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2018-09-17 Mon

#3430. 『物語 イギリスの歴史(上下巻)』の目次 [toc][history]

 目次シリーズとして,新書のイギリス史,君塚直隆(著)『物語 イギリスの歴史(上下巻)』の目次をお届けしよう.よくできた目次は,そのテーマについてざっと復習するのにとても役立つ.



  第1章 古代のブリテン島 ―― 先史時代?11世紀
    石器時代から青銅器時代へ
    「ブリタニア」の誕生 ―― ケルト文化の伝来
    カエサルのブリタニア遠征
    ローマン・ブリテンの始まり
    長城の建設から協約締結へ
    大帝の出現とローマからの離反
    アングロ・サクソンの渡来
    七王国の形成
    オファ王の登場
    デーン人の襲来とアルフレッド大王
    最初の「イングランド王」の誕生と「賢人会議」
    エドガー王の戴冠式
    デーン人の再襲来
    「征服王」カヌートの登場
    強すぎる家臣たちの存在
    証聖王の死と三つ巴の抗争
    ノルマンディ公ギョーム=ウィリアム1世の戴冠式
  第2章 ノルマン王朝のイングランド ―― 11?12世紀
    ウィリアム征服王の登場 ―― フランス語による支配
    祖法を守るウィリアム1世
    ノルマンディ防衛のための供給源
    「アングロ=ノルマン王国」の悲劇
    征服王の死と赤顔王の即位
    ロベールの十字軍参加と赤顔王の急死
    ヘンリ1世即位とアングロ=ノルマンの再統合
    イングランド統治構造の確立
    御曹司ウィリアムの悲劇
    「皇妃」マティルダの登場
    ブーローニュ伯の上陸 ―― スティーヴンの即位
    二〇年にわたる内乱へ
    皇妃と王妃の抗争 ―― 二人のマティルダ
    終息 ―― 皇妃マティルダから息子アンリへ
    内乱が残したもの ―― 女性統治への疑問
  第3章 アンジュー帝国の光と影 ―― 消えないフランスへの野心
    西ヨーロッパ最大の領主の誕生
    領土と王権の回復 ―― 臣従強要と遠征
    カンタベリー大司教ベケットとの対立,そして暗殺
    「諸侯よ,助言を与えたまえ」
    軍役代納金の本格的導入
    息子たちの叛乱
    ヘンリ2世の反撃と死
    獅子心王の即位と「帝国」の動揺
    五男ジョンの登場
    ノルマンディ諸侯の離反と「腰抜け王」
    ローマ教皇との対決 ―― ジョンの破門
    キリスト教支配下,ジョンの屈服
    「在地化」した諸侯対「悪しき取り巻きたち」
    マグナ・カルタ ―― イギリス国制の基本文書
    イギリスに憲法はないのか?
    ヘンリ3世と議会政治の始まり
    大陸への野心と諸侯との対立
    国王への覚書提出と大陸“放棄”
    シモン・ド・モンフォールの議会
  第4章 イングランド議会政治の確立 ―― 13?14世紀
    長脛王の登場と議会制の強化
    「税収」を求め続けた背景
    行政府の整備 ―― 宮廷と国家の二重構造
    「模範議会」をめぐる諸問題
    議会の「休会」と戦局の好転
    「ウェールズ大公」位の確保 ―― グウィネッズ君公国崩壊
    スコットランドとの死闘
    ガスコーニュ戦争と長脛王の死
    ギャヴィストン溺愛とスコットランド放棄
    エドワード2世の廃位
    エドワード3世による親政
    二院制の始まり ―― 貴族の登場
    五つの「爵位」の成立
    庶民院の拡充 ―― 騎士と市民
    庶民院への「請願」と仏語から英語へ
    「善良議会」 ―― 議会の地位確立
    イングランド独自の道?
  第5章 百年戦争からバラ戦争へ ―― フランスと王位をめぐって
    英仏百年戦争の始まり
    エドワード父子の栄光と死
    一〇歳の少年王の登場
    ワット・タイラーの乱と忠臣政治
    ダービー伯爵への仕打ち
    国王廃位からダービー伯爵即位へ
    ランカスター王家と議会の協調
    内乱の終息と皇太子ハリーの台頭
    ヘンリ5世によるフランス進攻
    連戦連勝,フランスの屈服
    ヘンリ6世=「アンリ2世」の即位
    百年戦争敗北からの神経性発作
    ヨーク公の台頭から「バラ戦争」へ
    エドワード4世の早世と混迷の時代
    グロウスター侯爵の即位
    ボズワースの戦い ―― ヨーク王朝滅亡
  第6章 テューダー王朝と近代の夜明け ―― 国家疲弊下の宗教対立
    ヘンリ7世 ―― 最も有能な実務家
    弱小国化していたイングランド
    ヘンリ7世の同盟戦略
    「ルネサンス王」ヘンリ8世の登場
    離婚問題からの宗教改革議会
    教皇からの破門 ―― イングランド国教会の成立
    「帝国」の拡張と王の死
    少年王のはかない治世
    「九日間」の女王
    「血まみれメアリ」の登場
    カトリックへの復帰宣言
    スペイン王への反発とメアリへの憎悪
    エリザベス1世の登場 ―― 妖精女王と国教会の復活
    処女女王の外交政策 ―― ちらつかせる結婚
    無敵艦隊撃破と女王の「手紙」
    優柔不断 ―― 現実のエリザベス
    エリザベス1世時代の議会
    「グロリアーナ」の死
  第7章 清教徒・名誉革命の時代 ―― 17世紀の変化
    哲人王の即位と祖法の遵守
    合邦の夢と宗教の「棲み分け」
    浪費と議会への不信
    三十年戦争と「平和王」の苦悩
    チャールズ1世の登場 ―― 「平和王」から「戦争王」へ
    議会不在の一一年 ―― 「絶対君主制」への信奉
    内戦 ―― 国王と議会の武力衝突
    首を斬られた国王 ―― 清教徒革命
    共和制の始まり ―― 庶民院と国務会議
    護国卿体制の光と影
    クロムウェルの死と二院制復活
    王政復古
    改宗していた王弟ジェームズ
    トーリとホイッグの登場
    国王の反動化と名誉革命
    名誉革命の意義
    イングランド外交の転換期
    スコットランド合邦と王朝の終焉
  第8章 ハノーヴァー王朝下の議院内閣制確立 ―― 長い18世紀
    ハノーファー選帝侯ゲオルク
    ホイッグ優越時代の始まり
    スタナップ国務大臣への過度な信頼
    貴族法案をめぐる躓き
    南海泡沫事件とウォルポールの復活
    「ウォルポールの平和」の時代
    ウォルポールの辞任と「首相」の登場
    ペラム兄弟と「二重内閣」の終焉
    度重なる戦争から「奇跡の年」へ
    「愛国王」ジョージ3世の登場 ―― ビュート伯爵の重用
    各派の台頭と国王の政治力
    ノース政権とアメリカの独立
    議会改革の要求
    国王の頑なな抵抗
    ピット政権下の摂政制危機
    フランス革命と「ピット氏の黄金」
    アイルランド合邦化 ―― カトリック問題とピット辞任
    政党政治の混迷と摂政の登場
    「長い一八世紀」とイギリスの勝利
  第9章 イギリス帝国の黄金時代 ―― 19世紀の膨張
    戦後不況と強圧政治の時代
    キャロライン王妃事件 ―― 王権の弱体化
    自由トーリ主義の時代
    カトリック解放への道 ―― ピールの豹変
    グレイ政権下の選挙法改正
    貴族院の否決と民衆暴動
    国王による最後の首相更迭
    妖精女王の登場と民衆運動の勃興
    国益と改革 ―― ピール政権下の穀物法廃止
    二大政党制の確立 ―― 自由党の結成
    二大政党と大衆民主政治の予兆
    グラッドストンとディズレーリ
    老大人の再起 ―― 大衆政治の深化
    アイルランド自治問題の紛糾
    二度のジュビリーと女王の死
  第10章 第一次世界大戦 ―― いとこたちの戦争と貴族たちの黄昏
    バーティによる王室外交の時代
    自由貿易という「信仰」 ―― 保守党の分裂
    「人民予算」を賭けた総選挙
    貴族院改革と国王の死
    新王の登場 ―― 貴族院権限の大幅縮小
    アイルランド自治問題の再燃
    第一次世界大戦の衝撃 ―― 徴兵制導入と「総力戦」
    ロイド=ジョージ政権の光と影
    総力戦後 ―― 貴族政治から大衆民主政治へ
    アイルランド自由国の成立
    自由党の没落,労働党の勃興
    貴族院首相の終焉と労働党政権の成立
    世界恐慌下の挙国一致政権
    「英連邦諸国」の確立へ
  第11章 第二次世界大戦と帝国の溶解
    ジョージ5世の死
    「王冠を賭けた恋」
    脆弱な「ヴェルサイユ体制」
    平和の崩壊と独裁者たちの台頭
    チェンバレン首相の宥和政策とその破綻
    ドイツへの宣戦布告 ―― 連合国の敗退
    チャーチルの首相就任
    「ブリテンの戦い」からアメリカ参戦へ
    対独戦略とヤルタでの悲哀
    チャーチルの敗北 ―― 一〇年ぶりの総選挙
    アトリー政権下の戦後復興
    社会福祉国家の確立
    解体するイギリス帝国
    米ソ冷戦のなかで
    チャーチル再登板 ―― 合意政治の時代へ
    ひとつの時代の終わり
  第12章 エリザベス2世の時代 ―― 「英国病」からの蘇生
    悲しい帰国と華やかな戴冠式
    老臣チャーチルと「三つのサークル」
    スエズ戦争の蹉跌 ―― 世界中からのイギリス批判
    貴族制度の変容 ―― ヒューム首相就任の背景
    保守党党首選の開始
    英国病 ―― ポンド切り下げと「撤兵」
    イギリス政治の迷走 ―― 国民投票の容認
    サッチャー革命 ―― 「小さな政府」へ
    サッチャー外交と女王との確執
    ブレア政権の誕生 ―― 「第三の道」の提唱
    地方分権化 ―― イングランド以外への権限委譲
    「世襲議員」改革へ
    ブレアの「大統領型」統治
    ブレアの挫折 ―― イラク戦争参戦問題
    議会政治と二大政党制のゆくえ
    在位六〇周年記念式典の陰で



 ・ 君塚 直隆 『物語 イギリスの歴史(上下巻)』 中央公論新社〈中公新書〉,2015年.

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2018-08-07 Tue

#3389. 沖森卓也『日本語史大全』の目次 [toc][japanese][periodisation][historiography]

 目次シリーズの一環として,昨年出版された包括的な日本語史概説書,沖森卓也(著)『日本語史大全』を取り上げたい.文庫でありながら教科書的という印象で,記述は淡々としている.時代別に章立てされているが,各章の内部では分野別の記述がなされており,各章の該当節を拾っていけば,分野ごとの縦の流れも押さえられるように構成されている.したがって,目次を追っていくだけで日本語史の全体像が理解できる仕組みとなっている.以下に目次を再現しよう.
 ちなみに英語史概説書の目次は「#2089. Baugh and Cable の英語史概説書の目次」 ([2015-01-15-1]),「#2050. Knowles の英語史概説書の目次」 ([2014-12-07-1]),「#2038. Fennell の英語史概説書の目次」 ([2014-11-25-1]),「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]) を参照.



はじめに
  歴史を知る意義
  日本語史の対象と方法
  話しことばの歴史
  日本語史の時代区分
  分野別の記述
  日本語史へのいざない
第一章 古代前期――奈良時代まで
  1 総説――古代語が確立する
      古代前期とその言語
      「万葉仮名文書」に口語の一端を見る
  2 文字表記――日本語が漢字で書かれる
      漢字の伝来
      稲荷山古墳鉄剣銘
      万葉仮名
      漢字の音
      字音の構造
      音仮名の用法
      訓の成立
      訓と和化漢文
      仮名文の原形
  3 音韻――区別される音節の数が多い
      上代特殊仮名遣
      母音と子音
      母音調和
      頭音法則
      母音交替
      イ段乙類音とエ段音
      連濁
      音節構造とアクセント
  4 語彙――固有語が用いられる
      和語とは固有語か
      和語と音節数
      代名詞の語彙
      動詞の語構成
      形容詞の語構成
      漢語
      待遇表現の語彙
      雅俗・男女差
      方言
      忌詞
  5 文法――古代語法が形成される
      動詞の活用
      活用タイプの所属語
      動詞活用の起源
      命令形の由来
      未然形と連用形の機能
      連用形の由来
      未然形の由来
      終止形の由来
      連体形の由来
      連体形と已然形の類似点
      已然形の用法
      已然形の由来
      上一段活用の由来
      形容詞の活用
      形容詞の活用の由来
      ク語法
      ミ語法
      態の助動詞
      推量の助動詞
      過去・完了・継続の助動詞
      断定・否定の助動詞
      尊敬の助動詞
      格助詞
      接続助詞
      副助詞
      係助詞
      終助詞
      間投助詞
第二章 古代後期――平安時代
  1 総説――古代語が完成する
      古代後期とその言語
      漢文と仮名文
      『源氏物語』に古典語を見る
      階級と地域
  2 文字表記――仮名が成立する
      漢文の訓読
      訓点の方法
      片仮名の成立
      草仮名
      平仮名の成立
      仮名の起源
      句読点と濁点
  3 音韻――音節が複雑に発達する
      上代特殊仮名遣の崩壊
      母音と子音
      音韻の混同
      「あめつち」と「たゐに」
      いろは歌
      五十音図
      漢字音
      声点とアクセント
      名詞のアクセント
      動詞のアクセント
      形容詞その他のアクセント
  4 語彙――漢語の使用が漸増する
      代名詞の語彙
      多彩な形容動詞語彙
      和語と漢語
      漢語の日本語化
      混種語
      和文語と漢文訓読語
      待遇表現の語彙
      丁寧語の発生
      漢和字書の誕生
  5 文法――古典文法が完成する
      動詞の活用
      形容詞・形容動詞の活用
      音便
      音便発生の理由
      態の助動詞
      推量の助動詞
      その他の助動詞
      格助詞
      接続助詞
      副助詞・係助詞
      終助詞
      間投助詞
第三章 中世前期――院政鎌倉時代
  1 総説――古代語が瓦解する
      中世前期とその言語
      口語の変化に着目する
      『徒然草』に当時の口語を垣間見る
  2 文字表記――仮名の使用が促される
      東鑑体
      真名本が生まれる
      漢字の字体と書風
      仮名で和語を書く
      仮名使用の広がり
      片仮名の使用者層
      片仮名の字体
      促音・撥音の表記
      定家仮名遣
  3 音韻――音韻が整理されていく
      イとヰ,エとヱ
      直音と拗音
      鼻濁音
      連濁と連声
      開合
      促音と撥音
      漢字音の日本語化
      東国方言の音韻
  4 語彙――漢語が一般化する
      代名詞の語彙
      和語と漢語
      和漢の混淆
      唐音とその漢語
      武家詞
      待遇表現の語彙
      国語辞典の出現
  5 文法――古代語法が衰退する
      連体形の終止法
      係り結びの消滅
      二段活用の一段化
      ラ変活用の消滅
      形容詞活用の一本化
      連体形活用語尾「る」の脱落
      形容動詞の活用
      接続詞
      態の助動詞
      「しむ」をめぐる混乱
      推量の助動詞
      過去・完了の助動詞
      断定・否定の助動詞
      願望・希望の助動詞
      格助詞
      接続助詞
      副助詞
      係助詞
      終助詞・間投助詞
第四章 中世後期――室町時代
  1 総説――近代語が胎動する
      中世後期とその言語
      外国語との交流
      『天草本伊曽保物語』に口語の全容を見る
  2 文字表記――文字の使用が広がる
      キリシタン資料のローマ字つづり
      印刷技術のもう一つの伝来
      漢字
      仮名
      濁点・半濁点
  3 音韻――現代語の発音に近づく
      母音
      子音
      四つ仮名
      連濁と連声
      漢字音
  4 語彙――外来語が登場する
      代名詞の語彙
      副詞の語彙
      感動詞の語彙
      現代語と異なる語形
      漢語
      ポルトガル語からの外来語
      女房詞と武家詞
      待遇表現の語彙
      尊敬語
      謙譲語
      丁寧語
  5 文法――近代語法が芽生える
      二段活用の一段化の進行
      動詞活用のヤ行化
      動詞の命令形
      可能動詞
      テ形の発達
      授受表現
      形容詞
      形容動詞
      音便
      形式名詞の「の」
      態の助動詞
      推量の助動詞
      過去の助動詞とアスペクト
      断定の助動詞
      その他の助動詞
      格助詞
      接続助詞
      副助詞・係助詞
      終助詞・間投助詞
      複合辞の増加
第五章 近世――江戸時代
  1 総説――近代語が発達する
      近世とその言語
      上方語と江戸語
      『浮世風呂』に江戸語の位相差を見る
  2 文字表記――文字が庶民に普及する
      文字の学習
      近世の文体
      漢字と仮名
      契沖仮名遣
      濁点・半濁点と句読点
  3 音韻――現代語の音韻が確立する
      母音
      子音
      合拗音の消滅
      開合と四つの仮名の混同
      江戸語の音韻的特色
  4 語彙――漢語で訳語が造られる
      代名詞の語彙
      感動詞の語彙
      階層によって異なる使用語彙
      尊敬語
      丁寧語
      あそばせ詞
      謙譲語ほか
      女性語の発展
      漢語の尊重
      漢語による翻訳語
      オランダ語からの外来語
  5 文法――近代語法が整備される
      動詞の活用
      可能動詞
      形容動詞
      推量の助動詞
      断定の助動詞
      否定の助動詞
      態の助動詞とアスペクト
      格助詞
      順接の接続助詞
      逆接の接続助詞
      その他の接続助詞
      副助詞
      終助詞
      間投助詞
      複合辞の発達
第六章 近代――明治時代
  1 総説――共通語が普及する
      近代とその言語
      『あひゞき』に口語体の創出を見る
  2 文字表記――文字施策が浸透する
      漢字と訓
      言文一致体
      出版の大衆化
      漢字の廃止論と制限論
      国語施策と漢字制限
      当用漢字と常用漢字
      外来語の表記
      ヘボン式と日本式のローマ字つづり
      戦後のローマ字つづり
  3 音韻――外来語が影響を与える
      現代日本語の音韻
      外来語の音韻
      二拍名詞のアクセント
      アクセントの型の対応
      方言アクセントの系譜
      三拍名詞のアクセント
      東京アクセントの形成
  4 語彙――漢語・外来語が急増する
      新漢語の出現
      『浮雲』の漢語
      漢語の増加
      『浮雲』の外来語
      外来語の急増
      現代語の語種
      待遇表現の語彙
  5 文法――現代語法が展開する
      動詞の活用
      形容詞・形容動詞
      ラ抜きことば
      助動詞
      格助詞
      接続助詞
      副助詞
      終助詞・間投助詞
      東京語の文末表現
????????????
参考文献
索引



 ・ 沖森 卓也 『日本語全史』 筑摩書房〈ちくま新書〉,2017年.

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2017-10-18 Wed

#3096. 中英語期,英語の復権は徐ろに [reestablishment_of_english][history][toc][hundred_years_war]

 似たようなタイトルの記事「#706. 14世紀,英語の復権は徐ろに」 ([2011-04-03-1]) を以前に本ブログで書いているが,「14世紀」を今回のタイトルのように「中英語期」(1100--1500年)と入れ替えても,さして問題はない.「#131. 英語の復権」 ([2009-09-05-1]) で示した年表や,その他の reestablishment_of_english の記事で論じてきたように,イングランドにおける英語の地位の回復は,3世紀ほどのスパンでとらえるべき長々とした過程だった.
 Baugh and Cable の英語史概説書の第6章は "The Reestablishment of English, 1200--1500" と題されており,この長々とした過程を扱っているのだが,最初にこの箇所を初めて読んだときに,なんてダラダラとして読みにくい章かと思ったものである.1200--1500年のイングランドにおける英語とフランス語を巡る言語事情とその変化が説明されていくのだが,英語の復権がようやく2歩ほど進んだかと思えば,フランス語のしぶとい権威保持のもとで今度は1歩下がるといった,複雑な記述が続くのだ.英語の復権とフランス語の権威保持という2つの相反する流れが並行して走っており,実にわかりづらい.
 改めて Baugh and Cable の第6章を読みなおしたところ,結局のところ同章の冒頭に近い文章が,この時代の内容を最もよくとらえているということが分かった.

As long as England held its continental territory and the nobility of England were united to the continent by ties of property and kindred, a real reason existed for the continued use of French among the governing class in the island. If the English had permanently retained control over the two-thirds of France that they once held, French might have remained permanently in use in England. But shortly after 1200, conditions changed. England lost an important part of its possessions abroad. The nobility gradually relinquished their continental estates. A feeling of rivalry developed between the two countries, accompanied by an antiforeign movement in England and culminating in the Hundred Years' War. During the century and a half following the Norman Conquest, French had been not only natural but also more or less necessary to the English upper class; in the thirteenth and fourteenth centuries, its maintenance became increasingly artificial. For a time, certain new factors helped it to hold its ground, socially and officially. Meanwhile, however, social and economic changes affecting the English-speaking part of the population were taking place, and in the end numbers told. In the fourteenth century, English won its way back into universal use, and in the fifteenth century, French all but disappeared. (122)


 先に,この時代の英語の復権は2歩進んで1歩下がるかのようだと表現したが,Baugh and Cable の第6章を構成する第93--110節のいくつかのタイトルを「英語の復権を後押しした要因」と「フランス語の権威を保持した要因」とに粗く,緩く2分すると,次のようになる.



[ 英語の復権を後押しした要因 ]

 94. The Loss of Normandy
 95. Separation of the French and English Nobility
 97. The Reaction against Foreigners and the Growth of National Feeling
 101. Provincial Character of French in England
 102. The Hundred Years' War
 103. The Rise of the Middle Class
 104. General Adoption of English in the Fourteenth Century
 105. English in the Law Courts
 106. English in the Schools
 107. Increasing Ignorance of French in the Fifteenth Century
 109. The Use of English in Writing

[ フランス語の権威を保持した要因 ]

 96. French Reinforcements
 98. French Cultural Ascendancy in Europe
 100. Attempts to Arrest the Decline of French
 108. French as a Language of Culture and Fashion



 節の数の比からいえば,英語の復権は3歩進んで1歩下がるほどのスピードで推移したことになろうか.
 Baugh and Cable の目次については,「#2089. Baugh and Cable の英語史概説書の目次」 ([2015-01-15-1]),「#3091. Baugh and Cable の英語史概説書の目次よりランダムにクイズを作成」 ([2017-10-13-1]) を参照.

 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

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2017-10-13 Fri

#3091. Baugh and Cable の英語史概説書の目次よりランダムにクイズを作成 [toc][quiz][hel_education][cgi][web_service]

 英語史の流れをつかんでもらうために,授業で「#2089. Baugh and Cable の英語史概説書の目次」 ([2015-01-15-1]) を暗記してもらっているが,小テスト対策のために(というよりも実は問題作成の自動化のために)ランダムに穴を抜くツールを作ってみた.ブラウザで印刷すれば,そのまま小テスト.

Chapters for questions: to (対象となる章を指定)
Number of questions: (2以上の整数で,あるいは1.0までの小数で比率指定も可)
Hints: No Hints Hints (キューとなる単語の開示)



 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

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2017-10-03 Tue

#3081. 日本の英語学習者のための『スペリングの英語史』の読み方 [notice][toc][spelling][hel][review]

 拙訳『スペリングの英語史』について,もちろん好きなように読んでいただけば,それだけで嬉しいわけでして,実におせっかいな記事のタイトルなのですが,原著 Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013. の日本人読者の1人として,また英語の学習者・研究者の1人として,次のようなことを考えながら読み,訳してきたということを文章に残しておきたいと思いました.ポイントは3点あります.

 1つ目は,本書が日本の英語学習者にスペリング学習に際しての知識を与えてくれるということです.とはいうものの,著者は意外なことに,序章の最後で,本書はスペリング学習に役立つ実用書ではないことを示唆しています.そのような目的で本書を手に取った読者がいたとすれば,おそらく幻滅するだろうと.確かに,本書で英語のスペリングの波乱の歴史を知ってしまうと,むしろなぜ現在のスペリングがこれほど無秩序であり,少数の規則で説明しきれないのかがよくわかってしまいます.言語的には英語のスペリングのすべてを説明づけられるような少数の規則はないといってよく,それに気づいた読者は,英語のスペリングを学習する上での絶対的な便法はやはりないのか,と悲観的に結論づけざるをえないかのようです.
 しかし,著者は(そして訳者も)英語のスペリングがそこまで無秩序で不規則だとは考えていません.おそらく,スペリングの規則というものがあるとすれば,スペリングの歴史全体がその規則であるという立場をとっています.現在のスペリングだけを観察して,そこから何らかの規則を抽出しようとしても,たちどころに例外や不規則が現われてしまい,むしろ最初から個別に扱ったほうがよかった,という結果になりがちです.しかし,スペリングの歴史をたどってみると,確かに無数の込み入った事情はあったけれども,その事情のひとつひとつは多くの場合納得して理解できるものだとわかります.余計な文字をスペリングに挿入したルネサンスの衒学者の気持ちも説明されればわかりますし,ノア・ウェブスターがスペリング改革を提案した理由も,アメリカ独立の時代背景を考慮すれば腑に落ちます.このような個々の歴史的な事情を指して「規則」とは通常呼びませんが,「e の前の音節の母音字は長い発音で読む」のような無機質な規則に比べれば,ずっと人間的で有機的な「規則」と言えないでしょうか.このような歴史に起因する「規則」は必然的に雑多ではありますが,それにより現在のスペリングの大多数が説明できるのです.歴史を学ぶことは遠回りのようでいて,しばしば最も納得のゆく方法です.本書では,便法としての規則は必ずしも得られなくとも,納得のゆく説明は得られます.説得力,それが本書のもつ最大の価値です.
 また,歴史こそが規則であるという著者のスタンスは,著者のスペリング改革に対する懐疑的で批判的な立場とも符合します.完全に表音的なスペリングへ改革してしまうと,スペリングの表面から歴史という規則の痕跡が消し去られてしまうからです.

 本書が日本の読者にとってもつもう1つの意義は,英語の書記体系を鑑として,私たちの母語である日本語の書記体系について再考を促してくれる点にあります.読者は本書を読みながら,英語のスペリングと比較対照させつつ日本語の書記体系にも思いを馳せるでしょう.日本語は珍しく唯一絶対の正書法がない言語といわれます(cf. 「#2392. 厳しい正書法の英語と緩い正書法の日本語」 ([2015-11-14-1]),「#2409. 漢字平仮名交じり文の自由さと複雑さ」 ([2015-12-01-1])).ニャーニャー鳴く動物を表記せよと言われれば,「猫」「ネコ」「ねこ」「neko」のいずれも可能です.もちろん用いる文字種が指定されれば1つの書き方に定まりますが,原則としてどの文字種を用いるかは書き手に委ねられています.書き手のその時の気分によって,求められている文章の格式によって,想定される読み手が誰かによって,あるいはまったくのランダムで,自由に書き分けることが許されます.ここには,書き手の選択の自由があり,正書法上の「遊び」があります.
 本書の第4章で触れられるように,1100年から1500年の英語,中英語では同じ単語でも書き手個人ごとに異なるスペリングがあり,さらに個人においても複数の異綴りを用いるのが普通でした.ここにも「遊び」があったのです.日本語と中英語では「遊び」の質も量も異なり,一概に比較できませんが,書き手に選択の自由が与えられていることは共通しています.正確に発音を表わすことが重要な場合,単語の意味が同定できさえすればよい場合,書き手が気分を伝えたい場合,読み手に対して気遣いする場合など,様々なシーンで,書き手は書き方を選ぶことができます.文字は言葉の発音や意味などを伝える手段であると同時に,使用者が自らの気分やアイデンティティを伝える手段でもあります.確かに唯一絶対の正書法は,広域にわたる公共のコミュニケーションのためには是非とも必要でしょう.しかし,公表を前提としない個人的な買い物リストのメモ書きや,字数制限のあるツイッターの文章を含めたあらゆる書き言葉の機会において,常に唯一絶対の正書法に従わなければならないとすれば,いかにも息苦しいし,書き手の個性を消し去ることにならないでしょうか.
 後期古英語の標準的なスペリング体系のもとではそれほど許されなかった「遊び」が,中英語期にはいきいきと展開しましたが,続く近代英語期には再び制限を加えられていきました.このような歴史を学ぶことは,いまだ「遊び」を保持している日本語書記体系の現在と未来を考え,議論する上で貴重な洞察を与えてくれます.英語のスペリング改革史においてほとんどの提案が失敗に終わったという事実も,日本語の書記体系の行く末を考える上で示唆的です.逆に日本語の立場から英語をみると,日本語は1つのモデルケースということになるかもしれません.というのは,著者は英語について「1つの正書法」 (the orthography) ではなく「複数の正書法」 (orthographies) の可能性を探っている節があるからです,

 本書の3つ目の意義は,文字にも歴史があるという当たり前の事実を再認識させてくれる点にあります.本書は,現在ある文字や言葉は,それがたどってきた歴史の産物であるという事実を改めて教えてくれます.文字という小さな単位を入り口に,言葉の歴史という広い世界へと案内してくれる書だと思います.英語に関する読み物にとどまっておらず,言葉に関する教養の詰まった本となっています.この点は,一般読者だけではなく,言葉を専門とする言語学者や英語学者に対しても力説しておきたいポイントです.
 20世紀の言語研究では,歴史的視点が欠如していました.また,音声を重視するあまり,文字が軽んじられてきました.つまり,スペリングの歴史という話題は,20世紀の主流派の言語研究において,最も軽視されてきたテーマの1つといってよいでしょう.本書を通じて,一般読者と専門の言語学者が,文字の言語学および歴史的な視点をもった言語学のおもしろさと価値を再認識してくれることに期待したいと思います.

 ・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
 ・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.

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2017-10-02 Mon

#3080. 『スペリングの英語史』の章ごとの概要 [notice][toc][spelling][hel]

 昨日の記事「#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました」 ([2017-10-01-1]) で拙訳書の目次を挙げた.今回は章ごとの概要を示しつつ,『スペリングの英語史』のガイドとしたい.事実上,英語スペリング史の概略となっている.

 1. 「序章」.正書法(正しいスペリング)を巡る近年の議論を参照しながら,多くの人が当然視する唯一絶対のスペリングは本当に必要なのかという問題提起がなされる.たとえば,元アメリカ合衆国副大統領ダン・クウェールの potato 事件に象徴されるように,スペリングを1文字間違えるだけで社会的制裁が加えられるような現代の風潮は異常ではないかと.このような問題の背景には,英語のスペリングが無秩序で不規則であるという世間一般の評価がある.有意義な議論のためには,英語のスペリングの歴史を知っておくことが重要である.

 2. 「種々の書記体系」.人類の文字の起源から説き起こし,世界各地の書記体系を紹介しつつ,文字と意味あるいは文字と発音の関係について理論的に考察する.中世ヨーロッパの文字理論を援用し,またベル考案の視話法や『指輪物語』の架空の文字に言及しながら,英語表記に用いられているローマン・アルファベットが原則として表音的な性質をもちつつも,必ずしも理想的な表音文字としては機能していないことを指摘し,英語のスペリング体系が発音との間にギャップを示す「深い正書法」であると説く.最後に,スペリングが言語において最も規制の対象となりやすい側面であることを指摘しつつ,標準的なスペリング体系のもつ社会的役割を論じる.

 3. 「起源」.6世紀末に英語にローマン・アルファベットがもたらされる以前からアングロサクソン世界で用いられていた,もう1つのアルファベット体系,ルーン文字が紹介される.最古の英文は,実にルーン文字で書かれていたのである.やがてローマン・アルファベットがルーン文字に取って代わったが,文字の種類や書体は現在われわれが見慣れているものと若干異なっていた.古英語アルファベットの示す文字と発音の関係は,それに先立つラテン文字,エトルリア文字,ギリシア文字などから受け継いだものと,古英語での改変を反映したものの混合であり,古英語のスペリングもすでに複雑ではあったものの,後期古英語にはウェストサクソン方言を基盤とした標準的なスペリング体系が整えられていった.古英語のスペリングの実例が,聖書や『ベーオウルフ』からの引用により示される.

 4. 「侵略と改正」.1066年のノルマン征服により後期古英語の標準語が崩壊し,続く中英語期には多種多様な方言スペリングが花咲いた.これにより,through や such のような単語は,写字生の方言によってきわめて多様に(約500通りにも)綴られることになった.また,中英語期には,フランス語の習慣の影響を受けて書体やスペリングに少なからぬ改変が加えられた.初期中英語には,標準的なスペリングらしきものが芽生えた証拠もあるが,それらは特定の個人や集団に限定されており,真の標準とはなりえなかった.しかし,後期中英語になると現代に連なる標準的なスペリングの原型が徐々に現れだした.このような自由奔放で変異に満ちた中英語のスペリングは,唯一絶対のスペリングを当然視する現代のスペリング観に真っ向から対立するものである.

 5. 「ルネサンスと改革」.初期近代英語期は,異綴りが減少し,標準的なスペリング体系が形成されていく時代である.人々がスペリングの問題を意識するようになり,特にスペリング改革者,教育関係者,印刷業者が各々の思惑のもとにスペリングのあり方を論じ,実践した.ルネサンスの衒学者たちは,ラテン語の語源を反映するスペリングを好み,たとえば doubt のスペリングに b を挿入し保存すること主張した.理想主義的な理論家たちは,文字と発音の関係が緊密であるべきことを説き,新たな文字や記号を導入する過激なスペリング改革を提案した.もっと穏健な論者たちは,従来から行なわれてきたスペリングの慣習を,必ずしも合理的でなくとも許容し,定着させようと努力した.結果的に,穏健派のリチャード・マルカスターの提案が後世のスペリングに影響を与えることとなった.

 6. 「スペリングの固定化」.18世紀は,スペリングをはじめ英語を固定化することに腐心した時代だった.スウィフトによる英語アカデミー設立の試みは失敗したものの,1755年にはジョンソンが後世に多大な影響を及ぼすことになる『英語辞典』を世に送り出し,標準的なスペリングを事実上確定させた.しかし,スウィフトやジョンソンも,印刷された公の文書においてこそ標準的なスペリングを用いていたものの,私信などの手書き文書においては非標準的なスペリングも用いており,個人のなかでもいまだ異綴りが見られた.続けて,19世紀後半から20世紀前半にかけての『オックスフォード英語辞典』 (OED) の編者マレーやブラッドリーのスペリングに対する姿勢が概説され,20世紀の「カット・スペリング」「規則化英語」「ショー・アルファベット」「初等教育アルファベット」といったスペリング改革案やスペリング教育法の試みが批判的に紹介される.

 7. 「アメリカ式スペリング」.ノア・ウェブスターによるスペリング改革の奮闘が叙述される.この英語史上稀なスペリング改革の成功の背景には,提案内容が colour を color に変えるなど穏健なものであったこと,スペリング本が商業的に成功したこと,そして新生アメリカに対する国民の愛国心がおおいに関与していたことが指摘される.そのほか,アメリカにおけるスペリング競技会の人気振りやトウェインのスペリング観に言及するとともに,アメリカの単純化スペリング委員会の検討したスペリング改革案について,規範的発音を前提とする誤った言語観に基づいているとして批判を加えている.

 8. 「スペリングの現在と未来」.近年の携帯メールにみられる省略スペリングの話題が取り上げられる.著者は,省略スペリングの使用者が使い分けをわきまえていることを示す調査結果や,中世にも同様の省略スペリングが常用されていた事実を挙げながら,省略スペリングが多くの人が心配しているように教育水準が下がっている証拠ともならなければ,規範的なスペリングがないがしろにされている証拠ともならないと反論する.綴り間違いに不寛容な態度を示す現代の風潮を批判し,英語のスペリングは英語がたどってきた豊かな歴史の証人であり,今あるがままに保存し尊重すべきであると述べて本書を結ぶ.

 以上,現代英語のスペリングが壮大な歴史の上に成り立っていることがわかるだろう.

 ・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
 ・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.

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2017-10-01 Sun

#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました [notice][spelling][spelling_pronunciation_gap][history][hel_education][toc][link]

 9月20日付で,拙訳『スペリングの英語史』が早川書房より出版されました.原著は本ブログで何度も参照・引用している Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013. です.本ブログを読まれている方,そして英語スペリングの諸問題に関心をもっているすべての方に,おもしろく読んでもらえる内容です.

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サイモン・ホロビン(著),堀田隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.302頁.ISBN: 978-4152097040.定価2700円(税別).



 「本書をただのスペリングの本だと思ったら大間違いである.ここには,英語史,英文学をはじめ,英語の教養がぎっしりと詰まっている」との推薦文を,東大の斎藤兆史先生より寄せていただきました.また,本書の帯に「オックスフォード大学英語学教授による,スペリングの謎に切り込む名解説」という売り文句がありますが,訳者も英語のスペリングに関する読ませる本としては最高のものであると確信しています(もう1冊の読ませるスペリング本として,Crystal, David. Spell It Out: The Singular Story of English Spelling. London: Profile Books, 2012. も薦めます).
 本書には,このスペリングやあのスペリングの背景にこんな歴史的な事件が関与していたのか,と驚くエピソードが満載です.例えば・・・

 ・ 合衆国副大統領の政治生命の懸かった,potato のスペリングをめぐる醜聞
 ・ 『指輪物語』のトールキンは,独自のアルファベット体系を考案し,それで日記をつけていた
 ・ 最古の英文はローマ字ではなくルーン文字で書かれていた
 ・ 中英語期には such の異なるスペリングが500種類もあった
 ・ ルネサンス期のラテン語かぶれの知識人が,doubt の <b> のような妙なスペリングの癖を生み出した
 ・ シェイクスピア『リア王』で語られる,英語における <z> の文字の冷遇
 ・ Smith さんか,Smythe さんか,はたまた Psmith さんか --- 名前のスペリングへのこだわり
 ・ みずからの遺産を理想的なアルファベット考案の賞金にあてた劇作家バーナード・ショー
 ・ ウェブスターがアメリカ式スペリングの改革に成功したのは,独立の愛国心とベストセラー『スペリング教本』の商業的成功ゆえ
 ・ 電子メールに溢れる省略スペリングは,英語の堕落の現われか,言語的創造力のたまものか

 本書の目次は,以下の通りとなっています.



 日本版への序文
 図一覧
 発音記号
 1 序章
 2 種々の書記体系
 3 起源
 4 侵略と改正
 5 ルネサンスと改革
 6 スペリングの固定化
 7 アメリカ式スペリング
 8 スペリングの現在と未来
 読書案内
 参考文献
 訳者あとがき
 語句索引



 原著の著者ついて,簡単に紹介しておきます.サイモン・ホロビン氏はオックスフォード大学モードリン・カレッジ・フェローの英語学教授です.英語史・中世英語英文学を専門としており,以下のような主要著書を世に送り出してきました.まさに気鋭の英語史研究者です.

 ・ Horobin, Simon and Jeremy Smith. An Introduction to Middle English. Edinburgh: Edinburgh UP, 2002.
 ・ Horobin, Simon. The Language of the Chaucer Tradition. Cambridge: Brewer, 2003.
 ・ Horobin, Simon. Chaucer's Language. 1st ed. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2006. 2nd ed. 2012.
 ・ Horobin, Simon. Studying the History of Early English. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2009.
 ・ Horobin, Simon. How English Became English: A Short History of a Global Language. Oxford: OUP, 2016.

 また,最近はあまり更新されていないようですが,著者は2012年から Spelling Trouble という英語のスペリングの話題を提供するブログで,いくつかの記事を書いています.
 ちなみに個人的なことをいえば,訳者はグラスゴー大学に留学し2005年に博士号を取得しましたが,当時,著者はグラスゴー大学で教鞭を執っており,訳者の学位審査官の1人でもありました.あのときもお世話になり,このたびもお世話になり,という経緯です.さらに,2年前の2014年12月には,本書にインスピレーションを受けて開催したシンポジウムに著者を招き,英語のスペリングについて一緒に議論する機会をもつことができました(cf. 「#2053. 日本中世英語英文学会第30回大会のシンポジウム "Does Spelling Matter in Pre-Standardised Middle English?" を終えて」 ([2014-12-10-1])).
 間違いなく英語のスペリングがよく分かるようになります.『スペリングの英語史』を是非ご一読ください.

 ・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
 ・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.

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2016-11-20 Sun

#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました [toc][link][notice][sobokunagimon]

 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が,研究社より出版されました.主として本ブログの記事を元にして執筆しているので,普段ブログを読んでいただいている方には関心をもってもらえるのではないかと思っています.英語学習者が一度は抱くはずの「素朴な疑問」に徹底的にこだわって書きました.

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 ・ 堀田隆一(ほったりゅういち) 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.206頁.ISBN: 978-4327401689.定価2200円(税別).

 ・ 本書のコンパニオン・サイトもご覧ください.

 ・ 本書は,Amazon.co.jp 等のオンライン書店でも購入可能です.



 上にもあるように,本書のコンパニオン・サイトが研究社のウェブサイト内に設けられていますので,そちらもご覧ください.特に,まずは本書の紹介ページを訪れてみてください.そこには,内容紹介と目次や,コンパニオン・サイト用に書き下ろした本書のねらいを掲載しています.また,サンプルPDFへのリンクも張られていますので,ご一読ください.サンプルでは,「はじめに」,「目次」,そして本書の pp. 26--30 に相当する2.1節「なぜ *a apple ではなく an apple なのか?―――2種類の不定冠詞」の本文全体を読むことができるので,内容のフィーリング(←本ブログに近いです)がつかめると思います.まだ工事中となっているリンク先も多いですが,今後このコンパニオン・サイトには,本書に関する(あるいは英語史全般に関する)様々な補足資料をアップロードしていく予定です.また,本書の内容と関連した新しい話題を提供する「連載」も企画中です.
 本書のねらいに詳しいですが,本書は「英語教員をはじめとする英語にかかわる多くの方々に」読んでもらいたいと思い執筆しました.こだわりにこだわったことは,先にも述べたように「素朴な疑問」を扱うということ,「英語史」のおもしろさをとことん伝えること,そして読者に「目から鱗が落ちる」体験を味わってもらうことです.はたしてその目的はうまく果たされているかどうか・・・読者のみなさんの反応をお待ちしています!
 コンパニオン・サイト内にも本書の目次がありますが,参照用に詳しいバージョンを以下に再現しておきます.



はじめに

1  いかにして英語は現在の姿になったのか?―――英語史入門
  1.1  英語史の時代区分
    1.1.1  各時代区分の名称
    1.1.2  時代区分の恣意性
  1.2  資料と媒体
  1.3  音声と綴字の変化
    1.3.1  音声の変化
    1.3.2  綴字の変化
  1.4  文法の変化
  1.5  語彙の変化
  1.6  英語の多様性
2  発音と綴字に関する素朴な疑問
  2.1  なぜ *a apple ではなく an apple なのか?―――2種類の不定冠詞
    2.1.1  母音連続を避ける傾向?
    2.1.2  子音の前での n の脱落
    2.1.3  共時的な説明と通時的な説明
  2.2  なぜ名詞は récord なのに動詞は recórd なのか?―――「名前動後」の強勢パターン
    2.2.1  名前動後とは
    2.2.2  16世紀以来の語彙拡散
    2.2.3  名前動後の拡大の背景
    2.2.4  新しい強勢パターンの介入
    2.2.5  現在は通過地点
  2.3  なぜ often の t を発音する人がいるのか?―――発音と綴字の関係
    2.3.1  綴字発音
    2.3.2  often の起源と発達
    2.3.3  今の変化は昔の変化
  2.4  なぜ five に対して fifth なのか?―――古英語の発音規則
    2.4.1  five の語形こそが説明を要する
    2.4.2  有声音に挟まれると子音が有声化する規則
    2.4.3  third の音位転換
    2.4.4  first, second の補充法
  2.5  なぜ name は「ナメ」ではなく「ネイム」と発音されるのか?―――音変化とマジック e
    2.5.1  <e> の役割
    2.5.2  ナマからネイムへ
    2.5.3  運用変更による切り抜け
    2.5.4  綴字の保守性
  2.6  なぜ debt, doubt には発音しない <b> があるのか?―――ルネサンス期の見栄
    2.6.1  語源的綴字
    2.6.2  非語源的綴字?
    2.6.3  フランス語における語源的綴字
3  語形に関する素朴な疑問
  3.1  なぜ3単現に -s を付けるのか?―――屈折の歴史的性格
    3.1.1  共時的・形式的な説明
    3.1.2  共時的・機能的な説明
    3.1.3  通時的な説明
  3.2  なぜ *foots, *childs ではなく feet, children なのか?―――規則と不規則 (1)
    3.2.1  規則複数 -s の起源
    3.2.2  child の複数形が children となるわけ
    3.2.3  foot の複数形はなぜ feet か
    3.2.4  高頻度語と不規則複数
  3.3  sometimes の -s 語尾は何を表わすのか?―――古英語の格の痕跡
    3.3.1  古英語の属格
    3.3.2  古英語の対格
  3.4  なぜ不規則動詞があるのか?―――規則と不規則 (2)
    3.4.1  不規則動詞の規則化
    3.4.2  過去形のヴァリエーション
    3.4.3  set -- set -- set
    3.4.4  なぜ go の過去形が went になるのか?
  3.5  なぜ -ly を付けると副詞になるのか?―――形容詞と副詞の関係
    3.5.1  -ly は副詞接辞か?
    3.5.2  -e の衰退の一波万波
    3.5.3  単純副詞
4  統語に関する素朴な疑問
  4.1  なぜ未来を表わすのに will を用いるのか?―――未来時制の発達
    4.1.1  時・条件の副詞節では未来のことでも will を用いない
    4.1.2  英語に未来時制はなかった
    4.1.3  英語の未来時制の発達
  4.2  なぜ If I were a bird となるのか?―――仮定法の衰退と残存
    4.2.1  be 動詞の歴史
    4.2.2  仮定法は直説法とは別物と考える
    4.2.3  仮定法現在と should
  4.3  なぜ英語には主語が必要なのか?―――語順の固定化 (1)
    4.3.1  非人称構文
    4.3.2  非人称構文から人称構文へ
    4.3.3  現代英語に残る非人称構文
  4.4  なぜ *I you love ではなく I love you なのか?―――語順の固定化 (2)
    4.4.1  世界の言語の基本語准
    4.4.2  古英語から中英語への語順の発達過程
    4.4.3  属格名詞の前置と of の発達
    4.4.4  なぜ英語人名の順序は「名+姓」なのか?
  4.5  なぜ May the Queen live long! はこの語順なのか?―――祈願の may の発達
    4.5.1  近代英語期の祈願の may の発達
    4.5.2  古英語・中英語における祈願の may の萌芽
    4.5.3  語用標識としての may
5  語彙と意味に関する素朴な疑問
  5.1  なぜ Help me! とは叫ぶが Aid me! とは叫ばないのか?―――英語語彙の階層性 (1)
    5.1.1  日本語語彙の階層
    5.1.2  英語語彙の階層
    5.1.3  逆転の構造
  5.2  なぜ Assist me! とはなおさら叫ばないのか?―――英語語彙の階層性 (2)
    5.2.1  英語語彙の3層構造
    5.2.2  日本語語彙の3層構造
    5.2.3  3層ピラミッド構造の比喩
  5.3  なぜ1つの単語に様々な意味があるのか?―――同音異義と多義
    5.3.1  同音異義衝突
    5.3.2  though と they の同音異義衝突の例
    5.3.3  同○異△語
  5.4  なぜ単語の意味が昔と今で違うのか?―――単語の意味変化の日常性
    5.4.1  意味変化の日常性と類型
    5.4.2  deer の周辺の体系的な意味変化
    5.4.3  意味借用
  5.5  英語の新語はどのように作られるのか?―――混成語の流行
    5.5.1  現代の新語の作り方
    5.5.2  借用
    5.5.3  複合と派生
    5.5.4  混成
    5.5.5  頭字語
6  方言と社会に関する素朴な疑問
  6.1  なぜアメリカ英語では r をそり舌で発音するのか?――― r の発音と移民史
    6.1.1  イギリスにおける r
    6.1.2  アメリカにおける r
    6.1.3  イギリスからアメリカへ渡った移民の出身地
    6.1.4  「間大西洋変種」の r
  6.2  アメリカ英語はイギリス英語よりも「新しい」のか?――― colonial lag の虚実
    6.2.1  アメリカ英語のステレオタイプ
    6.2.2  「アメリカ英語=革新的」神話の打破
    6.2.3  「アメリカ英語=保守的」神話の打破
    6.2.4  英米さの類型論と均衡の取れた見方
    6.2.5  言語において保守的とは何か
  6.3  なぜ黒人英語は標準英語と異なっているのか?―――英語変種と偏見
    6.3.1  AAVE の起源
    6.3.2  AAVE の特徴
    6.3.3  黒人英語はさらに異なっていくのか?―――黒人英語の合流仮説と分岐仮説
    6.3.4  AAVE の3単現の -s
  6.4  なぜ船・国名を she で受けるのか?―――英語におけるジェンダー問題 (1)
    6.4.1  現代英語の例
    6.4.2  歴史的背景
    6.4.3  20世紀中の現象
  6.5  なぜ単数の they が使われるようになってきたのか?―――英語におけるジェンダー問題 (2)
    6.5.1  3人称単数共性代名詞を求めて
    6.5.2  実は古くからあった単数の they
    6.5.3  規範的な he の人工性

篁????
  英語史年表
  読書案内

おわりに―――なぜ英語史を学ぶのか?

参考文献

索引


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2016-09-06 Tue

#2689. Saeed の意味論概説書の目次 [toc][semantics]

 先日の「#2683. Huang の語用論概説書の目次」 ([2016-08-31-1]) に引き続き,今回は,Saeed の意味論のテキストの目次を挙げる.定評のある意味論の概説書で,共時的意味論の広い分野を網羅しており,理論的な基礎を学ぶのに適している.ただし,通時的な意味論の話題はほとんど扱っていない.

Part I Preliminaries

1 Semantics in Linguistics
   1.1 Introduction
   1.2 Semantics and Semiotics
   1.3 Three Challenges in Doing Semantics
   1.4 Meeting the Challenges
   1.5 Semantics in a Model of Grammar
   1.6 Some Important Assumptions
   1.7 Summary
2 Meaning, Thought and Reality
   2.1 Introduction
   2.2 Reference
   2.3 Reference as a Theory of Meaning
   2.4 Mental Representations
   2.5 Words, Concepts and Thinking
   2.6 Summary

Part II Semantic Description

3 Word Meaning
   3.1 Introduction
   3.2 Words and Grammatical Categories
   3.3 Words and Lexical Items
   3.4 Problems with Pinning Down Word Meaning
   3.5 Lexical Relations
   3.6 Derivational Relations
   3.7 Lexical Universals
   3.8 Summary
4 Sentence Relations and Truth
   4.1 Introduction
   4.2 Logic and Truth
   4.3 Necessary Truth, A Priori Truth and Analyticity
   4.4 Entailment
   4.5 Presupposition
   4.6 Summary
5 Sentence Semantics 1: Situations
   5.1 Introduction
   5.2 Classifying Situations
   5.3 Modality and Evidentiality
   5.4 Summary
6 Sentence Semantics 2: Participants
   6.1 Introduction: Classifying Participants
   6.2 Thematic Roles
   6.3 Grammatical Relations and Thematic Roles
   6.4 Verbs and Thematic Role Grids
   6.5 Problems with Thematic Roles
   6.6 The Motivation for Identifying Thematic Roles
   6.7 Voice
   6.8 Classifiers and Noun Classes
   6.9 Summary
7 Context and Inference
   7.1 Introduction
   7.2 Deixis
   7.3 Reference and Context
   7.4 Knowledge as Context
   7.5 Information Structure
   7.6 Inference
   7.7 Conversational Implicature
   7.8 Summary
8 Functions of Language: Speech as Action
   8.1 Introduction
   8.2 Austin's Speech Act Theory
   8.3 Categorizing Speech Acts
   8.4 Indirect Speech Acts
   8.5 Sentence Types
   8.6 Summary

Part III Theoretical Approaches

9 Meaning Components
   9.1 Introduction
   9.2 Lexical Relations in CA
   9.3 Katz's Semantic Theory
   9.4 Grammatical Rules and Semantic Components
   9.5 Components and Conflation Patterns
   9.6 Jackendoff's Conceptual Structure
   9.7 Pustejovsky's Generative Lexicon
   9.8 Problems with Components of Meaning
   9.9 Summary
10 Formal Semantics
   10.1 Introduction
   10.2 Model-Theoretical Semantics
   10.3 Translating English into a Logical Metalanguage
   10.4 The Semantics of the Logical Metalanguage
   10.5 Checking the Truth-Value of Sentences
   10.6 Word Meaning: Meaning Postulates
   10.7 Natural Language Quantifiers and Higher Order Logic
   10.8 Intensionality
   10.9 Dynamic Approaches to Discourse
   10.10 Summary
11 Cognitive Semantics
   11.1 Introduction
   11.2 Metaphor
   11.3 Metonymy
   11.4 Image Schemas
   11.5 Polysemy
   11.6 Mental Spaces
   11.7 Langacker's Cognitive Grammar
   11.8 Summary

 ・ Saeed, John I. Semantics. 3rd ed. Malden, MA: Wiley-Blackwell, 2009.

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2016-08-31 Wed

#2683. Huang の語用論概説書の目次 [toc][pragmatics]

 概説書の目次シリーズ (toc) に,語用論のテキストとして定評のある Huang を加えたい.主として英語の語用論を扱っているものの,諸言語への言及も多く,丁寧で読みやすいテキストである.以下の目次では省いているが,各章末に "Key concepts", "Exercises and essay questions", "Further readings" が付されており,役立つことを付け加えておく.

1. Introduction
   1.1. What is pragmatics?
      1.1.1. A definition
      1.1.2. A brief history of pragmatics
      1.1.3. Two main schools of thought in pragmatics: Anglo-American versus European Continental
   1.2. Why pragmatics?
      1.2.1. Linguistic underdeterminacy
      1.2.2. Simplification of semantics and syntax
   1.3 Some basic notions in semantics and pragmatics
      1.3.1 Sentence, utterance, proposition
      1.3.2. Context
      1.3.3. Truth value, truth condition, entailment
   1.4 Organization of the book

Part I Central topics in pragmatics
2. Implicature
   2.1. Classical Gricean theory of conversational implicature
      2.1.1. The co-operative principle and the maxims of conversation
      2.1.2. Relationship between the speaker and the maxims
      2.1.3. Conversational implicatureO versus conversational implicatureF
      2.1.4. Generalized versus particularized conversational implicature
      2.1.5. Properties of conversational implicature
   2.2. Two neo-Gricean pragmatic theories of conversational implicature
      2.2.1. The Hornian system
      2.2.2. The Levinsonian system
   2.3. Conventional implicature
      2.3.1. What is conventional implicature?
      2.3.2. Properties of conventional implicature
   2.4. Summary
3. Presupposition
   3.1. What is presupposition?
   3.2. Properties of presupposition
      3.2.1. Constancy under negation
      3.2.2. Defeasibility
      3.2.3. The projection problem
   3.3. Analyses
      3.3.1. The filtering-satisfaction analysis
      3.3.2. The cancellation analysis
      3.3.3. The accommodation analysis
   3.4. Summary
4. Speech acts
   4.1. Performatives versus constatives
      4.1.1. The performative/constative dichotomy
      4.1.2. The performative hypothesis
   4.2. Austin's felicity conditions on performatives
   4.3. Locutionary, illocutionary, and perlocutionary speech acts
   4.4. Searle's felicity conditions on speech acts
   4.5. Searle's typology of speech acts
   4.6. Indirect speech acts
      4.6.1. What is an indirect speech act?
      4.6.2. How is an indirect speech act analysed?
      4.6.3. Why is an indirect speech act used? Some remarks on politeness
   4.7. Speech acts and culture
      4.7.1. Cross-cultural variation
      4.7.2. Interlanguage variation
   4.8. Summary
5. Deixis
   5.1. Preliminaries
      5.1.1. Deictic versus non-deictic expression
      5.1.2. Gestural versus symbolic use of a deictic expression
      5.1.3. Deictic centre and deictic projection
   5.2. Basic categories of deixis
      5.2.1 Person deixis
      5.2.2. Time deixis
      5.2.3. Space deixis
   5.3. Other categories of deixis
      5.3.1. Social deixis
      5.3.2. Discourse deixis
   5.4. Summary

Part II Pragmatics and its interfaces
6. Pragmatics and cognition: relevance theory
   6.1. Relevance
      6.1.1. The cognitive principle of relevance
      6.1.2. The communicative principle of relevance
   6.2. Explicature, implicature, and conceptual versus procedural meaning
      6.2.1. Grice: what is said versus what is implicated
      6.2.2. Explicature
      6.2.3. Implicature
      6.2.4. Conceptual versus procedural meaning
   6.3. From Fodorian 'central process' to submodule of 'theory of mind'
      6.3.1. Fodorian theory of cognitive modularity
      6.3.2. Sperber and Wilson's earlier position: pragmatics as Fodorian 'central process'
      6.3.3. Sperber and Wilson's current position: pragmatics as submodule of 'theory of mind'
   6.4. Relevance theory compared with classical/neo-Gricean theory
   6.5. Summary
7. Pragmatics and semantics
   7.1. Reductionism versus complementarism
   7.2. Drawing the semantics-pragmatics distinction
      7.2.1. Truth-conditional versus non-truth-conditional meaning
      7.2.2. Conventional versus non-conventional meaning
      7.2.3. Context independence versus context dependence
   7.3. Pragmatic intrusion into what is said and the semantics-pragmatics interface
      7.3.1. Grice: what is said versus what is implicated revisited
      7.3.2. Relevance theorists: explicature
      7.3.3. Recanati: the pragmatically enriched said
      7.3.4. Bach: conversational implicature
      7.3.5. Can explicature/the pragmatically enriched said/implicature be distinguished from implicature?
      7.3.6. Levinson: conversational implicature
      7.3.7. The five analyses compared
   7.4. Summary
8. Pragmatics and syntax
   8.1. Chomsky's views about language and linguistics
   8.2. Chomsky's binding theory
   8.3. Problems for Chomsky's binding theory
      8.3.1. Binding condition A
      8.3.2. Binding condition B
      8.3.3. Complementarity between anaphors and pronominals
      8.3.4. Binding condition C
   8.4. A revised neo-Gricean pragmatic theory of anaphora
      8.4.1. The general pattern of anaphora
      8.4.2. A revised neo-Gricean pragmatic apparatus for anaphora
      8.4.3. The binding patterns
      8.4.4. Beyond the binding patterns
      8.4.5. Logophoricity and emphaticness/contrastiveness
   8.5. Theoretical implications
   8.6. Summary


 ・ Huang, Yan. Pragmatics. Oxford: OUP, 2007.

Referrer (Inside): [2016-09-06-1]

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2016-04-15 Fri

#2545. Wardhaugh の社会言語学概説書の目次 [toc][sociolinguistics][hel_education]

 目次を掲げるシリーズ (toc) に,社会言語学を追加したい.今回は,Wardhaugh の社会言語学概説書より.各章末に "Further Reading" の節がついているが,以下では軒並み省略した.うまくできている目次というのは全体が体系的で,章節名もそのままキーワードとなっているので,暗記学習に適している.

   1 Introduction
      Knowledge of Language
      Variation
      Language and Society
      Sociolinguistics and the Sociology of Language
      Methodological Concerns
      Overview

Part I Languages and Communities

   2 Languages, Dialects, and Varieties
      Language or Dialect?
      Standardization
      Regional Dialects
      Social Dialects
      Styles, Registers, and Beliefs

   3 Pidgins and Creoles
      Lingua Francas
      Definitions
      Distribution and Characteristics
      Origins
      From Pidgin to Creole and Beyond

   4 Codes
      Diglossia
      Bilingualism and Multilingualism
      Code-Switching
      Accommodation

   5 Speech Communities
      Definitions
      Intersecting Communities
      Networks and Repertoires

Part II Inherent Variety

   6 Language Variation
      Regional Variation
      The Linguistic Variable
      Social Variation
      Data Collection and Analysis

   7 Some Findings and Issues
      An Early Study
      New York City
      Norwich and Reading
      A Variety of Studies
      Belfast
      Controversies

   8 Change
      The Traditional View
      Some Changes in Progress
      The Process of Change

Part III Words at Work

   9 Words and Culture
      Whorf
      Kinship
      Taxonomies
      Color
      Prototypes
      Taboo and Euphemism

   10 Ethnographies
      Varieties of Talk
      The Ethnography of Speaking
      Ethnomethodology

   11 Solidarity and Politeness
      Tu and Vous
      Address Terms
      Politeness

   12 Talk and Action
      Speech Acts
      Cooperation
      Conversation

   13 Gender
      Differences
      Possible Explanations

   14 Disadvantage
      Codes Again
      African American English
      Consequences for Education

   15 Planning
      Issues
      A Variety of Situations
      Further Examples
      Winners and Losers


 ・ Wardhaugh, Ronald. An Introduction to Sociolinguistics. 6th ed. Malden: Blackwell, 2010.

Referrer (Inside): [2022-04-29-1] [2022-03-10-1]

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2016-02-16 Tue

#2486. 文字解読の歴史 [review][toc][writing][medium][history_of_linguistics][grammatology]

 「#2427. 未解読文字」 ([2015-12-19-1]) の記事で触れたように,未解読文字の解読にはロマンがある.解読成功者の解読プロセスを紹介する書は一級のミステリー小説といってよく,実際に数多く出版されている.多くの文字体系を扱っており読みやすいという点では,矢島(著)がおすすめである.その目次を挙げると,雰囲気をつかめるだろう.

 ・ ロゼッタ石を読む
 ・ 古代ペルシアの楔形文字
 ・ ベヒストゥン岩壁の刻文
 ・ 楔形文字で書かれた「ノアの方舟」
 ・ シュメール文明の再発見
 ・ 古代の大帝国ヒッタイトの文字
 ・ シナイ文字とアルファベットの起源
 ・ エトルリア語の謎
 ・ 東地中海の古代文字
 ・ クレタ=ミケーネ文字の発見
 ・ 線文字Bと建築家ヴェントリス
 ・ シベリアで見つかった古代トルコ文字
 ・ 甲骨文字と殷文明
 ・ カラホト遺跡の西夏文字
 ・ 古代インディオの諸文字
 ・ インダス文字とイースター文字
 ・ ファイストスの円盤と線文字A
 ・ ルーン文字とオガム文字
 ・ 梵字の起源とパスパ文字
 ・ 最古の文字はどこまでたどれるか
 ・ 古代文字はいかに解読されるか

 矢島 (234) は,最終章「古代文字はいかに解読されるか」で,現在までの世界の文字解読の歴史を4段階に分けている.

 (1) 手さぐりの時代(一八世紀以前)
 (2) ロマン主義の時代(一九世紀)
 (3) 宝さがしの時代(二〇世紀前半)
 (4) 科学的探究の時代(二〇世紀後半)


 よく特徴をとらえた時代区分である.文字解読がロマンを誘うのは,それが否応なく異国情緒と重なるからだろうが,(2) の「ロマン主義の時代」の背景には,「ヨーロッパ大国の東方への視線,端的にいえば植民地主義競争」 (239) があったことは疑いない.Jean-François Champollion (1790--1832) のロゼッタ石 (Rosetta stone) の解読には仏英の争いが関わっているし,楔形文字解読に貢献した Sir Henry Creswicke Rawlinson (1810--95) も大英帝国の花形軍人だった.
 (3) の時代は,世界的に考古学的な大発見が相次いだことと関係する.クレタ島,ヒッタイト,バビロニア,エジプト,中央アジア,西夏,殷墟の発掘により,続々と新しい文字が発見されては解読の試みに付されていった.
 現代に続く (4) の時代は,前の時代のように個人の学者が我一番と解読に挑むというよりは,研究者集団が,統計技術やコンピュータを駆使して暗号を解くかのようにして未解読文字に向かう時代である.言語学,統計学,暗号解読の手法を用いながら調査・研究を進めていく世の中になった.もはや文字解読の「ロマン主義」の時代とは言えずとも,依然としてロマンそのものは残っているのである.

 ・ 矢島 文夫 『解読 古代文字』 筑摩書房,1999.

Referrer (Inside): [2018-11-26-1] [2016-09-16-1]

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2015-01-15 Thu

#2089. Baugh and Cable の英語史概説書の目次 [historiography][hel_education][toc]

 「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]),「#2038. Fennell の英語史概説書の目次」 ([2014-11-25-1]),「#2050. Knowles の英語史概説書の目次」 ([2014-12-07-1]) に続き,英語史概説書の目次を抜粋するシリーズ.今回は,6版を重ねる英語史の古典的かつ現役の名著 Baugh and Cable の A History of the English Language より.私が学生のときに読んだのは古い版だったが,英語の読みやすさと引き込むような文体で英語史の魅力にとりつかれた.
 2013年に出版された最新版6版では,現代英語と英語の未来を扱う1章と12章に大幅な改訂と追加が見られるほか,初期近代英語の章でコーパス言語学の成果を紹介するなど,英語史研究の進展に沿ったヴァージョンアップがなされている.私自身による読み上げ音声ファイルはこちら

1 English Present and Future
   1. The History of the English Language as a Cultural Subject
   2. Influences at Work on Language
   3. Growth and Decay
   4. The Importance of a Language
   5. The Importance of English
   6. The Future of the English Language: Demography
   7. External and Internal Aspects of English
   8. Cosmopolitan Vocabulary
   9. Inflectional Simplicity
   10. Natural Gender
2 The Indo-European Family of Languages
   11. Language Constantly Changing
   12. Dialectal Differentiation
   13. The Discovery of Sanskrit
   14. Grimm's Law
   15. The Indo-European Family
   16. Indian
   17. Iranian
   18. Armenian
   19. Hellenic
   20. Albanian
   21. Italic
   22. Balto-Slavic
   23. Germanic
   24. Celtic
   25. Twentieth-century Discoveries
   26. The Home of the Indo-Europeans
3 Old English
   27. The Languages in England before English
   28. The Romans in Britain
   29. The Roman Conquest
   30. Romanization of the Island
   31. The Latin Language in Britain
   32. The Germanic Conquest
   33. Anglo-Saxon Civilization
   34. The Names "England" and "English"
   35. The Origin and Position of English
   36. The Periods in the History of English
   37. The Dialects of Old English
   38. Old English Pronunciation
   39. Old English Vocabulary
   40. Old English Grammar
   41. The Noun
   42. Grammatical Gender
   43. The Adjective
   44. The Definite Article
   45. The Personal Pronoun
   46. The Verb
   47. The Language Illustrated
   48. The Resourcefulness of the Old English Vocabulary
   49. Self-explaining Compounds
   50. Prefixes and Suffixes
   51. Syntax and Style
   52. Old English Literature
4 Foreign Influences on Old English
   53. The Contact of English with Other Languages
   54. The Celtic Influence
   55. Celtic Place-Names and Other Loanwords
   56. Three Latin Influences on Old English
   57. Chronological Criteria
   58. Continental Borrowing (Latin Influence of the Zero Period)
   59. Latin through Celtic Transmission (Latin Influence of the First Period)
   60. Latin Influence of the Second Period: The Christianizing of Britain
   61. Effects of Christianity on English Civilization
   62. The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary
   63. The Benedictine Reform
   64. Influence of the Benedictine Reform on English
   65. The Application of Native Words to New Concepts
   66. The Extent of the Influence
   67. The Scandinavian Influence: The Viking Age
   68. The Scandinavian Invasions of England
   69. The Settlement of the Danes in England
   70. The Amalgamation of the Two Peoples
   71. The Relation of the Two Languages
   72. The Tests of Borrowed Words
   73. Scandinavian Place-names
   74. The Earliest Borrowing
   75. Scandinavian Loanwords and Their Character
   76. The Relation of Borrowed and Native Words
   77. Form Words
   78. Scandinavian Influence outside the Standard Speech
   79. Effect on Grammar and Syntax
   80. Period and Extent of the Influence
5 The Norman Conquest and the Subjection of English, 1066--1200
   81. The Norman Conquest
   82. The Origin of Normandy
   83. The Year 1066
   84. The Norman Settlement
   85. The Use of French by the Upper Class
   86. Circumstances Promoting the Continued Use of French
   87. The Attitude toward English
   88. French Literature at the English Court
   89. Fusion of the Two Peoples
   90. The Diffusion of French and English
   91. Knowledge of English among the Upper Class
   92. Knowledge of French among the Middle Class
6 The Reestablishment of English, 1200--1500
   93. Changing Conditions after 1200
   94. The Loss of Normandy
   95. Separation of the French and English Nobility
   96. French Reinforcements
   97. The Reaction against Foreigners and the Growth of National Feeling
   98. French Cultural Ascendancy in Europe
   99. English and French in the Thirteenth Century
   100. Attempts to Arrest the Decline of French
   101. Provincial Character of French in England
   102. The Hundred Years' War
   103. The Rise of the Middle Class
   104. General Adoption of English in the Fourteenth Century
   105. English in the Law Courts
   106. English in the Schools
   107. Increasing Ignorance of French in the Fifteenth Century
   108. French as a Language of Culture and Fashion
   109. The Use of English in Writing
   110. Middle English Literature
7 Middle English
   111. Middle English a Period of Great Change
   112. From Old to Middle English
   113. Decay of Inflectional Endings
   114. The Noun
   115. The Adjective
   116. The Pronoun
   117. The Verb
   118. Losses among the Strong Verbs
   119. Strong Verbs That Became Weak
   120. Survival of Strong Participles
   121. Surviving Strong Verbs
   122. Loss of Grammatical Gender
   123. Middle English Syntax
   124. French Influence on the Vocabulary
   125. Governmental and Administrative Words
   126. Ecclesiastical Words
   127. Law
   128. Army and Navy
   129. Fashion, Meals, and Social Life
   130. Art, Learning, Medicine
   131. Breadth of the French Influence
   132. Anglo-Norman and Central French
   133. Popular and Literary Borrowings
   134. The Period of Greatest Influence
   135. Assimilation
   136. Loss of Native Words
   137. Differentiation in Meaning
   138. Curtailment of OE Processes of Derivation
   139. Prefixes
   140. Suffixes
   141. Self-explaining Compounds
   142. The Language Still English
   143. Latin Borrowings in Middle English
   144. Aureate Terms
   145. Synonyms at Three Levels
   146. Words from the Low Countries
   147. Dialectal Diversity of Middle English
   148. The Middle English Dialects
   149. The Rise of Standard English
   150. The Importance of London English
   151. The Spread of the London Standard
   152. Complete Uniformity Still Unattained
8 The Renaissance, 1500--1650
   153. From Middle English to Modern
   154. The Great Vowel Shift
   155. Weakening of Unaccented Vowels
   156. Changing Conditions in the Modern Period
   157. Effect upon Grammar and Vocabulary
   158. The Problems of the Vernaculars
   159. The Struggle for Recognition
   160. The Problem of Orthography
   161. The Problem of Enrichment
   162. The Opposition to Inkhorn Terms
   163. The Defense of Borrowing
   164. Compromise
   165. Permanent Additions
   166. Adaptation
   167. Reintroductions and New Meanings
   168. Rejected Words
   169. Reinforcement through French
   170. Words from the Romance Languages
   171. The Method of Introducing New Words
   172. Enrichment from Native Sources
   173. Methods of Interpreting the New Words
   174. Dictionaries of Hard Words
   175. Nature and Extent of the Movement
   176. The Movement Illustrated in Shakespeare
   177. Shakespeare's Pronunciation
   178. Changes Shown through Corpus Linguistics
   179. Grammatical Features
   180. The Noun
   181. The Adjective
   182. The Pronoun
   183. The Verb
   184. Usage and Idiom
   185. General Characteristics of the Period
9 The Appeal to Authority, 1650--1800
   186. The Impact of the Seventeenth Century
   187. The Temper of the Eighteenth Century
   188. Its Reflection in the Attitude toward the Language
   189. "Ascertainment"
   190. The Problem of "Refining" the language
   191. The Desire to "Fix" the Language
   192. The Example of Italy and France
   193. An English Academy
   194. Swift's Proposal, 1712
   195. Objection to an Academy
   196. Substitutes for an Academy
   197. Johnson's Dictionary
   198. The Eighteenth-century Grammarians and Rhetoricians
   199. The Aims of the Grammarians
   200. The Beginnings of Prescriptive Grammar
   201. Methods of Approach
   202. The Doctrine of Usage
   203. Results
   204. Weakness of the Early Grammarians
   205. Attempts to Reform the Vocabulary
   206. Objections to Foreign Borrowings
   207. The Expansion of the British Empire
   208. Some Effects of Expansion on the Language
   209. Development of Progressive Verb Forms
   210. The Progressive Passive
10 The Nineteenth and Twentieth Centuries
   211. Influences Affecting the Language
   212. The Growth of Science
   213. Automobile, Film, Broadcasting, Computer
   214. The World Wars
   215. Language as a Mirror of Progress
   216. Sources of the New Words: Borrowings
   217. Self-explaining Compounds
   218. Compounds Formed from Greek and Latin Elements
   219. Prefixes and Suffixes
   220. Coinages
   221. Common Words from Proper Names
   222. Old Words with New Meanings
   223. The Influence of Journalism
   224. Changes of Meaning
   225. Slang
   226. Register
   227. Accent
   228. British and Irish English
   229. English World-Wide
   230. Pidgins and Creoles
   231. Spelling Reform
   232. Purist Efforts
   233. Gender Issues and Linguistic Change
   234. The Oxford English Dictionary
   235. Grammatical Tendencies
   236. Verb-adverb Combinations
   237. A Liberal Creed
11 The English Language in America
   238. The Settlement of America
   239. The Thirteen Colonies
   240. The Middle West
   241. The Far West
   242. Uniformity of American English
   243. Archaic Features in American English
   244. Early Changes in the Vocabulary
   245. National Consciousness
   246. Noah Webster and an American Language
   247. Webster's Influence on American Spelling
   248. Webster's Influence on American Pronunciation
   249. Pronunciation
   250. The American Dialects
   251. The Controversy over Americanisms
   252. The Purist Attitude
   253. Present Differentiation of Vocabulary
   254. American Words in General English
   255. Scientific Interest in American English
   256. American English and World English
12 The Twenty-first Century
   257. The Future of English: Three Circles
   258. How Many Speakers?
   259. Cross-linguistic Influence and the Spread of Languages
   260. The Relative Difficulty of Languages
   261. The Importance of Chinese
   262. India and the Second Circle
   263. The Expanding Circle
   264. Coming Full Circle


 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

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2014-12-07 Sun

#2050. Knowles の英語史概説書の目次 [historiography][hel_education][toc]

 「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]),「#2038. Fennell の英語史概説書の目次」 ([2014-11-25-1]) に続き,社会言語学的な観点を多分に含んだもう1つの読みやすい英語史書,Gerry Knowles 著 A Cultural History of the English Language の目次を掲げる.歴史社会言語学的な立場からの英語史概説書を紹介する機会が多いが,個人的には今や古典といってよい,筋金入りの構造主義路線をいく Strang や特異な言語史観をもつ Görlach なども本当は好きである.それでも個別言語史は話者(集団)の歴史,いわゆる外面史とともに記述するのが原則だろうとは思っている.
 Knowles の章節のタイトルを見ていくと,Jespersen の Growth and Structure of the English Language を彷彿させるところがある.社会史としての英語史の流れが簡潔にとらえられる目次だ.Knowles に言及した過去の記事も参照されたい.

1 Introduction
   1.1 An outline history
   1.2 Language and social change
   1.3 Language, evolution and progress
   1.4 Language and myth
   1.5 Language superiority
2 The origins of the English language
   2.1 The linguistic geography of Europe
   2.2 Language in Britain
   2.3 Early English
   2.4 The survival of Celtic
   2.5 The British people
3 English and Danish
   3.1 Old English and Old Norse
   3.2 Norse immigration
   3.3 The Anglo-Saxon written tradition
   3.4 English in the Danelaw
   3.5 Norse influence on English
4 English and French
   4.1 England and France
   4.2 Literacy in the medieval period
   4.3 The reemergence of English
   4.4 English under French influence
   4.5 Printing
5 English and Latin
   5.1 The Lollards
   5.2 Classical scholarship
   5.3 Scholarly writing in English
   5.4 The English Bible
   5.5 The legacy of Latin
6 The language of England
   6.1 Saxon English
   6.2 The language arts
   6.3 English spelling and pronunciation
   6.4 The study of words
   6.5 Elizabethan English
7 The language of revolution
   7.1 The Norman yoke
   7.2 The Bible and literacy
   7.3 Language, ideology and the Bible
   7.4 The intellectual revolution
   7.5 The linguistic outcome of the English revolution
8 The language of learned and polite persons
   8.1 Language and science
   8.2 The improving language
   8.3 The uniform standard
   8.4 A controlled language
   8.5 A bourgeois language
9 The language of Great Britain
   9.1 The codification of Standard English
   9.2 London and the provinces
   9.3 English beyond England
   9.4 English pronunciation
   9.5 Change in Standard English
10 The language of empire
   10.1 The international spread of English
   10.2 The illustrious past
   10.3 Working-class English
   10.4 The standard of English pronunciation
   10.5 Good English
11 Conclusion
   11.1 The aftermath of empire
   11.2 English in the media
   11.3 Speech and language technology
   11.4 The information superhighway
   11.5 English in the future


 ・ Knowles, Gerry. A Cultural History of the English Language. London: Arnold, 1997.
 ・ Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970.
 ・ Görlach, Manfred. The Linguistic History of English. Basingstoke: Macmillan, 1997.
 ・ Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Chicago: U of Chicago, 1982.

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2014-11-25 Tue

#2038. Fennell の英語史概説書の目次 [historiography][hel_education][toc][flash]

 「#2007. Gramley の英語史概説書の目次」 ([2014-10-25-1]) に続き,英語史概説書の目次を挙げて,英語史 (a history of English) を数分で俯瞰するというシリーズの第2弾.Fennell (2001) は,本ブログでもたびたび参照してきた英語史概説書であり,歴史社会言語学的なアプローチに特徴がある.ある書評を読むと,"A Sociolinguistic Approach" という副題の割には,とりわけ古い時代における社会言語学的な扱いは弱く,体系的でもないという.一方で,最後の3章,後期近代英語以降の各章では社会言語学的な洞察が光っており,読むに値するという評価がある.私もおよそこの評価に同意する.新しい洞察がどれだけあるかといえば必ずしも多くはないかもしれないが,近代以前の時代についても社会言語学的に興味深い話題をいくつか提供しており,社会言語学的に英語史を眺めるとどうなるかという試みとしてはよいのではないかと好意的に見ている.社会言語学寄りとはいえ伝統的な構造言語学的な記述も多いので,その他の定評のある英語史概説書を1, 2冊読んだ上で読むのに適するのではないか.ノードの開閉もできる Flash 版ももどうぞ.

1 Introduction
   1.1 The Time Periods of English
   1.2 Language Change
   1.3 Sources of Information on Language Change
   1.4 Linguistic Preliminaries
   1.5 The Sounds of English, and Symbols Used to Describe Them
      1.5.1 Consonants
      1.5.2 Vowels
         1.5.2.1 Monophthongs
         1.5.2.2 Diphthongs
   1.6 Structure of the Book
2 The Pre-history of English
   Timeline: The Indo-European Period
   2.1 The Indo-European Languages and Linguistic Relatedness
      2.1.1 The Beginnings
      2.1.2 The Development of Historical Linguistics
      2.1.3 Genetic Relatedness
   2.2 Linguistic Developments: The Indo-European Language Family
      2.2.1 Family-Tree Relationships
      2.2.2 The Indo-European Family
         2.2.2.1 Indo-Iranian
         2.2.2.2 Armenian
         2.2.2.3 Albanian
         2.2.2.4 Balto-Slavonic
         2.2.2.5 Hellenic
         2.2.2.6 Italic
         2.2.2.7 Celtic
         2.2.2.8 Germanic
   2.3 From Indo-European to Germanic
         2.3.1 Prosody
         2.3.2 The Consonant System: Sound Shifts
            2.3.2.1 Grimm's Law
            2.3.2.2 Verner's Law
            2.3.2.3 The Second Consonant Shift
         2.3.3 The Vowel System
         2.3.4 Morphology
         2.3.5 Syntax
         2.3.6 Lexicon
         2.3.7 Semantics
         2.3.8 Indo-European/Germanic Texts
         2.3.9 Neogrammarians, Structuralists and Contemporary Linguistic Models
   2.4 Typological Classification
      2.4.1 Universals
         2.4.1.1 Syntactic Universals
      2.4.2 Morphological Typology
   2.5 Sociolinguistic Focus. The Indo-European Tribes and the Spread of Language. Language Contact and Language Change. Archaeological Linguistics
      2.5.1 Language Contact
      2.5.2 Archaeological Linguistics
   2.6 Conclusion
3 Old English
   Timeline: The Old English Period
   3.1 Social and Political History
      3.1.1 Britain before the English
      3.1.2 The Anglo-Saxon Invasions
      3.1.3 Anglo-Saxon Influence
      3.1.4 Scandinavian Influence
   3.2 Linguistic Developments: The Sounds, Structure and Typology of Old English
      3.2.1 The Structure of Old English
         3.2.1.1 OE Consonants
         3.2.1.2 Vowels: from Germanic to Old English
         3.2.1.3 Old English Gender
         3.2.1.4 Inflection in Old English
         3.2.1.5 Old English Syntax
         3.2.1.6 Old English Vocabulary
   3.3 Linguistic and Literary Achievements
      3.3.1 Texts
         3.3.1.1 Prose
         3.3.1.2 Poetry
   3.4 The Dialects of Old English
   3.5 Sociolinguistic Focus
      3.5.1 Language Contact
         3.5.1.1 Latin and Celtic
         3.5.1.2 The Scandinavians
4 Middle English
   Timeline: The Middle English Period
   4.1 Social and Political History
      4.1.1 Political History: The Norman Conquest to Edward I
      4.1.2 Social History
         4.1.2.1 The Establishment of Towns and Burghs and the Beginnings of Social Stratification
   4.2 Linguistic Developments: Middle English Sounds and Structure, with Particular Emphasis on the Breakdown of the Inflectional System and its Linguistic Typological Implications
      4.2.1 Major Changes in the Sound System
         4.2.1.1 The Consonants
         4.2.1.2 Consonant Changes from Old to Middle English
         4.2.1.3 Vowels in Stressed Syllables
         4.2.1.4 Vowels in Unstressed Syllables
         4.2.1.5 Lengthening and Shortening
         4.2.1.6 Summary Table of Vowel Changes from Old to Middle English
         4.2.1.7 The Formation of Middle English Diphthongs
      4.2.2 Major Morphological Changes from Old to Middle English
         4.2.2.1 Loss of Inflections
         4.2.2.2 Other Changes in the Morphological System
         4.2.2.3 Verbs
      4.2.3 Middle English Syntax
         4.2.3.1 Word Order
      4.2.4 The Lexicon: Loan Words from French
         4.2.4.1 Numbers and Parts of the Body
         4.2.4.2 Two French Sources
   4.3 Middle English Dialects
      4.3.1 Linguistic and Literary Achievements
         4.3.1.1 Middle English Literature
      4.3.2 Language
      4.3.3 Genre
   4.4 Sociolinguistic Focus: Social Stratification, Multilingualism and Dialect Variation. Language Contact: The Myth of Middle English Creolization
      4.4.1 English Re-established
         4.4.1.1 Language and the Rise of the Middle Class
      4.4.2 The Development of Standard English
         4.4.2.1 The Evolution of ME 'Standard' English
      4.4.3 Middle English Creolization: Myth?
         4.4.3.1 Definitions
         4.4.3.2 Pidgins and Creoles in England?
   4.5 Conclusion
5 Early Modern English
   Timeline: The Early Modern English Period
   5.1 Social and Political History
      5.1.1 Historical and Political Background
         5.1.1.1 Internal Instability and colonial Expansion
   5.2 Linguistic Developments: The Variable Character of Early Modern English
      5.2.1 Phonology
         5.2.1.1 Consonants
         5.2.1.2 Vowels
         5.2.1.3 The Great Vowel Shift
      5.2.2 Morphology
         5.2.2.1 Nouns
         5.2.2.2 Pronouns
         5.2.2.3 Adjectives and Adverbs
         5.2.2.4 Verbs
         5.2.2.5 The Spread of Northern Forms
      5.2.3 Syntax
         5.2.3.1 Periphrastic do
         5.2.3.2 Progressive Verb Forms
         5.2.3.3 Passives
      5.2.4 Sample Text
      5.2.5 Vocabulary
      5.2.6 The Anxious State of English: The Search for Authority
         5.2.6.1 Dictionaries and the Question of Linguistic Authority: Swift's and Johnson's View of Language
   5.3 Linguistic and Literary Achievement
   5.4 Sociolinguistic Focus
      5.4.1 Variation in Early Modern English
      5.4.2 Standardization
         5.4.2.1 The Printing Press
         5.4.2.2 The Renaissance and the Protestant Reformation
         5.4.2.3 English Established
      5.4.3 The Great Vowel Shift
         5.4.3.1 Phonological Change
      5.4.4 Case Study: Power and Solidarity Relations in Early Modern English
   5.5 Conclusion
6 Present-Day English
   Timeline: Present-Day English
   Introduction
   6.1 Social and Political History
      6.1.1 The Age of Revolutions, Wars and Imperialism
      6.1.2 Urbanization, Industrialization and Social Stratification
   6.2 Linguistic Developments
      6.2.1 Morphology and Syntax
         6.2.1.1 Morphology
         6.2.1.2 Syntax
      6.2.2 The Lexicon
         6.2.2.1 Colonialism, Contact and Borrowings
         6.2.2.2 Neologisms
         6.2.2.3 Illustrative Texts
   6.3 Modern English Dialects
      6.3.1 Traditional Dialects
      6.3.2 Modern Dialects
      6.3.3 Received Pronunciation (RP): The Social Background
         6.3.3.1 Characteristics of RP
      6.3.4 RP, Estuary English and 'the Queen's English'
   6.4 Sociolinguistic Focus: English in Scotland, Ireland and Wales --- Multilingualism in Britain
      6.4.1 English in the British Isles
         6.4.1.1 English in Scotland
         6.4.1.2 English in Wales
         6.4.1.3 English in Ireland
      6.4.2 Immigrant Varieties of English in Britain
         6.4.2.1 Immigration to Britain in the PDE Period
         6.4.2.2 Colonial Immigration and Language
7 English in the United States
   Timeline: America in the Modern Period
   7.1 Social and Political History
      7.1.1 Settlement and Language
      7.1.2 Settlement by Region
         7.1.2.1 The Original Thirteen Colonies
         7.1.2.2 The Middle West
         7.1.2.3 The South and West
   7.2 The Development of American English
      7.2.1 The Strength and maintenance of Dialect Boundaries
      7.2.2 How, Why and When American English Began to Diverge from British English
         7.2.2.1 Physical Separation
         7.2.2.2 The Different Physical Conditions Encountered by the Settlers
         7.2.2.3 Contact with Immigrant Non-Native Speakers of English
         7.2.2.4 Developing Political Differences and the Growing American Sense of National Identity
   7.3 Language Variation in the United States
      7.3.1 Uniformity and Diversity in Early American English
      7.3.2 Regional Dialect Divisions in American English
         7.3.2.1 The Lexicon
         7.3.2.2 Phonology: Consonants
         7.3.2.3 Phonology: Vowels
      7.3.3 Social and Ethnic Dialects
         7.3.3.1 Social Class and Language Change
         7.3.3.2 Ethnicity
         7.3.3.3 African-American Vernacular English
         7.3.3.4 Traditional Dialects and the Resistance to Change
8 World-Wide English
   Timeline: World-Wide English
   8.1 Social and Political History: The Spread of English across the Globe
      8.1.1 British Colonialism
         8.1.1.1 Canada
         8.1.1.2 The Caribbean
         8.1.1.3 Australia
         8.1.1.4 New Zealand
         8.1.1.5 South Africa
         8.1.1.6 South Asia
         8.1.1.7 Former Colonial Africa: West Africa
         8.1.1.8 East Africa
         8.1.1.9 South-East Asia and South Pacific
      8.1.2 An Overview of the Use of English throughout the World
   8.2 English as a Global language
      8.2.1 The Industrial Revolution
      8.2.2 American Economic Superiority and Political Leadership
      8.2.3 American Technological Domination
      8.2.4 The Boom in English language Teaching
      8.2.5 The Need for a Global Language
      8.2.6 Structural Considerations
      8.2.7 Global and at the Same Time Local
   8.3 English as a Killer Language
      8.3.1 Language Death
      8.3.2 Language and Communication Technology
   8.4 The Future of English


 ・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.

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2014-10-25 Sat

#2007. Gramley の英語史概説書の目次 [historiography][hel_education][toc]

 概説書の目次というのは,その分野の全体像を見渡すのにうってつけである.英語史概説書も例外ではない.例えば,「#1301. Gramley の英語史概説書のコンパニオンサイト」 ([2012-11-18-1]) で紹介した The History of English: An Introduction の目次を取り上げよう.Gramley の英語史概説書コンパニオンサイトこちらのページより目次が得られるので,以下そこから目次の章立ての部分のみを抜き出したものを転載する.

Chapter 1: The origins of English (before 450)
   1.1. The origins of human language
   1.2. Language change
   1.3. Changes in Germanic before the invasions of Britain
   1.4. The world of the Germanic peoples
   1.5. The Germanic migrations
   1.6. Summary
Chapter 2: Old English: early Germanic Britain (450--700)
   2.1. The first peoples
   2.2. The Germanic incursions
   2.3. Introduction to Old English
   2.4. The Christianization of England
   2.5. Literature in the early Old English period
   2.6. Summary
Chapter 3: Old English: the Viking invasions and their consequences (700--1066/1100)
   3.1. The Viking invasions
   3.2. Linguistic influence of Old Norse
   3.3. Creolization
   3.4. Alfred's reforms and the West Saxon standard
   3.5. Monastic reform, linguistic developments, and literary genres
   3.6. Summary
Chapter 4: Middle English: The non-standard period (1066/1100--1350)
   4.1. Dynastic conflict and the Norman Conquest
   4.2. Linguistic features of Middle English in the non-standard period
   4.3. French influence on Middle English and the question of creolization
   4.4. English literature
   4.5. Dialectal diversity in ME
   4.6. Summary
Chapter 5: Middle English: the emergence of Standard English (1350--1500)
   5.1. Political and social turmoil and demographic developments
   5.2. The expansion of domains
   5.3. Chancery English (Chancery Standard)
   5.4. Literature
   5.5. Variation
   5.6 Summary
Chapter 6: The Early Modern English Period (1500--1700)
   6.1. The Early Modern English Period
   6.2. Early Modern English
   6.3. Regulation and codification
   6.4. Religious and scientific prose and belles lettres
   6.5. Variation: South and North
   6.6. Summary
Chapter 7: The spread of English (since the late sixteenth century)
   7.1. Social-historical background
   7.2. Language policy
   7.3. The emergence of General English (GenE)
   7.4. Transplantation
   7.5. Linguistic correlates of European expansionism
   7.6. Summary
Chapter 8: English in Great Britain and Ireland (since 1700)
   8.1. Social and historical developments in Britain and Ireland
   8.2. England and Wales
   8.3. Scotland
   8.4. Ireland
   8.5. Urban varieties
   8.6. Summary
Chapter 9: English pidgins, English creoles, and English (since the early seventeenth century)
   9.1. European expansion and the slave trade
   9.2. Language contact
   9.3. Pidgins
   9.4. Creoles
   9.5. Theories of origins
   9.6 Summary
Chapter 10: English in North America (since the early seventeenth century)
   10.1. The beginnings of English in North America
   10.2. Colonial English
   10.3. Development of North American English after American independence
   10.4. Ethnic variety within AmE
   10.5. Summary
Chapter 11: English in the ENL communities of the Southern Hemisphere (since 1788)
   11.1. Social-historical background
   11.2. Southern Hemisphere English: grammar
   11.3. Southern Hemisphere English: pronunciation
   11.4. Southern Hemisphere English: vocabulary and pragmatics
   11.5. Regional and ethnic variation
   11.6. Summary
Chapter 12: English in the ESL countries of Africa and Asia (since 1795)
   12.1. English as a Second Language
   12.2. Language planning and policy
   12.3. Linguistic features of ESL
   12.4. Substrate influence
   12.5. Identitarian function of language
   12.6. Summary
Chapter 13: Global English (since 1945)
   13.1. The beginnings of Global English
   13.2. Media dominance
   13.3. Features of medialized language
   13.4. ENL, ESL, and ELF/EFL
   13.5. The identitarian role of the multiplicity of Englishes
   13.6. Summary


 近年の英語史概説書におよそ共有される特徴ではあるが,近現代の英語を巡る社会言語学的な記述や論考が目立つ.Gramley では,英語の諸変種(ピジン語やクレオール語を含め)について多くの紙幅が割かれており,とりわけ12--13章においてその内容が充実しているように思われる.また,ENL, ESL, ELF/EFL の区別にかかわらず英語が "identitarian role" を担っているという指摘が繰り返されている辺り,21世紀的な英語観が感じられる.社会言語学的な色彩の濃い英語史概説書として,Fennell と並んでお勧めしたい.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
 ・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.

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2014-10-11 Sat

#1993. Hickey による言語外的要因への慎重論 [causation][contact][language_change][history_of_linguistics][toc]

 昨日の記事「#1992. Milroy による言語外的要因への擁護」 ([2014-10-10-1]) を含め,ここ2週間余のあいだに言語接触や言語変化における言語外的要因の重要性について複数の記事を書いてきた (cf. [2014-09-25-1], [2014-09-26-1], [2014-10-04-1]) .今回は,視点のバランスを取るために,言語外的要因に対する慎重論もみておきたい.Hickey (195) は,自らが言語接触の入門書を編んでいるほどの論客だが,"Language Change" と題する文章で,言語接触による言語変化の説明について冷静な見解を示している.

   Already in 19th century Indo-European studies contact appears as an explanation for change though by and large mainstream Indo-Europeanists preferred language-internal accounts. One should stress that strictly speaking contact is not so much an explanation for language change as a suggestion for the source of a change, that is, it does not say why a change took place but rather where it came from. For instance, a language such as Irish or Welsh may have VSO as a result of early contact with languages also showing this word order. However, this does not explain how VSO arose in the first place (assuming that it is not an original word order for any language). The upshot of this is that contact accounts frequently just push back the quest for explanation a stage further.
   Considerable criticism has been levelled at contact accounts because scholars have often been all too ready to accept contact as a source, to the neglect of internal factors or inherited features within a language. This readiness to accept contact, particularly when other possibilities have not been given due consideration, has led to much criticism of contact accounts in the 1970s and 1980s . . . . However, a certain swing around can be seen from the 1990s onwards, a re-valorisation of language contact when considered from an objective and linguistically acceptable point of view as demanded by Thomason & Kaufman (1988) . . . .


 言語接触は,言語変化がなぜ生じたかではなく言語変化がどこからきたかを説明するにすぎず,究極の原因については何も語ってくれないという批判だ.究極の原因に関する限り,確かにこの批判は的を射ているようにも思われる.しかし,当該の言語変化の直接の「原因」とはいわずとも,間接的に引き金になっていたり,すでに別の原因で始まっていた変化に一押しを加えるなど,何らかの形で参与した「要因」として,より慎重にいえば「諸要因の1つ」として,ある程度客観的に指摘することのできる言語接触の事例はある.この控えめな意味における「言語外的要因」を擁護する風潮は,上の引用にもあるとおり,1990年代から勢いを強めてきた.振り子が振れた結果,言語接触や言語外的要因を安易に喧伝するきらいも確かにあるように思われ,その懸念もわからないではないが,昨日の記事で見たように言語内的要因をデフォルトとしてきた言語変化研究における長い伝統を思い起こせば,言語接触擁護派の攻勢はようやく始まったばかりのようにも見える.
 上に引用した Hickey の "Language Change" は,限られた紙幅ながらも,言語変化理論を手際よくまとめた良質の解説文である.以下,参考までに節の目次を挙げておく.

Introduction
Issues in language change
   Internal and external factors
   Simplicity and symmetry
   Iconicity and indexicality
   Markedness and naturalness
   Telic changes and epiphenomena
   Mergers and distinctions
   Possible changes
   Unidirectionality of change
   Ebb and flow
Change and levels of language
   Phonological change
   Morphological change
   Syntactic change
The study of universal grammar
   The principles and parameters model
Semantic change
Pragmatic change
Methodologies
   Comparative method
   Internal reconstruction
   Analogy
Sociolinguistic investigations
   Data collection method
   Genre variation and stylistics
Pathways of change
   Long-term change: Grammaticalization
   Large-scale changes: The typological perspective
Contact accounts
Language areas (Sprachbünde)
Conclusion


 ・ Hickey, Raymond. "Language Change." Variation and Change. Ed. Mirjam Fried et al. Amsterdam: Benjamins, 2010. 171--202.

Referrer (Inside): [2016-05-29-1] [2014-10-26-1]

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2014-09-23 Tue

#1975. 文法化研究の発展と拡大 (2) [grammaticalisation][unidirectionality][pragmatics][subjectification][invisible_hand][teleology][drift][reanalysis][iconicity][exaptation][terminology][toc]

 昨日の記事「#1974. 文法化研究の発展と拡大 (1)」 ([2014-09-22-1]) を受けて,文法化 (grammaticalisation) 研究の守備範囲の広さについて補足する.Bussmann (196--97) によると,文法化がとりわけ関心をもつ疑問には次のようなものがある.

(a) Is the change of meaning that is inherent to grammaticalization a process of desemanticization, or is it rather a case (at least in the early stages of grammaticalization) of a semantic and pragmatic concentration?
(b) What productive parts do metaphors and metonyms play in grammaticalization?
(c) What role does pragmatics play in grammaticalization?
(d) Are there any universal principles for the direction of grammaticalization, and, if so, what are they? Suggestions for such 'directed' principles include: (i) increasing schematicization; (ii) increasing generalization; (iii) increasing speaker-related meaning; and (iv) increasing conceptual subjectivity.


 昨日記した守備範囲と合わせて,文法化研究の潜在的なカバレッジの広さと波及効果の大きさを感じることができる.また,秋元 (vii) の目次より文法化理論に関連する用語を拾い出すだけでも,この分野が言語研究の根幹に関わる諸問題を含む大項目であることがわかるだろう.

第1章 文法化
1.1 序
1.2 文法化とそのメカニズム
1.2.1 語用論的推論 (Pragmatic inferencing)
1.2.2 漂白化 (Bleaching)
1.3 一方向性 (Unidirectionality)
1.3.1 一般化 (Generalization)
1.3.2 脱範疇化 (Decategorialization)
1.3.3 重層化 (Layering)
1.3.4 保持化 (Persistence)
1.3.5 分岐化 (Divergence)
1.3.6 特殊化 (Specialization)
1.3.7 再新化 (Renewal)
1.4 主観化 (Subjectification)
1.5 再分析 (Reanalysis)
1.6 クラインと文法化連鎖 (Grammaticalization chains)
1.7 文法化とアイコン性 (Iconicity)
1.8 文法化と外適応 (Exaptation)
1.9 文法化と「見えざる手」 (Invisible hand) 理論
1.10 文法化と「偏流」 (Drift) 論


 文法化は,主として言語の通時態に焦点を当てているが,一方で主として共時的な認知文法 (cognitive grammar) や機能文法 (functional grammar) とも親和性があり,通時態と共時態の交差点に立っている.そこが,何よりも魅力である.

 ・ Bussmann, Hadumod. Routledge Dictionary of Language and Linguistics. Trans. and ed. Gregory Trauth and Kerstin Kazzizi. London: Routledge, 1996.
 ・ 秋元 実治 『増補 文法化とイディオム化』 ひつじ書房,2014年.

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