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最終更新時間: 2019-08-23 07:45

2014-01-04 Sat

#1713. 中米の英語圏,Bay Islands [history][caribbean][map]

 中南米は植民史により英語ではなくスペイン語やポルトガル語が優勢の地域ではあるが,カリブ海に臨む中米諸国には英語が母語として話されている地域が点在している.これは,19世紀半ば,英植民地における奴隷制廃止に伴って生じた経済危機を受けて,地域の人口が移動したことに由来する.現在,公用語として英語を採用している Belize のほかにも,Bay Islands (Honduras), Bluefields を主とするカリブ海岸地域や Corn Islands (Nicaragua), Puerto Limón (Costa Rica), Livingston や Puerto Barrios (Guatemala),San Andrés と Providencia (Columbia),Bocas del Toro や Colón (Panama) などにおいて,英語が母語として話されている.今回は,Honduras の例を見てみよう.

Map of Honduras

 Honduras 北東岸は Costa de Mosquitos と呼ばれており,人口は多くないが英語ベースのクレオール語を話すインディアン民族が住んでいる.北岸地域は La Costa Norte と呼ばれており,クレオール英語を話す黒人を含むいくつかの少数民族が住んでいる.その沖合に浮かぶ Islas de la Bahía (Bay Islands) では,1830年代にカリブ海の Cayman Islands から移民してきた人々の子孫が住んでおり,近年は本土からのスペイン語話者も移住してきているものの,英語が主たる母語として話されている(「#1702. カリブ海地域への移民の出身地」 ([2013-12-24-1]) 及び「#1711. カリブ海地域の英語の拡散」 ([2014-01-02-1]) の移民年表を参照).アメリカからの観光客にも人気が高い.
 歴史的には Bay Islands は17世紀より海賊の温床であった.所有者を何度も変えてきたが,実質的に外から支配されることはなかったといってよい.現在,島民の大多数が黒人も白人も英語を母語として話しており,スペイン語の知識はあまりない.彼らは,島外に出るときには,本土を訪れるというよりもアメリカや西インド諸島の英語圏 (特に先祖の出身地である Jamaica や Cayman Islands)を訪れることのほうが多く,ホンジュラス本土との関係は比較的うすい.ただし,上記の現状は1986年の Lipski (193--94) に依拠したものなので,すでに古い情報になっているかもしれないことを断っておきたい.

 ・ Lipski, John M. "English-Spanish Contact in the United States and Central America: Sociolinguistic Mirror Images?" Focus on the Caribbean. Ed. M. Görlach and J. A. Holm. Amsterdam: Benjamins, 1986. 191--208.

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2014-01-02 Thu

#1711. カリブ海地域の英語の拡散 [geography][geolinguistics][history][timeline][caribbean]

 カリブ海の英語の分布について,「#1679. The West Indies の英語圏」 ([2013-12-01-1]),「#1680. The West Indies の言語事情」 ([2013-12-02-1]),「#1702. カリブ海地域への移民の出身地」 ([2013-12-24-1]) で取り上げてきた.この地域の言語事情は実に複雑であり,主として社会言語学的な関心から "Caribbean linguistics" という名で研究が進められている.
 英語事情をとってみても,移民の歴史,英語が拡散した歴史,pidgin や creole と標準英語の社会言語学的な関係,スペイン語など他の主要言語との共存など,問うべき課題は多い.問題の多様さと複雑さの背景には,歴史自体の多様さと複雑さがあるのだが,Holm (1) は3点を指摘している.その主旨を示すと,(1) この地域の英語の歴史は,個々の島や領土ごとの複数の英語史から成っており,1つの歴史にまとめることが難しい,(2) この地域の英語の拡散史は,イギリスの政治的権力の拡散史とは必ずしも一致していない,(3) この地域の伝統的な歴史記述は,政治史や経済史が主であり,言語史は pidgin や creole に付されていた否定的な評価ゆえに顧みられることが少なかった.(3) については現在では事情は変わってきているのだろうが,(1) と (2) はいかんともしがたい.(2) についていえば,例えば St. Lucia や Dominica は旧英国植民地だが,現在英語は概して第2言語として話されるにすぎない.一方,旧英国植民地ではないコスタリカの Puerto Limón やドミニカ共和国の the Samaná Peninsula では,現在英語が母語として話されている,などの事情がある.
 この地域の移民史と英語拡散史の一端を「#1702. カリブ海地域への移民の出身地」 ([2013-12-24-1]) の記事でみたが,島・領土ごとに情報をまとめた資料が Holm の補遺 (18--19) に与えられていたので,それを示しておきたい.約30年前の古い情報ではあるが,移民の出身地,Holm 執筆当時に得られた人口などがまとめられており,地域の英語事情の概観を得るのに参考にはなるだろう(表中の人口欄の「---」は,他の行に算入されていることを示す).

Date of SettlementTerritorySettled fromCurrent Population
1609Bermuda (Atlantic)Britain, Africa55,000
1624St. Kitts (Leewards)Britain, Africa, Ireland40,000
1627BarbadosBritain, Africa, Ireland280,000
1628Nevis (Leewards)St. Kitts, Ireland15,000
1628Barbuda (Leewards)St. Kitts, Ireland1,100
1631St. Martin (Dutch Ww.)Leewards, Holland, France10,000
1631Providence (West Car.)Britain, Bermuda, New England4,000
1631?San Andrés (West Car.)uncertain4,000
1632Antigua (Leewards)St. Kitts74,000
1633Montserrat (Leewards)St. Kitts, Ireland12,000
1636St. Eustatius (D. Ww.)Leewards, Holland1,000
1640Saba (Dutch Windwards)St. Eustatius, Leewards1,000
1648Bahamas (Eleuthera)Bermuda240,000
1650Anguilla (Leewards)Leewards6,500
1651Suriname (S. America)Barbados (Sranan 1st lang.: 125,000)404,000
1655JamaicaBarbados, Leewards, Suriname, Bermuda2,215,000
1666British Virgin Is.Leewards12,000
1670Cayman Is. (West Car.)Britain, Jamaica16,000
1670CarolinaBritain, Jamaica, Barbados, Bermuda, BahamasGullah: 250,000
1672St. Thomas (Virgin Is.)Leewards, Dutch Windwards, Denmark---
1678Turks and CaicosBermuda7,000
1684St. John (Virgin Is.)St. Thomas---
to 1715Saramaccan (Suriname)Coastal plantations(20,000)
from 1715Djuka (Suriname)Coastal plantations(16,000)
ca. 1730Miskito Coast (C.A.)Belize, Jamaica40,000
1733St. Croix (Virgin Is.)Leewards, St. Thomas---
1740's(British) GuyanaBarbados, Leewards832,000
from 1760Aluku (Fr. Guiana)Coastal plantations of Suriname---
1763Dominica (Br. Windw.)French Antilles (French Creole) 
1763St. Vincent (Br. Ww.)Leewards, Barbados112,000
1763Grenada (Br. Windw.)Fr. Antilles, Leewards, Barbados108,000
1763Tobago?---
from 1780southern BahamasU.S. South---
1786BelizeMiskito Coast150,000
1786Andros, BahamasMiskito Coast---
1797TrinidadWindwards, Barbados, Bahamas1,150,000
1815St. LuciaFrench Antilles (French Creole) 
from 1824Samaná, Dominican Rep.U.S. freedmen8,000
1827Bocas del Toro, PanamaSan Andrés---
1830'sBay Islands, HondurasCayman Islands10,000
1849Nacimiento, MexicoAfro-Seminoles300?
from 1850Rama, east NicaraguaMiskito Coast300?
1870Bracketville, TexasNacimiento Afro-Seminoles300?
1871Puerto Limón, Costa RicaJamaica, Eastern Caribbean40,000
1898Puerto RicoUnited States100,000?
1904--14PanamaJamaica, Eastern Caribbean100,000?
1917Virgin IslandsUnited Statestotal: 100,000
total: 6,398,500


 ・ Holm, J. A. "The Spread of English in the Caribbean Area." Focus on the Caribbean. Ed. M. Görlach and J. A. Holm. Amsterdam: Benjamins, 1986. 1--22.

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2013-12-25 Wed

#1703. 南アフリカの植民史と国旗 [south_africa][history][afrikaans][vexillology]

 南アフリカ (South Africa) では,1/10ほどの国民が英語を母語として話している.その意味では ENL (English as a Native language) 国といってよいが,Afrikaans, Xhosa, Zulu ほか多くの言語が国民によって用いられており,英米のような ENL 国とは状況が異なる(「#177. ENL, ESL, EFL の地域のリスト」 ([2009-10-21-1]) を参照).南アフリカで話されている英語変種については,「#408. South African English と American English の変種構成の類似」 ([2010-06-09-1]) で簡単に取り上げたが,今日は同国植民史と国旗の話をしたい.
 1488年,ポルトガルの航海士 Bartholomew Diaz (1450?--1500) が喜望峰 (Cape of Good Hope) を周回してアジアへと向かう航路を,ヨーロッパ人として初めて開拓した.その後,多くのヨーロッパ船がこの航路を往来したが,17世紀初頭にはオランダとイギリスがこの航路のポルトガルによる独占支配に挑戦するようになった.1652年,オランダ東インド会社が,船舶のための供給基地として Table Bay (現在の Cape Town)に植民地を建設した.オランダ人植民者はオランダ語で農民を意味する Boer と呼ばれるようになり,後に Afrikaner とも呼称された.彼らはアフリカ各地,インド,マレーシアなどからの労働者を使役し,農業を営んで内陸部へ進出していった.そして,Khoekhoe や San などの先住民族と衝突すると,打ち負かしていった.
 1795年,イギリスが Cape 植民地をオランダから奪い,1814年に買い取った.1820年,イギリスは,ボーア人とコサ族 (Xhosa) との紛争に割って入り,両者の新植民地を建設した.これによりイギリスの支配権は強まったが,地域の不安は増した.1830年代から40年代初頭にかけて,反抗するボーア人が Cape 植民地を脱出し,北部への移住 (the Great Trek) を開始した.結果として,1850年代にボーア人によりトランスヴァール国 (Transvaal) とオレンジ自由国 (Orange Free State) が建国された.
 19世紀後半,金山が発見されると,イギリス人やドイツ人がこの地に押し寄せた.イギリス植民地 Natal とボーア人の Transvaal との間で緊張が高まり,後者が前者に軍事侵略したことで,ボーア戦争 (the Boer War; 1880--81, 1899--1902) が勃発.1902年にボーア人が降伏し,ボーア人の両共和国はイギリス植民地となった.1910年,Cape, Natal, Transvaal, Orange Free State の4植民地は,長い協議を経て,南アフリカ連邦 (Union of South Africa) へと統合.1961年に現在の南アフリカ共和国の名前に変わった.
 南アフリカは以上のような複雑な植民史を経ており,国旗もそれを反映している.現在の国旗は下に掲げた左側のもので,6色(使用色数は世界最多)のデザインだが,これは1994年に改められたものである.それ以前の1928--94年には右側のような図案が用いられていた.この図案では,大きな国旗の中に3つの小さな国旗が配置されている.大きな黄白青の横縞の国旗は昔のオランダの国旗である.小さな国旗については,左が Union Jack,中央がオレンジ自由国の国旗,右がトランスヴァール国の国旗である.中央と右のものには,赤白青の縞が見えるが,これは現在のオランダの国旗である.つまり,全体としてオランダのルーツ(ボーア人)をとどめながらも,イギリス植民地としての歴史をも刻んでいる,植民史を体現したような国旗だったといえよう.

National Flag of South AfricaNational Flag of South Africa from 1928 to 1994

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2013-12-24 Tue

#1702. カリブ海地域への移民の出身地 [geography][geolinguistics][history][timeline][map][caribbean]

 この4日間の記事 ##1698,1699,1700,1701 で,Gramley の英語史のコンパニオンサイトより,7章のための補足資料を参照しながら,英語圏の人々の移住とそれに伴う英語拡散の歴史を,目的地あるいは出身地により整理してきた.今日はこの一連の話題の最後として,同資料の pp. 7--8 より,カリブ海地域 (the Caribbean) への人々と英語の進出を整理したい.

FROMTO
17th Century Movements
BritainBermuda (1609); Providence Island (1631); Cayman Islands (1670)
IrelandSt. Kitts (1624); Barbados (1627); Nevis, Barbuda (1628)
AfricaBermuda (1609)
BermudaProvidence (1631); Bahamas (1648); Jamaica (1655); Turks + Caicos (1678)
New EnglandProvidence (1631)
St. KittsNevis, Barbuda (1628); Antigua (1632); Montserrat (1633)
The Leeward IslandsAnguilla (1650); Jamaica (1655); St. Thomas (1672)
BarbadosSuriname (1651); Jamaica (1655)
SurinameJamaica (1655)
JamaicaCayman Islands (1670)
St. ThomasSt. John (1684)
18th Century Movements
Belizethe Moskito Coast (1730)
Jamaicathe Moskito Coast (1730)
LeewardsSt. Croix (1733); Guyana (1740s); St. Vincent, Grenada (1763)
St. ThomasSt. Croix (1733)
BarbadosGuyana (1740s); St. Vincent, Grenada (1763), Trinidad (1797)
American SouthBahamas (1780ff)
Moskito CoastBelize, Andros, Bahamas (1786)
WindwardsTrinidad (1797)
19th Century Movements
US (freed slaves)Samaná (Dominican Republic) (1824)
San AndrésCocas del Toro (Panama) (1827)
Cayman IslandsBay Islands (Honduras) (1830s)
JamaicaPuerto Limón (Costa Rica) (1871)
USPuerto Rico (1898)
20th Century Movements
JamaicaPanama (1904--1914)
USthe American Virgin Islands (1917)


 カリブ海地域は日本にとってあまり馴染みのない地域なので,地理関係もつかみにくいかもしれない.地域の地図は,「#1679. The West Indies の英語圏」 ([2013-12-01-1]) を参照.  *
 外からの人口流入もさることながら,同地域内での人々の移動も頻繁だったことがよくわかる.例えば,Barbados, Belize, Bermuda, Cayman Islands, Jamaica, the Moskito Coast, St. Kitts, St. Thomas, Suriname の名前は,出発地にも目的地にも現れている.また,Jamaica 発で英語が広がった the Bay Islands (Honduras), the Corn Islands (Nicaragua), Blue Fields (Nicaragua), Puerto Limón (Costa Rica) や Belize など中米に属する英語圏の存在は忘れられがちだが,英語の拡散を扱う上では見逃せない.この地域の英語拡散の歴史についての詳細は,Holm を参照.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
 ・ Holm, J. A. "The Spread of English in the Caribbean Area." Focus on the Caribbean. Ed. M. Görlach and J. A. Holm. Amsterdam: Benjamins, 1986. 1--22.

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2013-12-23 Mon

#1701. アメリカへの移民の出身地 [geography][geolinguistics][history][timeline][caribbean]

 「#1699. アメリカ発の英語の拡散の年表」 ([2013-12-21-1]) の記事では,アメリカ「から」の人々の移住と英語の拡大の歴史を一覧したが,アメリカ「へ」の人口流入の歴史も,アメリカ英語の形成過程を論じる上では重要な知識である.アメリカ移民史は一大分野をなすが,英語史の話題として論じるにあたっては,簡便なリストが手元にあると重宝する.「#158. アメリカ英語の時代区分」 ([2009-10-02-1]) よりは詳しいが,本格的な移民史よりは簡略な表が,Gramley の英語史のコンパニオンサイトにあった.7章のための補足資料 (pp. 6--7) より再現しよう.一部,目的地として米国以外の地域も含まれている.

FROMTO
Southern EnglandEastern New England, the coastal South (from the early 17th century)
The CaribbeanVirginia and the plantation South (from the early 17th century)
Northern England, Scotland, UlsterSoutheast Pennsylvania, the Piedmont, and the Appalachian South (all from the late 17th century)
GermanyPennsylvania (from the late 17th century)
The 13 coloniesUpper Canada, the Maritimes (in the late 18th century)
HaitiLouisiana (in the late 18th century)
New EnglandNorthwest Territory (from the early 19th century)
Pennsylvania, Maryland, Virginia, and the Carolinas, and Georgiathe Ohio Valley and Southern Appalachians (from the 18th century)
US (freed slaves)Liberia (from 1822)
Upper Canadathe Prairie and Mountain provinces; British Columbia (19th century)
Midwestthe Oregon Territory, California, and the Mountain West (19th century)
New EnglandHawaii (late 19th century)
Far WestAlaska (late 19th century)
US (colonial administration)Philippines (from 1898--1946)


 上掲は,主としてアメリカが目的地となる移住についての表だが,部分的にアメリカが出発地となる移住の情報とも読める.移民はアメリカへ移動し,アメリカ内を移動し,アメリカから移動しているのである.その意味では,「#1698. アメリカからの英語の拡散とその一般的なパターン」 ([2013-12-20-1]) の略図も参考になるだろう.
 上の年表によれば,アメリカ英語の形成と拡散の歴史は,17世紀初頭に始まり20世紀半ばまで続いたことが示唆されるが,その後もアメリカ(英語)が現在にいたるまで世界各地に影響力を行使し続けていることを考えれば,広い意味でのアメリカ英語の拡散史は約400年に及ぶことになる.対応するイギリス英語の拡散史は450年余なので,近現代における英語の世界展開の歴史に限定するのであれば,アメリカ英語にも充分に長い歴史があるということになろう.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.

Referrer (Inside): [2015-07-06-1] [2014-01-24-1]

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2013-12-22 Sun

#1700. イギリス発の英語の拡散の年表 [bre][geography][geolinguistics][history][timeline][caribbean]

 昨日の記事「#1699. アメリカ発の英語の拡散の年表」 ([2013-12-21-1]) を受けて,今日はイギリス版を.昨日と同様,Gramley の英語史のコンパニオンサイトより,7章のための補足資料の p. 6 を転載する.イギリス諸島のどの地域から,世界のどの地域へ人々と英語が移動したかを時代順に示したものである.

FROMTO
Southwest EnglandSoutheastern Ireland (from 1556 to well into the 17th century)
Scotland + EnglandUlster (from 1606 to the 1690's)
England + ScotlandNorth America (from 1607)
Britain + Irelandthe Caribbean (esp. Barbados) (from 1627)
Britain + IrelandAustralia (from 1788)
EnglandSouth Africa (from 1820)
Britain + AustraliaNew Zealand (from 1820)
Britain (exploration, trade, colonial administration)West Africa: Gambia (1661, 1816); Sierra Leone (1787); Ghana (1824; 1850); Nigeria (1851, 1861); Camero on (1914)
East Africa: Uganda (1860's); Malawi (1878); Kenya (1886); Tanzania (1880's)
Southern Africa: South Africa (1795); Botswana (19th century); Namibia (1878); Zambia (1888); Zimbabwe (1890); Swaziland (1894)
South Asia: India (1600); Bangla Desh (1690); Sri Lanka (1796); Pakistan (1857)
Southeast Asia: Malaysia (1786); Singapore (1819); Hong Kong (1841)


 この表をじっくり眺めれば,いかにイギリスが16世紀半ばから19世紀半ばまでの約300年間にわたって,ゆっくりと確実に英語の種を世界中に蒔いてきたかが分かるだろう.もちろん19世紀半ば以降もイギリスによる世界各地の統治は続いたし,現在でもその遺産は「#1676. The Commonwealth of Nations」 ([2013-11-28-1]) として生きているので,広い意味でのイギリス英語の拡散は優に450年を超える歴史を有しているといえよう.
 関連する年表や地域リストについては,「#1368. Fennell 版,英語史略年表」 ([2013-01-24-1]),「#1377. Gelderen 版,英語史略年表」 ([2013-02-02-1]),「#215. ENS, ESL 地域の英語化した年代」 ([2009-11-28-1]) も参照.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.

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2013-12-21 Sat

#1699. アメリカ発の英語の拡散の年表 [ame][geography][geolinguistics][history][timeline]

 昨日の記事「#1698. アメリカからの英語の拡散とその一般的なパターン」 ([2013-12-20-1]) で,アメリカを中心地とする英語の拡散について話題にした.近代から現代にかけての英語の拡散の中心地といえば真っ先にイギリス,すなわち大英帝国の存在が思い浮かぶが,19世紀以降のアメリカ発の拡散も,現在の英語の分布に大きく貢献している.
 アメリカ発の英語の拡散も,その領土の拡大と二人三脚で進行した.イギリスと比較した場合のアメリカの領土拡大の特徴は,世界を目指す外的な拡大ではなく,概ね北米にとどまる内的な拡大だった点である.確かに,「#255. 米西戦争と英語史」 ([2010-01-07-1]),「#1589. フィリピンの英語事情」 ([2013-09-02-1]),「#1697. Liberia の国旗」 ([2013-12-19-1]) の記事で取り上げた Guam, Puerto Rico, the Philippines, Liberia などのように,世界への展開もあるにはあるのだが,基本的には内的な拡大とみてよい.アメリカの領土拡大と英語拡散の歴史については,「#1368. Fennell 版,英語史略年表」 ([2013-01-24-1]),「#1377. Gelderen 版,英語史略年表」 ([2013-02-02-1]),「#215. ENS, ESL 地域の英語化した年代」 ([2009-11-28-1]) などで触れているが,とりわけこの点に注目した年表を以下に掲げたい.Gramley の英語史のコンパニオンサイトの,著書の7章に相当する補足資料の p. 5 より抜き出したものである.

1. The original extent of the US according to the Treaty of Paris at the end of the War of Independence in 1783 extended to the Mississippi River.
2. In 1803 the Louisiana Purchase, the territory ceded to the U.S. by Napoleon for $15 million, doubled the territory of the US, which now reached the Rocky Mountains.
3. First West Florida (1810 and 1813) and then East Florida (1819) were taken from Spain by invasion and the payment of $5 million.
4. Texas, once a Mexican state, then an independent republic run by American settlers since 1836, was annexed by the US in 1845.
5. The Northwest Territory (Oregon, Washington, and British Colombia), claimed by Britain and the U.S. as well as Spain and Russia, was peaceably divided between the former two in 1846.
6. In the Mexican-American War (1846--1848) vast conquered areas in the west (California) and southwest (New Mexico, Arizona) were annexed. The US indemnified Mexico for $10 million. Many speakers of Native American languages and Spanish became US citizens.
7. Further Mexican territory (the Gadsden Purchase, 1853) was acquired for $10 million to ease the building of a rail line to California.
8. The US bought Alaska from Russia for $7.2 million in 1867 (Seward's Folly). The original Inuit peoples are today a distinct minority.
9. The kingdom of Hawaii (formerly known as the Sandwich Islands) became a republic after a coup by Americans living there in 1893. It was annexed in 1898. Today the Hawaiian language is making something of a comeback within a context of a society dominated by StE and Hawaiian Creole English.
10. The Spanish-American War ended with the US taking over numerous territories, some such as Cuba only temporarily, others longer. Today Puerto Rico is a commonwealth, Spanish-language American territory, and Guam in the Pacific, a bilingual territory. The Philippines, for which the U.S. paid Spain $20 million, remained an American colony until 1946. Pilipino is the national language in this very multilingual country, and English is a widely used L2.


 19世紀の最初の2/3の時期のあいだに,アメリカ合衆国は大西洋沿岸から内陸へ,西へ南へ北へと領土を拡大した.この時期に,アメリカは北米に盤石な基礎を作りあげた.19世紀後半からは,Hawaii, Guam, other Pacific islands, the Philippines, Puerto Rico, the American Virgin Islands など世界へも進出したが,その頃までには,世界には進出できる主要な地域は多く残されていなかったのが実態である.
 上記の Gramley の補足資料には,その他にも人々の移住と英語の拡散との関係をまとめた表が盛りだくさんで,重宝する.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.

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2013-12-20 Fri

#1698. アメリカからの英語の拡散とその一般的なパターン [ame][variety][map][geography][geolinguistics][history][linguistic_imperialism]

 昨日の記事「#1697. Liberia の国旗」 ([2013-12-19-1]) で,Liberia の英語が,イギリス英語ではなくアメリカ英語に基礎を置いている歴史的背景を略述した.「#376. 世界における英語の広がりを地図でみる」 ([2010-05-08-1]) では歴史的にイギリス英語とアメリカ英語の影響化にある地域を図示したが,今日はアメリカ英語を基盤とした英語の世界展開,さらに英語の世界展開の一般的なパターンについて考えてみたい.
 移民,征服,交易などによる人々の移動は,言語そのものの地理的拡大に貢献する.これは,geolinguistics や geography of language と呼ばれる分野で専門的に取り扱われる話題である.19世紀より前には,英語の中心地はブリテン諸島にあり,そこから英語が植民や交易により北アメリカ,カリブ海,アフリカ,オーストラリア,ニュージーランド,アジアなどへと展開していた.しかし,19世紀に近づくと,アメリカが英語の拡散のもう一つの中心地として成長してきた.英語は,そこからアメリカ西部,アラスカ,カナダを始め,カリブ海,ハワイ,フィリピン,リベリアなどへも展開した(関連して「#255. 米西戦争と英語史」 ([2010-01-07-1]) を参照).アメリカからの英語の拡散を駆動した要素は,当初はイギリスの場合と同様に重商主義 (mercantilism) と領土の拡大 (territorial expansion) だったが,19世紀終わりまでには,新たに宗教と文明という要素もアメリカ発の英語の拡大に貢献した.
 やがて,New England から出発してカナダに入った英語も,それ自身がもう一つの中心となろうとしていた.こちらは北米の外へ展開することはなく,内部的な拡散でとどまったが,拡散の過程で新たな中心地が生み出されたという点では,イギリスやアメリカが先に示していたパターンと変わるところがない.英語の拡散の過程で生まれた中心地と,そこからのさらなる拡散を,Gramley (159) の図を参考に,下のように表わしてみた.

Spread of English In and From America

 この英語の拡散のパターンは世界の至る所で繰り返された.イギリス英語の流れを汲む Jamaica の英語も,それ自体が拡散の中心となり,中央アメリカの沿岸部へ影響を及ぼした.Western Jamaica から広がった Belize, Bay Islands, Corn Islands, Blue Fields, Puerto Limón の英語がその例である.また,Australia は,New Zealand, the Solomon Islands, Fiji, Papua New Guinea への展開の中心地となったし,South Africa は Namibia, Zimbabwe, Lesotho, Malawi への展開の中心地となった.極めて類似したパターンである.
 英語は,他の帝国主義国の言語と異なり,このパターンにより大成功を収めたのである.Gramley (159--60) は,英語の拡大の成功について次のように分析している.

What we see, then, is economically and demographically motivated expansion and closely related to it, a geographical spread of English to a unique extent. While the other major European colonial powers, Spain, Portugal, France, and The Netherlands, also acquired colonial empires, they differed because they did not establish settler communities which repeated the process of expansion to the degree that Britain did. In the case of Russia there was "merely" what is most frequently seen as "internal" expansion eastward. And the late-comers to the field, Germany, Italy, and Japan, were able to acquire relatively few and less desirable territories and were knocked out of the game at the latest by losing World War I (Germany) or World War II (Japan, Italy).


 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.

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2013-12-05 Thu

#1683. Pitkern [creole][contact][history]

 イングランドの航海士・探検家の William Bligh (1754--1817) は,James Cook (1728--79) の南洋の最終航海にも付き従った腕利きの船乗りだった.西インド諸島のプランテーション経営者より,奴隷用の食料としてのパンノキを確保する方法を探るよう求められ,1787年12月,Bligh は海軍の科学調査船バウンティー号 (HMS Bounty) の船長として Tahiti への航海に出た.船上の指揮や天候等の幾多の困難の末,1788年10月に Tahiti に到着した.数ヶ月の滞在の後,1789年4月4日にイングランドへの帰路についたが,船員の無能に腹を立てることの多かった Bligh に対して,長年の右腕であった航海仲間 Fletcher Christian (1764--c1790) が,4月28日,9人の仲間とともに反乱を起こした.世に知られる "Mutiny on the Bounty" である.Bligh と18人の船員はボートで海に流されたが,Bligh は不屈の精神で翌年イングランドにたどりつく.一方,バウンティー号に残った Christian 一行は,Tahiti に戻るが,その後現地の男女数名を引き連れて,Tahiti の南東へ2000キロ以上も離れた Pitcairn Island へたどり着き,船を焼き払って小さな植民地を設立した.その後20年弱の詳細は不明だが,1808年,アメリカの捕鯨船によって彼らの子孫が島で生き延びていることが発見された.
 Pitcairn はこの事件に先立つ1767年に英国船によって発見されていたが,当時は無人だった.人が住み始めたのはこの事件がきっかけであり,現在,島民のほとんどが「反乱者たち」の末裔である.Pitcairn は,19世紀にはアメリカとオーストラリアの間の捕鯨基地として機能したが,1856年に人口過剰を解消すべく島民の一部が現在のオーストラリア領 Norfolk Island へ移住した.
 現在も,英領 Pitcairn と豪領 Norfolk Island では,反乱事件とその後の経緯で生じた creole である Pitkern が話されている.英語とタヒチ語が完全に入り交じった混成語である.どちらの言語が基盤であるか分からないほどの混成ぶりであり,"dual-source creole" の例と言われる.Norfolk Island における creole は,英語の影響を受けて post-creole 化している.Trudgill (183) の記述を引用しよう.

Pitcairnese, the language of the remote Pacific Ocean island Pitcairn, is a dual-source creole which is the sole native language of the small community there. The Pitcairnese are for the most part descendants of the British sailors who carried out the famous mutiny on the Bounty and Tahitian men and women who went with them to hide on Pitcairn from the British Royal Navy. Their language is a mixed and simplified form of English and Tahitian (a Polynesian language) . . . . Pitcairnese also has speakers on Norfolk Island, in the Western Pacific, who are descended from people who resettled there from Pitcairn. On Norfolk Island, the language is in close contact with Australian English, and is consequently decreolizing (in the direction of English, not Tahitian). We can therefore describe it as a dual-source post-creole.


 両地域の詳細については,CIA: The World Factbook より Pitcairn Islands および Norfolk Island を参照.

 ・ Trudgill, Peter. Sociolinguistics: An Introduction to Language and Society. 4th ed. London: Penguin, 2000.

Referrer (Inside): [2014-01-08-1]

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2013-11-28 Thu

#1676. The Commonwealth of Nations [history][elf][linguistic_imperialism]

 単に the Commonwealth とも.英連邦,イギリス連邦などと訳される.「英国王を結合の象徴としてイギリスと,かつて英帝国に属し,その後独立したカナダ・オーストラリア・ニュージーランド・インド・スリランカなど多数の独立国および属領で構成するゆるい結合体」である.母体は1917年に設立された.
 19世紀前半に形成されたイギリス帝国内での本国対植民地という支配・被支配構造は,第1次世界大戦後に,対等な独立国家間の連邦体制に取って代わられた.この頃から,the British Commonwealth of Nations の名が次第に用いられるようになってきた.ただし,当初の加盟国は少数の白人国家にすぎなかったため,帝国的な色彩は残っていた.現在のように多人種共同体となったのは第2次世界大戦後のことであり,1949年の連邦首脳会議において,イギリス王に対する忠誠の義務はなくなり,イギリス中心的な要素も弱まった.そこで,名前も the Commonwealth of Nations と改められた.
 The Commonwealth の公式サイトによると,現在の加盟国は53カ国である.加盟国の合計人口は約20億人である.以下に加盟国を地域ごとに一覧しよう.

 ・ Africa: Botswana, Cameroon, Ghana, Kenya, Lesotho, Malawi, Mauritius, Mozambique, Namibia, Nigeria, Rwanda, Seychelles, Sierra Leone, South Africa, Swaziland, Uganda, United Republic of Tanzania, Zambia
 ・ Asia: Bangladesh, Brunei Darussalam, India, Malaysia, Maldives, Pakistan, Singapore, Sri Lanka
 ・ Caribbean and Americas: Antigua and Barbuda, Bahamas, The, Barbados, Belize, Canada, Dominica, Grenada, Guyana, Jamaica, St Kitts and Nevis, St Lucia, St Vincent and The Grenadines, Trinidad and Tobago
 ・ Europe: Cyprus, Malta, United Kingdom
Pacific: Australia, Fiji, Kiribati, Nauru, New Zealand, Papua New Guinea, Samoa, Solomon Islands, Tonga, Tuvalu, Vanuatu


 本部はロンドンにあり,2年ごとにいずれかの加盟国において首脳会議を開くことになっている.首脳はすべて非公式に個人の立場で出席するので,国際政治機関ではなく,緩やかに形成された国際クラブといったところだろう.現在では国際的な発言力はほとんどなくなっている.実際,去る11月15日〜17日に,英連邦首脳会議がスリランカのコロンボで開催され,キャメロン英首相はそこで影響力を示そうと,スリランカ内戦時の戦争犯罪疑惑の早期解明を求めたが,スリランカや他国はこれを内政干渉としてと受け止め,拒否した.18日付けの読売新聞記事のタイトルは「英,連邦内の威信低下」だった.出席した国は27カ国にとどまるなど,形骸化が進んでいる.また,加盟国資格の停止を契機に2003年に脱退したジンバブエや,今年10月に「英連邦は新植民地主義だ」として脱退したガンビアの例など,求心力が失われてきている.
 英連邦の威信低下の背景には,世界情勢の変化がある.英国は,旧宗主国として旧植民地や旧自治領に経済支援を行うことで威信を保ってきた経緯があるが,インドやマレーシアなど自ら経済成長を遂げて援助を必要としなくなった国も増えてきた.
 さて,英連邦を英語という観点からみると何が言えるだろうか.ポルトガル語を公用語とする Mozambique を除けば,すべての加盟国において,実際上,英語が公用語の地位におかれている.この点において,英連邦は,広い意味での「英語国」によって構成される世界最大の連合体であるといえる.もっとも,現在英語は「英語国」の特権的な所有物ではなく,広く世界の lingua_franca として機能していることを考えれば,現在,この世界最大の英語国の連合体が果たしてどれほどの意義をもつのか,疑問を感じざるを得ない.

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2013-11-11 Mon

#1659. マケドニア語の社会言語学 [linguistic_area][map][slavic][history][dialect_continuum][sociolinguistics][ethnic_group]

 バルカン諸国 (the Balkans) における民族・宗教・言語の分布が複雑なことはよく知られている.バルカン半島は,「#1314. 言語圏」 ([2012-12-01-1]) を形成しており,「#1374. ヨーロッパ各国は多言語使用国である」 ([2013-01-30-1]) の好例となっており,「#1636. Serbian, Croatian, Bosnian」 ([2013-10-19-1]) という社会言語学的な問題を提供しているなどの事情により,社会言語学上,有名にして重要な地域となっている.以下,Encylopædia Britannica 1997 より同地域の民族分布図を以下に掲載する.言語分布図については,今回の話題に関するところとして Ethnologue より Greece and The Former Yugoslav Republic of Macedonia と,「#1469. バルト=スラブ語派(印欧語族)」 ([2013-05-05-1]) で言及した Distribution of the Slavic languages in Europe を挙げておこう.

Ethnic Map of the Balkans

 マケドニア共和国 (The Former Yugoslav Republic of Macedonia) は,人口約200万を擁するバルカン半島中南部の内陸国である.国民の2/3以上がマケドニア語 (Macedonian) を用いており,公用語となっているが,国内で最大の少数民族であるアルバニア人によりアルバニア語 (Albanian) も話されている(人口統計等は Ethnologue より Macedonia を参照されたい).マケドニア語は South Slavic 語群の言語で,Serbian や Bulgarian と方言連続体を形成している.後述するように,マケドニア語は,この南スラヴの方言連続体と,従属の歴史ゆえに,現在に至るまで言語の autonomy の問題に苦しめられている.
 マケドニア人とこの土地の歴史は古い.Alexander the Great (356--23 BC) を輩出した古代マケドニア王国は西は Gibraltar から東は Punjab までの広大な帝国を支配した.古代マケドニア語 (Ancient Macedonian) は南スラヴ系の現代マケドニア語 (Macedonian) とはまったく系統が異なり,またギリシア語とも区別されると言われるが,ギリシア人は古代マケドニア語をギリシア語の1方言とみなしてきた経緯がある.ギリシアはギリシア語の autonomy に対する古代マケドニア語の heteronomy という主従関係を政治的に利用して,マケドニアを自らに従属するものとみなしてきたのである.ギリシア北部には歴史的に Makedhonia を名乗る州もあり,マケドニアにとっては南に隣接するギリシアから大きな政治的圧力を感じながら,国を運営していることになる.実際,ギリシアはマケドニア共和国の独立を,主権侵害とみなしている.
 さて,紀元後の話しに移る.マケドニアは6世紀にビザンティン帝国の一部であったが,550--630年の間に,この地にカルパチア山脈の北からスラヴ民族が侵入した.以来,マケドニアの支配的な言語はギリシア語とスラヴ語の間で交替したが,15世紀末にはオスマン帝国の一部に組み込まれた.1912--13年のバルカン戦争ではセルビア人の支配下に入り,1944年にはユーゴスラヴィア共和国へ統合された.この従属の歴史の過程で,マケドニアで話されていた南スラヴ語は,セルビア人にとってはセルビア語の1方言とみなされ,ブルガリア人にとってはブルガリア語の1方言とみなされ,自らの言語的な autonomy を獲得する機会をもつことができなかった.現在でも,セルビア人やブルガリア人はマケドニア語の自立性を,すなわちその存在を認めていない.マケドニアにおいては,政治的従属の歴史は言語的従属の歴史だったといってよい.
 このように複雑な歴史をたどってきたにもかかわらず,マケドニアという呼称が土地名,国名,民族名,言語名に共通に用いられていることが問題を見えにくくしている.古代マケドニア語(民族)と現代マケドニア語(民族)は指示対象が異なるというのもややこしい.周辺の3国は,この混乱を利用してマケドニアへの政治的圧力をかけてきたのであり,マケドニア語は,その後ろ盾となるはずの独立国家が成立した後となっても,いまだ不安定な立場に立たされている.autonomy 獲得に向けての道のりは険しい.
 以上,Romain (15--17) を参照して執筆した.

 ・ Romain, Suzanne. Language in Society: An Introduction to Sociolinguistics. 2nd ed. Oxford: OUP, 2000.

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2013-09-24 Tue

#1611. 入り江から内海,そして大海原へ [history][geography][map][old_norse]

 昨日の記事「#1610. Viking の語源」 ([2013-09-23-1]) で,''Viking' = 「入り江に住む者」の説を紹介した.入り江とは,海が陸地に入り込んだ静かな湾のことである.この入り江の地理的特徴に注目して,渡部昇一先生が,ヴァイキングや日本人のような海洋民族の発生について,興味深い説を紹介している.

ヴァイキングがどうして来たかというと、あれはやはり耕す場所がないから、ある程度人口が増えると海に乗り出さざるをえなかったんだと思うんですね。おもしろいセオリーがあります。海洋民族というか、海に乗り出す民族というのは、必ず故郷には静かな小さな海があるというんです。ヴァイキングなんかもフィヨルドが細く長くて非常に静かですから、そこで船の操作を覚えて、いつの間にか海に親しみを持つんですね。そうして、ある時期にパーッと外へ乗り出す。ちょうど日本でも同じように瀬戸内海があったもんですから、ここで船に乗って訓練をして、あるときから和冦になって荒らし回ったりする。つまり静かな海がないところでは海洋民族はできないというんですね。アフリカだとかインドというのは、いきなり大洋に面しちゃうもんですから、海が圧倒的に強くて征服できない。結局、海洋民族にならない。海洋民族は必ず静かな海があるところで舟を操るのがうまくなってから出てくるという説があります。(59--60)


 瀬戸内海とは規模は違うが,北海 (the North Sea) もある意味では内海である.ヴァイキングにとって,スカンディナヴィア西岸のフィヨルドの入り江は操船の訓練地だった.そこで基本的な技術を習得した後に,中級レベルの北海で実践し,さらに上級レベルの大西洋へも乗り出していった.
 デーン人やノルウェー人の北海進出と,それに続くイギリス諸島およびノルマンディへの侵入の経路は,スカンディナヴィア人の故郷からの目線で眺めると,よく理解できる.湖の対岸に向かうがごとき船旅である.北海周辺の地図を時計回りに90度回転させれば,北海上の自然な航路を同定することができるだろう.

Map of the North Sea

 ブリテン島の東部・北部が文化的にも言語的にも北方的である理由が,地勢としてよくわかる.同様に,ブリテン島の南部が大陸的(フランス的)である理由,西部がとりわけ島嶼的(ケルト的)である理由も納得できるだろう.

 ・ 渡部 昇一,ピーター・ミルワード 『物語英文学史 --- ベオウルフからバージニア・ウルフまで』 大修館,1981年.

Referrer (Inside): [2017-03-25-1]

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2013-08-05 Mon

#1561. 14世紀,Norfolk 移民の社会言語学的役割 [sociolinguistics][me_dialect][history][geography][demography][geolinguistics]

 古英語 West-Saxon 方言の y で表わされる母音が,中英語では方言により i, u, e などとして現われることについては,「#562. busy の綴字と発音」 ([2010-11-10-1]),「#563. Chaucer の merry」 ([2010-11-11-1]),「#570. bury の母音の方言分布」 ([2010-11-18-1]),「#1434. left および hemlock は Kentish 方言形か」 ([2013-03-31-1]) などの記事で取り上げた.
 14世紀後半より書き言葉の標準が徐々に発達していたときに,どの方言形が標準的な形態として最終的に選択されたかにより,現代英語の busy, bury, merry などに見られるような,綴字と発音の種々の関係が帰結してしまった.「#562. busy の綴字と発音」 ([2010-11-10-1]) では「個々の語の標準形がどの方言に由来するかはランダムとしかいいようがない」と述べたが,標準化に際して,現代英語の kinsin につらなる単語など,大多数が北部・東部に由来する i を反映することになったことは事実である.傾向として i が多かったという事実については,何らかの説明が可能かもしれない.
 この問題について,地村 (33--35) は G. Kristensson ("Sociolects in 14th-Century London." Nonstandard Varieties of Language: Papers from the Stockholm Symposium 11--13 April 1991. Stockholm: Almqvist & Wiksell International, 1994. 103--10) の議論に拠りながら,14世紀のロンドンに流入した Norfolk 出身の人々が担っていた社会言語学的な役割を指摘している.14世紀初頭のロンドンへの移民リストのなかで,Norfolk 出身者がトップの座を占めていた.Norfolk からの著しい人口流入は少なくとも1360年までは続いており,これらの Norfolk 移民は主として行政や商業に関する職業に就いていたため,ロンドンにおいて社会的に優勢な集団を形成していたと考えられる.そして,彼らの社会的な地位とともに,彼らが故郷からもってきた北部・東部系の i の地位も上昇し,最終的にロンドンにおいて威信ある発音として受け入れられたのではないかという.

ロンドンにいるノーフォーク出身の人々は人口の上層部、つまり行政方面で影響を与える商人の階級を形成したことがわかる。彼らの方言は次の点でロンドンの地方言とは逸脱していた。OE /y(:)/ に対して /i(:)/、stret におけるように OE /æ:/ に対して /ɛ:/ または /e:/、fen におけるように OE /e/ に対して /e/、milk におけるように OE /eo/ に対して /i/、flax, wax のような語では /a/、old, cold のような語では /ɔ:/、fen, fair のような語では /f-/ である。ロンドン英語におけるこの変種は14世紀前半に生じて、14世紀後半では重要な社会方言として目立つようになったと言っても過言ないであろう。この英語は、裕福な商人の階級の属する人達によって使用され、恐らく格式の高い方言となり、フランス語とラテン語が公用語の地位を失った時、(政府の)官庁で使われた模範的な言語となった。政府高官の多くはノーフォークの移住民集団に所属していたように思われる。(地村,pp. 33--35)


 では,なぜ Norfolk からの移民がこの時期これほどまでに著しかったのだろうか.1つには,この地域がイングランドで最も人口密度の高い地域であったことが挙げられる.しかし,より重要なことは,Norfolk 人の多くが,イングランドに大きな富をもたらす羊毛産業に従事していたことである.さらに,Norfolk は古英語後期からの歴史的事情によりスカンディナヴィア系の人口を多く抱えており,農民は他の地域の農奴 (villein) よりも自由な地位を有していたために,産業活動の発達と商人階級の勃興が促されたという事情もあったろう.
 以上のような人口分布,経済活動,歴史的条件が相俟って,Norfolk 方言がロンドンにおいて幅を利かせることとなったということが事実だとすれば,これはまさに「#1543. 言語の地理学」 ([2013-07-18-1]) の話題だろう.その記事の終わりに示した「エスニーの一般的特徴」の図において枠で囲ったキーワードのほとんどが,上の議論に関与している(すなわち,言語,領域,住民,経済,社会階級,都市網,主要都市,政治制度).

 ・ 地村 彰之 『チョーサーの英語の世界』 溪水社,2011年.

Referrer (Inside): [2013-11-23-1]

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2013-04-02 Tue

#1436. EnglishEngland の名称 (2) [anglo-saxon][history][toponymy][etymology][latin]

 今回は,「#1145. EnglishEngland の名称」 ([2012-06-15-1]) に対する補足と追加の記事.5世紀半ばにアングル人 (Angles) ,サクソン人 (Saxons) ,ジュート人 (Jutes) を中心とする西ゲルマンの諸部族がブリテン島へ移住してきてから,これらの部族を統括して呼ぶ名称や,彼らが新しく占拠した土地を呼ぶ名称は,誰がどの言語で呼ぶのかによっても変異があったし,時代とともに変化もしてきた.結果としては,Angle びいきの総称が選ばれ,形容詞や言語名の English や国名の England が一般化した.なぜ Saxon や Jute を差し置いて Angle が優勢となったのかについては明確な答えがないが,推測できることはある.
 少なくとも8世紀から,ラテン語で Angli Saxones という表現が用いられていた.ここでは Angli は形容詞,Saxones は複数名詞で「アングル系サクソン人たち」ほどの意味だった.これは,大陸に残っていたサクソン人たち (Old Saxons) と区別するための呼称であり,形容詞 Angli にこめられた意味は「アングル人と一緒にブリテン島に渡った」ほどの意味だったと思われる.やがて,対立を明示する形容詞 Angli に力点が移り,これが固有名と解されて独立したということは,ありそうなことである.もしこのような経緯で8世紀中に Angli がブリテン島に住み着いた西ゲルマン民族の総称および領土名として再解釈されていったと考えれば,9世紀に Bede の古英語が出された際に,Angelcynn (gens Anglorum の訳)が総称的に用いられていた事実が特に不思議ではなくなる.また,同時期の880年頃には,Alfred 大王と Guthrum との間で取り交わされた条約のなかで "Danish" に対して "English" が用いられている.さらに,言語名としての Englisc も,やはり同時期に,Bede 古英語訳や Alfred のテキストに現われている.
 このように,Englisc は9世紀中に形容詞あるいは言語名として定着したが,領土名としての AngelcynnEngla land 系列に置き換えられるのは,11世紀の Chronicle を待たねばならなかった.Engla land のほか,Engle land, Englene londe, Engle lond, Engelond, Ingland なども行なわれたが,後に定着する England が現われるのは14世紀のことである.
 以上,Crystal (26--27) に拠った.

 ・ Crystal, David. The Stories of English. London: Penguin, 2005.

Referrer (Inside): [2016-03-05-1] [2015-06-25-1]

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2013-03-16 Sat

#1419. 橋本版,英語史略年表 [timeline][history][historiography]

 timeline の各記事で書きためてきた英語史年表シリーズに,『英語史入門』から橋本版の略年表 (216) を加えたい.英語史の最重要事項に絞られているが,右2列に日本史の流れが合わせて示されており有用.

55--54 BCシーザー英国征服失敗

43 ADクローディアス英国征服

410ローマ兵士本国に引き揚げる

c405ラテン語訳聖書 (The Vulgate) 翻訳完成

432St. Patrick がアイルランドで布教開始

449Angle, Saxon, Jute の英国侵入開始538仏教伝来
c563St. Columba がスコットランドで布教開始(北から南下するアイリッシュ・キリスト教)

597St. Augustine ケントで布教開始(南から北上するローマ・カトリック教)604十七条の憲法制定


645大化の改新
664Whitby 宗教会議(キリスト教2派の対立を収拾するための宗教会議)672壬申の乱
c680Beowulf 完成

c700最古の英語の文献現れる708和同開珎の鋳造


710--94奈良朝
735Bede 死す712『古事記』
787Viking の英国侵入開始720『日本書紀』
871Alfred 大王が Wessex 国王に就任794--1192平安朝
886デーン・ロー (Danelaw) のとり決め(アングロ・サクソン人とヴァイキングの居住区域の協定)797『続日本紀』


c900『竹取物語』
1016--42ヴァイキングの王カヌートが英国の王に就任(ヴァイキングの言葉が公用語になる)c1000『枕草子』


c1010『源氏物語』


c1059『更級日記』
1066ノーマン・コンクエスト(ヴァイキングの子孫でフランス国王の公爵ノルマンディー公が英国の王に就任.英国の公用語がフランス語になる)c1120『今昔物語』
1171Henry II がアイルランド侵攻1192--1333鎌倉時代
1337--1453100年戦争 (Hundred Years' War)c1219『平家物語』
1348--50黒死病 (Black Death)c1330『徒然草』


1336--1392南北朝時代
1362議会で英語を使用1336--1573室町時代
1367Edward 黒太子スペイン遠征c1371『太平記』
1343--1400Geoffrey Chaucer1397金閣寺の建立
1381農民一揆 (Peasants' Revolt)

1384Wycliffe が新約・旧約聖書・外典を完訳

1400--大母音推移 (the Great Vowel Shift)c1402世阿弥『花伝書』
1476Caxton が印刷機械を英国に導入1489銀閣寺の建立
1534英国国教会 (Church of England)1543鉄砲伝来
1558カレー喪失,Elizabeth I 即位1549キリスト教伝来
1565--1616William Shakespeare1590秀吉の全国統一
1607最初のアメリカ大陸入植1603--1867江戸時代
1611『欽定訳聖書』1612キリスト教禁止令
1620メイフラワー号で清教徒プリマス入植1639鎖国令
1642--49Charles I が議会と戦争 (Civil War)

1649Charles I 処刑,共和国成立1682『好色一代男』
1755Samuel Johnson が英語辞書出版1782--87天明の大飢饉
1884--1928the Oxford English Dictionary (旧名:the New English Dictionary)出版1868--1912明治時代
1899--1861Ernest Hemingway1867--1916夏目漱石


 ・ 橋本 功 『英語史入門』 慶應義塾大学出版会,2005年.

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2013-02-02 Sat

#1377. Gelderen 版,英語史略年表 [timeline][history][historiography]

 [2011-06-13-1]の Crystal 版,[2013-01-24-1]の Fennel 版,[2013-01-25-1]のフィシャク版に引き続き,英語史年表シリーズ.今回は,Gelderen の英語史概説書 (313--17) より抜き書き.概説書にしてもそうだが,年表も,何度も同じもの,違うものを眺めていると,発見があるものである.

8000 BC   Hunter-gatherers move across Europe also into what is now the British Isles
6500 BC   Formation of English Channel
6000 BC   Shift to farming
3000 BC   Stonehenge culture
2500 BC   Bronze Age in Britain
1000 BC   Migrations of Celtic people to Britain begins
600 BC   Iron Age
55 BC--54 BC   Expeditions by Caesar
43   Invasion by Claudius
43--47   South and East England brought under Roman control
50   London founded
70--84   Wales, Northern England, and Scotland under Roman control
100--200   Uprisings in Scotland
122   Hadrian Walls begun
150   Small groups of settlers from the continent
410   Romans withdraw
450   Hengest and Horsa come to Kent ('invited' to hold back the Picts)
455   Hengest rebels against Vortigern
477   Saxons in Sussex
495   Saxons in Wessex
527   Saxon kingdoms in Essex and Middlesex
550   Anglian kingdoms in Mercia, Northumbria, and East Anglia
560   Æthelberht becomes King of Kent
597   Augustine missionaries land in Kent and conversion to Christianity starts
794   Scandinavian attacks on Lindisfarne, Jarrow, Iona and subsequent conquest of Northumbria
865   Scandinavian conquest of East Anglia
871--899   Rule of King Alfred and establishment of the Danelaw
1016--1042   Rule of King Cnut and his heirs
1042--1066   Rule of King Edward (January 1066)
1066   Death of King Edward (January 1066)
1066   King Harold's defeat at Hastings and William of Normandy takes over (December 1066)
1066   William (of Normandy) becomes king (December 1066)
1095   First Crusade
1162   Becket is murdered
1169--1172   Conquest of Ireland
1204   King John loses Normandy to the French
1282--1283   Conquest of Wales
1290   Expulsion of Jews from England
1315--1316   Great Famine
1337--1453   The 100-year War
1349--1351   The Black Death, i.e. plague, kills one-third of the population
1362   Statute of Pleadings (legal proceedings in English)
1381   The Peasants' revolt
1382   Condemnation of Wycliff
1476   Introduction of the printing press by Caxton
1492   Columbus reaches the 'New World'
1497   Cabot reaches Newfoundland, Canada
1504   St John's, Newfoundland, established as the first British colony in North America
1509--1547   Reign of Henry VIII
1534   Act of Supremacy, English monarch becomes head of the Church of England
1536   Monasteries dissembled
1539   English bible in every church
1550   Population of England reaches 3 million
1558--1603   Queen Elizabeth I
1600   The East India Company is granted a charter
1607   Settlement at Jamestown
1611   The King James Bible (KJV)
1612   English presence in Bermuda and in India
1620   Pilgrim fathers establish colony in Plymouth
1624--1630   War between England and Spain
1626--1629   War between England and France
1627--1647   Settlements on Barbados and the Bahamas
1629   Charles I dissolves parliament
1642--1648   First and Second Civil War
1649   Charles I beheaded
1649   Charles II becomes king
1649   Jews officially admitted
1649--1655   Cromwell conquers Ireland
1655   English presence in Jamaica
1653--1660   Cromwell is 'Lord Protector'
1660   Charles II 'restored''
1660   Royal Society founded, to promote science
1670   Hudson Bay Company active
1670--1679   Colonization of West Africa
1688   The Glorious Revolution
1689--1702   Rule of William and Mary
1700   Population of England is 5 million
1707   Act of Union, uniting England and Scotland as the UK
1746   Battle of Culloden; subsequent repression of Scottish Gaelic
1755   Johnson's Dictionary
1759   Wolfe takes Quebec for England
1760--1850   Highland Clearances in Scotland, with resulting emigration and loss of Celtic
1763   Trading in Basra, Iraq
1765--1947   British rule over India
1773   Boston Tea Party
1775--1783   American War of Independence
1776   American Declaration of Independence
1780--1789   Colonies (of convicts) in Australia
1789   French Revolution
1789   George Washington first American president
1791   British colonies in Upper and Lower Canada
1803   Louisiana Purchase
1806   British take over the Cape Colony in South Africa
1806   Webster's Dictionary
1819--1824   Malacca and Singapore occupied by the British
1820--1829   Railroads in the US
1821--1823   Irish famine
1830--1839   Settlement of New Zealand
1834   Slavery abolished in the British Empire
1842   China cedes Hong Kong
1844   First telegraph
1837--1901   Reign of Queen Victoria
1853   Gadsden Purchase
1853   Japan opened to Western trade
1858   Decision to start the OED
1861--1865   American Civil War
1861   British colony in Nigeria
1862   British colony in Honduras
1865   Abolition of slavery in the United States of America
1869   Suez Canal opened
1876   Telephone invented
1884   Berlin Conference determines colonial power in Africa
1886   Annexation of Burma
1890--1899   Rhodesia and Uganda colonized in an attempt to control the Cape-to-Cairo corridor
1880--1902   Boer Wars and British conquest of South Africa
1898   American control over Hawaii, Philippines, and Puerto Rico
1898   Hong Kong and Territories leased to Britain for 99 years
1901   Death of Queen Victoria
1907   Hollywood becomes a filmmaking center
1914--1918   First World War
1916   Easter Uprising, leading to Irish independence in 1921
1918   Women (over 30) get the vote in Britain
1920   Kenya as British colony
1922   BBC starts
1928   OED appears (with supplement in 1933)
1931   Statute of Westminster (former British Dominions de fact independent); British Commonwealth
1939   photocopying invented
1939--1945   Second World war
1942   First computers
1945   United Nations founded
1946   Philippines independent
1947   The independence of India and Pakistan; and New Zealand
1948   Burma and Ceylon (Sri Lanka) independent
1949   NATO founded
1950--1953   Korean War
1951   First computers
1960   Nigeria becomes independent
1960   World population reaches 3 billion
1961--1975   Vietnam War
1963   Kenya becomes independent
1973   Britain joins European Union (confirmed in a 1975 referendum)
1980   CNN starts
1984   Apple PC
1990   Native American Languages Act
1990--1991   Gulf War
1990--1999   Internet becomes major communication tool
1999   World population reaches 6 billion
2000   OED online
2003   Iraq War
2003   In Wales, 20% speak Welsh, up 2.4% in 10 years


(後記 2013/03/18(Mon):同じ年表は Gelderen のコンパニオンサイトより,"Timeline" から閲覧できる.)

 ・ Gelderen, Elly van. A History of the English Language. Amsterdam, John Benjamins, 2006.

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2013-01-25 Fri

#1369. フィシャク版,英語史略年表 [timeline][history][historiography]

 昨日の記事「#1368. Fennell 版,英語史略年表」 ([2013-01-24-1]) に引き続き,今日はフィシャク版の年表を再現する.日本語での英語史年表もあると便利だと思い,和訳に従った (207--10) .同じ英語史の年表といっても,作成者によって力点が異なるものであり,それぞれに特徴がある.年表も確かに1つの歴史記述の方法であるということを認識させられる.

55, 54 BC   ユーリウス・カエサルが軍隊を率いてブリテン島に上陸
43 BC   ローマ帝国による組織的なブリテン島征服が始まる
end of C3   ゲルマン人諸部族による最初のブリテン島攻撃
367   スコット人(アイルランドから),ピクト人(北から),サクソン人(東から)が,ローマ支配下のブリテン島を攻撃
375   フン族の西進を逃れようと西ゴート族がドナウ川を渡りローマ領内に侵入し,ゲルマン民族の大移動が始まる.ローマ帝国が大打撃を受ける
383   ローマ軍がローマに召喚される
410   最後のローマ軍団がブリテン島から撤退
449   ゲルマン人部族がブリテン島に侵入し,征服を始める
c500   「バドニクス丘」の戦いで侵入者ゲルマン人が敗れ,ブリテン島征服は南部において一時中断
547?   ハンバー川以北にアングル族が王国を建てる
597   聖アウグスティヌスがケント王国に到着し,ブリテン島南部に住んでいたゲルマン人にキリスト教の布教を始める
634   アイルランドの修道僧がノーサンブリアのキリスト教化に乗り出す
655   マーシアのキリスト教改宗がノーサンブリアとアイルランドの宣教師たちの手により完了
664   ノーサンブリアにおいて,ホイットビー教会会議が開かれる.ブリテン島やアイルランドのキリスト教がローマ教会に統一される契機となる
c725   口承による『ベーオウルフ』がこの頃完成される
787   デーン人の侵攻が始まる
865   デーン人侵攻の第2期
871--899   アルフレッド大王の治世
879   アルフレッド大王と(グスルムが率いる)デーン人との間でウェドモアの協定.デーンロー地域の確定
886   アルフレッド大王がロンドンを占領.グスルムの王国を除く全イングランドがその統治権を認める
964   修道院の改革が始まり,英語の標準化に影響を与える
973   エドガーがバースにおいて,初めてキリスト教の儀式による戴冠式を挙げ,(デーンロー地域を含む)全イングランドの最初の王となる
991   オラフ・トリュグヴァソンがイギリスに侵攻.デーン人侵攻の第3期が始まる
1066   ウィリアム征服王がヘースティングズの戦いで勝利をおさめ,ノルマン人の英国征服が始まる.フランス語とラテン語が英語に代わって公用語となる
1154   『ピーターバラ年代記』と呼ばれる写本の記録はこの年で終結する.(一般に『アングロ・サクソン年代記』と呼ばれる.写本は7つあり,カエサルの侵入から始まっている.)
1204   ジョン王がフランス国王フィリップ2世に敗れ,ノルマンディーがフランス王の手に渡る.イギリスの民族主義が高まり始める
1250   英国貴族の二重忠節が終結し,フランス語を重んずる必要がなくなる
1258   ヘンリー3世が,ノルマン人の英国征服以降初めて英語で布告を出す
1295   チェルムズフォードの裁判所で,文書が英語とフランス語の両語で読まれる
1337--1453   百年戦争.この戦争により,イギリス人はフランスのあらゆるものに対して敵愾心を抱くようになる
1344   大法官宛の請願書が初めて英語で書かれる
1348--1350   黒死病のため,イギリス社会に大規模な住民の移動がおこる
1362   国会が初めて英語で開会される.議会は「訴答手続法」を制定し,1363年1月以降はすべての訴訟手続,審議は英語で行なうことに決められる
1381   農民一揆がおこり,社会的変動の進行を加速する
c1385   英語がイングランド全域の学校で用いられるようになる
1413   ヘンリー4世が英国王として初めて英語で遺書を残す
1422   英語による最初の玉璽文書
1423   国会の議事録が英語で書かれ始める
c1430   町や同業組合の公文書に英語を用い始める
1476   ウィリアム・キャクストンがイングランドに戻り,ウエストミンスターに最初の印刷所をつくる
1499   キャクストンの後継者ピンソンが,英語・ラテン語の二言語語彙集,『子供のための言葉の宝庫』を出版する(書かれたのは1440年).辞書編纂への一歩となる
1534   ヘンリー8世がローマ教会との関係を絶ち,英国国教会が成立
1564--1616   ウィリアム・シェークスピアの生涯
1586   ウィリアム・ブローカ著『文法のための小冊子』(同著者による現存しない文法書の簡易版)が出版される.最初の英文法書
1588   スペインの無敵艦隊に勝利.英語が世界に広がる端緒となる
1604   ロバート・コードリー著『アルファベット順語彙一覧』の出版.最初の英語の一言語辞典(英英辞典)
1607   アメリカに英語がもたらされる.今日のヴァージニア州に,入植者によってジェームズタウンが建設される
1611   欽定英訳聖書(ジェームズ王聖書)の出版
1639--1686   インド(マドラス,カルカッタ,ボンベイ)に英国の入植地が建設される
1642--1660   市民革命
1664   王立教会が「英語を改良するための」委員会を設置
1712   J. スウィフトによるオックスフォード伯への手紙が『英語の矯正,改良,確定のための提案』として出版され,アカデミーの設立を促す
1713   ノヴァスコシアがフランスからイギリスに譲渡される
1755   サミュエル・ジョンソン著『英語辞典』が出版される.19世紀末まで正しい英語の揺るぎない権威的存在となる
1759   ウルフ将軍がケベックの戦いでフランス軍に勝利
1761   インドがイギリスの植民地となる
1769--1777   キャプテン・クックが,南太平洋への航海途上で,オーストラリア,ニュージーランド,タスマニアをイギリス王領と宣言する
1775--1783   アメリカ独立戦争により,アメリカ合衆国の誕生
1788   オーストラリアのニューサウスウェールズに最初の流刑地植民地が建設される.ケープタウン(南アフリカ)にあるオランダ植民地がイギリス領有となる
1805   トラファルガーの海戦においてイギリス軍がフランス軍に勝利する.イギリスが海上覇権を掌握し植民地拡大への道を開く
1816   イギリスで最初の安価な新聞が発行され,英語に影響を与えるマスメディア時代が始まる
1840   ニュージーランドにおいて,イギリス植民地が建設される.イギリスの安価な郵便制度が文字通信の発達を促し,さらに英語が普及する
1858   『新英語辞典』(後に『オックスフォード英語辞典』と称される)の編集作業が始まる
1890--1910   数多くの発明や科学上の発見が,英語に前例のない大きな影響を与える
1899--1901   南アフリカのブール戦争において初期オランダ入植者の子孫が敗北.イギリスの覇権が確立
1914--1918   第1次世界大戦.英語の威信が高まる.フランス語は教育言語として,また外交言語としてさえ,その地位を失い始める(ヴェルサイユ条約がフランス語と英語で書かれる)
1939--1945   第2次世界大戦がさらに,英語の普及を押し進め,その威信を高める


 ・ ヤツェク・フィシャク著,小林 正成・下内 充・中本 明子 訳 『英語史概説 第1巻外面史』 青山社,2006年.

Referrer (Inside): [2013-02-02-1]

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2013-01-24 Thu

#1368. Fennell 版,英語史略年表 [timeline][history][historiography]

 「#777. 英語史略年表」 ([2011-06-13-1]) では,Crystal 版の英語史略年表を掲載したが,今回は Fennell 版を再現する.Fennell では各章の最初に対象となっている時代に関する年表が載せられており,以下はそれをほぼ忠実に編集したまでで,細かくは整理していない.Fennell の著書の題名から予想されるとおり,社会史的な側面が強く反映されている年表である.

8000 BC   Hunter groups move into Lapland
7000 BC   Wheat, barley and pulses cultivated from Anatolia to Pakistan; goats and pigs domesticated
7000 BC   Farming developed on Indian subcontinent; barley main crop
6500 BC   Adoption of farming in Balkan region; beginning of the European Neolithic spread of domestic animals, probably from Anatolia
6200 BC   Farming villages established in the west and central Mediterranean
5200 BC   First farmers of central Europe spread northwest as far as the Netherlands
4500 BC   Cattle used as plough animals in lower Danube region
4500 BC   First megalithic tombs built in western Europe
4400 BC   Domestication of horse on Eurasian Steppes
4200 BC   Earliest copper mines in eastern Europe
4200 BC   Agriculture begins south of the Ganges
3800 BC   Ditched enclosures around settlements in western Europe, forming defended villages
3500 BC   New faming practices: animals increasingly used for traction, wool and milk; simple plough (ard) now used in northern and western Europe
3250 BC   Earliest writing from western Mesopotamia: pictographic clay used for commercial accounts
3200 BC   First wheeled vehicles in Europe (found in Hungary)
3100 BC   Cuneiform script developed in Mesopotamia
3000 BC   Construction of walled citadels in Mediterranean Europe and development of successful metal industry
2900 BC   Appearance of Corded Ware pottery in northern Europe
2500 BC   Bell beakers found in western Europe, often associated with individual burials
2500 BC   Development of urban civilization in the Indian Plain
2500 BC   Earliest syllabic script used in Sumerian literature
2300 BC   Beginning of full European Bronze Age
2000 BC   Fortified settlements in east and central Europe point to increasing social and economic pressures
1900 BC   Cretan hieroglyphic writing
1850 BC   Horses used for the first time to pull light carts in the western Steppes
1650 BC   Linear A script (Crete and the Cyclades)
1650 BC   City-states of central Anatolia unified to form the Hittite kingdom with a strongly fortified capital at Boğazköy
1400 BC   Linear B script (mainland and islands of Greece)
1400 BC   Development of pastoral nomadism on the Steppes: cattle herded from horseback
1300 BC   Westward spread of urnfield cemeteries
1200 BC   Collapse of Hittite empire
1000 BC   Hillforts in Western Europe
1000 BC   Full nomadic economy on the Steppes based on rearing horses, cattle and sheep
850 BC   First settlement at Rome; cluster of huts on Palatine Hill
800 BC   Establishment of culture north and east of Alps --- first stage of Celtic Iron Age (Hallstatt)
800 BC   Rise of Etruscan city-states in central Italy
800 BC   Rise of cities and states in Ganges Valley supported by rice farming
750 BC   First Greek alphabetic inscription
750 BC   Ironworking spreads to Britain
750 BC   Earliest Greek colonies set up from western Mediterranean to the eastern shores of the Black Sea
690 BC   Etruscan script developed from Greek
600 BC   Trade between Celts north west of Alps and Greek colonies of the west Mediterranean; rich wagon burials attest to wealth and power of Celtic elite
600 BC   Latin script
600 BC   Central lowlands of northern Europe first settled
600 BC   First Greek coins
480 BC   2nd stage of European Bronze Age (La Tène)
480 BC   Emergence of classical period of Greek arts and architecture
480 BC   City-states reach height of importance
460 BC   Parchment replaces clay tablets for Aramaic administrative documents
450 BC   Athens, the greatest Greek city-state, reaches the peak of its power
400 BC   Carthage dominates the west Mediterranean
390 BC   Celts sack Rome
334 BC--329 BC   Alexander the Great invades Asia Minor, conquers Egypt and Persia and reaches India; Hellenism established in Asia
331 BC   Alexandria founded
250 BC   Brahmin alphabetic script in India
250 BC   All of peninsular Italy controlled by Rome
206 BC   Rome gains control of Spain
146 BC   Romans destroy the Greek states but Greek culture still important and Greek artists brought to Rome
146 BC   Roman destruction of Carthage
55 BC   Julius Caesar attempts to invade Britain
27 BC   Augustus sole ruler of Roman empire
43--50   Emperor Claudius invades Britain
50   Rome largest city in the world --- population 1 million
117   Roman empire reaches its greatest extent
125   Hadrian's Wall built
285   Administrative separation of eastern and western halves of Roman empire
313   Edict of Milan: toleration of Christianity in Roman empire
330   Constantine founds Constantinople as new eastern capital of the Roman empire
410   Sack of Rome by Visigoths leading to collapse of western Roman empire
410   Romans withdraw from Britain
429   German (Vandal) kingdom in north Africa
449   Angles, Saxons and Jutes invade Britain
597   St Augustine introduces Christianity to the English
787   Scandinavian invasions begin
793   Sacking of Lindisfarne
878   King Alfred defeats the Danes at Eddington
878   Treaty of Wedmore
899   King Alfred dies
1016   Danish King Cnut rules England
1042   Accession of Edward the Confessor to the English throne
1066   Battle of Hastings; Norman Conquest
1095   First Crusade
1170   Assassination of Thomas à Becket
1204   King John loses lands in Normandy
1259--1265   The Barons' War
1337--1453   The Hundred Years War
1340--1400   Geoffrey Chaucer
1346   Battle of Crecy
1346   Battle of Poitiers
1348--1351   The Black Death
1362   Parliament opened in English
1362   The Statute of Pleading (English becomes the official language of legal proceedings)
1381   The Peasants' Revolt
1415   Battle of Agincourt
1476   Caxton introduces the printing press
1489   French no longer used as the language of Parliament
1509   Henry VIII ascends the throne
1534   Act of Supremacy
1536   Small monasteries dissolved
1536   Statute incorporates all of Wales with England
1539   English translation of Bible in every church
1547   Edward VI
1553   Mary Tudor
1554   Mary marries Philip of Spain
1558   Elizabeth I
1559   Act of Supremacy restores laws of Henry VIII
1574   First company of actors; theatre building begins
1577   Sir Francis Drake plunders west coast of South America
1584   Colonists at Roanoke
1600   British East India Company founded
1600   Population of England c.2.5 million
1603   James I
1605   Barbados, West Indies, claimed as English colony
1606   Virginia Company of London sends 120 colonists to Virginia
1607   Jamestown, Virginia, is established by London Co. as the first permanent English settlement in America
1611   King James Bible
1616   Death of Shakespeare
1620   The Pilgrims arrive at Plymouth Rock on the Mayflower
1621   English attempt to colonize Newfoundland and Nova Scotia
1625   Charles I
1627   Charles I grants charter to the Guiana Company
1633   English trading post established in Bengal
1637   English traders established in Canton
1639   English established at Madras
1642--1646   Civil War
1646   English occupy the Bahamas
1648   Second Civil War
1649   Cromwell invades Ireland
1649   Charles I beheaded
1649   Charles II
1649   Commonwealth established
1653   Cromwell becomes Lord Protector
1655   English capture Jamaica
1660   Charles II restored to throne
1663   Charles II grants charter to Royal African Company
1668   British East India Company gains control of Bombay
1670   English settlement in Charles Town, later Charleston, South Carolina
1680--1689   Welsh Quakers settle in large numbers in Pennsylvania
1680--1689   First German immigrants in America
1684   Bermudas become Crown Colony
1689   William and Mary proclaimed king and queen in England and Ireland
1690   Calcutta founded
1690   Population of England c.5 million
1700   Population of England and Scotland 7.5 million
1707   Union of England and Scotland as Great Britain
1707   British land in Acadia, Canada
1710   English South Sea Company founded
1727   George II
1729   North and South Carolina become Crown Colonies
1729   Benjamin and James Franklin publish 'The Pennsylvania Gazette'
1744   Robert Clive arrives at Madras
1756--1763   The French and Indian War in North America
1759   British take Quebec from the French
1760   George III
1762   British capture Martinique, Grenada, Havana and Manila
1765--1947   British Raj in India
1770   James Cook discovers Botany Bay, Australia
1774   Parliament passes the Stamp Act, unifying the colonies against the British
1775   The East India, or Tea, Act prompts the Boston Teat Party
1775--1783   American War of Independence
1776   American Declaration of Independence
1776   The Revolutionary War begins
1778   Cook discovers Hawaii
1783   The Treaty of Paris successfully ends the Revolution
1783   British recognize US independence
1784   Pitt's India Act: East India Company under government control
1786   Penang ceded to Great Britain
1789   George Washington inaugurated as first US President
1790   The first penal colony established in Sydney, Australia
1795, 1806   British forces occupy Cape of Good Hope
1800   British capture Malta
1803   The Louisiana Purchase doubles the size of US territory
1810   British seize Guadeloupe
1811   British occupy Java
1812--1814   War of 1812 between the USA and Britain
1819   Florida purchased by the USA from Spain
1819   British settlement established in Singapore by East India Company
1822   English becomes the official language of the Eastern Cape of South Africa
1822   Liberia founded --- Africa's oldest republic
1824   Erie Canal opens, strengthening east-west trade, but increasing the isolation of the south
1824   British take Rangoon, Burma
1828   The Baltimore and Ohio Railway opens
1832   Britain occupies the Falkland Islands
1837   Queen Victoria
1837   The electric telegraph demonstrated by Samuel Morse
1840   New Zealand becomes an official colony
1840   Penny post introduced in Britain
1842   Hong Kong ceded to Great Britain
1848   Gold discovered in California
1849   Gold Rush
1851   Victoria, Australia, proclaimed separate colony
1852   New constitution for New Zealand
1858   Powers of East India Company transferred to British Crown
1860   Kowloon added to British territories in South-East Asia
1861   Civil War begins with the Confederate attack on Fort Sumter
1861   British Colony founded in Lagos, Nigeria
1863   Emancipation of the slaves is proclaimed, as of 1 January
1865   General Lee surrenders to Grant at Appomattox
1865   President Lincoln is assassinated, five days later
1867   Alaska is purchased from Russia, becoming the 49th state in 1959
1867   Federal Malay States become a Crown Colony
1869   The first transcontinental railroad is completed
1876   Alexander Graham Bell patents the telephone
1877   Edison invents the phonograph
1878   David Hughes invents the microphone
1879   London opens its first telephone exchange
1884   Papua New Guinea becomes British protectorate
1885   Britain established protectorate over Northern Bechuanaland, Niger River Region and southern New Guinea, and occupies Port Hamilton, Korea
1886   First Indian National Congress meets
1887   First Colonial Conference opens in London
1888   Cecil Rhodes granted mining rights by King of Matabele
1890   Rhodes becomes Premier of Cape Colony
1893   Uganda united as British protectorate
1893   USA annexes Hawaii
1895   Marconi invents radiotelegraphy
1895   Auguste and Louis Lumière invent the motion-picture camera
1895   British South Africa Company territory south of the Zambezi River becomes Rhodesia
1898   America receives Guam and sovereignty over the Philippines
1898   New Territories leased by Britain from China for 99 years
1899   First magnetic sound recordings
1899--1902   Boer War
1900   R. A. Fessenden transmits the human voice via radio waves
1900   British capture Bloemfontein, relieve Mafeking, annex Orange Free State and Transvaal and take Pretoria and Johannesburg Commonwealth of Australia created
1901   Marconi transmits radiotelegraph messages from Cornwall to New Zealand
1901   End of Queen Victoria's reign
1903   Ford Motor Company founded
1903   Orville and Wilbur Wright make the first successful manned flight at Kitty Hawk, North Carolina
1903   British conquer northern Nigeria
1907   New Zealand becomes a dominion within the British Empire
1908   Union of South Africa established
1908   Henry Ford introduces the mass-produced Model T
1914   Panama Canal opened
1914--1918   World War I
1916   USA purchases Danish West Indies (Virgin Islands)
1917   USA purchases Dutch West Indies
1919   League of Nations founded
1920   Gandhi emerges as leader of India
1920   Kenya becomes British colony
1921   British Broadcasting Corporation founded
1921   First Indian Parliament meets
1924   The National Origins Act marks the official end of large-scale immigration to America; from this point on numbers are restricted and quotas are introduced
1924   British Imperial Airways founded
1925   John Logie Baird transmits a picture of a human face via television
1928   John Logie Baird demonstrates first colour television
1929   Teleprinters and teletypewriters first used
1929   First scheduled TV broadcasts in Schernectedy, New York
1929   First talking pictures made
1936   BBC London television service begins
1938   Lajos Biró invents the ball-point pen
1939--1945   World War II
1942   First computer developed in the United States
1942   Magnetic recording tape invented
1944   First telegraph line used between Washington and Baltimore
1945   United Nations founded
1946   Chester Carlson invents Xerography
1946   Philippines become independent from the United States
1947   Transistor invented at Bell Laboratories
1947   India proclaimed independent
1948   Peter Goldmark invents the long-playing record
1951   Colour TV introduced into USA (15 million TV sets in USA)
1952   Accession of Queen Elizabeth II
1957   Common Market established by Treaty of Rome
1957   Malaysian independence
1958   First stereophonic recordings
1962--1975   Uganda, Kenya, Zambia (Northern Rhodesia), Malawi, Malta, Gambia, Southern Rhodesia (Zimbabwe), Guyana, Mauritius, Nigeria, Bahamas, Papua New Guinea all become independent of Great Britain
1965   Atlantic cable completed
1968   Intelsar communication satellite launched
1989   South Africa desegregated
1997   Hong Kong rule returns to China


 ・ Crystal, David. The English Language. 2nd ed. London: Penguin, 2002.
 ・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.

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2013-01-22 Tue

#1366. 英語が非民主的な言語と呼ばれる理由 [lexicology][loan_word][french][latin][renaissance][history][register][sociolinguistics][lexical_stratification]

 「#134. 英語が民主的な言語と呼ばれる理由」 ([2009-09-08-1]) で英語(の歴史)の民主的な側面を垣間見たが,バランスのとれた視点を保つために,今回は,やはり歴史的な観点から,英語の非民主的な側面を紹介しよう.
 英語は,近代英語初期(英国ルネサンス期)に夥しいラテン借用語の流入を経験した (##114,1067,1226).これによって,英語語彙における三層構造が完成されたが,これについては「#334. 英語語彙の三層構造」 ([2010-03-27-1]) や「#1296. 三層構造の例を追加」 ([2012-11-13-1]) で見たとおりである.語彙に階層が設けられたということは,その使用者や使用域 (register) にも対応する階層がありうることを示唆する.もちろん,語彙の階層とその使用に関わる社会的階層のあいだに必然的な関係があるというわけではないが,歴史的に育まれてきたものとして,そのような相関が存在することは否定できない.上層の語彙は「レベル」の高い話者や使用域と結びつけられ,下層の語彙は「レベル」の低い話者や使用域と結びつけられる傾向ははっきりしている.
 この状況について,渡部 (244) は,「英語の中の非民主的性格」と題する節で次のように述べている.

人文主義による語彙豊饒化の努力が産んだもう一つの結果は,英語が非民主的な性格を持つようになった,ということであろう。OE時代には王様の言葉も農民の言葉もたいして変りなかったと思われる。上流階級だからと言って特に難かしい単語を使うということは少なかったからである。その状態は Norman Conquest によって,上層はフランス語,下層は英語という社会的二重言語 (social bilingualism) に変ったが,英語が復権すると,英語それ自体の中に,一種の社会的二言語状況を持ち込んだ形になった。その傾向を助長したのは人文主義であって,その点,Purism をその批判勢力と見ることが可能である。事実,聖書をほとんど唯一の読書の対象とする層は,その後近代に至るまでイギリスの民衆的な諸運動とも結びついている。


 英語(の歴史)は,ある側面では非民主的だが,別の側面では民主的である.だが,このことは多かれ少なかれどの言語にも言えることだろう.また,言語について言われる「民主性」というのは,「#1318. 言語において保守的とは何か?」 ([2012-12-05-1]) や「#1304. アメリカ英語の「保守性」」 ([2012-11-21-1]) で取り上げた「保守性」と同じように,解釈に注意が必要である.「民主性」も「保守性」も価値観を含んだ表現であり,それ自体の善し悪しのとらえ方は個人によって異なるだろうからだ.それでも,社会言語学的な観点からは,言語の民主性というのはおもしろいテーマだろう.
 なお,英語における民主的な潮流といえば,「#625. 現代英語の文法変化に見られる傾向」 ([2011-01-12-1]) や「#1059. 権力重視から仲間意識重視へ推移してきた T/V distinction」 ([2012-03-21-1]) の話題が思い出される.

 ・ 渡部 昇一 『英語の歴史』 大修館,1983年.

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2012-11-16 Fri

#1299. 英語で「みかん」のことを satsuma というのはなぜか? [etymology][history][sobokunagimon]

 日本人が日ごろ見慣れている「みかん」は温州みかん(ウンシュウミカン)を指し,欧米でも広く知られている.英語では satsuma (orange) /sæˈʦuːmə, ˈsæʦʊmə/ と呼ばれているが,どのような経緯で「サツマ」と呼ばれるようになったのだろうか.
 ある説によると,温州みかんの原産地は古くから中国と交流があった天草の南にある島,鹿児島県長島と推定されており,この推定される原産地にちなんで satsuma と呼ばれているということである.
 興味深い別の説によると,原産地が薩摩(鹿児島)であるかどうかは関係なく,在日アメリカ大使館職員の家族が同地方からみかんをアメリカに持ち帰って紹介したことにちなむともされる.
 OED によると,1882年の文献で初めてこの語が使われている.1943年の例として挙げられている文献 Webber and Batchelor (551) に当たってみると,次のような記述があった.

The Satsuma was first introduced into the United States in 1876 by Dr. George R. Hall; and in 1878 General Van Valkenburg, then United States minister to Japan, brought in other trees. The name Satsuma was given to the variety by Mrs. Van Valkenburg.


 ここに言及されている Van Valkenburg という人物について調べてみると,こちらの方のブログに,次のような記述を見つけることができた.

1878年頃、当時横浜に駐在していたアメリカの高官、Robert Van Valkenburg が、奥方と九州を旅行した時、薩摩ミカンのあまりにも甘くて美味しい味に感激し、奥方の故郷であるフロリダへ土産として送り出したという記録が残っているらしい。それと相前後して、フロリダからテキサス一帯にこの薩摩ミカンが紹介され、一気に薩摩ミカンの栽培が広がったようだ。アラバマのイチジクを栽培していた地域が、薩摩ミカンの栽培拡大と共に、1915年に薩摩ミカンに因んで名前を変えて今日に至っている。


 さらに,Louisiana でミカン畑を営む Simon Citrus Farm には,次のような記述も見られる.

The Satsuma mandarin may have originated in China but is was first reported in Japan more than 700 years ago. The first recorded introduction into the United States was in Florida by George R. Hall in 1876. The name "Satsuma" is credited to the wife of a U.S. Minister to Japan, General Van Valkenburg, who sent trees home in 1878 from Satsuma, the name of a former province, now Kagoshima Prefecture, on the southern tip of Kyushu Island.


 上のをまとめれば,まず1876年に Dr. George R. Hall なる人物によって温州ミカンがアメリカに持ち込まれた.その後,別途,1878年に駐日高官 Van Valkenburg 夫妻により温州ミカンがアメリカに導入され,それが satsuma と呼ばれることになったということだ.
 なお,Alabama には Satsuma と呼ばれる地名がある.同市のHPによると,確かに1878年に同州にみかんが紹介されたとある.同町は,以降30年くらいの間にみかんの栽培で知られるようになり,1915年に Satsuma と命名された.ほかにも似たような背景で,Florida, Texas, Louisiana にも Satsuma という地名がある.

・ Webber, Herbert John and Leon Dexter Batchelor, eds. The Citrus Industry. Vol. 1. History, Botany, and Breeding. Berkeley and Los Angeles: U of California P, 1943.

Referrer (Inside): [2019-05-22-1]

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