似たようなタイトルの記事「#706. 14世紀,英語の復権は徐ろに」 ([2011-04-03-1]) を以前に本ブログで書いているが,「14世紀」を今回のタイトルのように「中英語期」(1100--1500年)と入れ替えても,さして問題はない.「#131. 英語の復権」 ([2009-09-05-1]) で示した年表や,その他の reestablishment_of_english の記事で論じてきたように,イングランドにおける英語の地位の回復は,3世紀ほどのスパンでとらえるべき長々とした過程だった.
Baugh and Cable の英語史概説書の第6章は "The Reestablishment of English, 1200--1500" と題されており,この長々とした過程を扱っているのだが,最初にこの箇所を初めて読んだときに,なんてダラダラとして読みにくい章かと思ったものである.1200--1500年のイングランドにおける英語とフランス語を巡る言語事情とその変化が説明されていくのだが,英語の復権がようやく2歩ほど進んだかと思えば,フランス語のしぶとい権威保持のもとで今度は1歩下がるといった,複雑な記述が続くのだ.英語の復権とフランス語の権威保持という2つの相反する流れが並行して走っており,実にわかりづらい.
改めて Baugh and Cable の第6章を読みなおしたところ,結局のところ同章の冒頭に近い文章が,この時代の内容を最もよくとらえているということが分かった.
As long as England held its continental territory and the nobility of England were united to the continent by ties of property and kindred, a real reason existed for the continued use of French among the governing class in the island. If the English had permanently retained control over the two-thirds of France that they once held, French might have remained permanently in use in England. But shortly after 1200, conditions changed. England lost an important part of its possessions abroad. The nobility gradually relinquished their continental estates. A feeling of rivalry developed between the two countries, accompanied by an antiforeign movement in England and culminating in the Hundred Years' War. During the century and a half following the Norman Conquest, French had been not only natural but also more or less necessary to the English upper class; in the thirteenth and fourteenth centuries, its maintenance became increasingly artificial. For a time, certain new factors helped it to hold its ground, socially and officially. Meanwhile, however, social and economic changes affecting the English-speaking part of the population were taking place, and in the end numbers told. In the fourteenth century, English won its way back into universal use, and in the fifteenth century, French all but disappeared. (122)
先に,この時代の英語の復権は2歩進んで1歩下がるかのようだと表現したが,Baugh and Cable の第6章を構成する第93--110節のいくつかのタイトルを「英語の復権を後押しした要因」と「フランス語の権威を保持した要因」とに粗く,緩く2分すると,次のようになる.
英語史の流れをつかんでもらうために,授業で「#2089. Baugh and Cable の英語史概説書の目次」 ([2015-01-15-1]) を暗記してもらっているが,小テスト対策のために(というよりも実は問題作成の自動化のために)ランダムに穴を抜くツールを作ってみた.ブラウザで印刷すれば,そのまま小テスト.
拙訳『スペリングの英語史』について,もちろん好きなように読んでいただけば,それだけで嬉しいわけでして,実におせっかいな記事のタイトルなのですが,原著 Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013. の日本人読者の1人として,また英語の学習者・研究者の1人として,次のようなことを考えながら読み,訳してきたということを文章に残しておきたいと思いました.ポイントは3点あります.
1つ目は,本書が日本の英語学習者にスペリング学習に際しての知識を与えてくれるということです.とはいうものの,著者は意外なことに,序章の最後で,本書はスペリング学習に役立つ実用書ではないことを示唆しています.そのような目的で本書を手に取った読者がいたとすれば,おそらく幻滅するだろうと.確かに,本書で英語のスペリングの波乱の歴史を知ってしまうと,むしろなぜ現在のスペリングがこれほど無秩序であり,少数の規則で説明しきれないのかがよくわかってしまいます.言語的には英語のスペリングのすべてを説明づけられるような少数の規則はないといってよく,それに気づいた読者は,英語のスペリングを学習する上での絶対的な便法はやはりないのか,と悲観的に結論づけざるをえないかのようです.
しかし,著者は(そして訳者も)英語のスペリングがそこまで無秩序で不規則だとは考えていません.おそらく,スペリングの規則というものがあるとすれば,スペリングの歴史全体がその規則であるという立場をとっています.現在のスペリングだけを観察して,そこから何らかの規則を抽出しようとしても,たちどころに例外や不規則が現われてしまい,むしろ最初から個別に扱ったほうがよかった,という結果になりがちです.しかし,スペリングの歴史をたどってみると,確かに無数の込み入った事情はあったけれども,その事情のひとつひとつは多くの場合納得して理解できるものだとわかります.余計な文字をスペリングに挿入したルネサンスの衒学者の気持ちも説明されればわかりますし,ノア・ウェブスターがスペリング改革を提案した理由も,アメリカ独立の時代背景を考慮すれば腑に落ちます.このような個々の歴史的な事情を指して「規則」とは通常呼びませんが,「e の前の音節の母音字は長い発音で読む」のような無機質な規則に比べれば,ずっと人間的で有機的な「規則」と言えないでしょうか.このような歴史に起因する「規則」は必然的に雑多ではありますが,それにより現在のスペリングの大多数が説明できるのです.歴史を学ぶことは遠回りのようでいて,しばしば最も納得のゆく方法です.本書では,便法としての規則は必ずしも得られなくとも,納得のゆく説明は得られます.説得力,それが本書のもつ最大の価値です.
また,歴史こそが規則であるという著者のスタンスは,著者のスペリング改革に対する懐疑的で批判的な立場とも符合します.完全に表音的なスペリングへ改革してしまうと,スペリングの表面から歴史という規則の痕跡が消し去られてしまうからです.
本書が日本の読者にとってもつもう1つの意義は,英語の書記体系を鑑として,私たちの母語である日本語の書記体系について再考を促してくれる点にあります.読者は本書を読みながら,英語のスペリングと比較対照させつつ日本語の書記体系にも思いを馳せるでしょう.日本語は珍しく唯一絶対の正書法がない言語といわれます(cf. 「#2392. 厳しい正書法の英語と緩い正書法の日本語」 ([2015-11-14-1]),「#2409. 漢字平仮名交じり文の自由さと複雑さ」 ([2015-12-01-1])).ニャーニャー鳴く動物を表記せよと言われれば,「猫」「ネコ」「ねこ」「neko」のいずれも可能です.もちろん用いる文字種が指定されれば1つの書き方に定まりますが,原則としてどの文字種を用いるかは書き手に委ねられています.書き手のその時の気分によって,求められている文章の格式によって,想定される読み手が誰かによって,あるいはまったくのランダムで,自由に書き分けることが許されます.ここには,書き手の選択の自由があり,正書法上の「遊び」があります.
本書の第4章で触れられるように,1100年から1500年の英語,中英語では同じ単語でも書き手個人ごとに異なるスペリングがあり,さらに個人においても複数の異綴りを用いるのが普通でした.ここにも「遊び」があったのです.日本語と中英語では「遊び」の質も量も異なり,一概に比較できませんが,書き手に選択の自由が与えられていることは共通しています.正確に発音を表わすことが重要な場合,単語の意味が同定できさえすればよい場合,書き手が気分を伝えたい場合,読み手に対して気遣いする場合など,様々なシーンで,書き手は書き方を選ぶことができます.文字は言葉の発音や意味などを伝える手段であると同時に,使用者が自らの気分やアイデンティティを伝える手段でもあります.確かに唯一絶対の正書法は,広域にわたる公共のコミュニケーションのためには是非とも必要でしょう.しかし,公表を前提としない個人的な買い物リストのメモ書きや,字数制限のあるツイッターの文章を含めたあらゆる書き言葉の機会において,常に唯一絶対の正書法に従わなければならないとすれば,いかにも息苦しいし,書き手の個性を消し去ることにならないでしょうか.
後期古英語の標準的なスペリング体系のもとではそれほど許されなかった「遊び」が,中英語期にはいきいきと展開しましたが,続く近代英語期には再び制限を加えられていきました.このような歴史を学ぶことは,いまだ「遊び」を保持している日本語書記体系の現在と未来を考え,議論する上で貴重な洞察を与えてくれます.英語のスペリング改革史においてほとんどの提案が失敗に終わったという事実も,日本語の書記体系の行く末を考える上で示唆的です.逆に日本語の立場から英語をみると,日本語は1つのモデルケースということになるかもしれません.というのは,著者は英語について「1つの正書法」 (the orthography) ではなく「複数の正書法」 (orthographies) の可能性を探っている節があるからです,
本書の3つ目の意義は,文字にも歴史があるという当たり前の事実を再認識させてくれる点にあります.本書は,現在ある文字や言葉は,それがたどってきた歴史の産物であるという事実を改めて教えてくれます.文字という小さな単位を入り口に,言葉の歴史という広い世界へと案内してくれる書だと思います.英語に関する読み物にとどまっておらず,言葉に関する教養の詰まった本となっています.この点は,一般読者だけではなく,言葉を専門とする言語学者や英語学者に対しても力説しておきたいポイントです.
20世紀の言語研究では,歴史的視点が欠如していました.また,音声を重視するあまり,文字が軽んじられてきました.つまり,スペリングの歴史という話題は,20世紀の主流派の言語研究において,最も軽視されてきたテーマの1つといってよいでしょう.本書を通じて,一般読者と専門の言語学者が,文字の言語学および歴史的な視点をもった言語学のおもしろさと価値を再認識してくれることに期待したいと思います.
・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.
昨日の記事「#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました」 ([2017-10-01-1]) で拙訳書の目次を挙げた.今回は章ごとの概要を示しつつ,『スペリングの英語史』のガイドとしたい.事実上,英語スペリング史の概略となっている.
1. 「序章」.正書法(正しいスペリング)を巡る近年の議論を参照しながら,多くの人が当然視する唯一絶対のスペリングは本当に必要なのかという問題提起がなされる.たとえば,元アメリカ合衆国副大統領ダン・クウェールの potato 事件に象徴されるように,スペリングを1文字間違えるだけで社会的制裁が加えられるような現代の風潮は異常ではないかと.このような問題の背景には,英語のスペリングが無秩序で不規則であるという世間一般の評価がある.有意義な議論のためには,英語のスペリングの歴史を知っておくことが重要である.
2. 「種々の書記体系」.人類の文字の起源から説き起こし,世界各地の書記体系を紹介しつつ,文字と意味あるいは文字と発音の関係について理論的に考察する.中世ヨーロッパの文字理論を援用し,またベル考案の視話法や『指輪物語』の架空の文字に言及しながら,英語表記に用いられているローマン・アルファベットが原則として表音的な性質をもちつつも,必ずしも理想的な表音文字としては機能していないことを指摘し,英語のスペリング体系が発音との間にギャップを示す「深い正書法」であると説く.最後に,スペリングが言語において最も規制の対象となりやすい側面であることを指摘しつつ,標準的なスペリング体系のもつ社会的役割を論じる.
3. 「起源」.6世紀末に英語にローマン・アルファベットがもたらされる以前からアングロサクソン世界で用いられていた,もう1つのアルファベット体系,ルーン文字が紹介される.最古の英文は,実にルーン文字で書かれていたのである.やがてローマン・アルファベットがルーン文字に取って代わったが,文字の種類や書体は現在われわれが見慣れているものと若干異なっていた.古英語アルファベットの示す文字と発音の関係は,それに先立つラテン文字,エトルリア文字,ギリシア文字などから受け継いだものと,古英語での改変を反映したものの混合であり,古英語のスペリングもすでに複雑ではあったものの,後期古英語にはウェストサクソン方言を基盤とした標準的なスペリング体系が整えられていった.古英語のスペリングの実例が,聖書や『ベーオウルフ』からの引用により示される.
4. 「侵略と改正」.1066年のノルマン征服により後期古英語の標準語が崩壊し,続く中英語期には多種多様な方言スペリングが花咲いた.これにより,through や such のような単語は,写字生の方言によってきわめて多様に(約500通りにも)綴られることになった.また,中英語期には,フランス語の習慣の影響を受けて書体やスペリングに少なからぬ改変が加えられた.初期中英語には,標準的なスペリングらしきものが芽生えた証拠もあるが,それらは特定の個人や集団に限定されており,真の標準とはなりえなかった.しかし,後期中英語になると現代に連なる標準的なスペリングの原型が徐々に現れだした.このような自由奔放で変異に満ちた中英語のスペリングは,唯一絶対のスペリングを当然視する現代のスペリング観に真っ向から対立するものである.
5. 「ルネサンスと改革」.初期近代英語期は,異綴りが減少し,標準的なスペリング体系が形成されていく時代である.人々がスペリングの問題を意識するようになり,特にスペリング改革者,教育関係者,印刷業者が各々の思惑のもとにスペリングのあり方を論じ,実践した.ルネサンスの衒学者たちは,ラテン語の語源を反映するスペリングを好み,たとえば doubt のスペリングに b を挿入し保存すること主張した.理想主義的な理論家たちは,文字と発音の関係が緊密であるべきことを説き,新たな文字や記号を導入する過激なスペリング改革を提案した.もっと穏健な論者たちは,従来から行なわれてきたスペリングの慣習を,必ずしも合理的でなくとも許容し,定着させようと努力した.結果的に,穏健派のリチャード・マルカスターの提案が後世のスペリングに影響を与えることとなった.
6. 「スペリングの固定化」.18世紀は,スペリングをはじめ英語を固定化することに腐心した時代だった.スウィフトによる英語アカデミー設立の試みは失敗したものの,1755年にはジョンソンが後世に多大な影響を及ぼすことになる『英語辞典』を世に送り出し,標準的なスペリングを事実上確定させた.しかし,スウィフトやジョンソンも,印刷された公の文書においてこそ標準的なスペリングを用いていたものの,私信などの手書き文書においては非標準的なスペリングも用いており,個人のなかでもいまだ異綴りが見られた.続けて,19世紀後半から20世紀前半にかけての『オックスフォード英語辞典』 (OED) の編者マレーやブラッドリーのスペリングに対する姿勢が概説され,20世紀の「カット・スペリング」「規則化英語」「ショー・アルファベット」「初等教育アルファベット」といったスペリング改革案やスペリング教育法の試みが批判的に紹介される.
7. 「アメリカ式スペリング」.ノア・ウェブスターによるスペリング改革の奮闘が叙述される.この英語史上稀なスペリング改革の成功の背景には,提案内容が colour を color に変えるなど穏健なものであったこと,スペリング本が商業的に成功したこと,そして新生アメリカに対する国民の愛国心がおおいに関与していたことが指摘される.そのほか,アメリカにおけるスペリング競技会の人気振りやトウェインのスペリング観に言及するとともに,アメリカの単純化スペリング委員会の検討したスペリング改革案について,規範的発音を前提とする誤った言語観に基づいているとして批判を加えている.
8. 「スペリングの現在と未来」.近年の携帯メールにみられる省略スペリングの話題が取り上げられる.著者は,省略スペリングの使用者が使い分けをわきまえていることを示す調査結果や,中世にも同様の省略スペリングが常用されていた事実を挙げながら,省略スペリングが多くの人が心配しているように教育水準が下がっている証拠ともならなければ,規範的なスペリングがないがしろにされている証拠ともならないと反論する.綴り間違いに不寛容な態度を示す現代の風潮を批判し,英語のスペリングは英語がたどってきた豊かな歴史の証人であり,今あるがままに保存し尊重すべきであると述べて本書を結ぶ.
以上,現代英語のスペリングが壮大な歴史の上に成り立っていることがわかるだろう.
・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.
9月20日付で,拙訳『スペリングの英語史』が早川書房より出版されました.原著は本ブログで何度も参照・引用している Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013. です.本ブログを読まれている方,そして英語スペリングの諸問題に関心をもっているすべての方に,おもしろく読んでもらえる内容です.
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サイモン・ホロビン(著),堀田隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.302頁.ISBN: 978-4152097040.定価2700円(税別). |
拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が,研究社より出版されました.主として本ブログの記事を元にして執筆しているので,普段ブログを読んでいただいている方には関心をもってもらえるのではないかと思っています.英語学習者が一度は抱くはずの「素朴な疑問」に徹底的にこだわって書きました.
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・ 堀田隆一(ほったりゅういち) 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.206頁.ISBN: 978-4327401689.定価2200円(税別). ・ 本書のコンパニオン・サイトもご覧ください. ・ 本書は,Amazon.co.jp 等のオンライン書店でも購入可能です. |
先日の「#2683. Huang の語用論概説書の目次」 ([2016-08-31-1]) に引き続き,今回は,Saeed の意味論のテキストの目次を挙げる.定評のある意味論の概説書で,共時的意味論の広い分野を網羅しており,理論的な基礎を学ぶのに適している.ただし,通時的な意味論の話題はほとんど扱っていない.
Part I Preliminaries
1 Semantics in Linguistics
1.1 Introduction
1.2 Semantics and Semiotics
1.3 Three Challenges in Doing Semantics
1.4 Meeting the Challenges
1.5 Semantics in a Model of Grammar
1.6 Some Important Assumptions
1.7 Summary
2 Meaning, Thought and Reality
2.1 Introduction
2.2 Reference
2.3 Reference as a Theory of Meaning
2.4 Mental Representations
2.5 Words, Concepts and Thinking
2.6 Summary
Part II Semantic Description
3 Word Meaning
3.1 Introduction
3.2 Words and Grammatical Categories
3.3 Words and Lexical Items
3.4 Problems with Pinning Down Word Meaning
3.5 Lexical Relations
3.6 Derivational Relations
3.7 Lexical Universals
3.8 Summary
4 Sentence Relations and Truth
4.1 Introduction
4.2 Logic and Truth
4.3 Necessary Truth, A Priori Truth and Analyticity
4.4 Entailment
4.5 Presupposition
4.6 Summary
5 Sentence Semantics 1: Situations
5.1 Introduction
5.2 Classifying Situations
5.3 Modality and Evidentiality
5.4 Summary
6 Sentence Semantics 2: Participants
6.1 Introduction: Classifying Participants
6.2 Thematic Roles
6.3 Grammatical Relations and Thematic Roles
6.4 Verbs and Thematic Role Grids
6.5 Problems with Thematic Roles
6.6 The Motivation for Identifying Thematic Roles
6.7 Voice
6.8 Classifiers and Noun Classes
6.9 Summary
7 Context and Inference
7.1 Introduction
7.2 Deixis
7.3 Reference and Context
7.4 Knowledge as Context
7.5 Information Structure
7.6 Inference
7.7 Conversational Implicature
7.8 Summary
8 Functions of Language: Speech as Action
8.1 Introduction
8.2 Austin's Speech Act Theory
8.3 Categorizing Speech Acts
8.4 Indirect Speech Acts
8.5 Sentence Types
8.6 Summary
Part III Theoretical Approaches
9 Meaning Components
9.1 Introduction
9.2 Lexical Relations in CA
9.3 Katz's Semantic Theory
9.4 Grammatical Rules and Semantic Components
9.5 Components and Conflation Patterns
9.6 Jackendoff's Conceptual Structure
9.7 Pustejovsky's Generative Lexicon
9.8 Problems with Components of Meaning
9.9 Summary
10 Formal Semantics
10.1 Introduction
10.2 Model-Theoretical Semantics
10.3 Translating English into a Logical Metalanguage
10.4 The Semantics of the Logical Metalanguage
10.5 Checking the Truth-Value of Sentences
10.6 Word Meaning: Meaning Postulates
10.7 Natural Language Quantifiers and Higher Order Logic
10.8 Intensionality
10.9 Dynamic Approaches to Discourse
10.10 Summary
11 Cognitive Semantics
11.1 Introduction
11.2 Metaphor
11.3 Metonymy
11.4 Image Schemas
11.5 Polysemy
11.6 Mental Spaces
11.7 Langacker's Cognitive Grammar
11.8 Summary
・ Saeed, John I. Semantics. 3rd ed. Malden, MA: Wiley-Blackwell, 2009.
概説書の目次シリーズ (toc) に,語用論のテキストとして定評のある Huang を加えたい.主として英語の語用論を扱っているものの,諸言語への言及も多く,丁寧で読みやすいテキストである.以下の目次では省いているが,各章末に "Key concepts", "Exercises and essay questions", "Further readings" が付されており,役立つことを付け加えておく.
1. Introduction
1.1. What is pragmatics?
1.1.1. A definition
1.1.2. A brief history of pragmatics
1.1.3. Two main schools of thought in pragmatics: Anglo-American versus European Continental
1.2. Why pragmatics?
1.2.1. Linguistic underdeterminacy
1.2.2. Simplification of semantics and syntax
1.3 Some basic notions in semantics and pragmatics
1.3.1 Sentence, utterance, proposition
1.3.2. Context
1.3.3. Truth value, truth condition, entailment
1.4 Organization of the book
Part I Central topics in pragmatics
2. Implicature
2.1. Classical Gricean theory of conversational implicature
2.1.1. The co-operative principle and the maxims of conversation
2.1.2. Relationship between the speaker and the maxims
2.1.3. Conversational implicatureO versus conversational implicatureF
2.1.4. Generalized versus particularized conversational implicature
2.1.5. Properties of conversational implicature
2.2. Two neo-Gricean pragmatic theories of conversational implicature
2.2.1. The Hornian system
2.2.2. The Levinsonian system
2.3. Conventional implicature
2.3.1. What is conventional implicature?
2.3.2. Properties of conventional implicature
2.4. Summary
3. Presupposition
3.1. What is presupposition?
3.2. Properties of presupposition
3.2.1. Constancy under negation
3.2.2. Defeasibility
3.2.3. The projection problem
3.3. Analyses
3.3.1. The filtering-satisfaction analysis
3.3.2. The cancellation analysis
3.3.3. The accommodation analysis
3.4. Summary
4. Speech acts
4.1. Performatives versus constatives
4.1.1. The performative/constative dichotomy
4.1.2. The performative hypothesis
4.2. Austin's felicity conditions on performatives
4.3. Locutionary, illocutionary, and perlocutionary speech acts
4.4. Searle's felicity conditions on speech acts
4.5. Searle's typology of speech acts
4.6. Indirect speech acts
4.6.1. What is an indirect speech act?
4.6.2. How is an indirect speech act analysed?
4.6.3. Why is an indirect speech act used? Some remarks on politeness
4.7. Speech acts and culture
4.7.1. Cross-cultural variation
4.7.2. Interlanguage variation
4.8. Summary
5. Deixis
5.1. Preliminaries
5.1.1. Deictic versus non-deictic expression
5.1.2. Gestural versus symbolic use of a deictic expression
5.1.3. Deictic centre and deictic projection
5.2. Basic categories of deixis
5.2.1 Person deixis
5.2.2. Time deixis
5.2.3. Space deixis
5.3. Other categories of deixis
5.3.1. Social deixis
5.3.2. Discourse deixis
5.4. Summary
Part II Pragmatics and its interfaces
6. Pragmatics and cognition: relevance theory
6.1. Relevance
6.1.1. The cognitive principle of relevance
6.1.2. The communicative principle of relevance
6.2. Explicature, implicature, and conceptual versus procedural meaning
6.2.1. Grice: what is said versus what is implicated
6.2.2. Explicature
6.2.3. Implicature
6.2.4. Conceptual versus procedural meaning
6.3. From Fodorian 'central process' to submodule of 'theory of mind'
6.3.1. Fodorian theory of cognitive modularity
6.3.2. Sperber and Wilson's earlier position: pragmatics as Fodorian 'central process'
6.3.3. Sperber and Wilson's current position: pragmatics as submodule of 'theory of mind'
6.4. Relevance theory compared with classical/neo-Gricean theory
6.5. Summary
7. Pragmatics and semantics
7.1. Reductionism versus complementarism
7.2. Drawing the semantics-pragmatics distinction
7.2.1. Truth-conditional versus non-truth-conditional meaning
7.2.2. Conventional versus non-conventional meaning
7.2.3. Context independence versus context dependence
7.3. Pragmatic intrusion into what is said and the semantics-pragmatics interface
7.3.1. Grice: what is said versus what is implicated revisited
7.3.2. Relevance theorists: explicature
7.3.3. Recanati: the pragmatically enriched said
7.3.4. Bach: conversational implicature
7.3.5. Can explicature/the pragmatically enriched said/implicature be distinguished from implicature?
7.3.6. Levinson: conversational implicature
7.3.7. The five analyses compared
7.4. Summary
8. Pragmatics and syntax
8.1. Chomsky's views about language and linguistics
8.2. Chomsky's binding theory
8.3. Problems for Chomsky's binding theory
8.3.1. Binding condition A
8.3.2. Binding condition B
8.3.3. Complementarity between anaphors and pronominals
8.3.4. Binding condition C
8.4. A revised neo-Gricean pragmatic theory of anaphora
8.4.1. The general pattern of anaphora
8.4.2. A revised neo-Gricean pragmatic apparatus for anaphora
8.4.3. The binding patterns
8.4.4. Beyond the binding patterns
8.4.5. Logophoricity and emphaticness/contrastiveness
8.5. Theoretical implications
8.6. Summary
・ Huang, Yan. Pragmatics. Oxford: OUP, 2007.
目次を掲げるシリーズ (toc) に,社会言語学を追加したい.今回は,Wardhaugh の社会言語学概説書より.各章末に "Further Reading" の節がついているが,以下では軒並み省略した.うまくできている目次というのは全体が体系的で,章節名もそのままキーワードとなっているので,暗記学習に適している.
1 Introduction
Knowledge of Language
Variation
Language and Society
Sociolinguistics and the Sociology of Language
Methodological Concerns
Overview
Part I Languages and Communities
2 Languages, Dialects, and Varieties
Language or Dialect?
Standardization
Regional Dialects
Social Dialects
Styles, Registers, and Beliefs
3 Pidgins and Creoles
Lingua Francas
Definitions
Distribution and Characteristics
Origins
From Pidgin to Creole and Beyond
4 Codes
Diglossia
Bilingualism and Multilingualism
Code-Switching
Accommodation
5 Speech Communities
Definitions
Intersecting Communities
Networks and Repertoires
Part II Inherent Variety
6 Language Variation
Regional Variation
The Linguistic Variable
Social Variation
Data Collection and Analysis
7 Some Findings and Issues
An Early Study
New York City
Norwich and Reading
A Variety of Studies
Belfast
Controversies
8 Change
The Traditional View
Some Changes in Progress
The Process of Change
Part III Words at Work
9 Words and Culture
Whorf
Kinship
Taxonomies
Color
Prototypes
Taboo and Euphemism
10 Ethnographies
Varieties of Talk
The Ethnography of Speaking
Ethnomethodology
11 Solidarity and Politeness
Tu and Vous
Address Terms
Politeness
12 Talk and Action
Speech Acts
Cooperation
Conversation
13 Gender
Differences
Possible Explanations
14 Disadvantage
Codes Again
African American English
Consequences for Education
15 Planning
Issues
A Variety of Situations
Further Examples
Winners and Losers
・ Wardhaugh, Ronald. An Introduction to Sociolinguistics. 6th ed. Malden: Blackwell, 2010.
「#2427. 未解読文字」 ([2015-12-19-1]) の記事で触れたように,未解読文字の解読にはロマンがある.解読成功者の解読プロセスを紹介する書は一級のミステリー小説といってよく,実際に数多く出版されている.多くの文字体系を扱っており読みやすいという点では,矢島(著)がおすすめである.その目次を挙げると,雰囲気をつかめるだろう.
・ ロゼッタ石を読む
・ 古代ペルシアの楔形文字
・ ベヒストゥン岩壁の刻文
・ 楔形文字で書かれた「ノアの方舟」
・ シュメール文明の再発見
・ 古代の大帝国ヒッタイトの文字
・ シナイ文字とアルファベットの起源
・ エトルリア語の謎
・ 東地中海の古代文字
・ クレタ=ミケーネ文字の発見
・ 線文字Bと建築家ヴェントリス
・ シベリアで見つかった古代トルコ文字
・ 甲骨文字と殷文明
・ カラホト遺跡の西夏文字
・ 古代インディオの諸文字
・ インダス文字とイースター文字
・ ファイストスの円盤と線文字A
・ ルーン文字とオガム文字
・ 梵字の起源とパスパ文字
・ 最古の文字はどこまでたどれるか
・ 古代文字はいかに解読されるか
矢島 (234) は,最終章「古代文字はいかに解読されるか」で,現在までの世界の文字解読の歴史を4段階に分けている.
(1) 手さぐりの時代(一八世紀以前)
(2) ロマン主義の時代(一九世紀)
(3) 宝さがしの時代(二〇世紀前半)
(4) 科学的探究の時代(二〇世紀後半)
よく特徴をとらえた時代区分である.文字解読がロマンを誘うのは,それが否応なく異国情緒と重なるからだろうが,(2) の「ロマン主義の時代」の背景には,「ヨーロッパ大国の東方への視線,端的にいえば植民地主義競争」 (239) があったことは疑いない.Jean-François Champollion (1790--1832) のロゼッタ石 (Rosetta stone) の解読には仏英の争いが関わっているし,楔形文字解読に貢献した Sir Henry Creswicke Rawlinson (1810--95) も大英帝国の花形軍人だった.
(3) の時代は,世界的に考古学的な大発見が相次いだことと関係する.クレタ島,ヒッタイト,バビロニア,エジプト,中央アジア,西夏,殷墟の発掘により,続々と新しい文字が発見されては解読の試みに付されていった.
現代に続く (4) の時代は,前の時代のように個人の学者が我一番と解読に挑むというよりは,研究者集団が,統計技術やコンピュータを駆使して暗号を解くかのようにして未解読文字に向かう時代である.言語学,統計学,暗号解読の手法を用いながら調査・研究を進めていく世の中になった.もはや文字解読の「ロマン主義」の時代とは言えずとも,依然としてロマンそのものは残っているのである.
・ 矢島 文夫 『解読 古代文字』 筑摩書房,1999.
「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]),「#2038. Fennell の英語史概説書の目次」 ([2014-11-25-1]),「#2050. Knowles の英語史概説書の目次」 ([2014-12-07-1]) に続き,英語史概説書の目次を抜粋するシリーズ.今回は,6版を重ねる英語史の古典的かつ現役の名著 Baugh and Cable の A History of the English Language より.私が学生のときに読んだのは古い版だったが,英語の読みやすさと引き込むような文体で英語史の魅力にとりつかれた.
2013年に出版された最新版6版では,現代英語と英語の未来を扱う1章と12章に大幅な改訂と追加が見られるほか,初期近代英語の章でコーパス言語学の成果を紹介するなど,英語史研究の進展に沿ったヴァージョンアップがなされている.私自身による読み上げ音声ファイルはこちら.
1 English Present and Future
1. The History of the English Language as a Cultural Subject
2. Influences at Work on Language
3. Growth and Decay
4. The Importance of a Language
5. The Importance of English
6. The Future of the English Language: Demography
7. External and Internal Aspects of English
8. Cosmopolitan Vocabulary
9. Inflectional Simplicity
10. Natural Gender
2 The Indo-European Family of Languages
11. Language Constantly Changing
12. Dialectal Differentiation
13. The Discovery of Sanskrit
14. Grimm's Law
15. The Indo-European Family
16. Indian
17. Iranian
18. Armenian
19. Hellenic
20. Albanian
21. Italic
22. Balto-Slavic
23. Germanic
24. Celtic
25. Twentieth-century Discoveries
26. The Home of the Indo-Europeans
3 Old English
27. The Languages in England before English
28. The Romans in Britain
29. The Roman Conquest
30. Romanization of the Island
31. The Latin Language in Britain
32. The Germanic Conquest
33. Anglo-Saxon Civilization
34. The Names "England" and "English"
35. The Origin and Position of English
36. The Periods in the History of English
37. The Dialects of Old English
38. Old English Pronunciation
39. Old English Vocabulary
40. Old English Grammar
41. The Noun
42. Grammatical Gender
43. The Adjective
44. The Definite Article
45. The Personal Pronoun
46. The Verb
47. The Language Illustrated
48. The Resourcefulness of the Old English Vocabulary
49. Self-explaining Compounds
50. Prefixes and Suffixes
51. Syntax and Style
52. Old English Literature
4 Foreign Influences on Old English
53. The Contact of English with Other Languages
54. The Celtic Influence
55. Celtic Place-Names and Other Loanwords
56. Three Latin Influences on Old English
57. Chronological Criteria
58. Continental Borrowing (Latin Influence of the Zero Period)
59. Latin through Celtic Transmission (Latin Influence of the First Period)
60. Latin Influence of the Second Period: The Christianizing of Britain
61. Effects of Christianity on English Civilization
62. The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary
63. The Benedictine Reform
64. Influence of the Benedictine Reform on English
65. The Application of Native Words to New Concepts
66. The Extent of the Influence
67. The Scandinavian Influence: The Viking Age
68. The Scandinavian Invasions of England
69. The Settlement of the Danes in England
70. The Amalgamation of the Two Peoples
71. The Relation of the Two Languages
72. The Tests of Borrowed Words
73. Scandinavian Place-names
74. The Earliest Borrowing
75. Scandinavian Loanwords and Their Character
76. The Relation of Borrowed and Native Words
77. Form Words
78. Scandinavian Influence outside the Standard Speech
79. Effect on Grammar and Syntax
80. Period and Extent of the Influence
5 The Norman Conquest and the Subjection of English, 1066--1200
81. The Norman Conquest
82. The Origin of Normandy
83. The Year 1066
84. The Norman Settlement
85. The Use of French by the Upper Class
86. Circumstances Promoting the Continued Use of French
87. The Attitude toward English
88. French Literature at the English Court
89. Fusion of the Two Peoples
90. The Diffusion of French and English
91. Knowledge of English among the Upper Class
92. Knowledge of French among the Middle Class
6 The Reestablishment of English, 1200--1500
93. Changing Conditions after 1200
94. The Loss of Normandy
95. Separation of the French and English Nobility
96. French Reinforcements
97. The Reaction against Foreigners and the Growth of National Feeling
98. French Cultural Ascendancy in Europe
99. English and French in the Thirteenth Century
100. Attempts to Arrest the Decline of French
101. Provincial Character of French in England
102. The Hundred Years' War
103. The Rise of the Middle Class
104. General Adoption of English in the Fourteenth Century
105. English in the Law Courts
106. English in the Schools
107. Increasing Ignorance of French in the Fifteenth Century
108. French as a Language of Culture and Fashion
109. The Use of English in Writing
110. Middle English Literature
7 Middle English
111. Middle English a Period of Great Change
112. From Old to Middle English
113. Decay of Inflectional Endings
114. The Noun
115. The Adjective
116. The Pronoun
117. The Verb
118. Losses among the Strong Verbs
119. Strong Verbs That Became Weak
120. Survival of Strong Participles
121. Surviving Strong Verbs
122. Loss of Grammatical Gender
123. Middle English Syntax
124. French Influence on the Vocabulary
125. Governmental and Administrative Words
126. Ecclesiastical Words
127. Law
128. Army and Navy
129. Fashion, Meals, and Social Life
130. Art, Learning, Medicine
131. Breadth of the French Influence
132. Anglo-Norman and Central French
133. Popular and Literary Borrowings
134. The Period of Greatest Influence
135. Assimilation
136. Loss of Native Words
137. Differentiation in Meaning
138. Curtailment of OE Processes of Derivation
139. Prefixes
140. Suffixes
141. Self-explaining Compounds
142. The Language Still English
143. Latin Borrowings in Middle English
144. Aureate Terms
145. Synonyms at Three Levels
146. Words from the Low Countries
147. Dialectal Diversity of Middle English
148. The Middle English Dialects
149. The Rise of Standard English
150. The Importance of London English
151. The Spread of the London Standard
152. Complete Uniformity Still Unattained
8 The Renaissance, 1500--1650
153. From Middle English to Modern
154. The Great Vowel Shift
155. Weakening of Unaccented Vowels
156. Changing Conditions in the Modern Period
157. Effect upon Grammar and Vocabulary
158. The Problems of the Vernaculars
159. The Struggle for Recognition
160. The Problem of Orthography
161. The Problem of Enrichment
162. The Opposition to Inkhorn Terms
163. The Defense of Borrowing
164. Compromise
165. Permanent Additions
166. Adaptation
167. Reintroductions and New Meanings
168. Rejected Words
169. Reinforcement through French
170. Words from the Romance Languages
171. The Method of Introducing New Words
172. Enrichment from Native Sources
173. Methods of Interpreting the New Words
174. Dictionaries of Hard Words
175. Nature and Extent of the Movement
176. The Movement Illustrated in Shakespeare
177. Shakespeare's Pronunciation
178. Changes Shown through Corpus Linguistics
179. Grammatical Features
180. The Noun
181. The Adjective
182. The Pronoun
183. The Verb
184. Usage and Idiom
185. General Characteristics of the Period
9 The Appeal to Authority, 1650--1800
186. The Impact of the Seventeenth Century
187. The Temper of the Eighteenth Century
188. Its Reflection in the Attitude toward the Language
189. "Ascertainment"
190. The Problem of "Refining" the language
191. The Desire to "Fix" the Language
192. The Example of Italy and France
193. An English Academy
194. Swift's Proposal, 1712
195. Objection to an Academy
196. Substitutes for an Academy
197. Johnson's Dictionary
198. The Eighteenth-century Grammarians and Rhetoricians
199. The Aims of the Grammarians
200. The Beginnings of Prescriptive Grammar
201. Methods of Approach
202. The Doctrine of Usage
203. Results
204. Weakness of the Early Grammarians
205. Attempts to Reform the Vocabulary
206. Objections to Foreign Borrowings
207. The Expansion of the British Empire
208. Some Effects of Expansion on the Language
209. Development of Progressive Verb Forms
210. The Progressive Passive
10 The Nineteenth and Twentieth Centuries
211. Influences Affecting the Language
212. The Growth of Science
213. Automobile, Film, Broadcasting, Computer
214. The World Wars
215. Language as a Mirror of Progress
216. Sources of the New Words: Borrowings
217. Self-explaining Compounds
218. Compounds Formed from Greek and Latin Elements
219. Prefixes and Suffixes
220. Coinages
221. Common Words from Proper Names
222. Old Words with New Meanings
223. The Influence of Journalism
224. Changes of Meaning
225. Slang
226. Register
227. Accent
228. British and Irish English
229. English World-Wide
230. Pidgins and Creoles
231. Spelling Reform
232. Purist Efforts
233. Gender Issues and Linguistic Change
234. The Oxford English Dictionary
235. Grammatical Tendencies
236. Verb-adverb Combinations
237. A Liberal Creed
11 The English Language in America
238. The Settlement of America
239. The Thirteen Colonies
240. The Middle West
241. The Far West
242. Uniformity of American English
243. Archaic Features in American English
244. Early Changes in the Vocabulary
245. National Consciousness
246. Noah Webster and an American Language
247. Webster's Influence on American Spelling
248. Webster's Influence on American Pronunciation
249. Pronunciation
250. The American Dialects
251. The Controversy over Americanisms
252. The Purist Attitude
253. Present Differentiation of Vocabulary
254. American Words in General English
255. Scientific Interest in American English
256. American English and World English
12 The Twenty-first Century
257. The Future of English: Three Circles
258. How Many Speakers?
259. Cross-linguistic Influence and the Spread of Languages
260. The Relative Difficulty of Languages
261. The Importance of Chinese
262. India and the Second Circle
263. The Expanding Circle
264. Coming Full Circle
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]),「#2038. Fennell の英語史概説書の目次」 ([2014-11-25-1]) に続き,社会言語学的な観点を多分に含んだもう1つの読みやすい英語史書,Gerry Knowles 著 A Cultural History of the English Language の目次を掲げる.歴史社会言語学的な立場からの英語史概説書を紹介する機会が多いが,個人的には今や古典といってよい,筋金入りの構造主義路線をいく Strang や特異な言語史観をもつ Görlach なども本当は好きである.それでも個別言語史は話者(集団)の歴史,いわゆる外面史とともに記述するのが原則だろうとは思っている.
Knowles の章節のタイトルを見ていくと,Jespersen の Growth and Structure of the English Language を彷彿させるところがある.社会史としての英語史の流れが簡潔にとらえられる目次だ.Knowles に言及した過去の記事も参照されたい.
1 Introduction
1.1 An outline history
1.2 Language and social change
1.3 Language, evolution and progress
1.4 Language and myth
1.5 Language superiority
2 The origins of the English language
2.1 The linguistic geography of Europe
2.2 Language in Britain
2.3 Early English
2.4 The survival of Celtic
2.5 The British people
3 English and Danish
3.1 Old English and Old Norse
3.2 Norse immigration
3.3 The Anglo-Saxon written tradition
3.4 English in the Danelaw
3.5 Norse influence on English
4 English and French
4.1 England and France
4.2 Literacy in the medieval period
4.3 The reemergence of English
4.4 English under French influence
4.5 Printing
5 English and Latin
5.1 The Lollards
5.2 Classical scholarship
5.3 Scholarly writing in English
5.4 The English Bible
5.5 The legacy of Latin
6 The language of England
6.1 Saxon English
6.2 The language arts
6.3 English spelling and pronunciation
6.4 The study of words
6.5 Elizabethan English
7 The language of revolution
7.1 The Norman yoke
7.2 The Bible and literacy
7.3 Language, ideology and the Bible
7.4 The intellectual revolution
7.5 The linguistic outcome of the English revolution
8 The language of learned and polite persons
8.1 Language and science
8.2 The improving language
8.3 The uniform standard
8.4 A controlled language
8.5 A bourgeois language
9 The language of Great Britain
9.1 The codification of Standard English
9.2 London and the provinces
9.3 English beyond England
9.4 English pronunciation
9.5 Change in Standard English
10 The language of empire
10.1 The international spread of English
10.2 The illustrious past
10.3 Working-class English
10.4 The standard of English pronunciation
10.5 Good English
11 Conclusion
11.1 The aftermath of empire
11.2 English in the media
11.3 Speech and language technology
11.4 The information superhighway
11.5 English in the future
・ Knowles, Gerry. A Cultural History of the English Language. London: Arnold, 1997.
・ Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970.
・ Görlach, Manfred. The Linguistic History of English. Basingstoke: Macmillan, 1997.
・ Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Chicago: U of Chicago, 1982.
「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]) に続き,英語史概説書の目次を挙げて,英語史 (a history of English) を数分で俯瞰するというシリーズの第2弾.Fennell (2001) は,本ブログでもたびたび参照してきた英語史概説書であり,歴史社会言語学的なアプローチに特徴がある.ある書評を読むと,"A Sociolinguistic Approach" という副題の割には,とりわけ古い時代における社会言語学的な扱いは弱く,体系的でもないという.一方で,最後の3章,後期近代英語以降の各章では社会言語学的な洞察が光っており,読むに値するという評価がある.私もおよそこの評価に同意する.新しい洞察がどれだけあるかといえば必ずしも多くはないかもしれないが,近代以前の時代についても社会言語学的に興味深い話題をいくつか提供しており,社会言語学的に英語史を眺めるとどうなるかという試みとしてはよいのではないかと好意的に見ている.社会言語学寄りとはいえ伝統的な構造言語学的な記述も多いので,その他の定評のある英語史概説書を1, 2冊読んだ上で読むのに適するのではないか.ノードの開閉もできる Flash 版ももどうぞ.
1 Introduction
1.1 The Time Periods of English
1.2 Language Change
1.3 Sources of Information on Language Change
1.4 Linguistic Preliminaries
1.5 The Sounds of English, and Symbols Used to Describe Them
1.5.1 Consonants
1.5.2 Vowels
1.5.2.1 Monophthongs
1.5.2.2 Diphthongs
1.6 Structure of the Book
2 The Pre-history of English
Timeline: The Indo-European Period
2.1 The Indo-European Languages and Linguistic Relatedness
2.1.1 The Beginnings
2.1.2 The Development of Historical Linguistics
2.1.3 Genetic Relatedness
2.2 Linguistic Developments: The Indo-European Language Family
2.2.1 Family-Tree Relationships
2.2.2 The Indo-European Family
2.2.2.1 Indo-Iranian
2.2.2.2 Armenian
2.2.2.3 Albanian
2.2.2.4 Balto-Slavonic
2.2.2.5 Hellenic
2.2.2.6 Italic
2.2.2.7 Celtic
2.2.2.8 Germanic
2.3 From Indo-European to Germanic
2.3.1 Prosody
2.3.2 The Consonant System: Sound Shifts
2.3.2.1 Grimm's Law
2.3.2.2 Verner's Law
2.3.2.3 The Second Consonant Shift
2.3.3 The Vowel System
2.3.4 Morphology
2.3.5 Syntax
2.3.6 Lexicon
2.3.7 Semantics
2.3.8 Indo-European/Germanic Texts
2.3.9 Neogrammarians, Structuralists and Contemporary Linguistic Models
2.4 Typological Classification
2.4.1 Universals
2.4.1.1 Syntactic Universals
2.4.2 Morphological Typology
2.5 Sociolinguistic Focus. The Indo-European Tribes and the Spread of Language. Language Contact and Language Change. Archaeological Linguistics
2.5.1 Language Contact
2.5.2 Archaeological Linguistics
2.6 Conclusion
3 Old English
Timeline: The Old English Period
3.1 Social and Political History
3.1.1 Britain before the English
3.1.2 The Anglo-Saxon Invasions
3.1.3 Anglo-Saxon Influence
3.1.4 Scandinavian Influence
3.2 Linguistic Developments: The Sounds, Structure and Typology of Old English
3.2.1 The Structure of Old English
3.2.1.1 OE Consonants
3.2.1.2 Vowels: from Germanic to Old English
3.2.1.3 Old English Gender
3.2.1.4 Inflection in Old English
3.2.1.5 Old English Syntax
3.2.1.6 Old English Vocabulary
3.3 Linguistic and Literary Achievements
3.3.1 Texts
3.3.1.1 Prose
3.3.1.2 Poetry
3.4 The Dialects of Old English
3.5 Sociolinguistic Focus
3.5.1 Language Contact
3.5.1.1 Latin and Celtic
3.5.1.2 The Scandinavians
4 Middle English
Timeline: The Middle English Period
4.1 Social and Political History
4.1.1 Political History: The Norman Conquest to Edward I
4.1.2 Social History
4.1.2.1 The Establishment of Towns and Burghs and the Beginnings of Social Stratification
4.2 Linguistic Developments: Middle English Sounds and Structure, with Particular Emphasis on the Breakdown of the Inflectional System and its Linguistic Typological Implications
4.2.1 Major Changes in the Sound System
4.2.1.1 The Consonants
4.2.1.2 Consonant Changes from Old to Middle English
4.2.1.3 Vowels in Stressed Syllables
4.2.1.4 Vowels in Unstressed Syllables
4.2.1.5 Lengthening and Shortening
4.2.1.6 Summary Table of Vowel Changes from Old to Middle English
4.2.1.7 The Formation of Middle English Diphthongs
4.2.2 Major Morphological Changes from Old to Middle English
4.2.2.1 Loss of Inflections
4.2.2.2 Other Changes in the Morphological System
4.2.2.3 Verbs
4.2.3 Middle English Syntax
4.2.3.1 Word Order
4.2.4 The Lexicon: Loan Words from French
4.2.4.1 Numbers and Parts of the Body
4.2.4.2 Two French Sources
4.3 Middle English Dialects
4.3.1 Linguistic and Literary Achievements
4.3.1.1 Middle English Literature
4.3.2 Language
4.3.3 Genre
4.4 Sociolinguistic Focus: Social Stratification, Multilingualism and Dialect Variation. Language Contact: The Myth of Middle English Creolization
4.4.1 English Re-established
4.4.1.1 Language and the Rise of the Middle Class
4.4.2 The Development of Standard English
4.4.2.1 The Evolution of ME 'Standard' English
4.4.3 Middle English Creolization: Myth?
4.4.3.1 Definitions
4.4.3.2 Pidgins and Creoles in England?
4.5 Conclusion
5 Early Modern English
Timeline: The Early Modern English Period
5.1 Social and Political History
5.1.1 Historical and Political Background
5.1.1.1 Internal Instability and colonial Expansion
5.2 Linguistic Developments: The Variable Character of Early Modern English
5.2.1 Phonology
5.2.1.1 Consonants
5.2.1.2 Vowels
5.2.1.3 The Great Vowel Shift
5.2.2 Morphology
5.2.2.1 Nouns
5.2.2.2 Pronouns
5.2.2.3 Adjectives and Adverbs
5.2.2.4 Verbs
5.2.2.5 The Spread of Northern Forms
5.2.3 Syntax
5.2.3.1 Periphrastic do
5.2.3.2 Progressive Verb Forms
5.2.3.3 Passives
5.2.4 Sample Text
5.2.5 Vocabulary
5.2.6 The Anxious State of English: The Search for Authority
5.2.6.1 Dictionaries and the Question of Linguistic Authority: Swift's and Johnson's View of Language
5.3 Linguistic and Literary Achievement
5.4 Sociolinguistic Focus
5.4.1 Variation in Early Modern English
5.4.2 Standardization
5.4.2.1 The Printing Press
5.4.2.2 The Renaissance and the Protestant Reformation
5.4.2.3 English Established
5.4.3 The Great Vowel Shift
5.4.3.1 Phonological Change
5.4.4 Case Study: Power and Solidarity Relations in Early Modern English
5.5 Conclusion
6 Present-Day English
Timeline: Present-Day English
Introduction
6.1 Social and Political History
6.1.1 The Age of Revolutions, Wars and Imperialism
6.1.2 Urbanization, Industrialization and Social Stratification
6.2 Linguistic Developments
6.2.1 Morphology and Syntax
6.2.1.1 Morphology
6.2.1.2 Syntax
6.2.2 The Lexicon
6.2.2.1 Colonialism, Contact and Borrowings
6.2.2.2 Neologisms
6.2.2.3 Illustrative Texts
6.3 Modern English Dialects
6.3.1 Traditional Dialects
6.3.2 Modern Dialects
6.3.3 Received Pronunciation (RP): The Social Background
6.3.3.1 Characteristics of RP
6.3.4 RP, Estuary English and 'the Queen's English'
6.4 Sociolinguistic Focus: English in Scotland, Ireland and Wales --- Multilingualism in Britain
6.4.1 English in the British Isles
6.4.1.1 English in Scotland
6.4.1.2 English in Wales
6.4.1.3 English in Ireland
6.4.2 Immigrant Varieties of English in Britain
6.4.2.1 Immigration to Britain in the PDE Period
6.4.2.2 Colonial Immigration and Language
7 English in the United States
Timeline: America in the Modern Period
7.1 Social and Political History
7.1.1 Settlement and Language
7.1.2 Settlement by Region
7.1.2.1 The Original Thirteen Colonies
7.1.2.2 The Middle West
7.1.2.3 The South and West
7.2 The Development of American English
7.2.1 The Strength and maintenance of Dialect Boundaries
7.2.2 How, Why and When American English Began to Diverge from British English
7.2.2.1 Physical Separation
7.2.2.2 The Different Physical Conditions Encountered by the Settlers
7.2.2.3 Contact with Immigrant Non-Native Speakers of English
7.2.2.4 Developing Political Differences and the Growing American Sense of National Identity
7.3 Language Variation in the United States
7.3.1 Uniformity and Diversity in Early American English
7.3.2 Regional Dialect Divisions in American English
7.3.2.1 The Lexicon
7.3.2.2 Phonology: Consonants
7.3.2.3 Phonology: Vowels
7.3.3 Social and Ethnic Dialects
7.3.3.1 Social Class and Language Change
7.3.3.2 Ethnicity
7.3.3.3 African-American Vernacular English
7.3.3.4 Traditional Dialects and the Resistance to Change
8 World-Wide English
Timeline: World-Wide English
8.1 Social and Political History: The Spread of English across the Globe
8.1.1 British Colonialism
8.1.1.1 Canada
8.1.1.2 The Caribbean
8.1.1.3 Australia
8.1.1.4 New Zealand
8.1.1.5 South Africa
8.1.1.6 South Asia
8.1.1.7 Former Colonial Africa: West Africa
8.1.1.8 East Africa
8.1.1.9 South-East Asia and South Pacific
8.1.2 An Overview of the Use of English throughout the World
8.2 English as a Global language
8.2.1 The Industrial Revolution
8.2.2 American Economic Superiority and Political Leadership
8.2.3 American Technological Domination
8.2.4 The Boom in English language Teaching
8.2.5 The Need for a Global Language
8.2.6 Structural Considerations
8.2.7 Global and at the Same Time Local
8.3 English as a Killer Language
8.3.1 Language Death
8.3.2 Language and Communication Technology
8.4 The Future of English
・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.
概説書の目次というのは,その分野の全体像を見渡すのにうってつけである.英語史概説書も例外ではない.例えば,「#1301. Gramley の英語史概説書のコンパニオンサイト」 ([2012-11-18-1]) で紹介した The History of English: An Introduction の目次を取り上げよう.Gramley の英語史概説書のコンパニオンサイトのこちらのページより目次が得られるので,以下そこから目次の章立ての部分のみを抜き出したものを転載する.
Chapter 1: The origins of English (before 450)
1.1. The origins of human language
1.2. Language change
1.3. Changes in Germanic before the invasions of Britain
1.4. The world of the Germanic peoples
1.5. The Germanic migrations
1.6. Summary
Chapter 2: Old English: early Germanic Britain (450--700)
2.1. The first peoples
2.2. The Germanic incursions
2.3. Introduction to Old English
2.4. The Christianization of England
2.5. Literature in the early Old English period
2.6. Summary
Chapter 3: Old English: the Viking invasions and their consequences (700--1066/1100)
3.1. The Viking invasions
3.2. Linguistic influence of Old Norse
3.3. Creolization
3.4. Alfred's reforms and the West Saxon standard
3.5. Monastic reform, linguistic developments, and literary genres
3.6. Summary
Chapter 4: Middle English: The non-standard period (1066/1100--1350)
4.1. Dynastic conflict and the Norman Conquest
4.2. Linguistic features of Middle English in the non-standard period
4.3. French influence on Middle English and the question of creolization
4.4. English literature
4.5. Dialectal diversity in ME
4.6. Summary
Chapter 5: Middle English: the emergence of Standard English (1350--1500)
5.1. Political and social turmoil and demographic developments
5.2. The expansion of domains
5.3. Chancery English (Chancery Standard)
5.4. Literature
5.5. Variation
5.6 Summary
Chapter 6: The Early Modern English Period (1500--1700)
6.1. The Early Modern English Period
6.2. Early Modern English
6.3. Regulation and codification
6.4. Religious and scientific prose and belles lettres
6.5. Variation: South and North
6.6. Summary
Chapter 7: The spread of English (since the late sixteenth century)
7.1. Social-historical background
7.2. Language policy
7.3. The emergence of General English (GenE)
7.4. Transplantation
7.5. Linguistic correlates of European expansionism
7.6. Summary
Chapter 8: English in Great Britain and Ireland (since 1700)
8.1. Social and historical developments in Britain and Ireland
8.2. England and Wales
8.3. Scotland
8.4. Ireland
8.5. Urban varieties
8.6. Summary
Chapter 9: English pidgins, English creoles, and English (since the early seventeenth century)
9.1. European expansion and the slave trade
9.2. Language contact
9.3. Pidgins
9.4. Creoles
9.5. Theories of origins
9.6 Summary
Chapter 10: English in North America (since the early seventeenth century)
10.1. The beginnings of English in North America
10.2. Colonial English
10.3. Development of North American English after American independence
10.4. Ethnic variety within AmE
10.5. Summary
Chapter 11: English in the ENL communities of the Southern Hemisphere (since 1788)
11.1. Social-historical background
11.2. Southern Hemisphere English: grammar
11.3. Southern Hemisphere English: pronunciation
11.4. Southern Hemisphere English: vocabulary and pragmatics
11.5. Regional and ethnic variation
11.6. Summary
Chapter 12: English in the ESL countries of Africa and Asia (since 1795)
12.1. English as a Second Language
12.2. Language planning and policy
12.3. Linguistic features of ESL
12.4. Substrate influence
12.5. Identitarian function of language
12.6. Summary
Chapter 13: Global English (since 1945)
13.1. The beginnings of Global English
13.2. Media dominance
13.3. Features of medialized language
13.4. ENL, ESL, and ELF/EFL
13.5. The identitarian role of the multiplicity of Englishes
13.6. Summary
近年の英語史概説書におよそ共有される特徴ではあるが,近現代の英語を巡る社会言語学的な記述や論考が目立つ.Gramley では,英語の諸変種(ピジン語やクレオール語を含め)について多くの紙幅が割かれており,とりわけ12--13章においてその内容が充実しているように思われる.また,ENL, ESL, ELF/EFL の区別にかかわらず英語が "identitarian role" を担っているという指摘が繰り返されている辺り,21世紀的な英語観が感じられる.社会言語学的な色彩の濃い英語史概説書として,Fennell と並んでお勧めしたい.
・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.
昨日の記事「#1992. Milroy による言語外的要因への擁護」 ([2014-10-10-1]) を含め,ここ2週間余のあいだに言語接触や言語変化における言語外的要因の重要性について複数の記事を書いてきた (cf. [2014-09-25-1], [2014-09-26-1], [2014-10-04-1]) .今回は,視点のバランスを取るために,言語外的要因に対する慎重論もみておきたい.Hickey (195) は,自らが言語接触の入門書を編んでいるほどの論客だが,"Language Change" と題する文章で,言語接触による言語変化の説明について冷静な見解を示している.
Already in 19th century Indo-European studies contact appears as an explanation for change though by and large mainstream Indo-Europeanists preferred language-internal accounts. One should stress that strictly speaking contact is not so much an explanation for language change as a suggestion for the source of a change, that is, it does not say why a change took place but rather where it came from. For instance, a language such as Irish or Welsh may have VSO as a result of early contact with languages also showing this word order. However, this does not explain how VSO arose in the first place (assuming that it is not an original word order for any language). The upshot of this is that contact accounts frequently just push back the quest for explanation a stage further.
Considerable criticism has been levelled at contact accounts because scholars have often been all too ready to accept contact as a source, to the neglect of internal factors or inherited features within a language. This readiness to accept contact, particularly when other possibilities have not been given due consideration, has led to much criticism of contact accounts in the 1970s and 1980s . . . . However, a certain swing around can be seen from the 1990s onwards, a re-valorisation of language contact when considered from an objective and linguistically acceptable point of view as demanded by Thomason & Kaufman (1988) . . . .
言語接触は,言語変化がなぜ生じたかではなく言語変化がどこからきたかを説明するにすぎず,究極の原因については何も語ってくれないという批判だ.究極の原因に関する限り,確かにこの批判は的を射ているようにも思われる.しかし,当該の言語変化の直接の「原因」とはいわずとも,間接的に引き金になっていたり,すでに別の原因で始まっていた変化に一押しを加えるなど,何らかの形で参与した「要因」として,より慎重にいえば「諸要因の1つ」として,ある程度客観的に指摘することのできる言語接触の事例はある.この控えめな意味における「言語外的要因」を擁護する風潮は,上の引用にもあるとおり,1990年代から勢いを強めてきた.振り子が振れた結果,言語接触や言語外的要因を安易に喧伝するきらいも確かにあるように思われ,その懸念もわからないではないが,昨日の記事で見たように言語内的要因をデフォルトとしてきた言語変化研究における長い伝統を思い起こせば,言語接触擁護派の攻勢はようやく始まったばかりのようにも見える.
上に引用した Hickey の "Language Change" は,限られた紙幅ながらも,言語変化理論を手際よくまとめた良質の解説文である.以下,参考までに節の目次を挙げておく.
Introduction
Issues in language change
Internal and external factors
Simplicity and symmetry
Iconicity and indexicality
Markedness and naturalness
Telic changes and epiphenomena
Mergers and distinctions
Possible changes
Unidirectionality of change
Ebb and flow
Change and levels of language
Phonological change
Morphological change
Syntactic change
The study of universal grammar
The principles and parameters model
Semantic change
Pragmatic change
Methodologies
Comparative method
Internal reconstruction
Analogy
Sociolinguistic investigations
Data collection method
Genre variation and stylistics
Pathways of change
Long-term change: Grammaticalization
Large-scale changes: The typological perspective
Contact accounts
Language areas (Sprachbünde)
Conclusion
・ Hickey, Raymond. "Language Change." Variation and Change. Ed. Mirjam Fried et al. Amsterdam: Benjamins, 2010. 171--202.
昨日の記事「#1974. 文法化研究の発展と拡大 (1)」 ([2014-09-22-1]) を受けて,文法化 (grammaticalisation) 研究の守備範囲の広さについて補足する.Bussmann (196--97) によると,文法化がとりわけ関心をもつ疑問には次のようなものがある.
(a) Is the change of meaning that is inherent to grammaticalization a process of desemanticization, or is it rather a case (at least in the early stages of grammaticalization) of a semantic and pragmatic concentration?
(b) What productive parts do metaphors and metonyms play in grammaticalization?
(c) What role does pragmatics play in grammaticalization?
(d) Are there any universal principles for the direction of grammaticalization, and, if so, what are they? Suggestions for such 'directed' principles include: (i) increasing schematicization; (ii) increasing generalization; (iii) increasing speaker-related meaning; and (iv) increasing conceptual subjectivity.
昨日記した守備範囲と合わせて,文法化研究の潜在的なカバレッジの広さと波及効果の大きさを感じることができる.また,秋元 (vii) の目次より文法化理論に関連する用語を拾い出すだけでも,この分野が言語研究の根幹に関わる諸問題を含む大項目であることがわかるだろう.
第1章 文法化
1.1 序
1.2 文法化とそのメカニズム
1.2.1 語用論的推論 (Pragmatic inferencing)
1.2.2 漂白化 (Bleaching)
1.3 一方向性 (Unidirectionality)
1.3.1 一般化 (Generalization)
1.3.2 脱範疇化 (Decategorialization)
1.3.3 重層化 (Layering)
1.3.4 保持化 (Persistence)
1.3.5 分岐化 (Divergence)
1.3.6 特殊化 (Specialization)
1.3.7 再新化 (Renewal)
1.4 主観化 (Subjectification)
1.5 再分析 (Reanalysis)
1.6 クラインと文法化連鎖 (Grammaticalization chains)
1.7 文法化とアイコン性 (Iconicity)
1.8 文法化と外適応 (Exaptation)
1.9 文法化と「見えざる手」 (Invisible hand) 理論
1.10 文法化と「偏流」 (Drift) 論
文法化は,主として言語の通時態に焦点を当てているが,一方で主として共時的な認知文法 (cognitive grammar) や機能文法 (functional grammar) とも親和性があり,通時態と共時態の交差点に立っている.そこが,何よりも魅力である.
・ Bussmann, Hadumod. Routledge Dictionary of Language and Linguistics. Trans. and ed. Gregory Trauth and Kerstin Kazzizi. London: Routledge, 1996.
・ 秋元 実治 『増補 文法化とイディオム化』 ひつじ書房,2014年.
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