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heldio - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2025-04-24 09:28

2025-03-13 Thu

#5799. 3月15日(土)の朝カルのシリーズ講座第12回「勘違いから生まれた英単語」のご案内 [asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link][lexicology][vocabulary][analogy][metanalysis][folk_etymology][voicy][heldio]


asacul_20240427.png



 ・ 日時:3月15日(土) 17:30--19:00
 ・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
 ・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(1週間の見逃し配信あり)
 ・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより

 今年度月に一度のペースで,『英語語源辞典』(研究社)を参照しつつ英語語彙史をたどる朝カルシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を続けてきました.明後日3月15日(土)に開講される第12回は,シリーズ最終回となります.前回までに英語語彙史はおおよそ描ききったので,最終回は遊び心満載の「勘違いから生まれた英単語」で締めたいと思います.
 他の言語も同様ですが,英語には本来なかった語,あり得なかった語が,勘違いを含む何らかの「事故」により,存在し始めるということがあります.単に語源不詳というわけではなく,広い意味でのエラーにより生じてしまった語,といえばよいでしょうか.既存の語からの類推 (analogy) によって生まれた語,解釈語源あるいは民間語源 (folk_etymology) に基づく語,幽霊語 (ghost_word) など「事故」のタイプは様々ですが,このように不規則な出自をもつ単語たちも,英語語彙に独特な貢献をなしてきたのです.今回の講座では,いつものように『英語語源辞典』やその他の辞書を参照しつつ,変わり者の単語たちと戯れたいと思います.
 過去11回分については,各々概要をマインドマップにまとめていますので,以下の記事をご覧ください.

 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
 ・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
 ・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])
 ・ 「#5669. 朝カルシリーズ講座の第7回「英語,フランス語に侵される」をマインドマップ化してみました」 ([2024-11-03-1])
 ・ 「#5704. 朝カルシリーズ講座の第8回「英語,オランダ語と交流する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-08-1])
 ・ 「#5723. 朝カルシリーズ講座の第9回「英語,ラテン・ギリシア語に憧れる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-27-1])
 ・ 「#5760. 朝カルシリーズ講座の第10回「英語,世界の諸言語と接触する」をマインドマップ化してみました」 ([2025-02-02-1])
 ・ 「#5774. 朝カルシリーズ講座の第11回「英語史からみる現代の新語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-02-16-1])

 本講座の詳細とお申し込みはこちらよりどうぞ.『英語語源辞典』(研究社)をお持ちの方は,ぜひ傍らに置きつつ受講いただければと存じます(関連資料を配付しますので辞典がなくとも受講には問題ありません).


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



 今度のシリーズ最終回については,heldio でも「#1381. 3月15日(土)の朝カル講座「勘違いから生まれた英単語」に向けて」でもご案内しています.ぜひお聴きください.



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

Referrer (Inside): [2025-03-23-1]

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2025-03-12 Wed

#5798. 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の Video Podcast 版を開始しました [voicy][heldio][video_podcast][spotify][radio_broadcast][academic_conference][helkatsu][heltalk][link][ewlr]



 Voicy でお届けしている「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の Video Podcast 版を開始しました.音声配信プラットフォーム Spotify より,同名の Podcast チャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」として視聴できます.
 冒頭の動画は,今朝公開した heldio 最新回「#1382. 英語史研究会のご案内 --- 4月12日(土)に京都大学にて開催」です(20分11秒).基本的にはラジオ収録風景を撮影しただけですので(暗めの部屋ですみません),内容は耳でお聴きいただければ十分なのですが,Video Podcast が流行ってきているということで試してみた次第です.この Video Podcast 版 heldio は,必ずしも毎日更新していけるかどうかは分かりませんが,「英語史をお茶の間に」広げるべく,適宜活用していきたいと思います.ぜひフォローのほど,よろしくお願いいたします.なお,耳だけで十分という方は,これまで通りに Voicy にてこちらよりお聴きいただければ.
 Spotify では,姉妹 Podcast チャンネルとして「英語史つぶやきチャンネル (heltalk)」も毎日配信しています.heltalk では,heldio の過去回の再放送,「hel活単語リレー」 (ewlr),その他のカジュアルな英語史小ネタを配信しており,heldio よりも更新頻度が高いです.いつでも英語史に触れていたいという方は,こちらもフォローしていただければ.以下は,昨日公開した「hel活単語リレー: rickshaw, Shaw, alphabet」です(9分29秒).


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2025-03-11 Tue

#5797. 言語年代学は後世の言語学に何を残したか? --- いのほた最新回 [glottochronology][history_of_linguistics][statistics][inohota][youtube][voicy][heldio][helwa][linguistics][link]



 YouTube 「いのほた言語学チャンネル」の最新回が公開されています.お題は「#317. 言語年代学は後世の言語学に何を残したか?」です.
 本ブログでも言語年代学 (glottochronology) について様々な記事を書いてきました.いくつかピックアップしてみます.

 ・ 「#1128. glottochronology」 ([2012-05-29-1])
 ・ 「#1729. glottochronology 再訪」 ([2014-01-20-1])
 ・ 「#2659. glottochronology と lexicostatistics」 ([2016-08-07-1])
 ・ 「#2660. glottochronology と基本語彙」 ([2016-08-08-1])
 ・ 「#4685. Campbell による glottochronology 批判」 ([2022-02-23-1])

 音声配信 heldio/helwa でも,以下の回で言語年代学についてお話ししています.

 ・ helwa 「【英語史の輪 #91】否定された「言語年代学」」 (2024/02/08)
 ・ heldio 「#1339. 言語年代学 --- 言語学史の一幕」 (2025/01/28)
 ・ heldio 「#1340. 言語年代学への批判から学べること」 (2025/01/29)

 この言語学の分野は,今では言語学史の一コマとして見られることが多いですが,アイディア自体は斬新だったと私は考えています.批判の多い学説でしたが,その鋭い批判のなかから数々のインスピレーションが飛び出し,言語学の一角に若い種が蒔かれたのでした.印欧語比較言語学が新たな刺激を獲得し,語彙統計学 (lexicostatistics) が発展し,基本語彙とは何かという問いが生じ,意味素に関する議論も見直されました.批判される学説にも中長期的にはポジティヴな意義があることを教えてくれる好例です.
 歴史的な学説の掘り起こし,ポジティヴな再解釈,現代的応用は,有益な試みですね.

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2025-03-08 Sat

#5794. 英文法用語としての準動詞 [verb][verbid][participle][gerund][infinitive][terminology][sobokunagimon][jespersen][voicy][heldio][pos]



 昨日と今朝の heldio にて,「#1377. 思い出の英文法用語 --- リスナーの皆さんからお寄せいただきました(前半)」「#1378. 思い出の英文法用語 --- リスナーの皆さんからお寄せいただきました(後半)」を配信しました.これは,2月24日にリスナー参加型企画として公開した「#1366. あなたの思い出の英文法用語を教えてください」のフォローアップ回でした.heldio リスナーの皆さんには,多くのコメントを寄せていただきましてありがとうございました.
 英文法用語といってもピンからキリまであります.基本的な用語から言語学の術語というべきものまで多々あります.レベルを気にせずに,とにかく思い出の/気になる/推しの/嫌いな用語を挙げてくださいという趣旨で,コメントを募りました.その結果を読み上げたのが,上掲の2つの配信回です.
 そのなかで準動詞という用語が何度か言及されていました.英語では verbalverbid と呼ばれますが,これはいったい何のことでしょうか.『新英語学辞典』の verbal を引いてみると,(1) として「準動詞」の解説があります.

(1) (準動詞)  不定詞 (infinitive),分詞 (participle),動名詞 (gerund) の総称.verbid ともいう.また非定形 (non-finite form),不定形 (infinite form),非定形動詞 (non-finite verb) ともいう.なお,準動詞が名詞的に用いられたものを名詞的準動詞 (noun verbal) または動詞的名詞 (verbal noun) といい,形容詞的用法のものを形容詞的準動詞 (adjective verbal) または動詞的形容詞 (verbal adjective) ということがある.I'm thinking of going./I wish to go. 〔名詞的準動詞〕//melting snow 〔形容詞的準動詞〕.


 言い換え表現や,さらに細かい区分の用語もあり,ややこしいですね.次に,OED の verbid (NOUN) を引いてみましょう.

Grammar. Somewhat rare.

A word, such as an infinitive, gerund, or participle, which has some characteristics of a verb but cannot form the head of a predicate on its own. Also: (with reference to certain West African languages) a bound verb with in a serial verb construction.

   1914 We shall..restrict the name of verb to those forms that have the eminently verbal power of forming sentences, and..apply the name of verbid to participles and infinitives. (O. Jespersen, Modern English Grammar vol. II. 7)
   . . . .


 OED での初例から,これが Jespersen の造語であることを初めて知りました.「#5782. 品詞とは何か? --- 厳密に形態を基準にして分類するとどうなるか」 ([2025-02-24-1]) で紹介した Jespersen の品詞論との関連からも,興味深い事実です.

 ・ 大塚 高信,中島 文雄(監修) 『新英語学辞典』 研究社,1982年.

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2025-03-07 Fri

#5793. 「ゆる言語学ラジオ」で pronounce/pronunciation の綴字問題が取り上げられました [youtube][yurugengogakuradio][voicy][heldio][sobokunagimon][spelling][spelling_pronunciation_gap][sound_change][u][vowel][diphthong]



 たびたびお世話になっている人気 YouTube チャンネル「ゆる言語学ラジオ」の最近の回で,「説明動画で満足しちゃダメ? なぜ原典を読むべきなのか?【おたより回】#394」が配信されました.
 視聴者からの質問を受けて水野さんと堀元さんがトークを繰り広げる回でしたが,その14:39辺りから,悪児戯罹(おにぎり)さんによる質問が披露されました.pronouncepronunciation のペアで,なぜ第2音節部分の綴字が <ou> と <u> で異なるのか,という素朴な疑問でした.
 悪児戯罹さんは,本ブログの「#2046. <pronunciation> vs <pronounciation>」 ([2014-12-03-1]) を見つけて読まれたようなのですが,難しくて分からなかったということで,水野さんが記事の内容をかみ砕いて説明するという構成となっていました.水野さんから,この回についてご連絡をいただきまして,私がいちばん驚きました(笑).
 問題の記事の内容については,水野さんがしっかりかみ砕いて説明してくださいまいした.関連して「#2043. 英語綴字の表「形態素」性」 ([2014-11-30-1]) にも言及していただきました.結果としては pronounce/pronunciation の綴字問題は例外的な現象なのだという趣旨の解説です.
 ここまでは私もリラックスしながら視聴していることができました.ところが,20:36辺りからの2人のやりとりを聞き,戦慄が走りました.

 - 堀元さん:なぜその例外が生まれたんですか?
 - 水野さん:ていうのの回答はここには書かれていない.
 - 堀元さん:気持ち悪いなあ,教えて欲しいな・・・

 まさにこの点が分からないからこそ記事では無言だったわけです.「ゆる言語学ラジオ」は痛いところを突いてきます.
 こうして10年ぶりに,この問題に再び頭を悩ますことになりました.丸一日いろいろと考えをめぐらせた後,必ずしも自信があったわけではないのですが,1つの仮説を立ててみました.それを Voicy heldio で配信したのが「#1370. 「ゆる言語学ラジオ」で取り上げられた pronounce vs. pronunciation の綴字問題」です.26分ほどの配信回ですが,お時間のある方はぜひお聞きください.少なくとも言語変化の複雑さだけは分かるのではないかと思います.



 この heldio の配信後,水野さんから,聴きましたとのコメントをいただきました.どうしても難しめの話しとなってしまい,悪児戯罹さんには届かないかもしれなのですが,これをまた水野さんにかみ砕いて解説していただければと(笑).

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2025-03-03 Mon

#5789. ウェブ月刊誌 Helvillian の3月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][word_play][radio_broadcast][link]


Helvillian_202503.png



 本ブログをお読みの英語史ファンの皆さん,お待たせしました.昨日2月28日(金)に『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の最新号となる2025年3月号(第5号)がウェブ公開されました.今号も英語史の魅力が詰まった充実の内容となっています.
 この月刊ウェブマガジンは,helwa のリスナーからなる有志ヘルメイトによる制作で,毎月28日に,直近1ヶ月のヘルメイトによる様々な英語史活動「hel活」(helkatsu) を,note 上でリンクを張りつつ紹介していこうという,hel活応援企画です.ぜひウェブマガジンの基地となっているこちらの note アカウントをフォローしていただければと思います.あわせて本ブログの helvillian の記事群もお読みいただければ.
 今号の「表紙のことば」を飾るのは,コアリスナー Lilimi さんによる記事と写真です.センス溢れる表紙デザインは,私も毎号楽しみにしています.
 今号の目玉は何といっても「音声配信」特集です.この1ヶ月で多くのヘルメイトが stand.fm(スタエフ)を通じて音声によるhel活を始めています.それぞれ個性的なチャンネルとなっており,英語史の魅力を伝えています.heldio のパーソナリティを務めている私としては,hel活の音声配信仲間が増えていることを心強く感じています.特に盛り上がっているシリーズが「hel活単語リレー」 (ewlr) です.この英語史遊びについては,本ブログの記事「#5781. 「hel活単語リレー」が順調に続いています」 ([2025-02-23-1]) もご覧ください.
 ほかにも新しいタイプのhel活が登場しています.こじこじ先生による YouTube 動画「AIが作ったオリジナル架空アニメ『不規則動詞戦争 - LEGACY NEVER FADES』OP」です.不規則動詞という英語学習者の悩みの種を題材にした架空アニメのオープニングという設定です.いやはや,このようなhel活が誕生してしまうとは!
 音声・動画配信が注目を集める一方で,従来の note 記事などのテキストコンテンツも堅調です.英語語源辞典通読ノート,教室日誌,コメント大賞,英語史クイズなど,定番の連載も継続しています.
 編集委員による雑感的記事も見どころです.「helwa のあゆみ/活動報告」「Helvillian 編集後記」は編集委員による雑感・雑談的記事ですが,私も毎回楽しみにしているコーナーです.コミュニティの動向や裏話なども含まれています.
 月刊 Helvillian 第5号を通じて,様々な形で展開されるhel活の世界をお楽しみください.最新3月号の紹介は,heldio でも「#1371. Helvillian 3月号が公開!」で配信しているので,そちらもお聴きいただければ.


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2025-02-28 Fri

#5786. なぜ she の所有格と目的格は her で同じ形になるのですか? --- いのほた YouTube 版 [youtube][inohota][voicy][heldio][personal_pronoun][sobokunagimon][link][notice]



 2月23日(日)に配信された YouTube 「いのほた言語学チャンネル」の回が,思いのほか多く視聴されています(本記事執筆時点で5,400回超え).「#313. 三人称代名詞の狭くて奥深い世界 --- get'em は get them の th が落ちたのではない!」です.英語の3人称代名詞の形態をめぐる,17分弱のトークとなっています.ぜひご覧ください.
 今回の動画における3人称代名詞への注目点は複数ありますが,第1に「なぜ she の所有格と目的格は her で同じ形になるのですか?」という英語に関する素朴な疑問が取り上げられました.これについては,hellog その他でも取り上げてきましたので,そちらもご参照ください.

 ・ 「#4080. なぜ she の所有格と目的格は her で同じ形になるのですか?」 ([2020-06-28-1])
 ・ 「#4121. なぜ she の所有格と目的格は her で同じ形になるのですか? --- hellog ラジオ版」 ([2020-08-08-1])

 次に,古英語の3人称代名詞のすべての形態が h で始まっていた点についても触れました.ところが,後の歴史でいくつかの形態において h が脱落したり別の子音に置き換えられたりしたのでした.参考までに,関連する hellog 記事を挙げておきます.

 ・ 「#467. 人称代名詞 it の語頭に /h/ があったか否か」 ([2010-08-07-1])
 ・ 「#4004. 古英語の3人称代名詞の語頭の h」 ([2020-04-13-1])

 3人称女性単数代名詞の方言形についても,動画で触れました.これについては以下の記事をどうぞ.

 ・ 「#793. she --- 現代イングランド方言における異形の分布」 ([2011-06-29-1])

 最後に,動画タイトルにある get'em については,以下の記事をお読みください.

 ・ 「#2331. 後期中英語における3人称複数代名詞の段階的な th- 化」 ([2015-09-14-1])
 ・ 「#2337. 16世紀,hem, 'em 不在の謎 (1)」 ([2015-09-20-1])
 ・ 「#974. 3人称代名詞の主格形に作用した異化」 ([2011-12-27-1])
 ・ 「#975. 3人称代名詞の斜格形ではあまり作用しなかった異化」 ([2011-12-28-1])

 英語史は英語に関する素朴な疑問に答えるのが得意です.しかし,英語史の枠内にとどまっていては解決できない問いも多くあります.英語史からさらに遡ってゲルマン語史や印欧語史にも目配りする必要が,しばしば生じます.この「拡大版英語史」が何よりも魅力的ですね.
 今回の動画が人気回となったので,便乗して Voicy heldio でも一昨日「#1368. 3人称代名詞に関するもう1つのナゾ --- いのほた最新回がよく視聴されています」を配信しました.こちらも合わせてお聴きいただければ.


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2025-02-20 Thu

#5778. connectionconnexion か? [x][webster][latin][french][spelling][orthography][ame_bre][voicy][heldio]

 5日ほど前に Voicy heldio にて,リスナー lacolaco さん「英語語源辞典通読ノート」の最新回に基づいて「#1357. 接頭辞 con- の単語はまだ続く --- lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」最新回より」と題する音声配信をお届けした.



 そこで話題の1つとして,「コネクション」に対応する英単語の綴字が connectionconnexion の間で揺れを示す件が触れられた.前者の綴字が一般的だがイギリス式では後者の綴字も見られるという.deflection, inflection, reflection についても同様に,メジャーな <-ction> に対してマイナーな <-xion> も辞書に登録されている.一方,complexion については,むしろこちらの綴字のほうが一般的で complection は稀である.
 上記の heldio の配信後,この問題に関心を抱かれたリスナーのり~みんさんが,「-ction v.s. -xion」と題して Google Ngram での調査と合わせて記事を書かれている.
 私もこの問題が気になって,少し調べてみた.というのも,私自身の研究テーマが英語の屈折 (inflection) の歴史にあり,先行研究の文献内で inflexion の綴字をよく目にしてきたからだ.
 Upward and Davidson (167--68) によれば,英語では本来的には <-xion> も普通に見られたが,アメリカの辞書編纂家かつ綴字改革者の Noah Webster (1758--1843) が <-ction> のほうを推奨したのだという.19世紀から現代にかけての <-ction> の一般化に,Webster の影響があったらしい.

          -XION and -CTION

Complexion, crucifixion, fluxion are standard ModE forms, and connexion, deflexion, inflexion exist as alternatives to connection, etc.

Complexion derives from the past participle plexum from the Lat verb plectere; although ME and EModE used such alternatives as complection, complection, ModE is firm on the x-spelling.
Crucifixion derives from the participle fixum of figere 'to fix'; the form crucifixion has been consistently used in the Christian tradition, and *crucifiction is not attested.
Fluxion is similarly determined by the Lat participle fluxum; the verb fluere offers no -CT- alternative.
・ Uncertainty has arisen in the case of connexion, deflexion, inflexion because, despite the Lat participles nexum, flexum with x, the corresponding infinitives, nectere, flectere have given rise to the Eng verbs connect, deflect, inflect.
  ・ In his American Dictionary of the English Language (1828), the American lexicographer Noah Webster . . . recommended the -CT- forms, which (despite ModFr connexion, deflexion, inflexion are today found much more frequently.


 単純化していえば <-xion> はラテン語の過去分詞に基づき,かつそれを採用したフランス語的な綴字であり,<-ction> はラテン語の不定詞に基づき,それを推奨したアメリカ英語的な綴字ということになる.crucifixion が <-xion> としか綴られないのは,十字架の表象たる <X> と関係があるのだろうか,謎である.
 今回の問題と関連して「#2280. <x> の話」 ([2015-07-25-1]) も参照.

 ・ Upward, Christopher and George Davidson. The History of English Spelling. Malden, MA: Wiley-Blackwell, 2011.

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2025-02-11 Tue

#5769. 堀田隆一による英語史関連の音声配信プラットフォームの現在地まとめ [radio_broadcast][voicy][heldio][helwa][helkatsu][hel_education][heltalk][helsta][youtube]



 本ブログの姉妹版・音声版として Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を毎朝6時に配信しています.2021年6月2日に配信を始めてから,hellog 同様に毎日欠かさずに英語史の話題をお届けしてきました.
 音声配信の heldio は,私の英語史活動こと「hel活」 (helkatsu) の最も重要なベースの1つとして軌道に乗ってきており,「英語史をお茶の間に」という趣旨に賛同して協力してくださるコアリスナーの方々にも恵まれ,(毎日配信なので苦しくも)楽しいhel活ライフを送っています.
 heldio は Voicy という音声配信プラットフォームにて展開していますが,2024年7月21日より別の音声配信プラットフォーム stand.fm(スタエフ)の「英語史つぶやきチャンネル (heltalk)」というチャンネルにて,heldio の約3年遅れの再放送をお届けしています.さらに,この stand.fm を基点に,様々な音声・動画プラットフォーム (Podcast) で同コンテンツをマルチ配信しています.コンテンツの内容は同一ですが,ご自身のお好きなプラットフォームで heldio の英語史の話題をアーカイヴで聴くことができるようになっていますので,いずれもご利用ください.以下に掲載します.
 ただし,現在毎朝お届けしている最新コンテンツは,Voicy heldio からのアクセスのみに限定されていますので,そちらからお聴きください.同様に,Voicy heldio のプレミアムリスナー限定配信「英語史の輪 (helwa)」やその他のも,Voicy プラットフォームからのみのアクセスとなりますのであしからず.



【 現在進行中の毎日の音声配信のソース heldio/helwa 】

 ・ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」(毎朝6時配信)
 ・ Voicy プレミアムリスナー限定配信「英語史の輪 (helwa)」(毎週火木土の午後6時配信;月額800円)

【 上記 heldio の約3年遅れの再放送(毎日配信) 】

 ・ stand.fm 「英語史つぶやきチャンネル (heltalk)」
 ・ YouTube Podcast
 ・ Spotify
 ・ Amazon Music
 ・ Apple Podcast

【 上記の再放送の文字起こしサービス付き音声プラットフォーム 】

 ・ Listen



 お好きなプラットフォームで「毎日」英語史の世界を堪能していただければ.

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2025-02-09 Sun

#5767. 『CNN English Express』2025年2月号の「特集 英語の新語30」 [voicy][heldio][asacul][neologism][lexicology][word_formation][kikuchi_shota]


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 菊地翔太先生(専修大学)が1月21日付で公開された最新の note 記事「英語の新語30 ---『CNN English Express 2025年2月号』特集の紹介」に触発されて,同号を入手しました.ちょうど現代英語の新語に関する朝カル講座のための資料を探していたところだったこともあり,特集をありがたく楽しく読むことができました.菊地先生,ありがとうございます! 同誌2月号はこちらより入手できます.
 特集で取り上げられた新語30語は雑誌編集部による選定ということで,選定基準は詳しく書かれていませんが,昨年中に多用され,今年も引き続き頻繁に使用されていくだろう単語がピックアップされているものと想定されます.以下の5つの分野で仕分けされています.

 【環境・科学・健康】 heat dome, zero-dose, autumn sneezing syndrome, popcorn brain, anthrobot, decel
 【経済・ビジネス】 greedflation, neobank, digital twin, employee experience, bag holder, wanderpreneur
 【社会・家庭】 situationship, porch piracy, Barbiecore, anti-airport dad, range anxiety, bed rotting
 【ネット関係・デジタル関連】 prompt, For You page, ELI5, doomscrolling, chronically online, enshittification
 【スラング・若者言葉】 girl dinner, cap, bussin', brat, cash grab, the ick

 各表現の解説と例文は,雑誌の特集に直接当たっていただければと思いますが,読者の皆さんは,どれくらいご存じでしたか? 私は多くを知らず,不勉強を思い知らされました.これを機に現代の新語に関心を寄せていきたいと思います.なお,この貴重な情報は,昨日予定通り開講された朝カル講座で活用することができました.
 同雑誌との関連では,ちょうど6年前に「#3542. 『CNN English Express』2月号に拙論の英語史特集が掲載されました」 ([2019-01-07-1]) と題して記事を書いています.ぜひそちらもお訪ねください.

 ・ 「特集 英語の新語30」『CNN English Express』2025年2月号,朝日出版社,2025年.33--43頁.

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2025-02-08 Sat

#5766. 「好きな英語の接尾辞を教えてください!」 --- 一昨日の heldio 配信回 [suffix][voicy][heldio][helwa][helkatsu][word_formation][morphology][lexicology][affixation]



 一昨日の Voicy heldio は「#1348. 好きな英語の接尾辞を教えてください!」と題して,リスナーの皆さんに「推し接尾辞」をコメント欄で寄せてもらう,参加型hel活の回をお届けしました.この2日間で30件ほどのコメントが寄せられ,各リスナーのお気に入りの,あるいは気になる接尾辞が明らかになりつつあります.
 そもそも英語の接尾辞 (suffix) って,何があったっけ? という反応が返ってきそうです.その決定版となる一覧はありませんが,本ブログでは以下の記事で接尾辞等を列挙してきたことがありますので,参考にしていただければ.

 ・ 「#5677. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の接辞リスト(129種)」 ([2024-11-11-1])
 ・ 「#1478. 接頭辞と接尾辞」 ([2013-05-14-1])
 ・ 「#5718. ギリシア語由来の主な接尾辞,接頭辞,連結形」 ([2024-12-22-1])

 緩めに定義すれば,接尾辞とは既存の単語の最後に付される何らかの意味・機能をもったパーツとなります(逆に単語の最初に付されるものは接頭辞 (prefix) です).しかし,ものによっては接尾辞なのか,そうでないのかを,形態論や音韻論の観点から厳密に仕分けることが難しいケースもあると思います(この辺りの突っ込んだ話題については,一昨日のプレミアム配信「【英語史の輪 #247】今朝の「推し接尾辞」お題(生配信)」で触れました).
 今回はややこしい点は横に置いておき,あたなの好きな接尾辞を1つでも2つでも挙げてもらえれば.コメント欄は常にオープンしていますので,さらに多くの回答が集まってくることを期待しています.
 振り返ってみれば,以前にも似たような heldio 企画を楽しんだことがありました.そのときは「推し前置詞」を募ったのですが,以下の通り,おおいに盛り上がりました.

 ・ 「#5516. あなたの「推し前置詞」は何ですか?」 ([2024-06-03-1])
 ・ 「#5517. 大学生に尋ねました --- あなたの「推し前置詞」は何ですか?」 ([2024-06-04-1])
 ・ 「#5578. 「推し前置詞」で盛り上がった helwa 配信回のスレッドを公開」 ([2024-08-04-1])

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2025-02-06 Thu

#5764. 2月8日(土)の朝カルのシリーズ講座第11回「英語史からみる現代の新語」のご案内 [asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link][lexicology][vocabulary][contact][borrowing][word_formation][compounding][derivation][shortening][loan_word][voicy][heldio]


asacul_20240427.png



 ・ 日時:2月8日(土) 17:30--19:00
 ・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
 ・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(1週間の見逃し配信あり)
 ・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより

 今年度の朝カルシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が,月に一度のペースで順調に進んでいます.主に『英語語源辞典』(研究社)を参照しながら,英語語彙史をたどっていくシリーズです.
 明後日2月8日(土)の夕刻に開講される第11回は,「英語史からみる現代の新語」と題して,いよいよ現代英語,すなわち20--21世紀の英語の語彙に焦点を当てます.
 現代英語は,新語の洪水とも言える語彙の爆発的増加の時代を迎えています.デジタル技術の発展や社会の急速な変化に伴い,新たな単語や表現が次々と誕生していますが,その背後には歴史的に一貫した語形成の型が存在します.接頭辞や接尾辞の追加による「派生」,複数の単語を組み合わせる「複合」,既存の単語の「短縮」,フレーズの頭文字を取る「頭字語」などです.
 今回の講座では,英語史の各時代の傾向にも注意を払いながら,現代英語における新語導入の特徴を浮き彫りにしていきます.特に上述のような語形成の多様な方法に注目し,それらどのように現代社会の変化や文化的潮流を反映しているのかを探ります.これらの語形成のプロセスを理解することは,現代英語の語彙のダイナミズムを読み解く鍵となるはずです.いつものように『英語語源辞典』などを参照しながら進めていきます.
 本シリーズ講座の各回は独立していますので,過去回への参加・不参加にかかわらず,今回からご参加いただくこともできます.過去10回分については,各々概要をマインドマップにまとめていますので,以下の記事をご覧ください.

 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
 ・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
 ・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])
 ・ 「#5669. 朝カルシリーズ講座の第7回「英語,フランス語に侵される」をマインドマップ化してみました」 ([2024-11-03-1])
 ・ 「#5704. 朝カルシリーズ講座の第8回「英語,オランダ語と交流する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-08-1])
 ・ 「#5723. 朝カルシリーズ講座の第9回「英語,ラテン・ギリシア語に憧れる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-27-1])
 ・ 「#5760. 朝カルシリーズ講座の第10回「英語,世界の諸言語と接触する」をマインドマップ化してみました」 ([2025-02-02-1])

 本講座の詳細とお申し込みはこちらよりどうぞ.『英語語源辞典』(研究社)をお持ちの方は,ぜひ傍らに置きつつ受講いただければと存じます(関連資料を配付しますので,辞典がなくとも受講には問題ありません).


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



 第11回については,Voicy heldio でも「#1345. 2月8日(土)の朝カル講座「英語史からみる現代の新語」に向けて」としてご案内していますので,ぜひお聴きください.



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2025-02-03 Mon

#5761. ウェブ月刊誌 Helvillian の2月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian]


Helvillian_202502.png



 昨日1月28日(火)に『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の最新号となる第4号(2025年2月)が公開されました.
 heldio/helwa のコアリスナーからなる有志ヘルメイトによる制作で,毎月28日に,その月の仲間の皆さんによる様々な英語史活動「hel活」(helkatsu) を,note 上でリンクを張りつつ紹介していこうという,hel活応援企画です.ぜひこちらの note アカウントをフォローしていただければと思います.
 最新号では「2025年heldio/helwaで盛り上がるのは○○だ!」という特集が組まれており,今年の heldio/helwa の放送を占う対談企画を展開しています.また緊急特集として「They を狙うある英語史テロについて」も編まれ,菊地翔太先生(専修大学)の「they の5つの用法」,リスナーの ari さんと川上さんによる英語史クイズ,そして堀田によるジョーク緊急速報記事などが並びます.
 さらに,川上さんの「英語のなぜ5分版やってます通信」や「日曜英語史クイズ」,lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」,umisio さんの「コメント大賞」などの人気連載は,相変わらず豊かな内容です.新しい記事として,ykagata さんによる「いのほたチャンネル300回記念公開ライブに行ってきました」や,り〜みんさんによる 「KPT でふりかえるhel活2024」なども注目を集めています.ここですべてを紹介することはできませんが,質量ともにたいへんな充実振りですので,ぜひ一つひとつお読みください.
 今号の表紙を飾るのは長崎の新地中華街です.表紙のことばを Galois さんが担当し,長崎在住ならではの視点から解説を加えています.編集委員の Grace さんによる「helwaのあゆみ/活動報告」も新連載としてスタートし,今後の helwa の活動記録として重要な役割を果たしていくことになりそうです.今後が楽しみです.
 制作班の Galois さん,Grace さん,Lilimi さん,umisio さんには,年明け早々からお骨折りいただきました.改めて感謝いたします.過去号についても本ブログや「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でご案内していますので,そちらもぜひご参照ください.

 ・ heldio 「#1282. 月刊 Helvillian 第2号が公開されました --- ヘルメイトさんによる自主的なhel活」(2024年10月29日配信)
 ・ helwa 「【英語史の輪 #204】祝・Helvillian 創刊」(2024年10月29日配信)
 ・ heldio 「#1248. 月刊誌 Helvillian 創刊! --- helwa リスナー有志によるウェブマガジン」(2024年12月3日配信)
 ・ hellog 「#5700. ウェブ月刊誌 Helvillian の創刊号・第2号が公開されています」 ([2024-12-04-1])
 ・ hellog 「#5725. ウェブ月刊誌 Helvillian の1月号が公開されました」 ([2024-12-29-1])
 ・ helwa 「【英語史の輪 #243】Helvillian 2月号が発行!(2025年1月28日配信)
 ・ heldio 「#1341. Helvillian 2月号が公開!」(2025年1月30日配信;以下よりお聴きください↓)


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2025-02-01 Sat

#5759. 辻幸夫先生より教えていただいた日本語の書き言葉に関して考察された論文 [japanese][writing][kanji][hiragana][katakana][grammatology][youtube][inohota][heldio]

 昨年12月より,YouTube 「いのほた言語学チャンネル」にて辻幸夫先生(慶應義塾大学名誉教授)をゲストにお招きして,4回にわたる「言語学バル」を配信してきました.

 ・ 「#292. 実は、認知言語学やってると思ってない! --- 辻幸夫さん(元日本認知言語学会会長)」 (2024/12/11)
 ・ 「#294. 辻幸夫さん(慶應義塾大学名誉教授)の広く深い知識と関心が生み出したお仕事たち」 (2025/12/18)
 ・ 「#294. 言語を研究している人口は,言語学より自然言語処理や工学系の方がはるかに多い --- 辻幸夫さん第三回」 (2024/12/25)
 ・ 「#295. 言語学の隣接領域を突破口に --- ことばの認知科学を牽引 --- 辻幸夫さん(慶應義塾大学名誉教授)」 (2025/1/1)

 この収録の際に辻先生より,ご自身の書かれた「漢字仮名交じり表記法の認知科学」というご論考を紹介していただきました.日本語の漢字仮名交じり文の読み書きについて,認知科学の観点から考察された,たいへん示唆的な論文でした.冒頭に近い重要な記述を引用します (102--03) .

これまで日本語の書きことばにまつわる学問的な議論は国語学・日本語学・日本語教育学などの領域で重要な考察が多くなされてきている.同時に,漢字制限や漢字廃止論あるいは日本語の平仮名化というような言語政策的な議論もある.文字の標準化は政治経済や文化社会活動のかなめであるため,いろいろな議論があるのはうなずける.他方で,日本では戦前から漢字仮名の神経心理学的研究が積み重ねられてきており,当該領域では漢字仮名を使用する側から世界を先導してきた歴史がある.また20世紀半ばから活発になった認知科学の発展に伴い,漢字仮名使用について新しい視点から領域横断的な学際研究が行われるようになった.実際,文字の認知科学においては世界の研究者の興味を惹きつけている.そこでは漢字仮名交じりの合理性が明らかにされつつあり,日本語の文字研究は興味深い時代に入ったといえる.言語研究は人間が進化の中でつくりあげた認知機能研究の切り口として意義がある.漢字仮名が併存する現代日本語はその意味で非常に価値のあるサンプルだ.それぞれの言語には,その言語文化が積み重ねてきた文化・歴史の独自性とは切っても切れない価値があるが,それにとどまらず言語は人間という生物種の知的機能を解き明かす重要な端緒となる.本論ではこれまでの興味深い研究を瞥見し,文字および日本語の漢字仮名交じり表記法についての新たな視点や学際的観点からの意義について述べたい.


 この力強い書き出しから,論文の終わりまで一気に読み込んでしまいました.まさに我が意を得たり.関連して,ぜひ heldio より「#745. 日本人よ,文字論に目覚めよ」 (2023/06/15) もお聴きいただければ.

 ・ 辻 幸夫 「漢字仮名交じり表記法の認知科学」『ことばと文字』第14号,日本のローマ字社,2021年4月.102--13頁.

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2025-01-26 Sun

#5753. 直近半世紀間に英語に入った日本語 [oed][japanese][loan_word][notice][borrowing][lexicology][heldio][inohota][youtube][link]

 OED より1975年以降に英語に入った日本語由来の単語を取り出してみた.ただし,厳密に日本語由来の単語のみならず,何らかの形で日本語を経由していたり日本語と関係をもったしている単語ということで,緩めの設定で拾い出したものも含めるので,あしからず.  *
 合計73語が収集された.まず,10年刻みで単語を挙げてみよう.

【1970年代(25語)】 Betamax, gaman, money politics, reiki, sashiko, shishito, tsutsumu, katsu, katsu curry, mechatronics, shosha, kanban, karaoke, tamari, tonkotsu, butoh, Ginsu, hamachi, Midori, shuriken, uncanny valley, washi, mokume gane, nikkeijin, omakase
【1980年代(22語)】 omotenashi, shojo, Pac-Man, okadaic, shonen, skin lady, softnomics, ankimo, bukkake, kaiju eiga, Kumon, anime, kaizen, tokkin, mecha, zaitech, izakaya, Nintendo, omurice, karoshi, manhwa, functional food
【1990年代(17語)】 hentai, chindogu, otaku, cosplay, santoku, fan service, mangaka, compensated dating, enjo kosai, bokeh, emoji, Tamagotchi, cosplayer, hikikomori, keitai, visual kei, Tabata
【2000年代(5語)】 Sudoku, hallyu, tokusatsu, amigurumi, kintsugi
【2010年代(4語)】 washi tape, chimaek, mukbang, isekai

 年代ごとの傾向は必ずしも明確ではないが,技術や伝統文化から始まり,食文化,ポップカルチャー,サブカルチャー,ビジネス,ゲーム関連,インターネット関連へと流れていっているようにみえる.全体として広い領域をカバーしているが,とりわけ多いのは食文化関連で,10語ほどが関与している.
 品詞としては,予想される通り,ほぼすべてが名詞だが,gaman 「我慢する」は動詞として,okadaic 「オカダ(酸)の」は形容詞として入ってきている(この酸が最初に単離された海綿動物クロイソカイメンの学名 Halichondria okadai に由来するという).使用頻度については最高頻度帯の5をつけているのは emoji のみだが,頻度帯3と2を合わせて52語を数え,それなりに英語語彙に定着しているともいえる.
 日本語単語の英語への流入の現代におけるピークはいつかという問いについては,OED の採録に関する方針も関与してくるので一概には言えないが,今回の調査で得られた数値のみを判断材料とするならば,1970年代から1990年代にかけてといってよい.
 関連する話題については,ぜひ以下のコンテンツもご参照ください.

 ・ hellog 「#5467. OED の3月アップデートで日本語からの借用語が23語加わった!」 (2024/04/15)
 ・ inohota 「OED(Oxford English Dictionary)の今年3月のアップデートのテーマは日本語由来の英語!」 (2024/05/26)
 ・ heldio 「#60. 英語に入った日本語たち」 (2021/07/31)
 ・ heldio 「#1331. 土曜日の朝カルでは英語に入った日本語も取り上げます --- この50年で英語に入ったオモシロ借用語をいくつか紹介」 (2025/01/20)

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2025-01-21 Tue

#5748. egg の英語史 [old_norse][me_dialect][caxton][heltube][heldio][youtube][inohota][kdee][hel_herald][hel_education][oed][link]

 egg 「卵」について本ブログをはじめとする各種メディアで何度か取り上げてきた.概観を得るために,まず『英語語源辞典』の記述を確認しておこう(OEDegg, n.' も参照).


kdee_egg.png



 記述の通り,古英語では本来的な ǣġ が用いられていたが,後期中英語より古ノルド語 (old_norse) 由来の egg がイングランド北部・東中部に現われ,本来形を置き換えていったというプロセスを経ている.また,Caxton の Eneydos (1490) の序文における,旧形と新形の共存・競合に関する英語史上有名な逸話についても触れられている.
 egg をめぐるこの2つの話題について,これまで少なからぬコンテンツを作ってきたので,リンクをまとめておこう(ここ数ヶ月間,heltube こと「YouTube: heltube --- 英語史チャンネル」へのアクセスが増えてきているので,そちらを最初に挙げている).

 (1) 古ノルド語由来の egg

  ・ heltube 「#182. egg 「卵」は古ノルド語からの借用語!」 (2025/01/18)


  ・ heldio 「#182. egg 「卵」は古ノルド語からの借用語!」 (2021/11/29)
  ・ hellog 「#340. 古ノルド語が英語に与えた影響の Jespersen 評」 ([2010-04-02-1])
  ・ hellog 「#2625. 古ノルド語からの借用語の日常性」 ([2016-07-04-1])
  ・ hellog 「#3982. 古ノルド語借用語の音韻的特徴」 ([2020-03-22-1])
  ・ hellog 「#4820. 古ノルド語は英語史上もっとも重要な言語」 ([2022-07-08-1])
  ・ inohota 「え?それも外来語? 英語ネイティヴたちも(たぶん)知らない借用語たち」 (2022/07/08)

 (2) 新旧形をめぐる Caxton の逸話

  ・ heltube 「heldio #183. 卵を巡るキャクストンの有名な逸話」 (2025/01/19)


  ・ heldio 「#183. egges/eyren:卵を巡るキャクストンの有名な逸話」 (2021/11/30)
  ・ hellog 「#337. #337. egges or eyren」 ([2010-03-30-1])
  ・ hellog 「#4600. egges or eyren:なぜ奥さんは egges をフランス語と勘違いしたのでしょうか?」 ([2021-11-30-1])
  ・ hellog 「#4831. 『英語史新聞』2022年7月号外 --- クイズの解答です」 ([2022-07-19-1])

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2025-01-16 Thu

#5743. 1月25日(土)の朝カルのシリーズ講座第10回「英語,世界の諸言語と接触する」のご案内 [asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link][lexicology][vocabulary][contact][borrowing][loan_word][voicy][heldio][cosmopolitan_vocabulary]


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 ・ 日時:1月25日(土) 17:30--19:00
 ・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
 ・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(1週間の見逃し配信あり)
 ・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより

 今年度の朝カルシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が,月に一度のペースで順調に進んでいます.主に『英語語源辞典』(研究社)を参照しながら,英語語彙史をたどっていくシリーズです.
 1月25日(土)の夕刻に開講される第10回は,冬クール(3回分)の始まりとして「英語,世界の諸言語と接触する」と題して,近代英語期における世界中の諸言語からの借用語にフォーカスします.
 ヨーロッパの近代英語期は,大航海時代で幕が開きます.イギリスは,スペインやポルトガルなどの列強には遅れたものの,何とか世界展開の足かがりをつかみ,2世紀半ほどの時間をかけてイギリス帝国を作り上げます.七つの海を支配したイギリスは,この過程を通じて世界中の言語と接触することになり,世界的語彙 (cosmopolitan_vocabulary) という滋養が,英語という言語に大量に流れ込んでくることになりました.英語語彙は,語源を追いかけていくだけで世界一周できるほどの豊かさを得たのです.英語界最大の辞書である OED (= Oxford English Dictionary) の編纂企画が打ち上げられたのは,上記過程の機の熟したイギリス帝国の絶頂時代,19世紀後半のことでした.今回の講座では,英語語彙史上とりわけ激動の時代というべき,この近代英語期における言語接触に注目します
 本シリーズ講座の各回は独立していますので,過去回への参加・不参加にかかわらず,今回からご参加いただくこともできます.過去9回分については,各々概要をマインドマップにまとめていますので,以下の記事をご覧ください.

 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
 ・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
 ・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])
 ・ 「#5669. 朝カルシリーズ講座の第7回「英語,フランス語に侵される」をマインドマップ化してみました」 ([2024-11-03-1])
 ・ 「#5704. 朝カルシリーズ講座の第8回「英語,オランダ語と交流する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-08-1])
 ・ 「#5723. 朝カルシリーズ講座の第9回「英語,ラテン・ギリシア語に憧れる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-27-1])

 本講座の詳細とお申し込みはこちらよりどうぞ.『英語語源辞典』(研究社)をお持ちの方は,ぜひ傍らに置きつつ受講いただければと存じます(関連資料を配付しますので,辞典がなくとも受講には問題ありません).


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



 第10回については,Voicy heldio でも「#1325. 1月25日(土)の朝カル講座「英語,世界の諸言語と接触する」としてご案内していますので,ぜひお聴きください.



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2025-01-14 Tue

#5741. ウェブメディアでのhel活タイムライン [helkatsu][hellog][twitter][voicy][heldio][helwa][youtube][inohota][instagram][heltube][heltalk][note][link][timeline]

ウェブメディアでのhel活タイムライン 2009 2010 2011 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 hellog~英語史ブログ (2009/05/01~) X/@chariderryu (2010/01~) Voicy: 英語の語源が身につくラジオ (heldio) (2021/06/02~) YouTube: いのほた言語学チャンネル (2022/02/26~) Instagram/@chariderryu (2022/06/04~) YouTube: heltube --- 英語史チャンネル (2022/07/03~) note (2022/07/21~) Voicy: プレミアム限定配信 英語史の輪 (helwa) (2023/06/02~) stand.fm: 英語史つぶやきチャンネル (heltalk) (2023/10/05~)   *

 私が主なウェブメディア上で展開している英語史に関する主な情報発信プラットフォームを,タイムラインでまとめてみました.上記のインフォグラフィックのなかから,リンクで直接飛べます.以下にリストの形でも挙げておきます.

  1. 2009年5月1日~,hellog~英語史ブログ
  2. 2010年1月~,X/@chariderryu
  3. 2021年6月2日~,Voicy: 英語の語源が身につくラジオ (heldio)
  4. 2022年2月26日~,YouTube: いのほた言語学チャンネル
  5. 2022年6月4日~,Instagram/@chariderryu
  6. 2022年7月3日~,YouTube: heltube --- 英語史チャンネル
  7. 2022年7月21日~,note
  8. 2023年6月2日~,Voicy: プレミアム限定配信 英語史の輪 (helwa)
  9. 2023年10月5日~,stand.fm: 英語史つぶやきチャンネル (heltalk)


 本ブログは15年半以上前のスタートでしたが,それ以外はおおよそ2021年以降に立ち上げられています.2022年が建設ラッシュ(?)だったのかと感慨深く思いました.いずれの発信媒体についても,引き続きよろしくお願いいたします.

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2025-01-13 Mon

#5740. リスナー投票による heldio 2024年第4四半期のランキング [voicy][heldio][notice][ranking][link][helkatsu]

Slido_results_20250113


 「#5731. heldio 2024年第4四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 1月10日までオープン」 ([2025-01-04-1]) でご案内したとおり,昨年第4四半期における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.1月10日に投票が締め切られましたが,今回は25名のリスナーの皆さんよりご投票いただきました.ご協力ありがとうございました.
 投票結果をまとめましたので本記事にて報告いたします(本日の heldio でも「#1324. heldio 2024年第4四半期のリスナー投票開票結果」として報告しています).今回はなかなかの混戦でした.以下に上位17位までの計18配信回を掲載します(全結果は本記事のソースHTMLをご覧ください).



 1. 「#1289. 佐久平千本ノック (1) --- 小中学生の皆からの素朴な疑問」 (52%)
 2. 「#1298. 保坂先生とのアフタートークでコメント返し」 (44%)
 3. 「#1221. 中高生への英語史導入のコツ --- 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信のご紹介」 (40%)
 4. 「#1293. 助動詞 do の文法化 --- 保坂先生との対談」 (32%)
 5. 「#1245. 保坂道雄先生との「文法化入門」対談 --- 「英語史ライヴ2024」より」 (28%)
 5. 「#1280. 引用後の "..." said he という語順」 (28%)
 5. 「#1284. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック at 目白大学 --- Part 1」 (28%)
 5. 「#1292. 佐久平千本ノック (2) --- 小中学生の皆からの素朴な疑問」 (28%)
 5. 「#1294. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 高橋真理子先生とのヨーロッパと中東の英語をめぐる対談」 (28%)
 5. 「【生配信】ぜいぜいしながら heldio 緊急生配信」 (28%)
 11. 「#1231. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 山口美知代先生とのカリブ海の英語をめぐる対談」 (24%)
 11. 「#1250. 近代英語の魅力を語る 秋元先生・田辺先生・福元先生との対談 --- 「英語史ライヴ2024」より」 (24%)
 11. 「#1254. 今村洋美先生・和田忍先生との『World Englishes 入門』対談 --- 「英語史ライヴ2024」より」 (24%)
 11. 「#1270. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (60-1) Latin Influence of the Second Period --- 対談精読実況中継」 (24%)
 11. 「#1290. 冠詞の文法化 --- 保坂先生との対談」 (24%)
 11. 「#1308. 古英語・英語史の発信とその課題 --- 小河舜さんによるダイジェスト」 (24%)
 17. 「#1234. 激論「AI時代の語学を考える」 --- 「英語史ライヴ2024」より」 (20%)
 17. 「#1263. 英語史クイズの予習会 (2) --- 「英語史ライヴ2024」の裏番組より」 (20%)




 第1位(得票率52%)に輝いたのは,「#1289. 佐久平千本ノック (1) --- 小中学生の皆からの素朴な疑問」 (52%)でした! heldio/helwa リスナーのみーさんにホストいただき,「小中学生のために英語史」という新鮮なテーマを掲げた千本ノック企画となりました.多くのリスナーの皆様が,企画の趣旨を理解し,評価してくれたものと解釈しています.同企画の続編である「#1292. 佐久平千本ノック (2) --- 小中学生の皆からの素朴な疑問」も第5位(得票率28%)に入っていますし,堂々のグランプリといってよいでしょう.



 第2位(得票率44%)は「#1298. 保坂先生とのアフタートークでコメント返し」でした.昨年第4四半期は,保坂道雄先生(日本大学)との対談が相次ぎましたが,なんと4回の対談回がいずれも上位入賞です! 単独4位(得票率32%)の「#1293. 助動詞 do の文法化 --- 保坂先生との対談」,5位(28%)の「#1245. 保坂道雄先生との「文法化入門」対談 --- 「英語史ライヴ2024」より」,11位(24%)の「#1290. 冠詞の文法化 --- 保坂先生との対談」とランクインです.保坂先生による文法化についての分かりやすい解説が人気を集めました.
 第3位(得票率40%)は「#1221. 中高生への英語史導入のコツ --- 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信のご紹介」でした.「やってます通信」(および「日曜英語史クイズ」)ですでにお馴染みの高校英語教員川上さんとの対談回でした.川上さんの「やってます通信」への思いへ支持が集まった結果かと思います.川上さんの「英語教育×英語史」への挑戦,これからも期待しています!
 第5位タイ(得票率28%)は6件ありましたが,配信者としては嬉しいコンテンツが並んでいました.Baugh and Cable の英語史書精読会の流れで出された問いに関連する「#1280. 引用後の "..." said he という語順」,もう1つのエキサイティングな千本ノック企画より「#1284. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック at 目白大学 --- Part 1」,シリーズ対談の一環として「#1294. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 高橋真理子先生とのヨーロッパと中東の英語をめぐる対談」,年末のジョーク企画「【生配信】ぜいぜいしながら heldio 緊急生配信」に票が入りました.
 第11位タイ(得票率24%)も6件,第17位タイ(20%)は2件ありましたが,これらすべてが対談回でした.
 全体として今回のリスナー投票では,千本ノック企画,研究者との対談回,helwa メンバー活躍回,Baugh and Cable 精読関連回が人気だったことが分かります.heldio リスナー,helwa リスナー,出演者の方々皆の力でチャンネルが作り上げられていることを,改めて実感しました.日々支えていただきまして,ありがとうございます.今後も良質な英語史音声コンテンツをお届けしていきます.
 以上,投票結果の報告でした.なお,同報告は heldio でも「#1324. heldio 2024年第4四半期のリスナー投票開票結果」として配信しています.この結果を参考に,まだお聴きでない回がありましたら,ぜひご聴取いただければ.

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2025-01-12 Sun

#5739. 定期的に考え続けたい「語源とは何か?」 [etymology][heldio][helwa][heltalk][folk_etymology][link]

 一昨日の記事「#5737. 語源,etymology, veriloquium」 ([2025-01-10-1]) と関連して,2つの音声コンテンツを配信した.

 ・ heltalk (stand.fm) 「ラテン語で「語源」を意味する veriloquium もカッコいいですね」 (2025/01/10)



 ・ heldio (Voicy) 「#1322. word-lore 「語誌」っていいですよね」 (2025/01/11)



 「語源」周りの用語・概念は種類が豊富である.ここから,そもそも語源 (etymology) とは何か,という問いが生じてくるだろう.実際,この問いについてはこれまでも多方面から検討してきた.各メディアから関連する主立ったコンテンツへのリンクを示そう.



・ hellog 「#466. 語源学は技芸か科学か」 ([2010-08-06-1])
・ hellog 「#1791. 語源学は技芸が科学か (2)」 ([2014-03-23-1])
・ hellog 「#598. 英語語源学の略史 (1)」 ([2010-12-16-1])
・ hellog 「#599. 英語語源学の略史 (2)」 ([2010-12-17-1])
・ hellog 「#727. 語源学の自律性」 ([2011-04-24-1])
・ hellog 「#3847. etymon」 ([2019-11-08-1])
・ hellog 「#5123. 「単語の語源を言い当てる」とは何か? --- 本日開幕した「語源バトル」のルールをめぐって」 ([2023-05-07-1])
・ hellog 「#5630. 語源学とは何か? --- 『英語語源辞典』 (p. 1647) より」 ([2024-09-25-1])
・ hellog 「#5737. 語源,etymology, veriloquium」 ([2025-01-10-1])

・ heldio 「#706. 爆笑・語源バトル with まさにゃん&藤原くん」 (2023/05/07)

・ helwa 「【英語史の輪 #9】語源って何?」 (2023/06/30)




 この問いには,民間語源 (folk_etymology) をめぐる議論も深く関わってくるだろう.この重要な話題については hellog 「#5594. 民間語源(解釈語源)の復権のために」 ([2024-08-20-1]) およびそこからのリンク先コンテンツを参照されたい.
 定期的に考え続けたいお題である.

Referrer (Inside): [2025-01-19-1]

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