年度末です.新年度のhel活に向けて動き出す時期となりました.毎年度初めには,khelf(慶應英語史フォーラム)では,メンバーより英語史の話題を提供してもらい,それを日々 HP 上に公開していく「英語史コンテンツ50」の企画を実施しています.この4月から始まるラウンドで4年目4回目となります.本ブログでもご案内していくことになると思いますが,開始に先立ちまして,ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします.
さて,このタイミングで1年前の「英語史コンテンツ50 (2023)」で公開された50のコンテンツについて,最もよく閲覧されたベスト10のランキングを作ってみました.より抜きの10本となります.やめられないおもしろさです.ぜひ英語史の魅力をご堪能ください.
なお,2021年度と2022年度のランキングも,それぞれ「#4726. 昨年度のコンテンツ企画のベスト10」 ([2022-04-05-1]),「#5102. 2022年度の英語史コンテンツのベスト10 --- 昨年度の振り返り」 ([2023-04-16-1]) でまとめていますので,そちらも訪れていただければ.
【 2023年度の英語史コンテンツ企画のベスト10 】
・ 第1位(閲覧616回) 「#35. 強調構文の英語史 "It ARE John and Anne that are married." はアリ!?」
・ 第2位(閲覧603回) 「#44. ハリー・ポッターと英語の方言」
・ 第3位(閲覧436回) 「#40. 「play the piano の the を忘れるなよ!」の真偽」
・ 第4位(閲覧408回) 「#9. なぜ be going to は未来を意味するの」
・ 第5位(閲覧302回) 「#6. b と d は紛らわしい!」
・ 第6位(閲覧281回) 「#7. consumption の p はどこから?」
・ 第7位(閲覧276回) 「#1. 『平家物語』と英語史」
・ 第8位(閲覧267回) 「#42. 四体液説の遺産?英単語に残る伝統医学の教え?」
・ 第9位(閲覧250回) 「#4. 「時代区分」を考える」
・ 第10位(閲覧241回) 「#30. That'll be fun. ←この fun の品詞は...?」
明日3月25日(月)の午後1時30分より Voicy heldio の生放送にて「「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん」を配信します.久しぶりの「はじめての古英語」シリーズです.小河舜さん(フェリス女学院大学ほか)および「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)とともに3人でお届けします.精読する予定の古英語原文は,昨日の記事「#5444. 古英語の原文を読む --- 597年,イングランドでキリスト教の布教が始まる」 ([2024-03-23-1]) をご覧ください.
明日の生放送に出演予定の小河舜さんには,私の関わっている各種のhel活メディアでお世話になっています.以下に,これまでともに歩んできたhel活の履歴を,メディアごとに時間順にまとめます.
【 khelf(慶應英語史フォーラム) 】
・ 『英語史新聞』第8号(最新号)の第3面「英語史ラウンジ」にて,小河さんが注目の英語史研究者として取り上げられています(今回は Part 1 で,次号で Part 2 が続きます)
【 YouTube 「いのほた言語学チャンネル」 】
・ 「#144. イギリスの地名にヴァイキングの足跡ーゲスト・小河舜さん」
・ 「#146. イングランド人説教師Wulfstanのバイキングたちへの説教は歴史的異言語接触!」
・ 「#148. 天才説教師司教は詩的にヴァイキングに訴えかける!?」
・ 「#150. 宮崎県西米良村が生んだ英語学者(philologist)でピアニスト小河舜さん第4回」
【 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」とプレミアム限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) 】
・ 「#747. 金曜夜のコトバ対談(生放送) --- 「khelf 声の祭典」第1弾」
・ 「【英語史の輪 #5】金曜夜のコトバ対談(生放送)の2次会」
・ 「#759. Wulfstan て誰? --- 小河舜さんとの対談【第1弾】」
・ 「#761. Wulfstan の生きたヴァイキング時代のイングランド --- 小河舜さんとの対談【第2弾】」
・ 「#763. Wulfstan がもたらした超重要単語 "law" --- 小河舜さんとの対談【第3弾】」
・ 「#765. Wulfstan のキャリアとレトリックの変化 --- 小河舜さんとの対談【第4弾】」
・ 「#767. Wulfstan と小河さんのキャリアをご紹介 --- 小河舜さんとの対談【第5弾】」
・ 「#770. 大学での英語史講義を語る --- 小河舜さんとの対談【第6弾】」
・ 「#773. 小河舜さんとの新シリーズの立ち上げなるか!?」
・ 「#783. 古英詩の傑作『ベオウルフ』 (Beowulf) --- 唐澤一友さん,和田忍さん,小河舜さんと飲みながらご紹介」
・ 「#797. 唐澤一友さんに Beowulf のことを何でも質問してみました with 和田忍さん and 小河舜さん」
・ 「#799. 「名前プロジェクト」立ち上げ記念収録 with 小河舜さん,矢冨弘さん,五所万実さん」
・ 「#816. ネット時代の言葉遣い --- CMC (生放送のアーカイヴ)」
・ 「#819. 古英語地名入門 with 小河舜さん」
・ 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#825. ニックネームでブレスト --- khelf メンバー4名との雑談」
・ 「#826. ニックネームを語ろう【名前プロジェクト企画 #1】(生放送)」
・ 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」
・ 「【英語史の輪 #45】リズムかロジックか --- 小河舜さんとの生対談」
・ 「#877. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (20) Albanian --- 小河舜さんとの実況中継」
・ 「#880. 古英語の人名と父称 --- 小河舜さんとの対談」
・ 「#926. 名付ける際はここがポイント【名前プロジェクト企画 #2】(12月11日(月)生放送のアーカイヴ)」
・ 「【英語史の輪 #90】ごめんなさいの言語学 --- 五所万実さん,金田拓さん,小河舜さんとの飲み会対談」
・ 「#983. B&Cの第42節「文法性」の対談精読実況生中継 with 金田拓さんと小河舜さん」
・ 「#985. ちょっと遅れて新年会 --- 金田拓さん,五所万実さん,小河舜さんとの景気のよい雑談回」
・ 「#987. 接辞で増やす英語のボキャビル --- 金田拓さん,五所万実さん,小河舜さんとの対談」
・ 「#1010. 英語史クイズ in hel フェス(生放送のアーカイヴ)」
(以下,後記)
・ 「#1030. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む」
・ 「【英語史の輪 #121】「はじめての古英語」第5弾の生放送後のアフタートーク with 小河舜さん&まさにゃん」
・ 「#1054. 年度初めの「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」生放送 with 小河舜さん」
・ 「#1055. 「千本ノック with 小河舜さん」のアフタートーク」
・ 「#1057. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (2)
・ 「#1060. 5人で話す博士論文の世界(生放送):五所万実さん,北澤茉奈さん,尾崎萌子さん,小河舜さん&堀田隆一」
・ 「【英語史の輪 #124】5人で話す博士論文の世界(生放送)続編:五所万実さん,北澤茉奈さん,尾崎萌子さん,小河舜さん&堀田隆一」
・ 「#1069. 千本ノック(生放送) with 小河舜さん --- 陸奥四人旅 その2」
・ 「#1070. 塩竈神社で名前学への意気込みを語る --- 陸奥四人旅 その3」
・ 「【英語史の輪 #128】パワスポ巡りとなりました --- 陸奥四人旅 その4」
・ 「#1071. 「名前と英語史」シンポジウム終了(生放送) --- 陸奥四人旅 その5」
・ 「【英語史の輪 #130】小河舜さんの上智大学での生活について」
・ 「#1075. 「後期古英語期におけるヴァイキングの名称 --- 社会に呼応する名前とその役割」 --- 小河舜さんのシンポ発表ダイジェスト」
(後記,ここまで)
加えて,この hellog でも ogawashun のタグのもとで小河さんを取り上げています.
以上,明日の生放送に備えつつ,小河さんコンテンツで英語史を学んでください!
寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)の推し活を本格的に始めて8ヶ月ほどが経ちます.この期間に様々な媒体でこの辞典を推薦し,話題にしてきました.推し活に加わる方も周囲に増えてきており,喜ばしい限りです.この辺りで推し活履歴を振り返っておきたいと思います.以下,KDEE (= The Kenkyusha Dictionary of English Etymology) の略称も適宜用います (cf. kdee) .
・ 2023年7月18日 「ゆる言語学ラジオ」にお招きいただいて収録した YouTube 回「英単語帳の語源を全部知るために,研究者を呼びました【ターゲット1900 with 堀田先生】#247」が配信される.49分30秒辺りから堀田による KDEE の激推しがスタート.その後の数日間,KDEE がオンラインで入手しにくくなるという事態が発生したとか.
・ 2023年7月27日 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 にて「#787. 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)のスゴさをご紹介 --- 田辺春美先生との対談」を配信し,制作にも携わられた田辺春美先生(成蹊大学)とともに KDEE の実力を語る.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第8位に入った.
・ 2023年8月1日 「研究社note」より「『英語語源辞典』と活版印刷裏話」と題する記事が公開される(研究社編集部の N. A. さんが元研究社印刷社長の小酒井英一郎さんにインタビューして執筆された記事).
・ 2023年8月2日 hellog にて「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) が公開される.
・ 2023年9月6日 heldio にて「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」が配信され,画期的なインタビューシリーズ3部作の開始となる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第5位に入った.
・ 2023年9月12日 heldio にて「#834. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (2)」が配信される.
・ 2023年9月20日 heldio にて「#842. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (3)」が配信される.
・ 2023年9月22日 hellog にて「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1]) が公開される.
・ 2023年10月23日 heldio にて「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」が配信され,藤原郁弥さんとの画期的なシリーズの幕開きとなる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第2位に入った.
・ 2023年10月26日 heldio にて「#878. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (2) --- 藤原くんと foot を語る」が配信される.
・ 2023年11月8日 heldio にて「#891. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (3) --- khelf 藤原くんと marble を語る第1弾」が配信される.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第9位に入った.
・ 2023年11月11日 heldio にて「#894. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (4) --- khelf 藤原くんと marble を語る第2弾」が配信される.
・ 2023年11月14日 heldio にて「#897. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (5) --- khelf 藤原くんと marble を語る第3弾」が配信される.
・ 2023年12月15日 heldio にて「#928. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (6) --- khelf 藤原くんと2重語 compute/count を語る」が配信される.
・ 2024年1月6日 Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) にて「【英語史の輪 #77】umisio さんと『英語語源辞典』で England と English を精読する」が配信される.heidio/helwa リスナーの umisio さんとの差しでの KDEE 熟読会.
・ 2024年1月9日 umisio さんにより上記熟読会の手書きノートが note 上に公開される.
・ 2024年1月19日 heldio/helwa リスナーの lacolaco さんが note にて「英語語源辞典通読ノート」と題するマガジンを公開し始める.前代未聞の企画.これまでに11本の記事があり,すでに animal にまで到達している.
・ 2024年1月25日 helwa にて「【英語史の輪 #85】「『英語語源辞典』を読む(飲む)会」を画策しています」として,KDEE オンライン読書会の企画案が堀田により初めて提案される.その後,初回が2月20日に実施されることになった.
・ 2024年1月31日 heldio にて「#975. 『英語語源辞典』の収録語彙」が公開される.
・ 2024年2月2日 heldio にて「#977. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (7) --- khelf 藤原くんと同音異義語 bank の項を精読する」が配信される.
・ 2024年2月3日 heldio にて「#978. 『英語語源辞典』の語義・初出年代 --- khelf 藤原くんと凡例を読もう」が配信される.凡例を熟読するという稀代な企画がスタート.
・ 2024年2月20日 helwa のオンラインオフ会にて「『英語語源辞典』を漫然と読む/飲む」企画が初めて実現する.
・ 2024年2月22日 helwa にて「【英語史の輪 #97】「置換」か「駆逐」か」が配信される.この配信回では,上記オンラインオフ会で話題となった KDEE 中の「駆逐」という用語が議論された.
・ 2024年3月4日 khelf による『英語史新聞』第8号が発行され,その第1面にて「『英語語源辞典』を使ってみよう」という記事(藤原郁弥さん執筆)が公開される.
・ 2024年3月5日 hellog にて「#5426. 『英語史新聞』第8号が発行されました」 ([2024-03-05-1]) が公開され,改めて KDEE が言及される.
・ 2024年3月12日 helwa にて「【英語史の輪 #105】近代英語と中英語の anigh に直接の関連はない? --- lacolaco さんも二度見した『英語語源辞典』の記述」が配信される.
以上がこの8ヶ月間の KDEE 推し活履歴です.今後の主立った予定を2点挙げておきます.
・ 本日2024年3月15日の夕方,helwa のオンラインオフ会にて「『英語語源辞典』を漫然と読む/飲む」企画の第2回が開催される予定です.
・ 新年度4月より朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が開講される予定です.毎月1回のペースで指定土曜日に開催されます.KDEE 以外の英語語源辞典も参照しますが,メインはもちろん KDEE.なお,2018年にも『英語語源辞典』に注目しつつ朝カルで英語語源講座を開いたことがあります(cf. 「#3381. 講座「歴史から学ぶ英単語の語源」」 ([2018-07-30-1])).
皆さんも,ぜひ KDEE 推し活にご参加ください!
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
昨秋より khelf(慶應英語史フォーラム)の企画として,一般の方々にも参加していただきつつ展開してきた「変なアルファベット表」がついに完成しました.先週の3月4日,khelf より『英語史新聞』第8号が発行されましたが,その第4面に「変なアルファベット表」が掲載されています.
英語の綴字と発音の乖離 (spelling_pronunciation_gap) の問題を逆手にとって,それをダシにして遊んでしまおうという企画でした.イラスト付きアルファベット表に A から Z の各文字で始まる単語が掲げられていますが,いずれの単語も発音との関係で何かしら「変な」語頭綴字を示しています.英語初学者にとっては「意地悪な」,したがって「大人の」アルファベット表ということになります.
昨秋の本企画発足以来,khelf では担当班を組織し,主に Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で進捗状況をお伝えするなど発信に努めてきました.まず,一般の方々に呼びかけて,各文字で始まる「変な」単語の候補をお寄せいただきました.その後,khelf で取りまとめた後に,各文字で始まる単語の候補のなかから,最も「変な」単語を決めていただくための投票を呼びかけました.N の単語については決選投票にまでもつれ込むことになりました.企画を進める過程で,そもそも綴字の(不)規則とは何なのかという本質的な問題にぶつかるなどしましたが,最終的には上記の通り「変なアルファベット表」が仕上がりました.各単語のイラストも khelf オリジナルの制作ですので,ぜひご注目ください.一般公募と一般投票という形で皆さんにご協力いただいた企画として,ここに完成の旨を報告し,改めて感謝申し上げます.
『英語史新聞』第8号の第4面には,「変なアルファベット表」のほか,投票結果なども掲載されています.次点候補の単語なども挙げられていますので,そちらも眺めながら綴字と発音の乖離という問題に思いを巡らせていただければと思います.
これまで「変なアルファベット表」企画に関するコンテンツを,heldio, helwa, hellog, YouTube などで様々に公開してきました.以下に一覧しておきます.特に heldio では,「変なアルファベット表」の公開後も,表に掲載されている各単語と関連する話題をお届けしています.向こう数日の配信回にもご期待ください.
・ heldio 「#872. 変なアルファベット表を作ろうと思っています --- khelf 企画」
・ heldio 「#873. スペリングの規則と反則 --- 「変なアルファベット表」企画に寄せて」
・ heldio 「#887. khelf 寺澤志帆さんと「変なアルファベット表」企画の中間報告」
・ heldio 「#924. 今週は「変なアルファベット表」のための投票週間です」
・ heldio 「#933. 「変なアルファベット表」の投票は済ませましたか? --- khelf 寺澤さんと投票の呼びかけ」
・ heldio 「#966. 「変なアルファベット表」の n- の単語のための決選投票 --- khelf 寺澤志帆さんからの呼びかけ」
・ heldio 「#1011. 「変なアルファベット表」の完成と公開 with 寺澤志帆さん」
・ heldio 「#1015. cello --- 「変なアルファベット表」からの話題」
・ heldio 「#1016. schedule の発音は「スケジュール」か「シェデュール」か? --- 「変なアルファベット表」の S の項目より」
・ helwa (有料配信) 「【英語史の輪 #42】変なアルファベット表を作る企画」
・ helwa (有料配信) 「【英語史の輪 #43】変なアルファベット表企画への反響」
・ hellog 「#5303. 『英語史新聞』第7号が発行されました」 ([2023-11-03-1])
・ hellog 「#5341. 今週は「変なアルファベット表」企画の投票週間です」 ([2023-12-11-1])
・ hellog 「#5426. 『英語史新聞』第8号が発行されました」 ([2024-03-05-1])
・ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」 「#185. eye はもっとへんなつづりだった!!三文字規則が生み出した現象たち?---へんなアルファベット表向け単語大募集!」
全国の『英語史新聞』ファン(?)の皆さん,お待たせしました.昨日3月4日付けで,khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第8号がウェブ公開となりました.こちらよりPDFで閲覧・ダウンロードできます.
ほぼ2年前の4月1日に創刊号が発行されて以来,3ヶ月に一度のペース順調に号を重ねてきました.今回の第8号は本来であれば新年に発行という予定でしたが,諸事情で3月にずれ込みました.しかし,遅れた代わりに良質の記事が集まってきていますので,楽しく読んでいただけるかと思います.
第8号の公開および記事紹介などの情報は,今後立て続けに khelf 公式の X アカウント @khelf_keio からお届けしていく予定ですので,ぜひフォローのほどよろしくお願いします.読者の皆さんにおかれましても,そちらのリポストなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.
さて,今回も khelf の『英語史新聞』制作班が献身的に執筆・編集し,丁寧に作り込んでくれました.第8号の記事のラインナップをご紹介します.
・ シングリッシュとダイグロシア
・ 『英語語源辞典』を使ってみよう
・ ハリー・ポッターとロンの英語
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第3回 小河舜先生(Part 1)」
・ 変なアルファベット表 完成!
一言では紹介しきれない充実のラインナップです.執筆陣は学部3年生から大学院博士課程の学生まで,皆で協力して作りました.どれが目玉記事か決められないほど,いずれも充実の内容となっています.
前号で呼びかけた「変なアルファベット表」企画は,hellog 読者の皆さんにも投票などに参加していただきつつ数ヶ月かけてじっくり進めてきましたので,ここで特別に触れておきたいと思います.ご協力ありがとうございました.
本号は昨日の Voicy heldio でも「#1008. 『英語史新聞』第8号」としてご案内していますので,そちらもぜひお聴きください.
『英語史新聞』は上述の通り2022年4月に創刊号を発行して以来,おおよそ3ヶ月に1度のペースで発行し続けてきました.毎号の制作班のモチベーションが保たれているのも,多くの方々にお読みいただいているからこそです.ご愛読ありがとうございます.最新号も含め『英語史新聞』のすべての号は,教育目的での利用・配布について自由にお取り扱いいただけます.むしろ,英語史の魅力を広げるべく活動している発行主体の khelf としては,電子媒体・紙媒体を問わず,皆様に広く利用・配布していただけますと幸いです.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にお使いの場合には,ぜひこちらのフォームを通じてご一報くださいますと khelf の活動実績の把握につながるほか,『英語史新聞』編集委員の励みともなります.ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,ここに明記いたします.フォームへの入力を通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
毎朝6時に,本ブログの姉妹版ともいえる音声ブログ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を配信しています.2024年の heldio のテーマは言語変化 (language_change) です.大きなテーマなので取り上げていく話題も多岐にわたりますが,避けて通れないものの1つに文法化 (grammaticalisation) があります.本ブログでも「#417. 文法化とは?」 ([2010-06-18-1]) を始めとして,多くの記事で注目してきました.
先週,heldio にて5日連続で文法化の超入門となる話題をお届けしました.結果的に文法化の導入シリーズとなりました.こちらにリンクをまとめておきます.
・ 「#988. ぎゅうぎゅうの単語とすかすかの単語 --- 内容語と機能語」
・ 「#989. 内容語と機能語のそれぞれの特徴を比較する」
・ 「#990. 文法化とは何か?」
・ 「#991. while の文法化」
・ 「#992. while の文法化(続き)」
(以下,後記)
・ 「#1001. 英語の文法化について知りたいなら --- 保坂道雄(著)『文法化する英語』(開拓社,2014年)」
・ 「#1003. There is an apple on the table. --- 主語はどれ?」
(後記,ここまで)
5回の話しはスムーズにつながっているので,順に聴いていただくとよいと思います.手っ取り早く聴きたいという方は,中心回となる「#990. 文法化とは何か?」だけでもシリーズの大枠はつかめると思います.
もっと本格的に文法化を学びたいという方は,本ブログの grammaticalisation の各記事をご覧ください.特に重要な記事をいくつか挙げておきます.
・ 「#1972. Meillet の文法化」 ([2014-09-20-1])
・ 「#1974. 文法化研究の発展と拡大 (1)」 ([2014-09-22-1])
・ 「#1975. 文法化研究の発展と拡大 (2)」 ([2014-09-23-1])
・ 「#2575. 言語変化の一方向性」 ([2016-05-15-1])
・ 「#2576. 脱文法化と語彙化」 ([2016-05-16-1])
・ 「#3273. Lehman による文法化の尺度,6点」 ([2018-04-13-1])
・ 「#3272. 文法化の2つのメカニズム」 ([2018-04-12-1])
・ 「#3281. Hopper and Traugott による文法化の定義と本質」 ([2018-04-21-1])
・ 「#5124. Oxford Bibliographies による文法化研究の概要」 ([2023-05-08-1])
ここ数日間で,知識共有サービス Mond に寄せられてきた英語史系の質問に6件ほど回答しました.こちらでもリンクを共有します(質問文の原文を短文に要約・編集してあります).新しい順に並べています.
今朝お答えした8歳の娘さんからの最新の質問は,とりわけ強力でしたね,パンチが効いています.これまで私が受けたことのなかった英語に関する素朴な疑問で,刺激的でした.ありがとうございます!
(1) boss ってなんで s がふたつなの?と8歳娘に質問されました.なんでですか?
(2) 英語がラテン語から動詞を借用するとき,完了分詞形に基づいた語形を採用するのはなぜなのでしょうか?
(3) Japan という単語の語源は?
(4) who, what, where, when などに対して,なぜ how だけが wh- でなく h- で始まるのでしょうか?
(5) 5文型の SVO などの V は「動詞」とされますが,「述語」が正しいのではないでしょうか?
(6) なぜ動作を表わすはずの動詞に「状態動詞」なるものがあるのでしょうか?
今回お答えした質問は,本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 で関連する話題を取り上げたり,詳しく解説してきたりしたものも多く,実際に回答のなかでいくつかリンクを張っていますので,合わせてご参照いただければと思います.
今年度,慶應義塾大学文学部英米文学専攻の堀田ゼミより14本の卒業論文と1本の修士論文が提出されました.以下,各々の題目を一覧します.私の英語史のゼミでどんなことが研究テーマとなるのかが伝わると思います.
[ 卒業論文 ]
・ Changes in the Frequency of Inanimate S-Genitive Case Use in British Popular and Quality Papers
・ The Characteristics and Development of Suffix -some in the History of English
・ The Origin and Development of the Construction It is Adj of NP to VP
・ The Difference between To-infinitive and Bare Infinitive in a Subjective Complement
・ A Study on the Singular and Plural Concord with the Collective Noun "Government"
・ An HTOED-Based Study on Semantic Change of Words Meaning "Delicious"
・ Contemporary Usage of 'unto' with Semantic Extension from the Bible
・ The Usage of Metonymies Shared among ENL Areas: The Case of Governmental Facilities
・ Stylistic Differences and Literary Commonalities among Two Works of George Orwell
・ Changes in the Social Demand and Frequency of the Woman's Honorific Title Ms
・ Decoding the N-word: A 20-Year Analysis of Language Evolution in Grammy Nominated Rap (2004--2024)
・ Political Correctness of the Infectious Disease Names: Hansen's disease, AIDS, and Mpox
・ Class Society and Language in Britain: Focusing on the Linguistic Characteristics of the Beatles
・ Changes and Trends of English Use in the Indian Movies: New Middle Class as the Audience
[ 修士論文 ]
・ Tautologies in the History of English: Their Usage and Conventionality
今年度のゼミでも英語史・英語学に関する多様なテーマで研究がなされました.形態論,統語論,意味論,語用論,語法研究,文体論,社会言語学など,関心が多岐にわたる点が,本ゼミの特徴です.ただし今回は音声学・音韻論に注目した研究がありませんでした(私としては少々寂しい).調査方法としてはコーパスを用いた実証的な研究が基本となってきています.来年度の卒論・修論にもテーマの幅広さを期待しています!
過年度のゼミ卒業論文の題目についてはこちらの記事セットあるいは sotsuron をどうぞ.英語史分野のテーマ探しのヒントとなるかと思います.khelf HP より「研究テーマ紹介」,あるいはゼミ紹介 HP より「ゼミ生の卒論テーマ」も役立つと思います.
昨年7月より週1,2回のペースで Baugh and Cable の英語史の古典的名著 A History of the English Language (第6版)を原書で精読する Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) でのシリーズ企画を進めています.1回200円の有料配信となっていますが第1チャプターに関してはいつでも試聴可です.またときどきテキストも公開しながら無料の一般配信も行なっています.これまでのバックナンバーは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) にまとめてありますので,ご確認ください.
今までに41節をカバーしてきました.目下,古英語を扱う第3章に入っています.次回取り上げる第42節 "Grammatical Gender" は,古英語の名詞に確認される文法上の「性」,すなわち文法性 (gender) に着目します.以下に同節のテキストを掲載しておきます(できれば本書を入手していただくのがベストです).
42. Grammatical Gender. As in Indo-European languages generally, the gender of Old English nouns is not dependent on considerations of sex. Although nouns designating males are often masculine, and those indicating females feminine, those indicating neuter objects are not necessarily neuter. Stān (stone) is masculine, and mōna (moon) is masculine, but sunne (sun) is feminine, as in German. In French, the corresponding words have just the opposite genders: pierre (stone) and lune (moon) are feminine, while soleil (sun) is masculine. Often the gender of Old English nouns is quite illogical. Words like mægden (girl), wīf (wife), bearn (child, son), and cild (child), which we should expect to be feminine or masculine, are in fact neuter, while wīfmann (woman) is masculine because the second element of the compound is masculine. The simplicity of Modern English gender has already been pointed out as one of the chief assets of the language. How so desirable a change was brought about will be shown later.
文法性に関する話題は hellog でも gender のタグを付した多くの記事で取り上げてきました.そのなかから特に重要な記事へのリンクを以下に張っておきます.
・ 「#25. 古英語の名詞屈折(1)」 ([2009-05-23-1])
・ 「#26. 古英語の名詞屈折(2)」 ([2009-05-24-1])
・ 「#28. 古英語に自然性はなかったか?」 ([2009-05-26-1])
・ 「#487. 主な印欧諸語の文法性」 ([2010-08-27-1])
・ 「#1135. 印欧祖語の文法性の起源」 ([2012-06-05-1])
・ 「#2853. 言語における性と人間の分類フェチ」 ([2017-02-17-1])
・ 「#3293. 古英語の名詞の性の例」 ([2018-05-03-1])
・ 「#4039. 言語における性とはフェチである」 ([2020-05-18-1])
・ 「#4040. 「言語に反映されている人間の分類フェチ」の記事セット」 ([2020-05-19-1])
・ 「#4182. 「言語と性」のテーマの広さ」 ([2020-10-08-1])
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
3週間後の2月24日(土)の 15:30--18:45 に,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第4回となる「近代英語の綴字 --- 標準化を目指して」が開講されます.
今回の講座は,全4回のシリーズの第4回となります.シリーズのラインナップは以下の通りです.
・ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり(春・4月29日)
・ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ(夏・7月29日)
・ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄(秋・10月7日)
・ 第4回 近代英語の綴字 --- 標準化を目指して(冬・2月24日)
今度の第4回については,先日 Voicy heldio にて「#971. 近代英語の綴字 --- 2月24日(土)の朝カルのシリーズ講座第4回に向けて」として概要を紹介していますので,お聴きいただければ幸いです.
これまでの3回の講座では,英語綴字の標準化の前史を眺めてきました.今回はいよいよ近現代における標準化の実態に迫ります.まず,15世紀の Chancery Standard に始まり,16世紀末から17世紀にかけての Shakespeare,『欽定訳聖書』,初期の英語辞書の時代を経て,18--19世紀の辞書完成に至るまでの時期に注目し,英単語の綴字の揺れと変遷を追います.その後,アメリカ英語の綴字,そして現代の綴字改革の動きまでをフォローして,現代英語の綴字の課題について論じる予定です.各時代の英単語の綴字の具体例を示しながら解説しますので,迷子になることはありません.
本講座にご関心のある方は,ぜひこちらのページよりお申し込みください.講座当日は,対面のほかオンラインでの参加も可能です.また,参加登録されますと,開講後1週間「見逃し配信」を視聴できます.ご都合のよい方法でご参加いただければと思います.シリーズ講座ではありますが,各回の内容は独立していますので,今回のみの単発のご参加でもまったく問題ありません.なお,講座で用いる資料は,当日,参加者の皆様に電子的に配布される予定です.
本シリーズと関連して,以下の hellog 記事,および Voicy heldio 配信回もご参照ください.
[ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり ]
・ heldio 「#668. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まります」(2023年3月30日)
・ hellog 「#5088. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まります」 ([2023-04-02-1])
・ hellog 「#5119. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」の第1回を終えました」 ([2023-05-03-1])
[ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ ]
・ hellog 「#5194. 7月29日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」」 ([2023-07-17-1])
・ heldio 「#778. 古英語の文字 --- 7月29日(土)の朝カルのシリーズ講座第2回に向けて」(2023年7月18日)
・ hellog 「#5207. 朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」を終えました」 ([2023-07-30-1])
[ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄 ]
・ hellog 「#5263. 10月7日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第3回「中英語の綴字 --- 標準なき繁栄」」 ([2023-09-24-1])
・ heldio 「#848. 中英語の標準なき綴字 --- 10月7日(土)の朝カルのシリーズ講座第3回に向けて」(2023年9月26日)
[ 第4回 近代英語の綴字 --- 標準化を目指して ]
・ heldio 「#971. 近代英語の綴字 --- 2月24日(土)の朝カルのシリーズ講座第4回に向けて」(2024年1月27日)
多くの方々のご参加をお待ちしております.
昨日の記事「#5385. methinks にまつわる妙な語形をいくつか紹介」 ([2024-01-24-1]) の後半で少し触れましたが,近代英語期の半ばに methoughts なる珍妙な形態が現われることがあります.直説法・3人称・単数・過去,つまり「3単過の -s」という破格の語形です.生起頻度は詳しく調べていませんが,OED によると,Shakespeare からの例を初出として17世紀から18世紀半ばにかけて用例が文証されるようです.英語史上きわめて破格であり,希少価値の高い形態といえます(英語史研究者は興奮します).
OED の methinks, v. の異形態欄にて γ 系列の形態として掲げられている5つの例文を引用します.
a1616 Me thoughts that I had broken from the Tower. (W. Shakespeare, Richard III (1623) i. iv. 9)
1620 The draught of a Landskip on a piece of paper, me thoughts masterly done. (H. Wotton, Letter in Reliquiæ Wottonianæ (1651) 413)
1673 I had..coyned several new English Words, which were onely such French Words as methoughts had a fine Tone wieh them. (F. Kirkman, Unlucky Citizen 181)
1711 Methoughts I was transported into a Country that was filled with Prodigies. (J. Addison, Spectator No. 63. ¶3)
1751 The inward Satisfaction which I felt, had spread in my Eyes I know not what of melting and passionate, which methoughts I had never before observed. (translation of Female Foundling vol. I. 30)
methoughts の生起頻度を詳しく調べていく必要がありますが,いくつかの例が文証されている以上,単なるエラーで済ませるわけにはいきません.この形態の背景にあるのは,間違いなく3単現の形態で頻度の高い methinks でしょう.methinks からの類推 (analogy) により,過去形にも -s 語尾が付されたと考えられます.逆にいえば,このように類推した話者は,現在形 methinks の -s を3単現の -s として認識していなかったかとも想像されます.他の動詞でも3単過の -s の事例があり得るのか否か,疑問が次から次へと湧き出てきます.
実はこの methoughts という珍妙な過去形の存在について最初に教えていただいたのは,同僚のシェイクスピア研究者である井出新先生(慶應義塾大学文学部英米文学専攻)でした.その経緯は,先日の YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」にて簡単にお話ししました.「#195. 井出新さん『シェイクスピア,それが問題だ! --- シェイクスピアを楽しみ尽くすための百問百答』(大修館書店)のご紹介」をご覧ください.
関連して,井出先生とご近著について,以下の hellog および heldio でもご紹介していますので,ぜひご訪問ください.
・ hellog 「#5357. 井出新先生との対談 --- 新著『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)をめぐって」 ([2023-12-27-1])
・ heldio 「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」
英語史にはおもしろい問題がゴロゴロ転がっています.
・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.
昨年大晦日に井上・堀田の YouTube (いのほたチャンネル)で公開した「#193. インド・ヨーロッパ祖語という着想のどこがすごいのか?! --- 近代言語学の祖と言われる Sir William Jones はどのような人物?」がよく視聴されています.本ブログでもご紹介しましょう.
Jones は,「比較言語学」 (comparative_linguistics) という近代的で科学的な言語学の扉を開いた人物として言語学史上に名を残しています.しかし,動画の中でも述べている通り,私が考える Jones の最大の功績は,共通の祖語(後の比較言語学で「印欧祖語」と呼ばれることになる言語)が今や失われているだろうと看破し喝破した点にあります.ヘブライ語やギリシア語など,ユダヤ・キリスト教と関わりの深い宗教的威信のある既存の言語のいずれでもなく,もう失われてしまった言語なのだろうと予言した慧眼に敬服します.
この事情については,上記 YouTube のほか hellog や Voicy heldio でも取り上げてきましたので,合わせて参照していただければ
・ hellog 「#282. Sir William Jones,三点の鋭い指摘」 ([2010-02-03-1])
・ hellog 「#658. William Jones 以前の語族観」 ([2011-02-14-1])
・ hellog 「#1272. William Jones 以前の語族観 (2)」 ([2012-10-20-1])
・ hellog 「#3705. Sir William Jones」 ([2019-06-19-1])
・ heldio 「#352. Sir William Jones --- 語学の天才にして近代言語学・比較言語学の祖」(2022年5月18日配信)
毎朝6時にお届けしている Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の2024年の大テーマは「言語変化」 (language_change) です.この「hellog~英語史ブログ」でも長きにわたって注目してきたトピックですが,音声メディア heldio も用いて,より広く「なぜコトバは変化するのか」という魅力的な話題をお届けしていきたいと思います.よろしくお願いいたします.
heldio チャンネルは2021年6月2日に開設し,2年7ヶ月ほどの間,毎朝英語史に関するお話しをお届けしてきました.heldio 開設2周年に当たる2023年6月2日には,有料版となるプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」もオープンしました(こちらは毎週火木土の午後6時に配信しています).
私はブログや Voicy 等のメディアを通じて「英語史をお茶の間に」広げていくことをモットーとしていますが,「hel活」(英語史活動)を推進してゆく「助っ人」にも囲まれるようになりました.感謝に堪えません.そのhel活助っ人のごく一部にすぎませんが,以下にご紹介します.
・ khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバー:「hel活」の最大の応援団体です.『英語史新聞』を季刊で刊行しています.HP での広報のほか,X(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio からも日々元気にhel活中.
・ heldio/helwa のリスナーの皆さん:日々の配信回へのコメント,SNS を通じての広報,企画回や生放送への参加,その他のhel活でお世話になっています.とりわけ最近注目すべきSNS上での活動としては:
- リスナーの umisio さんによる「2024年「英語史の輪#77」英語語源辞典を読む.ノート完成.」,および「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む(34)のノートを取ったどー」等
- リスナーの kitako さんによる「heldio瓦版2024年1号」
- 同じく kitako さんによるインスタグラムでの日々の heldio 配信回の紹介
が目を見張ります
・ heldio/helwa 対談出演者の研究者や学生の皆さんにもお世話になっています.特に出演回数の多い方々の一覧は,いずれ整理したいと思っています.当面は以下のお二方が独自にまとめられているものをどうぞ.
- 菊地翔太先生(専修大学)の HP
- 矢冨弘先生(熊本学園大学)の HP
・ そしてもちろん本ブログを毎日お読みいただいている皆さんにも感謝いたします.私の公式 X アカウント @chariderryu からも情報を発信していますので,ぜひフォローをお願い致します.
皆さんのhel活支援に感謝いたします.引き続き「英語史をお茶の間に」の応援をよろしくお願いします.今回と同趣旨の記事として「#5256. heldio/hel活応援リンク集」 ([2023-09-17-1]) もご覧いただければ.
昨日の記事「#5366. England と English の語源を深掘りする回」 ([2024-01-05-1]) で触れた England について,歴史的な異形態(あるいは異綴字)を OED に従って列挙してみたい.OED によると,この語の異形態は大きく3つの系列に分けられる.
α. OE Ænglaland, Anglaland (rare), Englalond, OE-eME Ængleland, Englaland, lOE Englæland, lOE-eME Engleland, eME Aenglelond, Englalande, Englelond, Englelonde.
β. eME Anglenelonde, Engleneloande, Englenelond, Englenelonde.
γ. ME Ægeland, Eangelond, Engelande, Engelond, Engelonde, Enguelonde, Enkelonde, Ingelond, Ingelonde, Inglond, Inglonde, Yngelond, ME-15 Englond, Englonde, Ingeland, Ynglond, ME-16 Englande, Ingland, ME- England, 15 Eingland, Eyngland, Yngellond, 16 Inglant (Irish English), 17 Englone (Irish English); Sc. pre-17 Engelande, Englande, Englonde, Ingland, Inglande, Yngland, Ynglande, Ynglond, pre-17 17- England.
α系列の綴字は本来の語源形に最も近いもので,Angle (アングル人)の複数属格形である Angla に land (土地,国)が接続した複合語である.綴字上 <l> の文字が2度,典型的には <lala> のような繋がりで現われるのがポイントである.
β系列は,複数属格語尾に本来強変化名詞で予想される -a ではなく,弱変化名詞屈折から借りてきたとおぼしき -ena が用いられる系列である.これについては,A. Campbell Old Eng. Gram. (1959) §610 (7) を参照するようにとあったので参照してみると,「マーシア人たちの」を意味する Mierċcna (-ena) の形態を念頭に置きつつ次のように述べている.
The adoption of g.p. -ena, -na is obscure; once adopted it caused further confusion with the weak nouns (Seaxan, Englan, &c.).
βγ系列は,α系列の <lala> の連続を嫌って重音脱落 (haplology) を経た綴字である.現代標準の England に連なる系列と理解してよい.「#2362. haplology」 ([2015-10-15-1]) を参照.
ちなみに MED の Engelōnd n.[/sic] によると, "Also Eng(e)land, (early) Engle(ne lond, (late) Ing(e)lond." と異形態が与えられていた.
このように England という重要な国号の形態・綴字とて歴史的には長らく揺れを示してきたのである.関連して以下の記事や放送回を参照.
・ hellog 「#1145. English と England の名称」 ([2012-06-15-1])
・ hellog 「#1436. English と England の名称 (2)」 ([2013-04-02-1])
・ hellog 「#2250. English の語頭母音(字)」 ([2015-06-25-1])
・ heldio 「#16. そもそも English という単語はナゾだらけ!」
・ heldio 「#251. 複数形 Englishes の出現」
・ Campbell, A. Old English Grammar. Oxford: OUP, 1959.
本ブログの姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,有料ではありますが「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」と題するオンライン超精読回のシリーズを,この半年のあいだ,おおよそ定期的にお届けしています.バックナンバーは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) をご覧ください.
昨日,最新回となる「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (34) The Names "England" and "English"」を配信しました.England と English という,英語史上きわめて重要な語の語源に迫る半ページ弱の文章を30分以上かけて解きほぐしています.
この回を配信した機会を逃さずに,本日午後6時より,Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」での配信となりますが,この話題と関連する生放送を「【英語史の輪 #77】新年会直前,『英語語源辞典』で England と English を精読する」と題してお届けする予定です.
寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997)を手元に置いておられる方はそれを目の前に置き,そうでない方は今回のためにスキャンしたこちらの画像を参考に,ぜひ聞いていただけば幸いです.きわめて重要な単語の語源を深掘りしていきます.
こちらの helwa はプレミアム限定チャンネルですが,この1月より初月無料の試聴サービスを提供しています.日々 heldio の通常配信をお聴きの方々のなかには,プレミアム限定チャンネルは気になっていたけれど課金して参加するにはハードルが高い,まずはどんな雰囲気なのか試聴してみたい,という方もいらっしゃるかもしれません.ぜひこの1ヶ月のあいだ試聴していただき,続けてもよいと思った場合には2月以降もお付き合いいただければと思います.そうでなければ辞めていただくということで,まったくけっこうです.
余談ですが,上記の予約済の生放送のタイトルにも示されているとおり,helwa ではプレミアムリスナー限定のオンライン新年会を,生放送終了後の午後7時から開催予定です.
予習・復習のために,今回の話題と関連する hellog, heldio, その他のリソースとして以下を挙げておきます.
今年も毎朝6時に,本ブログのラジオ版ともいうべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)をお届けしています.この heldio には,有料版のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) があります.昨年6月2日に開設したサロン風チャンネルで,毎週火木土の夕方6時にお届けしています.今年の初回配信は昨晩「【英語史の輪 #75】2023年 heldio の推し配信回の投票結果,について講評の続き」として配信しました.
helwa には目下40名ほどのコアリスナーの皆さんに参加していただいており,楽しく学んだり,おしゃべりしたり,会ったり,飲んだりしています.月ごとのサブスクリプションで,月額800円となっています(Voicy アプリ経由では手数料がかかってさらに高くなりますので,ウェブブラウザ経由でご参加下さい).
年が改まりまして,helwa ではこの1月より初月無料の試聴サービスを提供しています.日々 heldio の通常配信をお聴きの方々のなかには,プレミアム限定チャンネルは気になっていたけれど課金して参加するにはハードルが高い,まずはどんな雰囲気なのか試聴してみたい,という方もいらっしゃるかもしれません.ぜひこの1ヶ月のあいだ試聴していただき,続けてもよいと思った場合には2月以降もお付き合いいただければと思います.そうでなければ辞めていただくということで,まったくけっこうです.
helwa の運営方針は開設時より変わっていません.基本は「英語史をお茶の間に」をモットーとし,収益は「hel活」(英語史活動)にほぼすべて充てています.以下の記事をご参照いただければ.
・ 「#5145. 6月2日(金),Voicy プレミアムリスナー限定配信の新チャンネル「英語史の輪」を開始します」 ([2023-05-29-1])
・ 「#5150. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」がオープン!」 ([2023-06-03-1])
・ 「#5301. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の5ヶ月の軌跡」 ([2023-11-01-1])
・ 「#5330. 11月の「英語史の輪」 (helwa) の振り返り --- Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル」 ([2023-11-30-1])
最近の helwa コミュニティ内部の傾向としては,多くのプレミアムリスナーの方々がボランティアで「hel活」を推し進めてくれること,コミュニティ内の全体的な英語史リテラシーの増強により私の話題が先取りされてしまう(!)機会が増えたこと,オンラインや対面のオフ会の頻度が高まってきたこと,などが挙げられます.
実際,次の交流の機会として,明後日の1月5日(金)の 19:00--20:00 に helwa オンライン新年会を開催する予定です.heldio/helwa 出演経験のある研究者や khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーも加わり,貴重な交流の機会になると思います.
昨年12月分の helwa の全13回が出そろっていますので,そのバックナンバーへリンクを張っておきます.
・ 【英語史の輪 #62】helwa は本当に輪が広がるワ (2023/12/02)
・ 【英語史の輪 #63】語彙関係 (2023/12/05)
・ 【英語史の輪 #64】明日の helwa 忘年会ヨロシク! その他諸々も! (2023/12/07)
・ 【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半) (2023/12/09)
・ 【英語史の輪 #66】博士論文とファイル名 (2023/12/12)
・ 【英語史の輪 #67】同音異義語 count (2023/12/14)
・ 【英語史の輪 #68】今朝の中学生からの生の声をもっとお届け! (2023/12/16)
・ 【英語史の輪 #69】get medieval の続き (2023/12/19)
・ 【英語史の輪 #70】なぜ英語史に関心を持ったの? --- 村岡宗一郎さん,藤原郁弥さんとの対談 (2023/12/21)
・ 【英語史の輪 #71】年末年始の heldio/helwa イベントのお知らせ (2023/12/23)
・ 【英語史の輪 #72】抽象名詞を作る -ity (2023/12/26)
・ 【英語史の輪 #73】年末の雑談回 (2023/12/28)
・ 【英語史の輪 #74】2023年の helwa 10大ニュース (2023/12/30)
年末に「#5358. 2023年 heldio の推し配信回は? --- ぜひ投票をお願いします」 ([2023-12-28-1]) の記事で呼びかけていた通り,昨年中にお届けした heldio 配信回のなかから人気回を決めるリスナー投票を実施しました.大晦日の夜に締め切りましたが,38名の方による投票がありました.投票してくださった方々には御礼申し上げます.
では,投票結果です.1人10個まで選択できるという投票形式でしたが,以下の通りとなりました.上位7位までの計25回分を掲載しています.さらに詳しくは Slido での投票結果,あるいは本記事のソースHTMLをご覧ください.
また本記事冒頭に掲げた今朝の heldio 配信回「#946. 2023年 heldio の推し配信回の投票結果を発表」では,声で投票結果の講評をお届けしていますので,そちらもお聴きいただければ.
1. 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」 (29%)
2. 「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」 (24%)
3. 「#667. 五所万実さんとの対談 --- 商標言語学とは何か?」 (21%)
4. 「#783. 古英詩の傑作『ベオウルフ』 (Beowulf) --- 唐澤一友さん,和田忍さん,小河舜さんと飲みながらご紹介」 (18%)
5. 「#729. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生のための英語史」 (16%)
5. 「#759. Wulfstan て誰? --- 小河舜さんとの対談【第1弾】」 (16%)
5. 「#797. 唐澤一友さんに Beowulf のことを何でも質問してみました with 和田忍さん and 小河舜さん」 (16%)
5. 「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」 (16%)
5. 「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」 (16%)
6. 「#602. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」 (13%)
6. 「#661. book と beech --- 本とブナの関係は?」 (13%)
6. 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」 (13%)
6. 「#865. 世界英語のお薦め本の紹介 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 (13%)
6. 「#901. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 梅谷博之先生とのモンゴルの英語をめぐる対談」 (13%)
7. 「#598. メタファーとは何か? 卒業生の藤平さんとの対談」 (11%)
7. 「#624. 「沈黙」の言語学」 (11%)
7. 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」 (11%)
7. 「#671. 五所万実さんとの対談 --- 商標の記号論的考察」 (11%)
7. 「#735. 古英語音読 --- マタイ伝「種をまく人の寓話」より毒麦の話」 (11%)
7. 「#776. 「言語は○○である」 --- 初のリスナー参加の生放送企画」 (11%)
7. 「#809. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 (11%)
7. 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」 (11%)
7. 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」 (11%)
7. 「#869. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 和田忍さんとの対談」 (11%)
7. 「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」 (11%)
最上位にはシリーズものや対談回が多くランクインしました.とりわけベスト5辺りまでの配信回については,2024年にもシリーズとして継続して関連回を配信して欲しい,というリスナーさんからの声と理解してよろしいでしょうか.ぜひ検討していきたいと思います.全体として,本紹介や「素朴な疑問」を扱った回も人気のようです.投票結果の一覧のなかで,まだお聴きでない配信回がありましたら,ぜひこのお正月にでも聴取してお楽しみください.
投票されたリスナーの皆さんからの選評については,12月25日の heldio 配信回「#938. 2023年 heldio の推し配信回の投票を!」のコメント欄も覗いてみてください.
リスナー umisio さんによる note より,以下の記事も参考になります.
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第1四半期(1--3月)編」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第2四半期(4--6月)+7月 まるでカンブリア紀!?」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第3四半期(8--9月) ※7月は前回に含めた」
- 「令和5年(2023年)の heldio を振り返る 第4四半期(9--12月)」
2024年の heldio でも有益な配信回をお届けしていきます.どうぞお付き合いください!
謹賀新年.本年も「英語史をお茶の間に」をモットーに,英語史の魅力を広く伝える啓蒙活動「hel活」を展開していきます.こちらの「hellog~英語史ブログ」を引き続き毎日お届けしていくほか,姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 も毎朝6時に更新していきます.
年初ということで,昨年の hellog の振り返りをします.これまでの全記事を対象に,昨年1年間で最もよく読まれた記事は12月30日付のアクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事をご覧いただければと思います.過年度版は「#4997. 2022年によく読まれた記事」 ([2023-01-01-1]),「#4632. 2021年によく読まれた記事」 ([2022-01-01-1]),「#4267. 2020年によく読まれた記事」 ([2021-01-01-1]),「#3901. 2019年によく読まれた記事」 ([2020-01-01-1]) をご参照ください.
以下は,2023年に執筆・公開された記事に限定して,どの記事が最もよく読まれたかのランキングとなります.お正月の読み物としてどうぞ.まとめ読みしたい方はこちらの記事セットから.
・ 「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]) (2083)
・ 「#5142. 「ペレヒル」と「十五円五十銭」」 ([2023-05-26-1]) (1672)
・ 「#5099. 2023年度の「英語史」講義が始まります --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目」 ([2023-04-13-1]) (849)
・ 「#5065. 自然言語処理 (NLP) の基本タスク」 ([2023-03-10-1]) (817)
・ 「#5009. なぜバーナード・ショーの綴字ネタ「ghoti = fish」は強引に感じられるのか?」 ([2023-01-13-1]) (751)
・ 「#5047. 「大航海時代略年表」 --- 『図説大航海時代』より」 ([2023-02-20-1]) (621)
・ 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1]) (576)
・ 「#5152. 古英語聖書より「種をまく人の寓話」 --- 毒麦の話」 ([2023-06-05-1]) (554)
・ 「#5094. 英語史概説書等の書誌(2023年度版)」 ([2023-04-08-1]) (508)
・ 「#5041. 英語帝国主義の議論のために」 ([2023-02-14-1]) (402)
・ 「#5031. 接尾辞 -ism の起源と発達」 ([2023-02-04-1]) (393)
・ 「#5154. なぜ height はこの綴字でこの発音なの?」 ([2023-06-07-1]) (355)
・ 「#5145. 6月2日(金),Voicy プレミアムリスナー限定配信の新チャンネル「英語史の輪」を開始します」 ([2023-05-29-1]) (347)
・ 「#5147. 「ゆる言語学ラジオ」出演第3回 --- 『ジーニアス英和辞典』第6版を読む回で触れられた諸々の話題」 ([2023-05-31-1]) (323)
・ 「#5125. 「ゆる言語学ラジオ」初出演回で話題となった縦棒16連発の単語 --- unmummied」 ([2023-05-09-1]) (315)
・ 「#5205. Baugh and Cable の英語史概説書を1節ずつ読み進めながら Voicy heldio で自由にコメントしていく試みを始めています」 ([2023-07-28-1]) (296)
・ 「#5026. 接尾辞 -age」 ([2023-01-30-1]) (268)
・ 「#5132. なぜ be going to は未来を意味するの? --- 「文法化」という観点から素朴な疑問に迫る」 ([2023-05-16-1]) (254)
・ 「#5268. 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 ([2023-09-29-1]) (254)
・ 「#5166. 秋元実治(編)『近代英語における文法的・構文的変化』(開拓社,2023年)」 ([2023-06-19-1]) (242)
・ 「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) (231)
・ 「#4997. 2022年によく読まれた記事」 ([2023-01-01-1]) (212)
・ 「#5052. none は単数扱いか複数扱いか?」 ([2023-02-25-1]) (206)
・ 「#5240. Voicy heldio で「ゼロから学ぶはじめての古英語」シリーズが始まりました」 ([2023-09-01-1]) (201)
・ 「#5168. なぜアメリカで "spelling bee" が大人気なのか?」 ([2023-06-21-1]) (196)
・ 「#5111. チョーサーによるブルトン・レ「地方地主の話の序」を読む」 ([2023-04-25-1]) (193)
・ 「#5171. 3人称複数代名詞 we, you, they の総称的用法」 ([2023-06-24-1]) (192)
・ 「#5172. なぜ印欧祖語には母音交替があったのか?」 ([2023-06-25-1]) (179)
・ 「#5167. なぜ18世紀に規範文法が流行ったのですか?」 ([2023-06-20-1]) (170)
・ 「#5110. 国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ展」訪問に向けての予習」 ([2023-04-24-1]) (166)
・ 「#5223. 『英語史新聞』第6号が発行されました」 ([2023-08-15-1]) (166)
・ 「#5120. 井上・堀田の YouTube --- ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんのゲスト回第3弾」 ([2023-05-04-1]) (165)
・ 「#5194. 7月29日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」」 ([2023-07-17-1]) (163)
・ 「#5151. 日本語反対語辞典の「まえがき」より」 ([2023-06-04-1]) (162)
・ 「#5196. 「ゆる言語学ラジオ」出演第4回 --- 『英単語ターゲット』より英単語語源を語る回」 ([2023-07-19-1]) (161)
・ 「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]) (160)
・ 「#5202. 他動性 (transitivity) とは何か?」 ([2023-07-25-1]) (158)
・ 「#5139. 英語史において「ケルト語仮説」が取り沙汰されてきた言語項」 ([2023-05-23-1]) (154)
・ 「#5267. 言語におけるアイコン性について考えてみませんか?」 ([2023-09-28-1]) (152)
・ 「#5020. 2022年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2023-01-24-1]) (147)
・ 「#5010. 『中高生の基礎英語 in English』の連載第23回「なぜ現在分詞と動名詞は同じ -ing で表されるの?」」 ([2023-01-14-1]) (146)
・ 「#5167. なぜ18世紀に規範文法が流行ったのですか?」 ([2023-06-20-1]) (142)
・ 「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1]) (142)
・ 「#5238. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 ([2023-08-30-1]) (132)
・ 「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]) (132)
・ 「#5012. When Adam delved and Eve span, who was then the gentleman? --- John Ball の扇動から生まれた諺」 ([2023-01-16-1]) (131)
・ 「#5183. なぜ「文法の謎」があるのか?」 ([2023-07-06-1]) (130)
・ 「#5146. 強調構文の歴史に関するコンテンツを紹介」 ([2023-05-30-1]) (129)
・ 「#5187. 固有名詞学のハンドブック」 ([2023-07-10-1]) (123)
・ 「#5206. Beowulf の冒頭11行を音読」 ([2023-07-29-1]) (123)
新年は学び始めにふさわしい時期です.英語史に関心をもった方,さらに関心をもちたい方は「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]) とそこからリンクを張っている記事群をご参照ください.
なお,昨年の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 の聴取ランキングは「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]) にて取り上げています.
本年も,hellog, heldio ともにお付き合いのほど,よろしくお願いいたします.
今年も英語史・英語学・言語学に関して様々な発信活動を行なってきました.YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」でも,毎週水・日の午後6時に動画を配信してきました.2023年中に配信してきた,元日の第89回から12月27日(水)に公開された第193回までの104回分を対象に,最もよく視聴された動画10本を紹介します.
1. 「#120. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんにお越しいただきました!」
2. 「#122. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第2弾・語に始まって語に終わる」
3. 「#124. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第3弾・ゆる言語学ラジオはゆるくない!」
4. 「#126. ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん登場!第4弾・水野さんから見たこのチャンネル?」
5. 「#160. もりてつさんにお越しいただきました!!!人気 YouTuber,人気予備校講師,人気 TOEIC 等英語講師もりてつさんの礎は認知言語学!?」
6. 「#176. 国際的音声学者・川原繁人さんが語る音声学・音韻論の遍歴!」
7. 「#103. アメリカもイギリスもオーストラリアも英語は公用語ではない.ニュージーランドは英語は公用語.なぜ? 日本語が公用語のところはあるけど日本じゃない!」
8. 「#141. ベストセラー本,今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』を語ってみました.」
9. 「#91. ゆるーい中世の英語の世界では綴りはマイルール?! through のスペリングは515通り! 堀田的ゆるさベスト10!」
10. 「#139. 現存する最古の英文の謎を堀田はどう読み解く?」
最上位にランクインした多くは,著名な方々との対談回でした.最もよく視聴されたのは,人気 YouTube/Podcast チャンネル「ゆる言語学ラジオ」のパーソナリティの1人である水野太貴さんとの飲み会対談回でした.2.5万回の再生数です.水野さんは今年も大活躍で,私自身「ゆる言語学ラジオ」に出演する機会もいただきまして,たいへんお世話になりました.本ブログの yurugengogakuradio の記事群もご参照ください.
YouTuber としてご活躍の英語予備校界で著名なもりてつさん,音韻論者・音声学者として破竹の勢いの川原繁人さんとの対談回も上位にランクイン.その後,井上さんと堀田からの話題も上位に食い込みました.視聴して下さった方々に御礼申し上げます.
本 YouTube チャンネルは,開設して1年10ヶ月ほどになります.来年2月末には2周年を迎えますが,その前の1月24日(水)には第200回の記念回も迎えることになります.この第200回には,初めて YouTube ライヴで配信しようと思っています.先日水曜日に公開された最新回「英語史,古英詩,文学史,英国文化エッセイをストレスゼロで縦横無尽に書きまくる唐澤一友さん(立教大学)第1弾!」の概要欄で告知している通り,「事前のご質問も大募集!」ですので,そちらのコメント欄などから寄せていただければと思います.
明日からの新年も「英語史をお茶の間に」届けるべく,英語史活動(hel活)を続けています.引き続きよろしくお願いいたします.
「2023年 heldio の推し配信回」を決める投票を,2023年12月25日(月)より12月31日(日) 23:59 までこちらの投票コーナーにて受け付けています(あるいは以下のQRコードよりどうぞ).ぜひ皆さんのマイベスト10を選んでいただければ幸いです.
上記の通り,「2023年 heldio の推し配信回」のランキングを決めるリスナー投票が大晦日の夜までオープンしています.今年の元日配信 #580 から12月24日配信の #937 までの計358回を対象にし,1人10件まで選択できる仕様です.
hellog 読者や heldio リスナーの皆さんにとっては,選択肢が多くて選びにくいかもしれませんし,すべての配信回を聴いているわけでもないかと思います.10件「まで」選択できるということですので,投票はマイベスト1やマイベスト3などにとどめていただいてもかまいません.参考までに Voicy のアナリティクスによる今年のランキングをいくつか公開していますので,ご参照ください.
・ 「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1])
・ 「#5354. 2023年の heldio 配信回のランキング --- コメント数編」 ([2023-12-24-1])
・ 「#5355. 2023年の heldio ではこんな配信回も注目されました --- 新規リスナー数といいね数編」 ([2023-12-25-1])
ただ,上に挙げたランキングはあくまで「客観的な数値に基づいた」ランキングです.これとは別に,リスナーの皆さんの各々の関心,思い入れ,ツボもあるかと思いますので,その辺りが反映されたリスナーによる「2023年 heldio の推し配信回」ランキングができあがるとおもしろいなと期待しています.
あわせて以下の情報も投票の参考になるかもしれませんので挙げておきます.
・ 「#5101. 2023年1月--3月の heldio 放送回ランキング」 ([2023-04-15-1])
・ note でのランキング記事
・ リスナー umisio さんによる note での振り返り記事
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第1四半期(1--3月)編」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第2四半期(4--6月)+7月 まるでカンブリア紀!?」
- 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第3四半期(8--9月) ※7月は前回に含めた」
・ リスナー kitako さんによる Instagram での heldio 配信回紹介(カテゴリー化もなされています)
また,12月25日(月)には投票を呼びかける「#938. 2023年 heldio の推し配信回の投票を!」も配信しています.ぜひお聴きください.
私自身も昨日投票しました.皆さんの投票をお待ちしています!
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