半年ほど前の2月26日に YouTube にて「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を開設し,毎週水・日曜日の午後6時に新作を配信してきました.本ブログの読者の皆さんの中にも,視聴していただいている方がいると思います.ここまで応援ありがとうございます(cf. 「#4689. YouTube で「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を開設しました」 ([2022-02-27-1])).
このたび記念すべき第50回に達しましたので,今回と次回は通常回とは異なり,2人でのダラダラおしゃべり飲み会をそのまま配信するということをやってみます.さほど英語学・言語学的な中身にはなっていない雑談回ですので,夏休みのひとときという趣旨でゆるリとご覧ください.「閲覧注意!ただ飲んでしゃべってます.50回記念雑談回<前編>」です.
最後に登場してくる「まさにゃん」は,日本初の古英語系 YouTube チャンネルである「まさにゃんチャンネル」を配信しています.とりわけ「毎日古英語」シリーズは,古英語初学者向けの導入シリーズとなっていますので,どうぞご覧ください.とりわけ昨日アップされた新作動画「毎日古英語 【中間テスト!】」は,まさにゃん渾身の(?)企画です.ぜひ受験してみてください(←私はすでに受験しました).遊び心がありながらも真面目なチャンネルです.
まさにゃんは khelf(慶應英語史フォーラム)の会長でもあり,本ブログおよび Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にもたびたび登場しています.以下をご訪問ください.
・ hellog 「#4005. オンラインの「まさにゃんチャンネル」 --- 英語史の観点から英単語を学ぶ」 ([2020-04-14-1])
・ hellog 「#4566. heldio で古英語期と古英語を手短かに紹介しています(10分×2回)」 ([2021-10-27-1])
・ hellog 「#4740. 古英語入門のためのオンラインリソース」 ([2022-04-19-1])
・ heldio 「#149. 対談 「毎日古英語」のまさにゃんと,古英語ってどんな言語?」(2021年10月27日)
・ heldio 「#307. khelf 会長「まさにゃん」による『英語史新聞』の紹介」(2022年4月3日)
・ heldio 「#308. khelf 会長「まさにゃん」による「英語史コンテンツ50」の紹介」(2022年4月4日)
・ heldio 「#309. khelf 会長「まさにゃん」による「第一回古英語模試」」(2022年4月5日)
・ heldio 「#437. まさにゃんとの対談 ― メガフェップスとは何なの?」 (2022年8月11日)
今後も「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」では,英語学・言語学が身近に感じられてくるような話題をお届けしていきます.引き続きよろしくお願いいたします.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より,即席カテゴリー別にお薦め放送回をピックアップしてみました.お盆休み中の日曜日のお暇つぶしに,どうぞお聴きください.英語史の魅力にハマるかもしれません.ちなみに heldio 全放送の一覧はこちらよりどうぞ.
[ 人気回 ]
・ 「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」 (2021/06/02)
・ 「#406. 常識は非常識,非常識は常識 ― 私の海外体験の最大の成果」 (2022/07/11)
・ 「#299. 曜日名の語源」 (2022/03/26)
・ 「#321. 古英語をちょっとだけ音読 マタイ伝「岩の上に家を建てる」寓話より」 (2022/04/17)
・ 「#326. どうして古英語の発音がわかるのですか?」 (2022/04/22)
・ 「#271. ウクライナ(語)について」 (2022/02/26)
・ 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」 (2022/04/23)
・ 「#343. 前置詞とは何?なぜこんなにいろいろあるの?」 (2022/05/09)
・ 「#358. 英語のスペリングを研究しているのにスペリングが下手になってきまして」 (2022/05/24)
・ 「#300. なぜ Wednesday には読まない d があるの?」 (2022/03/27)
[ 素朴な疑問にひたすら答える「千本ノック」シリーズ ]
・ 「#341. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック」 (2022/05/07)
・ 「#342. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- 続き」 (2022/05/08)
・ 「#350. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 3」 (2022/05/16)
・ 「#351. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 4」 (2022/05/17)
・ 「#360. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 5」 (2022/05/26)
・ 「#369. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 6」 (2022/06/04)
・ 「#390. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 7」 (2022/06/25)
・ 「#391. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 8」 (2022/06/26)
・ 「#398. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 9」 (2022/07/03)
・ 「#415. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 10」 (2022/07/20)
・ 「#416. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 11」 (2022/07/21)
[ 対談シリーズ ]
・ 「#108. 『英語の思考法』(ちくま新書)の著者,井上逸兵先生との対談」 (2021/09/17)
・ 「#140. 対談 英語史の入門書」 (2021/10/18)
・ 「#141. 対談 英語史×国際英語」 (2021/10/19)
・ 「#144. 対談 井上逸兵先生と「英語新書ブーム」を語る」 (2021/10/22)
・ 「#149. 対談 「毎日古英語」のまさにゃんと,古英語ってどんな言語?」 (2021/10/27)
・ 「#173. 立命館大学,岡本広毅先生との対談:国際英語とは何か?」 (2021/11/20)
・ 「#179. 和田忍先生との対談:ヴァイキングの活動と英語文献作成の関係」 (2021/11/26)
・ 「#180. 和田忍先生との対談2:ヴァイキングと英語史」 (2021/11/27)
・ 「#306. 市川誠先生との対談 長万部はイングランドか!?」 (2022/04/02)
・ 「#310. 山本史歩子先生との対談 英語教員を目指す大学生への英語史のすすめ」 (2022/04/06)
・ 「#311. 矢冨弘先生との対談 グラスゴー大学話しを1つ」 (2022/04/07)
・ 「#312. 古田直肇先生との対談 標準英語幻想について語る」 (2022/04/08)
・ 「#313. 泉類尚貴先生との対談 手に取って欲しい原書の英語史概説書3冊」 (2022/04/09)
・ 「#314. 唐澤一友先生との対談 今なぜ世界英語への関心が高まっているのか?」 (2022/04/09)
・ 「#315. 和田忍先生との対談 Baugh and Cable の英語史概説書を語る」 (2022/04/10)
・ 「#316. 井上逸兵先生との対談 YouTube を始めて1月半になりますが」 (2022/04/12)
・ 「#320. 田辺春美先生との対談 かつても英語史のラジオ番組があった!?」 (2022/04/16)
・ 「#323. 中山匡美先生との対談 singular "they" は19世紀でも普通に使われていた!」 (2022/04/19)
・ 「#349. 市川誠先生との対談 「ウスター」と「カステラ」,「レスター」と「リア王」」 (2022/05/15)
・ 「#386. 岡本広毅先生との雑談:サイモン・ホロビンの英語史本について語る」 (2022/06/21)
・ 「#404. 編者鼎談『言語の標準化を考える ― 日中英独仏「対照言語史」の試み』」 (2022/07/09)
・ 「#423. 寺澤盾先生との対談 英語の標準化の歴史と未来を考える」 (2022/07/28)
・ 「#427. 編者鼎談第2弾『言語の標準化を考える』 ― 60分生放送を収録しました」 (2022/08/01)
・ 「#437. まさにゃんとの対談 ― メガフェップスとは何なの?」 (2022/08/11)
[ Voicy のトークテーマに参加した放送(たいてい普段とは異なるテイストの回となっています) ]
・ 「#358. 英語のスペリングを研究しているのにスペリングが下手になってきまして」 (2022/05/24)
・ 「#366. 才能を引き出すための "education" 「教育」の本来の意味は?」 (2022/06/01)
・ 「#367. 私の息抜き・気晴らし (disport) は運動 (sport) です ― これも2重語」 (2022/06/02)
・ 「#372. 環境にいいこと "eco-friendly" ― 家庭から始めましょうかね」 (2022/06/07)
・ 「#373. みんなのお金の話≒みんなの言葉の話!?」 (2022/06/08)
・ 「#388. 暗号技術と言語学」 (2022/06/23)
・ 「#389. 2022年上半期の英語史活動(hel活)」 (2022/06/24)
・ 「#392. "familiar stranger" は撞着語法 (oxymoron)」 (2022/06/27)
・ 「#394. 小球 (ballot) を投票して大気球 (balloon) へ」 (2022/06/29)
・ 「#395. NFT「非代替性トークン」の原義は「正式には使えないお印」」 (2022/06/30)
・ 「#399. 英語学習は「毒を食わば皿まで」で行こう!」 (2022/07/04)
・ 「#406. 常識は非常識,非常識は常識 ― 私の海外体験の最大の成果」 (2022/07/11)
・ 「#414. 声でも英語史の話題を広く長くお届けしたい ー 私が Voicy を始めた理由」 (2022/07/19)
・ 「#430. nomad 「遊牧民」の原義」 (2022/08/04)
・ 「#431. 「hellog~英語史ブログ」を辞めることができません!」 (2022/08/05)
[ 近著『言語の標準化を考える』関連 ]
・ 「#361. 『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』の読みどころ」 (2022/05/27)
・ 「#363. 『言語の標準化を考える』より英語標準化の2本の論考を紹介します」 (2022/05/29)
・ 「#397. 言葉のスタンダードとは何か? --- 『言語の標準化を考える』へのコメントをお寄せください!」 (2022/07/02)
・ 「#404. 編者鼎談『言語の標準化を考える ― 日中英独仏「対照言語史」の試み』」 (2022/07/09)
・ 「#423. 寺澤盾先生との対談 英語の標準化の歴史と未来を考える」 (2022/07/28)
・ 「#426. 本日午前11:00より「言語の標準化」鼎談を生放送 ― 標準化は実は身近な話題です!」 (2022/07/31)
・ 「#427. 編者鼎談第2弾『言語の標準化を考える』 ― 60分生放送を収録しました」 (2022/08/01)
[ 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」と引っかけた話題 ]
・ 「#272. 井上逸兵先生と YouTube を開始,そして二重否定の話し」 (2022/02/27)
・ 「#316. 井上逸兵先生との対談 YouTube を始めて1月半になりますが」 (2022/04/12)
・ 「#364. YouTube での「go/went 合い言葉説」への反応を受けまして」 (2022/05/30)
[ 英語史を学ぼうと思ったら ]
・ 「#112. 英語史って何のため?」 (2021/09/21)
・ 「#139. 英語史の世界にようこそ」 (2021/10/17)
・ 「#140. 対談 英語史の入門書」 (2021/10/18)
・ 「#303. 私の英語史関連の活動 2021年度から2022年度へ」 (2022/03/30)
・ 「#313. 泉類尚貴先生との対談 手に取って欲しい原書の英語史概説書3冊」 (2022/04/09)
・ 「#315. 和田忍先生との対談 Baugh and Cable の英語史概説書を語る」 (2022/04/10)
・ 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」 (2022/04/23)
・ 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」 (2022/04/25)
ほか「#4806. 2022年上半期によく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-06-24-1]) の人気放送一覧もどうぞ.
heldio のチャンネルでは,皆さんからのご感想,ご意見,ご質問をお寄せいただいています.チャンネルで取り上げてほしいトピックなども歓迎です,Voicy のコメント機能,あるいはチャンネルプロフィールにリンクを張っている専用フォームを通じて,お寄せください.
Voicy 放送は以下からダウンロードできるアプリ(無料)を使うとより快適に聴取できます.また,フォローしていただきますと,毎朝,更新通知が届くようになります.ぜひ Voicy アプリをご利用ください.hellog も heldio も引き続きよろしくお願いいたします.
・ 高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.
8月3日に更新された YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回,第46弾は「Macy's は -'s なのに Harrods にはアポストロフィがないわけ」です.' (apostrophe) の使用をめぐる共時的・通時的混乱に焦点を当てました.
アポストロフィつながりで緩く関連する話題として,今朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では「#432. なぜ短縮形 that's はあるのに *this's はないの?」という素朴な疑問を取り上げました.こちらもお聴きください.
さらに,所有格の 's に関するとりとめのない話題を,『徹底例解ロイヤル英文法』を参照しつつ,ここに追加したいと思います.s を付けずにアポストロフィだけを単語の末尾に付けて所有格を表わすケースがいくつかあるのです.1つは複数形の -s がすでに付いているケースです.a girls' school や birds' nests のような例です.
次に,複数形ではなくとも綴字上 -s で終わる単語(典型的には固有名詞)を所有格にする場合には, -'s ではなく -' のみを付けることが多いです.Socrates' death, Achilles' tendon, Moses' prophecy のような例です.Columbus' discovery, Dickens' novels, Venus' flower basket なども類例なのですが,こちらは -'s ヴァージョンも可能ということで,ややこしい.
また,for ---'s sake のフレーズでは,当該の名詞が [s] の発音で終わっているときには -'s の代わりに -' が好まれます.for convenience' sake, for goodness' sake, for appearance' sake のごとくです.
アポストロフィの些事というよりも混乱の極みといったほうがよいですね.アポストロフィについては以下の記事もご参照ください.
・ 「#198. its の起源」 ([2009-11-11-1])
・ 「#3889. ネイティブがよく間違えるスペリング」 ([2019-12-20-1])
・ 「#582. apostrophe」 ([2010-11-30-1])
・ 「#3869. ヨーロッパ諸言語が初期近代英語の書き言葉に及ぼした影響」 ([2019-11-30-1])
・ 「#1772. greengrocer's apostrophe」 ([2014-03-04-1])
・ 「#3892. greengrocer's apostrophe (2)」 ([2019-12-23-1])
・ 「#3656. kings' のような複数所有格のアポストロフィの後には何が省略されているのですか?」 ([2019-05-01-1])
・ 「#3661. 複数所有格のアポストロフィの後に何かが省略されているかのように感じるのは自然」 ([2019-05-06-1])
・ 「#4755. アポストロフィはいずれ使われなくなる?」 ([2022-05-04-1])
・ 綿貫 陽(改訂・著);宮川幸久, 須貝猛敏, 高松尚弘(共著) 『徹底例解ロイヤル英文法』 旺文社,2000年.
「2」を表わすラテン語に由来する接頭辞 bi- を付した標題の単語は,両義的でややこしい.bi- が week に係ると解釈するならば「2週間(に1度)」だが,weekly に係るとするならば「(1週間に)2度」となる.同じ両義性の問題は bimonthly, biyearly, biannual などにも当てはまる.
このややこしい単語の問題については,私の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーの方に指摘していただいた(ありがとうございます!).昨日 Voicy で配信した「#429. イギリス英語 fortnight 「2週間」の語誌」でも触れているので,ぜひそちらもお聞きください.
biweekly, bimonthly などの語の両義性については,語法辞書でも必ず指摘されており,どうやら悪名高い問題のようだ.3点ほど引用してみよう.
bi-. This prefix, which was first used in contexts of time (biweekly, bimonthly, biyearly, etc.) in the 19C., is a cause of endless confusion. Each compound can mean 'occurring or continuing for two ---', 'appearing every two ---', or 'occurring twice a ---'. Because ambiguity is usually present, and cannot be resolved by the devising of rules, it is always better to use unambiguous equivalents, e.g. twice a week, twice-weekly; every two weeks, fortnightly; twice-yearly; every two years; etc. (Fowler's Modern English Usage)
bimonthly means either 'twice a month' or 'every two months'. Similarly, biweekly is either 'twice a week' or 'every fortnight'. It is therefore probably safer to spell it out as 'twice a month', 'fortnightly', etc. Semi-monthly and semi-weekly can only mean 'twice a month/week'. (Usage and Abusage)
bimonthly, semimonthly, biannual, biennial 多くの評論家や文法家が bimonthly を「2か月に1回の」の意味で,semimonthly を「月に2回の」の意味で用いるべきだと主張している.例えば,Morris & Morris (1985) は,調査をした166名のうち書き言葉では92%が,話し言葉で91%が,これらの2つの語を同じように使うことに反対しているとしている.しかし,実際には semimonthly という語はあまり使われず,bimonthly がどちらの意味にも使われる傾向がある(semiweekly, biweekly についても同じ): A bimonthly magazine is issued six times a year.---SFID (隔月間の雑誌は年6回発行される)/The bimonthly meetings are on the first and third Wednesdays of each month.---Ibid. (月2回の会合は,各月の第1と第3の水曜日に行なわれる).ちなみに Peters (2004) では,semimonthly を用いるべきだとする.
なお,biannual は「年2回の」の意味で,「2年に1回の」の意味では biennial を用いるが [Wood-Flavell-Flavell (1990)],意味が混同されることがあり,biannnual が biennial の意で用いられることがある [Peters (2004)].この混乱を避けるために,WDEU では biannual の代わりに semiannual を用いることをすすめている.『現代英語語法辞典』
語法辞書を参照しているうちに,参照前よりもずっと混乱してきた.実に迷惑な単語だなぁ.
関連して,接頭辞 bi- については「#538. monokini と trikini」 ([2010-10-17-1]) も参照.
・ Burchfield, Robert, ed. Fowler's Modern English Usage. Rev. 3rd ed. Oxford: OUP, 1998.
・ Partridge, Eric. Usage and Abusage. 3rd ed. Rev. Janet Whitcut. London: Penguin Books, 1999.
・ 小西 友七 編 『現代英語語法辞典』 三省堂,2006年.
一昨日7月31日(日)の11:00~12:00に,表記の通り Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,近刊書『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』(大修館,2022年)の編者3名による対談生放送をお届けしました.
事前にリスナーの方々よりいただいていた質問にも答える形で議論を展開しましたが,日曜日午前中にもかかわらず全体として48名の方々に生で参加いただきました.ありがとうございます.
録音したものを,鼎談の翌朝に「#427. 編者鼎談第2弾『言語の標準化を考える』 ― 60分生放送を収録しました」として昨日公開しました.対照言語史的な風味の詰まった議論となりました.60分の長丁場ですので,ぜひお時間のあるときにお聴きいただければ幸いです.
生放送の司会としての緊張感はありましたが,実のところたいへん議論を楽しめましたし,勉強になりました.今回の対談を通じて「言語の標準化」および「対照言語史」という話題のおもしろさが皆様に伝われば,と思っています.
本ブログを講読している皆様も,ぜひ上記をお聴きいただいた上で,ご意見やご質問がありましたら,Voicy のコメント機能などを経由してコメントいただければ幸いです.
先日の7月28日(木)には「#4840. 「寺澤盾先生との対談 英語の標準化の歴史と未来を考える」in Voicy」 ([2022-07-28-1]) として,本書の執筆者の1人でもある寺澤盾先生とも対談しています.こちらの音声もぜひお聴きください.
その他,この hellog でも本書に関連する記事を多く書いてきました.まとめてこちらからご覧いただければと思います.
目下,最も広く読まれている英語史の本といえば,寺澤盾先生の『英語の歴史―過去から未来への物語 』(中公新書)かと思います.
このたび,寺澤先生(東京大学名誉教授,青山学院大学教授)に,この Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にご出演いただけることになりました! その実といえば,昨日,私が青山学院大学の寺澤研究室に押しかけて,お話をうかがったという次第にすぎないのですが(^^;; 1時間近くにわたる長編となりましたので,時間のあるときにゆっくりお聴きください! 収録中に青学の振鈴(賛美歌ベース)なども入り,貴重な音源となっています(笑).
昨日の記事「#4839. 英語標準化の様相は1900年を境に変わった」 ([2022-07-27-1]) で紹介したとおり,寺澤先生には『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』(大修館,2022年)の第7章に寄稿していただきました.
今回の Voicy 対談も,前半はこの第7章に基づきます.ただし,後半は本書で触れていない発展編の議論となっています.日本人にとって,これからの英語学習・教育はどうあるべきか,21世紀の英語の標準化の目指すべき方向は何なのかについて,寺澤先生のご意見を伺いました.
収録の前後を合わせて数時間,久しぶりに寺澤先生とおしゃべりさせていただきましたが,おおいにインスピレーションを受けて帰ってきました.本当に楽しかったです.寺澤先生,お付き合いいただきまして,ありがとうございました!
・ 寺澤 盾 『英語の歴史:過去から未来への物語』 中公新書,2008年.
一昨日,YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の第38弾が公開されました.「え?それも外来語? 英語ネイティヴたちも(たぶん)知らない借用語たち」です.
今回は古ノルド語 (Old Norse) という言語に注目しましたが,一般にはあまり知られていないかと思います.知っている方は,おそらく英語史を通じて知ったというケースが多いのではないでしょうか.英語史において古ノルド語は実は重要キャラです.歴史上,英語に多大な影響を及ぼしてきた言語であり,私見では英語史上もっとも重要な言語です.
そもそも古ノルド語という言語は何なのでしょうか.現在の北欧諸語(デンマーク語,スウェーデン語,ノルウェー語,アイスランド語など)の祖先です.今から千年ほど前に北欧のヴァイキングたちが話していた言語とイメージしてください.北ゲルマン語派に属し,西ゲルマン語派に属する英語とは,それなりに近い関係にあります.
古ノルド語を母語とする北欧のヴァイキングたちは,8世紀半ばから11世紀にかけてブリテン島を侵略しました.彼らはやがてイングランド北東部に定住し,先住の英語話者と深く交わりました.そのとき,言語的にも深く交わることになりました.結果として,英語に古ノルド語の要素が大量に流入することになったのです.
YouTube では,take, get, give, want, die, egg, bread, though, both,they など,英語語彙の核心に入り込んだ古ノルド語由来の単語に注目しました.しかし,古ノルド語の言語的影響の範囲は,語彙にとどまらず,語法や文法にまで及んでいるのです.英語史上きわめて希有なことです.
この hellog では,古ノルド語と英語の言語接触に関する話題は頻繁に取り上げてきました.関心をもった方は old_norse の記事群をお読みください.また,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でも様々に話してきました.以下,とりわけ重要な記事・放送にリンクを張っておきますので,ぜひご訪問ください.
[ hellog 記事 ]
・ 「#3988. 講座「英語の歴史と語源」の第6回「ヴァイキングの侵攻」を終えました」 ([2020-03-28-1])
・ 「#2625. 古ノルド語からの借用語の日常性」 ([2016-07-04-1])
・ 「#340. 古ノルド語が英語に与えた影響の Jespersen 評」 ([2010-04-02-1])
・ 「#2693. 古ノルド語借用語の統計」 ([2016-09-10-1])
・ 「#3982. 古ノルド語借用語の音韻的特徴」 ([2020-03-22-1])
・ 「#170. guest と host」 ([2009-10-14-1])
・ 「#827. she の語源説」 ([2011-08-02-1])
・ 「#3999. want の英語史 --- 語源と意味変化」 ([2020-04-08-1])
・ 「#4000. want の英語史 --- 意味変化と語義蓄積」 ([2020-04-09-1])
・ 「#818. イングランドに残る古ノルド語地名」 ([2011-07-24-1])
・ 「#1938. 連結形 -by による地名形成は古ノルド語のものか?」 ([2014-08-17-1])
・ 「#1937. 連結形 -son による父称は古ノルド語由来」 ([2014-08-16-1])
・ 「#1253. 古ノルド語の影響があり得る言語項目」 ([2012-10-01-1])
・ 「#3987. 古ノルド語の影響があり得る言語項目 (2)」 ([2020-03-27-1])
・ 「#1167. 言語接触は平時ではなく戦時にこそ激しい」 ([2012-07-07-1])
・ 「#1170. 古ノルド語との言語接触と屈折の衰退」 ([2012-07-10-1])
・ 「#1179. 古ノルド語との接触と「弱い絆」」 ([2012-07-19-1])
・ 「#1182. 古ノルド語との言語接触はたいした事件ではない?」 ([2012-07-22-1])
・ 「#1183. 古ノルド語の影響の正当な評価を目指して」 ([2012-07-23-1])
・ 「#3986. 古英語と古ノルド語の接触の状況は多様で複雑だった」 ([2020-03-26-1])
・ 「#4454. 英語とイングランドはヴァイキングに2度襲われた」 ([2021-07-07-1])
・ 「#1149. The Aldbrough Sundial」 ([2012-06-19-1])
・ 「#3001. なぜ古英語は古ノルド語に置換されなかったのか?」 ([2017-07-15-1])
・ 「#3972. 古英語と古ノルド語の接触の結果は koineisation か?」 ([2020-03-12-1])
・ 「#2591. 古ノルド語はいつまでイングランドで使われていたか」 ([2016-05-31-1])
・ 「#3969. ラテン語,古ノルド語,ケルト語,フランス語が英語に及ぼした影響を比較する」 ([2020-03-09-1])
・ 「#4577. 英語と古ノルド語,ローマンケルト語とフランク語」 ([2021-11-07-1])
・ 「#3979. 古英語期に文証される古ノルド語からの借用語のサンプル」 ([2020-03-19-1])
・ 「#2869. 古ノルド語からの借用は古英語期であっても,その文証は中英語期」 ([2017-03-05-1])
・ 「#3263. なぜ古ノルド語からの借用語の多くが中英語期に初出するのか?」 ([2018-04-03-1])
・ 「#59. 英語史における古ノルド語の意義を教わった!」 ([2009-06-26-1])
[ heldio 放送 ]
・ 「#179. 和田忍先生との対談:ヴァイキングの活動と英語文献作成の関係」 (2021/11/26)
・ 「#180. 和田忍先生との対談2:ヴァイキングと英語史」 (2021/11/27)
・ 「#181. 古ノルド語からの借用語がなかったら英語は話せない!?」 (2021/11/28)
・ 「#182. egg 「卵」は古ノルド語からの借用語!」 (2021/11/29)
・ 「#105. want の原義は「欠けている」」 (2021/09/14)
・ 「#317. dream, bloom, dwell ー 意味を借りた「意味借用」」 (2022/04/13)
・ 「#155. ノルド人とノルマン人は違います」 (2021/11/02)
毎日この「hellog~英語史ブログ」と並行して,音声プラットフォーム Voicy を通じて英語史ブログの音声版である「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を公開しています.
Voicy では毎週特定のテーマに沿ったトーク企画が組まれていますが,7月4日(月)から始まっている今週のテーマは「#みんなの語学学習法」です.集まってきた放送を聴いてみると,語学(学習)への態度や取り組み方は本当に十人十色なのだなと実感しました.ぜひ様々なパーソナリティの語学に対する思いを聴取してみてください.学習モチベーションが上がると思います.
私のチャンネルは「ハウツー・学習」→「語学」のジャンルに分類されているからかと思いますが,今週のテーマと関連して,注目パーソナリティの1人としてピックアップしていただきました(ありがとうございます!).
私自身,7月4日にこのテーマで話しをしています.「#399. 英語学習は「毒を食わば皿まで」で行こう!」をお聴きください.
このトークでは,以下の5点の英語学習のコツを挙げてみました.
1. 理想は低く(← 関連して Voicy パーソナリティで同時通訳者の田中慶子さんによる「「英語ができるようになりたい」という方に,まずお伝えしたいこと」も必聴です)
2. 読み書き能力は重要です
3. 単語力が最重要です
4. 辞書を味方につけよう
5. スキルだけじゃもったいない,プラスアルファで教養を!
特に強調したいのは5点目で,これは放送タイトルの「毒を食わば皿まで」の心を表わしたものです.語学学習は時間とエネルギー(とある程度のお金)がかかる厄介なものです.いわばネガティブに「毒」とみることもできるわけですが,どのみちある程度の「毒」を食わなければならないのであれば,さらに一歩進んで教養という「皿」まで食ってしまおう,という趣旨です.実際の皿は食べてもおいしくありませんが,語学の先にある教養の皿は実はおいしいです.
私の「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」は,単語の語源を話題にすることが多く,ボキャビルに役立つことも確かにあると思います.もちろんおおいに役立てていただければと思います.一方,真の狙いとしては語源の背後にある豊かな英語の歴史・文化を紹介する点にあります.ですので,そちらの観点から聴いていただいても,きっと面白いと思います.
毎朝6時更新のチャンネルです,関心のある方は,ぜひこちらからフォローしてくだい.フォローしていただきますと更新通知が届くようになります.これからも,よろしくお願いいたします!
1ヶ月ほど先のことになりますが,2022年8月6日(土)15:30--18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて全4回のシリーズ「英語の歴史と世界英語」の第2回講座「いかにして英語は拡大したのか」を開講します.対面・オンラインのハイブリッド講座として開講される予定です.ご関心のある方は,ぜひご参加いただければと存じます.シリーズの第1回講座「世界英語入門」は6月11日(土)に開講し終了していますが,シリーズとはいえ毎回独立した講座となっていますので,第1回に参加されていない方もご安心ください.お申し込みはこちらよりどうぞ.
次の第2回講座の概要は以下の通りです.
英語は現代世界で最も影響力のある言語ですが,昔からそうだったわけではあません.英語が本格的にイングランド外へ展開したのは近代期,世界的な言語に成長したのは18世紀以降にすぎません.いかにして島国の言語が世界を代表するリンガ・フランカへと成長したのでしょうか? 英語の歴史を概観しつつ,その世界的拡大の道筋をたどります.
現代の「世界英語」現象を生み出すことになった,英語拡大の近代史を描く予定です.拡大の歴史が一直線ではなく,複数のウネウネ曲線であった点に焦点を当てる予定です.もう少し詳しい紹介を知りたい方は,予告編として Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を通じて「#393. 朝カル講座の第2回「英語の歴史と世界英語 --- いかにして英語は拡大したのか」」として配信していますので,こちらをお聴きください.
なお,第1回については「#4775. 講座「英語の歴史と世界英語 --- 世界英語入門」のシリーズが始まります」 ([2022-05-24-1]) が参考になると思います.そちらからは,世界英語 (world_englishes) に関する参考文献その他の情報へのリンクも張っています.
また,第1回開講前後に,関連する話題について記事を執筆したりラジオ収録をしていますので,以下よりご参照ください.
・ heldio 「#356. 世界英語入門 --- 朝カル新宿教室で「英語の歴史と世界英語」のシリーズが始まります」
・ heldio 「#378. 朝カルで「世界英語入門」を開講しました!」
・ hellog 「#4794. 英語の標準化 vs 英語の世界諸変種化」 ([2022-06-12-1])
・ hellog 「#4795. 標準英語,世界英語,ELF の三つ巴」 ([2022-06-13-1])
・ hellog 「#4798. ENL での言語変化は「革新」で,ESL/EFL では「間違い」?」 ([2022-06-16-1])
・ hellog 「#4799. Jenkins による "The Lingua Franca Core"」 ([2022-06-17-1])
・ hellog 「#4800. Lingua Franca Core への批判」 ([2022-06-18-1])
・ hellog 「#4803. 「英語」「英語複合体」「諸英語」」 ([2022-06-21-1])
・ hellog 「#4805. "World Englishes" と "ELF" の共存を目指して」 ([2022-06-23-1])
今朝,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で「#389. 2022年上半期の英語史活動( hel活)」と題する放送をオンエアーしました.
この放送のなかで,この半年で最もよく聴かれた放送(リスナー数ベース)のトップ10を紹介しましたが,hellog 記事としてはトップ50までを一覧しておきたいと思います.まだお聴きになっていない方は,この週末などに関心のある話題をピックアップして,ぜひ聴いてみてください.英語に関する素朴な疑問の謎解きの回も多く,スカッとすると思います.
1. 「#233. this,that,theなどのthは何を意味するの?」(2022/01/19放送)
2. 「#299. 曜日名の語源」(2022/03/26放送)
3. 「#321. 古英語をちょっとだけ音読 マタイ伝「岩の上に家を建てる」寓話より」(2022/04/17放送)
4. 「#271. ウクライナ(語)について」(2022/02/26放送)
5. 「#343. 前置詞とは何?なぜこんなにいろいろあるの?」(2022/05/09放送)
6. 「#222. キリスト教伝来は英語にとっても重大事件だった!」(2022/01/08放送)
7. 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」(2022/04/23放送)
8. 「#300. なぜ Wednesday には読まない d があるの?」(2022/03/27放送)
9. 「#358. 英語のスペリングを研究しているのにスペリングが下手になってきまして」(2022/05/24放送)
10. 「#326. どうして古英語の発音がわかるのですか?」(2022/04/22放送)
11. 「#288. three にまつわる語源あれこれ ― グリムの法則!」(2022/03/15放送)
12. 「#360. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 5」(2022/05/26放送)
13. 「#357. 英語の単語間にスペースを置くことを当たり前だと思っていませんか?」(2022/05/23放送)
14. 「#344. the virtual world of a virile werewolf 「男らしい狼男のヴァーチャルな世界」 --- 同根語4連発」(2022/05/10放送)
15. 「#281. 大母音推移(前編)」(2022/03/08放送)
16. 「#253. なぜ who はこの綴字で「フー」と読むのか?」(2022/02/08放送)
17. 「#359. 総合的な古英語から分析的な現代英語へ --- 英文法の一大変化」(2022/05/25放送)
18. 「#218. shall とwill の使い分け規則はいつからあるの?」(2022/01/04放送)
19. 「#301. was と were の関係について整理しておきましょう」(2022/03/28放送)
20. 「#318. can't, cannot, can not ー どれを使えばよいの?」(2022/04/14放送)
21. 「#250. ノルマン征服がなかったら英語はどうなっていたでしょうか?」(2022/02/05放送)
22. 「#374. ラテン語から借用された前置詞 per, plus, via」(2022/06/09放送)
23. 「#325. なぜ世界の人々は英語を学んでいるの?」(2022/04/21放送)
24. 「#364. YouTube での「go/went 合い言葉説」への反応を受けまして」(2022/05/30放送)
25. 「#346. 母語と母国語は違います!」(2022/05/12放送)
26. 「#355. sharp と flat は反対語でもあり類義語でもある」(2022/05/21放送)
27. 「#372. 環境にいいこと "eco-friendly" ― 家庭から始めましょうかね」(2022/06/07放送)
28. 「#312. 古田直肇先生との対談 標準英語幻想について語る」(2022/04/08放送)
29. 「#217. 再帰代名詞を用いた動詞表現の衰退」(2022/01/03放送)
30. 「#245. learn は「学ぶ」ではなく「教える」?」(2022/01/31放送)
31. 「#341. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック」(2022/05/07放送)
32. 「#282. 大母音推移(後編)」(2022/03/09放送)
33. 「#292. 一般に「人々」を意味する you の起源」(2022/03/19放送)
34. 「#352. Sir William Jones --- 語学の天才にして近代言語学・比較言語学の祖」(2022/05/18放送)
35. 「#330. 中英語をちょっとだけ音読 チョーサーの『カンタベリ物語』の冒頭より」(2022/04/26放送)
36. 「#232. なぜ thumb には発音されない b があるの?」(2022/01/18放送)
37. 「#248. なぜ by and large が「概して」を意味するの?」(2022/02/03放送)
38. 「#375. 接尾辞 -ing には3種類あるって知っていましたか?」(2022/06/10放送)
39. 「#361. 『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』の読みどころ」(2022/05/27放送)
40. 「#351. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 4」(2022/05/17放送)
41. 「#261. 「剥奪の of」の歴史ミステリー」(2022/02/16放送)
42. 「#263. "you guys" の guy の語源」(2022/02/18放送)
43. 「#319. employee の ee って何?」(2022/04/15放送)
44. 「#373. みんなのお金の話≒みんなの言葉の話!?」(2022/06/08放送)
45. 「#366. 才能を引き出すための "education" 「教育」の本来の意味は?」(2022/06/01放送)
46. 「#345. Good morning! そういえば挨拶のような決まり文句は無冠詞が多いですね」(2022/05/11放送)
47. 「#226. 英語の理屈ぽい文法事項は18世紀の産物」(2022/01/12放送)
48. 「#294. 古英語には「謝罪」がなかった!」(2022/03/21放送)
49. 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」(2022/04/25放送)
50. 「#314. 唐澤一友先生との対談 今なぜ世界英語への関心が高まっているのか?」(2022/04/09放送)
heldio 全放送の一覧はこちらよりご覧いただけます.heldio のチャンネルでは,放送に関するご意見,ご感想,ご質問などをお寄せいただいています.また,チャンネルで取り上げてほしいトピックなどもありましたら,お寄せください.投稿は,Voicy のコメント機能,あるいはチャンネルプロフィールにリンクを張っています専用フォームを通じてどうぞ.
Voicy 放送は以下からダウンロードできるアプリ(無料)を使うとより快適に聴取できます.また,フォローしていただきますと,毎朝,更新通知が届くようになります.ぜひ Voicy アプリをご利用ください.
本ブログの姉妹版である「声のブログ」というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」も,気がついてみたら始めてから1年が経っています.本ブログを読んでくださっている皆さんも含め,日々多くの方々に聴いていただいています.ありがとうございます.すでに2年目に入っていますが,今後も毎朝6時に英語の語源や英語史に関する放送を幅広くお届けしていきます.よろしくお願いいたします.
今年度に入ってから heldio のチャンネルを知り,聴き始めたという方も少なくないようですので,この1年間の放送を振り返り,とりわけよく聴かれたトップ50回をランキングで示したいと思います(再生回数ではなく再生リスナー数という指標に基づくランキングです).ぜひ過去の放送もたくさん聴いてみてください.なお,全放送の一覧はこちらからご覧いただけます.
これを機にチャンネルをフォローしていただければ幸いです.放送へのコメントや質問もお待ちしています!
1. 「#233. this,that,theなどのthは何を意味するの?」(2022/01/19(水) 放送)
2. 「#299. 曜日名の語源」(2022/03/26(土) 放送)
3. 「#321. 古英語をちょっとだけ音読 マタイ伝「岩の上に家を建てる」寓話より」(2022/04/17(日) 放送)
4. 「#271. ウクライナ(語)について」(2022/02/26(土) 放送)
5. 「#343. 前置詞とは何?なぜこんなにいろいろあるの?」(2022/05/09(月) 放送)
6. 「#222. キリスト教伝来は英語にとっても重大事件だった!」(2022/01/08(土) 放送)
7. 「#327. 新年度にフランス語を学び始めている皆さんへ,英語史を合わせて学ぶと絶対に学びがおもしろくなると約束します!」(2022/04/23(土) 放送)
8. 「#326. どうして古英語の発音がわかるのですか?」(2022/04/22(金) 放送)
9. 「#358. 英語のスペリングを研究しているのにスペリングが下手になってきまして」(2022/05/24(火) 放送)
10. 「#300. なぜ Wednesday には読まない d があるの?」(2022/03/27(日) 放送)
11. 「#288. three にまつわる語源あれこれ ― グリムの法則!」(2022/03/15(火) 放送)
12. 「#199. read - read - read のナゾ」(2021/12/16(木) 放送)
13. 「#344. the virtual world of a virile werewolf 「男らしい狼男のヴァーチャルな世界」 --- 同根語4連発」(2022/05/10(火) 放送)
14. 「#281. 大母音推移(前編)」(2022/03/08(火) 放送)
15. 「#360. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 5」(2022/05/26(木) 放送)
16. 「#357. 英語の単語間にスペースを置くことを当たり前だと思っていませんか?」(2022/05/23(月) 放送)
17. 「#253. なぜ who はこの綴字で「フー」と読むのか?」(2022/02/08(火) 放送)
18. 「#218. shall と will の使い分け規則はいつからあるの?」(2022/01/04(火) 放送)
19. 「#318. can't, cannot, can not ー どれを使えばよいの?」(2022/04/14(木) 放送)
20. 「#250. ノルマン征服がなかったら英語はどうなっていたでしょうか?」(2022/02/05(土) 放送)
21. 「#359. 総合的な古英語から分析的な現代英語へ --- 英文法の一大変化」(2022/05/25(水) 放送)
22. 「#325. なぜ世界の人々は英語を学んでいるの?」(2022/04/21(木) 放送)
23. 「#301. was と were の関係について整理しておきましょう」(2022/03/28(月) 放送)
24. 「#312. 古田直肇先生との対談 標準英語幻想について語る」(2022/04/08(金) 放送)
25. 「#346. 母語と母国語は違います!」(2022/05/12(木) 放送)
26. 「#245. learn は「学ぶ」ではなく「教える」?」(2022/01/31(月) 放送)
27. 「#232. なぜ thumb には発音されない b があるの?」(2022/01/18(火) 放送)
28. 「#292. 一般に「人々」を意味する you の起源」(2022/03/19(土) 放送)
29. 「#355. sharp と flat は反対語でもあり類義語でもある」(2022/05/21(土) 放送)
30. 「#248. なぜ by and large が「概して」を意味するの?」(2022/02/03(木) 放送)
31. 「#352. Sir William Jones --- 語学の天才にして近代言語学・比較言語学の祖」(2022/05/18(水) 放送)
32. 「#330. 中英語をちょっとだけ音読 チョーサーの『カンタベリ物語』の冒頭より」(2022/04/26(火) 放送)
33. 「#263. "you guys" の guy の語源」(2022/02/18(金) 放送)
34. 「#282. 大母音推移(後編)」(2022/03/09(水) 放送)
35. 「#319. employee の ee って何?」(2022/04/15(金) 放送)
36. 「#351. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- Part 4」(2022/05/17(火) 放送)
37. 「#261. 「剥奪の of」の歴史ミステリー」(2022/02/16(水) 放送)
38. 「#341. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック」(2022/05/07(土) 放送)
39. 「#289. three にまつわる語源あれこれ ― contest も?」(2022/03/16(水) 放送)
40. 「#226. 英語の理屈ぽい文法事項は18世紀の産物」(2022/01/12(水) 放送)
41. 「#290. 古英語は無礼な言語だった?」(2022/03/17(木) 放送)
42. 「#345. Good morning! そういえば挨拶のような決まり文句は無冠詞が多いですね」(2022/05/11(水) 放送)
43. 「#294. 古英語には「謝罪」がなかった!」(2022/03/21(月) 放送)
44. 「#329. フランス語を学び始めるならば,ぜひ英語史概説も合わせて!」(2022/04/25(月) 放送)
45. 「#283. please 「どうか」の語源」(2022/03/10(木) 放送)
46. 「#314. 唐澤一友先生との対談 今なぜ世界英語への関心が高まっているのか?」(2022/04/09(土) 放送)
47. 「#246. インドヨーロッパ祖語の故郷はどこ?」(2022/02/01(火) 放送)
48. 「#293. 「性交」を表わす語を上から下まで」(2022/03/20(日) 放送)
49. 「#296. 英語のアルファベットは常に26文字だったと思っていませんか?」(2022/03/23(水) 放送)
50. 「#335. cow と beef と butter が同語根って冗談ですか?」(2022/05/01(日) 放送)
Voicy 放送は以下からダウンロードできるアプリ(無料)を使うとより快適に聴取できますので,ぜひご利用ください.
4月1日より「#4722. 新年度の「英語史スタートアップ」企画を開始!」 ([2022-04-01-1]) と題して英語史の学びを応援しています.hellog の姉妹版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) でも,連日,新年度の勢いを借りて普段とは異なる風味の放送をお届けしています.具体的には英語史・英語学を専攻する方々を招いて対談を行ない,様々な角度から同分野の魅力を伝えてきました.この11日間続いてきた対談企画について,改めて振り返りつつ紹介します.
・ 「市川誠先生との対談 長万部はイングランドか!?」(4月2日放送):市川誠先生(東京理科大学)とのおしゃべりです.まさかの「長万部」からつながる地名の英語史.英語史との接点は,日常の身近なところにあります.
・ 「khelf 会長「まさにゃん」による『英語史新聞』の紹介」(4月3日放送):khelf として世界初(?)の『英語史新聞』第1号を発行しました.その編集委員長も務めた khelf 会長からのお話しです.
・ 「khelf 会長「まさにゃん」による「英語史コンテンツ50」の紹介」(4月4日放送):続いて,khelf のもう1つの新年度目玉企画「英語史コンテンツ50」の紹介です.毎日,1つ英語史の話題が上がってきます.同企画の会場はこちらです.
・ 「khelf 会長「まさにゃん」による「第一回古英語模試」」(4月5日放送):khelf 会長が研究・教育活動と趣味(?)の延長で,世界初となる古英語の模試を作成しました.添削サービスあり.
・ 「山本史歩子先生との対談 英語教員を目指す大学生への英語史のすすめ」(4月6日放送):山本史歩子先生(青山学院大学)と,英語教育と英語史の接点について熱く語りました.
・ 「矢冨弘先生との対談 グラスゴー大学話しを1つ」(4月7日放送):矢冨弘先生(熊本学園大学)との,英語史およびグラスゴー大学の話題で盛り上がりました.矢冨先生も私も同大学に留学し,同じ Jeremy J. Smith 先生に師事しました.
・ 「古田直肇先生との対談 標準英語幻想について語る」(4月8日放送):古田直肇先生(東洋大学)との標準英語にまつわる神話を巡る熱い対談です.この問題は,英語史の知恵が最も活かされるトピックだと思っています.
・ 「唐澤一友先生との対談 今なぜ世界英語への関心が高まっているのか?」(4月9日放送):唐澤一友先生(立教大学)との,人気が高まる World Englishes についての対談.なぜ今なのか,議論しました.
・ 「泉類尚貴先生との対談 手に取って欲しい原書の英語史概説書3冊」(4月10日放送):泉類尚貴先生(福島高専)による厳選3冊の紹介.新年度の学び始めに,たいへん役に立つ情報です.その3冊については『英語史新聞』新年度号外としても紹介しています.
・ 「和田忍先生との対談 Baugh and Cable の英語史概説書を語る」(4月11日放送):和田忍先生(駿河台大学)が,世界中の大学で最も広く読まれている英語史概説書といわれる Baugh and Cable について詳しく解説しています.こちらの関連記事もどうぞ.
・ 「井上逸兵先生との対談 YouTube を始めて1月半になりますが」(4月12日放送):井上逸兵先生(慶應義塾大学)と私が週2回公開している「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」について,これまで13回放送の振り返りと未来の展望を語ります.
連続対談はいったんここで終わりますが,今後も折をみて対談を行なっていきたいと思っています.よろしくどうぞ.
4月1日に『英語史新聞』創刊号が発行されましたが,早くも新年度号外が出ました(笑).khelf(慶應英語史フォーラム)の顧問である泉類尚貴さん(福島高専)による,選りすぐりの英語で書かれた英語史概説書3冊のカジュアルな書評です.「#4722. 新年度の「英語史スタートアップ」企画を開始!」 ([2022-04-01-1]) を受けての,皆さんの英語史の学び始めを応援するための号外発行です.
号外で推薦している3冊は,以下のものです.「#4727. 英語史概説書等の書誌(2022年度版)」 ([2022-04-06-1]) でも紹介している推しの概説書です.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
・ Brinton, Laurel J. and Leslie K. Arnovick. The English Language: A Linguistic History. Oxford: OUP, 2006.
・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
本ブログの文章で推薦するだけでは推しが弱いと思い,泉類さんと Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) にて対談してしまいました.「泉類尚貴先生との対談 手に取って欲しい原書の英語史概説書3冊」です.ぜひお聴きください.
泉類さんとの昨年度の Voicy 対談として,「対談 英語史の入門書」および「対談 英語史×国際英語」(2021年10月19日)も関連しますので,どうぞ.
昨今,World Englishes (世界英語)への関心が高まってきています.本ブログでも world_englishes 関連の記事を多く取り上げてきましたが,振り返ってみると,特にここ数年間での取り上げ方が頻繁になってきました.私の関心がそちらに向かっているというよりも,世の中の関心の潮流が先にあり,それをなんとか追いかけているという感じがします.
私自身がこのように学び始めの段階にあるので書誌を紹介するというのもおこがましいのですが,何冊か和書と洋書を挙げてみます.以下のリストには,昨年10月19日に「対談 英語史×国際英語」と題して語り合った泉類尚貴氏からのお勧め図書も含まれています.
・ 唐澤 一友 『世界の英語ができるまで』 亜紀書房,2016年.
・ 里井 久輝 『「世界の英語」リスニング』 アルク,2019年.
・ 寺澤 芳雄(編) 『辞書・世界英語・方言』 研究社英語学文献解題 第8巻.研究社.2006年.
・ Crystal, David. English As a Global Language. 2nd ed. Cambridge: CUP, 2003.
・ Filppula, Markku, Juhani Klemola, and Devyani Sharma, eds. The Oxford Handbook of World Englishes. New York: OUP, 2017.
・ Galloway, Nicola and Heath Rose. Introducing Global Englishes. London: Routledge, 2015.
・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
・ Jenkins, Jennifer. World Englishes: A Resource Book for Students. 2nd ed. London: Routledge, 2009.
・ Mesthrie, Rajend and Rakesh M. Bhatt. World Englishes: The Study of New Linguistic Varieties. Cambridge: CUP, 2008.
・ Trudgill, Peter and Jean Hannah. International English: A Guide to Varieties of English around the World. 6th ed. London: Routledge, 2017.
なお,本日の「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) では,一番上に挙げた本の著者である唐澤一友氏(立教大学)と対談しています.「唐澤一友先生との対談 今なぜ世界英語への関心が高まっているのか?」という興味深いトピックです.
過去の hellog 記事としては「#4558. 英語史と世界英語」 ([2021-10-19-1]),「#4591. 立命館大学での講演「世界の "English" から "Englishes" の世界へ」を終えました」 ([2021-11-21-1]) などがお勧めです.
慶應義塾大学文学部英米文学専攻では,必修科目の1つに「英語史」の講義があります.本日,今年度の同講義が開始となります.1年間をかけて英語の歴史を紐解いていく予定です.
本日の初回は,重要なイントロの回になりますが,本ブログの記事を組み合わせることで講義を展開していく予定です.情報量が多いので,講義で完全消化できなかった場合であっても,履修生の皆さんはいつでもこの記事に戻ってくることができます.また,一般の hellog 読者の方も,以下のリンクを通じて,部分的・擬似的に初回授業を体験できるかと思います.目下,新年度ということで「#4722. 新年度の「英語史スタートアップ」企画を開始!」 ([2022-04-01-1]) として,英語史に関心のあるすべての方々の学びを応援しているので,あえてこのような形態を取る次第です.
1. イントロ
1.1. 「#831. Why "an apple"?」 ([2011-08-06-1]): 不定冠詞 a と an について.heldio の 「なぜ A pen なのに AN apple なの?」もどうぞ.
1.2. 「#2. 自己紹介」 ([2009-05-01-2]): 担当者の紹介
2. 英語史の世界へようこそ
2.1. 「#4546. 新学期の始まりに,英語史の学び方」 ([2021-10-07-1]): 英語史の魅力4点
(1) 英語の見方が180度変わる!
(2) 英語と歴史(社会科)がミックスした不思議な感覚の科目!
(3) 素朴な疑問こそがおもしろい!
(4) 現代英語に戻ってくる英語史
2.2. 「#4361. 英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」 ([2021-04-05-1]): 魅力 (2) に通じます
2.3. 「なぜ英語史を学ぶのか」の記事セット: 様々な角度から「なぜ学ぶのか」を検討してみました(cf. 「英語史って何のため?」 (heldio) でもしゃべっています)
3. 英語に関する素朴な疑問
3.1. 「#1093. 英語に関する素朴な疑問を募集」 ([2012-04-24-1]): 魅力 (3) に通じます
3.2. 2685件の素朴な疑問
3.3. これまで hellog で取り上げてきた素朴な疑問集
3.4. 知識共有サービス「Mond」で,英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています
4. 英語史を日常の話題に
4.1. 「#4359. ぜひ英語史学習・教育のために hellog の活用を!(2021年度版)」 ([2021-04-03-1]): 毎日欠かさず更新している英語史のブログです.この hellog の効果的な使い方の tips をどうぞ.
4.2. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio): hellog の音声版というべき「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) .毎日欠かさず1本10分未満で英語史の話題をお届けしています.年度初めは英語史研究者との対談ものが多いです.
4.3. 「英語史スタートアップ」企画: 新年度開始に合わせて4月1日より始まっています
4.4. 「#4723. 『英語史新聞』創刊号」 ([2022-04-02-1]): 世界初の英語史に関する新聞の第1号です
4.5. 「#4725. khelf イベント「英語史コンテンツ50」が始まっています」 ([2022-04-04-1]): ほぼ毎日,英語史を専攻するゼミ生・院生から手軽に読める「英語史コンテンツ」がウェブ上にアップされてきます
4.6. 「#4726. 昨年度のコンテンツ企画のベスト10」 ([2022-04-05-1]): 上記だけでは足りない,という方はこちらからどうぞ
4.7. 「#4724. 慶應英語史フォーラム (khelf) の活動」 ([2022-04-03-1]): khelf ホームページと公式ツイッターアカウント @khelf_keio も開設されています
4.8. 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」: 同専攻の井上逸兵先生と一緒に週2回(水・日)で放送しています
5. 英語史の読書案内
5.1. 「#4727. 英語史概説書等の書誌(2022年度版)」 ([2022-04-06-1]): 今年度版を昨日公表しました
5.2. 「#4557. 「英語史への招待:入門書10選」」 ([2021-10-18-1]),および heldio での「対談 英語史の入門書」
6. ライヴで寄せられた英語の素朴な疑問に即興で答えるコーナー(時間があれば)
本日より新年度です.そして,東京はちょうど桜が満開です.
新年度の始まりですので,この4月,5月は本ブログ読者の皆さんの英語史の学び始め/続けを促すべく「英語史スタートアップ」企画を実施します.慶應英語史フォーラム (khelf) の協力を受けながら,この「hellog~英語史ブログ」はもちろん,その姉妹版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio),khelf ホームページ,新規開設した khelf ツイッターアカウント @khelf_keio などを通じて,連動的に企画を展開していきます.
本日よりしばらくの間,ほぼ毎日,皆さんの「英語史スタートアップ」に役立つ内容をお届けしていく予定です.英語(史)に関係するすべての方々に注目していただければ幸いです.具体的には,
・ 新学期に初めて「英語史」という分野に接する大学生の皆さんにとって,学び始めに有用な情報がたくさん紹介されていきますので,ぜひご注目ください.
・ 「英語史」の知識が重要だとは分かっているけれども自力では手が出しにくい,とお考えの全国の英語の教員・先生方にとっても,役立つ情報が満載です.
・ その他,中高生の英語学習者のみならず英語学習を続けている一般の社会人の皆さんにも,英語史という分野の魅力を知っていただけるよう,なるべく分かりやすく勉強になる話題を提供していきたいと思っています.
・ 英語史を専攻する大学(院)生や,大学などで英語史関連の授業を担当する専門家の先生方にもご笑覧いただき,ご批判やご意見をいただければ幸いです.
さて,「英語史スタートアップ」は慶應英語史フォーラム (Keio History of the English Language Forum; khelf) による企画です.このフォーラムについて詳しくは khelf ホームページをご覧いただければと思いますが,筆者の所属する慶應義塾大学文学部で英語史を専攻する学部・大学院の堀田ゼミのメンバーを中心とした集団です.新年度を機に,khelf ツイッターアカウント @khelf_keio も公式に開設しました(そのために,以下のロゴとバナーをメンバーが作成してくれました).ぜひフォローのほどお願いいたします @khelf_keio をフォロー.
上記のツイッターアカウントにすでに案内ツイートがありますが,「英語史スタートアップ」企画の第1弾として khelf による『英語史新聞』創刊号が本日発行されましたので,ぜひそちらをご覧ください.この『英語史新聞』については,明日の記事で詳しく触れたいと思います.
同企画に関する今後のラインアップとしては,英語史に関するコンテンツを日々 khelf メンバーがウェブ上に公開していく「英語史コンテンツ50」や,英語史を専攻する研究者たちと堀田との Voicy 対談,英語史を学び始める/続けるに当たってのお役立ち情報の発信など,様々に展開していきますので,どうぞご期待ください.
皆さんの充実した英語史の学びに期待します.本年度もよろしくお願いいたします.
本日の連動している Voicy 放送「新年度初日から走り出します! 「英語史スタートアップ」企画」もどうぞ.
1ヶ月ほど前に始めた「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」も,週2回のペースを守りつつ,昨日第10回を迎えることができました.視聴者の皆さん,ありがとうございます.
その昨日の第10回は,これまでに比べてかなり硬派といえば硬派な話題です.「ゲンゴガクシ」についてです.言語学史 (history_of_linguistics) は,言葉に関心のあるすべての人にとって実はかなりおもしろい分野なのですが,それを分かりやすく説明するのは簡単ではありません.
収録を通じて,言語学そのもの以上に言語学史に深い関心を抱くと互いに知った2人が,20世紀前半の学界の潮流を決定づけた構造主義言語学 (structural linguistics) について話しをしてみました.構造主義は歴史言語学を敵に回したか!?ー言語学理論のおもしろさ【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル # 10 】をご視聴ください.
構造主義言語学とは何か? 私にはとうてい端的に説明できる自信がないので,イヴィッチの言語学史の概説 (81--82) に頼りたいと思います.
構造主義言語学の時代は,ヨーロッパとアメリカで共に1930年の少し前に始まった.
他の学問分野においてもそうであるが,言語学における構造主義はまず第一に既知の事実に対する新しい見方を意味している.即ち,既知の事実が体系の中で機能している点に注目して検討を加える見方である.同時にこの構造主義的な見方は,言語の社会的な(つまりコミュニケーションの)機能の強調,歴史的現象と或一時点における一言語体系の諸特徴との明確な区別をも伴うものである.
この時代の先駆者はそれ以前に,ある者は早くも19世紀に,そこかしこに現れていた.しかしこれらの孤立した試みはその時代の人々の注意をひくことはなかった.真に人々の耳をそばだたせ,今日なお鳴り響いている最初の声を発したのはフェルディナン・ドゥ・ソシュール Ferdinand de Saussure であった.ドゥ・ソシュールが初めて言語学における新しい思想によってその時代の人々に強い影響を与えたことと,その直接の影響下になかった人々さえも彼の思想の根底にあるのと同一の理論的基盤から出発したことによって,ドゥ・ソシュールは今では構造主義言語学の創始者と見なされている.
構造主義言語学のイロハともいえるドゥ・ソシュールの基本的言語学説は,以下のようなものである.
言語は体系であり,体系として研究すべきである:個々の事実を単独に取り上げるのではなく,常に全体として見るべきである.且つ細かい事柄の一つ一つは体系の中での位置によって規定されるということを考慮に入れるべきである.
言語はまず第一に相互理解の目的を果たす社会的現象であり,そのようなものとして研究すべきである:音と意味との相互関係は,コミュニケーション過程において決定的な重要性を持つので,常にこれを念頭に置くべきである.
言語の発展と言語の実現されている[一時点の]状態とは,根本的に異る別の現象である.従って,方法論の点から見て,言語の現在の状態を解釈する時に歴史的な規準を持ち込むことは許されない.
他の学問分野と同様に,言語学においても構造主義は不変のもの invariants の探究,余情な redundant 現象と関与的な relevant 現象を分離しようとする努力,を含んでいる.
構造主義言語学の信奉者たちはすべて,客観的な分析基準(メンタリスティックな規準の入る余地をなくすようなもの)を見出そうと希求している.
イヴィッチの説明はさらに延々と続くのですが,この辺りで止めておきましょう.
YouTube 動画内でも述べた通り,私にとって構造主義言語学とは「マトリックス思考」です.今朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) でも「構造主義言語学とはマトリックス思考である」と題してしゃべっていますので,よろしければどうぞ.
・ ミルカ・イヴィッチ 著,早田 輝洋・井上 史雄 訳 『言語学の流れ』 みすず書房,1974年.
昨日,井上逸兵さんとの YouTube の第9弾が公開されました.I wish I were a bird. の were はあの were とは別もの!?--わーー笑【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル #9 】です.連動して,この hellog や heldio でも,わーわーしていますので,うるさいかもしれません(笑).
今回の YouTube (の後半)では,同じ were でも2つはちょっと違う,という話題を取り上げました.I wish I were a bird. や If I were you . . . という場合の「仮定法過去」の were と,普通の we were young のような場合の「直説法過去」の場合の were との違いについてです.この話題については,本ブログでもこちらの記事セットで取り上げてきましたし,音声メディアでも以下の2件で扱ってきました.
・ 「was と were --- 過去形を2つもつ唯一の動詞」(heldio: 2021年7月7日放送)
・ 「なぜ仮定法では If I WERE a bird のように WERE を使うのですか?」(hellog-radio: 2020年10月4日放送)
およそ,これで説明は尽きているといえば尽きているのですが,今回の YouTube の内容に合わせて,新たに Voicy としても「was と were の関係について整理しておきましょう」と題して話しました.
仮定法過去の were についてこのように英語史的に理解しておくと,むしろ昨今の口語で聞かれる I wish I was a bird. の was こそがおもしろくなってきます.英語学習者の99%の方々が was のほうが「レギュラー」ではないかと思うかもしれませんが,英語史研究者としては,おお,ついに were ではなく was になってきたのか,という面白い問題に見えます.仮定法は千年以上をかけて衰退してきたのですが,その衰退の過程がいよいよ最も大事な were/was にも及んできた,と見えるわけです.千年レベルの話しとして興奮しますネ.
標題は英語史の範疇を超えた人生訓の話題ですが,日曜日ですし,お付き合いください.私もたまに回答している知識共有サービス「Mond」にて次の質問が寄せられていました.
世の中,色々な考えがありますが,以下は結局どっちが正しいのですか?世の中答えはないのですか??
・ 諦めたらそこで試合終了 vs 諦めが肝心
・ 2度あることは3度ある vs 3度目の正直
・ 人は変われる vs 性格はそう変わらない
・ 指示待ち vs 勝手に動くな
・ 嘘つきは泥棒の始まり vs 嘘も方便
・ 火のないところに煙はたたない vs ただの噂
・ 賢い vs ずる賢い vs ずるい
・ 鶏が先か卵が先か
・ スピードが命 vs 中身が重要
・ 人の為か自分のためか
・ 逃げるが勝ち vs 逃げるは恥だが役に立つ
・ 正義は勝つ vs 正義は勝つとは限らない
私もずっと質問者と同じ疑問を長らく抱いていましたので,たいへん共感します.
よくこれだけ集めてくれました! すっかり諺の勉強になってしまいました.確かに反対の意味の諺,多いんですねえ.
諺というのは,人類の英知のはず.その割には真逆の教訓を垂れる諺が多いなぁ,ちょっと信用ならなくなってきたぞ,と.
長年この問題について悶々としたままに,私は縁あって英語を専門とするようになり英語の諺を漁るようになったのですが,実は日本語と同じなんですネ!
日本語の「終わりよければすべてよし」と「始めよければ終わりよし」.こりゃ,ひどい矛盾だなぁと思っていたところ,英語でシェークスピアの有名な All is well that ends well. に対して,A good beginning makes a good ending. というのもあるらしいとの情報が!
「覆水盆に返らず」と「明日は明日の風が吹く」も,結局,やらかしちゃったことはダメなのですか,やり直しが利くのですか,ということなワケですが,両方あるというのです.英語でいうと,An occasion lost cannot be redeemed. と Tomorrow is another day. というペアです.
英語の諺でとりわけキツいなと思うのが,One is never too old to learn. と You can't teach an old dog new tricks. です.後者は身も蓋もない.
この諺の矛盾について悶々からイライラに変わりかけていたとき,安藤邦男『ことわざから探る 英米人の知恵と考え方』(開拓社,2018年)に出会いました.以下,pp. 11-12 より.
さて,このように意味の正反対のことわざに出会うと,割り切ることの好きな人は,「どちらかハッキリせよ」といって不満に思うかも知れません.あるいは,ことわざは昔の人が思いつきで言ったことだから,非科学的で矛盾していて当たり前,だからあまり意味がないと思うかもしれません.しかし,それはことわざの何たるかをわきまえないものというべきでしょう.
たしかに,これらは一見矛盾しているように思われます.しかし,何かを成し遂げようとする場合のことを考えてください.始めの段階では,私たちは「始めが大事」と言って覚悟を新たにしなければなりませんが,終わりの段階になればそのときにはまた,「終わりが大事」と言って気持ちを引き締めなければならないのです.ことわざは,それぞれの状況のそれぞれの段階における知恵ですから,けっして矛盾しているわけではありません.それぞれの段階に応じて重点の置き方が違っているだけであって,どちらも真実なのです.
完全に脱帽でした.私が子供から大人になった瞬間でした.この開眼経験について,恥を忍んで,ブログの拙論「#3425. 英語の対義ことわざ」 ([2018-09-12-1]),および以下の Voicy ラジオ「英語の諺 ー 真逆の教訓はやめて欲しい!?」でも語っています.どうぞご参照ください.
去る3月6日(日) 14:40--16:10 に,Zoom 開催の言語教育エキスポ2022のシンポジウム「英語史を英語教育に生かす」にてお話しさせていただきました.関係の先生方にはシンポジウムの準備から当日までたいへんお世話になりました.参加された皆様にも,たいへん貴重なご意見やご質問をを賜わりました.ありがとうございます.
私がお話しした題目は「「大母音推移」の英語教育上の役割を再検討する(近年の研究動向を踏まえて)」です.私自身が何か大母音推移 (gvs) についてオリジナルの新しい研究を試みたわけではまったくなく,あくまで学史を振り返っただけでした.予稿・概要はこちらからどうぞ.
何かの役に立つかもしれませんので,発表で用いたスライド資料を公開します.100年以上にわたって英語史研究者を魅了してきた「大母音推移」の行く末に思いをはせていただければと.以下はスライドの各ページへのリンクです.
1. 「大母音推移」の英語教育上の役割を再検討する(近年の研究動向を踏まえて)
2. 目次
3. 1. はじめに
4. GVS を母音四辺形で示すと
5. 2. GVS の研究史概観
6. 3. GVS の 5W1H
7. 具体的な単語例で
8. 4. GVS の「例外」
9. 4つの問題点
10. /ɛː/ > /eː/ > /iː/ の2段階の上げ
11. GVS 後に別途生じた音変化の結果
12. 近代以降のフランス借用語において
13. GVS は無強勢母音や短母音とは無縁
14. 派生語ペアにみる母音の長短
15. 派生語ペアにみる母音の長短の例外
16. 5. GVS の解体
17. GVS の貫徹度は方言によって異なる
18. 各々の母音変化は部分的には関連し合っているものの,独立した音変化である
19. GVS 進行表
20. 後期古英語期から後期近代英語期までの長期にわたる様々な母音変化の一部
21. 6. おわりに
22. 参考文献
23. 素朴な疑問 (1) 「nature と mature は1文字違いですが,なんで発音がこんなに異なるのですか?」
24. 素朴な疑問 (2) 「なぜ friend はこの綴字でこの発音なのですか?」
ちなみに,先日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 でも(散歩しながら)大母音推移についてしゃべったばかりなので紹介しておきたいと思います.大母音推移の威力と魅力を味わってみてください.
・ 「大母音推移(前編)」(2022年3月8日放送)
・ 「大母音推移(後編)」(2022年3月9日放送)
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