一昨日の4月7日の午後11:20より約50分間,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生放送で#678. 4月7日に「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を heldio 生放送でお届けしましたをお届けしました.ライヴでお聴きくださったリスナーの皆さん,ありがとうございました.
数十名のフレッシュな大学1年生を前にしての対面公開収録&生放送でした.その場で学生たちに英語に関する素朴な疑問を投げてもらい,私が回答するという「千本ノック」企画でしたが,今回も良問が多く出されました.私は常々「難しい問題ではなく素朴な疑問こそが重要」と言っていますが,今回もそのことが伝わるとよいなと期待しつつ回答したつもりです.どうだったでしょうか?
50分の長丁場ですので,時間のあるときにゆっくりお聴きください.
以下に,今回の「千本ノック」で取り上げた各疑問の分秒を一覧しておきます.
(1) 02:34 --- 英語になぜ敬語が存在しないの?
(2) 05:51 --- am, are, is という3つの be 動詞の由来が知りたいです
(3) 09:19 --- 日本語では一音で意味を持つものがあるにもかかわらず(例えば「絵」や「胃」)英語では一音で意味を持つことがほとんどないのはなぜですか?
(4) 13:14 --- -ed がつく過去形と不規則に変化する過去形がある理由
(5) 18:04 --- 3単現に -s がつく理由
(6) 21:52 --- 動詞 play が使えるスポーツと使えないスポーツの違いはなんですか?
(7) 24:02 --- なぜ英語には女性名詞や男性名詞がないのか?
(8) 27:11 --- 3単現の -s がないと,ネイティブスピーカーはどんな感覚なのか?
(9) 28:33 --- 英語と日本語はどうして順序が逆になるのですか?(住所とか)
(10) 31:03 --- <gh> などの発音しない子音があるのはなぜですか?
(11) 33:49 --- Pokémon (ポケモン)の e の上にある点は何?
(12) 36:09 --- 世界には英語が書かれたグッズが多く出回っているが(GAPなど),英語圏の人はどう感じているのか?
(13) 38:20 --- なぜ fine には「罰する」「罰金」という意味があるの?
(14) 41:35 --- 同じ単語にいくつも意味があるのはなんで?
(15) 44:00 --- どうしてアメリカ英語とイギリス英語があるんですか?
(16) 45:50 --- 日本語には句読点があるけれど,なぜ英語では空白で区切るの?
過去の「千本ノック」回については「#5005. 過去17回の heldio 「千本ノック」の一覧」 ([2023-01-09-1]) あるいは senbonknock をご覧ください.
新年度ということで私の音声メディアの紹介をさせていただきます.2年ほど前の2021年6月2日より毎朝6時に,音声プラットフォーム Voicy にて「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を運営しています.毎回10分程度(実はだいたい長引きます)で英語史の話題を配信しています.前身の hellog-radio を受けてのプロジェクトで,縮めて "heldio" と通称しています.おかげさまで,直近数ヶ月は「語学」セクションでの注目度ランキングの5位以内に入り続けて,リスナーさんも増えてきています.ありがとうございます.
いわば本ブログの音声版というべきものですが,ブログでは様々な水準の話題をお届けしている一方,heldio ではとりわけリスナーさんを意識して話題を選び,分かりやすい話し方をするように心がけています.モットーはずばり「英語史をお茶の間に」です.とりわけ今年に入ってからは,Voicy のコメント欄を通じたリスナー間,およびパーソナリティとのコミュニケーションも活気づいており,英語史の輪が少しずつ着実に拡がっています.本ブログともしばしば連動してお届けしていますので,ぜひ毎日聴くことを習慣にしていただければ幸いです.
例えば,今朝6時に配信した放送は「#676. 意味変化の類型 --- 一般化,特殊化,向上,堕落」です.
また,英語史研究者や学生との対談,そして生放送企画なども,いろいろ試みています.実際,本日午前11:20頃より「「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」2023年4月7日」と題して生放送をお届けする予定です.
さて,パーソナリティより「heldio の聴き方」の Tips を紹介します.
・ 最新回を含めた放送一覧は,こちらのページが便利です.前身の hellog-radio の放送回一覧も同ページの下部にあります.
・ ウェブ経由でブラウザからも聴取できますが,携帯端末から Voicy アプリ(無料)の利用が便利です.アプリでアカウントをフォローしていただけますと,更新通知や生放送への参加等などの付加的な機能をご利用できます(本記事末尾を参照).
・ Voicy アプリなどの検索機能「見つける」より,検索欄に「heldio 意味変化」などと打ち込んでいただけると,おおよそ関連回がヒットします.
・ 放送回は「#676」などの番号で管理していますので,番号が分かっていれば「heldio 676」などでも飛べます.
・ 放送回のタイトル,各チャプターのタイトル,ハッシュタグなどで,なるべくキーワードを多く登録していますので,放送回の検索にご利用ください.また,同じキーワードを hellog のほうで検索すると,しばしば多くの記事がヒットしますので,そこでより詳しく学ぶことができます.
・ 本ブログ記事と関連する heldio 放送回については,こちらよりアクセスできます.
・ 「#4996. 今年1年間でよく聴かれた放送 --- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より」 ([2022-12-31-1]) は必見です.
・ note でも,たまに「今週 (2023/03/06--12) よく聴かれた heldio 過去回」などとして過去回の紹介をしています.
・ 毎朝の放送回について,話題的に関連する過去回をインスタグラム @chariderryu のストーリーにて随時お知らせしています.関連する放送回を飛びながら聴くと理解が深まりますので,ご利用ください.
・ リスナーの方々の協力により,各放送回のコメント欄に関連する過去回の番号を随時投げていただいていますので,そちらもご覧ください.とりわけ @nyaokitako0808 さんのインスタ・アカウントも,同趣旨の情報で充実しています(いつも,ありがとうございます!).
・ そして皆さんの一人ひとりも,コメント欄への参入,そして関連過去回の共有にご協力のほどお願いいたします.ただ聴いているだけよりも,日々の英語私生活が何倍も楽しくなると思います!
以上,新年度開始の「hel活」(=英語史活動)でした.
年度が改まりましたが,2023年度も,khelf (= Keio History of the English Language Forum = 慶應英語史フォーラム)を拠点として「hel活」(=英語史活動)に力を入れていきます(現会長はまさにゃんです).
khelf は慶應義塾大学文学部英米文学専攻の英語史ゼミ(堀田隆一研究会)を母体として2020年1月に立ち上げられました.以後3年以上にわたり「hel活」を続けてきました.khelf の活動目標は次の通りです.
英語史について議論したり,情報共有するためのフォーラムです.英語史の学び方,教え方,研究の仕方について議論し,情報発信していくことはもちろん,(現代)英語の素朴な疑問を取り上げ,それを英語史の観点から解きほぐしていくという啓発的な活動も推進していきます.
具体的には khelf HP の活動実績のページに記載されていますが,主たる活動として以下を挙げておきます.
・ khelf-conference と称する拡大版ゼミ合宿の開催
・ 「英語史導入企画」と題する英語史コンテンツのウェブ発信
・ 『英語史新聞』の発行
・ khelf の公式ホームページや公式ツイッターアカウント @khelf_keio での情報発信
・ 外部講師を招いての各種の講義・演習
・ 英語史研究者のインタビュー記事を掲載する「英語史ラウンジ」
・ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」での各種企画の後援(例えば「千本ノック」や「英語史クイズ」)
とりわけ『英語史新聞』は khelf オリジナル企画で,これまで第4号まで発行されてきました.そして,近日発行の第5号に向けて,目下最終校正が行なわれています.
昨年度の活動実績として「#5050. 2022年度の khelf 活動の振り返り」 ([2023-02-23-1]) も合わせてご覧ください.
昨年9月20日には khelf 総会にて「khelf ミッションステートメント」が採択されています.以下に掲載します.
[ khelf ミッションステートメント ]
khelf(慶應英語史フォーラム)は以下の目標をミッションステートメントとして宣言する
1. 英語史の学習,研究,教育を通じて,フォーラム内で英語と言語の理解を深めることに努め続ける
2. 英語史に関する情報発信やイベント開催を通じて,世の中に英語と言語を学ぶことの価値を伝え続ける
3. 英語(史)の学習,研究,教育に資する情報をフォーラム内外に発信し続ける
4. 本ミッションステートメントに沿ったフォーラム会員による意欲的な活動を支援する
この khelf ミッションステートメントについては,@khelf_keio による動画もあります.
本年度の khelf 活動の意気込みについては,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の昨日の放送回「#673. 今年度の khelf 活動がいよいよスタート --- 青木輝さんとの対談」にて,khelf HP 担当の青木輝さんとともに表明しています.ぜひお聴きください.
本年度も khelf の活動へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします!
4週間ほど後,4月29日(土)の 15:30--18:45 に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「文字と綴字の英語史」と題するシリーズ講座がオープンします.全4回のシリーズで,英語の文字と綴字をめぐる歴史についてお話ししていきます.
この話題にご関心のある方は,ぜひご参加ください.講座紹介および参加お申し込みはこちらからどうぞ.対面のほかオンラインでの参加も可能です.また,レコーディングの1週間限定配信も予定されていますので,ご都合のよい方法で受講していただけます.
シリーズ全体の概要を以下に示します.
アルファベットは現代世界で最も広く用いられている文字体系であり,英語もそれを受け入れてきました.しかし,そのような英語もアルファベットとは歴史の過程で出会ったものにすぎず,綴字として手なずけていくのに千年以上の年月を要しました.本講座では,英語が文字や綴字と格闘してきた歴史をたどります.
全4回のタイトルは以下の通りです.
・ 第1回 文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり(春・4月29日)
・ 第2回 古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ(夏・未定)
・ 第3回 中英語の綴字 --- 標準なき繁栄(秋・未定)
・ 第4回 近代英語の綴字 --- 標準化を目指して(冬・未定)
初回となる「文字の起源と発達 --- アルファベットの拡がり」でお話しする内容は次の通りです.
文字は人類最強の発明の1つです.人類は文字を手に入れることにより文明を発展させてきました.では,文字はいつ,どこで,どのように発明され,伝播してきたのでしょうか.歴史の過程で様々な文字体系が生まれてきましたが,そのうちの1つがアルファベットでした.アルファベット自身も変化と変異を繰り返し多様化してきましたが,その1つが私たちのよく知るローマン・アルファベットです.英語は紀元6世紀頃にこれを借り受け,本格的な文字時代に入っていくことになります.
本シリーズの案内は,hellog の姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より「#668. 朝カル講座の新シリーズ「文字と綴字の英語史」が4月29日より始まりますでもお届けしています.ぜひお聴きください.
多くの皆様の参加をお待ちしています!
今年の1月半ばに一般発売となった新著『文献学と英語史研究』(開拓社)の共著者である家入葉子先生(京都大学)の「【KOTOBA-カタリナ】ブログ」を紹介します.
家入先生はいくつかのサイトを運営されていますが,そのうちの1つ「コトバと文化のフォーラム - Castlecliffe」のなかで「コトバと文化をテーマに不定期に更新」する「【KOTOBA-カタリナ】ブログ」を運営されています.書籍の紹介,英語史や言語学の専門的な記事,日本と世界の文化の話題を数多く投稿されています.今月投稿された最新の9件を新しい順に挙げてみます.
・ 言語接触を考える(2023年3月23日)
・ カテゴリーシフト(2023年3月14日)
・ 語順についての考え方(2023年3月10日)
・ 英語の否定構文についての論文集(2023年3月6日)
・ 言語変化のあり方(2023年3月5日)
・ 英語学と英語教育の接点(2023年3月4日)
・ 歴史社会言語学・歴史語用論という分野(2023年3月4日)
・ 分野をつなぐ共通のテーマ(2023年3月4日)
・ 語形成に関すること(2023年3月1日)
家入先生が運営されている他のサイト等も,ご案内します.「コトバと文化のフォーラム - Castlecliffe」と合わせて,英語史に直接・間接に関わる膨大で良質な情報が蓄積されています.
・ もう1つのHP 「Yoko Iyeiri(家入葉子)のホームページ」より,とりわけ「研究・授業関連の投稿ページ」にはご著書の一覧が掲載されています.関連記事も英語史を学ぶ者にとってたいへん有用です.
・ 家入先生による英語史導入 YouTube 動画もあります.「京大先生シアター「英語史 ことばが変化し続けることの意味」」よりどうぞ.
・ 家入先生が代表世話役を務められている英語史研究会も紹介します.年1度開催されていますが,次の第32回は来たる4月8日(土)にオンライン開催の予定です.
家入先生と堀田が対談形式で新著『文献学と英語史研究』(開拓社)を紹介した Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の放送回2件も,ぜひお聴きください.なお,今朝の heldio 放送回の Chapter 2 でも,家入先生の上記ブログを簡単に紹介しています.
・ 「#609. 家入葉子先生との対談:新著『文献学と英語史研究』(開拓社)を紹介します」
・ 「#611. 家入葉子先生との対談の第2弾:新著『文献学と英語史研究』より英語史コーパスについて語ります」
・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.
昨日3月3日の午後「英語史クイズ」を開催しました.先日よりお知らせしていたように本来は heldio 生放送としてお届けする予定でしたが,収録機器の不具合などにより何度試みてもうまくいかず,生放送は断念しました.お待ちいただいていたリスナーの皆さんには,ご迷惑をおかけしました.
「英語史クイズ」の収録自体は成功しましたので,今朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の通常回として配信しています.「#642. heldio 初の「英語史クイズ」」よりお聴きください.1時間ほどの長丁場ですので,お時間のあるときに楽しんでいただければと.
今回の「英語史クイズ」イベントは,専修大学,熊本学園大学,khelf(慶應英語史フォーラム)の3大学合同の企画・主催でした.昨日は朝から夕方まで40名ほどが対面・オンラインにて集い「英語史フェス」(春の英語史合宿)を開いていました.そのうちの1セッションである「英語史クイズ」を,今回一般公開とした次第です.
英語史クイズの出題・解説には,heldio の「千本ノック」 (senbonknock) でお馴染みの菊地翔太先生(専修大学),矢冨弘先生(熊本学園大学),khelf 会長のまさにゃんの3名に加え,高橋佑宜先生(名古屋外国語大学)にもご協力いただきました.そして,解答者の学生たちにもおおいに盛り上げてもらいました.
一見すると英語史らしからぬ,意表を突いた出題もありましたが,いえいえ,すべて英語史に関わる話題です.英語史の幅広さと魅力が伝わるイベントとなったと思います.いずれまたこのメンバーで英語史クイズの第2弾,あるいは類似のイベントを企画できればと.
今日から3月ですね.三寒四温ですが,だいぶん春めいてきた感があります.今月も「hel活」に力を入れていきたいと思います (cf. 「#5054. もろもろ「hel活」しています --- Voicy heldio, note, インスタ,YouTube,『英語史新聞』, Mond,著書」 ([2023-02-27-1])) .
3月のhel活の第1弾は,明後日3月3日(金)の15:40--16:40に,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で生放送でお届けする予定の「英語史クイズ」 (helquiz) です.初企画ということで,どういうことになるか,やってみないと分からないのですが,すでに生放送を予約しました.当日の予定時刻が近づきましたらこちらよりお聴きください.
今回の「英語史クイズ」企画は,専修大学,熊本学園大学,khelf(慶應英語史フォーラム)の3大学合同による主催となります.heldio の「千本ノック」 (senbonknock) でお馴染みの菊地翔太先生(専修大学),矢冨弘先生(熊本学園大学),khelf 会長のまさにゃん,その他の英語史研究者が出題者となり,その場に居合わせている(予定の)数十名の学生とともにワイワイ楽しく英語史する,というイベントです.もちろん答え合わせと解説も付いています.ぜひ音声配信を通じて,皆さんとイベントの雰囲気を共有できればと思います.
過去の「イベント×生放送」の雰囲気を知っていただくために,「千本ノック」やその他の回がお薦めです.「#5050. 2022年度の khelf 活動の振り返り」 ([2023-02-23-1]) の末尾のリンクよりお聴きいただければと思います.
なお今回の生放送の模様は翌朝アーカイヴとしても配信する予定ですので,ライヴ時間には都合がつかない,聴きそびれたという方もご安心ください.
それでは皆さん,3月も実りある英語史ライフを!
この「hellog~英語史ブログ」の読者の皆さんに,私の最近の英語史活動「hel活」についてお知らせします.本ブログの他にも,様々なメディアで「英語史をお茶の間に」をモットーに英語史の魅力を広める活動をしています.実際には私1人ではなく,特に khelf(= Keio History of the English Language Forum = 慶應英語史フォーラム)のメンバーに協力してもらいながら,英語史に関する情報を発信しています.目下の様々なhel活の取り組みについて,ご案内します.
[ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 ]
本ブログの姉妹版となる「声の英語史ブログ」です.2021年6月2日より毎朝6時に欠かさず更新しています.ここ2ヶ月ほどは,リスナーさんから寄せられるコメントも盛り上がってきています.本ブログと連動した話題や企画も多いので,ぜひお聴きいただければと思います.今朝の放送回は,リスナーさんからいただいた質問に答える形で「#637. なぜ「アメリカ語」ではないの?」をお届けしています.
[ note 記事 ]
本ブログと平行して,こちらの note でも英語史関連の記事をたまに書いています.昨日公開した記事「heldio の1週間の振り返り(関連過去回リンク付き) 2023年2月26日」では,先週1週間の heldio 放送回について,関連する過去回へのリンクを張りつつ振り返りをしています.リスナーさんからのご協力の賜物です.
[ インスタグラム ]
heldio の最新回と過去回をお知らせするインスタグラム @chariderryu を始めています.主に「ストーリー」にて,放送回へのリンクを張っています.よろしければフォローいただければと.
[ YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」 ]
この YouTube チャンネルは昨日,1周年を迎えました.毎週(水)(日)の午後6時に新作動画を公開しています.昨日公開の最新動画は第105回の「あいまいさを言語学で解剖する」です.ぜひご覧ください.
[ 『英語史新聞』 ]
khelf 発行の『英語史新聞』が第4号までウェブ上で公開されています.khelf メンバーの学生が主体となり,昨年4月1日に創刊号を出しました.その後も3ヶ月に1号というペースで,英語史の魅力を伝えるべく企画,編集,発行されています.
[ 知識共有サービス Mond での回答 ]
こちらのサービスで,たまに英語(史)に関する質問に回答しています.最近回答した3つの質問を新しい順に挙げておきます.
・ さまざまな文字体系の中で,ラテン語のアルファベットが世界標準になった理由とはどういったところにあるのでしょうか?
・ 疑問詞 who が who-whose-whom のような格変化を起こすのに対し,他の疑問詞にそれが起こらないのは何故なのでしょうか.昔はあったりしたのでしょうか.
・ flammable と inflammable はなぜ同じ意味を持つようになったのでしょうか.また,他にもこのような語はありますか?
[ 本の執筆 ]
最新の編著書2冊を新しい順に挙げます..
・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.(こちらのページをご覧ください)
・ 高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著) 『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.(こちらのページをご覧ください)
このように本ブログ以外にも様々にhel活していますので,どうぞよろしくお願いいたします.
何名かの方から教えていただいたのですが,先週の2月15日の朝日新聞朝刊31面の教育欄に「(外国語の扉)留学経験なし,先輩の電話に聞き耳 上乃久子さん」のインタビュー記事が掲載されていました(聞き手,日高奈緒さん).ニューヨーク・タイムズ東京支局の記者の方の英語学習法が紹介されているのですが,そのなかで語源学習に利用できるリソースとして本ブログ「hellog~英語史ブログ」に言及していただいています.恐縮です,ありがとうございます! *
今は仕事が勉強そのものになってしまっていますが,隙間時間に慶応大の堀田隆一教授の『英語史ブログ』 (http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/index.html) で語源学についてよく読んでいます.単語の語源を学ぶと,ボキャブラリーを増やすのに役立つんです.
英語学習・教育においてボキャビルに語源が利用できることはよく知られており,そのような学習書も多く出版されていますが,これを習慣化している英語学習者はさほど多くはないように思われます.
まずは英語辞書の語源欄を眺めることから習慣づけていくことをお薦めします.その上で,ぜひ本ブログを日々読んでいただけるとよいと思います.語源の話題を毎日扱っているわけではありませんが,折に触れて語源に言及していますし,関連リンクなどを通じて語源の話題が身近なものになってきさえすればOKです.入り口となる記事として,以下を挙げておきます.
・ 「#3546. 英語史や語源から英単語を学びたいなら,これが基本知識」 ([2019-01-11-1])
・ 「#3696. ボキャビルのための「最も役に立つ25の語のパーツ」」 ([2019-06-10-1])
・ 「#3698. 語源学習法のすゝめ」 ([2019-06-12-1])
・ 「#4360. 英単語の語源を調べたい/学びたいときには」 ([2021-04-04-1])
・ 「#3381. 講座「歴史から学ぶ英単語の語源」」 ([2018-07-30-1])
・ 「#600. 英語語源辞書の書誌」 ([2010-12-18-1])
本ブログの姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」も,その名の通りですので,お薦めです.語源を学ぶと,未知の単語の学習が容易になるだけでなく,既知の単語の知られざる側面も明らかになり,俄然コトバがおもしろく見えてきます.学習にはおもしろさというモチベーションがぜひとも必要ですね.まずは heldio の音声コンテンツ一覧をご覧になり,おもしろそうなものを自由に聴いてみてください.きっとハマりますヨ!
ブログも Voicy も毎日更新していますので,語源を意識したボキャビルの習慣化に役立つと思います.
その他,「語源学」そのものにさらなる興味を抱いた方は,上級編として以下の記事をどうぞ.
・ 「#466. 語源学は技芸か科学か」 ([2010-08-06-1])
・ 「#1791. 語源学は技芸が科学か (2)」 ([2014-03-23-1])
・ 「#727. 語源学の自律性」 ([2011-04-24-1])
・ 「#598. 英語語源学の略史 (1)」 ([2010-12-16-1])
・ 「#599. 英語語源学の略史 (2)」 ([2010-12-17-1])
・ 「#636. 語源学の開拓者としての OED」 ([2011-01-23-1])
・ 「#1765. 日本で充実している英語語源学と Klein の英語語源辞典」 ([2014-02-25-1])
2022年度も徐々に終わりが近づいてきています.このタイミングで今年度の khelf(= Keio History of the English Language Forum = 慶應英語史フォーラム)活動の振り返りをしたいと思います.昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,khelf 会長のまさにゃん,および khelf HP 担当の青木君と3人でざっと話していますので,そちらもお聴きください.「#632. 今年度の khelf (慶應英語史フォーラム)の活動報告 with まさにゃん&青木くん」です.
今年度の主要な活動実績を時系列で列挙してみます.
・ 2022年4月1日,khelf の公式ツイッターアカウント @khelf_keio の開設・公開
・ 2022年4月1日,『英語史新聞』第1号(創刊号)の公開
・ 2022年4月1日--6月8日,「英語史コンテンツ50」の公開(日曜日を除く毎日,khelf メンバーが作成した英語史に関する「コンテンツ」を掲載)
・ 2022年4月10日,『英語史新聞』号外第1号の公開
・ 2022年7月11日,『英語史新聞』第2号の公開
・ 2022年7月18日,『英語史新聞』号外第2号の公開
・ 2022年9月20日,「khelf ミッションステートメント」の採択
・ 2022年9月20日--21日,khelf-conference-2022(khelf の「ゼミ合宿」)の開催
・ 2022年10月3日,『英語史新聞』第3号
・ 2023年1月11日,『英語史新聞』第4号の公開
その他,khelf 主催の heldio イベントとして,以下も注目です.
・ 2022年9月22日,heldio にて生配信 「#479. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&堀田隆一) --- Part 14」(cf. 司会まさにゃんの note 記事「「英語に関する素朴な疑問 千本ノック(生放送)」 第一回目 まとめ」にて,今回取り上げられた素朴な疑問一覧と頭出し分秒が掲載されています)
・ 2022年10月28日,heldio にて生配信 「#515. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&堀田隆一) 第2弾」
・ 2022年12月2日,heldio にて生配信 「#550. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」(cf. 「#4967. 「英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」は「補充法」の回となりました」 ([2022-12-02-1]) に,今回取り上げられた素朴な疑問一覧と頭出し分秒が掲載されています)
・ 2023年1月21日,heldio にてアーカイヴ配信 「#600. 『ジーニアス英和辞典』の版比較 --- 英語とジェンダーの現代史」
活動が活発になるにつれ,khelf ホームページも内容が充実してきました.とりわけ新設された「英語史ラウンジ」コーナーは注目です.今後も khelf を通じた「hel活」にご期待ください!
おおよそ2週間後に迫ってきましたが,2023年3月4日(土)15:30--18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて全4回のシリーズ「英語の歴史と世界英語」の第4回(最終回)講座「21世紀の英語のゆくえ」が開講されます.昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で,講座の予告編となる話しをしていますので,ぜひお聴きください.「#630. 世界英語の ENL, ESL, EFL モデルはもう古い? --- 3月4日,朝カル新宿教室で「英語の歴史と世界英語」のシリーズが完結します」です.
3月4日の講義は,教室での対面およびオンラインによるハイブリッドの講義となります.受講される方は,リアルタイム受講のほか1週間限定で講義動画を視聴できますので,ご都合のよい方法での参加をご検討ください.
シリーズのまとめの回という位置づけではありますが,実際には各回は独立しています.これまでの回を受講していない方にも,問題なく受講していただけますのでご安心ください.講座の詳細とお申し込みはこちらの公式ページよりお願い致します.
講座の概要は,公式ページからの引用となりますが以下の通りです.
「21世紀の英語のゆくえ」
世界中のコミュニケーションがますます求められる21世紀,英語の世界語としての役割に期待が寄せられる一方,世界各地で異なる種類の英語が生まれ続けています.求心力と遠心力がともに作用する英語を巡るこの複雑な状況について,英語史の観点から解釈を加えます.また,世界英語を記述するいくつかのモデルを紹介しながら World Englishes とはいかなる現象なのかを考察し,今後の英語のゆくえを占います.
シリーズの第1回から第3回までの講座と関連する話題は,hellog や heldio でも取り上げてきました.次回第4回に向けて復習・予習ともなりますので,以下のバックナンバーを参考までにどうぞ.なお,新年度からは,同じ朝日カルチャーセンター新宿教室にて英語史に関する新シリーズを開始する予定です.
[ 第1回 世界英語入門 (2022年6月11日)]
・ hellog 「#4775. 講座「英語の歴史と世界英語 --- 世界英語入門」のシリーズが始まります」 ([2022-05-24-1])
・ heldio 「#356. 世界英語入門 --- 朝カル新宿教室で「英語の歴史と世界英語」のシリーズが始まります」
・ heldio 「#378. 朝カルで「世界英語入門」を開講しました!」
[ 第2回 いかにして英語は拡大したのか (2022年8月6日)]
・ hellog 「#4813. 朝カル講座の第2回「英語の歴史と世界英語 --- いかにして英語は拡大したのか」のご案内」 ([2022-07-01-1])
・ heldio 「#393. 朝カル講座の第2回「英語の歴史と世界英語 --- いかにして英語は拡大したのか」」
[ 第3回 英米の英語方言 (2022年10月1日)]
・ hellog 「#4875. 朝カル講座の第3回「英語の歴史と世界英語 --- 英米の英語方言」のご案内」 ([2022-09-01-1])
・ heldio 「#454. 朝カル講座の第3回「英語の歴史と世界英語 --- 英米の英語方言」」
昨日『中高生の基礎英語 in English』の3月号が発売となりました.今回で丸2年続いた連載「歴史で謎解き 英語のソボクな疑問」も第24回で,最終回となります.取り上げる話題は,最終回にふさわしく「アルファベット最後の文字 Z のミステリー」です.よろしければ手に取っていただければと思います.
冒頭の節「Z はもっとも出番の少ない文字」では,Z が英語のアルファベット26文字中最も頻度の低い文字であることが述べられます.続く「Z を含む英単語を挙げてみると」では,Z を含む英単語が列挙されていきますが,パッとしないものばかりです.S と Z の守備範囲についても触れられます.次の「日陰者の人生」では,いよいよ Z の悲哀の歴史が明らかにされます.最終節「発音は「ズィー」か「ゼッド」か」の節では,この文字をどう呼ぶかに関する混乱と競合の歴史が描かれ,英語の英米差に話が及びます.
24回続いた連載は今回の Z の話題で幕を閉じます.読者より寄せられた疑問にお答えする回もあり,毎月,執筆者としても楽しみながら筆を執ることができました.編集者さんの丁寧なお仕事に助けられ,そしてイラストレーターさんの確立した探偵スタイルにも元気づけられ,24回を完走できました.関係の皆様に感謝致します.2年間のご愛読,ありがとうございました.
振り返りの意味も込め,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で昨年10月22日で公開した放送回「#509. 毎月,中高生のために英語史連載を書いています」もお聴きいただければとと思います.
連載「歴史で謎解き 英語のソボクな疑問」はこれにて終了となりますが,英語の歴史の謎解き自体は,この hellog でも,その他の媒体でも,続けていきます.引き続きよろしくお願いいたします.
一昨日公開された YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回では,英語史の観点から日本語を表記するためのローマ字について,とりわけヘボン式ローマ字について語っています.「最近よく見かける shi,chi,ji などのローマ字表記は,実は英語的ではない!」です.17分弱の動画となっております.どうぞご視聴ください.
今回依拠したローマ字使用に関するデータは,昨年9月30日に文化庁より公開された,2021年度の「国語に関する世論調査」の結果です.詳細は「令和3年度「国語に関する世論調査」の結果について」 (PDF) よりご確認いただけます.
日本語を表記するためのローマ字の使用については,これまでも様々な議論があり,本ブログでも romaji の記事群で多く取り上げてきました.今回の YouTube 動画ととりわけ関連の深い記事へのリンクを張っておきますので,合わせてご参照ください.
・ 「#3427. 訓令式・日本式・ヘボン式のローマ字つづり対照表」 ([2018-09-14-1])
・ 「#1892. 「ローマ字のつづり方」」 ([2014-07-02-1])
・ 「#1879. 日本語におけるローマ字の歴史」 ([2014-06-19-1])
・ 「#2550. 宣教師シドッチの墓が発見された?」 ([2016-04-20-1])
・ 「#4905. 「愛知」は Aichi か Aiti か?」 ([2022-10-01-1])
・ 「#4925. ローマ字表記の揺れと英語スペリング慣れ」 ([2022-10-21-1])
・ 「#1893. ヘボン式ローマ字の <sh>, <ch>, <j> はどのくらい英語風か」 ([2014-07-03-1])
・ 「#3251. <chi> は「チ」か「シ」か「キ」か「ヒ」か?」 ([2018-03-22-1])
日本語社会がいかにしてローマ字というアルファベット文字体系を受容し,改変し,手なずけようとしてきたかを振り返ることは,これから英語を始めとする世界中の言語や文字とどう付き合っていくかを考える上でも大事なことだと考えます.今回の動画を通じて,日本語を表記するためのローマ字使用について改めて考えてみてはいかがでしょうか.
昨日2月4日の産経新聞の朝刊に,連載「テクノロジーと人類」の最新回となる記事「文字の発明」が掲載されました.先日,産経新聞の科学部編集委員会の記者(長内洋介さん)より文字の歴史について取材を受けまして,今回それが記事となりました.他の専門家の方にも取材した上で,文字の特性を浮き彫りにした記事を書かれています.ウェブでは後日公開ということです.機会を見つけてお読みいただければと. *
先日,私の研究室で取材を受けまして2時間近く,楽しくお話ししました.連載「テクノロジーと人類」を20回にわたり続けてきた記者さんをして「やはり文字が人類の最大の発明」と言わせしめたことは功績でした.私もそう考えていますので (^^;; 取材ではたいへんお世話になりました!
先日「#5022. hellog より文字(論)に関する記事を厳選」 ([2023-01-26-1]) と題してリンクを整理しましたが,今回の取材との関連でまとめたものです.改めて産経新聞の「文字の発明」記事とともに,そちらもご覧いただければと存じます.
ウェブ時代の21世紀も,文字は間違いなく人類の最強ツールであり続けます!
昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,新著『文献学と英語史研究』(開拓社)の共著者である家入葉子先生(京都大学)との対談の第2弾をお届けしました.「#611. 家入葉子先生との対談の第2弾:新著『文献学と英語史研究』より英語史コーパスについて語ります」と題して,英語史コーパスの世代変化についての20分ほどの対談です.凝縮した英語史コーパス論となっております.ぜひお聴きください.
対談の後半では,現在の英語史研究ではコーパス利用が当たり前になってきているという点に話が及びました.コーパス言語学 (corpus linguistics) は発展的解消の段階にある,とみることができそうです.その一方で,コーパスが当たり前の道具になってきているからこそ,コーパスの落とし穴に気づきにくくなってきているようにも思えます.どんな道具もそうですが,道具は上手に使うことが大事です.
今回の対談を通じて英語(史)のコーパスに関心を持った方は,hellog より「#3676. 英語コーパスの使い方」 ([2019-05-21-1]) を始めとして corpus の各記事をお読みいただければと思います.
khelf(慶應英語史フォーラム)発行の『英語史新聞』の最新号(第4号)の1面コラム「英語コーパスをもっと気軽に」も英語コーパス超入門として一読ください.
新著『文献学と英語史研究』(開拓社)もどうぞよろしくお願いいたします!
日曜日に公開された YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回は,(タイトルが長くてすみません)「かつて英語には「夏」と「冬」しかなかった.「春」や「秋」はどうやってうまれた?」です.20分ほどの動画となっています.どうぞご覧ください.
今回の英語の季節語の話題は,本ブログを含め別のメディアで何度も繰り返し取り上げてきたもので,特に新しいトピックではありません.補足的な情報や関連する話題も含めて,様々な角度から注目してきましたので,ここでリンクを整理しておきたいと思います.
・ hellog 「#1221. 季節語の歴史」 ([2012-08-30-1])
・ hellog 「#1438. Sumer is icumen in」 ([2013-04-04-1])
・ hellog 「#2916. 連載第4回「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall --- 複線的思考のすすめ」」 ([2017-04-21-1])
・ 外部記事:「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall --- 複線的思考のすすめ」(=連載「現代英語を英語史の視点から考える」の第4回)
・ hellog 「#2925. autumn vs fall, zed vs zee」 ([2017-04-30-1])
・ hellog 「#3448. autumn vs fall --- Johnson と Pickering より」 ([2018-10-05-1])
・ Voicy heldio 「#69. winter は「冬」だけでなく「年」を表わす」
・ Voicy heldio 「#532. 『ジーニアス英和辞典』第6版の出版記念に「英語史Q&A」コラムより spring の話しをします」
・ Voicy heldio 「#533. 季節語の歴史」
もう1つ関連してフランス語における季節語の歴史事情について,三省堂のことばのコラムのシリーズの「歴史で謎解き!フランス語文法(フランス語教育 歴史文法派)」より「第39回 フランス語の季節名の語源はなに?」がお薦めです.
昨日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で,1月12日に一般発売となった新著『文献学と英語史研究』(開拓社)について,共著者である京都大学の家入葉子先生と対談しました.本書の趣旨,章立て,英語史研究の動向と展望などについて17分ほどお話ししています.「#609. 家入葉子先生との対談:新著『文献学と英語史研究』(開拓社)を紹介します」,あるいは以下より直接お聴きください.
共著者2人で著書を紹介するという収録・配信は初めてでしたが,宣伝のために企画したはずなのに,話している私自身が勉強になってしまったというのが率直な感想です.
家入先生は日本の英語史研究の第一人者ですが,ウェブ上でも活発に英語史を中心とした情報を発信されています.
・ メインのHP 「コトバと文化のフォーラム - Castlecliffe」 より,とりわけ「【KOTOBA-カタリナ】ブログ」は専門的な情報も満載です.必読.
・ もう1つのHP 「Yoko Iyeiri(家入葉子)のホームページ」より,とりわけ「研究・授業関連の投稿ページ」にはご著書の一覧が掲載されています.関連記事も英語史を学ぶ者にとってたいへん有用です.
・ 家入先生による英語史導入 YouTube 動画もあります.「京大先生シアター「英語史 ことばが変化し続けることの意味」」よりどうぞ.
・ 家入先生が代表世話役をお務めの英語史研究会も紹介しておきます.
明日の Voicy では家入先生との対談の第2弾をお届けする予定です.英語史コーパスの今昔物語という話題です,お楽しみに! 新著もよろしくお願いいたします.
2週間前の1月12日より,家入葉子先生(京都大学)と堀田隆一(慶應義塾大学)による共著『文献学と英語史研究』が開拓社より発売となっています(A5版,264ページ,税込3,960円).すでに hellog, Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」, YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」 などでも紹介しています.著者による本書の案内・解説へのリンクをまとめたこちらのページをご訪問ください.
本書では,第3章「音韻論・綴字」の第5,6節で,類書のなかでは比較的珍しいのですが英語綴字史研究の動向と展望が記述されています.まとめの部分を少し引用します (96--97) .
綴字の研究については,上述の通り,文献学の証拠に直接関わる分野として本質的に重要でありながらも,相対的に軽視されてきた経緯がある.しかし,中英語の方言研究と綴字研究を合流させたことによる「LALME 革命」は,そのような潮流を反転させる契機を作り出した.発音の証拠としての綴字も重要だが,綴字それ自身が自立した媒体として追究に値するという認識が拡がってきている.今後の綴字の変化は,音韻論はもちろんのこと文字論,社会言語学,世界英語などの観点を取り込みながら,豊かな分野に発展していく可能性を秘めている.とりわけ近年の英語史では各英語変種への関心が強まってきており,音韻論・綴字の研究も多元化する変種に焦点を合わせたものが増えてくるだろう.同時に,それらと対照的な位置にある標準変種や標準化という従来の問題も相対化されていくのではないかと予想される.
これは綴字史研究を要約した部分の引用にすぎず,英語綴字史の具体的な問題は同章のなかで多く取り上げられています.綴字の問題に関心のある方は,ぜひ第3章をお読みいただければと思います.同章の著者である私自身の綴字への関心を反映し,類書に比べて綴字問題への言及は多いと思います.
・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.
本日『中高生の基礎英語 in English』の2月号が発売となります.連載「歴史で謎解き 英語のソボクな疑問」の第23回は「なぜ現在分詞と動名詞は同じ -ing で表されるの?」です.
英語の -ing 語尾は多義ですね.現在分詞 (present participle) は,be と組み合わさって進行形 (progressive) を形成したり,形容詞として名詞を修飾・叙述したり,分詞構文を作ることもできます.動名詞 (gerund) としては,動詞を名詞に転換させる生産的な方法を提供しています.つまり,-ing は動詞を形容詞にしたり,副詞にしたり,名詞にしたりと八面六臂の活躍を示しているのです.
しかし,現在分詞の -ing と動名詞の -ing は起源がまったく異なります.古くは形態も異なっていたのですが,歴史の過程で -ing という同じ形に合わさってしまっただけです.今回の連載記事では,この辺りの事情を易しく丁寧に解説しています.また,進行形は近代英語期に確立した比較的新しい文法事項なのですが,なぜどのように成立したのか,その歴史的過程もたどっています.いつものように謎解き風の記事となっています.ぜひご一読ください.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の関連する放送回として「#375. 接尾辞 -ing には3種類あるって知っていましたか?」を紹介しておきます.連載記事と合わせて -ing への理解が深まると思います.
昨日,khelf(慶應英語史フォーラム)により『英語史新聞』最新号となる第4号がウェブ上で公開されました.こちらよりPDFで閲覧・ダウンロードできます.
khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio を通じてこちらのツイートからも第4号公開を案内していますので,ぜひそちらのリツイートなどを通じて広めていただければ幸いです.「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと嬉しいです.
第4号編集委員会では,年末年始にも熱の入った作業が続けられてきましたが,結果として内容・レイアウトともに満足できる仕上がりとなったと思います.いつものように英語史に関する多様な記事が掲載されています.以下,記事のラインナップを紹介します.
・ 赤い黄金
・ 英語コーパスをもっと気軽に
・ 食べ物・飲み物をめぐる綴り字論争?
・ なぜクッパが複数形なのか
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第1回 菊地翔太先生(前編)」
・ 時間とは何か
とりわけ新企画「英語史ラウンジ by khelf」の第1回として,khelf 主催の Voicy heldio 生放送「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」にも参加いただいた菊地翔太先生(専修大学)のインタビュー記事が目玉となっています.菊地先生がどのように英語に関心を持ち始め,さらに英語史の世界へ足を踏み入れたのか,詳しく伺いました.新聞記事として収まり切らないところもありましたので「完全版」記事を khelf HP のこちらのページに掲載していますので,そちらをお読みください.
さて,『英語史新聞』をご愛読いただきまして,このたび第4号まで発行することができました.ここまで続けて来られましたのも読者の皆様のおかげです.今回の号も含めまして『英語史新聞』のすべての号は,教育目的での利用・配布について自由にお取り扱いいただくことができます.むしろ,英語史の魅力を広げるべく活動している発行主体の khelf としましては,電子媒体・紙媒体を問わず,皆様に広く利用・配布していただけますと幸いです.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にお使いの場合には,ぜひこちらのフォームを通じてご一報くださいますと khelf の活動実績の把握につながるほか,『英語史新聞』編集委員の励みともなります.ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,こちらに明記いたします.フォームへの入力を通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日;2023年1月9日現在1621プレビュー)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日;345プレビュー)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日;767プレビュー)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日;224プレビュー)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日;690プレビュー)
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow