wolcnum,weorðmyndum þāh,as his powers waxed and his worth was proved.
oðþæt him ǣghwylc þ[ǣr]ymbsittendraIn the end each clan on the outlying coasts
10ofer hronrādehȳran scolde,beyond the whale-road had to yield to him
gomban gyldan.Þæt wæs gōd cyning!and begin to pay tribute. That was one good king.
Ðǣm eafera wæsæfter cenned   Afterward a boy-child was born to Shield,
geong in geardum,þone God sendea cub in the yard, a comfort sent
folce tō frōfre;fyrenðearfe ongeatby God to that nation. Hew knew what they had tholed,
15þ[e] hīe ǣr drugonaldor[lē]asethe long times and troubles they'd come through
lange hwīle.Him þæs Līffrēa,without a leader; so the Lord of Life,
wuldres Wealdendworoldāre forgeaf;the glorious Almighty, made this man renowned.
Bēowulf wæs brēme---blǣd wīde sprang---Shield had fathered a famous son:
Scyldes eaferaScedelandum in.Beow's name was known through the north.
20Swā sceal [geong g]umagōde gewyrcean,And a young prince must be prudent like that,
fromum feohgiftumon fæder [bea]rme,giving freely while his father lives
þæt hine on yldeeft gewunigenso that afterward in age when fighting starts
wilgesīþasþonne wīg cume,steadfast companions will stand by him
lēode gelǣsten;lofdǣdum scealand hold the line. Behavior that's admired
25in mǣgþa gehwǣreman geþēon.is the path to power among people everywhere.
   Him ðā Scyld gewāttō gescæphwīle,   Shield was still thriving when his time came
felahrōr fēranon Frēan wǣre.and he crossed over into the Lord's keeping.
Hī hyne þā ætbǣrontō brimes faroðe,His warrior band did what he bade them
swǣse gesīþas,swā hē selfa bæd,when he laid down the law among the Danes:
30þenden wordum wēoldwine Scyldinga;they shouldered him out to the sea's flood,
lēof landfrumalange āhte.the chief they revered who had long ruled them.
Þǣr æt hȳðe stōdhringedstefnaA ring-whorled prow rode in the harbor,
īsig ond ūtfūs,æþelinges fær;ice-clad, outbound, a craft for a prince.
ālēdon þālēofne þēoden,They stretched their beloved lord in his boat,
35bēaga bryttanon bearm scipes,laid out by the mast, amidships,
mǣrne be mæste.Þǣr wæs mādma felathe great ring-giver. Far-fetched treasures
of feorwegum,frætwa gelǣded;were piled upon him, and precious gear.
ne hȳrde ic cȳmlīcorcēol gegyrwanI never heard before of a ship so well furbished
hildewǣpnumond heaðowǣdum,with battle-tackle, bladed weapons
40billum ond byrnum;him on bearme lægand coats of mail. The massed treasure
mādma mænigo,þā him mid scoldonwas loaded on top of him: it would travel far
on flōdes ǣhtfeor gewītan.on out into the ocean's sway.
Nalæs hī hine lǣssanlācum tēodan,They decked his body no less bountifully
þēodgestrēonum,þon þā dydonwith offerings than those first ones did
45þe hine æt frumsceafteforð onsendonwho cast him away when he was a child
ǣnne ofer ȳðeumborwesende.and launched him alone out over the waves.
Þā gȳt hie him āsettonsegen g[yl]denneAnd they set a gold standard up
hēah ofer hēafod,lēton holm beran,high above his head and let him drift
gēafon on gārsecg.Him wæs geōmor sefa,to wind and tide, bewailing him
50murnende mōd.Men ne cunnonand mourning their loss. No man can tell,
secgan tō sōðe,selerǣden[d]e,no wise man in hall or weathered veteran
hæleð under heofenum,hwā þǣm hlæste onfēng.knows for certain who salvaged that load.


 ・ Jack, George, ed. Beowulf: A Student Edition. Oxford: Clarendon, 1994.
 ・ Greenblatt, Stephen, ed. The Norton Anthology of English Literature. 8th ed. New York:: Norton, 2006.

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2017-03-29 Wed

#2893. Beowulf の冒頭11行 [beowulf][link][oe][literature][popular_passage][oe_text][hel_education]

 Beowulf は,古英語で書かれた最も長い叙事詩(3182行)であり,アングロサクソン時代から現存する最も重要な文学作品である.スカンディナヴィアの英雄 Beowulf はデンマークで怪物 Grendel を殺し,続けてその母をも殺した.Beowulf は後にスウェーデン南部で Geat 族の王となるが,年老いてから竜と戦い,戦死する.
 この叙事詩は,古英語で scop と呼ばれた宮廷吟遊詩人により,ハープの演奏とともに吟じられたとされる.現存する唯一の写本(1731年の火事で損傷している)は1000年頃のものであり,2人の写字生の手になる.作者は不詳であり,いつ制作されたかについても確かなことは分かっていない.8世紀に成立したという説もあれば,11世紀という説もある.
 冒頭の11行を Crystal (18) より,現代英語の対訳付きで以下に再現しよう.

1HǷÆT ǷE GARDEna in ȝeardaȝum .Lo! we spear-Danes in days of old
2þeodcyninȝa þrym ȝefrunonheard the glory of the tribal kings,
3hu ða æþelinȝas ellen fremedon .how the princes did courageous deeds.
4oft scyld scefing sceaþena þreatumOften Scyld Scefing from bands of enemies
5monegū mæȝþum meodo setla ofteahfrom many tribes took away mead-benches,
6eȝsode eorl[as] syððan ærest ƿearðterrified earl[s], since first he was
7feasceaft funden he þæs frofre ȝebadfound destitute. He met with comfort for that,
8ƿeox under ƿolcum, ƿeorðmyndum þah,grew under the heavens, throve in honours
9oðþ[æt] him æȝhƿylc þara ymbsittendrauntil each of the neighbours to him
10ofer hronrade hyran scoldeover the whale-road had to obey him,
11ȝomban ȝyldan þ[æt] ƿæs ȝod cyninȝ.pay him tribute. That was a good king!


 冒頭部分を含む写本画像 (Cotton MS Vitellius A XV, fol. 132r) は,こちらから閲覧できる.その他,以下のサイトも参照.

 ・ Cotton MS Vitellius A XV, Augustine of Hippo, Soliloquia; Marvels of the East; Beowulf; Judith, etc.: 写本画像を閲覧可能.
 ・ Beowulf: BL による物語と写本の解説.
 ・ Beowulf Readings: 古英語原文と「読み上げ」へのアクセスあり.
 ・ Beowulf Translation: 現代英語訳.
 ・ Diacritically-Marked Text of Beowulf facing a New Translation (with explanatory notes): 古英語原文と現代英語の対訳のパラレルテキスト.

 ・ Crystal, David. Evolving English: One Language, Many Voices. London: The British Library, 2010.

Referrer (Inside): [2017-04-20-1]

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2017-03-23 Thu

#2887. 連載第3回「なぜ英語は母音を表記するのが苦手なのか?」 [notice][link][vowel][diphthong][consonant][alphabet][writing][grapheme][history][spelling_pronunciation_gap][grammatology][rensai][sobokunagimon]

 3月21日付で,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第3回の記事「なぜ英語は母音を表記するのが苦手なのか?」が公開されました.今回は,拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』の第2章「発音と綴字に関する素朴な疑問」で取り上げた話題と関連して,特に「母音の表記の仕方」に注目し,掘り下げて考えています.現代英語の母音(音声)と母音字(綴字)の関係が複雑であることに関して,音韻論や文字史の観点から論じています.この問題の背景には,実に3千年を優に超える歴史物語があるという驚愕の事実を味わってもらえればと思います.
 以下に,第3回の記事と関連する本ブログ内の話題へのリンクを張っておきます.合わせてご参照ください.

 ・ 「#503. 現代英語の綴字は規則的か不規則的か」 ([2010-09-12-1])
 ・ 「#1024. 現代英語の綴字の不規則性あれこれ」 ([2012-02-15-1])
 ・ 「#2405. 綴字と発音の乖離 --- 英語綴字の不規則性の種類と歴史的要因の整理」 ([2015-11-27-1])
 ・ 「#1021. 英語と日本語の音素の種類と数」 ([2012-02-12-1])
 ・ 「#2515. 母音音素と母音文字素の対応表」 ([2016-03-16-1])
 ・ 「#1826. ローマ字は母音の長短を直接示すことができない」 ([2014-04-27-1])
 ・ 「#2092. アルファベットは母音を直接表わすのが苦手」 ([2015-01-18-1])
 ・ 「#1837. ローマ字とギリシア文字の字形の差異」 ([2014-05-08-1])
 ・ 「#423. アルファベットの歴史」 ([2010-06-24-1])
 ・ 「#1849. アルファベットの系統図」 ([2014-05-20-1])

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2017-02-21 Tue

#2857. 連載第2回「なぜ3単現に -s を付けるのか? ――変種という視点から」 [link][notice][3sp][3pp][conjugation][verb][inflection][variety][rensai][sobokunagimon]

 昨日2月20日に,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第2回となる「なぜ3単現に -s を付けるのか? ――変種という視点から」が研究社のサイトにアップロードされました.3単現の -s に関しては,本ブログでも 3sp の各記事で書きためてきましたが,今回のものは「素朴な疑問」に答えるという趣旨でまとめたダイジェストとなっています.どうぞご覧ください.
 連載記事のなかでは触れませんでしたが,3単現の -s の問題に歴史的に迫るには,(3人称)複数現在に付く語尾,つまり「複現」の屈折の問題も平行的に考える必要があります.その趣旨から,本ブログでは「複現」についても 3pp というカテゴリーのもとで様々に論じてきました.合わせてご参照ください.
 また,今回の連載記事でも,拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』でも,詳しく取り上げませんでしたが,本来 -th をもっていた3単現語尾が初期近代英語期にかけて -s に置き換えられた経緯に関する問題があります.この問題も,英語史上,議論百出の興味深い問題です.議論を覗いてみたい方は,「#1855. アメリカ英語で先に進んでいた3単現の -th → -s」 ([2014-05-26-1]),「#1856. 動詞の直説法現在形語尾 -eth は17世紀前半には -s と発音されていた」 ([2014-05-27-1]),「#1857. 3単現の -th → -s の変化の原動力」 ([2014-05-28-1]),「#2141. 3単現の -th → -s の変化の概要」 ([2015-03-08-1]),「#2156. C16b--C17a の3単現の -th → -s の変化」 ([2015-03-23-1]) などをご覧ください.

Referrer (Inside): [2019-05-22-1] [2019-01-22-1]

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2017-01-21 Sat

#2826. 連載記事「現代英語を英語史の視点から考える」を始めました [link][notice][diachrony][rensai][sobokunagimon]

 昨日1月20日付けで,「現代英語を英語史の視点から考える」と題する連載記事を開始しました.昨年,研究社より出版された拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』の関連企画としての連載寄稿です.拙著との連係を図りつつ,内容についての補足や応用的な話題を提供してゆく予定です.月に一度のペースとなりますが,そちらも本ブログとともによろしくお願いします.
 さて,初回の話題は,「ことばを通時的にみる 」とは?」 です.拙著の2.1.3 「共時的な説明と通時的な説明」で取り上げた問題を,詳しく,分かりやすく掘り下げました.具体例として,3.2節で扱った「なぜ *foots, *childs ではなく feet, children なのか?」という「不規則複数形」の事例を挙げています.共時的ではなく通時的な視点から言語を眺めてみると,これだけ見方が変わるのだ,ということを改めて主張しています.
 通時態 (diachrony) と共時態 (synchrony) については,本ブログでもいろいろと考えてきましたが,今回の記事にとりわけ関連する点についてはこちらの記事群をご一読ください.
 関連して,「#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました」 ([2016-11-20-1]) や「#2806. 『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』の関連企画」 ([2017-01-01-1]) の記事もご参照を.

Referrer (Inside): [2019-05-22-1]

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2017-01-01 Sun

#2806. 『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』の関連企画 [link][notice]

 明けましておめでとうございます.2017年も hellog を続けていきます.どうぞよろしくお願いします.
 昨年後半に,本ブログの内容もおおいに取り込んだ拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました.英語に関連する分野としては,一般にマイナーな領域とみられている「英語史」ですが,その存在意義を少しでも多くの方に知ってもらい,さらに欲をいえば,英語史を本格的に勉強してみたいという気持ちになってもらえればと思い,執筆しました.この執筆動機は本ブログの日々の執筆動機と完全に一致していますので,両者を合わせて読んでいただければと思います.
 『はじめての英語史』の出版にともないコンパニオン・サイト を研究社のサイト内に設けており,少しずつコンテンツを増やしている最中です.補足資料のページでは,本書の各章節の話題に対応した本ブログ記事へのリンクを多く張っていますので,本ブログ読者にも関心をもってもらえるかと思います.こちらも今後リンクをどんどん加えていく予定です.
 本書と同じ趣旨,似たテイストの「連載」記事も,今年から同コンパニオン・サイトで公開していく予定です.この連載企画は本書の延長という位置づけで,本書の補足や関連する話題を定期的に提供していくものです.早ければ数週間後には第1回が掲載されることになりますが,そちらもよろしくお願いいたします.関連して,「#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました」 ([2016-11-20-1]) もご参照ください.
 では,酉年が良い年になりますように!

Referrer (Inside): [2017-01-21-1]

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