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hellog〜英語史ブログ

2025年10月15日に「いのほた本」が出ます 目下 Amazon で予約注文受付中.

同僚の井上逸兵さんと毎週水・日にお届けしている「いのほた言語学チャンネル」が書籍化されました.井上 逸兵・堀田 隆一(著)『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(ナツメ社)として10月15日に刊行されます.Amazon 新着ランキングの「英語」部門にて第2位を獲得しました(瞬間最大風速です).ぜひこちらの Amazon ページ(あるいは以下のQRコード)よりご予約ください.新しい言語学・英語学・英語史への導入となる本です!

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『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』の Amazon リンク


お知らせ 英語史トーク動画の第2弾です! 8月21日,YouTube 「文藝春秋PLUS 公式チャンネル」にて,英語史トーク第2弾の前編が公開されました.「【英語の謎 goの過去形はなぜwentなのか】古英語時代は-edよりも不規則動詞がデフォルト|なぜ「あなた」も「あなたたち」もyouで表すのか|He likes...三単現にはなぜsを付ける?」および「【flower(花)とflour(小麦粉)は同じ語源!】help,aid,assistance…「助け」の類義語は何が違う?|同音異義語が多いのはなぜか|「イギリス英語は保守的」は本当か】」です.今回もフリーアナウンサーの近藤さや香さんとお話ししています.2025/08/21(Thu)

お知らせ 英語史トーク動画の前編が9.8万回視聴されています! 5月30日,YouTube 「文藝春秋PLUS 公式チャンネル」にて,英語史トーク動画の前後編が公開されました.「【know の K はなぜ発音しない?「英語史」で英語のナゼがわかる】国内唯一慶應だけの必修科目|古代英語はもはや別言語|500通り以上の綴りがある英単語|憧れと威信が英語を変化させた」および「【ややこしい英語が世界的言語になるまで】文法が確立したのはたった250年前|an appleのanは「発音しやすくするため」ではない|なぜ複数形はsばかりなのか|言語の"伝播"=権力」です.フリーアナウンサーの近藤さや香さんとともに,英語史入門を念頭にお話ししています.hellog の関連記事はこちら.2025/05/31(Sat)

再重版がかかっています! 皆さんにご好評,ご愛読いただいています!(2025年9月23日現在)

2025年6月18日(水),唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力)『英語語源ハンドブック』(研究社)が刊行されました.5月21日以来,刊行日までの歴代最高記録として,Amazon 新着ランキングで「英語」部門にて第1位,「語学・辞事典・年鑑」部門にて第2位を獲得しています.また,刊行後の4日間で紀伊國屋書店新宿本店の語学部門の週間売り上げランキングで第1位,丸善丸の内本店では第4位を記録しました.リアル書店やこちらの Amazon ページ(あるいは以下のQRコード)より,ぜひご入手ください.英語学習・教育に関わる皆さんにとっての必携書!

合わせて本書のランディングページもご覧ください!

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『英語語源ハンドブック』の Amazon リンク


堀田隆一(ほったりゅういち)による,英語史に関する話題を広く長く提供し続けるブログです(note のプロフィールはこちら)."History of the English Language Blog" ということで,略して "hellog".英語史と関連する英語学・言語学一般の話題も扱っています.本ブログで紹介・推薦する書籍などについて,特別に表記しない限り,すべて自主的な言及です.また,堀田は Amazon のアソシエイトとして適格販売により収入を得ています.

まずは,
  1. 英語史の学び始め/続けには,まず以下の記事からスタート!
  2. アクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事
  3. 英語に関する素朴な疑問に関する記事群
  4. 全記事の標題の一覧 (Archives)
  5. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio)
  6. Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」(heldio)
  7. 知識共有サービス「Mond」での,英語に関する素朴な疑問への回答
  8. 慶應英語史フォーラム (khelf) のツイッターアカウント @khelf_keio
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をご覧ください.

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お知らせ ヘルメイト有志によるhel活を紹介する月刊 Helvillian の最新号2025年8月号が7月28日にウェブ公開されました.こちらよりご覧ください.2025/07/29(Tue)

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お知らせ Voicy heldio の過去回の切り抜きショート動画 (helshort) の公開を始めています.最新の公開はコチラ↓ 2025/07/23(Wed)

お知らせ 2025年6月18日(水)に,唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著)『英語語源ハンドブック』(研究社)が発売予定! 研究社公式HPの近刊紹介はこちらからどうぞ.hellog のこちらの記事,および heldio のこちらの配信回でも本書を紹介しています.2025/05/17(Sat)

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お知らせ 2025年7月7日に khelf による『英語史新聞』第12号がウェブ上に一般公開されました.こちらからPDFでご覧になれます.heldio のこちらの配信回,および hellog のこちらの記事でも第12号公開についてお知らせしています.公開後は khelf の X (旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より関連情報をお伝えしますので,ぜひフォローをお願いします.2025/07/09(Wed)

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お知らせ Voicy でお届けしている「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の Video Podcast 版を開始しました.Spotify より,同名の Podcast チャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」として視聴できます.フォローをよろしくお願いします.最新回はコチラです↓ 2025/03/13(Thu)

お知らせ 2025年2月28日に,私の所属する慶應義塾大学の 公式 YouTube チャンネル「慶應義塾 Keio University」内の「研究者紹介動画」というシリーズの1回として「英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」慶應義塾大学文学部・堀田隆一教授」が公開されました.4分22秒ほどの公式動画です.2025/03/01(Sat)

お知らせ 新年度2024年の4月より khelf による「英語史コンテンツ50+」が始まっています.休日を除く毎日,khelf メンバーより英語史の話題が1つ上がってきます).日々,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio からも関連情報を発信しています.2024/04/19(Fri)

お知らせ 知識共有サービス「Mond」にて英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています.最新の質問&回答はこちらよりご覧ください.2024/09/30(Mon)

Mond Latest

お知らせ 2023年7月より Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) にて「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを展開しています.Baugh and Cable の A History of the English Language (6th ed.) を1回1セクションずつ精読していくというシリーズです.週に1,2回程度のペースで続けています.有料配信ですが冒頭チャプターは試聴可となっていますので,ぜひ聴いてみてください.バックナンバー一覧はこちらの記事よりどうぞ.2024/02/09(Fri)

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お知らせ 2022年2月26日に,同僚の井上逸兵さんと YouTube チャンネル「いのほた言語学チャンネル(旧:井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル)」 (inohota) を始めています.毎週(水)(日)の午後6時に更新予定です.チャンネルの趣旨としては,こちらの hellog 記事あるいは Voicy でのアナウンスをご一読・ご視聴ください.直下(↓)は最新の YouTube 放送となります.本ブログの関連記事もお読みください.2022/03/10(Thu)

お知らせ 2024年7月より,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の再放送という趣旨で,YouTube チャンネル「heltube」 にて日々配信しています.直下(↓)は最新公開の回となります.2024/08/10(Sat)

お知らせ 2025年3月6日より5月6日まで,heldio の前身である「hellog ラジオ版」 (hellog-radio) として2020--2021年に配信していた62回の配信を,こちらの YouTube にて再放送していました.2025/05/07(Wed)

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お知らせ 2021年6月2日より,英語史の音声コンテンツを配信する「英語の語源が身につくラジオ」(通称 heldio)を始めています.本ブログの姉妹版という位置づけで,音声配信プラットフォーム Voicy を通じて,英語史に関する音声コンテンツを提供しています.企画の趣旨として,こちらの hellog 記事をご一読ください.直下(↓)は最新の Voicy 放送となります.2024/07/20(Sat)

お知らせ 2023年6月2日より,上記 heldio にプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) が加わりました.毎週火木土の18:00よりお届けしています.helwa は有料配信となりますが,開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新の helwa 放送となります.2023/09/09(Sat)

お知らせ 2023年7月17日より,Voicy heldio の(有料)配信として「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを開始しています(各回ともにウェブブラウザ経由で200円です).毎週1,2回の配信を通じて,英語で書かれた英語史の名著を1回1セクションずつ精読解説していきながら,内容についても英語史の専門的な観点から縦横無尽にコメントしていきます.3ヶ月続けて,参加メンバーも徐々に増えてきています.開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新のシリーズ配信回となります.2023/10/22(Sun)

お知らせ 2023年10月6日より,stand.fm にて「英語史つぶやきチャンネル」 を始めています.英語史の話題を不定期でカジュアルにお届けします.直下(↓)は最新の配信回となります.2025/01/28(Tue)

お知らせ 2023年1月中旬に家入葉子先生(京都大学)と堀田の共著となる,英語史研究のハンドブック『文献学と英語史研究』が開拓社より発売となります.本書についてはこちらのページで,著者が様々に紹介しています.2023/01/05(Thu)

『文献学と英語史研究』

お知らせ 2022年11月8日に『ジーニアス英和辞典』第6版が発売となりました.新版で初めて導入されたコラム「英語史Q&A」を執筆させていただいていますので,ぜひ辞典手に取って開いてみていただければと思います.コラムについては hellog でもこちらの記事群で関連する話題を取り上げています.2022/11/15(Tue)

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お知らせ 堀田ゼミの紹介ページがゼミ生により立ち上げられました.入ゼミを希望する学生は必見です.堀田による公式のゼミ紹介はこちらの記事からどうぞ.2022/11/04(Fri)

お知らせ ご愛読ありがとうございます,9刷が発行されています.2022年9月より電子書籍としても配信開始です.本ブログの内容を多く取り込んだ拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』が2016年に研究社より出版されました.本の趣旨や補足情報のために,コンパニオン・サイト (naze) を用意していますので,そちらも是非ご覧ください.また,本ブログ内の「#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました」にも紹介があります.2024/08/10(Sat)

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お知らせ このたび様々な言語における標準化の歴史を題材とした本が出版されました.高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.
本ブログ内でも本書の紹介記事をいくつか書いていますので,そちらもご覧ください.さらに,7月9日と8月1日には2回にわたって3編者対談を Voicy で配信しましたので,ぜひこちらこちらより各々お聴きください.

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お知らせ 本ブログベースの拙著『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』の第4刷が出ています.本書のコンパニオン・ページ及び著者による紹介ページをご覧ください.また,本書の内容に沿ったブログ記事へのリンク (hogusu) はおすすめです.2018/09/02(Sun)hogusu_front_cover_small

その他のお知らせ

お知らせ 「手軽に英語史を」というコンセプトで,地味に「hellog ラジオ版」 (hellog-radio) を始めています.1つ数分以内のコンテンツです.これまでのコンテンツ一覧よりどうぞ.2020/07/09(Thu)

お知らせ 大修館『英語教育』の2020年3月号に,連載「英語指導の引出を増やす 英語史のツボ」の第12回(最終回)の記事が掲載されています.今回の話題は「なぜアメリカ英語はイギリス英語と異なっているのか」です.どうぞご一読ください.2020/02/14(Fri)eigokyouiku_rensai_12_20200214_front_cover_small.jpg

お知らせ 1月5日発売の英語学習誌『CNN English Express』2月号に「歴史を知れば納得! 英語の「あるある大疑問」」と題する拙論が掲載されています.英語史の観点から素朴な疑問を解くという趣向の特集記事で,英語史の記事としては珍しく8頁ほどの分量を割いています.どうぞご一読ください.hellog 内の紹介記事もどうぞ.2019/01/07(Mon)cnn_ee_201902_front_cover_small

お知らせ 私も一部執筆している服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.が2018年3月に出版されました.日本語史と比較対照しながら英語史や英語の歴史的変化について学べます.本ブログ内の#3283の記事にも簡単な紹介がありますのでご覧ください.2018/04/23(Mon)

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お知らせ Simonn Horobin 著 Does Spelling Matter? の拙訳『スペリングの英語史』が早川書房よりより出版されました.紹介記事として,本ブログ内の「#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました」「#3080. 『スペリングの英語史』の章ごとの概要」もご覧ください.2017/10/01(Sun)

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お知らせ 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』に関連する研究社ベースの連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」が始まっています(そして12回で終わりました).2017/12/21(Thu)


最近 7 日分を以下に表示中 / 今月の一覧

2025-10-04 Sat

#6004. slang の役割について凝縮した読ませる文章で教えてくれる章 --- HEL in 100 Places より [100_places][helgrim][helkatsu][slang][dictionary][lexicology][lexicography]

 目下,New Zealand に来ている.持参した書籍の1つが,本ブログでも最近たびたび取り上げている A History of the English Language in 100 Places である.
 NZ 関係の記述としては「#5974. New Zealand English のメイキング」 ([2025-09-04-1]) で紹介した第52節があったが,意外なところにもう1節あった.それは第66節 "GISBORNE --- English slang (1894)" である.
 Gisborne は NZ 北島東岸の港町である.この町で英語辞書編纂界の巨人 Eric Partridge (1894--1979) が生まれたという理由で,この節にて英語の slang の話しが展開されることになるのだ.Partridge の業績のなかでもとりわけ名高いのが,A Dictionary of Slang and Unconventional English (1937) である.この初版以来,現在まで改版が続いている影響力のある英語俗語辞書だ.
 1ページ半ほどの短い節だが,ここに slang の捉えどころのなさ,怪しさ,魅力が詰め込まれている.slang の役割についての記述も,さりげなくではありながらも本質を突いている.ここでは最後の1節を引こう.

The aim of people using and creating slang is to make up words that are not in the dictionary in order to shock, delight, amaze, intrigue and mystify. Friends and enemies alike can be the objects of this verbal gaming, but slang users have to contend with the online glossaries that are being constantly updated. The best of these is Urban Dictionary; it boasts over 6 million definitions. Hard copy slang dictionaries are far behind; the Oxford Dictionary of Slang (2003) can boast no more than 10,000 slang words and phrases. Moreover, as a word moves from speech to print and from print to dictionary, its slanginess must steadily decrease.


 今後,英語の slang 辞書編纂は,一般の辞書編纂に比べても,はるかに早く紙から遠ざかっていくだろうことが確信される.紙の辞書に捕捉された時点で,slang はその本質的な性質を半ば失っているということになるからだ.語彙変化や意味変化の領域における slang の影響力は思いのほか大きい.slang は言語変化の現場である.

 ・ Lucas, Bill and Christopher Mulvey. A History of the English Language in 100 Places. London: Robert Hale, 2013.

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2025-10-03 Fri

#6003. 「ゆる言語学ラジオ」にて「うんちくしりとりパンクラチオン」で遊んできました [notice][voicy][heldio][youtube][yurugengogakuradio][hee][folk_etymology]



 先週「#5997. 「ゆる言語学ラジオ」で『英語語源ハンドブック』が紹介されました --- 人気シリーズ「ターゲット1900」回に再出演」 ([2025-09-27-1]) の記事でお知らせした通り,人気 YouTube チャンネル「ゆる言語学ラジオ」にゲストとしてお邪魔しまし,『英語語源ハンドブック』をご紹介しました.
 それに引き続き,今週も同じく「ゆる言語学ラジオ」に出演させていただきました.今回は「うんちくしりとりパンクラチオン」なる奇矯な雑学ゲームに,水野さん,堀元さんとともに参加しました.結果,「うんちくをしりとりで繋いだら,歴史言語学者が強すぎた.」と題する51分ほどの配信回に仕上がりました.3人でおおいに盛り上がっていますので,ぜひご視聴ください.
 全体的に楽しんで笑える動画となっていますが,終わりに近い43分辺りからは民間語源 (folk_etymology) や語源トポスの話題に転換し,「語源の力」についての議論を展開しています(cf. 「#720. レトリック的トポスとしての語源」 ([2011-04-17-1])).ここはぜひじっくりお聴きいただければ.さらに47分過ぎからは『英語語源ハンドブック』『英語語源辞典』を,堀元さんに再度宣伝していただきました.ありがとうございました!

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2025-10-02 Thu

#6002. ウェブ月刊誌 Helvillian の10月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][hee][helwa_contents][khelf][hee]


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 9月28日,helwa メンバー有志による毎月の hel活 (helkatsu) の成果をまとめたウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の2025年10月号が公開されました.今号で通算第12号となり,創刊から1年間を駆け抜けたことになります.おめでとうございます!
 今号は khelf(慶應英語史フォーラム)会長の青木輝さんによる「表紙のことば」から始まり,各執筆者の知的好奇心が凝縮された,たいへん読み応えのある号となっています.
 今号の特集は「ことばにまつわる大人の自由研究」,あるいは【helwaコンテンツ2025】です.ari さんは restaurant の語源に迫り,Grace さんは a gob ofgobs of の文法化に注目しています.川上さんは Poor as they are, they are generous. にみられる as の用法を,lacolaco さんは crocodile の綴字の変異を,Lilimi さんは登山用語の社会言語学をそれぞれ論じています.mozhi gengo さんは Tokyoite などにみられる接尾辞の記事を,umisio さんは heldio をきっかけとした本との再会や朝ドラを題材とした話題を綴っています.川上さんによる人気シリーズ「「英語のなぜ」やってます通信」も健在です.
 『英語語源ハンドブック』に取材した記事も豊富です.ari さんは「HEEシリーズ」として,また ykagata さんも「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」シリーズとして,豊かな話題を提供してくださっています.著者の1人として感謝を申し上げます.
 個別の寄稿も非常に充実しています.「無職さん」こと佐久間さんは,歯科医史からみた tooth 類の語源や診療科名の語源など,専門分野と英語史を結びつけたユニークな記事を3本寄せています.ari さんは先の特集・連載に加えて,日常的な話題から英語史クイズ,古英語学習ノートに至るまで,縦横無尽に記事をお書きです.川上さんは,法助動詞の連続がなぜ許されないかという問題に迫っています.mozhi gengo さんも,いつものように語源解き明かしを中心に知的好奇心をくすぐる記事を多数執筆されいます.
 金田拓さんによる Francis Bacon の Essays 精読ノートは必読です.umisio さんは,NHK の「チコちゃんに叱られる!」の出演者(←誰?)に関する話題を含め,いつもながらの融通無碍な記事を寄稿されています.ykagata さんによる,ドイツ語の nicht müssen に関する徹底的な調査報告も読み応えがあります.
 最後に,Grace さんによる helwa の活動報告と,umisio さんによる編集後記で今号が締めくくられています.まさに知の饗宴.ぜひ隅々までお楽しみください.
 今号もこれだけの充実した内容が揃ったのは,ひとえに編集委員として尽力されている Grace さん,Lilimi さん,Misato さん,umisio さんのおかげです.この場を借りて心より感謝申し上げます.
 今号については,heldio でも「#1584. Helvillian 10月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究【helwaコンテンツ2025】」」としてご紹介しています.ぜひお聴きいただければ.


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2025-10-01 Wed

#6001. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン [voicy][heldio][notice][link][ranking]


 3ヶ月に一度の恒例企画となっていますが,本ブログの音声版・姉妹版というべき毎朝配信の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より,今年の第3四半期にお届けしてきた配信回(全92回)のなかからベスト回を決めるリスナー投票イベントを開催しています.1人10票まで投票できます.投票会場は10月7日(火)23:59 までオープンしています(あるいは以下のQRコードよりどうぞ).この機会に聴き逃した過去配信回を聴取いただき,じっくり選んでいただければと思います.


heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票





 各配信回へのアクセスは,本記事末尾の一覧あるいは音声コンテンツ一覧よりどうぞ.7月1日配信の「#1493. 知覚動詞構文と知覚の直接性について --- 名古屋オフ会で村岡宗一郎さんと対談」 (2025/07/01) から9月30日配信の「#1584. Helvillian 10月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究【helwa コンテンツ2025】」」 (2025/09/30) までの92回分が投票の対象となります.
 今朝,同じ投票を呼びかける「#1586. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン」を Voicy より配信しました.そちらも合わせてお聴きください.



 過去のリスナー投票企画については,ranking の各記事をご覧ください.



 ・ 「#1493. 知覚動詞構文と知覚の直接性について --- 名古屋オフ会で村岡宗一郎さんと対談」 (2025/07/01)
 ・ 「#1494. Helvillian 7月号が公開! --- 古英語を嗜もう」 (2025/07/02)
 ・ 「#1495. do の不思議を専門家に尋ねる --- 名古屋オフ会に矢冨弘さん登場」 (2025/07/03)
 ・ 「#1496. heldio 2025年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 7月10日までオープン」 (2025/07/04)
 ・ 「#1497. 『英語語源ハンドブック』の重版決定 --- 昨日お昼の緊急生配信より」 (2025/07/05)
 ・ 「#1498. いきなり井上逸兵さんと生配信(のアーカイヴ)」 (2025/07/06)
 ・ 「#1499. 『英語史新聞』第12号が公開されました」 (2025/07/07)
 ・ 「#1500. that 節を語ろう --- 名古屋オフ会より生配信」 (2025/07/08)
 ・ 「#1501. 「主の祈り」で味わう古英語の文体 --- Helvillian 7月号掲載,小河舜さんによる渾身の記事」 (2025/07/09)
 ・ 「#1502. 「21」をどのように表現するか? --- 複合数詞の問題」 (2025/07/10)
 ・ 「#1503. 7月19日(土)午後,朝カルで「深堀り『英語語源ハンドブック』徹底解読術 出版記念・鼎談」を開講します」 (2025/07/11)
 ・ 「#1504. khelf メンバーによる『英語史新聞』第12号の読みどころ紹介」 (2025/07/12)
 ・ 「#1505. heldio 2025年第2四半期のリスナー投票の結果発表」 (2025/07/13)
 ・ 「#1506. 綴字と発音の乖離は歴史の遺産--- 『スペリングの英語史』より」 (2025/07/14)
 ・ 「#1507. またまた嶋田珠巳先生といっしょにコメント返し」 (2025/07/15)
 ・ 「#1508. 『The Japan Times Alpha J』の7月11日号で特別記事を掲載していただいています」 (2025/07/16)
 ・ 「#1509. Mrs. の発音はなぜ「ミスターズ」ではないのか --- khelf ゼミ生高野さんの「英語史コンテンツ」」 (2025/07/17)
 ・ 「#1510. 「辞書」雑談 by khelf メンバー6名」 (2025/07/18)
 ・ 「#1511. 言語はどのように生まれたか --- ゆる言語学ラジオの水野太貴さんの『中央公論』連載「ことばの変化をつかまえる」より」 (2025/07/19)
 ・ 「#1512. 朝カルの『英語語源ハンドブック』著者鼎談の直前収録」 (2025/07/19)
 ・ 「#1513. 「語源は思考の糧である」 --- 小塚語録より」 (2025/07/21)
 ・ 「#1514. 語源論法に要注意」 (2025/07/22)
 ・ 「#1515. 7月26日の朝カル講座 --- 皆で but について考えてみませんか?」 (2025/07/23)
 ・ 「#1516. 語源学者は複数の語源説があるとき,どのようにしてどちらが正しいと判断するのですか?」 (2025/07/24)
 ・ 「#1517. etymography 「語誌学」の妄想」 (2025/07/25)
 ・ 「#1518. 現代英語の but,古英語の ac」 (2025/07/26)
 ・ 「#1519. コメント返し 2025/07/26(Sat)」 (2025/07/27)
 ・ 「#1520. あなたの推し接続詞を教えてください」 (2025/07/28)
 ・ 「#1521. Helvillian 8月号が公開! --- 特集は「辞書からことばの世界をのぞく」」 (2025/07/29)
 ・ 「#1522. 「英語史」の講義を終えて --- 2025年度前期版」 (2025/07/30)
 ・ 「#1523. YouTube での英語史ショート動画シリーズ「helshort」をゆるゆると始めています」 (2025/07/31)
 ・ 「#1524. khelf の英語史専攻大学院生の平均注目年代は?」 (2025/08/01)
 ・ 「#1525. 本日は「プチ英語史ライヴ from 横浜」で英語史漬け」 (2025/08/02)
 ・ 「#1526. 「あなたの推し接続詞」を語る回 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/03)
 ・ 「#1527. crocodile の怪 --- lacolaco さんと語源学を語る(プチ英語史ライヴ from 横浜)」 (2025/08/04)
 ・ 「#1528. 『英語語源ハンドブック』重版出来 --- 本書のLPを作りました」 (2025/08/05)
 ・ 「#1529. あなたの『英語語源ハンドブック』の推しの項目は? (1) --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/06)
 ・ 「#1530. あなたの『英語語源ハンドブック』の推しの項目は? (2) --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/07)
 ・ 「#1531. あなたの『英語語源ハンドブック』の推しの項目は? (3) --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/08)
 ・ 「#1532. Helvillian 8月号の紹介 by 編集委員 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/09)
 ・ 「#1533. Wulfstan 版「主の祈り」で古英語音読 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/10)
 ・ 「#1534. 10人で千本ノック --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/11)
 ・ 「#1535. 笑,草,gaers を考える --- 北澤茉奈さんとの対談」 (2025/08/12)
 ・ 「#1536. 『英語語源ハンドブック』の著者の1人小塚良孝さんが ZIP-FM に出演!」 (2025/08/13)
 ・ 「#1537. I と my/me/mine は補充法 --- 『英語教育』9月号に『英語語源ハンドブック』の書評が掲載されました」 (2025/08/14)
 ・ 「#1538. 『英語語源ハンドブック』の宴 --- 「いのほた言語学チャンネル」最新回より」 (2025/08/15)
 ・ 「#1539. 8月23日の朝カル講座 --- guy で味わう英語史」 (2025/08/16)
 ・ 「#1540. リスナーの皆さんの「推し接続詞」を紹介します」 (2025/08/17)
 ・ 「#1541. 英語史を通じて接続詞はどんどん増えてきた」 (2025/08/18)
 ・ 「#1542. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第19弾」 (2025/08/19)
 ・ 「#1543. 今日から1週間,夏期スクーリング「英語史」」 (2025/08/20)
 ・ 「#1544. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック for 夏スク「英語史」(前編)」 (2025/08/21)
 ・ 「#1545. 「グリムの法則」は本当はラスクが見つけていた」 (2025/08/22)
 ・ 「#1546. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-1) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」 (2025/08/23)
 ・ 「#1547. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック for 夏スク「英語史」(後編)」 (2025/08/24)
 ・ 「#1548. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-2) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」 (2025/08/25)
 ・ 「#1549. 『英語語源ハンドブック』正誤表の公開,そして yes の語源」 (2025/08/26)
 ・ 「#1550. 夏スク「英語史」が終わりました」 (2025/08/27)
 ・ 「#1551. 「文藝春秋PLUS」で再び英語史をお話ししてきました」 (2025/08/28)
 ・ 「#1552. Helvillian 9月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究」」 (2025/08/29)
 ・ 「#1553. 9月13日(土)に「英語史ライヴ2025」を開催します」 (2025/08/30)
 ・ 「#1554. 昨日の朝日サンヤツに『英語語源ハンドブック』が掲載 --- そして英語史ライヴ (live) の語源」 (2025/08/31)
 ・ 「#1555. 英語の規範はいかにしてできたのか? --- 昨日 Mond に寄せられた疑問に回答しました」 (2025/09/01)
 ・ 「#1556. khelf 寺澤志帆さんの「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」が好調です --- RSS も用意されています」 (2025/09/02)
 ・ 「#1557. 日本音声学会の音声学セミナーで「現代英語の発音と「大母音推移」」をお話しします」 (2025/09/03)
 ・ 「#1558. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第20弾」 (2025/09/04)
 ・ 「#1559. 10月15日に「いのほた本」が出ます! --- ご予約はちょっとお待ちいただければ」 (2025/09/05)
 ・ 「#1560. 1週間後は「英語史ライヴ2025」 --- 特設ページもご覧ください」 (2025/09/06)
 ・ 「#1561. OED の使い道を考える with 泉類尚貴さん --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/09/07)
 ・ 「#1562. 「英語史ライヴ2025」の千本ノックのための英語に関する素朴な疑問を募集」 (2025/09/08)
 ・ 「#1563. life/live ペアの怪について」 (2025/09/09)
 ・ 「#1564. 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」 (2025/09/10)
 ・ 「#1565. 「英語史ライヴ2025」が明後日に迫りました --- 裏で起こっていることをチラッと」 (2025/09/11)
 ・ 「#1566. 英語史の用語辞典? --- まずは『英語学・言語学用語辞典』を紹介します」 (2025/09/12)
 ・ 「#1567. 「英語史ライヴ2025 by khelf & helwa」が始まります」 (2025/09/13)
 ・ 「#1568. 「英語史ライヴ2025」が終わった帰りの電車で --- 小河舜さん&まさにゃん」 (2025/09/14)
 ・ 「#1569. 「いのほたなぜ」予約爆撃アワー --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/15)
 ・ 「#1570. ゼミ合宿飲み会で,継続こそがすべてという話しをしました」 (2025/09/16)
 ・ 「#1571. khelf 大学院生の研究テーマ」 (2025/09/17)
 ・ 「#1572. 「いのほたなぜ」が英語部門で第2位をマーク --- 超ざっくり英語史年表もついています」 (2025/09/18)
 ・ 「#1573. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-3) with Taku さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/19)
 ・ 「#1574. "English" という英単語について思いをめぐらせたことはありますか? --- 9月27日の朝カル講座」 (2025/09/20)
 ・ 「#1575. おかげさまで『英語語源ハンドブック』の再重版決定! --- 用語解説の「大母音推移」を読んでみます」 (2025/09/21)
 ・ 「#1576. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/22)
 ・ 「#1577. helwa メンバー発信!中高生のあなたへ,私は今こうやって英語(外国語)とつきあっています --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/23)
 ・ 「#1578. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第21弾」 (2025/09/24)
 ・ 「#1579. 「大母音推移」は解体していくのか? --- 9月28日(日)の音声学セミナーに向けて」 (2025/09/25)
 ・ 「#1580. 「ゆる言語学ラジオ」『ターゲット1900』回にお邪魔してきました」 (2025/09/26)
 ・ 「#1581. 歯科医学×英語史 with 無職さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/27)
 ・ 「#1582. 『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語 with ykagata さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/28)
 ・ 「#1583. alligator でワニワニパニック --- khelf 寺澤志帆さんと語る」 (2025/09/29)
 ・ 「#1584. Helvillian 10月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究【helwaコンテンツ2025】」」 (2025/09/30)



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2025-09-30 Tue

#6000. 音声学セミナーにて「現代英語の発音と「大母音推移」」をお話ししました [notice][mindmap][gvs][phonetics][sound_change][spelling_pronunciation_gap][hel][academic_conference][vowel][diphthong]

 「#5965. 現代英語の発音と「大母音推移」 --- 9月28日(日)の午後,日本音声学会の音声学セミナーにてお話しします」 ([2025-08-26-1]) でお知らせしたとおり,一昨日9月28日(日)に青山学院大学にて,日本音声学会音声学普及委員会主催の第35回音声学セミナーにて大母音推移 (gvs) についてお話しさせていただきました.セミナー本編に続き,質疑応答のセッションも合わせて3時間近くの長丁場でしたが,対面あるいはオンラインにて多くの方々にご参加いただき,私にとってもたいへん充実した会となりました.参加者の皆さん,ありがとうございました.また,学会長の斎藤弘子先生,音声学普及委員会の林良子先生,とりわけ夏休み前より企画準備でお世話になった内田洋子先生と牧野武彦先生には感謝申し上げます.
 セミナーの概要については markmap によりマインドマップ化して整理しました(画像をクリックして拡大).


lib/phonetics_seminar_re_gvs_20250928_mindmap_large.png



 質疑応答セッションでは多くの質問をいただきましたが,時間の制限により,すべてにお答えすることができませんでした.今後,本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 などを通じて取り上げていきたいと思います.ぜひ今後も「大母音推移」にご注目ください.

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2025-09-29 Mon

#5999. crocodile の英語史 --- 『シップリー英語語源辞典』の意外な洞察 [voicy][heldio][spelling][metathesis][etymological_spelling][folk_etymology][animal][greek]

 crocodile の語形や綴字を巡る問題 --- ワニワニパニック --- は,heldio/helwa コアリスナーの lacolaco さんが火をつけた難問である.関連する一連の話題は,以下から追うことができる.

 ・ lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート C (crew-crocodile)(2025年7月27日)
 ・ lacolaco さんの「【helwaコンテンツ2025】 crocodileの語形・音変化についての調査~ワニワニパニック~」(2025年8月21日)

 ・ hellog 「#5948. crocodile の英語史 --- lacolaco さんからのインスピレーション」 ([2025-08-09-1])
 ・ hellog 「#5951. crocodile の英語史 --- OED で語源と綴字を確認する」 ([2025-08-12-1])
 ・ hellog 「#5952. crocodile の英語史 --- MED で綴字を確認する」 ([2025-08-13-1])

 ・ heldio 「#1527. crocodile の怪 --- lacolaco さんと語源学を語る(プチ英語史ライヴ from 横浜)(2025年8月4日)
 ・ heldio 「#1583. alligator でワニワニパニック --- khelf 寺澤志帆さんと語る」(2025年9月29日)

 とりわけ crocodile の異形として cocodril という語形・綴字があったことが気になっていた.そんなときに,先日『シップリー英語語源辞典』でふと crocodile を引いてみたところ,cocodril の謎に対するヒントとなる記述を見つけた.今回は,それを引用して,示唆だけ与えておきたい.

crocodile [krάkədàil] クロコダイル,ワニ,ワニ皮
 この語はギリシア語 krokodeilos (ワニ:〔原義〕砂礫の虫,トカゲ)が語源である.このギリシア語は,ヘロドトス (Herodotus, 484?--425?B.C.) 以来,ナイル川に棲む巨大な爬虫類に使われるようになった.彼の Historiae:『歴史』 (II, 69) には,自国の石垣の間にいるトカゲに似ているところからイオニア人がそう名づけた,とある.crocodile にはいろいろな綴りがあり,その一つ cockadrill は,ワニの点滴とされたコカトリス (cockatrice) と混同されたこともある.
 ところで,ワニは生き残ったが,コカトリスは中世の博物誌が衰退するととtもに死に絶えた.cockatrice は,ギリシア語 ikhnos (歩み,足跡)から動詞 ikhneuein (追跡する,足跡を追う)を経て成立した ikhneumon (エジプトマングース --- ichneumon 〔エジプトマングース〕として英語に借入 ---)の訳語としてのラテン語 calcatrix が語源であり,原義は「狩猟者」「追跡者」であった.この動物は砂の中のワニの卵を探し出して食べるとエジプト人に信じられていた.ラテン語 calcatrix は calx, calc- (踵)から派生した動詞 calcare (追跡する)からの造語である〔中略〕.《プリニウス (Gaius Pliny, 23--79) の『博物誌』 (VIII, 37) では,ワニが気持ち良く口を開けて寝ている間にコカトリスはのどから腹に飛び込み,内臓をかみ裂くとある.》
 また,コカトリスはナイルチドリ (trochilus) と混同された.こちらの語源は trekhein (走る)から派生したギリシア語 trokhilos (小型シギ類)がラテン語化した言葉で,原義は「素早く走り回るもの」である〔中略〕.crocodile bird (ワニチドリ)とも呼ばれるこの鳥には,ワニの歯の間の肉片や食べ物のかすを突くという言い伝えがある.コカトリス (cockatrice) は想像上では鳥,獣,そして最後には爬虫類とされ,ミズヘビとして描かれる際には,英語の cock (ニワトリ)との類推からニワトリの卵から生まれた怪物バシリスク (basilisk) 〔中略〕と同じと見なされた.これはニワトリのとさかと体に,ヘビの尾を持ち,吐く息やひとにらみで人を殺すとされた.
 ひとにらみで殺すというバシリスク (basilisk) は,比喩表現では,女性,特に浮気な女性に使われ,このことから cockatrice にも同じく比喩表現が生まれた.例えば,イギリスの劇作家デッカー (Thomas Dekker, 1572?--1632) の The Guls Hornebooke:『しゃれ者の入門書』(1609年)における一章「劇場における当世風紳士の振る舞い方」に,「(負債を取り立てる)執行吏を避けるためにも,朝早く妖婦 (cockatrice) を船で返すためにも」いっそう便利な水辺の家がお勧め,とある.かくして,この生き物を水に返したことになるが,等の女性はそら涙 (crocodile tears:ワニの涙)を流すだろう.女の「そら涙」にほだされると,「餌食」になってしまうこともある.
 見せかけの悲しみを表す crocodile tears は,ワニが餌食を誘き寄せるために悲しげに呻くとか,餌食を飲み込みながら涙を流すと考えられたところから生まれた表現である.


 今回登場したのは伝説の動物 cockatrice (コカトリス)だ.ヘビとニワトリが合体した動物とも,にらんだり息を吐きかけて人を殺すヘビとも言われる.これが cocodril の語形・綴字に関係しているというのは,ありそうな話しだ.

 ・ ジョーゼフ T. シップリー 著,梅田 修・眞方 忠道・穴吹 章子 訳 『シップリー英語語源辞典』 大修館,2009年.

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2025-09-28 Sun

#5998. 英語史旅,hel旅,あるいは helgrimage [helgrim][helkatsu][notice][chaucer][canterbury_tales][cockney][london][johnson][blend][100_places]

 「英語語源辞典通読ノート」でおなじみの lacolaco さんが,9月23日付けで興味深い note 記事を公開された.「2025年ロンドン」 と題するその記事は,単なるロンドン旅行記ではない.「英語史」というレンズを通してロンドンとカンタベリーをめぐるという,体を張った知的なhel活 (helkatsu) の記録である.
 同記事によれば,lacolaco さんは今月半ばのロンドン滞在の折に,A History of the English Language in 100 Places をガイドブックとして,英語史にゆかりのある数々の場所を訪ね歩いたという.この本については hellog でも以下の記事などで取り上げてきた.

- 「#5956. 100の場所で英語史を学ぶ本 --- A History of the English Language in 100 Places」 ([2025-08-17-1])
- 「#5968. 「あなたが選ぶ英語史ゆかりの場所100選」はおもしろい企画になりそう --- HEL in 100 Places の序文より」 ([2025-08-29-1])

 今回の lacolaco さんの旅は,まさにこの本を実践に移した旅といえる.Geoffrey Chaucer (1340?--1400) が The Canterbury Tales の構想を練ったとされる Aldgate, Cockney (cockney) の語源となった鐘の音で知られる St Mary-le-Bow,そして Samuel Johnson が英語史上初の本格的な辞書を編纂した Dr Johnson's House など,訪問地はいずれも英語史を学ぶ者にとって胸が熱くなる場所ばかりだ.極めつけは,巡礼の最終目的地である Canterbury への日帰り旅.Chaucer の像や,大聖堂に鎮座する St. Augustine's Chair --- すなわちカンタベリー大聖堂の cathedra (司教座) そのもの --- を目の当たりにした感動が伝わってくる.
 この記事でとりわけ私の心を捉えたのは,lacolaco さんが自らを helgrim (英語史聖地巡礼者)と称していることだ.これは HEL (= History of the English Language) と pilgrim (巡礼者)を掛け合わせた混成語 (blend)である.このネーミングセンスには脱帽する.
 この素晴らしいアイデアに乗っかり,英語史の巡礼行為そのものを helgrimage (英語史旅,あるいはhel旅)と呼びたい.英語史を学び,その歴史が刻まれた土地を訪ね歩く.これは,書物と向き合うだけでは得られない,身体的な学びの形である.言語が実際に使用され,変容を遂げてきた現場の空気を吸うことで,英語史年表の各項目が,単なる知識ではなく,生きた実感として立ち上がってくるはずだ.
 英語史研究は,基本的には文献学であり,書斎にこもって写本や刊本を読んだり,PCの前で電子コーパスを分析するのが一般的だ.しかし,本来,言語は常に特定の場所と結びついている.歴史言語学が,地理学,社会学,人類学などの分野と密接に関わるのはそのためだ.helgrimage は,英語史という学問にフィールドワークの側面を与え,その魅力をさらに深めてくれる可能性を秘めている.
 これまで本ブログでは様々なhel活を提案してきたが,この helgrimage はきわめて能動的な活動といえるだろう.ロンドンやカンタベリーに限らず,ヴァイキングが足跡を残したイングランド北部,古英語の写本が眠る図書館,さらには英語が世界に展開していく拠点となった要衝など,helgrimage の目的地は世界中に存在する.
 lacolaco さんの今回の実践は,英語史の楽しみ方に新たな地平を切り開くものである.多くの helgrims がこれに続くことを願ってやまない.私も helgrimage に出かけることにしよう.

 ・ Lucas, Bill and Christopher Mulvey. A History of the English Language in 100 Places. London: Robert Hale, 2013.

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最終更新時間2025-10-04 15:03

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