名詞 smoke には主要な語義として「煙」と「喫煙」の2つがある.The air was thick with cigarette smoke. では前者の語義が,Are you coming outside for a smoke? では後者の語義が用いられている.両語義は密接であり,その関係は換喩 (metonymy) によって容易に説明できる.したがって,これは単純に名詞 smoke の意味の拡大の例だと片付けてしまいがちである.
ところが,Bradley は,これは歴史的には2重の品詞転換 (conversion) の例であると断言している.なるほどと納得させられる議論だ.
Occasionally it happens that a noun in this way gives rise to a verb, which in its turn gives rise to another noun, all three words being exactly alike in sound and spelling. Thus, in the following examples: (1) 'The smoke of a pipe,' (2) 'To smoke a pipe,' (3) 'To have a smoke,' the noun of (1) is not, strictly speaking, the same word as the noun of (3). It is true that in cases like this our dictionaries usually treat the secondary noun as merely a special sense of the primary noun; and, indeed, very often, this treatment is unavoidable, because the difference of meaning between the two is so slight that in some contexts it disappears altogether. Still, it ought not to be forgotten that from the historical point of view the two nouns are really distinct: if English had retained its original grammatical system this would probably have been shown by a difference of termination, gender, or declension. (93--94)
英語史における品詞転換については[2009-11-03-1]ほか conversion の各記事で扱ってきたが,その起源は古英語後期に始まった屈折語尾や派生語尾の水平化現象に遡る.古英語には名詞語尾や動詞語尾などカテゴリーごとに異なる語尾を付与する形態論があったが,語尾の水平化によりカテゴリー間の形態的区別が失われると,同一形態がカテゴリーをまたいで自由に往来できる素地が整った.Bradley は,smoke の名詞としての両語義は,その往来により生まれたものだとしている.興味深いのは,引用の最後にあるように,古英語の形態論が健在であると仮定すれば,「煙」と「喫煙」は異なる形態論的特徴(形態そのもの,性,屈折タイプなど)をもつ異なる名詞として存在していただろうということである.
smoke についてはあくまで仮定の話しだが,実際に古英語の形態論的特徴を保ったまま現代に生きている例がある.例えば,bath は,(1) 'take a bath,' (2) 'bathe in the sea,' (3) 'take a bathe in the sea' のように発展してきており,(1) と (3) は smoke の場合と違い,異なる形態を示している.これは,古英語で <th> に相当する語幹末の音素が,音声環境に応じて無声音 [θ] か有声音 [ð] として現われる音素だったことに由来する差異で,[2011-03-30-1]の記事「-ths の発音」で触れたように breathe, clothe にも共通する.
このように bath と bathe による明らかな例を示されると,smoke の例を2重の品詞転換と考える議論が説得力をもつように思われる.
・ Bradley, Henry. The Making of English. New York: Dover, 2006. New York: Macmillan, 1904.
[2009-11-01-1], [2009-11-02-1], [2011-07-07-1]の記事で「名前動後」の起源を扱ってきた.昨日の記事[2011-07-07-1]では,「名前」の部分はゲルマン語に内在する語頭強勢の傾向で説明されるが,「動後」を支持する動機づけがいまだ不明であるとして文章を閉じた.
しかし,そこにはごく自然な動機づけがあるように思われる.名詞と動詞の発音上の区別化である.名前動後をなす diatones のペアは[2009-11-01-1]の記事で列挙したとおりに多数あるが,いずれも綴字上は区別がつけられないものの,発音上は明確に区別される.品詞転換 (conversion; see [2009-11-03-1]) を得意とする英語のことであるから,たとえ同形で発音上の区別がつかなくとも統語的に混乱をきたすことはないだろうが,それでも強勢の位置で品詞の区別がつけられるならば,それに越したことはないということではないだろうか.
[2011-02-11-1]の記事「屈折の衰退=語根の焦点化」で述べた通り,英語には屈折語尾の摩耗という drift によって発生した語根主義とでもいうべき特徴がある.語根主義が conversion という語形成の過程を促進してきたことは確かだが,それは品詞の区別を積極的になくすことを指向しているものではない.複雑な語形成過程を経ずに品詞を転換させるという利便性に光を当てるものであり,品詞の区別を曖昧にすることをとりわけ推進しているわけではないだろう.品詞の区別を保ったまま,かつ最小限の語形成過程で(例えば)名詞から動詞を派生できる妙法があれば,それに越したことはない.そして,この両方の要求に応える妙法として,名前動後という強勢の配分が編み出されたのではないか.名詞でも動詞でも語根は同一だが,強勢を移動させて区別を保つ --- これを妙法と呼ばずして何と呼ぼうか.conversion を促進するゲルマン的な drift に静かに逆らう小さな機能主義的 (functionalist) な潮流 --- 現代英語の名前動後の現象をこのように捉えることができるかもしれない.
近代英語以来の語形成の特徴として品詞転換 ( conversion ) が盛んであるということがある.品詞転換については[2009-11-03-1], [2009-11-01-1]の記事などで述べたが,これが形態的に可能となったのは,後期古英語から初期中英語にかけて起こった語尾の水平化とそれに続く消失ゆえである.古英語では,名詞や動詞は主に統語意味的な機能に応じて区別される特定の屈折語尾をとったが,屈折語尾の音声上の摩耗が進むにつれ,語類の区別がつけられなくなった.屈折語尾の衰退は,程度の差はあれ,第1音節にアクセントをおく特徴をもつゲルマン諸語に共通の現象である ( see [2009-10-26-1] (4) ) .
英語における品詞転換の発生は,上記のようにゲルマン諸語に共通する屈折語尾の衰退,いわゆる漂流 ( drift ) の延長線上にあるとして説明されることが多い.これは音韻形態的な説明といえるだろう.もう1つの説明としては,[2010-01-16-1]の記事で触れたように,語順規則の確立と関連づけるものがある.中英語以降,語順がおよそ定まったことにより,例えば動詞と名詞の区別は形態によらずとも語順によってつけることができるようになった.このことが品詞転換の発生に好意的に作用したとする説明がある.これは,統語的な説明といえる.
あまり指摘されたことはないように思われるが,もう1つ,意味的な説明があり得る.説明の出発点は,再びゲルマン諸語に共通する先述の drift である.ゲルマン諸語における drift の重要性は屈折の衰退にあると解釈されることが多いが,その裏返しとして同じくらい重要なのは,語彙的意味を担う語根に焦点が当てられることになったという点である.これによって,例えば love は,文中での統語的役割は何か,語類は何かであるかなどの可変の情報を標示する負担から解放され,「愛」という語彙的意味を標示することに集中することができるようになった.love という形態は「愛」という根源的主題を表わすのに特化した形態であり,それが文中で名詞として「愛」として用いられるのか,動詞として「愛する」として用いられているのかは,副次的な問題でしかない.いずれの品詞かは統語が決定してくれる.屈折の衰退という音韻形態的な過程には,語根の焦点化という意味論的な含蓄が付随していたということは注目に値するだろう.
Le développement grammatical du germanique est donc commandé par deux grands faits: l'intensité initiale a donné aux radicaux une importance nouvelle, la dégradation des finales a tendu à ruiner la flexion, et l'a en effet ruinée dans des langues comme l'anglais et le danois. (Meillet 100)
したがって,ゲルマン語の文法の発達は2つの重要な事実に支配されている.1つは語頭の強勢が語根に新たな重要性を与えたということであり,もう1つは語尾の衰退が屈折を崩壊させがちであり,実際に英語やデンマーク語などの言語では崩壊させてしまったということである.
・ Meillet, A. Caracteres generaux des langues germaniques. 2nd ed. Paris: Hachette, 1922.
英語の品詞転換 ( see [2009-11-03-1] ) には,様々な方向があり得る.動詞→名詞,形容詞→名詞,名詞→動詞,形容詞→動詞,名詞→形容詞の例が比較的多い.形容詞→動詞の例では,「?にする」あるいは「?になる」の意へと転換した calm, dirty, humble; dry, empty, narrow などが挙げられる.広い意味では,ラテン語動詞の過去分詞形 -atus に由来する -ate をもつ多くの借用語動詞も,形容詞→動詞の転換の例と考えることができるだろう ( ex. assassinate, fascinate, separate ) .
先日,授業で英文テキストを読解中に,学生が形容詞の比較級として用いられている lower を動詞として読み違えるという状況が生じた.そこで気づいたのだが,比較級の形態から動詞へ転換するという例は非常に珍しいのではないか.「低くする」という動詞へ転換させるのであれば,比較級ではなく原級のままの low ではいけないのだろうか.実のところ,OED によると動詞のとしての low は現在では廃用だが,1200年頃に現れ,18世紀まで使われていた.一方で,動詞としての lower は「下ろす」の意味で17世紀に初めて現れている.
形容詞の比較級から動詞に転換した他の例を探そうとしたら,better を思いついた.こちらは古英語から使われている.worse も古英語から動詞として使われていたが,19世紀に廃用となっている(動詞派生語尾がついているので転換ではないが,13世紀に初出の worsen も比較されよう).どうも補充法 ( suppletion ) による「不規則比較級」が怪しいぞと目をつけて OED をさらに引いてゆくと,less も現在は廃用だが13?17世紀まで動詞として用いられていたとわかったし,more も14?15世紀に使用例があった.
補充法による比較級は,対応する原級との形態的な結びつきが弱いので,いずれも別個の語として語彙のなかに登録されている,つまり語彙化されていると考えられる.例えば better は good からの派生という形態過程によって生じたものではなく,good と独立した語彙として登録されているからこそ,動詞への転換が起こりうるのではないか.逆にいえば,補充法によらない一般の形容詞の -er をもつ比較級形態は,原級形態と強く結びついているので,転換を起こしにくいということなのではないか.だが,この仮説を採ると lower がその例外となってしまう.
しかし,考えてみると形容詞 lower は単なる low の比較級ではないことに気づいた.lower は「より低い」という( than が後続できる)文字通りの意味の他に「(分類上)下位の」「劣った」という比喩的に発展した意味をもっている.後者の意味での初出は1590年で,その頃から lower は low とは別個の語として語彙化したと考えることができるのではないか.low と lower は形態こそ -er の有無により密接に結びついているが,意味の上では少し「距離が開いた」と考えられる.これは,転換による動詞 lower が17世紀に現れ始めたことと時間的にも符合するように思える.
[2010-01-15-1]の記事で掲載したが,昨日の記事[2010-05-25-1]の関連スライドで取りあげた to pluto 「降格させる」は American Dialect Society により2006年の英語流行語大賞に選ばれた有名な動詞である.
2006年8月の国際天文学連合 ( IAU ) の総会で惑星の定義をめぐり議論が白熱したことは記憶に新しい.その議決で冥王星 ( Pluto ) は惑星ではなく準惑星 ( dwarf planet ) として再定義されることになり,いわば「降格」することになった.冥王星は太陽系第9番目の惑星として世界に広く親しまれていただけに,IAU の議決は世界にショックを与えるとともに,冥王星を降格と結びつける社会的なジョークが生まれた.その一つが,動詞 to pluto である.ADS によれば,この動詞は次のように定義される.
To pluto is to demote or devalue someone or something, as happened to the former planet Pluto when the General Assembly of the International Astronomical Union decided Pluto no longer met its definition of a planet.
以下に,例文を三つほど.
・ Pluto got plutoed, but it still won WOTY [Word of the Year].
・ He was plutoed like an old pair of shoes.
・ A recent Andy Borowitz humor column . . . reports that the Bush presidency has been plutoed: An international group of scientists who demoted the planet Pluto to dwarf status three months ago met in Oslo, Norway today and reclassified the Bush White House as a dwarf Presidency. . . . with the President's approval rating in a free fall, it became clear even before the scientists convened that some sort of reclassification along the lines of the Pluto demotion was in order.
固有名詞 Pluto を小文字化し動詞化するという芸当ができるのも,英語に conversion という語形成の手段が与えられているからである.日本語では,元読売巨人軍投手にちなんだ「江川る」(強引に物事を進める)などが to pluto の転用に近いと思われれるが,英語は何しろ「る」も何もつけずにそのまま品詞転換してしまい,-ed まで付加されてしまうのだからものすごい.conversion については [2009-11-03-1] を参照.
to pluto の詳細は,2007年1月5日付の ADS オンライン記事とPDFのプレスリリースを参照されたい.
標題の文は文法的である.Steven Pinker のベストセラー The Language Instinct で有名になった文で,著書によると Pinker の学生 Annie Senghas が作り出したものだという (208).
詳しい文法解説は,Buffalo buffalo Buffalo buffalo buffalo buffalo Buffalo buffalo - Wikipedia にあるので省略するが,数語を補って (The) Buffalo buffalo (that) Baffalo buffalo (often) buffalo (in turn) buffalo (other) Buffalo buffalo. と考えれば理解できるだろう.以下の点がポイントである.
・buffalo 「バッファロー,アメリカ野牛」の複数形は,規則的な buffaloes に加えて,単複同形の buffalo もありうる
・Buffalo は「(ニューヨーク州の市)バッファロー」の意で,形容詞的に用いられている
・to buffalo は「脅す,威圧する,混乱させる」の意の動詞としても用いられている
・一カ所で関係代名詞が省略されている
現代英語でこのような芸当が可能なのは,(1) conversion 「品詞転換」が著しく自由であること,(2) 語順や関係詞省略などの統語的な規則が明確に存在すること,による.Pinker の著書では特に (2) の側面に光を当てた解説となっているが,(1) の conversion の果たしている役割も甚大である.このケースでは本来は名詞である buffalo / Buffalo が,形容詞(的用法)としても動詞としても使われうるという点が重要である.名詞と動詞のあいだの conversion については[2009-11-03-1]で軽く言及したが,名詞から形容詞(的用法)への conversion はよりいっそう自由度が高い.
名詞から形容詞(的用法)への conversion は,およそ名詞の限定的用法 ( attributive use ) と呼ばれるものに相当する.名詞の限定的用法とは Christmas tree, silk hat, Tokyo branch などの第一要素の名詞の果たす役割を指し,Bradley が指摘するとおり "a new part of speech, halfway between the substantive and the adjective" (45) とでもいうべきものである.Bradley はこの用法を "One highly important feature of English grammar which has been developed since Old English days" (45) と評価しており,Buffalo buffalo という表現がこの歴史の現代への反映だと知るとき,Buffalo 文の言葉遊びの味わいはひとしおである.
・Pinker, Steven. The Language Instinct: How the Mind Creates Language. New York: W. Morrow, 1994. New York : HarperPerennial, 1995.
・Bradley, Henry. The Making of English. New York: Dover, 2006. New York: Macmillan, 1904.
今日は[2009-11-01-1]で軽く触れた品詞転換 ( conversion ) についてもう少し詳しく説明する.
品詞転換は「接辞を付加せずに,ある項目を新しい語類に加えること,ないし転じること」と定義づけられる.別の呼び方としては,機能転換 ( functional conversion ),機能交替 ( functional shift ),ゼロ派生 ( zero derivation ) がある.品詞転換は主に近代英語期に大増殖し,以来,英語の語形成と意味拡張に大きな影響を及ぼしてきた.現代英語の主たる特徴の一つといってよい.
現代英語に慣れた母語話者や学習者は,I'm in love with you と I love you がほぼ言い換え可能であることを知っているが,love という同じ形態でありながら場合によって名詞にも動詞にもなるということは,驚くべきことである.日本語では名詞ならば「愛」と,動詞ならば「愛する」と,確かに同一の語幹を用いてはいるが,動詞には動詞語尾「する」が付加されており,すぐに品詞を判別できる.多くの言語では,このように動詞であれば特定の語尾がつくなど,何らかの機能標示があるものだが,英語にはそれがない.言語としては非常に希有の現象といってよい.
英語もかつては機能標示があった.love でみると,古英語では名詞は lufu, 動詞は lufian という別々の形態だった.語源はやはり同一で,語幹こそ共通しているが,-u 語尾は典型的な女性強変化名詞の単数主格を標示しているし,-ian 語尾は典型的な弱変化動詞の不定詞を標示している.もちろん,名詞も動詞もそれぞれ複雑な屈折形を取り得て,偶然に形態が一致することはあり得るが,原則として形態を見れば名詞が動詞かはたちどころに判別できた.(例えば,lufa は名詞としては複数主格形などとなりうるし,動詞としては二人称単数命令形ともなり得た.)
ところが,後期古英語から初期中英語にかけて起こった語尾の水平化とそれに続く消失により,名詞も動詞も love という形態に落ち着いてしまったのである.これにより,中英語以降,必然的に品詞転換が活性化した.この手段をとりわけ意図的に活用したのは,近代英語期の劇作家たちだった.以下に Shakespeare からの例を挙げてみる.イタリック体の語に注目.
・Season your admiration for a while. . .
・It out-herods Herod . . .
・Grace me no grace, nor uncle me no uncle. . .
・Julius Caesar, / Who at Phillipi the good Brutus ghosted. . .
・Destruction straight shall dog them at the heels. . .
・I am proverbed with a grandsire phrase. . .
英語のもつこの自由さには圧倒される.
・松浪 有,池上 嘉彦,今井 邦彦 編 『大修館英語学辞典』 大修館,1983年.
受験英語業界で「名前動後」と呼ばれる現象がある.現代英語では,綴りは同じだが品詞の異なる語が存在する.特に名詞と動詞のペアの場合,名詞ではアクセントが前の音節に,動詞ではアクセントが後ろの音節に落ちることがあり,こうしたペアを「名前動後」と呼んでいる.英語では「名前動後」に相当する便利な名称はなく,次のように説明的になってしまう.
diatonic homograph pairs that exhibit the alternating stress pattern between noun (paroxytonic) and verb (oxytonic)
例を挙げるとキリがない.
absent, accent, addict, annex, combat, combine, concert, contract, contrast, convert, discard, discount, discourse, dismount, export, finance, implant, import, intercept, interchange, misprint, object, overturn, permit, protest, reject, research, retract, transplant, transport, etc.
英語は,初期中英語期に起こった屈折語尾の消失により,容易に品詞転換 ( conversion ) の可能な言語となった.これは言語としては希有の現象であり,特に近代英語期以降,語を派生させるのにフル活用されてきた.名詞と動詞で綴りが同じであることはこれで分かるとしても,両者のあいだでアクセントの位置に区別がつけられたのはどうしてだろうか.
その淵源は古英語,いやそれ以前にある.
昨日の記事[2009-10-31-1]で見たように,古英語の単語では原則として第1音節にアクセントが落ちたが,接頭辞による派生語では,その接頭辞が強形として使われているか弱形として使われているかによって,アクセントの位置が変わった.接頭辞が強形として用いられている場合にはその接頭辞にアクセントが落ち,弱形として用いられている場合には語幹の第1音節にアクセントが落ちたのである.興味深いのは,派生名詞の接頭辞には強形が,派生動詞の接頭辞には弱形が,体系的に付加されている点である.以下,対応する派生名詞と派生動詞のペアを,アクセントの位置に注目して比べてみよう.
名詞 | 動詞 |
---|---|
ˈǣwielm "fountain" | aˈweallan "to well up" |
ˈæfþunca "source of offence" | ofˈþyncan "to displease" |
ˈætspyrning "offence" | otˈspurnan "to stumble" |
ˈandsaca "apostate" | onˈsacan "to deny" |
ˈbīgenga "inhabitant" | beˈgān "to occupy" |
ˈorþanc "mind" | aˈþencan "to devise" |
ˈwiþersaca "adversary" | wiþˈsacan "to refuse" |
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