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hellog〜英語史ブログ

堀田隆一(ほったりゅういち)による,英語史に関する話題を広く長く提供し続けるブログです(note のプロフィールはこちら)."History of the English Language Blog" ということで,略して "hellog".英語史と関連する英語学・言語学一般の話題も扱っています.本ブログで紹介・推薦する書籍などについて,特別に表記しない限り,すべて自主的な言及です.また,堀田は Amazon のアソシエイトとして適格販売により収入を得ています.

まずは,
  1. 英語史の学び始め/続けには,まず以下の記事からスタート!
  2. アクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事
  3. 英語に関する素朴な疑問に関する記事群
  4. 全記事の標題の一覧 (Archives)
  5. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio)
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  7. 知識共有サービス「Mond」での,英語に関する素朴な疑問への回答
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お知らせ 2024年5月13日に khelf による『英語史新聞』第9号がウェブ上に一般公開されました.こちらからPDFでご覧になれます.hellog でもこちらの記事で第9号公開についてお知らせしています.公開後も khelf の X (旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より関連情報を日々お伝えしますので,ぜひフォローをお願いします.2024/05/15(Wed)

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お知らせ heldio 2024年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票を,2024年7月2日(火)より7月9日(火) 23:59 までこちらの投票コーナーにて受け付けています(あるいは右のQRコードよりどうぞ).ぜひ皆さんのマイベスト10をお選びください.2024/07/03(Wed)

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お知らせ 2024年度,白水社の月刊誌『ふらんす』に「英語史で眺めるフランス語」というシリーズタイトルで連載記事を寄稿しています.5月23日に刊行された6月号に連載第3弾が掲載されています.詳しくは hellog の関連記事「#5509. 英語に借用された最初期の仏単語 --- 月刊『ふらんす』の連載記事第3弾」を書いています.2024/06/15(Sat)

お知らせ 2024年4月27日(土)17:30--19:00,朝日カルチャーセンター新宿教室にて新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の幕開けとなります.第1回は「英語語源辞典を楽しむ」です.教室・オンライン同時開催の予定です.ご関心のある方は,こちらよりお申し込みください.hellog でも関連記事「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」を書いています.2024/04/19(Fri)

お知らせ 新年度2024年の4月より khelf による「英語史コンテンツ50+」が始まっています.休日を除く毎日,khelf メンバーより英語史の話題が1つ上がってきます).日々,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio からも関連情報を発信しています.2024/04/19(Fri)

お知らせ 知識共有サービス「Mond」にて英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています.最新の質問&回答はこちらよりご覧ください.2024/05/18(Sat)

Mond Latest

お知らせ 2023年7月より Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) にて「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを展開しています.Baugh and Cable の A History of the English Language (6th ed.) を1回1セクションずつ精読していくというシリーズです.週に1,2回程度のペースで続けています.有料配信ですが冒頭チャプターは試聴可となっていますので,ぜひ聴いてみてください.バックナンバー一覧はこちらの記事よりどうぞ.2024/02/09(Fri)

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お知らせ 2022年2月26日に,同僚の井上逸兵さんと YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を始めています.毎週(水)(日)の午後6時に更新予定です.チャンネルの趣旨としては,こちらの hellog 記事あるいは Voicy でのアナウンスをご一読・ご視聴ください.直下(↓)は最新の YouTube 放送となります.本ブログの関連記事もお読みください.2022/03/10(Thu)

お知らせ 2021年6月2日より,英語史の音声コンテンツを配信する 「英語の語源が身につくラジオ」(通称 heldio)を始めています.本ブログの姉妹版という位置づけで,音声配信プラットフォーム Voicy を通じて,英語史に関する音声コンテンツを提供しています.企画の趣旨として,こちらの hellog 記事をご一読ください.直下(↓)は最新の Voicy 放送となります.2022/08/01(Mon)

お知らせ 2023年6月2日より,上記 heldio にプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) が加わりました.毎週火木土の18:00よりお届けしています.helwa は有料配信となりますが,開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新の helwa 放送となります.2023/09/09(Sat)

お知らせ 2023年7月17日より,Voicy heldio の有料配信として「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを開始しています(各回ともにウェブブラウザ経由で200円です).毎週1,2回の配信を通じて,英語で書かれた英語史の名著を1回1セクションずつ精読解説していきながら,内容についても英語史の専門的な観点から縦横無尽にコメントしていきます.3ヶ月続けて,参加メンバーも徐々に増えてきています.開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新のシリーズ配信回となります.2023/10/22(Sun)

お知らせ 2023年10月6日より,stand.fm にて「英語史つぶやきチャンネル」 を始めています.英語史の話題を不定期でカジュアルにお届けします.直下(↓)は最新の配信回となります.2023/10/09(Mon)

お知らせ 「ゆる言語学ラジオ」の最新回(2023年7月18日公開)「英単語帳の語源を全部知るために、研究者を呼びました【ターゲット1900 with 堀田先生】#247」に出演しています.ぜひご覧ください.関連する hellog 記事もどうぞ.

また「ゆる言語学ラジオ」からこちらのブログに飛んでこられた皆さん,ぜひ
 (1) 本ブログのアクセス・ランキングのトップ500記事,および
 (2) Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の人気放送回50選
をご覧ください.2023/05/31(Wed)

お知らせ 2023年1月中旬に家入葉子先生(京都大学)と堀田の共著となる,英語史研究のハンドブック『文献学と英語史研究』が開拓社より発売となります.本書についてはこちらのページで,著者が様々に紹介しています.2023/01/05(Thu)

『文献学と英語史研究』

お知らせ 2022年12月1日(木)13:00--14:00に,Voicy 生放送で「英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」を配信しました.詳細はこちらの記事よりどうぞ.2022/12/02(Fri)

お知らせ 2022年11月8日に『ジーニアス英和辞典』第6版が発売となりました.新版で初めて導入されたコラム「英語史Q&A」を執筆させていただいていますので,ぜひ辞典手に取って開いてみていただければと思います.コラムについては hellog でもこちらの記事群で関連する話題を取り上げています.2022/11/15(Tue)

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お知らせ 堀田ゼミの紹介ページがゼミ生により立ち上げられました.入ゼミを希望する学生は必見です.堀田による公式のゼミ紹介はこちらの記事からどうぞ.2022/11/04(Fri)

お知らせ ご愛読ありがとうございます,7刷が発行されています.2022年9月より電子書籍としても配信開始です.本ブログの内容を多く取り込んだ拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』が2016年に研究社より出版されました.本の趣旨や補足情報のために,コンパニオン・サイト (naze) を用意していますので,そちらも是非ご覧ください.また,本ブログ内の「#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました」にも紹介があります.2022/09/12(Mon)

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お知らせ 2022年度も連載記事「歴史で謎解き 英語のソボクな疑問」(NHKラジオテキスト『中高生の基礎英語 in English』)を継続しています.最新の9月号では「なぜ英語には類義語が多いの?」という疑問を取り上げています.ぜひテキストを手にとってご覧ください.本ブログより紹介記事もどうぞ.2022/08/15(Mon)

お知らせ このたび様々な言語における標準化の歴史を題材とした本が出版されました.高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.
本ブログ内でも本書の紹介記事をいくつか書いていますので,そちらもご覧ください.さらに,7月9日と8月1日には2回にわたって3編者対談を Voicy で配信しましたので,ぜひこちらこちらより各々お聴きください.

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お知らせ 知識共有サービス「Mond」にて英語に関する素朴な疑問に回答しています.良質な「素朴な疑問」が多いです.こちらからどうぞ.本ブログより紹介記事もどうぞ.2022/02/10(Thu)

お知らせ 本ブログベースの拙著『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』の第4刷が出ています.本書のコンパニオン・ページ及び著者による紹介ページをご覧ください.また,本書の内容に沿ったブログ記事へのリンク (hogusu) はおすすめです.2018/09/02(Sun)hogusu_front_cover_small

その他のお知らせ

お知らせ 「手軽に英語史を」というコンセプトで,地味に「hellog ラジオ版」 (hellog-radio) を始めています.1つ数分以内のコンテンツです.これまでのコンテンツ一覧よりどうぞ.2020/07/09(Thu)

お知らせ 大修館『英語教育』の2020年3月号に,連載「英語指導の引出を増やす 英語史のツボ」の第12回(最終回)の記事が掲載されています.今回の話題は「なぜアメリカ英語はイギリス英語と異なっているのか」です.どうぞご一読ください.2020/02/14(Fri)eigokyouiku_rensai_12_20200214_front_cover_small.jpg

お知らせ 1月5日発売の英語学習誌『CNN English Express』2月号に「歴史を知れば納得! 英語の「あるある大疑問」」と題する拙論が掲載されています.英語史の観点から素朴な疑問を解くという趣向の特集記事で,英語史の記事としては珍しく8頁ほどの分量を割いています.どうぞご一読ください.hellog 内の紹介記事もどうぞ.2019/01/07(Mon)cnn_ee_201902_front_cover_small

お知らせ 私も一部執筆している服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.が2018年3月に出版されました.日本語史と比較対照しながら英語史や英語の歴史的変化について学べます.本ブログ内の#3283の記事にも簡単な紹介がありますのでご覧ください.2018/04/23(Mon)

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お知らせ Simonn Horobin 著 Does Spelling Matter? の拙訳『スペリングの英語史』が早川書房よりより出版されました.紹介記事として,本ブログ内の「#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました」「#3080. 『スペリングの英語史』の章ごとの概要」もご覧ください.2017/10/01(Sun)

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お知らせ 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』に関連する研究社ベースの連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」が始まっています(そして12回で終わりました).2017/12/21(Thu)


最近 7 日分を以下に表示中 / 今月の一覧

2024-07-03 Wed

#5546. heldio 2024年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 7月9日までオープン [voicy][heldio][notice][khelf][link][ranking]


 heldio 2024年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票を,2024年7月2日(火)より7月9日(火) 23:59 までこちらの投票コーナーにて受け付けています(あるいは以下のQRコードよりどうぞ).ぜひ皆さんのマイベスト10をお選びください.


「heldio 2024年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票」





 上記の通り,本ブログの音声版・姉妹版ともいえる毎朝配信の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より,今年第2四半期にお届けしてきた配信回のなかからベスト10を決めるリスナー投票イベントを開催中です.投票会場は7月9日(火)23:59 までオープンしていますので,この機会に聴き逃した過去配信回などを聴取いただき,マイベストの10件をじっくり選んでいただければと思います.
 各配信回へのアクセスは,音声コンテンツ一覧よりどうぞ.4月1日配信の「#1036. 月刊『ふらんす』で英語史の連載を始めています」 から6月30日配信の「#1127. 助動詞の英語史アレコレ」までの91回分が投票の対象となります.
 今回のリスナー投票企画は,前々回の「2023年 heldio の推し配信回」および前回の「2024年第2四半期のベスト回」に続いての企画です.前回の結果は「#5466. リスナー投票による heldio 2024年第1四半期のランキング」でご報告していますので,ぜひご覧いただければ.
 皆さん,今回も奮ってご投票ください.一昨日には投票を呼びかける「#1129. heldio 2024年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票(1人10票,7月9日まで投票受付)を配信しました.なお,この配信回で事情を話していますが,#1113 は欠番回(幻の配信回!)となっています.



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2024-07-02 Tue

#5545. 古英語の定冠詞・疑問詞の具格 [oe][article][determiner][interrogative_pronoun][case][instrumental][inflection][etymology][comparative_linguistics][germanic]

 昨日の記事「#5544. 古英語の具格の機能,3種」 ([2024-07-01-1]) に引き続き,具格 (instrumental) について.古英語の定冠詞(あるいは決定詞) (definite article or determiner) の屈折表を「#154. 古英語の決定詞 se の屈折」 ([2009-09-28-1]) で示した.それによると,þȳ, þon といった独自の形態をとる具格形があったことがわかる.同様に疑問(代名)詞 (interrogative_pronoun) についても,その屈折表を「#51. 「5W1H」ならぬ「6H」」 ([2009-06-18-1]) に示した.そこには hwȳ という具格形が見られる.
 Lass (144) によると,これらの具格形は比較言語学的にも,直系でより古い形に遡るのが難しいという.純粋な語源形が突きとめにくいようだ.この辺りの事情を,直接 Lass に語ってもらおう.

There are remains of what is usually called an 'instrumental' in the masculine and neuter sg; this term as Campbell remarks 'is traditional, but reflects neither their origin nor their prevailing use' (1959: §708n). The two forms are þon, þȳ, neither of which is historically transparent. In use they are most frequent in comparatives, e.g. þȳ mā 'the more' (cf. ModE the more, the merrier), and as alternatives to the dative in expressions like þȳ gēare '(in) this year'. There is probably some relation to the 'instrumental' interrogative hwȳ 'why?', which in sense is a real one (= 'through/by what?'), but the /y:/ is a problem; hwȳ has an alternative form hwī, which is 'legitimate' in that it can be traced back to the interrogative base */kw-/ + deictic */ei/.


 比較言語学の手に掛かっても,すべての語源を追いかけて明らかにすることは至難の業のようだ.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.
 ・ Campbell, A. Old English Grammar. Oxford: OUP, 1959.

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2024-07-01 Mon

#5544. 古英語の具格の機能,3種 [oe][noun][pronoun][adjective][article][demonstrative][determiner][case][inflection][instrumental][dative][comparative_linguistics]

 古英語には名詞,代名詞,形容詞などの実詞 (substantive) の格 (case) として具格 (instrumental) がかろうじて残っていた.中英語までにほぼ完全に消失してしまうが,古英語ではまだ使用が散見される.
 具格の基本的な機能は3つある.(1) 手段や方法を表わす用法,(2) その他,副詞としての用法,(3) 時間を表わす用法,である.Sweet's Anglo-Saxon Primer (47) より,簡易説明を引用しよう.

          Instrumental
   88. The instrumental denotes means or manner: Gāius se cāsere, ōþre naman Iūlius 'the emperor Gaius, (called) Julius by another name'. It is used to form adverbs, as micle 'much, by far', þȳ 'therefore'.
   It often expresses time when: ǣlċe ȝēare 'every year'; þȳ ilcan dæȝe 'on the same day'.


 具格はすでに古英語期までに衰退してきていたために,古英語でも出現頻度は高くない.形式的には与格 (dative) の屈折形に置き換えられることが多く,残っている例も副詞としてなかば語彙化したものが少なくないように思われる.比較言語学的な観点からの具格の振る舞いについては「#3994. 古英語の与格形の起源」 ([2020-04-03-1]) を参照されたい.ほかに具格の話題としては「#811. the + 比較級 + for/because」 ([2011-07-17-1]) と「#812. The sooner the better」 ([2011-07-18-1]) も参照.

 ・ Davis, Norman. Sweet's Anglo-Saxon Primer. 9th ed. Oxford: Clarendon, 1953.

Referrer (Inside): [2024-07-02-1]

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2024-06-30 Sun

#5543. syntagmatic contaminationparadigmatic contamination [language_change][analogy][folk_etymology][contamination][assimilation][numeral][collocation][semantics][antonymy]

 言語変化 (language_change) の基本的な原動力の1つである類推作用 (analogy) に関する本格的な研究書,Fertig の Analogy and Morphological Change についてはこちらの記事群で取り上げてきた.
 今回は Fertig を参照し,contamination (混成)と呼ばれるタイプの類推作用について考えてみたい.「混成」とその周辺の現象が明確に分けられるかどうかについては議論があり,「#5419. blendingcontamination」 ([2024-02-27-1]) でも関連する話題を取り上げたが,ひとまず contamination を区別できるものと理解し,そのなかに2つのタイプがあるという議論を導入したい.syntagmatic contaminationparadigmatic contamination である.具体例とともに Fertig からの関連箇所を引用する (64) .

   Paul's initial conception of contamination (1886) involved influence attributable exclusively to paradigmatic (semantic) relations between forms, but he later (1920) recognized that lexical contamination often involves items that are not only semantically related but also frequently occur in close proximity in utterances. The importance of these syntagmatic relationships is emphasized in almost all modern accounts of contamination (Campbell 2004: 118--20 being the only exception that I am aware of). The most frequently cited examples involve adjacent numerals, which often influence each other's phonetic make-up: English eleven < Proto-Gmc. *ainlif under the influence of ten; Latin novem 'nine' instead of expected *noven under the influence of decem 'ten'; Greek dialectal hoktō 'eight' under the influence of hepta 'seven' (Osthoff 1878b; Trask 1996: 111--12; Hock and Joseph 2009: 163). Similar effects are attested in a number of languages among days of the week and months of the year, e.g. post-classical Latin Octember < Octōber under the influence of November and December.
   Such contamination attributable to syntagmatic proximity of the affecting and affected items is often characterized as distant assimilation. Some scholars characterize contamination as a kind of assimilation even when it is purely paradigmatically motivated. Anttila calls it 'assimilation . . . toward another word in the semantic field' (1989: 76). Andersen (1980: 16--17) explicitly distinguishes such 'paradigmatic assimilation' from the more familiar 'syntagmatic assimilation'. As an unambiguous example of the latter, he mentions the influence of one word on another within a formulaic expression, such as French au fur et à mesure 'as, in due course' < Old French au feur et mesure (Wackernagel 1926: 49--50). Contamination involving antonyms, such as Late Latin sinexter < sinister 'left' under the influence of dexter 'right' or Vulgar Latin grevis < gravis 'heavy' under the influence of levis 'light', could be both paradigmatically and syntagmatically motivated since antonyms frequently co-occur in close proximity within an utterance, especially in questions: Is that thing heavy or light? Should I turn right or left? Wundt's view of paradigm leveling as a type of assimilation should also be mentioned in this context (Paul 1920: 116n 1).


 syntagmatic contamination と paradigmatic contamination の2種類を区別しておくことは,理論的には重要だろう.しかし,実際的には両者は互いに乗り入れており,分別は難しいのではないかと思われる.paradigmatic な関係にある2者は syntagmatic には and などの等位接続詞で結ばれることも多いし,逆に syntagmatic に共起しやすい2者は paradigmatic にも意味論的に強固に結びつけられているのが普通だろう.
 個々の事例が,いずれかのタイプの contamination であると明言することができるのかどうか,あるいはできるとしても,そう判断してよい条件は何か,という問題が残っているように思われる.

 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

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2024-06-29 Sat

#5542. 「ゼロから学ぶはじめての古英語」 Part 9 with 小河舜さん,まさにゃん,村岡宗一郎さん [voicy][heldio][masanyan][ogawashun][oe][oe_text][beowulf][hajimeteno_koeigo][hel_education][notice][popular_passage][literature][preterite-present_verb][helkatsu]



 先週の木曜日,6月20日(木)の夜に,堀田研究室に4名の英語史学徒が集結しました.そこで Voicy heldio にて「はじめての古英語」シリーズの第9弾を収録し,それを一昨日「#1124. 「はじめての古英語」第9弾 with 小河舜さん&まさにゃん&村岡宗一郎さん」としてお届けしました.生配信ではありませんでしたが,ライヴ感のある充実した内容となっているかと思います.ぜひお聴きいただければ.
 今回の収録は,レギュラーメンバーの小河舜さん(上智大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)に加え,村岡宗一郎さん(日本大学)をお呼びして収録しました.今回は古英語のある1文に集中しましたが,それだけで十分に堪能することができました.
 上記のシリーズ回の翌日には「#1125. 「はじめての古英語」第9弾のアフタートーク」で,さらに4人が盛り上がる様子をお届けしています.個々のメンバーによる音読もあり,こちらも必聴です.
 シリーズを重ねるにつれ,お聴きの皆さんの古英語への関心が高まってきているように感じます.さらにいえば,hel活 (helkatsu) 全般が活気づいてきています.リスナーの Grace さんによる A to Z の「英語史研究者紹介」というべき notelacolaco さんによる「英語語源辞典通読ノート」,Lilimi さんによる古英語ファンアートを含む「Lilimiのオト」,り~みんさんによる X 上での古英語音読の試みなど,さまざまに盛り上がってきています
 「はじめての古英語」シリーズ (hajimeteno_koeigo),これからも続けていければと思います.

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2024-06-28 Fri

#5541. 中英語の職業名ベースの複合語の姓 [onomastics][personal_name][name_project][by-name][occupational_term][agentive_suffix][agentive_suffix][compound][suffix]

 目下,私が研究題目として掲げて注目している話題の1つが,現代英語の姓に連なる中英語の by-name である.その中でも職業名に由来する姓に関心を寄せている.
 Fransson (14--15) によると,職業名ベースの複合語となる姓が,中英語では存在感を示している.具体的には複合語の第2要素が著しい役割を果たしている.具体的には -maker, -man, -monger-, -wright の類いが典型だが,調べてみると他にもたくさんある.複合語の第2要素として典型的なものを Fransson の一覧より再掲しよう.

-BATOUR: Orbatour.
-BETER: Coperbeter, Flaxbeter, Goldbeter, Ledbeter, Wodebetere, Wolbetere.
-BIGGERE: Fetherbycger, Shoubiggere.
-BYNDER: Bokbynder.
-BREDERE: Haryngbredere.
-BREYDER: Lacebreyder.
-BRENNER: Askebrenner, Lymbrener.
-BREWERE: Alebrewere.
-BROCHER: Ploghbrocher.
-KARTERE: Heryngkartere.
-KERNERE: Smerekernere.
-CLEVER: Burdclever.
-DRAGHER: Wirdgragher.
-DRAPER: Lyndraper.
-FEUERE: Baiounsfeuere, Orfeuere.
-GRAVER: Orgraver, Selgraver.
-HEWERE: Bordhewere, Fleshhewere, Marlehewer, Silverhewer, Stonhewere, Vershewere.
-HOPER: Goldehoper.
-YETERE: Belleyetere, Bligeter, Brasyetere, Ledyetere, Pannegetter.
-LEGGER: Streulegger.
-LETER: Blodleter.
-LITTSTER: Corklittster.
-MAKER: Aketonmaker, Aruwemakere, Aunseremakere, Belgmakere, Bokmakere, Bordmakere, Botelmaker, Bowemakere, Callemaker, Candelmaker, Kelmaker, Chalunmaker, Chapemaker, Chesemakere, Clokkemaker, Cordemaker, Cottemakere, Delmaker, Dofkotemakere, Elymaker, Flourmakere, Gourdmaker, Hayremaker, Hodemaker, Lepmaker, Maltmakere, Medemaker, Meysemakere, Melemakere, Moldemaker, Netmaker, Oylemaker, Paniermaker, Potmaker, Pouchemaker, Pundermaker, Quyltmaker, Saucemaker, Seggemaker, Sheldmakere, Strengmakere, Walmakere.
-MAKESTERE: Kallemakestere.
-MAN: Butterman, Candelman, Capman, Chapman, Cheseman, Clothman, Elyman, Fetherman, Flaxman, Flekeman, Glasman, Hauerman, Honyman, Laxman, Lekman, Lynman, Meleman, Mustardman, Oilman, Pakeman, Panierman, Redman, Sakman, Saltman, Sherman, Syveman, Slayman, Smeremay, Tailman, Wademan, Waxman, Werkman.
-MARTER: Bukmarter.
-MONGERE: Bukmongere, Ketmongere, Chesemonger, Clothmangere, Cornmongere, Fethermongere, Fishmongere, Flaxmongere, Fleshmongere, Garlekmongere, Gosmanger, Heymongere, Henmongere, Heryngmongere, Hermonger, Horsmongere, Irmongere, Lusmonger, Madermanger, Maltmongere, Melemongere, Otmongere, Sklatemanger, Smeremongere, Taylmongere, Tymbermongere, Waxmongere, Whelmonger, Wolmongere, Wudemonger.
-MONGESTERE: Bredmongestere.
-POLLARE: Felpollare.
-SELLER: Clothseller.
-SLIPER: Swerdsliper.
-SMITH: Ankersmyth, Arowesmith, Balismith, Blakesmyth, Bokelsmyth, Boltsmith, Botsmith, Brounsmyth, Knyfsmith, Copersmith, Exsmyth, Goldsmyth, Hudsmyth, Ledsmyth, Lokersmyth, Loksmyth, Orsmyth, Schersmyth, Shosmyth, Watersmyth, Whelsmyth, Whitesmyth.
-SNITHER: Lakensnither.
-TAWYERE: Whittewere.
-TEWERE: Whittewere.
-THEKER: Ledtheker.
-TOWERE: Whittowere.
-WASHERE: Skynwashere.
-WEBBE: Poghwebbe, Sakwebbe.
-WIFE: Flaxwife, Silkwife.
-WYNDER: Flekewynder.
-WOMAN: Silkwoman.
-WRIGHT: Arkewright, Bordwright, Bowewright, Brandwright, Briggwright, Cartwright, Chesewright, Kystewright, Kittewright, Culewright, Detherwright, Glaswright, Hayrwright, Lattewright, Limwright, Nawright, Orewright, Ploghwright, Shipwright, Syvewright, Slaywright, Tywelwright, Tunwright, Waynwright, Whelwright, Whicchewright.
-WRYNGERE: Chesewryngere.


 関連して「#5520. -ester 語尾をもつ中英語の職業名ベースの姓」 ([2024-06-07-1]) などの記事も参照されたい.

 ・ Fransson, G. Middle English Surnames of Occupation 1100--1350, with an Excursus on Toponymical Surnames. Lund Studies in English 3. Lund: Gleerup, 1935.

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2024-06-27 Thu

#5540. Chancery English にみる数詞のスペリングの揺れ [chancery_standard][spelling][numeral]

 昨日の記事「#5539. Chancery English にみる語源的綴字」 ([2024-06-26-1]) や,少し前の「#5535. 接頭辞 en- と in- の揺れを Chancery English でみる」 ([2024-06-22-1]) で,Chancery English におけるスペリングの揺れを観察してきた.今回も Fisher et al. によるアンソロジーの "Glossary of Forms" を利用して,今度は数詞 (numeral) という別の語類のスペリング変異を拾い上げてみた.アンソロジーには,主要な数詞のすべてが現われるわけではないので,あくまで Chancery English における数詞のスペリングの揺れの部分集合を確認するにとどまる.参考まで.

- one n. and adj. (17) P3, C3; on (9) P3, C3; oon (4) C8, S1; oone (1) C4; oo (5) P2 (D.122); o (3) C8, S1.
- first adj. (9), adv. (7) S1, P2; firste (1) C5; furst (9) S1, S2; ffirst (2) P2; ferst (2) C3, C5; ferste (2) C1, C3; fyrst (1) N8; furste (1) C3. There are no distinctions between adj. and adv. usage.
- two adj. (24) S1, P1; twoo (3) C5; too (5) P3, C3; twey (2) C1, C5; tweye (1) P5.
- twayn adj. two. (1) C3; tweyn (1) C3.
- twelve n. and adj. (1) C1 (D.163.47); twelf (2) C2, N5.
- twelfemonethe n. (1) C3; tuelfmoneth (1) C3; twolfmonth (1) P2.
- twenty adj. (2) N5 (D.240).
- second adj. (6) S1, C1; seconde (5) P3, C3; secund(e) (2) P3, C3.
- three adj. and n. (1) P2; thre (3) P3, C3; þre (2) P3, C3.
- third adj. (3) C5; thridde (9) C3, P4; thrid (3) P4; þrydde (2) N2; thirde (1) N2; thryd (1) N8, C3; þredde (1) P5 (D.159.33); pl. thriddes (3) P4 (D.156).
- thirdly adv. thirdly. (1) S2 (D.78.7).
- four(e) adj. (3) C1, C2.
- fourthe ordinal adj. (2) P3, N2 (D.144.9, 234.1); four (1) C1 (D.163.4).
- fourtieth adj. (2) N6.
- fifte adj. fith. (2) P3, N5; fyfte (2) C3.
- sixt adj. (1) N5; syxth (3) N5 (D.241); sext (2) N2; sixte (1) C3; sexte (1) N2.
- tenthe n. (1) P5 (D.159,36).
- hundred numeral (2) P3, N5; hundreth (1) P3 (D.143.3); hundred n. subdivision of a county. (1) C3; pl. hundredes (2) P3. C3.


 とりわけ third については「#92. third の音位転換はいつ起こったか」 ([2009-07-28-1]) や 「#93. third の音位転換はいつ起こったか (2)」 ([2009-07-29-1]) でも中英語スペリングの揺れを列挙した.15世紀の Chancery English でも,数詞という語類において揺れはまだかなり残っている.
 ちなみに,去る6月23日(日)に開催された近代英語協会第41回大会(日本大学)のシンポジウム「初期近代英語期におけるスペリング」において,第3発表者として「数詞のスペリングの揺れと標準化 --- 後期中英語から初期近代英語へ」をお話ししました.昨日と今日の記事は,その内容からということです.

 ・ Fisher, John H., Malcolm Richardson, and Jane L. Fisher, comps. An Anthology of Chancery English. Knoxville: U of Tennessee P, 1984. 392.

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最終更新時間2024-07-03 07:38

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