昨日18:00に井上逸兵さんとの YouTube の第5弾が公開されました.グラスゴー vs. エディンバラ・方言のイメージはどのようにできる?【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル #5 】と題する,8分程度の緩いおしゃべりです.今回は脱線も豊富です.
今回は,動画内でも話題となっているスコットランド英語について私的な体験を少々お話ししたいと思います.私はスコットランドのグラスゴー大学に留学していたことがありますが,当初(だけではないですが)は聞き慣れないスコットランド英語 (Scottish English or Scots) に戸惑いました.イギリス国内でも,とりわけグラスゴー訛りの英語 (Glaswegian) はアクセントがきついというのは広く知られている評価で,実際なかなかの難物でした.
「○○方言」や「○○訛り」と一言でいっても,そのなかで「上」から「下」までの幅広いヴァリエーションがあるのが通例です.例えば,同じスコットランド英語といっても,(主にスコットランドの首都エディンバラの)知識人が用いる「標準スコットランド英語」は,私たちが一般的に標準イギリス英語として理解している発音とは一線を画しているものの,澄んでいて聞き取りやすい印象を受けます.エディンバラの発音は,イングランド(そしてイギリス全体)の首都であるロンドンとの政治的連携も意識され,「威信ある発音」とみなされています.逆にいえば,コテコテのスコットランド訛りで話す地方出身者からすると,気取った発音に聞こえるようです.
一方,エディンバラからバスでも鉄道でも1時間ほどしか離れていないグラスゴーの訛りは,かなりコテコテといわれています.グラスゴー訛りの話者は,エディンバラの発音とあえて距離を取ることで,自分たちこそが(イングランドに媚びを売らない)真のスコットランド人なのだというアイデンティティを表出しているところがあります.関連して,スコットランド人でもエリート志向はエディンバラ大学へ進学し,地元志向はグラスゴー大学へ進学するという傾向があると聞いたことがあります.
対象を「グラスゴー訛り」と狭く絞っても,やはりそのなかで上下の幅があります.私は主に大学の環境にいたので,ある程度コテコテ度の抑えられたグラスゴー訛りを聴く機会が多かったと思います.分からない素振りをすれば,"foreigner talk" のように多少は容赦してしゃべってくれるということもありました.しかし,滞在していたフラットで,(イギリス生活の風物詩ですが)シャワーが壊れたり,タイルが剥がれたりすると,職人さんが修理しに来てくれるわけですが,彼らの文字通りコテコテのグラスゴー訛りには,まったくお手上げでした.職人さん同士で話しているのを立ち聞きしていると,ここがイギリスだと知らなかったならば,そもそも英語として認識できなかったと思います.フラットメイトに地元学生が複数いたために,そこそこグラスゴー訛りの聞き取りスキルは鍛えられていただろうと思い込んでいたのですが,いやはやまったく太刀打ちできませんでした.
自らのグラスゴー訛りにコンプレックスを抱く学生もいました.地元志向であればそれほどでもないのでしょうが,「中央進出」を考えている学生にとっては,評価の低いグラスゴー訛りが足かせになるのではないかという不安があるようです.関連して「#2029. 日本の方言差別と方言コンプレックスの歴史」 ([2014-11-16-1]),「#2030. イギリスの方言差別と方言コンプレックスの歴史」 ([2014-11-17-1]) もご参照ください.
方言差別や方言コンプレックスというものはあってはならないとは思いますが,現実には多くの言語共同体において方言格差が厳然として存在します.これは社会言語学の一級の話題ですし,私自身も英語史の観点から関連する問題にアプローチしています.
この1年9ヶ月ほどの間,本ブログの趣旨である「英語史に関する話題を広く長く提供し続ける」を音声メディアに載せる試みを続けてきました.
まず,2020年6月23日から2021年2月7日までは,不定期ではありましたが「hellog ラジオ版 (hellog-radio)」と題して,1つ10分程度の音声コンテンツを計62本,本サイトのなかで独自にアップロードしてきました.ちなみに初回は「#4075. なぜ大文字と小文字があるのですか? --- hellog ラジオ版」 ([2020-06-23-1]) という話題でした(その他,hellog-radio の記事も参照).
その後,2021年6月2日より,音声コンテンツ配信用のプラットフォームとして Voicy に活動の場を移し,「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」と題するチャンネルにてコンテンツ配信を続けてきました.以後,本日に至るまで毎日10分程度の英語史の話題を配信してきました(計286本).
一貫して英語に関する素朴な疑問を中心とした内容にこだわってきましたが,上記のように途中からプラットフォームを変更したこともあり,音声コンテンツの在処が2カ所に分かれてしまっていました.これでは概観や検索に不便なので,このたび両プラットフォームからのコンテンツを一覧できるページを作りました.ブログ最上部のメニューにもありますが「音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio)」をクリックしてみてください.最新のものから順にコンテンツが整理されています.
この一覧ページは今後もなるべく頻繁に更新していきたいと思っていますが,再生回数などは常に変化しており,毎日更新というわけにもいきませんので,最新コンテンツについては「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でご確認ください.
さて,年明けの1月2日に「#4633. 2021年によく聴かれた「英語の語源が身につくラジオ」の放送」 ([2022-01-02-1]) で再生回数のランキングを覗いてみましたが,それから3ヶ月ほど経っていますし,今回一覧を整理するに当たって新しいランキングが得られましたので,よく聴かれている上位50コンテンツを挙げたいと思います.時間のあるときにでも気軽にお聴きください.
ちなみにトップは昨年9月17日の同僚の井上逸兵さんとの対談でした.実はこの収録のときに,音声コンテンツの対談もよいですが,いずれ YouTube 動画も一緒にどうでしょうかね,などというやりとりがあり,先日2月26日に YouTube で「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を開設してしまったという次第です.
昨日,井上逸兵さんとの YouTube の第4弾が公開されました.pleaseの使いすぎはキケン!?ーコミュニケーションの社会言語学【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル #4 】と題するおしゃべりですが社会言語学 (sociolinguistics) という分野について概観してみました.
社会言語学は井上氏と私が関心を共有する分野です.そもそも英語史研究は伝統的に,扱う時代の社会的・文化的な背景を考慮するのが一般的です.言語と社会の関係を考察する社会言語学とは本質的に相性がよいのです.20世紀後半より社会言語学が理論的に成熟してくると,英語史研究もその成果を取り込み,新たな可能性が開かれてきました.とりわけ言語項の社会的な変異の存在を前提とする "variationist" な言語観は,社会言語学から生み出されたもので,昨今の英語史研究でも一般的に採用されています.
社会言語学の取り上げる話題は多岐にわたります.「#2545. Wardhaugh の社会言語学概説書の目次」 ([2016-04-15-1]) などを概観すると,カバーする範囲の広さが分かると思います.言語と方言,標準化,地域方言,社会方言,レジスター,リンガ・フランカ,ピジン語,クレオール語,ダイグロシア,2言語使用,多言語使用,コードスイッチング,アコモデーション,言語変化,サピア=ウォーフの仮説,プロトタイプ,タブー,婉曲表現,おしゃべり,呼称,ポライトネス,発話行為,協調の原理,ジェンダー,言語差別,言語権,言語計画など,キーワードを挙げ始めると止まりません.英語史でも,これらの各々を念頭において研究することが可能です.
今回の YouTube では,ミクロとマクロの社会言語学に触れました.ミクロな社会言語学では,例えば典型的に2人の間の相互行為 (interaction) に注目するようなアプローチが取られます.語用論にも接近することが多いです.一方,マクロな社会言語学では,2人にとどまらず言語共同体というより大きな単位で言語と社会の関係をとらえようとします.しかし,井上氏も私も,両者は地続きだという考え方をしています.
社会言語学のミクロとマクロについては,以下の記事も参照してください.
・ 「#1380. micro-sociolinguistics と macro-sociolinguistics」 ([2013-02-05-1])
・ 「#1623. セネガルの多言語市場 --- マクロとミクロの社会言語学」 ([2013-10-06-1])
・ 「#2005. 話者不在の言語(変化)論への警鐘」 ([2014-10-23-1])
・ 「#3204. 歴史社会言語学と歴史語用論の合流」 ([2018-02-03-1])
社会言語学に関心をもった方は,ぜひ「#1480. (英語)社会言語学概説書の書誌」 ([2013-05-16-1]) よりいずれかの概説書を手に取ってみてください.
昨日,井上逸兵さんとの YouTube の第3弾が公開されました.今回は井上編です.いかにして若き井上青年は言語に関心をもったのか? 必殺営業トークは言語学のネタになるのか?!・「英語学への入り口(井上編)」をご覧ください.
今回のおしゃべりのキーワードは「意味の復権」だと思っています.言語やコミュニケーションの要諦は,意味を伝え合うことのはずです.ところが,近代言語学においては意味の研究は避けられきたのです.発音や文字は耳に聞こえ目に見えるので調べようがあります.ところが,意味はどうにも捉えどころがないので,研究したいとしても方法がなく,後回しになってしまうのです.
言語学の歴史をひもとくと,やはり意味の扱いは常に弱かったことが分かります.しかし,言語にとって本質的である「意味」の議論がなくなったら,言語学もおしまいのはずです.ですので,低調ではあれ,やはり意味の議論は続いていました.「#1686. 言語学的意味論の略史」 ([2013-12-08-1]) を読んでいただきたいのですが,低調ながらも,形に対する意味の側からの主張は抵抗は,確かに存在し続けました.
その我慢の結果といってよいのでしょうか,アンチの台頭といってよいのでしょうか,ついに1970年代くらいから,形ではなく意味を本拠とする言語理論が次々と現われてきました.認知意味論 (cognitive_linguistics) や語用論 (pragmatics) といった,新しいタイプの意味論 (semantics) です.こうして,意味研究が復権してきました.
「意味論」は英語で semantics と言います.複数形の -s が語尾についています.私は常々思うのですが,19世紀以来,低調ながらも様々な「意味論s」が生まれてきたわけですが,古い意味論の上に新しい意味論が乗っかって累積してきたという形での発展というよりは,古い意味論と新しい意味論が横並びになって発展してきたように思うのです.文字通りの複数形の「意味論s」です.
こうして意味研究が言語学に(よくぞ)戻ってきたわけですが,私の趣味としては,様々な「意味論s」が併存していることが非常におもしろいなぁと思って眺めています.
2月27日に開設した「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の第2弾が公開されました.「標準英語」がイギリスの○○方言だったら,日本人,楽だったのにー!!・英語学への入り口(堀田編)です.
堀田が英語学・英語史に関心を持ったきっかけが「英語の複数形とは何ぞや?」であったことから始まり,同じ -s つながりで動詞の3単現の話しに移り,3単現でも -s のつかないイギリス方言があるぞという話題に及びました.さらに,今度はアメリカ方言にまで飛び火し,最後には黒人英語の話題,とりわけ Ebonics 論争に到達しました.10分間の英語学のお散歩を楽しんでいただければ.
今回の話題と関連する本ブログからの記事を以下に紹介しておきます.一括して読みたい方はこちらからどうぞ.
・ 「#946. 名詞複数形の歴史の概要」 ([2011-11-29-1])
・ 「#2112. なぜ3単現の -s がつくのか?」 ([2015-02-07-1])
・ 「#2310. 3単現のゼロ」 ([2015-08-24-1])
・ 「#2566. 「3単現の -s の問題とは何か」」 ([2016-05-06-1])
・ 「#4255. なぜ名詞の複数形も動詞の3単現も同じ s なのですか?」 ([2020-12-20-1])
・ 「#591. アメリカ英語が一様である理由」 ([2010-12-09-1])
・ 「#3653. Ebonics 論争」 ([2019-04-28-1])
・ 「#2672. イギリス英語は発音に,アメリカ英語は文法に社会言語学的な価値を置く?」 ([2016-08-20-1])
昨日の記事「#4689. YouTube で「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を開設しました」 ([2022-02-27-1]) で,井上逸兵先生と共同で YouTube チャンネルを開設した旨をアナウンスしました.初回の「英語学」ってなに?--むずかしい「英語」を「学」ぶわけではありません!!では,対談という形で「英語学」そのものに迫ってみました.
ところが,この質問は私にとってはそこそこ不意打ちの質問でして,ちょっと考えてしまいました.私の専門は「英語史」ですが広い意味で「英語学」の1分野ですし,これまでも「英語学」の講義を担当してきた経緯があります.その割には「英語学とは何か」を考えてきていなかったということに気づきました.もやもやとは答えをもっていましたが,自明すぎて本気で問うことをしてこなかったようです.
私の答えを端的にいえば「英語という言語を対象とする言語学である」ということでした.ここには私の専門の英語史や英語文献学も含まれます.英語のスキルを磨くための「規範」に基づく語学学習とは一線を画し,英語のありのままを「記述」するのが英語学であると.つまり,とりわけ英語という個別言語をターゲットに絞って研究する言語学が英語学であるという認識です.
一方,井上氏の認識は,端的にいって「英語学とは英米流の言語学である」ということでした.ターゲットというよりもアプローチを指す用語だというわけです.例えば,日本語を対象としていても英語学は成り立つという立場です.確かに,英語学のアプローチを用いながら実際のところは日本語を研究しているという事例は,日本の関連学会でも英文科の大学院でもしばしば見受けられることです.その観からいえば,井上流の「英語学」の解釈もうなずけます.
どうやら「英語学」の理解にもいろいろとありそうだということに,今更ながら気づきました.では,英語学辞典などでは「英語学」はどのように定義されているのだろうと何冊か引いてみると,なんと載っていないのです! 自明すぎて載せないという建前なのでしょうが,実は自明ではないというのが今回の私の発見です.
では英語学の教科書ではどうだろうかと,まず手元にあった『日英対照 英語学の基礎』を開いてみました.「まえがき」の p. ii に次のようにありました.
みなさんは,「英語学」と聞くと,これまで勉強している「英語」と何が違うのだろうと思うことでしょう.「英語学」というのは,英語という言葉がどのような仕組みになっているかを考える言語学の一領域です.つまり,英語の音や単語,文や会話などがどのような仕組みになっており,そこにどのような規則が潜んでいるかを明らかにしようとする研究分野です.
これは,だいたいのところ私が理解している「英語学」に近いと思います.ただ,英語史贔屓の私にとっては,これだけではちょっと物足りないという感じがしています.
英語学って何なのでしょうかね.捉え方は十人十色なのだろうと思います.この事実は意外とびっくりでした.皆さんの考えははいかがでしょうか?
なお,「英語史」も負けず劣らず難しいです.とりあえず「#225. 「英語史研究」とは?」 ([2009-12-08-1]) 辺りをご覧ください.
・ 三原 健一・高見 健一(編著),窪薗 晴夫・竝木 崇康・小野 尚久・杉本 孝司・吉村 あき子(著) 『日英対照 英語学の基礎』 くろしお出版,2013年.
昨日,標記の通り井上逸兵先生と共同で YouTube にて「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を開設しました.
初回動画「英語学」ってなに?--むずかしい「英語」を「学」ぶわけではありません!!のなかでも触れていますが「英語学・言語学って何なの?」という辺りから始めて,それぞれの専門分野(井上氏は社会言語学・認知言語学・語用論,堀田は英語史)の観点から,英語や言語一般に関する様々な話題を,定期的にお届けしていきます.初回は自己紹介的な雰囲気ですが,今後はどんどん濃くなっていくと思います.ぜひ視聴してみてください.チャンネル登録もよろしくどうぞ.
共演者である井上逸兵氏を紹介したいと思います.慶應義塾大学文学部英米文学専攻の教授で,社会言語学,認知言語学,語用論などの分野を専門とされています(←同僚としても日々お世話になっています).NPO法人地球ことば村・世界言語博物館の理事長でもあります.2018--19年度には,NHK教育テレビ「おもてなしの基礎英語」の講師を務められました.著書も多数ありますが,とりわけ昨年話題となったのが『英語の思考法 ー 話すための文法・文化レッスン』(筑摩書房〈ちくま新書〉,2021年)です.詳しい業績その他の詳細は,井上逸兵のページをご覧ください.人気の Twitter はこちらです.
井上氏には,すでに私の Voicy の「英語の語源が身につくラジオ」でも,2度ほど対談・出演していただいています.普段の私一人のしゃべりによる放送に比べて,ずっと多く聴かれているようです,さすがですね.
・ 「『英語の思考法』(ちくま新書)の著者,井上逸兵先生との対談」(2021年9月17日放送)
・ 「対談 井上逸兵先生と「英語新書ブーム」を語る」(2021年10月22日放送)
今回開設した YouTube チャンネルの趣旨は,2人の英語学研究者による肩のこらない緩いおしゃべり,といったところです.高校生から大学生にかけての視聴者を念頭に「英語学・言語学って何?」というところから始めますが,広く英語や言語一般に関心のある方々にも視聴してもらえるような内容を織り込んでいきたいと思っています.
同じお題でおしゃべりしても,異なる分野を専門とする2人が話せば,これだけ違う意見が出るのだなというところが見所かと思います.作り手もそれを楽しんでいるところがあります.
今後は本ブログ,Voicy の「英語の語源が身につくラジオ」と合わせて,「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」もよろしくお願いいたします.
昨日の記事「#4053. 花粉症,熱はないのに hay fever?」 ([2020-06-01-1]) で hay fever の疑問を取り上げました.なぜ花粉症に「熱」が関係するのかは未解決のままですが,調べる過程で素晴らしい副産物を獲得しました.標題の3語のみごとな語源的共通性です.
hay (干し草)は古英語にも hēġ, hīeġ として現われる古い語で「切られた/刈られた草」を意味しました.「(斧・剣などで)切る」という動詞は hēawan としてあり,これが現代英語の hew (たたき切る,切り倒す)に連なっています.一方,切る道具としての hoe 「根掘り,つるはし,くわ」は,古英語にこそ現われませんが,古高地ドイツ語から古仏語に入った houe が中英語期に借用されたもので,やはりゲルマン祖語の語根に遡ります.ゲルマン祖語の動詞として *χawwan が再建されています.ゲルマン語根からさらに遡れば,印欧祖語の語根 *kau- (to hew, strike) にたどり着きます.上記の3語は母音こそ変異・変化してきましたが,源は1つということになります.
to hew hay (干し草を刈る)という表現もあるので,to hew hay with a hoe という表現も夢ではありません.となれば,思い出さずにいられないのがサブちゃんの名曲です.北島三郎「与作」に合わせて「ひゅーへいホウ」と歌ってみましょう.
それにしても,語源的にうまくできた歌詞ですね.
コロナ禍の影響で,今期,多くの大学の授業の基調はオンライン授業(遠隔授業)となる見込みです.私の所属する慶應義塾大学も例外ではなく,今年度の私の英語史その他の講義もオンラインとなります.にわかにオンライン授業が活気づいてきたこの機会に,英単語を英語史や語源の観点から学べる「まさにゃんチャンネル」の YouTube 動画を紹介したいと思います.本ブログの趣旨とも合致する学習動画です.
高校生をターゲットにした語源から英単語を学ぶ楽しさを伝える一連の動画で,単語も話題も構成も実によく練られています.その弁舌からは,講師の英語史への熱い想いも伝わってきます.高校生の皆さんも,そうでない皆さんも,これをきっかけに英語史や語源の話題に関心をもってもらえればと思います.
動画の作者に,今回のシリーズ企画「語源で学ぶ英単語」を担当することになった経緯をうかがうことができました.
YouTube の予備校「ただよび」・河合塾英語講師の森田鉄也先生が YouTube 上で開催された英語講師オーディションに応募し,決勝戦に進出.おしくも優勝は逃したものの,動画内容を評価していただき今回このシリーズ企画を担当させてもらう運びとなりました.またこの動画のメインターゲットは大学受験を目指して英単語を覚えようとしている高校生です.ただ,同時に英語好きの大学生や大人にも楽しんでもらえる動画になるように意識して作りました.
上で触れられている英語講師オーディションの決勝戦の様子はこちらです.そして「語源で学ぶ英単語」のシリーズそのものはこちら(全7回を連続で再生)からどうぞ.各回の動画へのリンクは以下の通りです.
・ 第1回「英語の始まり」
・ 第2回「グリムの法則で繋がる英単語」
・ 第3回「古英語由来の接頭辞/動詞の語法」
・ 第4回「同語源の意外な単語」
・ 第5回「ヴァイキングの襲来と古ノルド語」
・ 第6回「ヴァイキングが英文法に与えた影響」
・ 最終回「なぜ英語には類義語が多いのか」
作者の森田真登さんは,慶應義塾大学文学研究科英米文学専攻博士課程に在籍し,英語史を専攻しています.つまり身内ということなのでした.よろしくどうぞ.
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