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最終更新時間: 2024-12-23 11:02

2018-11-05 Mon

#3479. 『図説 イギリスの王室』の年表 [timeline][history][monarch]

 昨日の記事「#3478. 『図説イギリスの歴史』の年表」 ([2018-11-04-1]) に続いて,イギリス王室に特化したイギリス史年表を掲げる.著者の関心を反映し,君主の「配偶者」にも格別の関心が払われている年表である.「#3394. 歴代イングランド君主と配偶者の一覧」 ([2018-08-12-1]) も参照.

1050ウィリアム1世,マティルダ・オブ・エノーと結婚
1066エドワード懺悔王没
1066ハロルド1世即位;ノルマンディー公ウィリアムのイギリス征服;ウィリアム1世即位;ノルマン朝始まる
1085ドゥームズデイ・ブック作成
1087ウィリアム2世即位
1100ヘンリー1世即位,マティルダ・オブ・スコットランドと結婚
1118マティルダ王妃没(1121年ヘンリー1世,アデライザ・オブ・ルーヴァンと再婚)
1135スティーヴン王即位(1115年,マティルダ・オブ・ブオーローニュと結婚)
1139スティーヴン王とマティルダ(ヘンリー1世娘)の戦い始まる
1154ヘンリー2世即位(1152年,エレアノール・オブ・アキテーヌと結婚);プランタジネット朝始まる
1170カンタベルー大司教ベケット暗殺
1189リチャード獅子心王即位
1191リチャード獅子心王,ベランガリア・オブ・ナヴァールと結婚;リチャード獅子心王十字軍遠征,アッカーを占領.帰途にオーストリア公の捕虜となる
1199ジョン王即位(1189年,イザベラ・オブ・グロスターと結婚)
1200ジョン王,イザベラ・オブ・アングレームと再婚
1204ジョン王,フランス国内の英領喪失
1215ジョン王,「マグナ・カルタ」に署名
1216ヘンリー3世即位
1236エレアノール・オブ・プロヴァンスと結婚
1265シモン・ド・モンフォール,議会設立(下院の起源)
1272エドワード1世即位(1254年,エレアノール・オブ・カスティーリャと結婚)
1277?95ウェールズ侵攻始まる
1290スコットランドとの戦争始まる
1295エドワード1世,模範議会召集
1299エドワード1世,マーガレット・オブ・フランスと再婚
1307エドワード2世即位
1308エドワード2世,イザベラ・オブ・フランスと結婚
1327エドワード3世即位,フランス王位継承を主張
1328エドワード3世,フィリッパ・オブ・エノーと結婚
1337?1453英仏百年戦争
1346クレシーの戦いで勝利
1347カレー占領
1356ポワティエの戦い(黒太子の活躍)
1377リチャード2世即位
1381ワット・タイラーの乱
1382リチャード2世,アン・オブ・ホヘミアと結婚
1384ヘンリー4世,メアリー・ド・ブーンと結婚
1394リチャード2世,イザベラ・オブ・ヴァロアと再婚
1399ヘンリー4世即位,ランカスター王朝始まる
1402ヘンリー4世,ジョアン・オブ・ナヴァールと再婚
1413ヘンリー5世即位
1415アザンクールの戦いでフランスに勝利
1420ヘンリー5世,キャサリン・オブ・ヴァロアと結婚;トロワ条約締結.フランスの王位継承権を得る
1422ヘンリー6世即位
1429オルレアンの戦いでフランスに敗北
1444ヘンリー6世,マーガレット・オブ・アンジューと結婚
1453百年戦争終結
1455?85薔薇戦争
1461エドワード4世即位
1464エドワード4世,エリザベス・オブ・ウッドヴィルと結婚
1483リチャード3世即位(1473年,アン・オブ・ウォリックと結婚)
1485ボズワースの戦い;リチャード3世破れ,薔薇戦争終結;ヘンリー7世即位;チューダー朝始まる
1486ヘンリー7世,エリザベス・オブ・ヨークと結婚
1509ヘンリー8世即位,キャサリン・オブ・アラゴンと結婚
1533ヘンリー8世,アン・ブーリンと結婚
1534首長令発布;英国国教会確立
1535トマス・モア処刑
1547エドワード6世即位
1553メアリー1世即位
1554ワイアットの乱;ジェーン・グレイ処刑
1554メアリー1世,スペインのフィリペ王子と結婚
1557スペイン王位継承戦争に参戦
1558スペイン対フランス戦争に参戦.カレーを奪われる
1558エリザベス1世即位
1588スペイン無敵艦隊破る
1593新教徒の非国教派閥,弾圧される
1600東インド会社設立
1603スコットランド王ジェームズ6世,イギリス王ジェームズ1世として即位(1589年,アン・オブ・デンマークと結婚).スチュアート王朝始まる
1605「火薬陰謀事件」発覚
1607北米ヴァージニアに英植民地建設
1608清教徒約100人,アムステルダムに移住
1610ジェームズ1世,王権神授説を唱え,議会と衝突
1616シェークスピア没
1620清教徒102人,メイフラワー号でアメリカに移住
125チャールズ1世即位.ヘンリエッタ・マリアと結婚
1628チャールズ1世,議会を解散
1642国王軍と議会軍の内戦勃発
1645ネズビーの戦いで国王軍敗れる
1649チャールズ1世処刑
1649?60クロムウェル親子による共和制
1652第1次英蘭戦争
1660チャールズ2世即位
1662チャールズ2世,キャサリン・オブ・ブラガンザと結婚
1665第2次英蘭戦争
1666ロンドン大火
1673ジェームズ2世,メアリー・オブ・モデナと結婚
1685ジェームズ2世即位
1688名誉革命始まる
1689「権利の章典」制定;ウィリアム3世,メアリー2世即位
1690ジョン・ロックの『人間悟性論』
1694イングランド銀行設立
1702アン女王即位(1683年,デンマーク王子ジョージと結婚);スペイン王位継承戦争に参戦(1701?14年)
1713ユトレヒト和約.スペイン王位継承戦争終結.
1714ジョージ1世即位(1688年,ゾフィア・ドロテアと結婚).ハノーヴァー朝始まる
1720南海泡沫事件
1727ジョージ2世即位(1705年,キャロライン・オブ・アーンズバックと結婚)
1753大英博物館設立
17567年戦争勃発(イギリス・プロイセン同盟対オーストリア,フランス)
1760ジョージ3世即位
1761ジョージ3世,シャーロット・オブ・メックレンブルク・シュトゥレリッツと結婚;産業革命始まる
1780ヨーロッパ諸国の中立同盟国との戦争勃発
1805ネルソン提督,トラファルガー海戦でナポレオンを破る
1820ジョージ4世即位(1795年,ヤロライン・オブ・ブラウンシュヴィックと結婚)
1830ウィリアム4世即位(1818年アデレイド・オブ・サクス・マイニンゲンと結婚)
1837ヴィクトリア女王即位
1839ヴィクトリア女王,サクス・コバーク・ゴータ公;王子アルバートと結婚
1840ニュージーランドの領有権宣言
1840?42アヘン戦争
1851ロンドンで世界博覧会が開催される
1897ヴィクトリア女王在位60年記念式典
1901エドワード7世即位(1863年,デンマーク王女アレグザンドラと結婚);サクス・ゴバーグ・ゴータ王朝始まる
1902日英同盟の締結
1904英仏協商の締結
1910ジョー所5世即位(1893年,メアリー・オブ・テックと結婚)
1926空前のゼネスト起こる
1935インド統治法制定
1936エドワード8世即位;エドワード8世退位,翌年ウォーリス・シンプソンと結婚;ジョージ6世即位(1923年,エリザベス・バウズ・ライアンと結婚);ウィンザー王朝と改名
1938ミュンヘン会談
1952エリザベス2世即位(1947年,フィリップ・マウントバッテンと結婚)
1956スエズ動乱
1968北アイルランド紛争勃発
1982フォークランド紛争
1981チャールズ皇太子とダイアナ結婚
1996チャールズ皇太子とダイアナ妃離婚
1997ダイアナ妃交通事故死


 ・ 石井 美樹子 『図説 イギリスの王室』 河出書房,2007年.

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2018-11-04 Sun

#3478. 『図説イギリスの歴史』の年表 [timeline][history]

 ヴィジュアル資料が豊富でよくできたイギリス史の本.その pp. 154--56 の「イギリス史略年表」を掲げよう.

前7世紀頃ケルト人の渡来が始まる
前55--54カエサルの2次にわたるブリタニア遠征
61ボウディッカの反乱
122ハドリアヌスの城壁建造始まる
140頃アンントニヌスの城壁建造始まる
2世紀頃キリスト教の伝来
5?6世紀アングロ・サクソン人の渡来,いくつかの王国を形成
597アウグスティヌスによるローマ・カトリックの伝道
664ウィットビの教会会議
757マーシア王オッファ即位(?796)
779頃オッファの防塁建造
8世紀末デーン人の来襲始まる(?9世紀)
843アルバ王国(スコットランド)の成立
871ウェセックス王アルフレッド即位(?899)
10世紀シャイア(州)制度の導入
1015カヌートの侵入,1016年イングランド王に(?1035)
1042エドワード証聖者王即位(?66)
1066ヘイスティングズの戦いでウィリアム征服王の勝利(ノルマン征服)
1085ドゥームズデイ・ブック左右生
1135ヘンリ1世の没後,スティーヴンとマティルダの戦い始まる(?53)
1154ヘンリ2世の即位(プランタジネット朝の始まり)
1170カンタベリ大司教ベケット暗殺
1209ジョン王,教皇インノケンティウス3世に破門される
1215ジョン王,マグナ・カルタを承認
1264シモン・ド・モンフォールの乱(?65)
1276エドワード1世によるウェールズ侵攻始まる(以後95年まで,4次に渡って継続);同時期スコットランドへの介入を強化
1295模範議会が開かれる
1296イングランドとスコットランドの戦争始まる.スクーンの石が持ち去られる.
1314バノックバーンの戦いで,ロバート・ブルースがエドワード2世を破る
1327エドワード2世の廃位,エドワード3世即位
1337百年戦争が始まる
1346クレシーの戦い
1348黒死病の流行(?49)このご,1374年にも大流行
1356ポアティエの戦い
1376善良議会
1381ワット・タイラーの乱
1399リチャード2世廃位,ヘンリ4世の即位(ランカスタ朝の始まり)
1415ヘンリ5世による対仏戦争再開,アザンクールの戦い
1420トロア条約によりヘンリ5世のフランス王位継承権が認められる
1429ジャンヌ・ダルクの活躍によるオルレアン解法,シャルル7世の戴冠
1453百年戦争終結
1455バラ戦争始まる
1461エドワード4世即位(ヨーク朝の始まり)
1476カクストンがイギリス最初の活版印刷所をウェスト民スタに開く
1483リチャード3世,エドワード5世を廃し,即位
1485ボズワースの戦いでリチャード3世敗死.ヘンリ7世即位(テューダー朝の始まり)
1501皇太子アーサーとアラゴンのキャサリンの結婚,翌年アーサー死去
1509ヘンリ8世即位,アラゴンのキャサリンとの結婚
1529宗教改革議会の始まり(?36)
1534国王至上法により国教会の確立
1536小修道院解散,ウェールズの合同
1539大修道院解散
1541ヘンリ8世,アイルランド王を称する
1542スコットランド,イングランド侵攻に失敗し,国王ジェイムズ5世敗死;メアリ・ステュアートの即位
1547エドワード6世即位,プロテスタント化の進展
1559国王至上法・礼拝統一法により国教会の再確立
1567スコットランド女王メアリ・ステュアート廃位,イングランドへ亡命
1569北部反乱,翌年に鎮圧
1587メアリ・ステュアートの処刑
1588スペイン無敵艦隊の襲来
1600東インド会社設立
1603エリザベス1世死去,ジェイムス1世即位(ステュアート朝の始まり)
1605火薬陰謀事件
1628権利の請願
1639主教戦争始まる
1640長期議会開会
1642国王軍と議会軍の内戦勃発
1648議会からの長老派の追放
1649チャールズ1世の処刑,王政・貴族院を廃し,共和制が成立;クロムウェルのアイルランド征服
1652第1次英蘭戦争(?54)
1653クロムウェル護国卿となる(?56)
1660王政復古
1665第2次英蘭戦争;ロンドンでベスト流行
1666ロンドン大火
1685ジェイムズ2世即位,モンマス公の反乱
1688名誉革命
1689ウィリアム3世・メアリ2世の即位;権利の章典制定
1694イングランド吟嚢設立;メアリ2世死去
1702アン女王即位,スペイン継承戦争への参戦
1707スコットランドとの合同
1714ジョージ1世即位(ハノーヴァ朝の始まり)
1720南海泡沫事件,混乱収拾のため翌年ウォルポール大蔵卿に就任
1739対スペイン戦争開始,翌年オーストリア継承戦争に
1745ジャコバイトの反乱(?46)
1757プラッシーの戦い
1774アメリカ独立戦争始まる(?83);この頃,産業革命が本格的に進行
1789フランス革命の勃発
1793第1回対仏大同盟
1799第2回対仏大同盟
1802アミアンの和約
1805第3回対仏同盟;ネルソン,トラファルガー沖海戦でフランス・スペイン艦隊を撃破
1807奴隷貿易の禁止
1815穀物法制定;ウィーン議定書;ワーテルローの戦い
1819ピータールーの虐殺
1829カトリック解放法の成立
1830マンチェスター・リヴァプール間の鉄道開通
1832第1次選挙法改正
1833帝国内での奴隷制廃止決定;工場法制定
1838人民憲章の講評,以後40年代末までチャーティスト運動の盛上り
1840アヘン戦争(?42)
1846穀物法廃止
1851ロンドンで初めての万国博覧会
1854クリミア戦争(?56)
1857インドでセポイの反乱
1858東インド会社解散,インドは直轄統治領となる
1867第2次選挙法改正
1875スエズ運河株の購入
1877ヴィクトリア叙法,「インド皇帝」を称する
1880今日一区法により,就学の義務化
1881スーダンでマフディーの乱
1882イギリスによるエジプトの単独占領
1884フェビアン協会の結成;第3次選挙法改正
1887ヴィクトリア女王即位50周年記念式典;第1回植民地会議
1893独立労働党の結成
1897ヴィクトリア女王即位60周年記念式典
1899南アフリカ戦争始まる(?1902)
1901ヴィクトリア女王死去,エドワード7世即位
1902日英同盟の締結
1904英仏協商の締結
1907英露協商締結により,三国協商の成立
1908老齢年金法制定
1910ロイド=ジョージ人民予算案
1911国民保険法制定
1914アイルランド自治法の成立(実施は第1次世界大戦のため延期);第1次世界大戦勃発(?18年)
1916アイルランドで即時独立を求めるイースター蜂起
1918第4次選挙法改正,30歳以上の女性に参政権が認められる
1919パリ平和会議(?20)
1920アイルランド島地方
1922アイルランド自由国成立
1924マクドナルド首相による初の労働党内閣成立
1931ウェストミンスタ憲章によりコモンウェルス(英連邦)の発足
1932オタワの帝国経済会議,帝国のブロック経済圏化
1935インド統治法
1936エドワード8世,結婚問題で退位
1938ミュンヘン会談
1939第2次世界大戦勃発(?45)
1940チャーチルによる戦時挙国一致内閣(?45)
1941チャーチルとルーズベルト大統領,大西洋憲章を発表
1942ベヴァリッジ報告書発表
1945アトリー首相の労働党内閣発足,主要産業の国有化を進める
1947インド・パキスタンの独立
1951英国祭の開催
1952エリザベス2世即位
1956スエズ戦争;1950年代後半から60年代にかけて,アフリカの植民地の独立相次ぐ
1962ビートルズのレコード・デビュー
1968北アイルランド紛争始まる
1971通貨の
1972北アイルランドの自治停止
1973EC(ヨーロッパ共同体)加盟の発行
1973地方行政区画の大幅な改変
1979サッチャー保守党政権の発足
1982フォークランド戦争
1984中国との要諦により1997年の香港返還を決定
1986狂牛病の発症を初めて確認
1990「人頭税」への反対運動が盛り上がる;サッチャー退陣
1992欧州通貨制度(ERM)を離脱
1997ブレア労働党内閣の成立;ダイアナ本皇太子妃事故死;スコットランド・ウェールズの地域議会設置を問う住民投票により,設置が決定
1999貴族院の改革により,世襲貴族の議員資格を大幅に制限
2000各地が洪水の被害に見舞われる
2001家畜に口蹄疫が大流行;総選挙でブレア率いる労働党の圧勝


 ・ 指 昭博 『図説イギリスの歴史』 河出書房新社,2002年.

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2018-10-06 Sat

#3449. Chaucer 関連年表 [chaucer][timeline]

 Fisher and Allen の見返しにある "A Chaucer Chronology" を再現する.Chaucer が公職で最も忙しかった時期に,創作活動が活発化しているということがわかる.1380年代?1390年代が,The Canterbury Tales の執筆を含む,最も脂ののった時期である.

1327Edward III crowned, age 14.  
1328Edward marries Philippa of Hainault; Sir Paon de Roet in her entourage.  
1330Birth of Edward, the Black Prince.  
1331England at war with Scotland; France intervenes on behalf of Scotland.  
1338Unsuccessful invasion of northern France (beginning of Hundred Years' War); John Chaucer (Geoffrey's father) in the King's company.  
1340(?)Birth of Geoffrey Chaucer. Birth of John of Gaunt. Edward III takes title "King of France"  
1346Battle of Crécy  
1348Black Death  
1356Battle of Poitiers; high point of England's success in the wars with France.  
1357First record of Chaucer: in household of Countess of Ulster, wife of Prince Lionel. Philippa Pan' also in household.  
1359May: (?) Chaucer at wedding of John of Gaunt and Blanche of Lancaster. Gaunt becomes Duke of Lancaster. After November 3: Chaucer in French war in Prince Lionel's company.  
1360Chaucer captured and ransomed by the King.  
1361Black Prince marries Joan of Kent. (?) Chaucer at Inns of Chancery.Prier a Nostre Dame; Romaunt of the Rose; early Complaints (--1367) 
1363Death of Countess of Ulster. (?) Philippa Pan' enters service of Queen Philippa. (?) Chaucer at Inns of Court.  
1366February 22--May 24: safe conduct for Chaucer to travel in Spain. Philippa Chaucer (so designated) granted royal annuity of 10 marks.  
1367Geoffrey Chaucer granted royal annuity of of 20 marks. Chaucer enters the King's service.  
1368Death of Blanche, Duchess of Lancaster. French war active. Chaucer on mission in France.Book of the Duchess (--1369) 
1369Chaucer with Gaunt in raid on Picardy. Death of Queen Philippa. (?) Philippa Chaucer enters Gaunt's household.  
1370June 20--September 29: Chaucer on mission in France, (?) with Gaunt in Aquitaine.  
1371Gaunt marries Princess Costanza of Castile.  
1372Katherine Swynford, sister of Philippa Chaucer, bears first son by Gaunt. August 30: Gaunt grants Philippa Chaucer annuity of ?10. December 1: Chaucer leaves for Genoa, visits Florence. (Boccaccio in Florence; Petrarch in Padua.)Parliament of Fowls; St. Cecilia; Monk's tragedies; Anelida (--1377) 
1373May 23: Chaucer returns to London. (?) Birth of Thomas Chaucer. July 13: Gaunt goes to French wars.  
1374April 10: Gaunt returns from French wars. April 23: Chaucer receives a royal grant of a pitcher of wine daily. May 10: Chaucer leases Aldgate house and sets up housekeeping. June 8: Chaucer made controller of customs. June 13: Geoffrey and Philippa receive ?10 annuity from Gaunt.  
1376Death of Black Prince. Chaucer on mission to Calais.  
1377February 17, April 30: Chaucer on missions in France concerning peace treaty and marriage of Richard. June 22: death of Edward III and accession of his grandson, Richard II, age 10. Government controlled by Gaunt.  
1378January 16--March 9: Chaucer in France concerning marriage of Richard to French king's daughter Marie. April 18: daily pitcher of wine replaced by annuity of 20 marks. May 28--September 19: Chaucer in Lombardy to treat with Barnado Visconti (Gower given Chaucer's power of attorney).House of Fame; Boece; Boethian balades; Palamon and Arcite (--1381) 
1380May 1: Chaucer released from suit for "raptus" of Cecily Champain. (?) Birth of Lewis Chaucer.  
1381Peasants' Revolt. June 19: deed of Geoffrey Chaucer, son of John Chaucer, vintner of London, quitclaiming his father's house.  
1382Richard II marries Anne of Bohemia.Troylus and Criseyde; Legend of Good Women (--1386) 
1383Chaucer obtains first loan against his annuity.  
1385October 12: Chaucer appointed justice of the peace in Kent. Political struggle between Gaunt and his brother, Thomas of Woodstock. September: death of Joan of Kent.  
1386Justice of peace reaffirmed. February 19: Philippa admitted to fraternity of Lincoln Cathedral. August: Chaucer elected member of parliament from Kent. October 5: Aldgate house rented to Richard Forester. October 15: Scrope-Grosvenor trial. December 4: Adam Yardley appointed controller of customs.Canterbury Prologue; early Tales (Knight, Part VII) (--1387) 
1387June 18: last payment of annuity of Philippa Chaucer.  
1388May 1: Chaucer surrenders his royal annuities to John Scalby of Lincolnshire.Fabliaux (Miller, Reeve) (--1389) 
1389King Richard assumes power. Chaucer appointed clerk of the King's works (more than ?30 a year).  
1390Commissions to repair St. George's Chapel, Windsor; to oversee repairs on the lower Thames sewers and conduits; to build bleachers for jousts at Smithfield, etc. The three robberies. Chaucer appointed subforester of North Petherton, Somerset.Marriage group (Wife of Bath, Friar, Summoner, Merchant, Clerk, Franklin); Astrolabe; Equatorie (--1394) 
1391June 17: another clerk of the works appointed.  
1393Chaucer granted a gift of ?10 from Richard for services rendered "in this year now present."  
1394Death of Queen Anne. Chaucer granted a new annuity of ?20.  
1395Richard marries Isabella of France. Thomas Chaucer marries heiress Maud Burghersh.  
1396John of Gaunt marries Katherine Swynford.Balades to Scogan, Bukton (--1399) 
1398Chaucer borrows against his annuity; action for debt against Chaucer; letters of protection from the King.  
1399Deposition of Richard II. Election of Henry IV. Death of John of Gaunt. October 13: on his coronation day, Henry doubles Chaucer's annuity. December 24: Chaucer signs 53-year lease for tenement in the garden of the Lady Chapel, Westminster Abbey.  
1400September 29: last record of Chaucer: quittance given by him for a tun of wine received. October 25: date of Chaucer's death on tombstone in Westminster Abbey (erected in 1556)  


 ・ Fisher, John H. and Mark Allen, eds. The Complete Canterbury Tales of Geoffrey Chaucer. Boston: Thomson Wadsworth, 2006.

Referrer (Inside): [2018-12-27-1]

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2018-08-12 Sun

#3394. 歴代イングランド君主と配偶者の一覧 [timeline][history][monarch]

 「#2547. 歴代イングランド君主と統治年代の一覧」 ([2016-04-17-1]) でも似たような一覧を示したが,ウィリアム1世以降について,より詳しい「国王及び王妃(婿)一覧表」を森 (626--31) に見つけたので掲げておきたい.王妃(婿)の情報まで含まれているのが便利かつ興味深い.

王及び王妃(婿)生年結婚在位没年王妃(婿)の出身
●ノルマン王家
ウィリアム1世1027?1050?1066--10871087
   マティルダ・オブ・フランダース10311050?1083フランドル
ウィリアム2世1060?1087--11001100
ヘンリー1世1068110001100--11351135
   (1) マティルダ・オブ・スコットランド108011001118スコットランド
   (2) アデライザ・オブ・ルーヴァン110211211151フランス
スティーヴン1097?11151135--11541154
   マティルダ・オブ・ブーローニュ1103?11151152アングロ・ノルマン
●プランタジニット王家
ヘンリー2世113311521154--11891189
   エリナー・オブ・アキテーヌ1122?11521204フランス
リチャード1世115711911189--11991199
   ベレンガリア・オブ・ナヴァール117411911230?スペイン
ジョン116711891199--12161216
   (1) イザベル・オブ・グロースター?11891217イングランド
   (2) イザベル・オブ・アングレーム118812001246フランス
ヘンリー3世120712361216--12721272
   エリナー・オブ・プロヴァンス1226?12361291フランス
エドワード1世123912541272--13071307
   (1) エリナー・オブ・カスティル124412541290スペイン
   (2) マーガレット・オブ・フランス1282?12991318フランス
エドワード2世128413081307--13271327
   イザベル・オブ・フランス129213081358フランス
エドワード3世131213281327--13771377
   フィリッパ・オブ・エノー1314?13281369フランドル
リチャード2世136713821377--13991400
   (1) アン・オブ・ボヘミア136613821394ボヘミア
   (2) イザベル・オブ・ヴァロア138913961409フランス
●ランカスター王家
ヘンリー4世136713801399--14141413
   (1) メアリー・ドゥ・ブーン137013811394イングランド
   (2) ジョアン・オブ・ナヴァール1370?14031437スペイン
ヘンリー5世138714201413--14221422
   キャサリン・オブ・ヴァロア140114201437フランス
ヘンリー6世142114441422--1461, 1470--14711471
   マーガレット・オブ・アーンジュ142914441482フランス
●テューダー王家
ヘンリー7世145714861485--15091509
   エリザベス・オブ・ヨーク146514861503イングランド
ヘンリー8世149115091509--15471547
   (1) キャサリン・オブ・アラゴン148515091536スペイン
   (2) アン・ブーリン1507?15331536イングランド
   (3) ジェイン・シーモア1509?15361537イングランド
   (4) アン・オブ・クレーヴズ151515401557フランドル
   (5) キャサリン・ハワード1521?15401542イングランド
   (6) キャサリン・パー1512?15431548イングランド
エドワード6世15371547--15531553
メアリー1世151615541553--15581558
   フェリペ・オブ・スペイン15271554(スペイン王)1556--15981598スペイン
エリザベス1世15331558--16031603
●ステュアート王家
ジェイムズ1世156615891603--16251625
   アン・オブ・デンマーク157415891619デンマーク
チャールズ1世160016251625--16491649
   ヘンリエッタ・マリア160916251669フランス
再興ステュアート王家
チャールズ2世163016621660--16851685
   キャサリン・オブ・ブラガンザ163816621705ポルトガル
ジェイムズ2世163316601685--16881701
   (1) アン・ハイド163716601671イングランド
   (2) メアリー・オブ・モデナ165816731718イタリア
メアリー2世(共同統治)166216771689--16941694
ウィリアム3世(共同統治)165016771689--17021702オランダ
アン166516831702--17141714
   プリンス・ジョージ・オブ・デンマーク165316831708デンマーク
ハノーヴァー王家
ジョージ1世166016821714--17271727
   ゾフィア・ドロテア166616821726ドイツ
ジョージ2世168317051727--17601760
   キャロライン・オブ・アーンズパック168317051737ドイツ
ジョージ3世173817611760--18201820
   シャーロット・オブ・メックレンブルク・シュトゥレリッツ174417611818ドイツ
ジョージ4世176217951820--18301830
   キャロライン・オブ・ブルンスウィック176817951821ドイツ
ウィリアム4世176518181830--18371837
   アデレイド・オブ・サクス・マイニンゲン179218181849ドイツ
ヴィクトリア181918401837--1901
   プリンス・アルバート181918401861ドイツ
サクズ・コバーグ・ゴータ王家
エドワード7世184118631901--19101910
   アレグザンドラ・オブ・デンマーク184118631925デンマーク
●ウィンザー王家
ジョージ5世186518931910--1936
   メアリー・オブ・テック186718931953ドイツ
エドワード8世189419371936--19361972
   (ウォーリス・シンプソン夫人)189619371986アメリカ
ジョージ6世189519231936--19521952
   エリザベス・バウズ・ライアン19001923スコットランド
エリザベス2世192619471952--
   プリンス・フィリップ・マウントバッテン19211947デンマーク


 君主の配偶者の出身地の欄を縦に見ていくと,改めてヨーロッパの様々な国から来ているものだなと感心する.プランタジニット朝のフランスかぶれがよく分かるし,テューダー朝のイングランドへの回帰,そしてハノーヴァー朝のドイツべったりの様子も明らかだ.また,これまで気づかなかったが,イングランド王室が配偶者をデンマークに求める伝統(?)もうっすらと見えてくる.
 ウィリアム1世以前の系図については,「#2620. アングロサクソン王朝の系図」 ([2016-06-29-1]) を参照.

 ・ 森 護 『英国王室史話』16版 大修館,2000年.

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2018-03-07 Wed

#3236. スライドできるイギリス文学関連略年表 [literature][timeline][history]

 年表シリーズ (timeline) の一環として,「#3226. イギリス文学関連略年表」 ([2018-02-25-1]) を横方向にスライドできる年表に作り直した(下図をクリック).スライドできる年表としては,「#2358. スライドできる英語史年表」 ([2015-10-11-1]),「#2871. 古英語期のスライド年表」 ([2017-03-07-1]),「#3164. スライドできる英語史年表 (2)」 ([2017-12-25-1]),「#3205. スライドできる英語史年表 (3)」 ([2018-02-04-1]) も参照.

 HELIT Timeline by Kawasaki

 ・ 川崎 寿彦 『イギリス文学史入門』 研究社,1986年.

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2018-02-25 Sun

#3226. イギリス文学関連略年表 [literature][timeline][history]

 年表シリーズ (cf. timeline) .今回は,イギリス文学史より略年表を示す.川崎による英文学史概説書の巻末に挙げられているものである (175--80) .イギリス史と日本史との関連付けもあり,眺めて楽しめる.

西暦イギリス(文学)関係参考事項
410ローマの Britain 島支配終わる 
1000 (日)清少納言『枕草子』,紫式部『源氏物語』この頃起稿
1066ノーマン征服.ウィリアム一世即位 (--1087) 
1154プランタジネット朝始まる (--1399) 
1167Oxford 大学の基礎成る 
1313 (イ)ダンテ『神曲』この頃,イタリア人文主義思潮起こる
1337英仏百年戦争始まる (--1453) 
1349 (イ)ボッカチオ『デカメロン』
1380Wyclif が聖書の翻訳を始める 
1382Chaucer, Troilus and Criseyde (--1385. 出版 1484) 
1387Chaucer, The Canterbury Tales 執筆開始(出版 1478) 
1455ばら戦争 (--1485) 
1469Malory, Le Morte d'Arthur (出版 1485) 
1475W. Caxton, 最初の英語による印刷物出版 
1485ヘンリー七世即位 (--1509) 
1492 (ス)コロンブス,新大陸へ航海
1513 (イ)マキャベルリ『君主論』この頃成る
1516More, Utopia 
1517 ルターの宗教改革始まる
1519 マゼランの世界周航 (--1522)
1534The Church of England (or Anglican Church) 成立し,England の宗教改革成る 
1535Sir Thomas More (1478--) 処刑さる 
1543 (日)ポルトガル人,種子島に来る
1557England で the Stationers' Company (書籍出版業組合)誕生 
1558Elizabeth I 即位 (--1603) 
1576最初の常設公開劇場 The Theatre を建設 
1579Spenser, E., The Shepheardes Calendar 
1587Scotland 女王 Mary 処刑さる 
1588Drake, Hawkins ら,スペイン無敵艦隊 (The Armada) を破る 
1589Spenser, E., The Faerie Queene, I?ス曵II 
1593ペスト流行のためロンドンの劇場が2月から年末まで閉鎖(日)最初の木版活字本印刷される
1595Shakespeare, Romeo and Juliet 
1596Shakespeare, A Midsummer Night's Dream; Spenser, E., The Faerie Queene, IV?ス朷I 
1597Shakespeare, The Merchant of Venice 
1599グローブ劇場開場 
1600Shakespeare, As You Like It 
1601Shakespeare, Hamlet 
1603ジェイムス一世即位 (--1625) 
1605Shakespeare, Othello(ス)セルバンテス『ドン・キホーテ』
1606Shakespeare, King Lear; Macbeth 
1618 (ド)三十年戦争(宗教戦争) (--1648)
1620Pilgrim Fathers が Mayflower 号でアメリカに渡航 
1634Milton, Comus 
1642清教徒革命始まる 
1649チャールズ一世処刑され,王制が廃止され,イギリスは「共和国にして自由国」となる (--1660) 
1666ロンドンの大火 
1667Milton, Paradise Lost (初版10巻本) 
1684Bunyan, The Pilgrim's Progress, Pt. ii (Pt. i は1678) 
1687 ニュートン,万有引力の法則を発表
1688名誉革命 (Glorious Revolution) 起こる 
1702The Daily Courant 創刊(イギリス最初の日刊新聞) 
1707England, Scotland を併合,Great Britain 成立 
1711Addison と Steele が The Spectator を創刊 
1714ジョージ一世即位 (--1727) ハノーヴァー朝始まる 
1719Defoe, Robinson Crusoe 
1721R. ウォールポールが組閣し,イギリス最初の首相となる 
1724 (日)近松門左衛門 (1635--)歿
1726Swift, Gulliveris Travel 
1731イギリス,公用語としてのラテン語全廃 
1739イギリスとスペインが開戦 
1740Richardson, Pamela 
1742Fielding, Joseph Andreas 
1748 (仏)モンテスキュ『法の精神』
1749Fielding, Tom Jones 
1755Johnson の『英語辞典』成る 
1756英仏間に七年戦争始まる 
1760Sterne, Tristram Shandy 
1767この頃イギリス産業革命 
1774 (日)杉田玄白『解体新書』;(ド)ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』
1776 アメリカ,独立宣言
1789 フランス革命起こる
1791The Observer 創刊 
1798Wordsworth & Coleridge, Lyrical Ballads 
1801イギリスがアイルランドを併合,the Union of Great Britain and Ireland が成立 
1805Wordsworth, The Prelude 
1807イギリスが奴隷売買を禁止 
1812Byron, Childe Harold's Pilgrimage;英米戦争始まる (--1814) 
1813Austen, Pride and Prejudice 
1817Byron, Manfred(日)イギリス船,浦賀に来航
1819Keats, 'Ode to a Nightingale'; Scott, Ivanhoe 
1820Shelley, Prometheus Unbound; 'To a Skylark' 
1823Lamb, The Essays of Elia 
1836Dickens, Pickwick Papers (出版は1837);イギリス経済恐慌始まる 
1837Dickens, Oliver Twist;ヴィクトリア女王即位 (--1901) 
1840イギリスが New Zealand を併合;アヘン戦争始まる (--42) 
1847C. Brontë, Jane Eyre; E. Brontë, Wuthering Heights; Thackeray, Vanity Fair 
1848 マルクス=エンゲルス『共産党宣言』をロンドンで発表
1849Dickens, David Copperfield 
1850Tennyson, In Memoriam 
1851ロンドンで万国博覧会開催 
1854 クリミア戦争起きる (--1856);(日)ペリー,浦賀に来航.日米和親条約
1856イギリス国王,インドを直轄日本,英米修好通商条約締結
1859Darwin, On the Origin of Species; G. Eliot, Adam Bede 
1865Carroll, Alice's Adventures in Wonderland 
1868(日)明治と改元,江戸を東京と改める 
1871G. Eliot, Middlemarch(日)津田梅子らアメリカ留学
1872Butler, Erewhon(日)福沢諭吉『学問のすすめ』
1877 (日)東京大学創立
1883Stevenson, Treasure Island 
1891Hardy, Tess 
1893Wilde, Salomé (仏語版,英訳版は1894) 
1894Shaw, Arms and the Man; Kipling, The Jungle Book日清戦争
1895Wells, The Time Machine 
1896 アテネで近代オリンピック第一回大会
1899 ボーア戦争 (--1902)
1900Conrad, Lord Jim(日)津田梅子,女子英学塾(津田塾大学)創立.夏目漱石,イギリス留学
1901ヴィクトリア女王歿.エドワード七世即位 
1902The Times Literary Supplement 創刊日英同盟成立
1907 (日)英語研究社(のち研究社)創業
1909 (日)坪内逍遙訳『ハムレット』(以後次々に翻訳)
1913Lawrence, Sons and Lovers 
1914Joyce, Dubliners第一次世界大戦始まる (--18)
1917 ロシア革命
1920 国際連盟成立
1922T. S. Eliot, The Waste Land; Galsworthy, The Forsyte Saga; Joyce, Ulysses (パリで出版); Ireland 自由国,正式に成立 
1924Forster, A Passage to India 
1925Woolf, Mrs. Dalloway 
1927Woolf, To the Lighthouse 
1928Lawrence, Lady Chatterley's Lover; Huxley, Brave New World 
1929 (日)日本英文学会結成
1936エドワード八世,シンプソン夫人との結婚を選び王位放棄.ジョージ六世即位 (--52)スペイン内乱 (--39)
1937Ireland 自由国,国名をエール (Eire) と改める 
1936Joyce, Finnegans Wake第二次世界大戦始まる
1940Greene, The Power and Glory 
1941 日本,米英に宣戦布告
1945Orwell, Animal Farm第二次世界大戦終結
1948Greene, The Heart of the Matter 
1949Orwell, Nineteen Eighty-Four; Eire 共和国,Ireland 共和国として独立 
1950 (日)ロレンス著,伊藤整訳『チャタレー夫人の恋人』発禁
1951 日米安保条約調印
1952Beckett, En Attendant Godot(『ゴドーを待ちながら』);エリザベス二世即位宣言 
1954Golding, Lord of the Flies; Murdock, Under the Net 
1956Osborne, Look Back in Anger 
1957Braine, Room at the Top 
1958Weaker, Chicken Soup with Barley 
1959Sillitoe, The Loneliness of the Long-Distance Runner 
1960Pinter, The Caretaker日米新安保条約成立
1963 (日)実用英検始まる
1964 オリンピック東京大会
1965Pinter, The Homecoming(日)大学生数百万人突破
1970 大阪で万国博覧会開催
1971貨幣制度を十進法に切り替え 
1975ベトナム戦争終結 
1979サッチャー,イギリス初の女性首相となる東京サミット
1980レーガン,アメリカ大統領に就任;オリンピックモスクワ大会 
1981チャールズ皇太子,ダイアナ・スペンサーと結婚 
1982ローマ法王が訪英,英国国教会と和解成る 
1984T. Hughes, J. Betjeman のあとの桂冠詩人となるオリンピックロサアンゼルス大会


 ・ 川崎 寿彦 『イギリス文学史入門』 研究社,1986年.

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2018-02-17 Sat

#3218. 講座「スペリングでたどる英語の歴史」の第3回「515通りの through --- 中英語のスペリング」 [slide][spelling][spelling_pronunciation_gap][norman_conquest][chaucer][manuscript][reestablishment_of_english][timeline][me_dialect][minim][orthography][standardisation][digraph][hel_education][link][asacul]

 朝日カルチャーセンター新宿教室で開講している講座「スペリングでたどる英語の歴史」も,全5回中の3回を終えました.2月10日(土)に開かれた第3回「515通りの through --- 中英語のスペリング」で用いたスライド資料を,こちらにアップしておきました.
 今回は,中英語の乱立する方言スペリングの話題を中心に据え,なぜそのような乱立状態が生じ,どのようにそれが後の時代にかけて解消されていくことになったかを議論しました.ポイントとして以下の3点を指摘しました.

 ・ ノルマン征服による標準綴字の崩壊 → 方言スペリングの繁栄
 ・ 主として実用性に基づくスペリングの様々な改変
 ・ 中英語後期,スペリング再標準化の兆しが

 全体として,標準的スペリングや正書法という発想が,きわめて近現代的なものであることが確認できるのではないかと思います.以下,スライドのページごとにリンクを張っておきました.その先からのジャンプも含めて,リンク集としてどうぞ.

   1. 講座『スペリングでたどる英語の歴史』第3回 515通りの through--- 中英語のスペリング
   2. 要点
   3. (1) ノルマン征服と方言スペリング
   4. ノルマン征服から英語の復権までの略史
   5. 515通りの through (#53, #54), 134通りの such
   6. 6単語でみる中英語の方言スペリング
   7. busy, bury, merry
   8. Chaucer, The Canterbury Tales の冒頭より
   9. 第7行目の写本間比較 (#2788)
   10. (2) スペリングの様々な改変
   11. (3) スペリングの再標準化の兆し
   12. まとめ
   13. 参考文献

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2018-02-04 Sun

#3205. スライドできる英語史年表 (3) [timeline][web_service][hel_education]

 「#2358. スライドできる英語史年表」 ([2015-10-11-1]),「#2871. 古英語期のスライド年表」 ([2017-03-07-1]),「#3164. スライドできる英語史年表 (2)」 ([2017-12-25-1]) に引き続き,もう1つのスライド英語史年表を提示する.
 最近の記事で,Algeo and Pyles の英語史概説書に基づく年表を掲載した (see 「#3193. 古英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-23-1]),「#3196. 中英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-26-1]),「#3197. 初期近代英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-27-1]),「#3200. 後期近代英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-30-1])).今回のスライドは,この Algeo and Pyles 版をもとに作成した.項目数は比較的少いながらも,説明書きが長いので,読みながら学習できるだろう.

 HEL Timeline by Algeo and Pyles

 ・ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.

Referrer (Inside): [2018-03-07-1]

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2018-01-30 Tue

#3200. 後期近代英語期の主要な出来事の年表 [timeline][history][lmode][chronology][world_englishes][linguistic_imperialism]

 Algeo and Pyles の英語史年表シリーズのシメとなる第4弾は,後期近代英語期 (201--02) .著者たちのいう Late Modern English は,1800年以降の英語を指している.これより前の時代の年表は,「#3193. 古英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-23-1]),「#3196. 中英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-26-1]),「#3197. 初期近代英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-27-1]) を参照.

1805A victory over the French at the battle of Trafalgar established British naval supremacy.
1806The British occupied Cape Colony in South Africa, preparing the way for the arrival in 1820 of a large number of British settlers.
1828Noah Webster's American Dictionary of the English Language was published.
1840In New Zealand, by the Treaty of Waitangi, native Maori ceded sovereignty to the British crown.
1857A proposal at the Philological Society of London led to work that resulted in the New English Dictionary on Historical Principles (1928), reissued as the Oxford English Dictionary (1933).
1858The Government of India Act transferred power from the East India Company to the crown, thus creating the British Raj in India.
1861--5The American Civil War established the indissolubility of the Union and abolished slavery in America.
1898The four-month Spanish-American War resulted in the United States becoming a world power with overseas possessions and thus a major participant in international politics.
1906The first radio broadcast, leading in 1920 to the first American commercial radio station in Pittsburgh.
1914--8World War I created an alliance between the United States and the United Kingdom.
1922The British Broadcasting Company (after 1927, Corporation) was established and became a major conveyor of information in English around the world.
1927The first motion picture with spoken dialog, The Jazz Singer, was released.
1936The first high-definition television service was established by the BBC, to be followed by cable service in the early 1950s and satellite service in the early 1960s.
1939--45World War II further solidified the British-American link.
1945The charter of the United Nations was produced at San Francisco.
1947British India was divided into India and Pakistan, and both became independent.
1952The Secretariat building of the United Nations was constructed in Manhattan.
1961The Merriam Webster's Third New International Dictionary was published.
1983The Internet was created.
1991The Union of Soviet Socialist Republics was dissolved, leaving the United States as the world's only superpower.
1992The first Web browser for the World Wide Web was released.


 年表をざっと眺めるだけでも,この時期に英語が世界へ拡大していく様子がわかる.拡大といっても地理的な側面に限らない.話者人口という側面においても拡大したし,使用される状況や場面の範囲,すなわち機能的にも拡大した.Algeo and Pyles (201) の記述が的を射ている.

The history of English since 1800 has been a story of expansion---in geography, in speakers, and in the purposes for which English is used. Geographically, English has been spread around the world, first by British colonization and empire-building, and more recently by the prominence of America in world affairs. The number of its speakers has undergone a population explosion, not alone of native speakers but also of nonnative speakers of English as an additional language. And the uses to which English is put have ramified with the growth of science, technology, and commerce.


 要するに,後期近代英語期は,地理,人口,機能という3面における同時的拡大の時代である.見方によれば,言語帝国主義への道をひた走っていたともいえる.

 ・ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.

Referrer (Inside): [2018-02-04-1]

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2018-01-27 Sat

#3197. 初期近代英語期の主要な出来事の年表 [timeline][history][emode][chronology][monarch][caxton][reformation][book_of_common_prayer][bible][renaissance][shakespeare][johnson]

 Algeo and Pyles の英語史年表シリーズの第3弾は初期近代英語期 (153--55) .著者らは初期近代英語期を1500--1800年として区切っていることに注意.「#3193. 古英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-23-1]) と「#3196. 中英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-26-1]) も参照.

1476William Caxton brought printing to England, thus both serving and promoting a growing body of literate persons. Before that time, literacy was confined to the clergy and a handful of others. Within the next two centuries, most of the gentry and merchants became literate, as well as half the yeomen and some of the husbandmen.
1485Henry Tudor ascended the throne, ending the civil strife called the War of the Roses and introducing 118 years of the Tudor dynasty, which oversaw vast changes in England.
1497John Cabot went on a voyage of exploration for a Northwest Passage to China, in which he discovered Nova Scotia and so foreshadowed English territorial expansion overseas.
1534The Act of Supremacy established Henry VIII as "Supreme Head of the Church of England," and thus officially put civil authority above Church authority in England.
1549The first Book of Common Prayer was adopted and became an influence on English literary style.
1558At the age of 25, Elizabeth I became queen of England and, as a woman with a Renaissance education and a skill for leadership, began a forty-five-year reign that promoted statecraft, literature, science, exploration, and commerce.
1577--80Sir Francis Drake circumnavigated the globe, the first Englishman to do so, and participated in the defeat of the Spanish Armada in 1588, removing an obstacle to English expansion overseas.
1590--1611William Shakespeare wrote the bulk of his plays, from Henry VI to The Tempest.
1600The East India Company was chartered to promote trade with Asia, leading eventually to the establishment of the British Raj in India.
1604Robert Cawdrey published the first English dictionary, A Table Alphabeticall.
1607Jamestown, Virginia, was established as the first permanent English settlement in America.
1611The Authorized or King James Version of the Bible was produced by a committee of scholars and became, with the Prayer Book and the works of Shakespeare, one of the major examples of and influences on English literary style.
1619The first African slaves in North America arrived in Virginia.
1642--48The English Civil War or Puritan Revolution overthrew the monarchy and resulted in the beheading of King Charles I in 1649 and the establishment of a military dictatorship called the Commonwealth and (under Oliver Cromwell) the Protectorate, which lasted until the Restoration of King Charles II in 1660.
1660The Royal Society was founded as the first English organization devoted to the promotion of scientific knowledge and research.
1670The Hudson's Bay Company was chartered for promoting trade and settlement in Canada.
ca. 1680The political parties---Whigs (named perhaps from a Scots term for 'horse drivers' but used for supporters of reform and parliamentary power) and Tories (named from an Irish term for 'outlaws' but used for supporters of conservatism and royal authority), both terms being originally contemptuous---became political forces, thus introducing party politics as a central factor in government.
1688The Glorious Revolution was a bloodless coup in which members of Parliament invited the Dutch prince William of Orange and his wife, Mary (daughter of the reigning English king, James II), to assume the English throne, resulting in the establishment of Parliament's power over that of the monarchy.
1702The first daily newspaper was published in London, followed by an extension of such publications throughout England and the expansion of the influence of the press in disseminating information and forming public opinion.
1719Daniel Defoe published Robinson Crusoe, sometimes identified as the first modern novel in English, although the evolution of the genre was gradual and other works have a claim to that title.
1755Samuels Johnson published his Dictionary of the English Language, a model of comprehensive dictionaries of English
1775--83The American Revolution resulted in the foundation of the first independent nation of English speakers outside the British Isles. Large numbers of British loyalists left the former American colonies for Canada and Nova Scotia, introducing a large number of new English speakers there.
1788The English first settled Australia near modern Sydney.


 初期近代英語期は,外面史的には英語の世界展開の種が蒔かれた時代であり,社会言語学的には種々の機能的な標準化が進んだ時代だったとまとめられるだろう.

 ・ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.

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2018-01-26 Fri

#3196. 中英語期の主要な出来事の年表 [timeline][me][history][chronology][norman_conquest][reestablishment_of_english][monarch][hundred_years_war][black_death][wycliffe][chaucer][caxton]

 「#3193. 古英語期の主要な出来事の年表」 ([2018-01-23-1]) に引き続き,中英語期の主要な出来事の年表を,Algeo and Pyles (123--24) に拠って示したい,

1066The Normans conquered England, replacing the native English nobility with Anglo-Normans and introducing Norman French as the language of government in England.
1204King John lost Normandy to the French, beginning the loosening of ties between England and the Continent.
1258King Henry III was forced by his barons to accept the Provisions of Oxford, which established a Privy Council to oversee the administration of the government, beginning the growth of the English constitution and parliament.
1337The Hundred Years' War with France began and lasted until 1453, promoting English nationalism
1348--50The Black Death killed an estimated one-third of England's population, and continued to plague the country for much of the rest of the century
1362The Statute of Pleadings was enacted, requiring all court proceedings to be conducted in English.
1381The Peasants' Revolt led by Wat Tyler was the first rebellion of working-class people against their exploitation; although it failed in most of its immediate aims, it marks the beginning of popular protest.
1384John Wycliffe died, having promoted the first complete translation of scripture into the English language (the Wycliffite Bible).
1400Geoffrey Chaucer died, having produced a highly influential body of English poetry.
1476William Caxton, the first English printer, established his press at Westminster, thus beginning the widespread dissemination of English literature and the stabilization of the written standard.
1485Henry Tudor became king of England, ending thirty years of civil strife and initiating the Tudor dynasty.


 中英語の外面史は,まさに英語の社会的地位の没落とその後の復権に特徴づけられていることがよくわかる.

 ・ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.

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2018-01-23 Tue

#3193. 古英語期の主要な出来事の年表 [timeline][oe][christianity][synod_of_whitby][history][chronology][monarch]

 Algeo and Pyles (86--87) より,古英語期の主要な出来事の年表を示そう.

449Angles, Saxons, Jutes, and Frisians began to occupy Great Britain, thus changing its major population to English speakers and separating the early English language from its Continental relatives.
597Saint Augustine of Canterbury arrived in England to begin the conversion of the English by baptizing King Ethelbert of Kent, thus introducing the influence of the Latin language.
664The Synod of Whitby aligned the English with Roman rather than Celtic Christianity, thus linking English culture with mainstream Europe.
730The Venerable Bede produced his Ecclesiastical History of the English People, recording the early history of the English people
787The Scandinavian invasion began with raids along the Northeast seacoast.
865The Scandinavians occupied northeastern Britain and began a campaign to conquer all of England.
871Alfred became king of Wessex and reigned until his death in 899, rallying the English against the Scandinavians, retaking the city of London, establishing the Danelaw, and securing the position of king of all England for himself and his successors.
991Olaf Tryggvason invaded England, and the English were defeated at the Battle of Maldon.
1000The manuscript of the Old English epic Beowulf was written about this time.
1016Canute became king of England, establishing a Danish dynasty in Britain.
1042The Danish dynasty ended with the death of King Hardicanute, and Edward the Confessor became king of England.
1066Edward the Confessor died and was succeeded by Harold, last of the Anglo-Saxon kings, who died at the Battle of Hastings fighting against the invading army of William, duke of Normandy, who was crowned king of England on December 25.


 年代と出来事に加えて,簡単な解説が添えられているのがよい.しかも,歴史的意義に関する的確なコメントが散見される.例えば,449年の出来事は,しばしばブリテン島における英語の開始という象徴的な意味合いをもって紹介されるが,ここでは英語が他のゲルマン諸語から袂を分かったことを主眼におくコメントが加えられている.ここには,社会(言語学)的というよりは言語学的な側面により強い関心をもつ Algeo and Pyles の英語史記述の方針が現われているように思われる.
 664年のホイットビー会議の歴史的意義にも注目したい.先立つ597年にイングランド人がキリスト教化する種は蒔かれていたといえるかもしれないが,当時のイングランドでは,ローマのキリスト教とともにアイルランドから入ったケルト化したキリスト教が拡大する可能性があった.しかし,この会議によりイングランドにおいてローマのキリスト教が優勢となったことで,後のイングランド史も英語史も,ラテン語を始めとする大陸的なものに大きく影響されていくことになった.島国でありながらも大陸的な要素との接触を常に保ち続けたその後の歴史を考えると,この会議の歴史的意義がおのずと知られる.

 ・ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.

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2017-12-25 Mon

#3164. スライドできる英語史年表 (2) [timeline][web_service][hel_education]

 英語史に関連する種々の年表をこれまで timeline の各記事で示してきたが,今回は「#2562. Mugglestone (編)の英語史年表」 ([2016-05-02-1]) をスライド化してみた.スライドの仕様によりすべてが反映されているわけではないが,とりあえず遊びながら眺められる.14世紀くらいから,だんだんゴチャゴチャしてくる.

 HEL Timeline by Mugglestone

 関連して,「#2358. スライドできる英語史年表」 ([2015-10-11-1]),「#2871. 古英語期のスライド年表」 ([2017-03-07-1]) も参照.

 ・ Mugglestone, Lynda, ed. The Oxford History of English. Oxford: OUP, 2006.

Referrer (Inside): [2018-03-07-1] [2018-02-04-1]

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2017-12-17 Sun

#3156. 「大英帝国の拡大と英語」のまとめ [slide][new_englishes][world_englishes][model_of_englishes][variety][history][link][timeline][standardisation][prescriptive_grammar][prescriptivism][asacul]

 大英帝国の拡大という世界史的展開は,現代英語と英語の未来を論じる上で避けて通ることのできないトピックです.その英語史上の意義について,スライド (HTML) にまとめてみました.こちらからどうぞ.結論としては次のように述べました.

大英帝国の発展は
 (1) 英語の標準化・規範化を後押しして,英語に「求心力」をもたらした一方で,
 (2) 英語の多様化を招き,英語に「遠心力」をもたらし,
現在および未来の英語のあり方の基礎を築いた.


 詳細は各々のページをご覧ください.本ブログの記事や各種画像へのリンクも豊富に張っています.

 1. 大英帝国の拡大と英語
 2. 要点
 3. (1) 大英帝国の発展
 4. 関連年表 (#777, #1377, #2562)
 5. (2) 英語の求心力 --- 標準化・規範化
 6. 標準化と規範化
 7. 18世紀の規範主義
 8. 辞書,文法書,発音指南書
 9. 規範文法の例
 10. (3) 英語の遠心力 --- 世界の様々な英語
 11. 様々な英語変種の例
 12. 英語変種の諸分類法
 13. 21世紀,求心力と遠心力のせめぎ合い
 14. まとめ
 15. 参考文献

 他の「まとめスライド」として,「#3058. 「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド」 ([2017-09-10-1]),「#3068. 「宗教改革と英語史」のまとめスライド」 ([2017-09-20-1]),「#3089. 「アメリカ独立戦争と英語」のまとめスライド」 ([2017-10-11-1]),「#3102. 「キリスト教伝来と英語」のまとめスライド」 ([2017-10-24-1]),「#3107. 「ノルマン征服と英語」のまとめスライド」 ([2017-10-29-1]),「#3121. 「印刷術の発明と英語」のまとめ」 ([2017-11-12-1]) もどうぞ.

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2017-09-19 Tue

#3067. 宗教改革略年表 [timeline][reformation][history]

 今年は宗教改革500周年に当たる.1517年10月31日,ルターがヴィッテンベルクの城教会の北入口の扉に「95箇条の提題」を貼りだし,宗教改革が始まったとされる.以下に,森田 (122--25) による「宗教改革略年表」を再現したい.西ヨーロッパ全体に関わる年表だが,イングランドやスコットランドの主要な事件も含まれている(黄字で示した).宗教改革と英語(史)の関係を考慮する際のおともにどうぞ.

148311.10マルティン・ルター誕生(?1546.2.18.)
14841.1ウルリヒ・ツヴィングリ誕生(?1531.10.11.)
14884.21ウルリヒ・フォン・フッテン誕生(?1523.8.29?)
15097.10ジャン・カルヴァン誕生(?1564.5.27)
15162.エラスムス『校訂新約聖書』
15164.16ツヴィングリ,アインジーデルン修道院の司牧司祭となる
151710.31ルター「95箇条の提題」を発表
15191.1ツヴィングリ,チューリヒの司牧司祭となる
1519 エラスムス『パラクレーシス キリスト教哲学研究の勧め』単行本として出版
15196.27--7.17ライプツィヒ討論会
15206.15ルターに対する波紋威嚇勅書「主よ,立ちて」が出される
15208.ルター「キリスト教界の改善について,ドイツ国民のキリスト教貴族に与える」
15209.28フッテン『ドイツ国民の諸身分に与える訴状』
152010.ルター「教会のバビロン捕囚について」
152011.ルター「キリスト者の自由」
152011.ドイツ各地でルターの書物焼かれる
152012.10ルター,破門脅迫勅書,教会法などの書籍を焼却
15211.3教皇勅書「ローマ教皇にふさわしく」によりルター正式に破門さる
1521「神の水車」(パンフレット)
1521 ルフェーヴル・デターブル,モーで改革運動
15214.17ルター,ヴォルムス帝国議会に召喚
15215.26ルター,ヴォルムス勅令により帝国追放刑
1521 クラーナハ『キリストの受難とアンチ・キリストの受難』
15229.フッテン,ジッキンゲンら帝国騎士とともに,トリーア大司教を攻撃し,失敗する(騎士戦争)
15231.29チューリヒの第一回公開討論会
15236.ツヴィングリ『67箇条の提題の講解と論証』
152310.26チューリヒの第二回公開討論会
1523/24 カールシュタット,オルラミュンデにおいて急進的改革を実施
1524/25 ドイツ農民戦争
15251.チューリヒ郊外のツォリコーン村で,再洗礼派運動誕生
15261.マドリード条約
15265.21--6.8バーデン宗教討論会(スイス版ヴォルムス帝国議会)
15265.22フランソワ一世,教皇とコニャック同名を結ぶ
15268.モハーチの戦い
15268.第一回シュパイエル帝国議会,宗教改革に自由を与える
15271.フェーリクス・マンツ,リマト川にて溺殺刑
1527 ザクセン選帝侯ヨーハン「巡察者のための訓令」を発布
15275.皇帝軍,ローマ掠奪
152712.チューリヒ,コンスタンツと「キリスト教都市同盟」締結
15281.ベルン公開討論会,ベルン宗教改革を導入して,「キリスト教都市同盟」へ加入
15282.「パック事件」が起きる
15294.22第二回シュパイエル帝国議会,ヴォルムス勅令の再施行
15294.オーストリア,スイスのカトリック諸邦と「キリスト教連合」(ヴァルツフート同盟)
1529 ルーカス・クラーナハ「律法と福音」
15295.第一次カペル戦争
15298.3カンブレ和約
15299.26--10.15第一次ウィーン包囲
152910.1--3マールブルク宗教会談,ルター派とツヴィングリ派,正餐論争で一致せず
152911.4--1536.4イングランドで「宗教改革議会」召集
15301.「キリスト教都市同盟」にシュトラースブルク加入
15306.アウクスブルク帝国議会,「アウクスブルク信仰告白」の朗読
15308.エックら「カトリックの論駁書」
153011.ウルジー,大逆罪の容疑で逮捕され,ロンドンへ護送される途中で病死
15312.27シュマルカルデン同盟結成
153110.第二次カペル戦争,ツヴィングリ戦死
15348.イグナティウス・デ・ロヨラ,イエズス会を設立
153410.17--18「檄文事件」
153411.イングランド議会「国王至上法」制定
1535 『カヴァデイル訳聖書』刊行
15357.6トマス・モア処刑
15362.7ジュネーヴ,ベルンと同盟
15362.26「第一スイス信仰告白」
15363カルヴァン『キリスト教綱要』
15365.21ジュネーヴ,宗教改革導入を決定
15365西南ドイツの福音派とルター派のあいだに「ヴィッテンベルク一致信条」成立
15367カルヴァン,ジュネーヴで宗教改革運動に参加
15371.カルヴァン「教会組織に関する諸条項」
15384.23カルヴァン,市民総会の決定により都市外追放
15396.「六箇条法」制定,『大聖書(グレート・バイブル)』刊行
15399.カルヴァン「サドレート枢機卿への返答」
15419.13カルヴァン,ジュネーヴへ帰還
154111.「ジュネーヴ教会規則」を制定
1545 カステリョ,ジュネーヴより追放
1546/47 シュマルカルデン戦争
15471.28英王ヘンリ8世没
15474.24ミュールベルクの戦い,ザクセン選帝侯ヨーハン・フリードリヒ捕虜になる
15473.31仏王フランソワ一世没
15486.「よろいを着た」アウクスブルク帝国議会,「仮信条協定」制定
1551 カルヴァン,ジェローム・ボルセックと二重予定説問題の論争
1552 諸侯戦争 皇帝カール5世敗退
155310.27ミカエル・セルヴェトゥス焚刑
1558 ノックス『女たちの奇怪な統治に反対するラッパの最初の高鳴り』
15559.アウクスブルク宗教平和
1559 ジュネーヴ・アカデミーの創設
15594.イタリア戦争の終結,カトー・カンブレジの和議
15595.「フランス信仰告白」
15603.15--16アンボワーズの陰謀
15608.「スコットランド信仰告白」
15623.ヴァシー事件,ユグノー戦争始まる
1566 「飢餓の年」
15711.イングランド「三九箇条」法制化
15728.23サン・バルテルミの虐殺
15737.「ブーローニュの王令」改革派はラ・ロシェルなどの都市で礼拝式を認められる
15787.「規律(第二)の書」
15791.23ユトレヒト同盟締結
15885.「バリケードの日」パリ市民の蜂起
15888.スペイン無敵艦隊イングランドに敗退
15898.アンリ3世暗殺され,アンリ・ド・ブルボンがアンリ4世として即位
1593 「国教忌避者処罰例」「ピューリタン処罰法」
15984.13ナントの王令
16094.9オランダ独立戦争,オランダとスペインがアントウェルペンで,十二年休戦条約を結ぶ
161811.ドルトレヒト会議,ホマルス派の全面的勝利
164810.ウェストファリア条約


 ・ 森田 安一 『図説 宗教改革』 河出書房,2010年.

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2017-05-08 Mon

#2933. 紙の歴史年表 [timeline][history][medium][writing]

 カーランスキーの著わした『紙の世界史』は,書写材料としての紙の歴史をたどりながら,結果として文字と文字文化の歴史を同時に記述している.書写材料については,「#2465. 書写材料としての紙の歴史と特性」 ([2016-01-26-1]),「#2456. 書写材料と書写道具 (1)」 ([2016-01-17-1]),「#2457. 書写材料と書写道具 (2)」 ([2016-01-18-1]) などで扱ってきたが,今回はカーランスキーの巻末より紙の歴史年表 (466--74) を掲げたい.一覧するとテクノロジーが社会を動かしてきたことがよく分かるが,カーランスキーの言葉を借りれば「社会がテクノロジーを生み出してきた」というべきなのだろう.

紀元前38000年北スペインのエル・カスティリョ洞窟に残る赤い点が人間による最古の描画とされている
紀元前3500年メソポタミアの石灰岩に最古の文字が刻まれる
紀元前3300年バビロニア南部(現イラク)のウルクで粘土板に文字が刻まれる.楔形文字の始まり
紀元前3000年年代が特定されている最古のパピルス.文字跡のない巻物がカイロ近郊サッカラの墳墓から発掘
紀元前3000年エジプトのヒエログリフ象形文字(神聖文字)の始まり
紀元前2500年インダス川流域ではじめて文字が書かれる
紀元前2400年現存する最古のエジプト語の文書
紀元前2200年インダス川流域で銅片や陶片に文字が彫られる
紀元前2100年年代が特定されている最古のタパ.断片がペルーで出土
紀元前1850年年代が特定されている最古の文献.獣皮に書かれたエジプト語の巻物
紀元前18世紀クレタで書記体系が生まれる
紀元前1400年中国で獣骨に文字が書かれる
紀元前1300年中国で青銅,翡翠,亀甲に文字が書かれる
紀元前1200年漢字が発達する
紀元前1100年エジプト人がフェニキア人にパピルスを輸出しはじめる
紀元前1000年フェニキア語のアルファベットが生まれる
紀元前600年メキシコでサポテク/ミステク文字が生まれる
紀元前600年中国とギリシアで木板に帳簿が書かれる
紀元前5世紀中国人が帛を書写に使う
紀元前400年イオニア式アルファベットがギリシアでの標準語となる
紀元前400年中国で油煙から墨が発明される
紀元前3世紀アレクサンドリアに図書館が建造される
紀元前255年中国で封印に関するはじめての記述がなされる.ただし墨を用いずに粘土に押印された
紀元前252年中国の楼蘭で発見された年代のあきらかな最古の紙
紀元前250年マヤ文字が使用される
紀元前220年中国で蒙恬が発明した駱駝の毛筆が書道に使われる
紀元前206年中国の王朝,前漢の幕開け.中国では漢代に紙が開発される
紀元前63年ギリシアの地理学者ストラボンが,黒海沿岸を統治するポントス王国のミトリダテス6世の王宮に水車設備があることへの驚きを記述
紀元前31年現存する最初のオルメカ文字
紀元前30年ローマ帝国がエジプトを征服,パピルスが地中海世界に広まる
紀元後1世紀ローマで一時的な書写に蝋板が使用される
75年楔形文字で最後の日文が書かれる
105年通説では語感の宮廷に使えた宦官の蔡倫が紙を発明したとされている
2世紀スカンディナビアでルーン文字のアルファベットが生まれる
250年--300年年代がほぼ特定されている紙がトルキスタンで出土
256年中国で最初の紙に書かれた本『譬喩経』が作られる
297年最初のマヤ暦が石に彫られる
394年エジプトのヒエログリフ象形文字で最後の日文が書かれる
5世紀日本語の独自の文字体系が開発される
450年年代が特定されている棕櫚の葉に書かれた最初の手稿.中国の北西部で葉写本の断片が発掘された
476年西ローマ帝国最後の皇帝ロムルス・アウグストゥルスの廃位により古代世界が正式に幕を閉じる
500年マヤ人がアマテに文字を書きはじめる
500年--600年マヤ人が樹皮紙を発達させる
538年朝鮮半島の百済の王が紙で作られた経典と仏像を日本へ送る
610年高句麗の僧の曇徴が製紙法を日本に伝える
630年ムハンマドがメッカを征服
673年川原寺の僧侶が仏典を写しはじめ,ほどなく日本で写経が活発になる
8世紀中国で印刷が始まる
706年アラブ人が紙をメッカに持ちこむ
711年アラブ人率いるベルベル人軍がモロッコからジブラルタル海峡を越えてスペインを侵攻
712年日本文学の最古の作品『古事記』が漢文で書かれる
720年仏教の浸透とともに日本での紙の使用が大々的に広まる
751年サマルカンドで製紙が始まる
762年--66年バグダードの建設
770年日本の称徳女帝が紙を使った初の印刷物,病気平癒を願う祈祷書の百万部の作成
794年布くずを材料とする製紙場がバグダードに設けられる
800年エジプトで紙がはじめて使われる
832年イスラム教徒がシチリアを征服
848年アラビア語で紙に書かれた完全な形の本が作られる.年代が特定された書籍では最古とされている
850年『千夜一夜物語』がはじめて書き起こされたと推定される
868年現存する最古の書籍『金剛般若経』が印刷された
889年マヤ人がすべての記録に石ではなく紙を使用しはじめる
9世紀後半バグダードが製紙業の重要拠点となる
900年エジプトで製紙が開始
969年中国で遊戯用カード(紙牌)がはじめて使われた
1041年--48年鉄の版に組まれる初の陶活字が中国で作られる.年代が特定される最古の可動活字
900年--1100年マヤ人が『ドレスデン・コデックス』を作成
1140年イスラム教徒支配下のスペインのハティバで製紙が始まる
1143年『コーラン』がラテン語に翻訳される
1164年イタリアのファブリアーノで初の製紙の記録
1308年ダンテが『神曲』の執筆を開始
1309年イングランドで紙がはじめて使用される
1332年オランダで紙がはじめて使用される
1353年ボッカチオが『デカメロン』を執筆
1387年チョーサーが『カンタベリー物語』の執筆を開始
1390年ドイツの製紙がニュルンベルクで始まる
1403年朝鮮王の太宗が銅活字を製造させる
1411年スイスで製紙が始まる
1423年ヨーロッパで木版印刷が始まったとされる
1440年--50年ヨーロッパで最初の版本(ブロック・ブック)が作られる
1456年グーテンベルクが可動活字で初の『聖書』の印刷を完成
1462年マインツが破壊され,印刷者が離散
1463年ウルリッヒ・ツェルがケルンで印刷所を興す
1464年ローマ近郊のスビアコ修道院がイタリアで最初の印刷所となる
1469年キケロの『家族への書簡集』が,ヴェネツィアで印刷された最初の書籍となる
1473年ルーカス・ブランディスがリューベックで印刷所を興す
1475年または1476年『東方見聞録』がフランス語で印刷された最初の書籍となる
1476年ウィリアム・キャクストンがイギリスで最初の印刷所を開く
1494年アルドゥス・マヌティウスがヴェネツィアにアルド印刷工房を開く
1495年ジョン・テイトがハートフォードシャーにイングランドで最初の製糸場を造る
1502年--20年アステカ人の貢ぎ物の記録に四十二ヵ所の製紙拠点が掲載されている.年間五十万枚の紙を作っていた村もある
1515年アルブレヒト・デューラーがエッチングを始める
1519年エルナン・コルテスが現ベラクルス付近に上陸し,アステカ文化の破壊を開始する
1520年マルティン・ルターの『キリスト教界の改善に関してドイツのキリスト諸貴族に宛てて』が印刷され,二年間で五万部が配布される
1528年ファン・デ・スマラガ神父が先住民の庇護者としてメキシコに到着し,本を燃やす
1539年スペイン人が先住民向けの本を作るためにメキシコ初の印刷所を開く
1549年マヤ人の図書館がスペイン人に焼かれる
1575年スペイン人がメキシコに最初の製紙場を建てる
1576年ロシア人が製紙を開始
1586年製紙許可の政令がドルトレヒトで発布される.オランダの製紙史上最古の記録
1605年セルバンテスの『ドン・キホーテ』が出版される
1609年世界初の週刊新聞がシュトラスブルクで創刊
1627年フランスのラ・ロシェルがカトリック勢力に包囲され,ユグノーの製紙業者はイングランドへ逃れる
1635年デンマークで製紙が開始
1638年英字印刷機はじめてアメリカへもたらされる
1672年オランダ式叩解機の発明によりオランダは良質な白い紙の輸入国から純輸出国に転じる
1690年ウィリアム・リッテンハウスがアメリカで最初の製紙場を設立
1690年アメリカで最初の新聞『パブリック・オカレンシズ・ボース・フォーリン・アンド・ドメスティック』がボストンで創刊
1690年アメリカ大陸の植民地で最初の紙幣がマサチューセッツで発行される
1698年トマス・セイヴェリが鉱山の排水目的で最初の蒸気機関を設計する
1702年ロンドンで日刊紙『デイリー・クーラント』が創刊
1719年ルネ・アントワーヌ・フェルショー・ド・レオミュールが木材から紙を作るスズメバチの手法を解説
1728年マサチューセッツで製紙が始まる
1744年はじめての児童向け絵本『小さなかわいいポケットブック』がイングランドで出版される
1744年ヴァージニアで製紙が始まる
1767年コネチカットで製紙が始まる
1768年アベル・ビュエルがアメリカ大陸植民地ではじめて活字を製造
1769年ニューヘイヴンのアイザック・ドゥーリトルが,イギリスのアメリカ大陸植民地ではじめて印刷機を製造
1773年ニューヨークで製紙が始まる
1774年スウェーデンの薬剤師カール・シェーレによる塩素の発見が漂白への道を開く
1785年ロンドンの独立系新聞『デイリー・ユニヴァーサル・レジスター』が創刊.三年後,『ザ・タイムズ』に紙名を変更
1790年トマス・ビュイックがイギリスでもっとも人気の挿絵画家となる
1798年ニコラ-ルイ・ロベールが連続式抄紙機の特許を申請
1798年画家J・M・W・ターナーが水彩画で実験を始める
1799年アロイス・ゼネフェルダーがリトグラフを考案
1800年スタンホープ卿が総鉄製の印刷機を発明
1801年ジョセフ-マリー・ジャカールがパンチカードによる自動織機を開発
1804年ブライアン・ドンキンが長網抄紙機の第一号を製造
1809年ジョン・ディキンソンが円網抄紙機の特許を取得
1811年フリードリヒ・ケーニヒが蒸気動力の印刷機を発明
1814年ロンドンの『ザ・タイムズ』がケーニヒの蒸気印刷機を使用
1818年ジョシュア・ギルピンがアメリカではじめて連続式抄紙機を製造
1820年この年イギリスで二千九百万部以上の新聞が売れる
1825年ジョセフ・ニセフォール・ニエプスがはじめて写真撮影する
1830年新しい漂白法により色つきのぼろ布から白い紙の製作が可能となる
1833年木材を原料とする製紙の特許がイギリスで登録される
1840年ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが紙に定着する写真をはじめて作成
1841年エビニーザ・ランデルズがロンドンの風刺雑誌『パンチ』を創刊
1843年アメリカのリチャード・M・ホーが蒸気動力の輪転機を発明
1863年アメリカの製紙業者が木材パルプの使用を始める
1867年イギリスの砕木機がパリ万国博覧会で展示される
1867年マサチューセッツ州のストックブリッジで合衆国初の製紙用の木材パルプが作られる
1867年タイプライターの発明
1872年アメリカ合衆国がイギリスとドイツを抜いて世界最大の紙の生産国になる
1874年東京の有恒社が機械漉き紙の製造を開始.大阪,京都,神戸の六社があとに続く
1890年合衆国の国勢調査にパンチカード式の集計機が使用される
1899年スウェーデンの探検家スヴェン・ヘディンが,古代都市,楼蘭の遺跡発掘作業中,紀元前252年の紙を発.紙の歴史を完全に塗り変える
1931年ヴァネヴァー・ブッシュがアナログ・コンピュータを開発
1945年ジョン・フォン・ノイマンが電子メモリをプログラミングするための二進数の採用を論文で発表
1947年トランジスタがベル研究所で発明される
1951年レミントン・ランドが,記憶装置と出力装置に磁気テープを登載したUNIVAC1を四十七台製造
1959年マイクロチップの特許出願


 ・ マーク・カーランスキー(著),川副 智子(訳)『紙の世界史 歴史に突き動かされた技術』 徳間書店,2016年.

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2017-03-24 Fri

#2888. 文字史におけるフェニキア文字の重要性 [alphabet][writing][grammatology][map][timeline]

 昨日の記事 ([2017-03-23-1]) で,英語史連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」の第3回の記事「なぜ英語は母音を表記するのが苦手なのか?」を紹介した.その記事を読むにあたって,文字史やアルファベット史におけるフェニキア文字の重要性を理解していると,よりおもしろくなると思われるので,ここに補足しておきたい.
 フェニキア文字は,それ自身が紀元前2千年紀前半に遡るシナイ文字や原カナン文字などから発展した文字体系であり,前1000年頃に使われていた子音文字体系である.このフェニキア文字から,現在まで広く使用されている多種多様なアルファベット文字体系が生じたという点で,まさにアルファベットの母というにふさわしい(以下,『世界の文字の物語』 (8--9) のタイムラインの一部を掲載).

フェニキア文字以降の発展  *  *

 フェニキア文字の影響を受けた各種の文字体系は,地理的にはユーラシア大陸全域に及んでおり,東アジアの漢字系統の文字体系を別とすれば,少なくともこの2千年間,地球上で最も影響力のある文字グループを形成してきたといえる.
 私たちが英語を書き記すのに用いているアルファベットは「ローマン・アルファベット」あるいは「ラテン文字」(正確には,その変種というべきか)だが,それが文字体系としてもっている本質的な特徴の多くは,フェニキア文字のもっていた特徴に由来するといってよい.したがって,英語の文字や綴字について深く考察していくと,否応なしにフェニキア文字やそれ以前にまで遡るアルファベットの歴史を参照せざるを得ない.
 フェニキア人とその文字に関しては,昨日挙げたリンク先のほか,以下の記事も参照されたい.

 ・ 「#2105. 英語アルファベットの配列」 ([2015-01-31-1])
 ・ 「#2417. 文字の保守性と秘匿性」 ([2015-12-09-1])
 ・ 「#2482. 書字方向 (3)」 ([2016-02-12-1])

 ・ 古代オリエント博物館(編)『世界の文字の物語 ―ユーラシア 文字のかたち――』古代オリエント博物館,2016年.

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2017-03-07 Tue

#2871. 古英語期のスライド年表 [timeline][web_service][oe][anglo-saxon]

 「#2358. スライドできる英語史年表」 ([2015-10-11-1]) にならい,Mitchell (361--64) の古英語期の年表をスライド化してみました.以下の画像をクリックしてご覧ください.スライド年表では,出来事のジャンル別に Lay = 緑,Religious = 赤,Literary = 青で色分けしています.

HEL Timeline for OE by Mitchell

 以下は,スライド年表のベースとした通常の表形式の年表です.参考までに.

DateLayReligiousLiterary
449Traditional date of coming of Angles, Saxons, and Jutes. The legend of Arthur may rest on a British leader who resisted the invaders.
c. 547  Gildas writes De excidio Britanniæ.
560--616Æthelbert King of Kent.  
c. 563 St Columba brings Celtic Christianity to Iona. 
597 St Augustine brings Roman Christianity to Kent. 
616--632Edwin King of Northumbria.  
c. 625Earliest possible date for Sutton Hoo ship-burial.  
627 Edwin converted to Christianity. 
632Edwin killed by heathen King Penda of Mercia.  
635 Aidan settles in Lindisfarne, bringing Celtic Christianity. 
635 King Cynegils of Wessex converted. 
641Oswald King of Northumbria killed by Penda.  
654Penda killed by Oswy King of Northumbria.  
664 Synod of Whitby establishes supremacy of Roman Christianity. 
664 St Chad becomes bishop. 
657--680 Hild Abbess of Whitby.Cædmon uses Germanic alliterative verse for religious subjects during this period.
c. 678 English missions to the continent begin. 
680  Approximate earliest date for composition of Beowulf.
c. 700  Date of first linguistic records.
709 Death of Aldhelm, Bishop of Sherborne. 
731  Bede completes Historia gentis Anglorum ecclesiastica.
735 Death of Bede. 
c. 735Birth of Alcuin.  
757--796Offa King of Mercia.  
782 Alcuin settles at Charlemagne's court. 
793Viking raids begin.Sacking of Lindisfarne. 
fl. 796  Nennius, author or reviser of Historia Britonum.
800Four great kingdoms remain --- Northumbria, Mercia, East Anglia, Wessex.  
780--850  Cynewulf probably flourishes some time in this period.
804 Death of Alcuin. 
851Danes' first winter in England.  
865Great Danish Army lands in East Anglia.  
867Battle of York. End of Northumbria as a political power.  
870King Edmund of East Anglia killed by Danes. East Anglia overrun.  
871Alfred becomes King of Wessex.  
874Danes settle in Yorkshire.  
877Danes settle in East Mercia.  
880Guthrum and his men settle in East Anglia. Only Wessex remains of the four Kingdoms.  
?886Boundaries of Danelaw agreed with Guthrum. Alfred occupies London. The period of the Alfredian translations and the beginning of the Anglo-Saxon Chronicle.
892Further Danish invasion.  
896Alfred builds a fleet.  
899Death of King Alfred.  
899--954The creation of the English Kingdom.  
c. 909 Birth of Dunstan. 
937Battle of Brunanburh. Poem commemorates the battle.
954The extinction of the Scandinavian kingdom of York.  
959--975Edgar reigns.  
960 Dunstan Archbishop of Canterbury. The period of the Monastic Revival. 
c. 971  The Blickling Homilies.
978 or 979Murder of King Edward.  
950--1000  Approximate dates of the poetry codices --- Junius MS, Vercelli Book, Exeter Book, and Beowulf MS.
978--1016Ethelred reigns.  
988 Death of Dunstan. 
991Battle of Maldon. Poem commemorates the battle.
990--992  Ælfric's Catholic Homilies.
993--998  Ælfric's Lives of the Saints.
1003--1023 Wulfstan Archbishop of York. 
c. 1014  Sermo Lupi ad Anglos.
1005--c. 1012 Ælfric Abbot of Eynsham. 
1013Sweyn acknowledged as King of England.  
1014Sweyn dies.  
1016Edmund Ironside dies.  
1016--1042Canute and his sons reign.  
1042--1066Edward the Confessor.  
1066Harold King. Battle of Stamford Bridge. Battle of Hastings. William I king.  


 ・ Mitchell, Bruce. An Invitation to Old English and Anglo-Saxon England. Oxford: Blackwell, 1995.

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2017-03-02 Thu

#2866. 古人類学にみる纏めたがり屋と分けたがり屋 [world_languages][typology][family_tree][anthropology][homo_sapiens][timeline][chronology]

 連日,バーナード・ウッドの『人類の進化』を参照し,他領域からヒントを得て言語の進化について考察してきた.今回も引き続いてウッドを参照し,分類の目の粗さと細かさについての洞察を得てみたい.
 現代世界における言語の数については,研究者によって数え方の違いがあり,数千の幅がある.数え方の違いが何によって生じるかという問題は「#270. 世界の言語の数はなぜ正確に把握できないか」 ([2010-01-22-1]) や「#1060. 世界の言語の数を数えるということ」 ([2012-03-22-1]) などで論じたので繰り返さないが,原因の1つに「言語」と「方言」の区別が客観的につけられないという事情がある.互いに非常に近い関係にあるいくつかの言語変種を,1言語のもとにある諸方言と捉えるか,あるいは各々を独立した言語と捉えるかは,しばしば言語学的な基準のみで決定することができない.前者の捉え方は「纏めたがり屋」 (lumper) の研究者の立場で,後者は「分けたがり屋」 (splitter) の研究者の立場である.
 この "lumper" と "splitter" という呼称は,古人類学の分野で常用されているもののようだ.一般には人類の歴史は「猿人」「原人」「旧人」「新人」の4段階で進んできたと理解されているが,これは人類学者にとっては相当に粗い分類のようで,専門的にはもっと細かく分類されているという.しかし,「もっと細かく」にもレベルがあり,専門家の間でも,大きくまとめあげる lumper と,とことん細分化する splitter とで,タイプが分かれるらしい.究極的には人類学者が10人いれば10通りの分類があるともいえ,その状況は言語においても同じというところがおもしろい.
 参考までに,纏めたがり屋と分けたがり屋による,古人類の種名の対照表を,ウッド (99) より再現しよう.

通称纏めたがり屋の種名年代(万年前)分けたがり屋の分類に含まれる種名
初期猿人アルディピテクス・ラミダス(広義)700--450アルディピテクス・カダッパ,アルディピテクス・ラミダス,サヘラントロプス・チャデンシス,オロリン・トゥゲネンシス
猿人とホモ・ハビリスアウストラロピテクス・アファレンシス(広義)420--300アウストラロピテクス・アファレンシス,アウストラロピテクス・アナメンシス,アウストラロピテクス・バールエルガザリ,ケニアントロプス・プラティオプス
アウストラロピテクス・アフリカヌス300--240アウストラロピテクス・アフリカヌス
パラントロプス・ボイセイ(広義)250--130パラントロプス・ボイセイ,パラントロプス・エチオピクス,アウストラロピテクス・ガルヒ
パラントロプス・ロブストス200--150パラントロプス・ロブストス
原人と旧人ホモ・ハビリス(広義)240--160ホモ・ハビリス,ホモ・ルドルフェンシス
ホモ・エレクトス(広義)198--1.8ホモ・エレクトス,ホモ・エルガスター,ホモ・フロレンシエンシス
新人ホモ・サピエンス(広義)70--現在ホモ・アンテセッソル,ホモ・ハイデルベルゲンシス,ホモ・ネアンデルターレンシス,ホモ・サピエンス


 纏めたがり屋が広義で用いている「ホモ・サピエンス」には,分けたがり屋にとっての狭義での新人「ホモ・サピエンス」のみならず,通常「旧人」とされている「ホモ・ネアンデルターレンシス」も含まれることになるなど,素人にとっては実にややこしい.DNA という「物的証拠」があるにもかかわらず,客観的な線引きが難しいというのは,非常に示唆的である.実にこの難しさは,言語の分類に際してもほぼそのまま当てはまるのである.  *

 ・ バーナード・ウッド(著),馬場 悠男(訳) 『人類の進化――拡散と絶滅の歴史を探る』 丸善出版,2014年.

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2016-12-06 Tue

#2780. 海戦の歴史と近現代英語史 [history][timeline]

 古来,海戦は大きく歴史を動かしてきた.というのは,海戦はその時々の技術の粋を結集したものであり,文明どうしの衝突でもあるからだ.第二次世界大戦以後,空軍が戦いの主役となる以前は,強い海軍を保有し,交易路たる海を支配できることが,権力と富を手に入れるための条件だった.『海のひみつ』 (89) より,世界史に名の残る海戦をいくつか年表形式で示そう.

紀元前480年サラミスの海戦380せきのギリシャ艦隊が1200せきのペルシャ艦隊と戦って勝ちました.
紀元前31年アクティウムの海戦合わせて550せき以上のエジプトとローマの艦船がイオニア海で戦いました.ローマが勝利し,その結果帝政ローマが生まれました.
1279年崖山の戦いフビライ・ハンひきいる元が1000せき以上の南宋の艦船をはかいし,東アジアの南宋支配を終わらせました.
1571年レパントの海戦カトリック教国の同盟軍が,オスマン帝国の大艦隊を打ちやぶりました.
1588年アルマダの海戦130せきからなるスペイン艦隊が,イングランド艦隊との戦いで損害をこうむって北に逃げ,そこで強風によりかいめつじょうたいとなりました.
1776年ロングアイランドの戦いアメリカ独立戦争で最初の大規模な海戦は,経験不足のアメリカ軍がイギリス軍に敗北しました.
1805年トラファルガーの海戦ホレーショ・ネルソン提督にひきいられたイギリス艦隊が,ナポレオン戦争中にスペインのトラファルガー岬の沖でフランスとスペインの連合艦隊をやぶりました.
1916年ユトランド沖海戦第一次世界大戦中に,イギリス海軍とドイツ海軍がデンマーク沖で戦ったユトランド沖海戦は,艦船の大きさと数とで史上最大の海戦でした.
1942年ミッドウェー海戦第二次世界大戦の太平洋の戦いで最も重要とされる海戦で,アメリカと日本の海軍が戦いました.
1944年レイテ沖海戦第二次世界大戦における最後の大規模な海戦で,フィリピン沖でアメリカ軍と日本軍が戦いました.しずんだ艦船の数は史上最多です.
1950年仁川上陸作戦朝鮮戦争での海戦で,この戦いにおいて国連軍が勝利したことにより,大韓民国は首都ソウルをふたたび取りもどすことができました.


 1588年のアルマダの海戦以降,世界史的な意義をもつ重要な海戦のほとんどに,イギリスやアメリカが関わっていることがわかる.このことは,技術,文明,権力,富が,近代以降,英米両国に集結してきたこと,言語史としてみれば英語の重要性が高まってきたことと無縁ではない.世界のたどってきた社会的な歴史と言語の歴史は,水も漏らさぬほどの密接な関係とはいえないにせよ,少なくとも疎からざる関係にあったことは論を俟たない.
 とりわけ英語史に関わる海戦の話題としては,「#254. スペイン無敵艦隊の敗北と英語史」 ([2010-01-06-1]) と「#255. 米西戦争と英語史」 ([2010-01-07-1]) を参照.

 ・ スティーブ・パーカー(著),白山 義久(日本語版監修) 『海のひみつ』 小学館の図鑑 たんけん! NEO,小学館,2013年.

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