↑↑↑ 本企画の特設ページ「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」へようこそ」へ今すぐアクセス ↑↑↑
来たる2024年9月8日(日),Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて12時間連続の公開生収録のイベント「英語史ライヴ2024」(hellive2024) が開催されます.khelf(慶應英語史フォーラム)主催の,英語史に特化した企画です.英語史系イベントとしては前代未聞の試みとなります.詳しくは「英語史ライヴ2024」特設ページをご覧ください.
さて,「英語史ライヴ2024」には事前登録した数十名の方々が会場に参集します.参加者には khelf メンバー,大学(院)生,研究者などが含まれますが,とりわけ熱量をもって日本各地から参集してくる方々がいます.それは heldio のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa)(月額800円の有料配信)に加わっているプレミアムリスナーたち,またの名を「helメイト」の面々です.
とりわけhelメイトの皆さんに「英語史ライヴ2024」を何倍も楽しんでいただくために,事前に「helwa コンテンツ」企画を催すことに致しました.この企画に賛同いただいたhelメイトの方々には,事前に英語史に関する「コンテンツ」と称するエッセイ風の読み物を自由に作成していただき,ラジオネーム記名で,あるいは匿名で,ご提出いただきました.その寄せられてきたコンテンツを,「英語史ライヴ2024」の2週間ほど前の8月26日(月)より,毎日1つずつ(ただし土日は2つずつ),こちらのページで公開していくという企画です.
helwa コンテンツの内容は,必ずしも学術的ではありませんし,その必要もありません.英語史を楽しめる内容であることが最大のポイントです.勉強になるコンテンツ,くすっと笑えるコンテンツ,作成者の切り口を味わえるコンテンツ,何でもありです.
「英語史ライヴ2024」当日の11:30--11:55には「helwa コンテンツの講評」と題する生配信が予定されています.コンテンツ作成者にもトークに加わっていただき,このコンテンツが勉強になった,あのコンテンツが笑えた,などワイワイ楽しい25分にしたいと思います.そのためにも,ぜひhelメイトはもとより多くの方々に,ライヴの前までに helwa コンテンツを鑑賞しておいていただければ幸いです.
では,本企画の特設ページ「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」へようこそ」よりコンテンツをたっぷりお楽しみください.すでに3本のコンテンツが公開されています.
新企画のお知らせについては,heldio より「#1185. helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」 --- 新企画がスタート!」もお聴きください.
本日より,慶應義塾大学通信教育課程の夏期スクーリング科目「英語史」が開講します.土曜日までの6日間にわたる集中講義です.
本日の初回講義では,本ブログの記事を組み合わせながら英語史の世界への導入を図ります.履修生の皆さんは,いつでもこちらの記事に戻ってきてください.
1. イントロ
1.1. 不定冠詞 a と an について: 「#831. Why "an apple"?」 ([2011-08-06-1]),heldio 「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」
1.2. 「英語史」講義担当者の紹介: note 「堀田隆一のプロフィール」,heldio 「#1171. 自己紹介 --- 英語史研究者の堀田隆一です」,「#2. 自己紹介」 ([2009-05-01-2])
2. 英語史の世界へようこそ
2.1. 英語史の魅力4点: 「#4546. 新学期の始まりに,英語史の学び方」 ([2021-10-07-1])
(1) 英語の見方が180度変わる
(2) 英語と歴史(社会科)がミックスした不思議な感覚の科目
(3) 素朴な疑問こそがおもしろい
(4) 現代英語に戻ってくる英語史
2.2. 「#4361. 英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」 ([2021-04-05-1]): 魅力 (2) に通じます
2.3. 「なぜ英語史を学ぶのか」の記事セット: 様々な角度から「なぜ学ぶのか」を検討してみました(cf. heldio 「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」や heldio 「#112. 英語史って何のため?」でも取り上げています)
3. 英語に関する素朴な疑問
3.1. 「#1093. 英語に関する素朴な疑問を募集」 ([2012-04-24-1]): 魅力 (3) に通じます
3.2. 3166件の素朴な疑問
3.3. これまで hellog で取り上げてきた素朴な疑問集
3.4. 知識共有サービス「Mond」で英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています
4. 英語史を日常の風景に
4.1. 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1]): 2009年5月1日より毎日更新している英語史のブログです.この hellog の効果的な使い方の tips をどうぞ.合わせて「#5362. 2023年によく読まれた hellog 記事は?」 ([2024-01-01-1]) もご覧ください.
4.2. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio): hellog の音声版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) .2021年6月2日より毎朝6時に1本10分ほどで英語史の話題をお届けしています.日々の英語史の学びのためにフォローしてください.英語史の話題が日常になります.「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]),「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]),「#5554. リスナー投票による heldio 2024年第2四半期のランキング」 ([2024-07-11-1]) も参照.
4.3. 「#5091. khelf の沿革,活動実績,ミッションステートメント」 ([2023-04-05-1]): khelf HP,公式 X アカウント @khelf_keio,公式 Instagram アカウント @khelf_keio より情報を発信しています.
4.4. 「#5496. 『英語史新聞』第9号が発行されました」 ([2024-05-14-1]): 世界初の英語史を主題とする新聞の第9号です.
4.5. khelf イベント「英語史コンテンツ50+」が始まっており,まだ続いています: 今年4月10日より休日を除く毎日,英語史を専攻するゼミ生・院生から手軽に読める「英語史コンテンツ」がウェブ上にアップされてきます.上記だけでは足りないという方は,過年度の同企画もどうぞ.
4.6. もう1つの khelf イベント「#5568. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 ([2024-07-25-1]) もご参照ください.
4.7. 「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」): 2022年2月26日より同専攻の井上逸兵先生(英語学・言語学)と一緒に週2回(水)と(日)の午後6時に動画を公開しています
5. 講義の進め方
5.1. 講義スライド,テキスト,リアクションペーパー提出課題,試験,評価について
5.2. 指定テキストは拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』(研究社,2016年).本書のコンパニオン・サイトもあります.
5.3. 英語史の読書案内:「#5462. 英語史概説書等の書誌(2024年度版)」 ([2024-04-10-1]),「#4557. 「英語史への招待:入門書10選」」 ([2021-10-18-1]),heldio 「対談 英語史の入門書」
5.4. 過年度の「英語史」履修生の言葉: 「#5393. 2023年度,1年間の「英語史」の講義を終えて」 ([2024-02-01-1]),heldio 「#974. 1年間の「英語史」の講義を終えて --- 2023年度版」
6. 履修生よりライヴで寄せられた英語の素朴な疑問に即興で答える「千本ノック」
以上,スクーリングの1週間,そしてその後も,知的興奮に満ちた英語史ライフをお楽しみください! 関連して「#5463. 2024年度の「英語史」講義が始まります --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目」 ([2024-04-11-1]) もどうぞ.
なぜ英語史を学ぶのか.迷ったら,まず「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」を.
1週間後の8月24日(土)17:30--19:00に朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」の第5回となる「英語,ラテン語と出会う」を開講します.
前回,7月27日の第4回では「現代の英語に残る古英語の痕跡」と題して,古英語の語彙,語形成,ケルト語からの僅少な影響に注目しました.そこでは古英語が純度の高いゲルマン系の語彙を保っており,造語能力も豊かであったことを解説しました.
しかし,古英語にも諸言語からの借用語は確かにありました.少数のケルト借用語の存在についてはすでに触れましたが,その他にもラテン語語や古ノルド語からの借用語が各々数百語(以上)の規模で古英語に入ってきていたのです.数百語ほどの数では語彙全体のなかではさほど目立たないのも確かですが,その後の豊富な語彙借用の歴史を念頭におけば,古英語期が英語史上重要な位置づけにあることが理解できるでしょう.
今回の講座では,古英語期(あるいはそれ以前の時代)におけるラテン語の語彙的影響に注目します.また,ラテン語の影響が語彙的・言語的なレベルにとどまらず文化的な次元にまで及んだことにも触れます.
本シリーズ講座は各回の独立性が高いので,第5回からの途中参加などでもまったく問題なく受講できます.新宿教室での対面参加のほかオンライン参加も可能ですし,その後1週間の「見逃し配信」もご利用できます.奮ってご参加ください.
なお,本シリーズ講座は「語源辞典でたどる英語史」と題しているとおり,とりわけ『英語語源辞典』(研究社)を頻繁に参照します.同辞典をお持ちの方は,講座に持参されると,より楽しく受講できるかと思います(もちろん手元になくとも問題ありません).
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
この夏休み,定期的に知識共有サービス Mond に寄せられてきた英語関連の素朴な疑問 (sobokunagimon) に回答しています.直近5件ほどの回答を,新しい順に並べます.
(1) なぜ be 動詞に属する動詞は be しかないのに,そんなに大仰な名前が付いているのでしょうか?
(2) 形容詞の屈折に -er という優等比較の屈折形態があるのに対して,劣等比較の屈折形態がないのはなぜですか?
(3) 関係詞は2文を1文にまとめる役割があると言われますが,2文にするか1文にするかで意味合いは異なるのでしょうか?
(4) 英語の "subjunctive mood" について,英語史的な知見をいろいろと知りたいと思っておりまして,質問させていただきます.
(5) 「be + 過去分詞」の過去分詞は 動詞なんですか, 形容詞なんですか?
それぞれ難問ですね.答えそのものというよりも,答え方に注目していただけますと幸いです.他にも様々な答え方がありますし,むしろここから議論が始まるものだと思っています.
これらの質問は一見素朴に見えて,実は英語の歴史や言語学の深い洞察を必要とするお題ばかりです.英語学習者の皆さんが日頃感じている疑問が,実は言語学的に非常に興味深い問題であることも少なくありません.このような Mond への質問をお待ちしています!
日頃より,本ブログの姉妹版・音声版である Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」をお聴きいただいています.この度,heldio の過去配信回を,私の YouTube チャンネル「heltube --- 英語史チャンネル」にてポッドキャストとして,再放送風に古いものから配信する取り組みを始めました.様子見として始めてみて3週間余が経ちますが,日々の準備のルーチンも徐々に固まってきており,少しずつ反響もいただくようになってきましたので,こちらの hellog でも公式にお知らせする次第です.
Voicy heldio では「英語史をお茶の間に」をモットーに,本ブログとともに英語史を広めるための音声コンテンツを日々配信してきています.本日までに3年2ヶ月ほど,通常配信としては1170回をお届けしてきました.リスナーの皆さんの支持のもと,少しずつ着実に聴いてくださる方々が増えてきています.ありがとうございます.
昨今ウェブ上のメディアは林立しており,ユーザーの皆さんの好むメディアもまちまちです.例えば,英語史コンテンツの発信をテキストで読むのが好きな方には,本ブログ hellog は近づきやすいと思いますが,Voicy heldio はお聴きでないかもしれません.逆に,音声配信を好む方は heldio では英語史の音声配信を受け取っていても,本ブログは普段は読んでいないかもしれません.さらに,動画がお好みという方は,潜在的に英語史に関心があったとしても,媒体違いの hellog や heldio には日常的にアクセスしないかもしれません.唯一絶対のメディアがない以上,伝えたいことのある発信者の目線としては,マルチ配信という形が有力なオプションとなります.
そしてこの度,先に述べたように heldio を YouTube 化してお届けすることにしました.YouTube 化といっても,正確には YouTube ポッドキャスト化というべきものにすぎず,YouTube 上にイラスト風の静止画像が映っている状態で,音声が流れるという形態です.heldio 最新回を YouTube でマルチ配信してもよいのですが,試行中ということもあり,ひとまず古い回から順に1日1回 YouTube ポッドキャスト化することにトライしています.YouTube で heldio 第1回からの「再放送」を聴取できるということになりますが,実際には heldio ですべての通常配信の過去回を選択して聴くことができますので,皆さんの聴取習慣に合わせて,ご都合のよい方をご利用いただければと思います.
YouTube で(も)聴取してくださるという方は,ぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします.また,おもしろいと思った配信回については,ぜひシェアもお願いします.
本日までに第23回までを公開していますが,目下もっとも人気のある配信回は,上に掲げた「heldio #17. 形容詞と副詞の no は別語源!」です(オリジナルの heldio 配信回はこちらです).このお盆休みに YouTube 経由でも heldio 配信回を聴取いただければ.
先日『子供の科学』9月号が発売されました.小学校3年生から中学生を読者層とする科学雑誌です.こちらの44頁にて,小学校5年生より寄せられてきた標題の素朴な疑問に回答しています.一言回答としては「古今東西,言語にはさまざまな語順があります」となります.
この質問については様々な媒体で取り上げてきましたが,今回は雑誌上で小学生に対して回答・解説するという初めての機会だったので,その点で頭を悩ませました.限られた紙幅で,何をどこまで伝えられるのか.易しく,かつ本質を突くような回答を探ってみましたが,はたして成功しているでしょうか.どのように読んでもらえているのか,気になるところです.
上記回答では英語が古くは現代の語順とは異なる語順をもっていた点にもちらと触れましたが,深掘りはできませんでした.この点に関心のある方は,ぜひ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」より「英語の語順は大昔は SOV だったのになぜ SVO に変わったかいろいろ考えてみた.祝!!30回!」をご覧ください.
その他,本ブログでも語順 (word_order) 関連の話題はたびたび取り上げてきています.
[ 英語史における語順の変化・変異とその原因 ]
・ 「#3127. 印欧祖語から現代英語への基本語順の推移」 ([2017-11-18-1])
・ 「#132. 古英語から中英語への語順の発達過程」 ([2009-09-06-1])
・ 「#4597. 古英語の6つの異なる語順:SVO, SOV, OSV, OVS, VSO, VOS」 ([2021-11-27-1])
・ 「#4385. 英語が昔から SV の語順だったと思っていませんか?」 ([2021-04-29-1])
・ 「#2975. 屈折の衰退と語順の固定化の協力関係」 ([2017-06-19-1])
・ 「#4793. 多くの方に視聴していただいています!井上・堀田の YouTube 第30弾「英語の語順は大昔は SOV だったのになぜ SVO に変わったかいろいろ考えてみた」」 ([2022-06-11-1])
[ 基本語順の類型論 ]
・ 「#137. 世界の言語の基本語順」 ([2009-09-11-1])
・ 「#3124. 基本語順の類型論 (1)」 ([2017-11-15-1])
・ 「#3125. 基本語順の類型論 (2)」 ([2017-11-16-1])
・ 「#3128. 基本語順の類型論 (3)」 ([2017-11-19-1])
・ 「#3129. 基本語順の類型論 (4)」 ([2017-11-20-1])
・ 「#4316. 日本語型 SOV 言語は形態的格標示をもち,英語型 SVO 言語はもたない」 ([2021-02-19-1])
・ 「#3734. 島嶼ケルト語の VSO 語順の起源」 ([2019-07-18-1])
さらに,過去に書いてきた連載記事等も多々ありますので,リンクを張っておきます.
・ 英語史連載企画(研究社)「現代英語を英語史の視点から考える」の第11回と第12回
- 「#3131. 連載第11回「なぜ英語はSVOの語順なのか?(前編)」」 ([2017-11-22-1]) (連載記事への直接ジャンプはこちら)
- 「#3160. 連載第12回「なぜ英語はSVOの語順なのか?(後編)」」 ([2017-12-21-1]) (連載記事への直接ジャンプはこちら)
・ 知識共有サービス「Mond」での回答:「日本語ならSOV型,英語ならSVO型,アラビア語ならVSO型,など言語によって語順が異なりますが,これはどのような原因から生じる違いなのでしょうか?」
・ 「#3733.『英語教育』の連載第5回「なぜ英語は語順が厳格に決まっているのか」」 ([2019-07-17-1])
・ 「#4583. 『中高生の基礎英語 in English』の連載第9回「なぜ英語の語順は SVO なの?」」 ([2021-11-13-1])
・ 「#4527. 英語の語順の歴史が概観できる論考を紹介」 ([2021-09-18-1])
語順問題について改めて考えてみていただければ.
(以下,後記:2024/08/22(Thu))
・ 堀田 隆一 「なぜ,日本語と英語では語順が違うのですか? --- 古今東西,言語にはさまざまな語順があります」『子供の科学』2024年9月号,誠文堂新光社,2024年8月10日.44頁.
標題は,あらゆる世代の英語学習者からよく尋ねられる素朴な疑問です.この疑問について,中学生を念頭において回答する heldio を2回に分けて収録しました.ぜひお聴きください.
・ 「#1166. なぜ英語ではいつも主語が必要なの? --- 中学生のための英語史」
・ 「#1167. 続・なぜ英語ではいつも主語が必要なの? --- 中学生のための英語史」
最初の配信回では,日本語では主語が省略できるのに英語では省略できないのはなぜか,という問題意識を念頭に,今回の質問に真正面から答えました.
一方,続編では見方を変えて,英語でも実は主語の省略はないわけではない,むしろ部分的には省略されている,と主張しました.ここから,英語と日本語は意外と似ている側面もあるのだな,と気づいてもらえれば幸いです.
今後,今回のような「中学生のための英語史」 (hel_for_junior_high_school_students) シリーズに力を入れていきたいと思っています.関連して,過去の hellog 記事「#5352. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生からの反響」 ([2023-12-22-1]) もご参照ください.
5月から6月にかけて,あなたの推しの前置詞は何ですか,という問いを方々に尋ねていました.とりとめのない話題ですが,Voicy heldio/helwa,本ブログ,大学の授業などで意外と盛り上がりました.関連するコンテンツへのリンクを時系列順に並べます.
・ helwa 「【英語史の輪 #135】あなたの「推しの前置詞」は何ですか?(無茶振り大会)」(2024年5月21日)
・ helwa 「【英語史の輪 #136】「推し前置詞」回の振り返り」(2024年5月22日)
・ heldio 「#1096. あなたの推し前置詞を教えてください with 小河舜さん&まさにゃん」(2024年5月31日)
・ heldio 「#1097. あなたの推し前置詞を教えてください with khelf 青木輝さん&藤原郁弥さん」(2024年6月1日)
・ hellog 「#5516. あなたの「推し前置詞」は何ですか?」 ([2024-06-03-1])
・ hellog 「#5517. 大学生に尋ねました --- あなたの「推し前置詞」は何ですか?」 ([2024-06-04-1])
・ hellog 「#5574. heldio/helwa でコメントが盛り上がった配信回,ベスト30」 ([2024-07-31-1])
特に最初に挙げた helwa 配信回「【英語史の輪 #135】あなたの「推しの前置詞」は何ですか?(無茶振り大会)」はおおいに盛り上がりました.コメント欄にスレッドが林立し,ほぼ前置詞のみの話題でお祭り騒ぎとなりました.一般には公開されていないスレッドですが,これを垣間見ると helwa の雰囲気やメンバー(「ヘルメイト」 "helmates" と呼んでいます)の気質(?)が分かるのではないかと思い,許可を得て,匿名化するなど多少の編集を加えた上でこちらに掲載することにしました(注:コメンテーターCは堀田です).新しいスレッドが上に掲載される仕様なので,下から読んでいくとよいと思います.
ここ1週間ほどで,知識共有サービス Mond に寄せられてきた英語関連の素朴な疑問 (sobokunagimon) に5件ほど回答しました.新しい順に並べてみます.
(1) OK'd や OD'd という表現を見かけました.このアポストロフィはなぜついているのでしょうか?
(2) 英語の助動詞 can, shall, may, will などの過去形 could, should, might, would と,一般動詞の過去形語尾 -ed とは関係があるのでしょうか?
(3) take care of や listen to などの「群動詞」は受動態などにおいて1つの動詞であるかのように振る舞います.このように本来は統語上ひとまとまりではないものが群動詞的な性質を帯びた経緯について教えてください.
(4) なぜ cut は cut-cut-cut と変化しないのでしょうか? また,read は read-read-read と同様ですが,こちらはなぜ発音だけ変化するのでしょうか?
(5) コーラ,ノートのように日本語には「長音」がありますが,なぜ日本語に転写するときにこのように新しい記号を作る必要があったのでしょうか?
形態論,統語論,正書法に関する質問が寄せられてきました.いずれも一言では答えられないような問いではありますが,なるべく英語史・英語学の観点そのものを知ってもらればという思いで回答しています.ですので,答えそれ自体だけではなく,議論の展開にも注目していただければ.
Mond への鋭い質問をお待ちしています!
7月29日現在,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて3年2ヶ月ほどをかけて通常配信,プレミアム限定配信,有料配信を合わせて1,372回ほどの配信回をお届けしてきました.とりわけこの1年半ほどは,リスナーの皆さんのご協力によりコメント欄が賑わいをみせ,英語史コミュニティとして徐々に盛り上がってきた感があります.ありがとうございます.
Voicy のアナリティクスにより,寄せられたコメントが多い配信回のベスト30を拾い出してみました.対談や企画ものの配信回で,リスナーの皆さんが呼びかけに応じて多くコメントくださる場合に,議論が盛り上がり,ますますコメント欄が賑わうといった傾向が見られるようです.
コメント欄自体が1つのコンテンツになっているのではないかと思われるほど面白い回もありますので,改めて読んだり聴いたりしていただければと思います.第1位に輝いたニックネーム考の回などは,振り返ってみると一大イベントになっています!
昨日の記事「#5568. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 ([2024-07-25-1]) で紹介した Voicy heldio の公開生収録イベントは,khelf(慶應英語史フォーラム)が主催するイベントとなります.複数の出版社さんより協賛いただいています.
このイベントに向けて khelf の「hel活」 (helkatsu) が盛り上がってきています.以下,主立った活動を紹介します.
(1) khelf の公式サイトに新しいページやコンテンツが加わっています.
・ 「英語史ライヴ2024」特設ページがオープンしています.イベントに関する最新の情報は,こちらから得られます.
・ 「英語史コンテンツ50+」は終盤の終盤ですが,まだ継続しています.
(2) Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」への khelf メンバーの出演
・ 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します by khelf」(2024年6月22日)
・ 「#1130. 教えて khelf 会長! --- 新シリーズののろし」(2024年7月3日)
・ 「#1137. 教えて khelf 会長! --- Yes, this is! 問題を語る」(2024年7月10日)
・ 「#1143. 教えて khelf 会長! --- 言語学的センスを磨く方法は?」(2024年7月16日)
・ 「#1145. 重大告知 --- khelf 主催「英語史ライヴ2024」の出演者と協賛社の発表」(2024年7月18日)
・ 「#1146. khelf 広報班の活動紹介 --- なかの人たちの声」(2024年7月19日)
・ 「#1147. 日常の英語史・英語学 --- khelf 疋田くんの新シリーズ」(2024年7月20日)
・ 「#1152. 【速報】「英語史ライヴ2024」スポンサー,研究社との打合報告」(2024年7月25日)
・ 「#1153. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (8) --- khelf 藤原くんと king の項を精読する」(2024年7月26日)
(3) khelf の公式 Instagram アカウント @khelf_keio からの発信活動
・ ゼミ長出演の英語史系ショート動画シリーズがスタート.第1弾と第2弾をどうぞ.
・ 「英語史ライヴ2024」に関する投稿.第1弾はこちらで,最新投稿はこちら.
・ 今後 khelf メンバーを紹介する投稿なども企画中.
(4) khelf の公式 X アカウント @khelf_keio からの発信活動
・ 1450フォロワーを擁し,日々の khelf 活動の広報塔として鋭意活動しています.最近のこちらの謎めいたポストは何を意味するのでしょうか!?
(5) khelf 発行の『英語史新聞』 (The HEL Herald)
・ 「英語史ライヴ2024」の当日,9月8日(日)に発行予定の第10号に向けて,編集作業が進行中です.
・ 号外も含めバックナンバー一覧はこちらのページからどうぞ.
このように khelf は夏休みの間も暑さに負けず旺盛なhel活を続けていきます.応援のほどよろしくお願いいたします!
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のイベントのご案内です.2024年9月8日(日)に12時間連続の公開生収録の「英語史ライヴ2024」 (hellive2024) を都内某所で開催します! khelf(慶應英語史フォーラム)主催の,英語史に特化した大企画です.英語史系イベントとしては前代未聞の試みとなります.
学界の一線で活躍する研究者の先生方との対談を企画しているほか,「英語史クイズ」や人気シリーズ「はじめての古英語」なども予定しています.また,多くの出版社より協賛いただくことになっております.
当日は午前6時から午後6時まで,12時間の Voicy heldio 生配信をお届けします.公開生収録には,khelf メンバー,他大学の関係者の先生方や学生たちが立ち会います.
そのほか,Voicy heldio のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa)(月額800円のサブスク)のリスナーさんにもご登録の上ご参加いただけます.詳しくは7月18日(木)の配信回「【英語史の輪 #160】「英語史ライヴ2024」への参加を正式に募集します(生配信)」をお聴きください.「英語史ライヴ2024」に参加するために helwa にお入りいただくことも歓迎いたします.
今から1ヶ月半ほど後のイベントですが,目下 khelf で鋭意準備中です.7月25日現在,「英語史ライヴ2024」に関して決まっていることを一覧します.
【メイン MCs】
・ 青木輝さん(khelf 会長,慶應義塾大学大学院生)
・ 藤原郁弥さん(慶應義塾大学大学院生)
・ 「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学,元 khelf 会長)
・ 小河舜さん(上智大学)
・ 金田拓さん(帝京科学大学)
・ 堀田隆一(慶應義塾大学)
【対談予定の先生(五十音順)】
・ 秋元実治先生(青山学院大学名誉教授)
・ 家入葉子先生(京都大学)
・ 井上逸兵先生(慶應義塾大学)
・ 今村洋美先生(中部大学)
・ 田辺春美先生(成蹊大学)
・ 福元広二先生(法政大学)
・ 保坂道雄先生(日本大学)
・ 和田忍先生(駿河台大学)
【協賛出版社(五十音順)】
・ 朝倉書店
・ 開拓社
・ 研究社
・ 昭和堂
・ 大修館書店
・ 中央大学出版部
・ 白水社
・ 早川書房
・ ひつじ書房
【配信予定の番組】
・ 先生方との対談
・ 人気シリーズ「はじめての古英語」
・ 英語史クイズ
・ 『英語史新聞』第10号お披露目
・ 『英語語源辞典』読書会
・ 古英語LINEスタンプお披露目
今後の決定事項は随時 heldio の配信回や,khelf の公式 HP より「英語史ライヴ2024」特設ページにてお知らせしていきます.また,khelf の公式 X アカウント @khelf_keio,および khelf の公式 Instagram アカウント @khelf_keio からもイベント情報を発信していきます.日々ご注目ください.
とりわけ heldio では,頻繁に「英語史ライヴ2024」関連の告知配信をお届けしていく予定です.これまでの重要な告知回を挙げておきます.
・ 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します by khelf」(2024年6月22日)
・ 「#1145. 重大告知 --- khelf 主催「英語史ライヴ2024」の出演者と協賛社の発表」(2024年7月18日)
・ 「#1152. 【速報】「英語史ライヴ2024」スポンサー,研究社との打合報告」(2024年7月25日)
「英語史ライヴ2024」,準備段階からおおいに盛り上げていきたいと思います.応援をよろしくお願いいたします.
一昨日7月17日(水)の19:00より,同僚の井上逸兵さんと運営している YouTube 「いのほた言語学チャンネル」にて,250回記念のライヴ配信をお届けしました.100名を超える方々にライヴでご視聴いただきました.ありがとうございます.アーカイヴ配信としても視聴できますので,ぜひ「#250. 250回記念ライヴ」からどうぞ(80分ほどの配信です).
今回のライヴ配信は,半年前の200回記念「#5388. YouTube 「いのほたチャンネル」で200回記念として初めてのライヴ配信を行ないました」 ([2024-01-27-1]) に続く第2弾でした.今後も時折このようなライヴ配信をお届けしたいと思っています.
今回は雑談回ではありましたが,後半にかけて重要な呼びかけやお知らせがありました.
(1) この YouTube チャンネルの飲み会回「言語学バル」に,ゲスト出演していただける英語史界隈の方,ぜひお声がけください!
(2) 9月8日(日)に Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」として12時間生配信の「英語史ライヴ2024」を開催します.そのフィナーレには,井上逸兵さんも登場する予定です.こちらのイベントの最新情報は「#1145. 重大告知 --- khelf 主催「英語史ライヴ2024」の出演者と協賛社の発表」よりお聴きください!
引き続き「いのほた言語学チャンネル」をよろしくお願いいたします.
今年度,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を月に一度のペースで開講しています.4,5,6月と3回の春期クールを終え,この7月からは夏期クールが始まります.
第4回は来週末の7月27日(土)の夕方 17:30--19:00 に開講されます.お申し込み窓口が開いておりますので,ぜひこちらより詳細をご確認ください.講座形式はいわゆるハイブリッド形式で,新宿教室での対面受講,あるいはリアルタイム・オンラインでの受講が可能です.また申込みされた方は,「見逃し配信」として,その後1週間,講座を視聴できます.ご都合の良い方法でご参加ください.以下の通り,本シリーズは全12回を予定していますが,各回,各クールの独立性は高いので,夏期クールより初めての受講であっても,まったく問題ありません.
1. 英語語源辞典を楽しむ(2024年4月27日)
2. 英語語彙の歴史を概観する(2024年5月18日)
3. 英単語と「グリムの法則」(2024年6月8日)
4. 現代の英語に残る古英語の痕跡(2024年7月27日)
5. 英語,ラテン語と出会う(2024年8月24日)
6. 英語,ヴァイキングの言語と交わる(2024年9月28日)
7. 英語,フランス語に侵される(日付未定)
8. 英語,オランダ語と交流する(日付未定)
9. 英語,ラテン・ギリシア語に憧れる(日付未定)
10. 英語,世界の諸言語と接触する(日付未定)
11. 英語史からみる現代の新語(日付未定)
12. 勘違いから生まれた英単語(日付未定)
7月以降の夏期クールも毎月1回,指定の土曜日の夕方 17:30--19:00 に開講する予定です.春期クールから続いているシリーズではありますが,各クール,各回とも独立性の高い講座ですので,夏期クールより初めてのご参加であっても,まったく問題ありません.
春期クール3回の広い意味での「イントロ」を終え,夏期クールはいよいよ英語語彙史の具体的な記述が始まります.第4回は「現代の英語に残る古英語の痕跡」と題して,英語史の幕開きとなる古英語 (Old English) の時代に注目します.古英語とは紀元449--1100頃の英語を指しますが,語彙においても,そして発音,文字,文法においても,現代英語とは驚くほど異なる言語でした.現代の観点からみると,例えば古英語の語彙は,その多くの割合が現代まで生き延びずに,死語となっています.古英語と現代英語の語彙は,内容も規模も大きく異なるのです.
確かに語彙の断続性は著しいのですが,語彙の継続性にも注目したいところです.第4回講座の目標は,古英語と現代英語の語彙が間違いなくつながっているという事実を確認することです.
第4回のお知らせと概要は,先日 Voicy heldio でもお話ししました.「#1140. 7月27日(土),朝カルのシリーズ講座第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」が開講されます」をお聴きください.
シリーズでは『英語語源辞典』(研究社)を頻繁に参照します.同辞典をお持ちの方は,講座に持参されると,より楽しく受講できるかと思います(もちろん手元になくとも問題ありません).
本シリーズに関する hellog の過去記事へリンクを張っておきますので,ご参照ください.
・ 「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」 ([2024-04-01-1])
・ 「#5481. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の第1回が終了しました」 ([2024-04-29-1])
・ 「#5486. 5月18日(土)の朝カル新シリーズ講座第2回「英語語彙の歴史を概観する」のご案内」 ([2024-05-04-1])
・ 「#5511. 6月8日(土)の朝カル新シリーズ講座第3回「英単語と「グリムの法則」」のご案内」 ([2024-05-29-1])
・ 「#5528. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の春期3回が終了しました」 ([2024-06-15-1])
春期クールは,私の歴代朝カル講座のなかで最も多くの方々に受講していただきました.第4回から始まる夏期クールも,多くの方々のご参加をお待ちしております!
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
「#5546. heldio 2024年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 7月9日までオープン」 ([2024-07-03-1]) でご案内したとおり,「hel活」 (helkatsu) の一環として,今年第2四半期における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.29名よりご投票いただきました.ご協力ありがとうございました.
投票結果をまとめましたので,本記事にて報告いたします.上位10位までの計14回分を掲載しています.詳しくは Slido での投票結果をご覧ください.
1. 「#1124. 「はじめての古英語」第9弾 with 小河舜さん&まさにゃん&村岡宗一郎さん」 (48%)
2. 「#1066. ノルマン征服 --- Ten Sixty-Six」 (34%)
3. 「#1064. eavesdrop 「盗み聞きする」」 (31%)
3. 「#1115. 言語にはムダが多すぎる --- 言語の余剰性」 (31%)
5. 「#1039. 英語発音は日本語よりも「口の可動域」が広い! 矢冨弘先生のブログ記事より」 (28%)
5. 「#1096. あなたの推し前置詞を教えてください with 小河舜さん&まさにゃん」 (28%)
5. 「#1125. 「はじめての古英語」第9弾のアフタートーク」 (28%)
8. 「#1043. ある用途のために発達してきたものを別の用途のために用いる「外適応」」 (24%)
8. 「#1126. 世にも奇妙な「過去現在動詞」」 (24%)
10. 「#1057. 「はじめての古英語」生放送 with 小河舜さん&まさにゃん --- Bede を読む (2)」 (21%)
10. 「#1085. hamburger の形態論」 (21%)
10. 「#1088. 企業の対外的なメッセージについて語る --- 北澤茉奈さんとの対談 (1)」 (21%)
10. 「#1104. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 山本忠行先生とのアフリカの英語をめぐる対談 (2)」 (21%)
10. 「#1109. 『法と言語』第9章 --- 五所万実さんの「商標言語学」」 (21%)
第1位には,「はじめての古英語」シリーズより「#1124. 「はじめての古英語」第9弾 with 小河舜さん&まさにゃん&村岡宗一郎さん」が選ばれました! 過去2回のリスナー投票に引き続き3連覇です.本シリーズを人気シリーズに押し上げてくださったリスナーの方々に感謝致します.普段は小河舜先生(上智大学)および「まさにゃん」こと森田真登先生(武蔵野学院大学)とのトリオでお送りしている古英語入門シリーズですが,今回は村岡宗一郎先生(日本大学)にもご同席いただき,いつもよりさらに賑やかな回となりました.小河さんによる Beowulf からの渾身の選文も効いていたと思います.なお,そのアフタートークも第5位に付けているので,合わせて多くのリスナーの方々に楽しんで聴いていただいたものと受け取っております.
第2位の「#1066. ノルマン征服 --- Ten Sixty-Six」も嬉しい入賞です.配信回番号を歴史年号に見立てた初めての回でしたが,これ自体は実はリスナーさんのアイディアでした.おかげさまです.
第3位には,「英語の語源が身につくラジオ」としては正当なトピックである「#1064. eavesdrop 「盗み聞きする」」と,言語の本質に迫った「#1115. 言語にはムダが多すぎる --- 言語の余剰性」が得票率タイで入賞しています.後者はコメント欄も非常に盛り上がりました(ぜひ覗いてみてください).
第5位タイの3回のうち2回は「はじめての古英語」シリーズのメンバーによる雑談回です.もう1回は矢冨弘先生(熊本学園大学)のコンテンツにあやかった「#1039. 英語発音は日本語よりも「口の可動域」が広い! 矢冨弘先生のブログ記事より」でした.
第8位以下の詳細は省略しますが,今年の heldio の大テーマである言語変化 (language_change) に関連する回や,ゲスト対談回も上位に入りました.
ぜひ今回のランキング結果全体を眺めていただき,まだお聴きでない回がありましたら,ぜひ聴取いただければと思います.以上,投票結果の報告でした.
先週の木曜日,6月20日(木)の夜に,堀田研究室に4名の英語史学徒が集結しました.そこで Voicy heldio にて「はじめての古英語」シリーズの第9弾を収録し,それを一昨日「#1124. 「はじめての古英語」第9弾 with 小河舜さん&まさにゃん&村岡宗一郎さん」としてお届けしました.生配信ではありませんでしたが,ライヴ感のある充実した内容となっているかと思います.ぜひお聴きいただければ.
今回の収録は,レギュラーメンバーの小河舜さん(上智大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学)に加え,村岡宗一郎さん(日本大学)をお呼びして収録しました.今回は古英語のある1文に集中しましたが,それだけで十分に堪能することができました.
上記のシリーズ回の翌日には「#1125. 「はじめての古英語」第9弾のアフタートーク」で,さらに4人が盛り上がる様子をお届けしています.個々のメンバーによる音読もあり,こちらも必聴です.
シリーズを重ねるにつれ,お聴きの皆さんの古英語への関心が高まってきているように感じます.さらにいえば,hel活 (helkatsu) 全般が活気づいてきています.リスナーの Grace さんによる A to Z の「英語史研究者紹介」というべき note,lacolaco さんによる「英語語源辞典通読ノート」,Lilimi さんによる古英語ファンアートを含む「Lilimiのオト」,り~みんさんによる X 上での古英語音読の試みなど,さまざまに盛り上がってきています
「はじめての古英語」シリーズ (hajimeteno_koeigo),これからも続けていければと思います.
英語史の研究者がじきじきに英語史分野を推す本気の「hel活」 (helkatsu) が現われてきています.
「#5487. 菊地翔太さん(専修大学)が note を始められました」 ([2024-05-05-1]) でご紹介した菊地翔太さん(専修大学)が,5月1日付でこちらの note に自己紹介の初記事を投下されました.
その後,周囲で期待が膨れ上がる中,50日あまりの沈黙を破り,昨日6月23日,第2弾となる記事が公開されました.満を持しての note 更新といってよいでしょう.「英語史学習の記録にブクログを!」です.
記事の内容は,菊地さんがゼミ生向けに始められた「ブクログ」による英語史活動の紹介です.ブクログは web 本棚サービスであり,本の感想やレビューによって人々がつながっていくことができるサービスです.菊地さんは,ゼミ生たちをブクログに巻き込み,英語史関連の書籍を紹介し合う学習・教育活動を展開しています.
まずは菊地さんご自身の「専修大学英語史ゼミの本棚」を覗いてみることをお薦めします.本棚にはすでに96冊の英語史書が並んでおり,圧巻の充実振りです.
菊地さんの斬新なhel活に刺激を受け,私自身もすぐにブクログのアカウントを開設し,とりあえず「helbs の本棚」(= "hel + bookshelf" のつもり)の名前で英語史の本棚を急ごしらえ.棚だけ作り,まず練習のために拙著を放り込んでみました.本格的な書籍選定はこれからなのですが,すでにおもしろい! ぜひ皆さんもブクログでご自身の本棚を持ち,菊地さんが提案する新しいhel活を始めませんか?
ちなみに菊地さんは,この新手のhel活を「helロギング」 (= "hel-logging"?) と呼び始めていらっしゃいます.名前学的に本ブログの名称「hellog」(ヘログ)に寄りすぎたニアミスであり,領域侵犯の疑いから私も臨戦態勢に入りかけましたが,菊地さんが上記 note 記事のなかで私を名指して「Let's enjoy helロギング!」と高らかに唱えつつ文章を締めくくっているのを見るにつけ,完全に脱力しました(笑).
1週間前の6月8日(土)17:30--19:00 に,朝日カルチャーセンター新宿教室のシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」の第3回「英単語と「グリムの法則」」を開講しました.
4月より毎月1回,全12回のシリーズとして開始しましたが,最初のクール(3回分)が無事に済んだことになります.この春期クールには,40名を超える申込みをいただきました(私の講座としては歴代最多!).対面あるいはオンラインで出席していただいた方々,後日に動画で視聴した方々,ご参加ありがとうございました.毎回参加者より興味深い質問やコメントを多く寄せていただき,終了間際に短時間に回答するだけではもったいないほどなのですが,このように積極的に関わっていただき嬉しく思います.7月からの夏期クールもよろしくお願い致します.
改めて全12回のシリーズの予定を確認しておきます.
1. 英語語源辞典を楽しむ(2024年4月27日)
2. 英語語彙の歴史を概観する(2024年5月18日)
3. 英単語と「グリムの法則」(2024年6月8日)
4. 現代の英語に残る古英語の痕跡(2024年7月27日)
5. 英語,ラテン語と出会う(2024年8月24日)
6. 英語,ヴァイキングの言語と交わる(2024年9月28日)
7. 英語,フランス語に侵される(日付未定)
8. 英語,オランダ語と交流する(日付未定)
9. 英語,ラテン・ギリシア語に憧れる(日付未定)
10. 英語,世界の諸言語と接触する(日付未定)
11. 英語史からみる現代の新語(日付未定)
12. 勘違いから生まれた英単語(日付未定)
最初の3回は,シリーズ全体のなかでは,英語語源辞典と英語語彙史の導入の機会となりました.次の夏期クールの3回(第4,5,6回)は,いよいよ英語史本体に入ります.主に古英語期の言語接触に注目することになります.ゲルマン語派に属する英語が,いかにゲルマン語の語彙を保ち続け,いかに大陸の威信言語であるラテン語を受容し,いかにヴァイキングの侵攻に伴い,彼らの母語である古ノルド語の影響を被ったか.激動の英語語彙史の幕開きです.
7月以降も毎月1回指定の土曜日の夕方 17:30--19:00 に開講していく予定です.すでにお申し込みが可能になっていますので,こちらより詳細をご確認いただければ.春期クールから続いているシリーズではありますが,各クール,各回とも独立性の高い講座ですので,夏期クールより初めてのご参加であっても,まったく問題ありません.
このシリーズ講座については,本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でも予習・復習に資するコンテンツをお届けしてきましたし,これからもお届けしていく予定です.なお,お手元に寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)が置いてあると,ますますエキサイティングに受講できる講座となっています.「#5436. 私の『英語語源辞典』推し活履歴 --- 2024年3月15日版」 ([2024-03-15-1]))と「#5522. 私の『英語語源辞典』推し活履歴 --- 2024年6月9日版」 ([2024-06-09-1]) もご参照ください.
昨日,heldio/helwa リスナーさんの Lilimi さんによる「hel活」 (helkatsu) note 「Lilimiのオト」 の最新記事が公開された.「Procreate で古英語を書いてみた」と題して,イラストアプリを用いて古英語の文字を描かれている.hel活ならぬ古英語活に資する「古英語ファンアート」だ.
再現されている古英語テキストは「#2902. Pope Gregory のキリスト教布教にかける想いとダジャレ」 ([2017-04-07-1]) で紹介した1節の一部である.第2段落の第6文,中程より少し上の "Eft hē āxode . . . ȝefēran bēon." という部分だ.この箇所は,実は Lilimi さんも参加された長崎オフ会にて,参加メンバー一同で音読練習したことがある.「#1048. コアリスナーさんたちと古英語音読」をお聴きいただければ.
さて,上記で取り上げた古英語テキストの一部の写本画像を掲げたい.同テキストの典拠は,後期古英語の散文作家 Ælfric による Catholic Homilies: 2nd Series の "IX, St Gregory the Great" だ.このテキストが収められている写本とその folio は MS Ii.1.33, fol. 140v(Cambridge Univ. Digital Library)である(クリックで拡大).
ぜひ写本そのものも味わっていただければ.
先日,菊地翔太先生(専修大学)と話しをする機会があり,大学の授業で標題の本 The Long Journey of English: A Geographical History of the Language をテキストとして用いているとのこと.昨年出版された,社会言語学の泰斗 Peter Trudgill による英語史の本です.伝統的な英語史書というよりは,主題・副題からも読み取れる通り,英語拡大史の本といったほうが分かりやすいと思います.当然ながら,世界英語 (world_englishes) の話題とも密接に関連してきます.私は未読ですが,早速入手はしました.これから読み進めつつ,菊地先生や学生の皆さんとともに議論したいな,などと思っています.
まず,本書の目次を挙げておきましょう.
Prologue: A View from the Birthplace
1 Where It All Started: The Language Which Became English
2 The Journey Begins: The First Movement South
3 Interlude: A View from the Celtic Island
4 Heading West Again: The North Sea Crossing, 400--600
5 Anglo-Saxons and Celts in the British Highlands, 600--800
6 And Further West: Across the Irish Sea, 800--1200
7 Atlantic Crossing: On to the Americas, 1600--1800
8 Onwards to the Pacific Shore
9 Across the Equator: Into the Southern Hemisphere, 1800--1900
10 Some Turning Back: English in Retreat
11 Meanwhile . . . Britain and the British Isles from 1600
12 Transcultural Diffusion: The New Native Englishes
Epilogue: Sixteen Hundred Years On
タイトルで "Geographical" と謳っている通り,本書内には地図が豊富です.また,巻末には参考文献一覧と索引が付いています.皆さんも一緒に読んでみませんか.
なお,菊地先生は,今後「hel活」 (helkatsu) としてご自身の note 上で英語史関連の記事を書かれていくつもりだとおっしゃっていました.本書の話題も出てくるかもしれませんね.たいへん楽しみです.
・ Trudgill, Peter. The Long Journey of English: A Geographical History of the Language. Cambridge: CUP, 2023.
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