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french - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-09-17 10:36

2009-08-16 Sun

#111. 英語史における古ノルド語と古フランス語の影響を比較する [contact][old_norse][french]

 英語は歴史のなかで数多くの言語と接触し、影響を受けてきたが、そのなかでも特に古ノルド語 ( Old Norse ) と古フランス語 ( Old French ) からのインパクトは顕著である.
 古ノルド語は古英語後期から中英語初期にかけて、古フランス語は主に中英語期を中心に、英語に多大な影響を及ぼした.両言語とも現代英語に深い接触の爪痕を残した点では共通しているが、爪痕のタイプは天と地ほど違う.英語史の概説書でも両言語の影響はよく対比されるので、今回は対比ポイントをまとめておきたい.下の表は,英語史における古ノルド語と古フランス語の役割を図式的に対比させたものである.

 古ノルド語古フランス語
影響の顕著な時代後期古英語から初期中英語中英語
影響の始まった地域主に北部・東部から主に南部から
英語との言語的類似大きい小さい
英語との歴史文化的類似大きい小さい
書き言葉としての立場なし確立
影響の及ぼし手の数多い少ない
影響の及ぼし手の階級一般階級上流階級
英語との社会言語学的関係同等上位
相互の意思疎通可能不可能
借用語の数中くらい多い
借用語のタイプ内容語と機能語主に内容語
借用語の難易度主に基本語基本語と難解語
借用語の頻度高い中くらい
借用語の文体口語的文語的
借用語の音節多くは単音節多くは多音節
地名の借用語多い少ない
綴り字への影響少ない多い


 対立を強調するためにいきおい単純化しすぎていることは否定できないが,二言語の影響を対立させてとらえる見方は,全体として妥当だと考える.ただ,あえて共通点は挙げなかったが,人名への影響の大きさなど,両言語ともに英語に大きな影響を与えている点も少なくないことは銘記しておきたい.
 英語史も歴史であり物語であるから、古ノルド語と古フランス語という登場人物に反対の個性をもたせてみるのも,脚本としてはおもしろいだろう.

Referrer (Inside): [2015-10-07-1] [2009-08-31-1]

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2009-08-01 Sat

#96. 英語とフランス語の素材を活かした 混種語 ( hybrid ) [hybrid][suffix][french]

 歴史上,多くの言語接触を経てきた英語には,語幹と接辞の語種の異なる派生語が多数存在する.このような語を混種語 ( hybrid ) というが,典型的なのは, (1) 語幹はフランス語だが接辞は本来語,(2) 語幹は本来語だが接辞はフランス語,の二通りのタイプである.以下の例では,フランス語部文を赤のイタリックにしてある.

 (1) colourless, commonly, courtship, dukedom, faintness, faithful, noblest, peacefully, preaching
 (2) enlightenment, fishery, goddess, hindrance, loveable, mileage, murderous, oddity

 (1) のタイプは14世紀ころから,(2) のタイプは14世紀後半ころから見られるようになった.特に (2) のタイプは,大量のフランス借用語に慣れてこその習慣と考えられるから,フランス語との接触が本格的に始まった12世紀以降,かなりの時間を経たのちに出現してきたということはうなずける.
 日本語の接尾辞にも,漢語由来の「〜的」や英語由来の「〜チック」などが和語の語幹に付加される例があるが,それは日本語が両言語と接触して久しいからといっていいだろう.

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