先週末,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,標記の趣旨で2回の配信回を公開しました.「#1096. あなたの推し前置詞を教えてください with 小河舜さん&まさにゃん」と「#1097. あなたの推し前置詞を教えてください with khelf 青木輝さん&藤原郁弥さん」です.英語史を研究する4人に好きな前置詞とその理由を尋ねるという,それだけの回だったのですが,多くのリスナーの皆さんからコメントをいただくとともに,各リスナーからも独自の推し前置詞を挙げていただきました.
実はこの企画そのものはプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) で先に実施していたものだったのですが,盛り上がったので heldio でも実施してみた次第です.先の企画は5月のサブスクの有料配信回にてお届けしています(【英語史の輪 #135】あなたの「推しの前置詞」は何ですか?(無茶振り大会)」および「【英語史の輪 #136】「推し前置詞」回の振り返り」).
もっといえば,私の大学の授業内でも同じ質問を学生に問いかけており,この1--2週間ほどは「推し前置詞」の話題で私自身が盛り上がっていたのでした.滅多にお目にかからない前置詞もあり,卑近だけれども用法が多いので気になる前置詞もあり,皆さんがそれぞれ思い思いに選んでくれました.
結果として,様々な推し前置詞とその理由が集まってきました.まだまだ収集したいと思いますので,ぜひ本ブログをお読みの皆さんには「#1096. あなたの推し前置詞を教えてください with 小河舜さん&まさにゃん」等のコメント欄でリスナーさんの回答サンプルを読んでいただいた上で,同じそちらのコメント欄に,ご自身の推し前置詞とその理由を書き込んでいただければと思います.
参考までに「#947. 現代英語の前置詞一覧」 ([2011-11-30-1]) を訪問いただければ,英語の前置詞には少なくとも194個ほどがあることが分かると思います.この中から,コレだと思ったものを選び,コメントにお寄せ願います.
5月23日(木)の夜,Voicy heldio にて「#1093.「はじめての古英語」生放送(第7弾) with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (4)」をお届けしました.ライヴでお聴きの方々には,投げ込みのコメントや質問をいただきましてありがとうございました.
今回もお相手は小河舜先生(上智大学)および「まさにゃん」こと森田真登先生(武蔵野学院大学)です.毎回3人で元気に配信しています.
精読対象テキストは,前回に引き続き,Bede によりラテン語で著わされた『英国民教会史』 (Historia Ecclesiastica Gentis Anglorum [= Ecclesiastical History of the English People]) の古英語訳の1節です.原文は,hellog の「#5444. 古英語の原文を読む --- 597年,イングランドでキリスト教の布教が始まる」 ([2024-03-23-1]) に掲載しています.
今回は,音読練習,統語的呼応と語順,仮定法を含む動詞屈折のおさらい,散文の発達に関する話題等で議論が盛り上がりました.収録後,3人のくだけた振り返り回として「#1094. 「はじめての古英語」第7弾のアフタートーク」も公開していますので,ぜひお聴きください.
これまでの「はじめての古英語」シリーズ回を一覧しておきます.
(1) 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」
(2) 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」
(3) 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」
(4) 「#1030. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む」
(5) 「#1057. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (2)」
(6) 「#1078. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (3)」
(7) 「#1093.「はじめての古英語」生放送(第7弾) with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (4)」
次回もお楽しみに!
毎週水・日の午後6時に,同僚の井上逸兵先生とともに「いのほた言語学チャンネル」をお届けしています.水曜日の回は「言語学バル」と題し,ゲストをお迎えしてビールを飲みながら,肩の凝らない動画を配信しています.
目下「言語学バル」では,先週から始まって4週間にわたり,同僚の英文学者井出新(いであらた)先生をゲストとしてお招きし,3人でトークを繰り広げています.井出先生のご専門は,Christopher Marlowe (1564--1603) や William Shakespeare (1564--1616) を中心とする初期近代の劇作家とその周辺です.
先週の第1回動画は「シェイクスピア・近代演劇の第一人者・井出新さん(慶應義塾大学)が語るシェイクスピア時代の言語と社会」(上記の左側の動画)という導入の回でした.昨日公開された第2回動画は「中世も近代演劇も四体液説を知らねばわからない!?」(右側の動画)です.3人とも調子が出てきました.来週以降の続編もお楽しみに.
さて,我々3人の所属する慶應義塾大学文学部英米文学専攻では「慶大文英米文学専攻公式チャンネル」という YouTube チャンネルが開設されています.必ずしもタイミングを狙ったわけではないのですが,最近そちらの公式チャンネル内で始まった「英米カフェ」シリーズの第1回にも井出先生がご登場しています.「井出新(英文学)×原田範行(英文学)×井上逸兵(英語学)」も合わせて視聴いただければ.
井出先生と関連して,以下の各種メディアのコンテンツもご参照ください.
・ hellog 「#5507. YouTube 「英米カフェ」第1回 「井出新(英文学)×原田範行(英文学)×井上逸兵(英語学)」」 ([2024-05-25-1])
・ hellog 「#5357. 井出新先生との対談 --- 新著『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)をめぐって」 ([2023-12-27-1])
・ heldio 「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」
・ いのほた言語学チャンネル 「#195. 井出新さん『シェイクスピア,それが問題だ! --- シェイクスピアを楽しみ尽くすための百問百答』(大修館書店)のご紹介」
新年度より,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を月に一度のペースで開講しています.
これまでに第1回「語源辞典でたどる英語史」を4月27日(土)に,第2回「英語語彙の歴史を概観する」を5月8日(土)に開講しましたが,それぞれ驚くほど多くの方にご参加いただき盛会となりました.ご関心をお寄せいただき,たいへん嬉しく思います.
第3回「英単語と「グリムの法則」」は来週末,6月8日(土)の 17:30--1900 に開講されます.シリーズを通じて,対面・オンラインによるハイブリッド形式での開講となり,講義後の1週間の「見逃し配信」サービスもご利用可能です.シリーズ講座ではありますが,各回はおおむね独立していますし,「復習」が必要な部分は補いますので,シリーズ途中からの参加でも問題ありません.ご関心のある方は,こちらよりお申し込みください.
2回かけてのイントロを終え,次回第3回は,いよいよ英語語彙史の各論に入っていきます.今回のキーワードはグリムの法則 (grimms_law) です.この著名な音規則 (sound law) を理解することで,英語語彙史のある魅力的な側面に気づく機会が増すでしょう.グリムの法則の英語語彙史上の意義は,思いのほか長大で深遠です.英語語彙学習に役立つことはもちろん,印欧語族の他言語の語彙への関心も湧いてくるだろうと思います.『英語語源辞典』(研究社,1997年)をはじめとする語源辞典や,一般の英語辞典も含め,その使い方や読み方が確実に変わってくるはずです.
講座ではグリムの法則の関わる多くの語源辞典で引き,記述を読み解きながら,実践的に同法則の理解を深めていく予定です.どんな単語が取り上げられるかを予想しつつ講座に臨んでいただけますと,ますます楽しくなるはずです.『英語語源辞典』をお持ちの方は,巻末の「語源学解説」の 3.4.1. Grimm の法則,および 3.4.2. Verner の法則 を読んで予習しておくことをお薦めします.
参考までに,本シリーズに関する hellog の過去記事へのリンクを以下に張っておきます.第3回講座も,多くの皆さんのご参加をお待ちしております.
・ 「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」 ([2024-04-01-1])
・ 「#5481. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の第1回が終了しました」 ([2024-04-29-1])
・ 「#5486. 5月18日(土)の朝カル新シリーズ講座第2回「英語語彙の歴史を概観する」のご案内」 ([2024-05-04-1])
(以下,後記:2024/05/30(Thu))
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
*
今年度,白水社の月刊誌『ふらんす』にて連載記事「英語史で眺めるフランス語」を書かせていただいています.先日『ふらんす』6月号が刊行されました.今回で第3回となる記事のタイトルは「英語に借用された最初期の仏単語」です.以下の小見出しのもと,2頁ほどの読み物となっています.
・ フランス語との腐れ縁とその馴れ初め
・ 最初の仏借用語は古英語末期から
・ ノルマン征服後の2世紀は意外と地味
・ フランス語に置き換えられた法律用語
英語語彙にフランス語からの借用語が多く含まれていることはよく知られていますが,そもそも英仏語の言語接触 (contact) にはどのような背景があったのでしょうか.今回の記事では,両言語の出会いと,言語接触の最初期の状況を記述しました.最初期にはフランス語からの影響は意外と限定的だったことなどが,主たる話題となっています.
フランス語と英語史を掛け合わせた話題は豊富にあり,私の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でも多く取り上げてきました.参考までに,関連する配信回をいくつか挙げておきます.
・ 「#26. 英語語彙の1/3はフランス語!」
・ 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」
・ 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」
・ 「#370. 英語語彙のなかのフランス借用語の割合は? --- リスナーさんからの質問」
・ 「#1087. 英語の料理用語はフランス語とともにあり」
・ 堀田 隆一 「英語史で眺めるフランス語 第3回 英語に借用された最初期の仏単語」『ふらんす』2024年6月号,白水社,2024年5月23日.52--53頁.
1年ほど前に,私が所属している慶應義塾大学文学部英米文学専攻より YouTube チャンネル「慶大文英米文学専攻公式チャンネル」がオープンしました.
すでに2本の動画「慶應義塾大学文学部英米文学専攻のご案内・2023年度・2年生向け」と「慶應義塾大学文学部松田隆美教授(現名誉教授)最終講義「旅のナラティヴと中世英文学研究」(2023年3月19日)@慶應義塾大学三田キャンパス」が公開されています.
これまでは特別なイベントの記録という趣でしたが,このたび新たに「英米カフェ」と題するシリーズ企画が立ち上がりました.同専攻所属の研究者・教員が様々な組み合わせでカジュアルにお話ししていくというシリーズです.
「英米カフェ」の記念すべき第1回は「井出新(英文学)×原田範行(英文学)×井上逸兵(英語学)」です.19分ほどの動画です.ぜひご視聴いただき,コメント等もお寄せいただければ幸いです.
こちらの第1回では,英文学者のお二人,井出新(いであらた)先生と原田範行(はらだのりゆき)先生がそれぞれ英文学との馴れ初めをお話ししています.聞き手役は「英米カフェ」のプロデューサー兼ディレクターである井上逸兵先生です.
「英米カフェ」を通じて英米文学専攻と英語文学文化研究の魅力をたくさんお伝えしていければと思っています.チャンネル登録のほど,よろしくお願いします.
YouTube チャンネルといえば,井上&堀田で毎週(水)(土)の午後6時に定期的にお届けしている「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」)もよろしくどうぞ.
井出新先生につきましては,以下のメディアにもご出演くださっています.合わせてご訪問いただければ.
・ heldio 「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」
・ いのほた言語学チャンネル 「#195. 井出新さん『シェイクスピア,それが問題だ! --- シェイクスピアを楽しみ尽くすための百問百答』(大修館書店)のご紹介」
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,5月15日(水)と18日(土)の2回にわたり,加藤拓由先生(岐阜聖徳学園大学)との対談をお届けしました.「#1080. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 加藤拓由先生とのインドの英語をめぐる対談」と「#1083. 小学校英語教育事情の日印比較 --- 加藤拓由先生との対談」です.それぞれお聴きください.
加藤先生は小学校英語教育のご専門で,インドでの教育経験もあり,昨年出版された大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂)の第4章「インドの英語」を,榎木薗鉄也先生とともに執筆されています.今回の対談では,執筆の裏事情や,インドの言語事情および小学校英語の日印比較についてお話を伺いました.
インドの言語事情,第4章で書かれたコラムに関する裏話,小学校英語教育などについてお話ししただきましたが,私にとっては初めて知ることが多く,たいへん新鮮で啓発的な対談の機会となりました.皆さん,ぜ対談回を聴取いただき,ご意見やご質問などがありましたら,Voicy のコメント欄より書き込んでいただければと思います.
インド英語については,第4章の共著者の榎木薗鉄也先生とも2回にわたり Voicy で対談したことがあります.それぞれ以下の記事よりアクセスできますので,そちらもお聴きください..
・ 「#5365. 「インドの英語」をめぐって榎木薗鉄也先生と対談 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第4章」 ([2024-01-04-1])
・ 「#5375. 榎木薗鉄也先生とインド英語について対談しました」 ([2024-01-14-1])
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
Sweet's Anglo-Saxon Primer (20--21) より古英語の数詞 (numeral) を挙げる.基数詞 (cardinal numbers) と序数詞 (ordinal numbers) の各々を列挙する.
Cardinal | Ordinal | |
1(st) | ān | forma |
2(nd) | twā | ōþer |
3(rd) | þrēo | þridda |
4(th) | fēower | fēorþa |
5(th) | fīf | fīfta |
6(th) | siex | siexta |
7(th) | seofon | seofoþa |
8(th) | eahta | eahtoþa |
9(th) | nigon | nigoþa |
10(th) | tīen | tēoþa |
11(th) | en(d)leofon | en(d)leofta |
12(th) | twelf | twelfta |
13(th) | þrēo-tīene | þrēo-tēoþa |
... | ... | ... |
19(th) | nigon-tīene | nigon-tēoþa |
20(th) | twen-tiġ | twentigoþa |
30(th) | þrī-tiġ | þrītigoþa |
40(th) | fēower-tiġ | fēowertigoþa |
50(th) | fīf-tiġ | fīftigoþa |
60(th) | siex-tiġ | siextigoþa |
70 | hund・seofon-tiġ | |
80 | hund・eahta-tiġ | |
90 | hund・nigon-tiġ | |
100 | hund, hundred, hund・tēon-tiġ | |
110 | hund・endleofon-tiġ | |
120 | hund・twelf-tiġ | |
1000 | þūsend |
Fransson (33) が,中英語期の職業名ベースの姓をめぐる研究において,調査資料のなかで100回以上現われる姓 (by-name) を抜き出し,そのランキングを25位まで挙げている.中英語の綴字で示そう.
・ Taillour (仕立屋)
・ Chapman (行商人)
・ Marescal (馬丁)
・ Carpenter (大工)
・ Mason (石工)
・ Smyth (鍛冶屋)
・ Coke (料理人)
・ Coupere (おけ屋)
・ Tannere (なめし皮職人)
・ Fullere (縮絨工)
・ Turnour (旋盤工)
・ Milner (粉屋)
・ Muleward (粉屋)
・ Keu (料理人)
・ Mouner (粉屋)
・ Bakere (パン屋)
・ Barber (床屋)
・ Ferrour (鍛冶屋)
・ Pottere (陶器職人)
・ Coliere (石炭商)
・ Mercer (服地屋)
・ Feuere (鍛冶屋)
・ Skynnere (皮職人)
・ Deyer (染物屋)
・ Leche (医者)
英語本来語のものもあればフランス語由来のものもある.現代でも広く用いられている名前もあれば,そうでもないものもある.英語でも日本語でも時代によって人気のある first name が移り変わってきたことはよく知られているが,姓にも通時的な分布の変化があるのだろうか.中英語期は姓が導入され固まった時代ではあるが,特にその前期には,まだ流動的な代物にすぎなかったということも考え合わせたい.
なお,今回の話題については,すでに先日の5月11日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」配信回にて取り上げている.「#1076. 「中英語の職業名の姓」人気ランキング」をお聴きいただければ.
・ Fransson, G. Middle English Surnames of Occupation 1100--1350, with an Excursus on Toponymical Surnames. Lund Studies in English 3. Lund: Gleerup, 1935.
5月9日(木)の夜,Voicy heldio にて「#1078. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (3)」をお届けしました.ライヴでお聴きの方々には,投げ込みのコメントや質問をいただきましてありがとうございました.
精読対象テキストは,前回に引き続き,Bede によりラテン語で著わされた『英国民教会史』 (Historia Ecclesiastica Gentis Anglorum [= Ecclesiastical History of the English People]) の古英語訳の1節です.原文は,hellog の「#5444. 古英語の原文を読む --- 597年,イングランドでキリスト教の布教が始まる」 ([2024-03-23-1]) に掲載していますので,そちらをご覧になりながらお聴きください.
著者の Bede については,heldio 「#1029. 尊師ベーダ --- The Venerable Bede」にて解説していますので,そちらもお聴きください.
今回は,古英語の動詞屈折の話題,とりわけ過去形や仮定法の話題に触れる機会が多くありました.また,定冠詞 the に相当する語の屈折についても議論しました.事後に出演者の1人「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)が,ご自身の note 上で復習となる記事「ゼロから学ぶ はじめての古英語(#6 生放送3回目)」を公開されているので,そちらも合わせてご参照ください.
これまでの「はじめての古英語」シリーズ回を一覧しておきます.
(1) 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」
(2) 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」
(3) 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」
(4) 「#1030. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む」
(5) 「#1057. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (2)」
(6) 「#1078. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (3)」
目下,次回 Part 7 に向けて3人とも鋭意準備中です.
1週間前のことになりますが,5月3日午後,福島から仙台へ向かう東北本線普通列車の車中より,小河舜先生(上智大学)とともに,初の「道中千本ノック」を Voicy heldio の生放送でお届けしました.GW中にもかかわらず乗客の少ない車両の4人掛けの席より,陸奥の車窓風景を眺めながらの配信でした.各駅停車のアナウンスが入り込む等,普段の大学の研究室や教室で収録する千本ノックとは異なる風情と旅情があります.その様子は翌朝の heldio 通常配信回で「#1069. 千本ノック(生放送) with 小河舜さん --- 陸奥四人旅 その2」としてお届けしました.
先日,大学生より寄せてもらった素朴な疑問より,10件を取り上げています.以下に本編(第2チャプター)の分秒を挙げておきます.お時間のあるときにお聴きいただければ.
(1) 02:25 --- 接頭辞には意味があると聞いたことがあります.例えば,ex- や in- などです.しかし experience など接頭辞の ex- に含意される「外に」という意味が含まれていなさそうな単語もあるのはなぜでしょうか?
(2) 07:25 --- デモで使う看板などはなぜ全て大文字で書くのか?
(3) 09:25 --- イギリス人はよく英語を誇りに思っているようですが,上流階級はフランス語由来の単語を好んで使うのはなぜですか?
(4) 11:50 --- is not, are not などは何故 ain't と省略されるのか?
(5) 15:21 --- 英語が SVO という語順をとるのはなぜ? なぜ日本語と違って結論が先にくるのか?
(6) 18:44 --- 語の省略に ' (アポストロフィ)が使われるのはなぜ?
(7) 22:16 --- A, B, C... を alphabet というのはなぜ?
(8) 23:22 --- 「パイレーツオブカリビアン」の原題は Pirates of THE Caribbean であるが,なぜ日本語版タイトルでは定冠詞が欠落するのか?
(9) 25:50 --- as の用法が多すぎるのはなぜか?
(10) 29:40 --- 英語語彙は豊富な借用が特徴の一つと聞きますが,助動詞にもラテン語・フランス語など他言語から借用されたものはありますか? また,助動詞のなかにも(本来語・仏・羅希の三層構造のような)formal --- informal の序列は認められますか?
前回の小河舜さんとの千本ノックもたいへん好評でした.そちらは「#5475. 久しぶりの千本ノック収録を公開しています」 ([2024-04-23-1]) よりアクセスできますので,ぜひお聴きください.
木曜日の記事「#5484. heldio/helwa リスナーの皆さんの「hel活」をご紹介」 ([2024-05-02-1]) でお知らせした通り,英語史の学びを推す方々による「hel活」 (helkatsu) が徐々に勢いを増し,広がってきています.
このタイミングで,プロの英語史研究者がhel活をグイグイ引っ張っていくようなことになれば,大きな効果が期待されます.そのような研究者のお一方が,hellog で火曜日に紹介した「#5482. 「世界の英語 その多様性と拡大の歴史」 --- 寺澤盾先生のオンライン講座のご案内」 ([2024-04-30-1]) の寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)であり,水曜日に「#5483. 英語史研究者,矢冨弘さんをお招きしての<言語学バル>」 ([2024-05-01-1]) でご紹介した矢冨弘先生(熊本学園大学)です.
今週は,さらにもう1人の英語史研究者がhel活に本腰を入れてきました.khelf や heldio の活動でもすでに久しくお世話になっている菊地翔太先生(専修大学)です.初期近代英語期の文法を中心とし,英語史を幅広くカバーする研究者です.こちらの note 上で発信を開始されました.まずは菊地先生による自己紹介をお読みいただければ.
菊地先生といえば,khelf(慶應英語史フォーラム)の発行する『英語史新聞』の第4号と第5号の「英語史ラウンジ」にて,インタビュー記事を公開しました.また,同インタビューの完全版は khelf HP のこちらのページでお読みいただけます.
また,heldio/helwa リスナーの Grace さんによる note 記事より「~heldioガイド~【K-2】菊地翔太先生」でも,菊地先生がフィーチャーされています.
菊地先生には khelf とともに「helフェス」 (helfest) を開催していただいたり,Voicy heldio/helwa でもお世話になっています.以下に,heldio/helwa の関連配信回を列挙してみます.
・ 「#515. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&堀田隆一) 第2弾」
・ 「#550. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」
・ 「#603. 菊地翔太先生ご提案の通時的パラダイムがズルい件について」
・ 「#747. 金曜夜のコトバ対談(生放送) --- 「khelf 声の祭典」第1弾」
・ 「【英語史の輪 #5】金曜夜のコトバ対談(生放送)の2次会」
・ 「#780. なぜ英語史研究者はその時代を選んだのか? --- 福元広二先生と菊地翔太先生との鼎談」
・ 「#967. 菊地翔太ゼミでの「英語史コンテンツマラソン」企画,ありがとう!」
・ 「#1010. 英語史クイズ in hel フェス(生放送のアーカイヴ)」
・ 「#642. heldio 初の「英語史クイズ」」
菊地先生,hel活の盛り上げありがとうございます! そして,これからもよろしくお願いします!
新年度より,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を月に一度のペースで開講しています.
第1回「語源辞典でたどる英語史」は,4月27日(土)の 17:30--19:00 に開講され,おかげさまで盛況のうちに終了しました.こちらの回については,本ブログでも「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」 ([2024-04-01-1]) および「#5481. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の第1回が終了しました」 ([2024-04-29-1]) で事前・事後に取り上げました.
第2回「英語語彙の歴史を概観する」は2週間後の5月18日(土)の 17:30--1900 に開講される予定です.対面・オンラインによるハイブリッド開講で,「見逃し配信」サービスもご利用可能です.第1回を逃した方も問題なくご参加いただけます.ご関心のある方は,ぜひこちらよりお申し込みください.
第2回は,シリーズ全体のイントロとして,1500年以上にわたる英語語彙史を俯瞰してみます.今後のシリーズ展開に向けて,英語の語彙の変遷について大きな見通しを得ることが目標です.英語語彙史を概観していく過程で,英語史の各時代からいくつかのキーワードをピックアップして『英語語源辞典』(研究社,1997年)をはじめとする各種の英語語源辞典を参照します.同辞典をお持ちの方は,ぜひお手元にご用意しつつ,講座にご参加ください.どんな単語が取り上げられるかを予想しながら講座に臨んでいただければ.
(以下,後記:2024/05/14(Tue))
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
先日公開された「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」)の最新回は,「綴字と発音の乖離」 (spelling_pronunciation_gap) をめぐる素朴な疑問を取り上げています.「#227. Who の発音はなぜへんなのか? --- 点々と h とアクセント記号は同じ役割?」です.
この話題を取り上げるきっかけとなったのは,2ヶ月ほど前に khelf(慶應英語史フォーラム)より発行された『英語史新聞』第8号の第4面内で示した「変なアルファベット表」です.
「変なアルファベット表」の作成企画については,「#5434. 「変なアルファベット表」完成」 ([2024-03-13-1]) で取りまとめた通りですが,そのなかで <w> で始まる単語として注目されたのが who でした.なぜこの綴字で /huː/ と読むのでしょうか.語頭の子音字連続で /h/ に対応するのも妙ですし,母音字の /uː/ の対応も気になります.
動画では問題の表面をなでるほどで説明が終わってしまいましたが,関連する論点や問題はたくさんあります.以下に関連する議論へのリンクを張っておきますので,ご関心のある方はぜひ理解を深めてみてください.
[ hellog ]
・ 「#1783. whole の <w>」 ([2014-03-15-1])
・ 「#1795. 方言に生き残る wh の発音」 ([2014-03-27-1])
・ 「#2423. digraph の問題 (1)」 ([2015-12-15-1])
・ 「#2424. digraph の問題 (2)」 ([2015-12-16-1])
・ 「#3630. なぜ who はこの綴字でこの発音なのか?」 ([2019-04-05-1])
・ 「#3938. 語頭における母音の前の h ばかりが問題視され,子音の前の h は問題にもされなかった」 ([2020-02-07-1])
[ heldio ]
・ heldio 「#75. what は「ワット」か「ホワット」か?」
・ heldio 「#253. なぜ who はこの綴字で「フー」と読むのか?」
本ブログの姉妹版・音声版と位置づけている Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,リスナーの皆さんに,英語史をお茶の間に広げる活動「hel活」 (helkatsu) へのご協力を呼びかけています.昨今,とりわけ新年度に入ってからは,私自身のhel活を応援していただくにとどまらず,リスナーさん自身が独自のhel活を展開するという動きが出てきまして,嬉しいやら驚くやら.
3週間ほど前に hellog 「#5461. この4月,皆さんの「hel活」がスゴいことになっています」 ([2024-04-09-1]) および heldio 「#1044. リスナーさんの著しいhel活をご紹介」で取り上げましたが,5月になりましたので,その後の展開も含め改めてご紹介します.いずれのリスナーさんも,主に note 上でhel活を発信されています.ぜひ各々をフォローしていただければ.
[ Grace さん ]
・ note 「Voicy で英語の語源が身につくラジオ (heldio) を聴き,言葉についてあれこれ考えることを日課としています」にて強力なhel活を展開しています.A の記事から始め,アルファベットの各文字と関連付けた記事を執筆されています.
・ 「「英語史」をインストールして日常に彩りを加えよう!」
・ 「~heldioガイド~【A】秋元実治先生」
・ 「~heldioガイド~【B】Baugh and Cable 読書会」
・ 「~heldioガイド~【C】コメント欄,コメント返し」
・ 「~heldioガイド~【D】dictionary のお話し」
・ 「~heldioガイド~【E】英語史新聞,英語史コンテンツ」
・ 「~heldioガイド~【F】福元広二先生」
・ 「~heldioガイド~【G】五所万実先生」
・ 「~heldioガイド~【H】hel活」
・ 「~heldioガイド~【I】家入葉子先生」
・ 「~heldioガイド~【J】Jun Terasawa(寺澤盾)先生」
・ 「~heldioガイド~【K-1】唐澤一友先生」
・ 「~heldioガイド~【K-2】菊地翔太先生」
・ 「~heldioガイド~【L】リスナーコミュニティ」
[ lacolaco さん ]
・ note 「英語語源辞典通読ノート」.『英語語源辞典』を A から読み,おもしろい項目のみを抜き出してコメントしていくという,たいへん勉強になるシリーズ記事です.
・ 「英語語源辞典通読ノート A (advance-afraid)」
・ 「英語語源辞典通読ノート A (age-aisle)」
<間にたくさんあるので中略>
・ 「英語語源辞典通読ノート A (arm-artificial)」
・ 「英語語源辞典通読ノート A (as-assemble)」
[ り~みん さん ]
・ note 「工学と言語学との狭間にハマってみた」を始められています.とりわけ「英語の語源で身につく技術用語」シリーズに要注目.
・ 「Authencication vs. Authorization」
・ 「Binding, Assignment & Substitution」
・ 「Certificate vs. Credentials」
[ Lilimi さん ]
・ 4月半ばよりこちらの note にてhel活を始められています.
・ 「古英語を音読しよう~helwa 合宿 in 長崎」
・ 「helwa 合宿 in 長崎~自己紹介」
・ 「helwa 合宿 in 長崎~研究発表「変な音素配列たち」」
・ 「helwa 合宿 in 長崎 プロローグ」
・ 「helwa 合宿 in 長崎 第1章 午前の部 umisio さんの研究発表」
・ 「helwa 合宿 in 長崎 第2章 自己紹介」
・ 「helwa 合宿 in 長崎 第3章 お昼休みと付近散策」
・ 「helwa 合宿 in 長崎 第4章 Lilimi の研究発表」
・ 「helwa 合宿 in 長崎 第5章 思いつきから生まれた大ヒット企画「マイ盲点」
[ umisio さん ]
・ note 「heldio の風に乗って」.主に heldio を聴いて気づいたことをメモやコラムにして投稿されています.手書きのノートも写真で公開されています.
・ 「清書版 helwa オフ会 in 長崎 リスナー研究発表「古英語期における fresh の意味が「塩気のない」だったのはなぜ?」」
・ 「英語史の輪 #120「umisio による fresh の語源研究発表長崎オフ会/helwa 合宿より生放送」のまとめ」
・ 「コトバのマイ盲点シリーズ~それは長崎オフ会からはじまった~ #1049 関連」
・ 「オーディエンスデザインとは? heldio #1062 with 3Ms 特に北澤茉奈さん その1」
・ その他の記事も多数あり
ほかにも多くのリスナーの皆さんに,SNSやその他の媒体でhel活にご協力いただいています.たいへん嬉しいことです.ぜひその他の方々も,「#hel活」のハッシュタグをご活用いただくなどして,hel活へのご協力をお願い致します!
上記のリスナーさんは,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) のメンバーでもあります.毎週火・木・土の午後6時に追加的に配信している月次サブスクのチャンネルですが,今晩より5月の回がスタートします.初月無料の試聴サービスもありますので,ご関心のある方は,そちらもご利用いただきつつ,ぜひ英語史仲間,hel活仲間になっていただければ.明日以降,heldio/helwa でおもしろいシリーズが配信されることになるかと思いますので,この機会に helwa へお入りください!
先日4月28日(日)に公開された「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」)の新作動画は,ゲストをお招きしての<言語学バル>でした.「#226. 英語学界のホープ・矢冨弘さん(熊本学園大学)の英語史研究への入り口は? --- 堀田との出会い」です.
動画でも話題となっていますが,矢冨弘さんと私にはいろいろな接点があります.時期は異なりますが,ともにグラスゴー大学に留学し,ともに Jeremy J. Smith 先生に師事しました.注目する英語史上の時代は異なりますが,テーマや方法論については共通の関心をもち,私は常に刺激をいただいています.
hellog, heldio, khelf 活動などでもお世話になっています.矢冨さんの関連する代表的なコンテンツを以下に挙げてみたいと思います.
[ hellog ]
・ 「#5455. 矢冨弘先生との heldio トークと「日英の口の可動域」」 ([2024-04-03-1])
[ heldio ]
・ 「#311. 矢冨弘先生との対談 グラスゴー大学話しを1つ」
・ 「#479. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&堀田隆一) --- Part 14」
・ 「#515. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&堀田隆一) 第2弾」
・ 「#550. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」
・ 「#699. 4月28日に「英語に関する素朴な疑問千本ノック(矢冨&堀田&まさにゃん)」を生放送でお届けしました」
・ 「#799. 「名前プロジェクト」立ち上げ記念収録 with 小河舜さん,矢冨弘さん,五所万実さん」
・ 「#926. 名付ける際はここがポイント【名前プロジェクト企画 #2】(12月11日(月)生放送のアーカイヴ)」
・ 「#1034. 「名前と英語史」 4人で生放送 【名前プロジェクト企画 #3】」
・ 「#1038. do から提起する新しい英語史 --- Ya-DO-me 先生(矢冨弘先生)教えて!」
・ 「#1039. 英語発音は日本語よりも「口の可動域」が広い! 矢冨弘先生のブログ記事より」
[ khelf 関連 ]
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)の「英語史ラウンジ」で矢冨さんに注目 (1)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)の「英語史ラウンジ」で矢冨さんに注目 (1)
その他,矢冨さんはご自身のブログも運営されています.旺盛に hel活 (helkatsu) を展開されている英語史研究者として目が離せません.
YouTube での矢冨さんとの<言語学バル>シリーズは全4回の予定です.今晩6時に配信される第2回もお楽しみに!
2024年度も,いろいろな折に,さまざまな形式で英語史の学びを深めることができます.そのなかでもイチオシが寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)による,NHKカルチャー青山教室のオンライン講座です.講座「世界の英語 その多様性と拡大の歴史」が,来たる5月18日(土) 15:30--17:00 に幕開きとなります(リアルタイムオンライン講義形式で「見逃し配信」もあり).
1年間かけて5回,指定の土曜日の 15:30--17:00 に開講される予定です.予定とラインナップは次の通りです.
・ 第1回:2024年5月18日(土) 「ブリテン諸島における英語変種 (1)」
・ 第2回:2024年7月13日(土) 「ブリテン諸島における英語変種 (2)」
・ 第3回:2024年9月21日(土) 「オセアニアにおける英語変種」
・ 第4回:2024年11月16日(土) 「アジアにおける英語変種」
・ 第5回:2025年1月18日(土) 「アフリカにおける英語変種」
シリーズ全体の趣旨を,HP より引用します.
皆さんの多くがこれまで学んできた英語は,おそらく標準英語(標準アメリカ英語または標準イギリス英語)ではないでしょうか.この講義では,昨年に引き続き,「世界の英語:その多様性と拡大の歴史」というテーマで,世界のさまざまな地域で使用されている多様な英語変種について考察していきます.今年度は,まず,ブリテン諸島で話されているイギリス英語以外の英語変種,具体的にはスコットランド英語,ウェールズ英語,アイルランド英語について,それらの英語変種の背後にある社会文化史もあわせて学んでいきます.その後は,オセアニア,アジア,アフリカなどで話されている英語変種にも着目します.
世界英語 (world_englishes) の話題は私も本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 などで多く取り上げてきましたが,今や英語史の1領域として確立しつつあると言ってよいでしょう.英語史の学び,英語の学び,世界情勢の理解にも役立つ重要なテーマとして,関心を寄せてみてはいかがでしょうか.
以上,(寺澤先生ご本人の許可もいただきつつ)今年度の注目の英語史関連講座をご紹介いたしました.関連して,Voicy heldio/helwa のコアリスナーで,note 上でめざましいhel活 (helkatsu) を展開されている Grace さんも,寺澤先生の同講座を紹介されています.「~heldioガイド~【J】Jun Terasawa(寺澤盾)先生」をご覧いただければ.
一昨日4月27日の 17:30--19:00 に,予定通り朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」をオープンしました.全12回のシリーズとして毎月1回,指定の土曜日の夕方に開講していきます.
シリーズ初回だったこともあると思いますが,一昨日の第1回はたいへん盛況でした.数年来,朝カル講座を開いてきましたが,これまでで最も多くの方々にご参加いただいたように思われます.ハイブリッド形式でしたので,対面で参加された方もいればオンラインで参加された方もいました.講義後の質問タイムでは,多くの有益なご質問やコメントもいただき,ありがとうございました.本日から1週間登録者に開かれる「見逃し配信」にて講義を視聴される方も,多くいらっしゃるかと思います.
第1回は「英語語源辞典を楽しむ」と題して,シリーズ全体のイントロ回となりました.まずシリーズ全体の狙いをお話しした後,寺澤芳雄(編)『英語語源辞典』(研究社,1997年)(= kdee) を紹介しました.次に,ケーススタディとして具体的に (1) male と female の語源,(2) cow と beef の語源を取り上げながら辞典の記述を精読しました.最後は "Every word has its own history." と締めくくりました.
次回は,まだシリーズ全体のイントロ続編という色彩が強いですが,5月18日(土) 17:30--19:00 に「英語語彙の歴史を概観する」と題してお話しする予定です.シリーズ講座ではありますが,各回はそれなりに独立していますし,過去回の復習も適宜含めていきますので,シリーズ途中回からのご参加もまったく問題ありません.ぜひご参加いただければと思います.
今後,様々な英語語源辞典の比較などにも力を入れていきたいと思いますが,中心となるのはやはり『英語語源辞典』(研究社,1997年)です.お手元にご用意していただくと,講座が何倍もおもしろくなるはずです.
シリーズ全体と第1回の予告編として,先日,以下のコンテンツを公表していますので参考まで.
・ hellog 「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」 ([2024-04-01-1])
・ heldio 「#1058. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より月一で始まります」
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,この木・金・土と連日 "3Ms" をお迎えして,賑やかに対談回(単なるおしゃべり?)をお届けしています.ちなみに "3Ms" とは,五所万実さん(目白大学),北澤茉奈さん(杉野服飾大学),尾崎萌子さん(慶應義塾大学大学院生;共立女子大学)のお三方のことです.実は小河舜さん(上智大学)も収録に部分的に同席しています.
とりわけ金・土の配信会は,聞き手ベースの言語学理論というべき Allan Bell による audience_design の導入回となっており,同理論に楽しく入っていくことができます.
(1) 「#1061. 聞き手ベースの言語学 --- 北澤茉奈さんとオーディエンス・デザインを導入します」(2024年4月26日配信)
(2) 「#1062. 21世紀のオーディエンスデザイン with 3Ms & 小河舜さん」(2024年4月27日配信)
同理論については,この hellog でも「#1934. audience design」 ([2014-08-13-1]) で紹介していますし,「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」)でも北澤さんをお招きした回「#84. 新しい時代のオーディエンス・デザイン論・歴史言語学にも導入!---水曜言語学雑談飲み会」で導入しています.そちらもぜひご参照ください.
・ Bell, Allan. "Language Style as Audience Design." Language in Society 13 (1984): 145--204.
*
今年度,白水社の月刊誌『ふらんす』に「英語史で眺めるフランス語」というシリーズタイトルで連載記事を寄稿しています.一昨日『ふらんす』5月号が刊行されました.シリーズ第2回の記事は「なぜ仏英語には似ている単語があるの?」です.今回の記事は以下の小見出しで構成しています.
・ 単語が似ているのにはワケがある
・ 借用の方向に基づく3つのパターン
・ 言語学的な観点に基づく3つのパターン
・ 似ている単語を見つけたときには要注意
仏英語には似ている単語が多く見られます.背景には1066年のノルマン征服とその後の歴史があります.しかし,理由はこれに尽きません.歴史的および言語学的に検討すると,両言語に類似単語が存在する背景には6つのパターンがあるのでス.今回の記事では,具体例を交えつつ,この点を解説しています.
新年度に新しい外国語としてフランス語を学び始めている方も多いかと思います.そのなかには,すでに英語について知識のある方も少なくないはずです.英語とフランス語の学習は,連動させるのが吉です.その上で英語史の知見も連動させると,学び全体に何倍もの相乗効果が生み出されることを強調したいと思います.この観点から,以下の Voicy 配信回もお聴きいただければ.
・ 「#26. 英語語彙の1/3はフランス語!」
・ 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」
・ 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」
シリーズの初回記事については,hellog 記事「#5449. 月刊『ふらんす』で英語史連載が始まりました」 ([2024-03-28-1]) で取り上げていますので,そちらもご覧ください.
(以下,後記:2024/05/08(Wed))
5月8日に heldio で「#1073. 『ふらんす』5月号で「なぜ仏英語には似ている単語があるの?」を書いています」を配信しました.
・ 堀田 隆一 「英語史で眺めるフランス語 第2回 なぜ仏英語には似ている単語があるの?」『ふらんす』2024年5月号,白水社,2024年4月23日.62--63頁.
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