この GW は,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて khelf(慶應英語史フォーラム)協賛の対談企画を展開しています.日々 khelf メンバーが入れ替り立ち替り現われ,落ち着いて対談したり,あるいはパーティのように賑やかに盛り上がったりしています.
heldio は毎朝6時に更新していますが,今朝公開された最新回は「#704. なぜ日本語には擬音語・擬態語が多いのか? --- 森田まさにゃん,五所さん,藤原くんと音象徴を語る爆笑回」です.音象徴 (sound_symbolism) をめぐって4人が賑やかに雑談しています.
この回は,一昨日の放送回「#702. いいネーミングとは? --- 五所万実さん,藤原郁弥さん,まさにゃんとの対談」の続編でもありますので,ぜひそちらもお聴きください.
今回取り上げた音象徴は,常に人気のある話題です.日本語生活においてオノマトペ (onomatopoeia) はとても身近ですし,日常的な商標などに反映されている音のイメージの話題も関心を引きます.しかし,音象徴は,その話題性の高さとは裏腹に,言語学においては周辺的な存在とみられることが多いのです.なぜかというと,音「象徴」という呼び名が示唆するとおり,そこに意味があるのかないのかよく分からない,微妙な位置づけだからです.普遍的なような,それでいて恣意的なような・・・.
音象徴について本ブログでも様々に取り上げてきましたが,今回は heldio 対談という形で,この魅力的な話題に4人で再訪した次第です.
以下に,今回の出演者3名のプロフィールページへのリンクを張っておきます.
・ 五所万実さん(目白大学): https://researchmap.jp/mamg
・ 「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学): https://note.com/masanyan_frisian/n/n01938cbedec6
・ 藤原郁弥さん(慶應義塾大学大学院生): https://sites.google.com/view/drevneanglijskij-jazyk/home
雑談の最後に触れられている,まさにゃんによる YouTube チャンネル「まさにゃんチャンネル【英語史】」の2.4万回再生を誇る人気動画「語源で学ぶ英単語?【st, fl, sw, sp, gl】」では,英語における音象徴の興味深い事例が取り上げられています.ぜひこちらもご視聴ください.
昨日5月3日(水)の夕方6時に,「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回が公開されました.今回は,コトバをテーマとする YouTube/Podcast の人気トーク・チャンネル『ゆる言語学ラジオ』のパーソナリティの1人,水野太貴さんをゲストとしてお迎えしています(もう1人のパーソナリティは堀元見さんです).水野さんとの飲み会対談シリーズも第3弾となりました.「#124. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第3弾・ゆる言語学ラジオはゆるくない!」です.過去の2回と合わせてご覧ください.水野さんとの対談シリーズは来週まで続きます.
・ 第1弾 「#120. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんにお越しいただきました!」(4月19日)
・ 第2弾 「#122. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第2弾・語に始まって語に終わる」(4月26日)
・ 第3弾 「#124. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第3弾・ゆる言語学ラジオはゆるくない!」(5月3日)
ゆる言語学ラジオのお二人による初の著書『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼』(あさ出版,2023年)が好評発売中です.先日 Voicy heldio にて 「#689. 『言語沼』 --- ゆる言語学ラジオから飛び出した言語本」と題して本書を音声で紹介しましたので,そちらもお聴きください.
そして,今朝の Voicy heldio でも,『言語沼』でなされている母音に関する紙上トークにインスピレーションを受け,「#703. 母音「あいうえお」入門 --- ゆる言語学ラジオ(著)『言語沼』にインスピレーションを受けてを配信しています.音声学入門の入門としてお聴きいただければ.
なお,明後日5月6日(土)に公開予定の『ゆる言語学ラジオ』の最新回では,今度は私のほうがゲストとして出演させていただくことになっています.ぜひそちらもご期待いただければと.
皆さん,なぜ Japan には -ese という語尾がつくのか,気になりますよね? *Japan-ian でもなく *Japan-ish でもなく,英語では Japan-ese ということになっています.
この問題に英語史あるいは英語歴史言語学の観点から踏み込んでみると,魅惑的かつ複雑なパズルが展開しています.khelf(慶應英語史フォーラム)の新会長の青木輝さんが,この問題に分け入っています.
今朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,青木さんとの対談でこの対談を深掘りしています.「#701. なぜ「日本人」は Japan-ese なの?の深掘り回 --- 青木輝さんとの対談」をお聴きください.
この対談のベースとなっているのは,『コロキア』 (Colloquia) の論文として公表されている以下のものです.
・ Aoki, Hikaru. "Why Japan-ese and Not Japan-ian?: Historical Relations between Demonymic Suffixes and Country Names." Colloquia 43 (2022): 85--102.
この論文に基づいて,青木さんは khelf 活動を通じて,たびたび研究成果を公開してきています.
・ 『英語史新聞』第5号の第1面の記事「人々の名称の謎を追う --- なぜ X-ish という呼び名はイギリス周辺に多いのか --- なぜ X-ish という呼び名はイギリス周辺に多いのか ---」
・ heldio 「#680. なぜ「日本人」は Japanian などではなく Japanese なの? --- 青木輝さんとの対談
・ heldio 「#683. なぜ English のように -ish のつく呼び名はイギリス周辺に多いの? --- 青木輝さんとの対談」
この GW 中は毎日のように Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーとの対談回をお届けしています.一方,khelf では「英語史コンテンツ50」も開催中です.そこで両者を掛け合わせた形でコンテンツの紹介をするのもおもしろそうだ思い,先日「#5115. アルファベットの起源と発達についての2つのコンテンツ」 ([2023-04-29-1]) を紹介しました.
今回も英語史コンテンツと heldio を引っかけた話題です.4月20日に大学院生により公開されたコンテンツ「#7. consumption の p はどこから?」に注目します.
今回,このコンテンツの heldio 版を作りました.作成者の藤原郁弥さんとの対談回です.「#700. consumption の p はどこから? --- 藤原郁弥さんの再登場」として配信していますので,ぜひお聴きください.発音に関する話題なのでラジオとの相性は抜群です.
コンテンツや対談で触れられている語中音添加 (epenthesis) は,古今東西でよく生じる音変化の1種です.今回の consumption, assumption, resumption の /p/ のほかに epenthesis が関わる英単語を挙げてみます.
・ September, November, December, number の /b/
・ Hampshire, Thompson, empty の /p/
・ passenger, messenger, nightingale の /n/
そのほか she の語形の起源をめぐる仮説の1つでは,epenthesis の関与が議論されています(cf. 「#4769. she の語源説 --- Laing and Lass による "Yod Epenthesis" 説の紹介」 ([2022-05-18-1])).
epenthesis と関連するその他の音変化については「#739. glide, prosthesis, epenthesis, paragoge」 ([2011-05-06-1]) もご参照ください.
対談中に私が披露した「両唇をくっつけずに /m/ を発音する裏技」は,ラジオでは通じにくかったので,こちらの動画を作成しましたのでご覧ください(YouTube 版はこちら).音声学的に味わっていただければ.
一昨日の4月28日の午後3時過ぎより約60分間,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送で「英語に関する素朴な疑問千本ノック(矢冨&堀田&まさにゃん)」を khelf 協賛でお届けしました.今回も多くの方にライヴで聴いていただき,さらに投げ込み質問も多数いただきました.難問・珍問が続出し,うまく回答できないものもありましたが,出演者とギャラリー一同,たいへん勉強になりました.聴いていただいたリスナーの皆さんにも,英語史の面白さと難しさを感じていただけたのではないでしょうか.
生放送を収録したものを,今朝レギュラー放送として公開しました.「#699. 4月28日に「英語に関する素朴な疑問千本ノック(矢冨&堀田&まさにゃん)」を生放送でお届けしました」です.
全体で17の質問に回答し,ときにギャラリーにも加わってもらい議論となりましたが,楽しかったです.適度な緊張と興奮がやめられませんね.各質問の分秒を一覧しておきます.ちなみに,いまや heldio 名物となった「まさにゃん暴走」は12:41辺りから始まる第5問目「kid と child が同じ意味なのはなぜ?」の回答中でお聴きになれます.
(1) 01:13 --- なぜ am は I の後ろにしか来ないのですか?
(2) 04:33 --- なぜ I am Japanese. となり I am a Japanese. とは言わないのですか?
(3) 07:46 --- なぜ未来の確定したことは現在形で表現できるのですか?
(4) 10:28 --- 現在と過去は動詞の語尾で示せますが未来は語尾で示せないのはなぜ?
(5) 12:41 --- kid と child が同じ意味なのはなぜ?(cf. この問いでは,いまや heldio 名物となった「まさにゃん暴走」を聴けます)
(6) 18:56 --- honest や hour の h を発音しないのはなぜ?(cf. 先日の「#5108. 4月20日の heldio 生放送「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」のまとめ」の (3) で回答を試みています)
(7) 20:54 --- an historical というつながりを見たことがありますが a ではないのですか?
(8) 22:34 --- leaf の複数形は leaves ですが,belief の複数形は beliefs です.なぜですか?
(9) 25:48 --- so は短いのに意味が多すぎます.なぜですか?
(10) 30:49 --- 英文法は誰が定めたのですか,あるいはどのように成立したのですか?
(11) 33:30 --- is も am も過去形ではともに was になるのはなぜですか?
(12) 38:21 --- なぜ不定詞には for ではなく to がつくのですか? 他の前置詞ではダメだったのですか?
(13) 41:08 --- なぜ使役では能動態だと原形不定詞を,受動態では to 不定詞を用いるのですか?
(14) 44:29 --- なぜ自動詞と他動詞は分かれたのですか?
(15) 49:45 --- It is fine today. ではなく Today is fine. というと不自然なのはなぜですか?
(16) 52:42 --- baggage と luggage の綴字が似ているのは歴史的に関係があるからですか?
(17) 53:57 --- 英語史上の最大の学説対立があれば教えてください.
過去の「千本ノック」回については「#5005. 過去17回の heldio 「千本ノック」の一覧」 ([2023-01-09-1]) あるいは senbonknock をご覧ください.
4月も終わりに近づき,GW が始まりました.この新年度,khelf(慶應英語史フォーラム)では「英語史スタートアップ」企画 (cat:start_up_hel_2023) の一環として「英語史コンテンツ50」を開催中です.コツコツとコンテンツが積み上がり,すでに14本が公開されています.連休中は休止しますが,これからもまだまだ続きます.
今日はこれまでのストックのなかから,アルファベットの歴史に関する大学院生のコンテンツを紹介しましょう.4月19日に公開された「#6. <b> と <d> は紛らわしい!」です.タイトルからは想像できないかもしれませんが,コンテンツの前半はアルファベットの起源と発達,とりわけローマ字の歴史に焦点が当てられています.
このたび,同コンテンツを作成者との対談という形でラジオ化しました.Voicy [「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より「#698. 先生,アルファベットの歴史を教えてください! --- 寺澤志帆さんとの対談」として配信していますので,そちらを合わせてお聴きください.
本ブログよりアルファベットの歴史に関する記事としては以下を参照ください.
・ 「#423. アルファベットの歴史」 ([2010-06-24-1])
・ 「#490. アルファベットの起源は North Semitic よりも前に遡る?」 ([2010-08-30-1])
・ 「#2888. 文字史におけるフェニキア文字の重要性」 ([2017-03-24-1])
・ 「#1849. アルファベットの系統図」 ([2014-05-20-1])
GW直前ということで肩の力を抜いて「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」のお知らせをいたします.
昨年の2月26日に,慶應義塾大学文学部英米文学専攻の同僚である井上逸兵氏とともに YouTube チャンネルを始めました.水・日曜日のそれぞれ午後6時に新作動画を公開しています.最近は水曜日の回は「飲み会回」となっていますが,先週と今週の水曜日には,人気 YouTube/Podcast チャンネル『ゆる言語学ラジオ』のパーソナリティの1人,水野太貴さんにゲスト出演していただいています(もう1人は堀元見さんです).3人で言語(愛)について気楽におしゃべりしていますので,ぜひご覧ください.
・ 第1弾 「#120. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんにお越しいただきました!」(4月19日)
・ 第2弾 「#122. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第2弾・語に始まって語に終わる」(4月26日)
売れっ子の水野さんが初めて出演された先週の水曜日の第1弾の折りには,あまりの視聴回数の伸びに,井上氏とともに驚きました.あまりの驚きに,noteにて「「ゆる言語学ラジオ」水野さんのゲスト出演で井上堀田 YouTube が爆上がりしています(2023年4月21日)」を書いてしまったほどです.
さて,ゆる言語学ラジオのお二人による初の著書『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼』(あさ出版,2023年)が今月上旬に出版されています.この新著をご献本いただきまして,先日 Voicy heldio にて 「#689. 『言語沼』 --- ゆる言語学ラジオから飛び出した言語本」と題してお話ししています.ぜひお聴きください.
その他,ゆる言語学ラジオと関連して次のような記事も書いてきましたので,よろしければどうぞ.
・ 「#5009. なぜバーナード・ショーの綴字ネタ「ghoti = fish」は強引に感じられるのか?」 ([2023-01-13-1])
・ 「#5011. 英語綴字史は「フランスかぶれ・悪筆・懐古厨」!? by ゆる言語学ラジオ」 ([2023-01-15-1])
・ note 「「ゆる言語学ラジオ」の ghoti 回にまつわる堀田リンク集」
・ 「#5107. 堀元 見・水野 太貴(著)『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼』(あさ出版,2023年)」 ([2023-04-21-1])
YouTube での水野さんとの「飲み会回」は,来週以降も続きます!
新年度の始まりとともに,英語史の学びを促す「hel活」に精を出しています.英語の学習に力を入れている人々は多数いる一方,英語史を学ぼうとする人々は一握りです.多くの人々にとって,英語史を学ぶ意義が自明ではないからだろうと思います.
そこで,この4月には様々な機会を捉えて,昨年の夏に私が Voicy heldio で語った「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」を聴いてもらっています.本ブログをお読みの皆さんも,ぜひお聴きいただければ.
大学の授業を通じて多くの学生に聴いてもらいました.たくさん感想を寄せてもらいましたので,その一部を抜粋して示します.上記放送を聴取するにあたって,そして英語(史)を学ぶにあたって,参考になれば.
英語史を学ぶことの意義として,「役に立つ」と「価値がある」の大きく2種類の動機があるというお話に関して,これは大学の学問全てに共通していえることだと感じました.
私は教職習得を目指しており,今年教育実習に行く身なので,英語史がどのように教育に役に立つかを取り上げてもらえたことは,大変うれしく思いました.
英語史という一見遠回りに感じられるが,体系的な知識を得ることで,その知識をさまざまな角度で応用することが可能になり,英語を深く理解する近道であると感じた.
挙げられていた7つの利点のうち,私は知的好奇心が満たされる,という点が興味深かった.疑問を押し殺したまま知識を積み上げるだけでは,つまらないという感情に繋がってしまい,何の役に立つのかという批判に変わってしまうため,好奇心を満たすことというのは,特に大切な事であるように感じた.
通時的な視点と共時的な視点が大事であり,この2つの中で多くの人は共時的な視点で物事をとらえていると知った.また,その中で通時的な視点を持てるようになると世界の見方が変わり,他の人と違う視点に立てるということを知り,ぜひ自分も通時的に物事をとらえられるようになりたいと感じた.
英語史を学ぶことに関して,言葉との新しい付き合い方,見方を提案するものだという考えが印象に残りました.
すぐに役に立つとは限らないが,それでも何かに偶然結びつくかもしれない「価値がある」知識や知見を身につけておくことが,AI にはない人間ならではの価値をこれからも維持する方法の一つになると私は感じた.
私も英語を学ぶ理由があまり分からなく,ただ,学校や親から言われたから英語の勉強する,という理由で英語の学んできた.しかし,今日の放送を聴いてみたら,その理由が明らかに私の頭の中に入り,英語学習への意欲が高くなった.
実は私は英語の教員免許(中高両方)をとりたいと考えて,教職課程に登録しています.なので,英語史を学ぶ意味が学習・教育のためにもなる,という話を聞いて,これからもしっかりと学んでいこうという気持ちになりました.
英語史を学ぶモチベーションの7つを学んだ.その中でも私が最も惹かれたものは,「発想法としての通時的視点を身につけることが出来る」というものだ.英語史を学ぶ意義は全て英語に関わると今まで考えていたが,この放送を聞き,英語や,そもそも言語という概念を超えて,ものの見方としての通時的視点が身につくということは非常に興味深いと思った.身につける機会が少ない,またはそもそも多くの人が身につけることすら試みない,通時的視点を,英語と歴史を通じて,今後学んでいきたいと考えた.
英語科と歴史科は平行線でまじわることがないけれど,英語史では交わるどころか接点が多いという点にとても興味を持ちました.
言葉が楽しい=日常生活が楽しめるというのにすごく共感を覚えました.
物事を共時的・通時的な観点で捉えることで鍛えられた視点の切り替え方は普遍性がある.物事を別の視点から捉えることで打開できることは多々あると経験的に言えるため,その能力を育むことができるのは実は非常に優れた点ではないだろうかと思われる.
英語史を学ぶことが,役に立つ以上に価値があるということに気付けたので本当に良かった.私は最近,教員になりたいということもあり,挙げられていた7点のうち 1--3 について深く実感した.しかし,このことは裏を返せば英語史を学んで得られることの真髄にまでは到達していないということでもあると思うので,これからさらに英語史を学んでいくにつれて,英語史の奥深さにより一層のめり込んでいけたらと思う.
自身の母語が当の英語でないからこそ,母語話者の視座からでは近くて見えにくかった,あるいは見えなかった事象をキャッチできる,という話は心強く,大きなモチベーションにつながりました.
英語史を学ぶモチベーションに関して,この学問を学ぶことによって新しいものの見方に出会えるというところに魅力を感じた.多くの視点を獲得するほど,世界の捉え方が多様になり,未知の気づきを得れる.このことこそ学ぶことの大切さであると考える.
英語史を学ぶことによるメリットについての感想ですが,非常に熱い気持ちになりました.確かになぜ私が英語の勉強するかと言えば,実用性と言うものを求めている事は間違いないのですが,そうではない部分に価値を見出し,それに向かって取り組む先生の考え方は,非常に私も共感するところが多いのです.[ 固定リンク | 印刷用ページ ]
今回は Geoffrey Chaucer (1340?--1400) の傑作 The Canterbury Tales より The Franklin's Tale 「地方地主の話の序」を読んでみたい.
この作品は,ブルターニュ地方が舞台となっている.ブルターニュといえば,ブリテン島のケルト人の一派が,5--6世紀にアングロサクソン人による侵攻から逃れ,イギリス海峡を南に越えてたどり着いたフランス側の土地である.その地には現在もブルトン人が住んでおり,ブルトン語 (Breton) を話している.
ブルトン人たちは Breton lai (ブルトン・レ)と呼ばれる短い物語詩のジャンルを生み出し,そのジャンルは海峡の両側に伝わっている.フランス側では Marie de France (c. 1160--1215) がフランス語で書いた作品が有名だが,ブリテン島側でも翻案作品が著わされた.今回のチョーサーによる「地方地主の話」は,その1つである.
「地方地主の話の序」の中英語原文を The Riverside Chaucer より,日本語訳を『カンタベリ物語 共同新訳版』より引用する.
THE FRANKLIN'S PROLOGUE
Prologe of the Frankeleyns Tale.
l. 709 Thise olde gentil Britouns in hir dayes 710 Of diverse aventures maden layes, 711 Rymeyed in hir firste Briton tonge, 712 Whiche layes with hir instrumentz they songe 713 Or elles redden hem for hir plesaunce; 714 And oon of hem have I in remembraunce, 715 Which I shal seyn with good wyl as I kan. 716 But, sires, by cause I am a burel man, 717 At my bigynnyng first I yow biseche, 718 Have me excused of my rude speche. 719 I lerned nevere rethorik, certeyn; 720 Thyng that I speke, it moot be bare and pleyn. 721 I sleep nevere on the Mount of Pernaso, 722 Ne lerned Marcus Tullius Scithero. 723 Colours ne knowe I none, withouten drede, 724 But swiche colours as growen in the mede, 725 Or elles swiche as men dye or peynte. 726 Colours of rethoryk been to me queynte; 727 My spirit feeleth noght of swich mateere. 728 But if yow list, my tale shul ye heere.
地方地主の話の序
今は昔,雅びなブルターニュの人たちは,さまざまなできごとを歌に詠み,いにしえのケルトの言葉で技をこらし,楽器に合わせて歌ったり,読み語りを楽しんだりしておりました.そのような話をひとつ覚えていますので,微力を尽くしてお話ししたいと思っております.
けれども,何しろ学がないもので,乱暴な言葉遣いをお許しいただくよう,まずは皆さんにお願いします.まったく,修辞学なんぞ習ったこともなく,あからさまな話し方しかできんのです.パルナッソス山で眠ったこともなければ,マルクス・トゥリウス・キケロを学んだこともない.言葉のあやなどさっぱりで,目もあやな野の花や,染めたり織ったりのあやしか知らんのです.語りのあやは解らんし,その類のセンスも持ちあわせておらん.でも,よろしければ話をお聞き下さい.
なお,上記の中英語原文を今朝の Voicy heldio で読み上げている.中英語に関心がある方,読解に挑戦してみたいと思う方は,ぜひ「#694. チョーサーによるブルトン・レ「地方地主の話の序」を原文で味わってみませんか?」をお聴きください.
・ Benson, Larry D., ed. The Riverside Chaucer. 3rd ed. Oxford: OUP, 1987.
・ ジェフリー・チョーサー(著),池上 忠弘(監訳) 『カンタベリ物語 共同新訳版』 悠書館,2021年.
・ 池上 昌・堀田 隆一・狩野 晃一 「チョーサーの英語」 『チョーサー巡礼 古典の遺産と中世の新しい息吹に導かれて』(池上 忠弘(企画),狩野 晃一(編)) 悠書館,2022年.93--124頁.
目下,東京・上野の国立西洋美術館にて「憧憬の地 ブルターニュ ー モネ,ゴーガン,黒田清輝らが見た異郷」展覧会が開催中です.開催期間は3月18日から6月11日までとなっています.
この開催の機会をとらえ,今学期の私のゼミでは「英語史とケルト,英語史とブルターニュ」をテーマとして,事前に予習した上で,5月末辺りに課外活動としてゼミの皆で展覧会を訪れる予定です.今後,本ブログでも Voicy heldio でも,関係する話題がチラホラ出てくるかと思います.本記事をお読みの皆さんも,ぜひブルターニュ(展)に関心を寄せていただければと.
フランス北西部ブルターニュ地方では,ケルト語派のブルトン語 (Breton) が伝統的に話されています.ただし,地域の強大言語であるフランス語に押されているという事実があります.これはブリテン諸島の北や西のコーナーで,ケルト系諸語が英語に圧迫されているのと平行的な状況です.
ケルト諸語の分布や歴史については「#774. ケルト語の分布」 ([2011-06-10-1]),「#778. P-Celtic と Q-Celtic」 ([2011-06-14-1]),「#779. Cornish と Manx」 ([2011-06-15-1]),「#3113. アングロサクソン人は本当にイングランドを素早く征服したのか?」 ([2017-11-04-1]),「#3761. ブリテンとブルターニュ」 ([2019-08-14-1]),「#4491. 1300年かかったイングランドの完全英語化」 ([2021-08-13-1]) を含む celtic の記事を参照してください.また,昨日の Voicy heldio では,関連して「#692. ケルト語派を紹介します」を配信しています.
展覧会訪問までの「英語史とケルト,英語史とブルターニュ」のための予習事項は,主として以下の3点です.
1. 歴史的にみる英語の拡大とケルト諸語の縮小
2. 中英語で書かれたブルトン・レ (Breton lai)
3. 英語とケルト語の言語接触
今朝の Voicy heldio では,本記事と同様の内容でおしゃべりしています.「#693. 英語史とケルト,英語史とブルターニュ --- 国立西洋美術館の「憧憬の地 ブルターニュ展」訪問に向けて」です,ぜひお聴きください.
国立西洋美術館の「憧憬の地 ブルターニュ展」,およびこれから1ヶ月ほど追いかけていく「英語史とケルト,英語史とブルターニュ」というテーマについて,ぜひご注目ください.
昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,4月20日に質問者の学生が居合わせるなかで生放送収録した「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」をアーカイヴとして配信しました.「#691. 4月20日に「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を heldio 生放送でお届けしました」をお聴きください(60分ほどの長さですので,お時間のあるときにとうぞ).
英語学習者その他から英語に関する素朴な疑問を事前あるいは即興で寄せてもらい,それに対して私が英語史研究者の立場から回答するという試みは,様々な形でたびたび行なってきました.大学の授業や一般の講座でも行なってきましたし,本ブログでも sobokunagimon のタグのついた多くの記事で素朴な疑問に回答しています.また,知識共有サービス「Mond」でも,一般から寄せられた問いに専門的に答えてきました.ちょうど今朝も Mond にて than usually ならぬ than usual という表現についての疑問に回答したところです.
そして,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でも,1年ほど前に「#341. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を配信したのを皮切りに,ときに他の英語史研究者を回答者としてお招きする形で19回ほど千本ノック企画を公開してきました.19回の履歴は「#5005. 過去17回の heldio 「千本ノック」の一覧」 ([2023-01-09-1]) をご覧ください.
とりわけ居合わせた学生などから直接に素朴な疑問を出してもらい,その場で回答するという,Voicy heldio 生放送でのスタイルは,新鮮で緊張感もあり私自身は好きなのですが,何よりも貴重なのは,その後に寄せられてくる反響のコメントです.今回の千本ノックが終わった後,学生たちに感想を書いてもらいました.いくつか紹介します(ただし,軽微な修正を含め文章に最小限の編集を施していることを断わっておきます).
質問によって多くのことに目を向けられるようになる気がした.他の人の疑問や,視点を知れたことで確かにと思うことや,そこから発展して疑問に思うことなどなど自分1人では思いつかないようなことをたくさん知れ,それこそがみんなで学習する意味なのだと改めて感じた.
今まで積んできた英語学習の中で,恐らくたくさんの疑問を抱えてきたはずだが,いざそれらの素朴な疑問を挙げるとなると,なかなか思い出すことができなかった.しかし,他の受講生の方の疑問を聞いていると,自身もかつて疑問に思ったな,と感じるものであったり,逆になるほど,そのような疑問もあったか,などというようなものもあり,とても新鮮に感じながら聞くことができた.
みんなが出してくれた疑問を聞いてみると,「確かに不思議だな」「そういえばなんでなんだろう」と感じるものばかりで,私もその回答を聞くことが楽しく,ワクワクしながら聞いていた.
同じ立場の人たちが英語に関する「素朴な疑問」をとても広い分野にわたって抱いていることが印象的だった.自分は質問を出すのに悩み,悩んだゆえに英語の学習過程で出会ったもののみのかなり範囲の狭い質問になってしまったが,今回の千本ノックで扱った質問は英語の学習という範囲のみに限らず日本で生活し英語と接する中で出てくるような質問ばかりだった.そうした小さな疑問を持ち追及することは意味のないことだと日常の中で無意識に思ってしまい出てこなかったのかもしれないと思い,改めてそのような質問が許される場と出会えたことはとても貴重だと感じた.
千本ノックのラジオでは,私が思いもつかなかった質問が次から次へと飛んでいて持っていなかった視点が沢山得られて驚きました.
千本ノックを聞いて,まず寄せられた質問の質の高さに驚きました.私は英語の素朴な疑問,と聞いて出すのに苦労したのですが,寄せられた質問を見るとすべて確かに疑問に思うことばかりでした.自分の中で当たり前になっていたり,「これはそういうものだから」と教えられたような事ばかりだったので新鮮だったと共に,私のような人間にこそ英語史の勉強が必要なのだろうと感じました.
千本ノックでは他の人たちがどんな疑問を抱いているのかを知ることができ自分もかつては抱いていたはずなのに忘れかけていたような疑問に再び出会うことができていい刺激になりました.疑問を他者と共有することは大切だと改めて認識させられました.
自分の中には無かった鋭い着眼点を含んだ質問が多く,文字通り素朴であることが凝り固まった自分の視点をほぐしてくれたような気がしました.
千本ノックは,自分一人では思いつかなかった疑問について考える貴重な機会になりました.また,自分が考えもしなかった疑問を他の学生が上げてくれていたので,新たな観点から英語の文構造を見ることができました.
いつもは目もくれない様々な「言葉」にもっと興味を持って,まるで地球を訪れてきたエーリアンのように常に好奇心を持って生きていきたいなと思いました.
今回の千本ノック後,友達と駅に向かって歩いていてマクドナルドの前を通り過ぎた時,同じタイミングで「あ!スコットランド!」と言って笑っていました(Mc の由来はスコットランドで,ケルト言語で息子という意味だと授業で聞いたので).
さらに,Voicy のコメント欄でもリスナーさんより「本当によくこんないい質問が浮かぶなあと,聴いていて対抗心が湧きました」など類似のメッセージが複数届いています.
これでお分かりかと思います.つまり,一見するとトリビアルに思われるような素朴な疑問を,皆で持ち寄り互いに鑑賞すること自体に価値があるということです.公開企画にすれば,それを広く皆で共有できるというメリットがあります.それに対する回答はそれとして重要ですが,二の次であるといってよいでしょう.
千本ノック公開企画を始めた当初は,この効用に気づいていませんでしたが,最近になってようやく分かってきました.疑問を共有することは,さらなる知的刺激を生み出すのだと.
千本ノック企画,これからも続けていきます(実際,次回は4月28日(金)の午後3時から生放送の予定です).
一昨日の4月20日の午前11:10より約60分間,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送で「千本ノック」をお届けしました.ライヴで聴いてくださったリスナーの皆さん,ありがとうございました
生放送を収録したものを,今朝レギュラー放送として公開しました.「#691. 4月20日に「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を heldio 生放送でお届けしました」をお聴きください.
新学期に大学生より多くの「英語に関する素朴な疑問」を寄せてもらいました.今回はその中から14の質問を取り上げましたが,良問・難問が続いてエキサイティングでした.参考までに各疑問と分秒を一覧しておきます,
(1) 02:01 --- McDONALD'S の Mc とは?
(2) 08:16 --- なぜ -tion は「ション」と読むの?
(3) 11:56 --- hour や honor で h を発音しないのはフランス語の影響?
(4) 15:53 --- なぜアルファベットには濁点・半濁点がないの?
(5) 21:10 --- 過去の習慣を表わす used to とは?
(6) 25:54 --- なぜ that には多様な用法があるのに this にはないの?
(7) 29:13 --- doctor はなぜ -er ではなく -or で終わるの?
(8) 34:05 --- なぜ do の3単現が does になるの?
(9) 39:00 --- なぜ英語は縦書きしないの?
(10) 42:25 --- なぜ new をもじった「オニュー」があるのに,old をもじった「オオールド」はないの?
(11) 48:31 --- whom の -m は何?
(12) 49:51 --- なぜ小文字と大文字で字形の違うものがあるの?
(13) 53:58 --- なぜ read - read - read は同じスペリングなの?
(14) 57:12 --- なぜ定冠詞 the は母音の前では「ズィ」になるの?
過去の「千本ノック」回については「#5005. 過去17回の heldio 「千本ノック」の一覧」 ([2023-01-09-1]) あるいは senbonknock をご覧ください.
本ブログをお読みの皆さんは,言語学 (linguistics) と言葉の魅力を世の中に広めている人気 YouTube/Podcast チャンネル『ゆる言語学ラジオ』のことはご存じかと思います.YouTube チャンネル『ゆる言語学ラジオ』の登録者数は現時点で18.8万人となっており,言語界隈では怪物のような番組です.監修その他の役回りで,ありがたいことに,私もちらっとお世話になっています.
『ゆる言語学ラジオ』パーソナリティの2人,堀元見さんと水野太貴さんが,初の本『言語沼』を出されました.(ご献本いただきました,ありがとうございます!) ラジオチャンネルがそのまま本になったような,そんな読後感です.
昨日の私の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で,この著書を取り上げていますので,ぜひお聴きいただければと思います.「#689. 『言語沼』 --- ゆる言語学ラジオから飛び出した言語本」です.
水野太貴さんには,「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回にもゲストとして出演していただいています.「#120. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんにお越しいただきました!」をご視聴ください.向こう数週間,水曜日に公開される回では水野さんとの言語をめぐるトークをお届けします.
・ 堀元 見・水野 太貴 『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼』 あさ出版,2023年.
昨朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で,同じ標題の放送回を配信しました.Voicy のコメント欄などを通じて反響をいただいています.ありがとうございます.「#686. 英語史の知識は,英語の先生が英語を教えるときに本当に役立つのか?」をお聴きください.
「英語史」という分野に多少なりとも興味をもって接しているすべての方々が意見を述べられる話題ではないかと思います.英語教員を始めとして英語史研究者から英語学習者まで,さらには英語のみならず他の外国語の教育・学習に関わる皆さんに,関心をもってもらいたいトピックです.上記放送回のコメント欄より,ご意見をお寄せいただければ幸いです.
議論の参考までに,いくつかの heldio 放送回,hellog 記事,コンテンツ,論文等にリンクを張っておきます.
・ heldio 「#310. 山本史歩子先生との対談 英語教員を目指す大学生への英語史のすすめ」
・ hellog 「#4329. 「英語史の知見を活かした英語教育」について参考文献をいくつか」 ([2021-03-04-1])
・ hellog 「#4619. 「英語史教育」とは?」 ([2021-12-19-1])
・ hellog 「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1])
・ hellog 「#4570. 英語史は高校英語の新学習指導要領において正当に評価されている」 ([2021-10-31-1])
・ hellog 「#4571. 英語史は中・高等学校教員養成課程のコアカリキュラムにおいて正当に評価されている」 ([2021-11-01-1])
・ 英語史コンテンツ「#59. 英語史は役に立たない,か」:khelf(慶應英語史フォーラム)顧問の N. S. 氏による,昨年度の「英語史コンテンツ50」の取りをとった論考.
・ 森田 真登 「高等学校英語教育における英語史の活用 --- OED Text Visualizer を用いて教科書本文の単語の理解を深める ---」 Colloquia 42 (2021): 125--41.
目下,『英語史新聞』第5号や「英語史コンテンツ50」を始めとした新年度開始の「英語史スタートアップ」企画 (cat:start_up_hel_2023) を展開中です.
英語史活動を前進させるためには,ときに振り返りも必要だろうということで,2023年第1四半期の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」放送回ランキングを作りました.今年の1月から3月までに公開された計91回の放送より,再生者数ベースで最もよく聴取された30回をリンクとともに挙げてみます.週末の英語史浸りのためにお役立てください.
1. 「#625. Turkey --- トルコと七面鳥の関係」(2023/02/15(水))
2. 「#595. heah/hih/high --- 「ゆる言語学ラジオ」から飛び出した通時的パラダイム」(2023/01/16(月))
3. 「#621. なぜ new something ではなく something new なの?」(2023/02/11(土))
4. 「#624. 「沈黙」の言語学」(2023/02/14(火))
5. 「#602. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」(2023/01/23(月))
6. 「#626. 陶磁器の china と漆器の japan --- 産地で製品を表わす単語たち」(2023/02/16(木))
7. 「#598. メタファーとは何か? 卒業生の藤平さんとの対談」(2023/01/19(木))
8. 「#614. 朝ルーチンを確立して自動化する --- routine の話し」(2023/02/04(土))
9. 「#604. なぜ慣用句では冠詞が省略されるの? --- for example や from hand to mouth など」(2023/01/25(水))
10. 「#620. なぜ過去分詞には不規則なものが多いのに現在分詞は -ing で規則的なの?」(2023/02/10(金))
11. 「#619. 現在完了「have + 過去分詞」の歴史」(2023/02/09(木))
12. 「#613. 苦手な人とは言葉遣いを合わせない --- 社会言語学の教え」(2023/02/03(金))
13. 「#590. 日本は言語多様性指数がきわめて低い国」(2023/01/11(水))
14. 「#640. 「~する人」を意味する -eer 接尾辞」(2023/03/02(木))
15. 「#646. 「~を除いて」を意味する前置詞 save」(2023/03/08(水))
16. 「#606. 英語のスペリングは漢字である」(2023/01/27(金))
17. 「#637. なぜ「アメリカ語」ではないの?」(2023/02/27(月))
18. 「#627. 「沈黙」の民族誌学」(2023/02/17(金))
19. 「#623. Brexit の英語史」(2023/02/13(月))
20. 「#610. spell と Gospel の「お話し」」(2023/01/31(火))
21. 「#643. なぜ受動態・能動態の「態」が voice なの?」(2023/03/05(日))
22. 「#654. 副業すると tax 絡みの task が増えまして --- 何だか似ている2語」(2023/03/16(木))
23. 「#589. come of age 「成人する」」(2023/01/10(火))
24. 「#617. 受動態における動作主の前置詞の歴史 --- from, of, by, etc.」(2023/02/07(火))
25. 「#647. メールの件名でみる RE: って何ですか?」(2023/03/09(木))
26. 「#583. 名詞複数形の -s と動詞3単現の -s の歴史的な関係は?」(2023/01/04(水))
27. 「#588. ネイティヴ・スピーカーとは? --- 抜き差しならない問題に入り込んでしまったかも」(2023/01/09(月))
28. 「#603. 菊地翔太先生ご提案の通時的パラダイムがズルい件について」(2023/01/24(火))
29. 「#641. have と behave の発音」(2023/03/03(金))
30. 「#631. 最近よく聞く generative って何? --- 語源探究回(2023/02/21(火))
関連して,以下も参照.
・ 「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1])
・ 「#4996. 今年1年間でよく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-12-31-1])
・ 「#4789. この1年間でよく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-06-07-1])
・ note でも「今週 (2023/03/06--12) よく聴かれた heldio 過去回」などとして heldio 過去回を紹介しています.
慶應義塾大学文学部英米文学専攻では,必修科目の1つに「英語史」の講義があります.主に専攻の2年生が履修する科目です,本日,今年度の「英語史」講義が開始となります.1年間かけて英語の歴史を紐解いていきます.
本日の初回は,重要な導入回となりますが,主に本ブログの記事を組み合わせることで英語史への導入を図ります.導入回として情報量が多くなりますが,履修生の皆さんは,講義ですべてを消化できなくても,いつでもこの記事に戻ってきてください.
また,一般の hellog 読者の方も,以下のリンクを通じて,初回講義を部分的・擬似的に体験できるかと思います.特に年度始まりの4, 5月は khelf(慶應英語史フォーラム)活動の一環として「英語史スタートアップ」企画 (cat:start_up_hel_2023) を展開しており,英語史に関心のあるすべての方々の学びを応援していますので,ぜひ以下のリンクを1つひとつたどっていただければと思います.
1. イントロ
1.1. 不定冠詞 a と an について: 「#831. Why "an apple"?」 ([2011-08-06-1]),heldio 「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」
1.2. 「英語史」講義担当者の紹介: note 「堀田隆一のプロフィール」,heldio 「#408. 自己紹介:英語史研究者の堀田隆一です」,「#2. 自己紹介」 ([2009-05-01-2])
2. 英語史の世界へようこそ
2.1. 英語史の魅力4点: 「#4546. 新学期の始まりに,英語史の学び方」 ([2021-10-07-1])
(1) 英語の見方が180度変わる
(2) 英語と歴史(社会科)がミックスした不思議な感覚の科目
(3) 素朴な疑問こそがおもしろい
(4) 現代英語に戻ってくる英語史
2.2. 「#4361. 英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」 ([2021-04-05-1]): 魅力 (2) に通じます
2.3. 「なぜ英語史を学ぶのか」の記事セット: 様々な角度から「なぜ学ぶのか」を検討してみました(cf. heldio 「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」や heldio 「#112. 英語史って何のため?」でも取り上げています)
3. 英語に関する素朴な疑問
3.1. 「#1093. 英語に関する素朴な疑問を募集」 ([2012-04-24-1]): 魅力 (3) に通じます
3.2. 3166件の素朴な疑問
3.3. これまで hellog で取り上げてきた素朴な疑問集
3.4. 知識共有サービス「Mond」で英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています
3.5. Slido (質疑応答サービス)より,英語に関する素朴な疑問を募集します
4. 英語史を日常の風景に
4.1. 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1]): 2009年5月1日より毎日更新している英語史のブログです.この hellog の効果的な使い方の tips をどうぞ.
4.2. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio): hellog の音声版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) .2021年6月2日より毎朝6時に1本10分ほどで英語史の話題をお届けしています.日々の英語史の学びのためにフォローしてください.英語史の話題が日常になります.「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]) も参照.
4.3. 「#5091. khelf の沿革,活動実績,ミッションステートメント」 ([2023-04-05-1]): khelf HPと公式ツイッターアカウント @khelf_keio より情報を発信しています.
4.4. 「#5096. 『英語史新聞』が発行されました」 ([2023-04-10-1]): 世界初の英語史を主題とする新聞の第5号です.
4.5. khelf イベント「英語史コンテンツ50」が始まっています: 本日4月13日より休日を除く毎日,英語史を専攻するゼミ生・院生から手軽に読める「英語史コンテンツ」がウェブ上にアップされてきます.上記だけでは足りないという方は,過年度の同企画もどうぞ.
4.6. 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」: 2022年2月26日より同専攻の井上逸兵先生(英語学・言語学)と一緒に週2回(水)と(日)の午後6時に動画を公開しています
5. 講義の進め方
5.1. 講義スライド,テキスト,課題,試験,評価
5.2. 英語史の読書案内:「#5094. 英語史概説書等の書誌(2023年度版)」 ([2023-04-08-1]),「#4557. 「英語史への招待:入門書10選」」 ([2021-10-18-1]),heldio 「対談 英語史の入門書」
5.3. 過年度に「英語史」を履修した先輩たちの言葉: 「#5020. 2022年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2023-01-24-1]),heldio 「#607. 1年間の「英語史」の講義を終えて」
6. ライヴで寄せられた英語の素朴な疑問に即興で答える「千本ノック」
今年度も楽しい英語史ライフを!
年度始めですので,英語史の学びを後押しする記事を書くことが多くなっています.昨年の夏に「#4873. 英語史を学び始めようと思っている方へ」 ([2022-08-30-1]) の記事を書き,今回はそれと重なるところも多いのですが,改めて2023年度版ということで,英語史の学びに役立つ 「hellog~英語史ブログ」の記事や Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の放送回へのリンクをまとめてみました.
[ そもそも本ブログの執筆者(堀田隆一)は何者? ]
・ heldio 「#408. 自己紹介:英語史研究者の堀田隆一です」 (2022/07/13)
・ note 上のプロフィールもご覧ください
[ hellog と heldio の歩き方 ]
・ hellog 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1])
・ hellog 「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1])
[ まずは英語史の学びのモチベーションアップから ]
・ heldio 「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」 (2022/08/18)
・ heldio 「#650. 英語史の知恵が AI に負けない3つの理由」 (2023/03/12)
・ heldio 「#112. 英語史って何のため?」 (2021/09/21)
・ hellog 「#4728. 2022年度「英語史」講義の初回 --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目「英語史」が始まります」 ([2022-04-07-1])
・ hellog 「#5096. 『英語史新聞』第5号が発行されました」 ([2023-04-10-1])
・ hellog 「#4556. 英語史の世界にようこそ」 ([2021-10-17-1])
・ heldio 「#139. 英語史の世界にようこそ」 (2021/10/17)
・ hellog 「#24. なぜ英語史を学ぶか」 ([2009-05-22-1])
・ heldio 「#112. 英語史って何のため?」 (2021/09/21)
・ hellog 「#4361. 英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」 ([2021-04-05-1])
・ hellog 「#1199. なぜ英語史を学ぶか (2)」 ([2012-08-08-1])
・ hellog 「#1200. なぜ英語史を学ぶか (3)」 ([2012-08-09-1])
・ hellog 「#1367. なぜ英語史を学ぶか (4)」 ([2013-01-23-1])
・ hellog 「#2984. なぜ英語史を学ぶか (5)」 ([2017-06-28-1])
・ hellog 「#4021. なぜ英語史を学ぶか --- 私的回答」 ([2020-04-30-1])
・ hellog 「#3641. 英語史のすゝめ (1) --- 英語史は教養的な学問領域」 ([2019-04-16-1])
・ hellog 「#3642. 英語史のすゝめ (2) --- 英語史は教養的な学問領域」 ([2019-04-17-1])
・ hellog 「#4073. 地獄の英語史からホテルの英語史へ」 ([2020-06-21-1])
[ 英語史入門の文献案内 ]
・ heldio 「#140. 対談 英語史の入門書」 (2021/10/18)
・ hellog 「#5094. 英語史概説書等の書誌(2023年度版)」 ([2023-04-08-1])
・ hellog 「#4557. 「英語史への招待:入門書10選」」 ([2021-10-18-1])
・ hellog 「#4731. 『英語史新聞』新年度号外! --- 英語で書かれた英語史概説書3冊を紹介」 ([2022-04-10-1])
・ heldio 「#313. 泉類尚貴先生との対談 手に取って欲しい原書の英語史概説書3冊」 (2022/04/09)
・ hellog 「#3636. 年度初めに拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』を紹介」 ([2019-04-11-1])
・ heldio 「#315. 和田忍先生との対談 Baugh and Cable の英語史概説書を語る」 (2022/04/10)
・ hellog 「#4133. OED による英語史概説」 ([2020-08-20-1])
[ かつて英語史に入門した「先輩」からのコメント ]
・ heldio 「#607. 1年間の「英語史」の講義を終えて」 (2023/01/28)
・ hellog 「#5020. 2022年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2023-01-24-1])
・ hellog 「#4661. 2021年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2022-01-30-1])
・ hellog 「#3922. 2019年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2020-01-22-1])
・ hellog 「#3566. 2018年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2019-01-31-1])
・ hellog 「#2470. 2015年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2016-01-31-1])
[ とりわけ語源に関心がある方へ ]
・ hellog 「#3546. 英語史や語源から英単語を学びたいなら,これが基本知識」 ([2019-01-11-1])
・ hellog 「#3698. 語源学習法のすゝめ」 ([2019-06-12-1])
・ hellog 「#4360. 英単語の語源を調べたい/学びたいときには」 ([2021-04-04-1])
・ hellog 「#3381. 講座「歴史から学ぶ英単語の語源」」 ([2018-07-30-1])
・ hellog 「#600. 英語語源辞書の書誌」 ([2010-12-18-1])
[ とりわけ英語教育に関心がある方へ ]
・ heldio 「#310. 山本史歩子先生との対談 英語教員を目指す大学生への英語史のすすめ」 (2022/04/06)
・ hellog 「#4329. 「英語史の知見を活かした英語教育」について参考文献をいくつか」 ([2021-03-04-1])
・ hellog 「#4619. 「英語史教育」とは?」 ([2021-12-19-1])
[ とりわけフランス語学習に関心がある方へ ]
・ heldio 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」 (2022/04/23)
・ heldio 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」 (2022/04/25)
・ heldio 「#368. 英語とフランス語で似ている単語がある場合の5つのパターン」 (2022/06/03)
・ hellog 「#4787. 英語とフランス語の間には似ている単語がたくさんあります」 ([2022-06-05-1])
・ heldio 「#370. 英語語彙のなかのフランス借用語の割合は? --- リスナーさんからの質問」 (2022/06/05)
・ heldio 「#26. 英語語彙の1/3はフランス語!」 (2021/06/27)
・ heldio 「#486. 英語と他の主要なヨーロッパ言語との関係 ー 仏西伊葡独語」 (2022/09/29)
この「hellog~英語史ブログ」は,開始して14年が経とうとしていますが,私の英語史活動(hel活)の拠点となっています.
hellog では日々英語史に関する話題を取り上げ,記事を積み上げてきましたが,結果として一種の「英語史データベース」的なものができあがってきました.増え続けるバックナンバーをカテゴリー・タグやリンクを通じて結びつけることにより,有機的なデータベースが構築されてきました.これは私自身もブログを始めた頃には思いも寄らなかった驚きの効果です.
大学などで新年度が本格的に始まる時期かと思いますので,英語史に関心をもつすべての方に,hellog を最大限に利用していただくために,hellog を利用するに当たっての Tips のようなものをまとめてみました.
昨年度の「#4729. ぜひ英語史学習・教育のために hellog の活用を!(2022年度版)」 ([2022-04-08-1]) を上書きする形で,2023年度版を以下に示します.
(1) hellog では,常に「英語に関する素朴な疑問」を重視しています.そのなかから多くの読者の皆様に読まれている記事が浮上してきました.アクセス・ランキングのトップ500記事をご覧ください.
(2) 英語に関する素朴な疑問集もお薦めです.本ブログでは,英語学習者から数年にわたって収集した数々の「英語に関する素朴な疑問」に答えてきました.疑問集をまとめた英語に関する素朴な疑問の一覧(2020--2022年度の統合版)もご覧ください.あわせて,1年ほど前に始めた知識共有サービス「Mond」への回答も,ぜひご一読を.
(3) hellog の音声版というべきVoicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) の放送を毎朝6時に配信しています.音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio) をご覧ください.hellog 同様,主として英語に関する素朴な疑問を取り上げています.heldio 放送回と hellog 記事を有機的に相互参照させたコラボ的なコンテンツも多いので,ぜひ heldio もフォローして日々の英語史学習ルーチンに組み込んでいただければと思います.昨今は heldio のコメント欄での交流も盛り上がってきていますので,ぜひそちらから英語史の学習活動にご参加ください.「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]) も参照.
(4) 講義・講座等で用いてきたスライド資料の多くを,ブログ記事として公開しています.cat:slide よりご覧ください.大きめのテーマを扱っていることが多く,スライドだけでは何のことか分からない部分もあると思いますが,ざっと眺めるだけでも概要は学べると思います.
(5) 毎回の hellog 記事では,雑多でランダムな話題を扱っていますが,多数の記事のあいだの関連性を確保する手段として「カテゴリー」と「記事セット」という概念を採用しています.「カテゴリー」はその名の通り,各記事に付けられているカテゴリー・タグに基づいて記事群をまとめたもので,トップページの右下のアルファベット順に並んでいるカテゴリーの一覧からアクセスできます.トップページ最上部の検索欄に "cat:○○" と入力してもらうこともできます.例えば,"cat:norman_conquest" や "cat:start_up_hel_2023" などと入れてみてください.
(6) もう1つの「記事セット」という概念は,記事番号を連ねることで,複数の任意の記事をまとめて閲覧できる仕様です.トップページ最上部の検索欄に,カンマ区切りの一連の記事番号を入力してみてください.その順序で,フレームを用いた読みやすい形式で記事が表示されます.
「記事セット」は上手く利用すると簡易的なスライドともなり,私自身も講義・講座に頻繁に利用しています.私がよく行なうのは,例えば「英語語彙の世界性」 (cosmopolitan_vocabulary) という話題について講義しようとする場合に,"##151,756,201,152,153,390,3308" という構成で記事(とそこに含まれる視覚資料)を順に示して解説していくというものです(先頭の "##" は任意).
これまで様々な記事セットを提供してきましたので,具体例として cat:hellog_entry_set の各記事からジャンプしていただければと思います.
(7) 本ブログでは,図表や写真をはじめとする視覚資料をなるべく多く掲載するように努めています.とりわけ地図 (map),言語系統図 (family_tree),年表 (timeline) などは多く掲載しており,お薦めです.漫然と眺めるだけでも学べると思います.画像集も,14年間の蓄積により,だいぶんたまってきました.
(8) トップページの右手に「ツール」という欄があります.CGI を用いた1世代前のスクリプトで,すでに動かなくなっているものもありますが,なかには便利なものもあります.例えば,Frequency Sorter は,単語群を頻度順にソートしてくれる便利ツールで,私もよく使っています.また,hel typist は ASCII のみを用いて発音記号(国際音標文字,IPA)を出力するためのツールで,日々の hellog 執筆に欠かせないツールとなっています.他にもおもしろいツールを探してみてください.cgi や web_service も参照.
(9) hellog の外ではありますが,英語史に関するオンライン(連載)記事を機会あるごとに書いてきました.とりわけ2017年1月から12月にかけて連載した12本のオンライン記事「現代英語を英語史の視点から考える」は,内容的にもまとまっており,お薦めです.もう1つ,昨秋の IIBC (一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)のインタビュー「英語はいかにして世界の共通語になったのか」もどうぞ.
(10) 最後に,hellog は雑多な記事群ですので,体系的な英語史の学びには向きません.体系的に学びたい方は,ぜひ英語史概説書をお読みください.最新の推薦図書のリストは「#5094. 英語史概説書等の書誌(2023年度版)」 ([2022-04-08-1]) をどうぞ.
コロナ禍が一段落し,大学の授業なども対面形式に戻ってはきましたが,オンライン学習・教育の機会はこれからも増えていくと予想されます.上記を参考に,hellog を最大限に利用していただければ幸いです.
一昨日の4月7日の午後11:20より約50分間,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送で#678. 4月7日に「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を heldio 生放送でお届けしましたをお届けしました.ライヴでお聴きくださったリスナーの皆さん,ありがとうございました.
数十名のフレッシュな大学1年生を前にしての対面公開収録&生放送でした.その場で学生たちに英語に関する素朴な疑問を投げてもらい,私が回答するという「千本ノック」企画でしたが,今回も良問が多く出されました.私は常々「難しい問題ではなく素朴な疑問こそが重要」と言っていますが,今回もそのことが伝わるとよいなと期待しつつ回答したつもりです.どうだったでしょうか?
50分の長丁場ですので,時間のあるときにゆっくりお聴きください.
以下に,今回の「千本ノック」で取り上げた各疑問の分秒を一覧しておきます.
(1) 02:34 --- 英語になぜ敬語が存在しないの?
(2) 05:51 --- am, are, is という3つの be 動詞の由来が知りたいです
(3) 09:19 --- 日本語では一音で意味を持つものがあるにもかかわらず(例えば「絵」や「胃」)英語では一音で意味を持つことがほとんどないのはなぜですか?
(4) 13:14 --- -ed がつく過去形と不規則に変化する過去形がある理由
(5) 18:04 --- 3単現に -s がつく理由
(6) 21:52 --- 動詞 play が使えるスポーツと使えないスポーツの違いはなんですか?
(7) 24:02 --- なぜ英語には女性名詞や男性名詞がないのか?
(8) 27:11 --- 3単現の -s がないと,ネイティブスピーカーはどんな感覚なのか?
(9) 28:33 --- 英語と日本語はどうして順序が逆になるのですか?(住所とか)
(10) 31:03 --- <gh> などの発音しない子音があるのはなぜですか?
(11) 33:49 --- Pokémon (ポケモン)の e の上にある点は何?
(12) 36:09 --- 世界には英語が書かれたグッズが多く出回っているが(GAPなど),英語圏の人はどう感じているのか?
(13) 38:20 --- なぜ fine には「罰する」「罰金」という意味があるの?
(14) 41:35 --- 同じ単語にいくつも意味があるのはなんで?
(15) 44:00 --- どうしてアメリカ英語とイギリス英語があるんですか?
(16) 45:50 --- 日本語には句読点があるけれど,なぜ英語では空白で区切るの?
過去の「千本ノック」回については「#5005. 過去17回の heldio 「千本ノック」の一覧」 ([2023-01-09-1]) あるいは senbonknock をご覧ください.
新年度ということで私の音声メディアの紹介をさせていただきます.2年ほど前の2021年6月2日より毎朝6時に,音声プラットフォーム Voicy にて「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を運営しています.毎回10分程度(実はだいたい長引きます)で英語史の話題を配信しています.前身の hellog-radio を受けてのプロジェクトで,縮めて "heldio" と通称しています.おかげさまで,直近数ヶ月は「語学」セクションでの注目度ランキングの5位以内に入り続けて,リスナーさんも増えてきています.ありがとうございます.
いわば本ブログの音声版というべきものですが,ブログでは様々な水準の話題をお届けしている一方,heldio ではとりわけリスナーさんを意識して話題を選び,分かりやすい話し方をするように心がけています.モットーはずばり「英語史をお茶の間に」です.とりわけ今年に入ってからは,Voicy のコメント欄を通じたリスナー間,およびパーソナリティとのコミュニケーションも活気づいており,英語史の輪が少しずつ着実に拡がっています.本ブログともしばしば連動してお届けしていますので,ぜひ毎日聴くことを習慣にしていただければ幸いです.
例えば,今朝6時に配信した放送は「#676. 意味変化の類型 --- 一般化,特殊化,向上,堕落」です.
また,英語史研究者や学生との対談,そして生放送企画なども,いろいろ試みています.実際,本日午前11:20頃より「「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」2023年4月7日」と題して生放送をお届けする予定です.
さて,パーソナリティより「heldio の聴き方」の Tips を紹介します.
・ 最新回を含めた放送一覧は,こちらのページが便利です.前身の hellog-radio の放送回一覧も同ページの下部にあります.
・ ウェブ経由でブラウザからも聴取できますが,携帯端末から Voicy アプリ(無料)の利用が便利です.アプリでアカウントをフォローしていただけますと,更新通知や生放送への参加等などの付加的な機能をご利用できます(本記事末尾を参照).
・ Voicy アプリなどの検索機能「見つける」より,検索欄に「heldio 意味変化」などと打ち込んでいただけると,おおよそ関連回がヒットします.
・ 放送回は「#676」などの番号で管理していますので,番号が分かっていれば「heldio 676」などでも飛べます.
・ 放送回のタイトル,各チャプターのタイトル,ハッシュタグなどで,なるべくキーワードを多く登録していますので,放送回の検索にご利用ください.また,同じキーワードを hellog のほうで検索すると,しばしば多くの記事がヒットしますので,そこでより詳しく学ぶことができます.
・ 本ブログ記事と関連する heldio 放送回については,こちらよりアクセスできます.
・ 「#4996. 今年1年間でよく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-12-31-1]) は必見です.
・ note でも,たまに「今週 (2023/03/06--12) よく聴かれた heldio 過去回」などとして過去回の紹介をしています.
・ 毎朝の放送回について,話題的に関連する過去回をインスタグラム @chariderryu のストーリーにて随時お知らせしています.関連する放送回を飛びながら聴くと理解が深まりますので,ご利用ください.
・ リスナーの方々の協力により,各放送回のコメント欄に関連する過去回の番号を随時投げていただいていますので,そちらもご覧ください.とりわけ @nyaokitako0808 さんのインスタ・アカウントも,同趣旨の情報で充実しています(いつも,ありがとうございます!).
・ そして皆さんの一人ひとりも,コメント欄への参入,そして関連過去回の共有にご協力のほどお願いいたします.ただ聴いているだけよりも,日々の英語私生活が何倍も楽しくなると思います!
以上,新年度開始の「hel活」(=英語史活動)でした.
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