hellog〜英語史ブログ

#3474. 慶友会での講演を終えて[keiyukai][hel_education]

2018-10-31

 先週末の土日,2回にわたって大阪慶友会にて「歴史上の大事件と英語」と「英語のスペリングの不思議」と題する講演の機会をいただきました(各々 [2018-10-29-1], [2018-10-30-1] を参照).2日間にわたる趣旨として「新たな英語の見方を提案する」を掲げていました.この目的がどのくらい達成されたかは心許ないところですが,参加された方々から多くの反応をいただき,たいへん心強く感じました.参加された皆さんの学びに対する意欲と吸収しようとする意識の高さには,圧倒されました.
 講演後,講演に対して次のようなコメントをいただきました.

 ・ 苦手意識をもっていた英語に対して,ちょっと違った角度から向き合えるようになりそう.
 ・ 今までおぼろげに「なぜ英語は○○なのだろう?」と思っていた疑問が氷解した.
 ・ 今の英語も,いろいろな歴史的な事情があってこんな風になってきたんだなと分かった.
 ・ 英語に,フランス語やラテン語を仰ぎ見るような時代があったなんて!
 ・ 英語は苦手で嫌いだったけれども「英語史」はおもしろいなと思った.

 「こんなコメントを待っていました」というコメントをいただいたと思っていいます.日本では(否,世界中で)「スキルとしての英語」という捉え方が勢いを増すなかで「教養としての英語」「歴史的産物としての英語」という視点はマイノリティでしょう.しかし,背景を知ることで英語学習のモチベーションが高まったり,知的好奇心を刺激されることがあるのであれば,それは長い目で見て英語学習そのものに跳ね返ってくるはずです(そして,そもそも語学とは長い目でみないと習得できない代物です).英語史は,まさに「急がば回れ」を実践している分野だと信じています.
 英語史は,文法や綴字などについての「英語の素朴な疑問」に答えてくれるミクロな相談役であるばかりでなく,私たちが21世紀の今,いかに英語に向き合っていくべきかという疑問に指南を与えてくれるマクロな助言者として,堅実な事実と解釈を提供する責任を負っている分野と認識しています.そのような認識のもと,私も研究・教育活動を行なっています.
 大阪慶友会の皆さん,数々のナイス・リアクションにつき,改めて感謝申しあげます.

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