昨日の記事 ([2023-12-23-1]) に引き続き,2023年の heldio 配信回のランキングを提示します.今日お示しするのは,寄せていただいたコメント数に基づく一風変わったランキング表です.今年は heldio のコメント欄がおおいに盛り上がり,リスナーコミュニティというべきものが徐々にできあがってきた年でした.コメント欄の盛り上がりをきっかけに聴いてみた,というような配信回もあったかもしれません.
その配信回がおもしろかったかどうかは別として,リスナーの皆さんから多くのコメントが寄せられてきたのには理由がありそうです.例えばトップに輝いた「#821. ニックネームを語ろう --- 9月3日(日) 19:00--20:00 の生放送のためにリスナーの皆さんへの呼びかけ」には112件ものコメントが付けられましたが,これは後日の生放送のために「ニックネーム」をお題としてリスナーの皆さんにコメント投稿を呼びかけたからです.第2位の「#800. 「英語は(私にとって)○○です」を募集します --- (日)の生放送に向けたリスナー参加型企画」も意見を募集する配信回でした.そのほか対談回もコメントがよく集まる傾向があるようです.
昨日のランキング表とあまり重なりがないラインナップとなっています.年末にかけて,ぜひいくつか聴いてみてください.
1. 「#821. ニックネームを語ろう --- 9月3日(日) 19:00--20:00 の生放送のためにリスナーの皆さんへの呼びかけ」 (2023/08/30)
2. 「#800. 「英語は(私にとって)○○です」を募集します --- (日)の生放送に向けたリスナー参加型企画」 (2023/08/09)
3. 「#637. なぜ「アメリカ語」ではないの?」 (2023/02/27)
4. 「#771. 「言語は○○のようだ」 --- 概念メタファーをめぐるリスナー参加型企画のご案内」 (2023/07/11)
5. 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」 (2023/10/20)
6. 「#650. 英語史の知恵が AI に負けない3つの理由」 (2023/03/12)
7. 「#704. なぜ日本語には擬音語・擬態語が多いのか? --- 森田まさにゃん,五所さん,藤原くんと音象徴を語る爆笑回」 (2023/05/05)
8. 「#773. 小河舜さんとの新シリーズの立ち上げなるか!?」 (2023/07/13)
9. 「#686. 英語史の知識は,英語の先生が英語を教えるときに本当に役立つのか?」 (2023/04/17)
10. 「#672. フレッシュに英語史,fresh に hel活」 (2023/04/03)
11. 「#794. 辞書で同一形態の単語に対して別見出しを立てるかどうか問題」 (2023/08/03)
12. 「#702. いいネーミングとは? --- 五所万実さん,藤原郁弥さん,まさにゃんとの対談」 (2023/05/03)
13. 「#809. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 (2023/08/18)
14. 「#690. なぜ leave の過去・過去分詞が left なの?」 (2023/04/21)
15. 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」 (2023/09/14)
16. 「#646. 「~を除いて」を意味する前置詞 save」 (2023/03/08)
17. 「#667. 五所万実さんとの対談 --- 商標言語学とは何か?」 (2023/03/29)
18. 「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」 (2023/10/31)
19. 「#635. 英語と日本語の共通点って何かありますか?--- まさにゃん&青木くんと第2弾」 (2023/02/25)
20. 「#919. リスナーの皆さんにお伺いです --- heldio を聴き始めたきっかけは何ですか?」 (2023/12/06)
21. 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」 (2023/03/31)
22. 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」 (2023/04/01)
23. 「#882. ゼミ合宿収録シリーズ (8) --- シンガポールの英語事情」 (2023/10/30)
24. 「#633. 答えを出すより問いを立てよ」 (2023/02/23)
25. 「#678. 4月7日に「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を heldio 生放送でお届けしました」 (2023/04/09)
26. 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」 (2023/09/07)
27. 「#654. 副業すると tax 絡みの task が増えまして --- 何だか似ている2語」 (2023/03/16)
28. 「#656. 現在から過去にさかのぼる英語史」 (2023/03/18)
29. 「#885. 慶早戦か早慶戦か? --- khelf 藤原くんと寺澤さんとの雑談」 (2023/11/02)
30. 「#903. "potato kid" のエピソード --- 『スペリングの英語史』の紹介」 (2023/11/20)
本ブログの姉妹版・音声版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)では,今年も1月1日から本日12月23日まで,毎朝6時に英語史の話題を声でお届けしてきました.元日配信の #580 から昨日配信の #935 までの計356回を2023年分の配信回とみなし,向こう数日をかけてランキング表や注目配信回のリストを提示していきます.そして,来週中,年末までの1週間で,リスナーの皆さんや hellog をお読みの皆さんに「2023年 heldio の推し配信回」を決めてもらう投票を行ないたいと思います.お付き合いの程よろしくお願いします.(過去のすべての配信回の一覧はこちらよりアクセスできます.)
以下に掲げる一覧は,Voicy のアナリティクスより提供された,当該配信回を聴取した「合計リスナー」数に基づいたベスト30のランキング表です.今年は人気 YouTube/Podcast チャンネル「ゆる言語学ラジオ」に出演させていただいたこともあり,そちらから heldio へリスナーさんの流入があり,結果として「ゆる言語学ラジオ」関連回は多くの方々に聴いていただきました.この事情がランキング上位に反映しているようです.そのほか khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーとの対談回や khelf による企画などにも注目が集まりました.「素朴な疑問」系の配信回も堅調でした.
ぜひこちらのランキング表を参考に,年末にかけて聴き逃していた回,改めて興味を抱いた回などをお聴きいただければ幸いです.
1. 「#705. ゆる言語学ラジオにお招きいただき初めて出演することに!」 (2023/05/06)
2. 「#729. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生のための英語史」 (2023/05/30)
3. 「#595. heah/hih/high --- 「ゆる言語学ラジオ」から飛び出した通時的パラダイム」 (2023/01/16)
4. 「#698. 先生,アルファベットの歴史を教えてください! --- 寺澤志帆さんとの対談」 (2023/04/29)
5. 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」 (2023/08/31)
6. 「#689. 『言語沼』 --- ゆる言語学ラジオから飛び出した言語本」 (2023/04/20)
7. 「#711. なぜ be going to は未来を意味するの? --- khelf 広報の渡邉さんとの対談」 (2023/05/12)
8. 「#621. なぜ new something ではなく something new なの?」 (2023/02/11)
9. 「#779. 「ゆる言語学ラジオ」で evident (evidence) について触れなかったこと --- 現在分詞なのに受け身の意味になっているゾ!」 (2023/07/19)
10. 「#628. 古英語の単語はどれくらい現代英語に受け継がれているの?」 (2023/02/18)
11. 「#625. Turkey --- トルコと七面鳥の関係」 (2023/02/15)
12. 「#784. なぜ進行形は be + -ing なのですか? --- リスナーさんからの素朴な疑問」 (2023/07/24)
13. 「#725. なぜ命令文には主語が現われないの?」 (2023/05/26)
14. 「#707. 先生,なんで doubt には発音しないのに <b> が入ってるんですか? --- 寺澤志帆さんとの対談」 (2023/05/08)
15. 「#735. 古英語音読 --- マタイ伝「種をまく人の寓話」より毒麦の話」 (2023/06/05)
16. 「#606. 英語のスペリングは漢字である」 (2023/01/27)
17. 「#715. ケルト語仮説」 (2023/05/16)
18. 「#602. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」 (2023/01/23)
19. 「#709. なぜ同一単語に多くのスペリングが存在し得たのか? --- 「ゆる言語学ラジオ」出演第2回で話題となった515通りの through の怪」 (2023/05/10)
20. 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」 (2023/10/20)
21. 「#688. なぜ不定詞には to 不定詞 と原形不定詞の2種類があるの?」 (2023/04/19)
22. 「#684. 英語史でみる不規則動詞の仕組み --- 藤原郁弥さんとの対談」 (2023/04/15)
23. 「#618. 英語史の時代区分」 (2023/02/08)
24. 「#708. unmummied --- 「ゆる言語学ラジオ」初出演回で話題となった縦棒16連発を記録した単語」 (2023/05/09)
25. 「#724. -er は本当に行為者接尾辞なの?」 (2023/05/25)
26. 「#745. 日本人よ,文字論に目覚めよ」 (2023/06/15)
27. 「#687. 「子音字+y は y を i に変えて -ed」 --- その規則いったい何?」 (2023/04/18)
28. 「#598. メタファーとは何か? 卒業生の藤平さんとの対談」 (2023/01/19)
29. 「#626. 陶磁器の china と漆器の japan --- 産地で製品を表わす単語たち」 (2023/02/16)
30. 「#734. Japan, Japanese, Nippon の語源と英語での初出年代」 (2023/06/04)
過去の heldio のランキングやその他の配信回一覧については,
・ 「#4996. 今年1年間でよく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-12-31-1])
・ 「#5101. 2023年1月--3月の heldio 放送回ランキング」 ([2023-04-15-1])
・ note のランキング記事
・ リスナー umisio さんによる note での振り返り記事
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第1四半期(1--3月)編」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第2四半期(4--6月)+7月 まるでカンブリア紀!?」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第3四半期(8--9月) ※7月は前回に含めた」
などもご参照ください.
標記の企画のために日々5件の投票フォームへのリンクを張りつけていきますので,こちらより多くの皆さんのご投票をお待ちしています(12月12日(火)以降の分は「後記」となります).
・ 1日目,12/11(月) ABCDE の投票フォーム
・ 2日目,12/12(火) FGHIJ の投票フォーム
・ 3日目,12/13(水) KLMNO の投票フォーム
・ 4日目,12/14(木) PQRST の投票フォーム
・ 5日目,12/15(金) UVWXYZ の投票フォーム
こちらの Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) は今朝の配信回です.「#924. 今週は「変なアルファベット表」のための投票週間です」として,khelf(慶應英語史フォーラム)の寺澤志帆さんとともに重要な「投票の呼びかけ」についての告知をいたしました.ぜひお聴き下さい.
2ヶ月近く前のことになりますが khelf によるの英語史活動の一環として「変なアルファベット表」を作ろうという企画が立ち上がりました.この企画については「#5303. 『英語史新聞』第7号が発行されました」 ([2023-11-03-1]) で紹介した『英語史新聞』第7号で触れたほか,Voicy heldio の配信で何度か広報してきました.さらに,やや遅ればせながら,つい先日のことになりますが「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」でも宣伝しました.この企画に関する広報関連リンクを以下に張っておきます.
・ heldio 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」
・ heldio 「#873. スペリングの規則と反則 --- 「変なアルファベット表」企画に寄せて」
・ heldio 「#887. khelf 寺澤志帆さんと「変なアルファベット表」企画の中間報告」
・ helwa 「【英語史の輪 #42】変なアルファベット表を作る企画」
・ helwa 「【英語史の輪 #43】変なアルファベット表企画への反響」
・ YouTube 「eye はもっとへんなつづりだった!!三文字規則が生み出した現象たち?--へんなアルファベット表向け単語大募集!【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル 第185回」
この2ヶ月ほどの間,皆さんから多くの「変な綴字の単語」の候補が寄せられてきました.予期していたよりも多く寄せていただきまして,応募にご協力いただいた方々には心より感謝申し上げます.ありがとうございました.
先日,単語応募を締め切りました.今週からは「変なアルファベット表」を作成するために次のステージに進みたいと思います.皆さんから寄せられた候補単語を整理し,Google Forms を利用して1人1票の投票を実現する「投票用紙」を準備しました.アルファベットの各文字で始まる単語のうち,「変なアルファベット表」に掲載するのに皆さんが最もふさわしいと考える「変な単語」を選択肢より1つ選び,ご回答いただければと思います.
上記の今朝の heldio 配信回で詳しくご案内していますが,今週1週間を集中的な投票期間としたいと思っております.本日(月)から始めて(金)までの5日間,毎日アルファベット順で5--6文字に注目し,それぞれの文字で始まる候補単語群から1つベスト(ワースト?)な単語を選んでいただきます.向こう数日間,毎朝の heldio,あるいは khelf の X(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より,投票用の Google Forms へのアクセスをリマインド致しますので,ぜひご投票いただけますと幸いです(khelf HP でも案内します).本日より順次公開されてくる全5件の Google Forms につきましては,皆さんの投票の便を図るために上記の通り毎朝都度ご案内していく予定ですが,その日の終わりに各フォームを閉じるわけではありません.向こう2週間12月24日(日)まですべてのフォームをオープンしていますので,都度でもまとめてでも,お時間の許すときにご投票いただければと思います.
一昨日12月8日(金)の夜に,帝京科学大学の金田拓さんとともに,Baugh and Cable の英語史書の「対談精読実況生中継」を Voicy heldio/helwa で配信しました.前半と後半を合わせて2時間弱の濃密なおしゃべり読書会となりました.ライヴでお聴きいただいた多くのリスナーの方々に感謝いたします.ありがとうございました.
精読対象となったのはの同書の第32節 The Germanic Conquest (ゲルマン征服)です.伝統的に英語史の開始とされる449年とその前後の出来事にフォーカスしました.対談相手を務めていただいた Taku さんとともに,著者の英文に唸りつつ,内容についてもなるべく深く掘り下げて議論しました.当該の英文テキストは,先日の予告記事「#5335. 「ゲルマン征服」 --- Baugh and Cable の英語史より」([2023-12-05-1])に掲載しています.
(1) 「#922. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(前半)」
(2) 「【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半)」(12月分のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) に含まれる有料配信です)
今回の対談精読実況生中継をお聴きになって,このオンライン精読シリーズに関心を持った方は,ぜひ本書を入手し,シリーズ初回からゆっくりと追いかけていただければと思います.間違いなく良書です.配信のバックナンバーは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) よりご確認ください.今後も週1,2回のペースでシリーズを継続していきます!
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
先日 heldio にて Voicy のデイリートークテーマ「#今年読んでよかった本」に参加する形で,言語哲学 (philosophy_of_language) の入門書を紹介しました.「#913. 野矢茂樹(著)『言語哲学がはじまる』(岩波新書,2023年)です.この秋に出版されたばかりの新書で,言語哲学といういかにも堅そうな分野の書籍ではありますが広く読まれているようです.
実際,私も言語哲学入門書には何度挫折してきたことでしょう(「おわりに」に挙げられている入門書の何冊かに打ちのめされてきました).それくらい私の頭では追いついていけていない領域なのですが,このたびの野矢茂樹先生の本は,語り口調の文体で書かれており抜群に読みやすいです.ただし,読みやすいとはいえ,やはり十分に難しいのが言語哲学の分野です.そのため読みやすいとは言えても分かりやすいとは言いにくいのが本当のところです.
本書では Gottlob Frege (1848--1925),Bertrand Russel (1872--1970), Ludwig Wittgenstein (1889--1951) という3人の言語哲学者による意味をめぐる考察が丁寧に解説されていきます.読者は相互の比較対照を通じて意味への多様な対し方に触れていくことになります.言語学でも立場によって意味のとらえ方は様々ですが,一般に深入りしすぎることはありません.深入りしない程度にとどめておき,この本質的な問題を一度脇に置いて,何食わぬ顔で意味論 (semantics) や語用論 (pragmatics) の議論を展開していくことが多いように思われます.しかし,言語哲学では当然ながらそこにぐいぐい深入りしていきます.この辺りがおもしろく,気持ちのよいところです.
語の意味とは何か,文の意味とは何か.なぜ私たちは言葉の意味を理解できているのか.考え出すと止まらなくなりますね.皆さんも,ぜひこの知的冒険にお出かけください.
意味をめぐる議論としては,以下の hellog 記事もご参照ください.
・ 「#1782. 意味の意味」 ([2014-03-14-1])
・ 「#1990. 様々な種類の意味」 ([2014-10-08-1])
・ 「#2199. Bloomfield にとっての意味の意味」 ([2015-05-05-1])
・ 「#2795. 「意味=指示対象」説の問題点」 ([2016-12-21-1])
・ 「#5197. 固有名に意味はあるのか,ないのか?」 ([2023-07-20-1])
・ 「#5289. 名前に意味はあるのか?」 ([2023-10-20-1])
・ 「#5290. 名前に意味はあるのか論争の4つの論点」 ([2023-10-21-1])
・ 野矢 茂樹 『言語哲学がはじまる』 岩波書店〈岩波新書〉,2023年.
本ブログの姉妹版・音声版 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)を毎朝6時にお届けしていますが,それと並行して月次サブスクリプションの有料チャンネル「プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa)」を毎週火木土の夕方6時に配信しています(ウェブブラウザ経由で入会いただくと手数料なしの月額800円です).
今年6月に開設したこの「英語史の輪」 (helwa) も,プレミアムリスナーの皆さんの温かいご支援のもとで,まる6ヶ月間続けてこられました.ありがとうございます.有志のコアリスナーによる heldio/helwa 応援系のコンテンツ発信も増えてきておりまして,感謝に堪えません.ぜひ「#5256. heldio/hel活応援リンク集」 ([2023-09-17-1]) をご参照ください(また「#5301. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の5ヶ月の軌跡」 ([2023-11-01-1]) もご覧ください).
今晩6時に配信予定の回をもって,11月分の全13回が出そろうことになります.出そろったところでタイトルを眺め,サブスク入会を検討される方もいらっしゃるかと思いますので,今月分のラインナップを以下に示します.
・ 【英語史の輪 #49】ピリオド,セミコロン,コロンでこんなに意味が変わる!(2023/11/02)
・ 【英語史の輪 #50】you について語る(2023/11/04)
・ 【英語史の輪 #51】you のおそるべき多義性(2023/11/07)
・ 【英語史の輪 #52】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(後半)(2023/11/09)
・ 【英語史の輪 #53】酒飲みが大騒ぎしたセミコロン(2023/11/11)
・ 【英語史の輪 #54】『英語史新聞』第7号慰労会を終えました(2023/11/14)
・ 【英語史の輪 #55】無文字言語 --- 伊藤雄馬さんの『ムラブリ』より(2023/11/16)
・ 【英語史の輪 #56】話し言葉は立体,書き言葉は平面 --- 伊藤雄馬さんの文字談義(2023/11/18)
・ 【英語史の輪 #57】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 2/3(2023/11/23)
・ 【英語史の輪 #58】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 3/3(2023/11/24)
・ 【英語史の輪 #59】アナロジー(2023/11/25)
・ 【英語史の輪 #60】アナロジーは本当に秩序をもたらしてくれる?(2023/11/28)
・ 【英語史の輪 #61】12月8日(金)の helwa 忘年会に向けて(2023/11/30)
振り返ってみると,今月は通常配信 heldio で取り上げた話題の発展版を helwa のほうでお届けする機会が多かったですね.「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを helwa 生放送でお届けするという企画も複数回実施しました.また,『ムラブリ』の著者の伊藤雄馬さんと helwa を通じて間接的に交流できたのも嬉しい出来事でした.
来たる12月8日(金)の夜には,プレミアムリスナーの皆さんとともに,オンラインでの helwa 忘年会を開催する予定です.プレミアムリスナーであれば参加自由の会ですので,これを機に,月替わりとなる明日以降,12月分にサブスクしていただければ幸いです.今後も hellog/heldio/helwa をよろしくお願いいたします!
McKeown のシェイクスピアの言語論を読んだ.英語史のハンドブックのなかに納められている,"Shakespeare's Literary Language" と題する9ページほどのさほど長くない導入的エッセーである.結論的にいえば,沙翁の言語は "speaking picture" であるということだ.これは「語る絵画」と訳せばよいのだろうか.言葉によって,あたかも絵画を鑑賞しているような雰囲気に誘う,というほどの理解でよいだろうか.
その効果が最もよく発揮されているのが「独白」であるという.シェイクスピアといえば,確かに独白を思い浮かべる人も多いだろう.エッセーの締めくくりに次のようにある.
There is much more to Shakespeare the poet than the soliloquy or the monologue but there is nothing more Shakespeare than this poetic mode. If we recognize that it derives from a tradition that regards poetry as a "speaking picture" that teaches and delights, we can give some critical substance to the oft made suggestion that Shakespeare, more than anyone else, teaches us what it means to be human. For what is definitive about human beings if not self-consciousness, and what is self-consciousness if not the capacity to act as witnesses to our own lives, to separate ourselves from our experiences, however blissful or devastating, and give them voice?
沙翁については,本ブログでも shakespeare の各記事で取り上げてきたし,Voicy heldio でも話題にしてきた.主要なコンテンツを列挙しておこう.今後も多く取り上げていきたい.
・ hellog 「#195. Shakespeare に関する Web resources」 ([2009-11-08-1])
・ hellog 「#1763. Shakespeare の作品と言語に関する雑多な情報」 ([2014-02-23-1])
・ hellog 「#2283. Shakespeare のラテン語借用語彙の残存率」 ([2015-07-28-1])
・ hellog 「#4341. Shakespeare にみられる4体液説」 ([2021-03-16-1])
・ hellog 「#4250. Shakespeare の言語の研究に関する3つの側面と4つの目的」 ([2020-12-15-1])
・ hellog 「#4285. Shakespeare の英語史上の意義?」 ([2021-01-19-1])
・ hellog 「#4482. Shakespeare の発音辞書?」 ([2021-08-04-1])
・ hellog 「#4483. Shakespeare の語彙はどのくらい豊か?」 ([2021-08-05-1])
・ hellog 「#5316. Shakespeare の作品一覧(執筆年代順) --- 井出新(著)『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)より」 ([2023-11-16-1])
・ heldio 「#898. 井出新先生のご著書の紹介 --- 『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)」
・ McKeown, Adam. N. "Shakespeare's Literary Language." Chapter 44 of A Companion to the History of the English Language. Ed. Haruko Momma and Michael Matto. Malden, MA: Wiley-Blackwell, 2008. 455--63.
昨日,人気 YouTube/Podcast チャンネル「ゆる言語学ラジオ」の最新回が配信されました.今回は英語史ともおおいに関係する「不規則動詞はなぜ存在するのか?【カタルシス英文法_不規則動詞】#280」です.
ゆる言語学ラジオの水野太貴さんには,拙著,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio),および YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」のいくつかの関連コンテンツに言及していただきました.抜群の発信力をもつゆる言語学ラジオさんに,この英語史上の第一級の話題を取り上げていただき,とても嬉しいです.このトピックの魅力が広く伝わりますように.
概要欄に掲載していただいたコンテンツ等へのリンクを,こちらにも再掲しておきます.
・ 拙著 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』(研究社,2016年)
・ 拙著 『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』(中央大学出版部,2011年)
・ heldio 「#58. なぜ高頻度語には不規則なことが多いのですか?」
・ YouTube 「新説! go の過去形が went な理由」 (cf. 「#4774. go/went は社会言語学的リトマス試験紙である」 ([2022-05-23-1]))
・ YouTube 「英語の不規則活用動詞のひきこもごも --- ヴァイキングも登場!」 (cf. hellog 「#4810. sing の過去形は sang でもあり sung でもある!」 ([2022-06-28-1]))
・ YouTube 「昔の英語は不規則動詞だらけ!」 (cf. 「#4807. -ed により過去形を作る規則動詞の出現は革命的だった!」 ([2022-06-25-1]))
・ heldio 「#9. first の -st は最上級だった!」
・ heldio 「#10. third は three + th の変形なので準規則的」
・ heldio 「#11. なぜか second 「2番目の」は借用語!」
「不規則動詞はなぜ存在するのか?」という英語に関する素朴な疑問から説き起こし,補充法 (suppletion) の話題(「ヴィヴァ・サンバ!」)を導入した後に,不規則形の社会言語学的意義を経由しつつ,全体として言語における「規則」あるいは「不規則」とは何なのかという大きな議論を提示していただきました.水野さん,堀元さん,ありがとうございました! 「#5130. 「ゆる言語学ラジオ」周りの話題とリンク集」 ([2023-05-14-1]) もぜひご参照ください.
昨夕,Voicy heldio にて「#893. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(前半)」を配信しました.Baugh and Cable の英語史の古典的名著 A History of the English Language (第6版)を原書で精読していくシリーズの特別回としてお届けしました(シリーズについては「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) を参照).
今回精読した第24節の題目は Celtic です.原文(原書で1ページほどの英文)は昨日の hellog 記事「#5309. ケルト語派の記述 --- Baugh and Cable の英語史より」 ([2023-11-09-1]) に掲載しています.そちらをご覧になりながらお聴きいただければと思います.
英語史研究者2人が,まだ明るい時間からグラスを傾けつつ専門分野について語るというのは,何とも豊かな時間です.それを少なからぬリスナーの方々にライヴでお聴きいただいたというのも,ありがたき幸せです.
案の定,60分では語り足りなかったので,続編をプレミアムリスナー限定配信チャンネルにて【英語史の輪 #52】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(後半)」として収録・配信しています.最後に,ケルト語派について学ぶことの英語史上の意義についても議論していますので,よろしければそちらもお聴きください.
さて,ケルト語派に関心を抱いた方は,本ブログでも多くの記事でカバーしています.まずは,celtic, irish, scottish_gaelic, manx, welsh, cornish, breton などのタグ付きの記事群をご参照ください.今回精読した英文の内容と関わりが強い記事として,以下を挙げておきます.
・ 「#774. ケルト語の分布」 ([2011-06-10-1])
・ 「#779. Cornish と Manx」 ([2011-06-15-1])
・ 「#2803. アイルランド語の話者人口と使用地域」 ([2016-12-29-1])
・ 「#2968. ローマ時代以前のブリテン島民」 ([2017-06-12-1])
・ 「#3743. Celt の指示対象の歴史的変化」 ([2019-07-27-1])
・ 「#3747. ケルト人とは何者か」 ([2019-07-31-1])
・ 「#3757. 講座「英語の歴史と語源」の第2回「ケルトの島」を終えました」 ([2019-08-10-1])
・ 「#3761. ブリテンとブルターニュ」 ([2019-08-14-1])
また,heldio でもケルト語関連の話題は様々に配信しています.以下をリストアップしておきます.
・ 「#692. ケルト語派を紹介します」(2023/04/23)
・ 「#693. 英語史とケルト,英語史とブルターニュ --- 国立西洋美術館の「憧憬の地 ブルターニュ展」訪問に向けて」(2023/04/24)
・ 「#697. イギリスにおけるケルト系言語に対する言語政策」(2023/04/28)
・ 「#715. ケルト語仮説」(2023/05/16)
・ 「#731. ケルト語の書記文化の開花が英仏独語よりも早かった理由」(2023/06/01)
・ 「#696. コーンウォール語は死語? --- ブルトン語の親戚言語」(2023/04/27)
・ 「#714. Manx 「マン島語」 --- 1974年に死語となったブルトン語の親戚言語」(2023/05/15)
今日の配信回をお聴きになり B&C 精読シリーズに関心をもたれた方は,ぜひ本書(第6版)を入手し,シリーズの初回からでも途中からでも参加いただければと思います.間違いなく英語の勉強にも英語史の勉強にもなる本として選んでいます!
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
10月30日付けで,khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第6号がウェブ公開となりました.こちらよりPDFで閲覧・ダウンロードできます.
第7号の公開および記事紹介などの情報は,khelf 公式の X アカウント @khelf_keio からもお届けしています.フォローやリツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.
今回も khelf の『英語史新聞』第7号の制作班が,総力を結集して作り込んでくれました(関係者一同よく頑張りました,ありがとう!).第7号の記事のラインナップです.
・ 四季か二季か
・ 読書の秋に古英語を
・ 形を変えることわざ
・ 英語の擬態語: gl- と輝き
・ 「変なアルファベット表」単語募集フォーム
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第2回 矢冨弘先生(後編)」
・ EMOJI の発達と新たな時代のコミュニケーション~英語現代史の変化を考える~
今回も読者の皆さんを飽きさせない多種多様な記事を取りそろえています.読者参加型の「変なアルファベット表」企画についての案内もありますので,ご注目ください.また,目玉企画の「英語史ラウンジ by khelf」では,前号に引き続き,新進気鋭の英語史研究者である矢冨弘先生(熊本学園大学)にスポットライトを当てます.矢冨先生には khelf でもお世話になっていますし,Voicy heldio にも何度も出演していただいています(ありがとうございます).本号は voicy heldio でも「#884. 『英語史新聞』第7号発行!」としてご案内していますので,そちらもお聴きいただければ.
『英語史新聞』は昨年4月に創刊号を発行して以来,おおよそ3ヶ月に1度のペースで発行し続けてきました.毎号の制作班のモチベーションが保たれているのも,多くの方々にお読みいただいているからこそです.ご愛読ありがとうございます.最新号も含め『英語史新聞』のすべての号は,教育目的での利用・配布について自由にお取り扱いいただけます.むしろ,英語史の魅力を広げるべく活動している発行主体の khelf としては,電子媒体・紙媒体を問わず,皆様に広く利用・配布していただけますと幸いです.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にお使いの場合には,ぜひこちらのフォームを通じてご一報くださいますと khelf の活動実績の把握につながるほか,『英語史新聞』編集委員の励みともなります.ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,ここに明記いたします.フォームへの入力を通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
10月26日(木)の夜に,帝京科学大学の金田拓さんとともに,Baugh and Cable の英語史書の「対談精読実況生中継」を Voicy heldio で配信しました.同書の第21節 Italic (イタリック語派)を題材に,英文を精読し,内容について様々な角度から議論と解説を行ないました.(一緒に講師を務めました Taku さん,対談内での重要かつ適切なコメントで盛り上げていただきましてありがとうございました!)
配信している側の2人は確かに豊かで実りある時間を過ごすことができたのですが,お聴きのリスナーの方々はいかがでしたでしょうか? まだお聴きでない方もいるかと思いますので,ぜひお時間のあるときにどうぞ.生放送のアーカイヴは3回に分かれており,第1回は通常配信で,第2回と第3回はプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) にてお届けしています(第1回だけでも50分超の長尺です).第1回で関心が湧いた方は,ぜひ第2第,第3回へもお進みいただければと存じます(後者2回は有料となります).
対談特別回だったこともあり,精読対象となったテキストを特別にこちらの PDF に上げておきます.できれば,オンライン読書会のシリーズ企画でもありますので,ぜひ本書そのものを入手し,今後も長くお付き合いください.
(1) 「#879. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(前半)」
(2) 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」(10月分の helwa に含まれる有料配信です)
(3) 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」(10月分の helwa に含まれる有料配信です)
各回にはリスナーの皆さんからも今回の精読について様々なコメントが寄せられてきていますので,そちらもご覧ください.
今回の対談精読実況生中継(第1回)は,先日の「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」と同様に,サンプル回ということで一般公開した次第です.普段は週に1,2回のペースでお届けする有料配信のシリーズとなっています.ぜひ「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) より過去回のラインナップをご覧いただければと思います.今後,皆さんとともに本書を読み進めていけることを楽しみにしています.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) でご紹介したとおり,Voicy heldio では英語で書かれた英語史の名著をじっくり読み進めていくというオンライン読書会風のシリーズ企画を始めています.有志のリスナーが集う有料配信のシリーズとなっています.
週に1,2回の配信で1節ずつゆっくり進んでおり,3ヶ月ほどかけて第20節まで進んできています.最新の第20節では,印欧語族のなかの1語派である Albanian 「アルバニア語派」が扱われています.この最新回については,ゲスト講師として小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)を招いての特別回として「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」を無料配信しています.生放送として収録したものをアーカイヴに置いておりますので,そちらからお聴きください.シリーズ企画の雰囲気や,そこで読み進めている英語史書のレベル感なども分かるかと思います.
第20節は短い英文ということもありますし,シリーズ企画の特別サンプル回という位置づけでもありますので,同節のテキスト全文を以下に掲載しておきます.この長くない文章を種に50分以上お話ししました.
20. Albanian. Northwest of Greece on the eastern coast of the Adriatic is the small language branch named Albanian. It is possibly the modern remnant of Illyrian, a language spoken in ancient times in the northwestern Balkans, but we have too little knowledge of this early tongue to be sure. Moreover, our knowledge of Albanian, except for a few words, extends back only as far as the fifteenth century of our era, and, when we first meet with it, the vocabulary is so mixed with Latin, Greek, Turkish, and Slavonic elements---owing to conquests and other causes---that it is somewhat difficult to isolate the original Albanian. For this reason, its position among the languages of the Indo-European family was slow to be recognized. It was formerly classed with the Hellenic group, but since the beginning of the present century it has been recognized as an independent member of the family.
本シリーズにご関心を抱かれた方は,ぜひ本書第6版を入手し,ご都合のよいタイミングとペースで読み進めていっていただければと思います.
ちなみに,今晩6時辺りからも,heldio/helwa で特別ゲストとの対談生放送として,第22節 Italic 「イタリック語派」を配信する予定です.ご都合がつく方は,ぜひライヴでお聴きください.
一昨日の hellog 記事「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) でもお伝えしましたが,目下 Voicy heldio によるオンライン読書会シリーズに力を入れているところです.ウェブ時代の新スタイルの読書会・勉強会として,とてもおもしろい試みになっているという実感があります.参加者は今のところ20名程度ですが,読んでいる本のサイズを考えると理屈上は向こう数年間にわたって続いていくシリーズ企画ということもあり,これからメンバーがゆっくりと少しずつでも増えていくと楽しそうだなと夢想しています.毎回200円の有料配信ですが,第1チャプターは試聴可能となっています.
最新回は,昨日アップされた上記の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (19) Hellenic」です.毎週1,2回,指定の英語史書をゆっくりと1節ずつ読み進めていくという企画で,7月に開始したばかりなので,昨日ようやく第19節にたどり着いたところです.英語史といえど,まだ英語の歴史に本格的に入る前の段階で,印欧語族を構成する各語派を概説しているところです.その1つがギリシア語派ということになります.
今回はテキストに沿ってあくまで印欧語族のなかのギリシア語派を紹介しているのですが,この語派(とりわけギリシア語そのもの)の英語史上の意義については,さほどお話ししていません.ギリシア語については本ブログで greek の記事群にて多く取り上げてきましたが,ギリシア語の英語史上のエッセンスを箇条書きすれば,次の4点となるでしょうか.
・ 古典ギリシア語は『新訳聖書』の言語である.
・ ギリシア語とギリシア文明は,現代まで続く西洋文明の基礎を形成する.そこから,英語自体が拠って立つのも究極的にはギリシア語とギリシア文明といってよい側面がある.
・ ギリシア語は,ラテン語に多大な影響を与え,ラテン語はフランス語に影響を与え,フランス語は英語に影響を与えてきた.ギリシア語が英語史上重要であるのはこのような事情による.
・ ギリシア語は古代・中世・近現代を通じて,上記の歴史的経緯により汎ヨーロッパ的な威信言語とみなされてきた.現代でもとりわけ学術の分野では,国際的な学名や学術用語は,しばしばギリシア語要素によって作られる (cf. 新古典主義的複合語 (neo-classical compounds)).現代の最たる国際語である英語も,その伝統と要素を多分に受け継いでいる.
ギリシア語に関連した Voicy heldio の配信回としては 「#137. 英語とギリシア語の関係って?」もお聴きください.
なお,今晩19:30~20:00の間に,こちらの Voicy heldio にてゲストを招いての生放送を配信する予定です.その内容は,テキストの次の節「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian」を題材とした初の「オンライン読書会生実況中継」(?)となる予定です.今回に関しましては,放送回の概要欄などにテキストも添付しますのでライヴあるいはアーカイヴにてお気軽にお聴きいただければ.
このように一風変わったオンライン読書回シリーズですが,関心のある方はぜひ覗いていただければ.精読しているテキストは,こちらの Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013. です.名著であることは保証します.
今年の7月17日に開始した Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でのシリーズ企画が,毎週1~2回のペースで順調に進んでいます.Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013. という著名な英語史の本を,原文で毎回1セクションずつゆっくり精読していくというオンライン読書会です.英語の文章の1文1文を精読していくわけではないのですが,表現や文法の気になる点を指摘して厳密に解釈したり,セクションの内容について英語史の観点から深掘りするなど,テキストを元にして縦横無尽に「英語史する」企画です.シリーズ開始時の記事「#5205. Baugh and Cable の英語史概説書を1節ずつ読み進めながら Voicy heldio で自由にコメントしていく試みを始めています」 ([2023-07-28-1]) をご参照ください.
おかげさまで,ゆっくりペースながらも第18節の "Armenian" までたどり着いています(こちらの最新回は昨日より配信されています.さらにこの回は比較的短いこともあり,特別にサンプル回として該当節のテキスト全文を概要欄に載せています).また,シリーズへの参加メンバーも夏の間にじわじわと増えてきており,毎回の配信のコメント欄を通じてメンバー間のやりとりも行なわれるようになってきています.各回は有料配信ですが,第1チャプターは常に試聴可能となっていますので,関心のある方は雰囲気をご確認いただければと思います(料金はウェブブラウザ経由で200円なのに対して,Voicy アプリ経由では320円と手数料により割高となりますので,ぜひ前者からどうぞ).
本ブログ hellog や Voicy heldio などを通じて英語史への関心が湧いた方や,しっかりと書かれた英語で英文解釈力を鍛えたい方にはお薦めのオンライン読書会シリーズとなっています.実際,よく書かれた英語で精読対象としてふさわしい英文ですので,この点は保証します(精読の練習には,対象が良い英文であることが絶対の条件です).
読書会なのでB&Cのテキストが手元にないと参加しにくいという事情はあるかと思います.ぜひ上記よりご購入くださるか,あるいは古書や図書館での入手も結構かと思います.これから入手される場合には,改訂が重ねられてきた本であることに注意し,最新版である第6版を手に取っていただければと思います.オンライン読書会では第6版をベースに読み進めています.ただし,先立つ第5版などしか入手できないという場合でも,内容把握には大きな問題はありませんし,私自身の手元にも第5版や第4版がありますので,必要に応じて異同を確認できます.オンライン読書会の長所を活かし,メンバー間でインタラクティヴに「精読交流」もできますし,各自ご都合のよいタイミングとペースで無理なく読み進められるのもメリットかと思います.参加メンバーからの要望を受け,今後はたまに生実況回やゲスト講師を招いての精読回などもやってみようかとも企画中です.
以下,過去18回のラインナップです.第1回(第1節)の "The History of the English Language as a Cultural Subject" については,第6版からのテキスト全文を本ブログの「#3641. 英語史のすゝめ (1) --- 英語史は教養的な学問領域」 ([2019-04-16-1]) に掲載していますので,テキストをお持ちでない方も,そちらを参照して追いかけることができます.
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (1) The History of the English Language as a Cultural Subject」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (2) Influences at Work on Language」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (3) Growth and Decay」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (4) The Importance of a Language」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (5) The Importance of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (6) The Future of the English Language: Demography」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (7) External and Internal Aspects of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (8) Cosmopolitan Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (9) Inflectional Simplicity」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (10) Natural Gender」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (11) Language Constantly Changing」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (12) Dialectal Differentiation」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (13) The Discovery of Sanskrit」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (14) Grimm's Law」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (15) The Indo-European Family」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (16) Indian」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (17) Iranian」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (18) Armenian」
(以下,後記)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (19) Hellenic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #46】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic --- Taku さんとの実況中継(後半)」
- 「【英語史の輪 #47】最後にダメ押し,Taku さんとの実況中継第3弾 --- 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (21) Italic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (22) Balto-Slavic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (23) Germanic」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 【英語史の輪 #52】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (24) Celtic --- 和田忍先生との実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (25) Twentieth-century Discoveries」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans --- khelf 藤原くんとの実況中継 1/3」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #57】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 2/3」
- 「【英語史の輪 #58】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (26) The Home of the Indo-Europeans -- khelf 藤原くんとの実況中継 3/3」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (27) The Languages in England before English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (28) The Romans in Britain」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (29) The Roman Conquest」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (30) Romanization of the Island」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (31) The Latin Language in Britain」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(前半)」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (33) The Anglo-Saxon Civilization」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (34) The Names "England" and "English"」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (35) The Origin and Position of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (36) The Periods in the History of English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (37) The Dialects of Old English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (38) Old English Pronunciation」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (39) Old English Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (40) Old English Grammar」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (41) The Noun」
・ 「#983. B&Cの第42節「文法性」の対談精読実況生中継 with 金田拓さんと小河舜さん」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (43) The Adjective」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (44) The Definite Article」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (45) The Personal Pronoun」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (46) The Verb」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (47) The Language Illustrated」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (48) The Resourcefulness of the Old English Vocabulary」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (49) Self-explaining Compounds」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (50) Prefixes and Suffixes」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (51) Syntax and Style」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (52) Old English Literature」(←この回は対談形式で特別無料配信となっています)
- 「【英語史の輪 #146】 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (52) Old English Literature --- 和田忍さんとの実況中継(後半)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (53) Contact of English with Other Languages」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (54) The Celtic Influence」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (55) Celtic Place-Names and Other Loanwords」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (56) Three Latin Influences on Old English」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (57) Chronological Criteria」(←この回は「英語史ライヴ2024」での対談精読実況生中継により特別無料配信となっています)
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (58) Continental Borrowing (Latin Influence of the Zero Period)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (59) Latin through Celtic Transmission (Latin Influence of the First Period)」
・ 「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60) Latin Influence of the Second Period: The Christianizing of Britain」
- 「#1270. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-1) Latin Influence of the Second Period --- 対談精読実況中継」
- 「#1274. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-2) Latin Influence of the Second Period --- Taku さん対談精読実況中継」
(後記ここまで)
以下,リスナーの方々からの反応をいくつか挙げてみます.
・ 堀田先生,最高の企画をありがとうございます.学部・院時代が恋しくなりました.週1ペースだと5年ぐらいか…と思うとこれからの5年間が楽しみになりました
・ 夢のような企画,待っていました! 始まったばかりだというのに,もう次が待ち遠しいです.
・ 英語史の素養のない自分についていけるかなと一瞬躊躇しましたが,英語史は教養であるとの言葉に背中を押されて,本の注文ボタンもポチっと押しました.ありがとうございます.
・ 堀田先生,素敵な企画をありがとうございます! 先生の Voicy は楽しく拝聴しておりましたが,自分で英語で英語史の本を読むとなると,はて,読めるだろうか,と不安に感じながらも本をポチりました.
・ はじめまして.Twitterで見つけまして,本が届きましたので,今日より本を読んでいきたいと思います.自分も続けられるか自信がないですが,ゆっくり,歩んでいきたいと思います.宜しくお願いします!
・ 1セクションずつですと,熟読できて良いペースだと思います!
・ インタラクティブに読む!おおいに共感!本をお金を払ってまで所有する動機の一つは書き込み.
・ 1節に3時間かけて読んでます.超精読,とてもありがたいです.有料が妥当だと思います.私自身,体調不良が続き,皆さんからだいぶ遅れてしまいましたが,コツコツついてゆこうと思います.
・ 途中で脱落しそうになりましたが,やはり自分1人の読みですと気付けないことが多々あるので,ついて行けるよう少しずつ追いかけます!
ぜひともに楽しく英語史を学び,英文解釈力をつけていきましょう!
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
日曜日に配信した YouTube の「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回は「#171. OED(オクスフォード英語辞典 --- Oxford English Dictionary)の特徴まるわかり!」です.本ブログでも何度となく登場している,世界最強の英語辞典 OED を一から導入しています.14分ほどの対談動画です.「OED ってよく聞くけど何?」という方は,ぜひご覧ください.画面の背景に OED 第2版の全20冊が並んでいます.
本ブログには OED の様々な側面を紹介する記事も多いですし,OED を実践的に用いて調査し執筆した記事も少なくありません(cf. oed の記事群を参照).今回の YouTube は OED とは何かという導入動画でしたので,同様にイントロ風の趣旨で執筆した記事,および Voicy heldio 配信回へのリンクを一覧しておきます.
・ 「#304. OED 制作プロジェクトののろし」 ([2010-02-25-1])
・ 「#638. 国家的事業としての OED 編纂」 ([2011-01-25-1])
・ 「#644. OED とヨーロッパのライバル辞書」 ([2011-01-31-1])
・ 「#898. OED2 と Web3 の比較対照表」 ([2011-10-12-1])
・ 「#2451. ワークショップ:OED Online に触れてみる」 ([2016-01-12-1])
・ 「#3544. 英語辞書史の略年表」 ([2019-01-09-1])
・ 「#4122. 物凄いツールが現われた --- OED Text Visualizer (beta)」 ([2020-08-09-1])
・ 「#4130. 英語語彙の多様化と拡大の歴史を視覚化した "The OED in two minutes"」 ([2020-08-17-1])
・ 「#4131. イギリスの世界帝国化の歴史を視覚化した "The OED in two minutes"」 ([2020-08-18-1])
・ 「#4133. OED による英語史概説」 ([2020-08-20-1])
・ 「#4141. 1150年を越えて残らなかった古英語単語は OED から外されている」 ([2020-08-28-1])
・ 「#4172. 映画『博士と狂人』の原作者による OED 編纂法の紹介文」 ([2020-09-28-1])
・ 「#4198. 映画『博士と狂人』を観ました」 ([2020-10-24-1])
・ 「#5220. OED と World Englishes」 ([2023-08-12-1])
・ heldio 「#503. OED は歴史的原則にもとづく辞書」(2022年3月2日配信)
・ heldio 「#275. どれだけ長くかかっているのよ,OED の編纂?」(2022年3月3日配信)
上記にもありますが,OED 編纂をめぐる映画『博士と狂人』(原題 The Professor and the Madman)は必見です.
また,「#5158. 家入葉子・堀田隆一著『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)を改めて紹介します」 ([2023-06-11-1]) で紹介した『文献学と英語史研究』の第2章1.1節では,研究ツールとしての OED について詳しく紹介しています.
一昨日配信した YouTube の「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回は「#169. なぜ Z はアルファベットの最後に追いやられたのか? --- 時代に翻弄された日陰者 Z の物語」です.歴史的に「日陰者 Z」と称されてきたかわいそうな文字にスポットライトを当て,12分ほど集中して語りました.これで Z が多少なりとも汚名返上できればよいのですが.
z の文字については,この hellog,および Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」等の媒体でも,様々に取り上げてきました.Z の汚名返上のために助力してきた次第ですが,さすがに Z に関する話題はこれ以上見つからなくなってきましたので,ネタとしてはいったん打ち切りになりそうです.
これまでの Z の推し活の履歴を列挙します.
[ hellog ]
・ 「#305. -ise か -ize か」 ([2010-02-26-1])
・ 「#314. -ise か -ize か (2)」 ([2010-03-07-1])
・ 「#446. しぶとく生き残ってきた <z>」 ([2010-07-17-1])
・ 「#447. Dalziel, MacKenzie, Menzies の <z>」 ([2010-07-18-1])
・ 「#799. 海賊複数の <z>」 ([2011-07-05-1])
・ 「#964. z の文字の発音 (1)」 ([2011-12-17-1])
・ 「#965. z の文字の発音 (2)」 ([2011-12-18-1])
・ 「#1914. <g> の仲間たち」 ([2014-07-24-1])
・ 「#2916. 連載第4回「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall --- 複線的思考のすすめ」」 ([2017-04-21-1])
・ 「#2925. autumn vs fall, zed vs zee」 ([2017-04-30-1])
・ 「#4990. 動詞を作る -ize/-ise 接尾辞の歴史」 ([2022-12-25-1])
・ 「#4991. -ise か -ize か問題 --- 2つの論点」 ([2022-12-26-1])
・ 「#5042. 『中高生の基礎英語 in English』の連載第24回(最終回)「アルファベット最後の文字 Z のミステリー」」 ([2023-02-15-1])
[ heldio (Voicy) ]
・ 「#171. z と r の発音は意外と似ていた!」 (2021/11/18)
・ 「#540. Z について語ります」 (2022/11/22)
・ 「#541. Z は zee か zed か問題」 (2022/11/23)
[ helsta (stand.fm) ←数日前に始めました ]
・ 「#3. 動詞を作る接尾辞 -ize の裏話」 (2023/10/08)
ただし,いずれ Z に関する新ネタを仕込むことができれば,もちろん Z の汚名返上活動に速やかに戻るつもりです.皆様,これからも Z にはぜひとも優しく接してあげてくださいね.
約2週間後の10月7日(土)の 15:30--18:45 に,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第3回となる「中英語の綴字 --- 標準なき繁栄」が開講されます.
今回の講座は,全4回のシリーズの第3回となります.シリーズのラインナップは以下の通りです.
・ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり(春・4月29日)
・ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ(夏・7月29日)
・ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄(秋・10月7日)
・ 第4回 近代英語の綴字 --- 標準化を目指して(冬・未定)
これまでの2回の講座では,まず英語史以前の文字・アルファベットの起源と発達を確認し,次に古英語期(449--1100年)におけるローマ字使用の実際を観察してきました.第3回で注目する時期は中英語期(1100--1500年)です.この時代までに英語話者はローマ字にはすっかり馴染んでいましたが,1066年のノルマン征服の結果,「標準英語」が消失し,単語の正しい綴り方が失われるという,英語史上でもまれな事態が展開していました.やや大げさに言えば,個々の英語の書き手が,思い思いに好きなように単語を綴った時代です.これは秩序崩壊とみればネガティヴとなりますが,自由奔放とみればポジティヴです.はたしてこの状況は,後の英語や英語のスペリングにいかなる影響を与えたのでしょうか.英語スペリング史において,もっともメチャクチャな時代ですが,だからこそおもしろい話題に満ちています.講座のなかでは中英語原文も読みながら,この時代のスペリング事情を眺めてみたいと思います.
講座の参加にご関心のある方は,ぜひこちらのページよりお申し込みください.対面のほかオンラインでの参加も可能です.また,参加登録された方には,後日見逃し配信としてアーカイヴ動画へのリンクも送られる予定です.ご都合のよい方法でご参加ください.全4回のシリーズものではありますが,各回の内容は独立していますので,単発でのご参加も歓迎です.
本シリーズと関連して,以下の hellog 記事,および Voicy heldio 配信回もご参照ください.
[ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり ]
・ heldio 「#668. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まります」(2023年3月30日)
・ hellog 「#5088. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まります」 ([2023-04-02-1])
・ hellog 「#5119. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」の第1回を終えました」 ([2023-05-03-1])
[ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ ]
・ hellog 「#5194. 7月29日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」」 ([2023-07-17-1])
・ heldio 「#778. 古英語の文字 --- 7月29日(土)の朝カルのシリーズ講座第2回に向けて」(2023年7月18日)
・ hellog 「#5207. 朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」を終えました」 ([2023-07-30-1])
[ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄 ](以下,2023/09/26(Tue)の後記)
・ heldio 「#848. 中英語の標準なき綴字 --- 10月7日(土)の朝カルのシリーズ講座第3回に向けて」(2023年9月26日)
ここ数日間で,知識共有サービス Mond に寄せられてきた言語系の質問に5件ほど回答しました.こちらでもリンクを共有します.
(1) 敬語の表現が少ない英語の話者には,日本人よりも敬意を示す機会が少ないのでしょうか?
(2) 歴史的に見て「言語の変化=簡略化」なのでしょうか?
(3) ブログ,ラジオ,YouTubeなど,様々なメディアを通じて英語の歴史や語源に関する情報を発信していらっしゃいますが,これらのメディアごとにアプローチやコンセプトを変えて情報を提供していますか?
(4) なぜ人々は(もちろん個人差はあれど)イギリスやフランスなどのアクセントを“魅力的”とし,アジアやインドのアクセントを“魅力がない”とするのでしょうか?
(5) 言語の変化は,どの程度の速度で起こりますか? 例えば,新しい言葉や表現は,どのくらいの頻度で生まれるものなのでしょうか?
Mond に寄せられる言語系の質問は多様ですが,日本語と諸外国語との比較というジャンルの質問が目立ちます.今回も (1) や (4) がそのジャンルに属するかと思います.母語は万人にとって特別な存在であり,あまりに思い入れが強いために,他の言語と比べてきわめて特異な性質をもっているものと錯覚してしまうことがしばしば起こります.とりわけ語学を通じて理解の深まった他言語と比較するときに,母語の際立った言語特徴が目に付くことが多く,母語の特別視に拍車がかかります.
長年言語学に触れてきた経験から感じることは,母語の特別視は往々にして行き過ぎる傾向があるということです.確かに各々の言語には固有の特徴があるもので,その点では日本語も例外ではないのですが,日本語のみに観察される言語特徴というのは,さほど多くあるわけではなく,広く古今東西の諸言語を見渡せば類例はおおよそ見つかるものです.言語の素朴な疑問に関する直感は,当たることもありますが,割と外れることも多いのです.
今回の5件の質問のうちの3つ,(1), (2), (4) は,振り返ってみれば,言語にまつわる神話 (language_myth) に関わる質問だったように思います.言語学的な考察を通じて,言語の化けの皮を一枚一枚剥いでいくのが,何ともエキサイティングですね.
本ブログの読者の皆さんを含めまして,日頃多くの方々より「英語史活動」 (hel活)への応援をいただいています.今回はとりわけ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」(毎朝6時に配信)でのhel活を後押ししていただいている方々への感謝の意味を込め,リンク集を作成しました.heldio の紹介にとどまらず,配信回と連動した記事も公開されていますので,ぜひ訪問していただければ.
・ リスナー kitako さんによる日々の配信回のインスタストーリーでの紹介:毎日ご紹介ありがとうございます
・ リスナー umisio さんによる note での批評記事:ユーモアを含めた鋭いコメント,いつもありがとうございます
・ リスナーしゅがさんによる埼玉慶友会メルマガのバックナンバー "helmaga":目下3号まで公開されています
・ リスナー Kyu3 さんのブログ:heldio をお薦め番組としてご紹介いただいています
・ リスナー Karl さんのブログ:heldio を「英語の素朴な疑問」を大切にする番組としてご紹介いただいています
・ 菊地翔太先生(専修大学)の HP:heldio にもたびたび出演していただきお世話になっています
・ 最大の heldio 支援組織 khelf (慶應英語史フォーラム):内輪ですみません
上記はウェブ上で私が気づいた範囲内でのリンク紹介にとどまり,まったく網羅的ではないだろうと理解しています.ほかにも一般リスナーの皆さん,プレミアムリスナー限定配信チャンネルをお聴きのコアリスナーの皆さん,対談回などへの歴代出演者の皆さん,SNS上でコメントを盛り上げてくださっている皆さんにも感謝いたします.
heldio 関連でお気づきのリンク先を見つけましたら,ぜひ Voicy のコメント欄などを通じて,随時お知らせいただければ幸いです.
最後に,私の X(旧ツイッター)上のアカウント @chariderryu にて「heldio コミュニティ by 堀田隆一」というコミュニティを展開し始めている旨,お知らせします.承認制のコミュニティですが,基本的にはメンバーリクエストをいただければお入りいただけますので,ぜひご参加ください.コミュニティの趣旨は以下の通りです.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.
毎朝6時に音声配信している Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて「ゼロから学ぶはじめての古英語」シリーズが始まっています(不定期で無料の配信です).第3回まで配信してきましたが,嬉しいことにリスナーの皆さんにはご好評いただいています.各配信回の概要欄やチャプターに紐付けられたリンク先に,題材となっている古英語のテキストなども掲載していますので,そちらを参照しながら聴いていただければと思います.これまでの3回では,アルフレッド大王,古英語の格言,叙事詩『ベオウルフ』に関係する文章が取り上げられています.本当に「初めての方」に向けての講座となっていますので,お気軽にどうぞ.
ナビゲーターは英語史や古英語を専攻する次の3人です.小河舜さん(フェリス女学院大学ほか),khelf(慶應英語史フォーラム)元会長の「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),および堀田隆一です.3人で楽しそうに話しているのが魅力,との評価もいただいています.
毎回,厳選された古英語の短文を取り上げ,文字通り「ゼロから」解説しています.日本語による解説つきで気軽に始められる「古英語講座」なるものは,おそらくこれまでどの媒体においても皆無だったのではないでしょうか(唯一の例外は,まさにゃんによる「毎日古英語」かもしれません).このたびのシリーズは,その意味では本邦初といってよい試みとなります.ナビゲーター3人も,肩の力を抜いておしゃべりしていますので,それに見合った気軽さで聴いていただければと思います.
本シリーズのサポートページとして,まさにゃんによる note 記事「ゼロから学ぶはじめての古英語(#1~#3)」が公開されています.また,X(旧ツイッター)上の「heldio コミュニティ by 堀田隆一」にて関連情報も発信しています.このコミュニティは承認制ですが,基本的にはメンバーリクエストをいただければお入りいただけますので,ぜひご参加ください.
シリーズの第4弾もお楽しみに!
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow