hellog〜英語史ブログ

#2162. OED によるフランス語・ラテン語からの借用語の推移[oed][loan_word][statistics][french][latin][lexicology]

2015-03-29

 Wordorigins.org"Where Do English Words Come From?" と題する記事では,OED をソースとした語種比率の通時的推移の調査報告がある.古英語から現代英語への各世紀に,語源別にどれだけの新語が語彙に加えられたかが解説とともにグラフで示されている.本文中にも述べられているように,見出し語の語源に関して OED の語源欄より引き出された情報は,眉に唾をつけて解釈しなければならない.というのは,語源欄にある言語が言及されていたとしても,それが借用元の語源を表すとは限らないからだ.しかし,およその参考になることは確かであり,通時的な概観のために有用であることには相違ない.
 ここでは,CSV形式あるいはEXCEL形式で公開されている世紀別で語源別の数値を拝借し,フランス語とラテン語から英語語彙へ追加された借用語の推移をグラフ化して並べてみた.

Historical Influx of French Loanwords by OED Historical Influx of Latin Loanwords by OED


 得られた傾向は,一般的な概説書で述べられているものと一致する.フランス語のピークは後期中英語,ラテン語のピークは初期近代英語である.比較すると,ラテン語の規模の著しさがよくわかる.フランス語とラテン語からの借用語に関連する統計については,すでに以下のように多くの記事で取り上げてきたので,そちらも参照されたい.

 [2009-08-22-1]: #117. フランス借用語の年代別分布
 [2009-11-15-1]: #202. 現代英語の基本語彙600語の起源と割合
 [2010-06-30-1]: #429. 現代英語の最頻語彙10000語の起源と割合
 [2010-12-12-1]: #594. 近代英語以降のフランス借用語の特徴
 [2011-02-16-1]: #660. 中英語のフランス借用語の形容詞比率
 [2011-08-20-1]: #845. 現代英語の語彙の起源と割合
 [2011-09-18-1]: #874. 現代英語の新語におけるソース言語の分布
 [2012-08-11-1]: #1202. 現代英語の語彙の起源と割合 (2)
 [2012-08-18-1]: #1209. 1250年を境とするフランス借用語の区分
 [2012-08-20-1]: #1211. 中英語のラテン借用語の一覧
 [2012-09-03-1]: #1225. フランス借用語の分布の特異性
 [2012-09-04-1]: #1226. 近代英語期における語彙増加の年代別分布
 [2012-11-12-1]: #1295. フランス語とラテン語の2重語
 [2014-08-24-1]: #1945. 古英語期以前のラテン語借用の時代別分類

 また,OED の利用に際しては,以下の記事も参照されたい.

 [2010-10-10-1] #:531. OED の引用データをコーパスとして使えるか
 [2010-10-14-1] #:535. OED の引用データをコーパスとして使えるか (2)
 [2010-10-15-1] #:536. OED の引用データをコーパスとして使えるか (3)
 [2011-01-05-1] #:618. OED の検索結果から語彙を初出世紀ごとに分類する CGI
 [2011-01-29-1] #:642. OED の引用データをコーパスとして使えるか (4)

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