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helkatsu - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2026-09-22 05:00

2026-08-12 Wed

#6316. khelf のhel活の資産,過年度の「英語史コンテンツ」が復旧 [khelf][khelf_hel_intro][cat_hel_contents_50_2022][cat_hel_contents_50_2023][cat_hel_contents_50_2024][cat_hel_contents_50_2025][hel_herald][helkatsu][links][sobokunagimon][hel_education]

 本日は,khelf(慶應英語史フォーラム)によるhel活 (helkatsu) の貴重なウェブ上の資産について,お知らせです.
 khelf では,2021年度から2025年度にかけての5年間にわたり,春から夏にかけての風物詩的な名物企画として「英語史コンテンツ」(初年度の2021年度は「英語史導入企画」と呼んでいた)という催しを継続してきました.これは,主として khelf に所属する慶應英語史ゼミの現役学部生・大学院生を中心とし,卒業生やその他の関係者も少数加わったメンバーが日替わりで執筆を担当し,英語史に関する様々な話題をウェブ上に公開していくという熱量あふれる企画です.
 企画概要や各年度のコンテンツのタイトル一覧については,khelf HP のこちらのセクションにまとめられており,これまで本ブログでも毎年度の恒例行事としてたびたび関連する話題を取り上げてきました.
 しかし,ここ1年ほどの間,過去コンテンツへのアクセスについて問題が生じていました.khelf HP 上に掲載されているコンテンツのうち,最新の2025年度分についてはすべてのコンテンツおよびリンクが正常に機能しているものの,2024年度以前の過去のコンテンツへのリンクが切れてしまっていたのです.
 このリンク切れの背景には,所属大学が契約していたオンラインストレージのサービス Box が,諸事情により契約打ち切り・運用終了となったという事情がありました.これにより,もともと Box 上に置かれていたファイル群へのリンクが無効化されるに至りました.
 幸いコンテンツのデータ自体は散逸することなく,Google Drive 上に退避させておいたため無事でした.しかし,個々のコンテンツファイルの各々に再びリンクを張り直す作業には膨大な手間がかかるため,リンク切れのまま放置せざるを得ない心苦しい状態が続いていました.
 このたび,年度単位でのアクセス環境を再整備しました.個別の各コンテンツファイルへの直リンクの完全復元とまではいきませんが,年度ごとの全体フォルダへの共有リンクを新たに公開・設置しました.これにより,過年度の特定のコンテンツをご覧になりたい場合に,khelf HP 上でタイトルと公開年度さえ確認していただければ,該当する年度のフォルダへアクセスして,お目当てのコンテンツにたどり着けるようになりました.
 khelf メンバーが知恵と情熱を絞って作成してきた「英語史コンテンツ」は,英語史の素朴な疑問 (sobokunagimon) に答える教育的・啓蒙的な資産であり,英語史をお茶の間に広めるための宝の山です.これが再びみなさんの手元で閲覧可能な状態に戻ったことは,khelf のhel活にとっても大きな一歩であると感じています.
 以下に,2021年度から2025年度までの各年度の「英語史コンテンツ」企画について,(1) コンテンツにアクセスできる年度別オンラインフォルダへのリンク,(2) khelf HP 上の公式ページ,(3) hellog での関連記事集へのリンク,の3点を一覧として掲げます.ぜひ過去の名作コンテンツの数々を探索してみてください.

・ 2021年度の「英語史導入企画」

  1. 2021年度コンテンツフォルダ(Google Drive)
  2. khelf HP 上の公式ページ
  3. khelf_hel_intro_2021

・ 2022年度の「英語史コンテンツ50」

  1. 2022年度コンテンツフォルダ(Google Drive)
  2. khelf HP 上の公式ページ
  3. hel_contents_50_2022

・ 2023年度の「英語史コンテンツ50」

  1. 2023年度コンテンツフォルダ(Google Drive)
  2. khelf HP 上の公式ページ
  3. hel_contents_50_2023

・ 2024年度の「英語史コンテンツ50+」

  1. 2024年度コンテンツフォルダ(Google Drive)
  2. khelf HP 上の公式ページ
  3. hel_contents_50_2024

・ 2025年度の「英語史コンテンツ50」

  1. 2025年度コンテンツフォルダ(Google Drive)
  2. khelf HP 上の公式ページ
  3. hel_contents_50_2025

 復旧した過年度のコンテンツをきっかけに,新たな学びや素朴な疑問への発見があれば幸いです.今後とも khelf の活動と英語史コンテンツをよろしくお願いします.

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2026-08-03 Mon

#6307. 『英語語源ハンドブック』特設HPがリニューアル [hee][lp][helkatsu][hel_education]


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 1年前の今日,「#5942. 『英語語源ハンドブック』のランディングページ (LP) を作成しました --- 7月29日の重版出来記念」 ([2025-08-03-1]) の記事を公開しました.この1年間,『英語語源ハンドブック』は好評をいただき,ハンドブックをめぐる環境も変化してきました.そこで,本書の特設HPをリニューアルしました.
 単なる書籍紹介のための特設HPという枠組みを超えて,アプリ,公式コンテンツ,読者コミュニティ,そして関連書籍が有機的につながり合う『英語語源ハンドブック』エコシステムのポータルサイトへと進化を遂げてのリニューアルとなります.
 今回の特設HPの改変・追加ポイントは多岐にわたりますが,特にアピールしたい要点をいくつか紹介します.

 ・ 物書堂アプリ版(iOS)発売 & 公式無料特典の集約:デジタルならではの検索・コピー機能にご注目ください.さらに本書掲載の4,083語・表現を網羅した「公式索引データ(Excel/PDF)」の無料配布や,最新正誤表へも案内します.
 ・ 広がる「読者の輪(hel活・教育実践)」のアーカイブ化:刊行後に読者,教育者,研究者の皆さんがウェブ上で展開してくださったコンテンツ群を,カテゴリ整理しました.sorami さんやみーさんによる note 連載,ykagata さん,り~みんさんによる他言語比較,天野優未さん,やるせな語学さん,khelf の寺澤志帆さんらによる専門的・実践的アプローチなど,熱量あふれるhel活の広がりを一覧できます.
 ・ 学びのロードマップ「英語史の塔 (Tower of HEL)」の新設: 『はじめての英語史』,『英語語源ハンドブック』,『英語語源辞典』,『古英語・中英語初歩』という研究社の英語史4書籍の相互関係を示しました.
 ・ Amazon カスタマーレビューの掲載:現場の中高英語教員から寄せられた「一生使える虎の巻」といった絶賛の声をはじめ,熱いメッセージを多く掲載しています.
 ・ メディア・YouTube・講座実績の集約:本書に注目した「ゆる言語学ラジオ」出演回,「いのほた言語学チャンネル」出演回,各種ラジオ出演回,朝日カルチャーセンター新宿教室での講座などを挙げています.
 ・ モバイル閲覧の完全最適化:スマホやタブレットからでも快適に巡回できるよう,レスポンシブデザインへ刷新しました.

 この1年間で本書の周りに生まれた温かい読者の輪と,広がり続ける英語史コンテンツの循環には,感謝の念に堪えません.まさに読者の皆さんとともに作り上げてきたポータルサイトだと実感しています.
 新しくなった『英語語源ハンドブック』特設HPを,ぜひ訪問してみてください.アプリ版のチェックや公式索引データのダウンロード,そして本書の通読・活用に向けて,ワクワクするような学びのヒントが見つかるはずです.

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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2026-08-02 Sun

#6306. 英語史の月刊ウェブマガジン Helvillian の2026年8月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][nazesantangen][dubline_guinness_recording_session]



 7月28日,有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 8月号が公開されました.通算第22号となります.
 まず,編集委員の Galois さんによる素晴らしい表紙デザインが目を引きます.今号の「表紙のことば」を担当されたのは,佐久間さん(helwa のハンドルネーム「無職さん」)です.上海の外灘(ワイタン)に建つ旧中国税関の時計塔を取り上げ,イギリス帝国の領土拡大と英語の世界進出の歴史を重ね合わせて解説してくれています.ロンドンの Big Ben をモデルとし,かつて「ウェストミンスターの鐘」を響かせていた時計塔が,現在では革命歌「東方紅」を奏でているという歴史の皮肉は,まさに英語史が世界史の一部であることを思い出させてくれます.専門家である佐久間さんは,日本歯科医史学会や救急蘇生法教育の歴史に関する記事も寄稿されています,
 今号の収載記事も,多種多様で魅力的なラインナップが揃っています.前号に引き続き熱を帯びているのが『なぜさんたんげん』関連の記事です.ari さんによる「英子さんたんげん」や「3単現」関連の記事,しーさんによる「日本語で読もう!『なぜさんたんげん』」,あまねちゃんさんによる「載りそうで載らなかったトピックを想像してみた」シリーズなど,多角的なアプローチで『なぜさんたんげん』を盛り上げています.
 語源や英語史の深掘り記事も百花繚乱です.mozhi gengo さんは plaster, pairing, bear などいつもながらに様々な語源を取り上げられていますが,他のヘルメイトのhel活と互いに影響を与え合う話題選びも目立ち,「hel活の輪」を体現しています.同じように,ykagata さんの houseghost やドイツ語に絡めた多様なコンテンツも,「hel活の輪」を回し続ける動力源です.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート D」は職人技の域に達していますね.sorami さんの「中学生向け英語語源クイズ」,川上さんの「homework と housework の違い」をはじめとする素朴な疑問系のトピック,みーさんによる「小学生と学ぶ英語史」シリーズなど,教育現場や日常に即したコンテンツが目白押しです.
 さらに,Lilimi さんの『古文と漢文』読書記,rei さんの ghost から spirit への「helwa 論」,こじこじ先生によるオリジナル曲の披露,kendama_player さんによる英語史講座報告など,ヘルメイト個々の関心と創造性が炸裂しています.
 新刊書,宮嵜 由美・八木橋 宏勇(編)『響き合うことばと社会』(開拓社)を記事で紹介された Grace さんは,「helwa のあゆみ」も執筆されています,北千住オフ会での Baugh and Cable 精読会や,急遽開催され大盛況となった「ダブリン・ギネス収録会」の熱気が記録されています.
 そして,研究者論や helwa 論にも関心の強い umisio さんによる「編集後記」は必読です.井上逸兵先生の「ゆる言語学ラジオ」出演に端を発した酷暑の「ボケ」大ブームと,ari さんの極上 note 記事「青椒肉絲の美味しい店」をめぐりリスナーや私の大混乱をユーモアたっぷりに語ってくれています.
 今号の目次を取りまとめてくださった Lilimi さん,そして編集委員の Galois さん,Grace さん,umisio さん,本当にありがとうございました.
 hellog 読者の皆さんも,ぜひ Helvillian 8月号を開いて,この熱気あふれる学びの場を体験してみてください.そして,この熱いhel活の輪に加わりたいと思われた方は,ぜひ Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」 へお越しください.その日からあなたもヘルメイトです!

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2026-07-31 Fri

#6304. deeranimal を『英語語源辞典』で読み解く by 寺澤志帆さん&lacolacoさん [notice][kdee][hel_education][helkatsu][khelf][terasawashiho][voicy][heldio][semantic_change][etymology][french][latin][borrowing][kenkyusha]



 今朝の Voicy heldio にて「#1888. deer と animal --- 『英語語源辞典』読み解きシリーズ by 寺澤さん&lacolacoさん」を配信しました.前回の beast 編に対応する hellog 記事「#6301. beast を『英語語源辞典』で読み解く by 寺澤志帆さん&lacolacoさん」 ([2026-07-28-1])) に続く,『英語語源辞典』 (= KDEE) 読み解きシリーズの後半戦となります.
 今回も khelf(慶應英語史フォーラム)の寺澤志帆さんと,heldio/helwa コアリスナーの lacolaco さんによる対談形式でお届けしています.研究社さんのご許可のもと,今回の精読対象である2語の辞典項目画像を以下に掲載します.


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 今回の後半戦は,beast の記事の白ダイヤ(注釈部)に突如現れた2つの重要語 deeranimal へと接続・深掘りしていく展開となりました.
 まず,lacolaco さんがリード役となり deer の項目を読み解いていきます.古英語の本来語 dēor は,もともと一般的な「動物」を意味していました.それが中英語期にフランス語から入ってきた beast に押され,やがて「鹿」という特定の動物へと語義が特殊化していった経緯が紐解かれます.lacolaco さんの精読を受け,寺澤さんが補足やコメントを加える形で解説と議論が深まっていきます.
 後半では,寺澤さんがリード役を務めて animal の項目を精読していきます.ラテン語 anima 「空気,息,命,魂」に由来するこの語が,16世紀の近代英語期に(再)導入され,やがて beast に代わって「動物」の代表表現の座に就いていくプロセスの記述を読み解きます.その後,お二人による beast, deer, animal 全体を俯瞰した総合的なディスカッションへと発展していきます.意味変化が実際にはストレートな過程ではなく,複雑な現象であるという重要な洞察も得られました.
 「本来語 deer > フランス借用語 beast > ラテン借用語 animal」という勢力図の遷移と意味変化のグラデーションが,辞書記述を通じて立体的に浮かび上がってきます.「動物」とはいったい何なのか,という悩ましい問いも立ち上がってきました.解説の最後で突如現れた古英語の家畜を表す単語 nēat に,お二人が「これは何だ?」と困惑する一幕もあり,精読のライブ感が伝わってきます.
 なお,lacolaco さんはご自身の note 過去記事でで deeranimal について整理されていますので,合わせてお読みください.

 ・ 「英語語源辞典通読ノート D (deduce-deictic)」
 ・ 「英語語源辞典通読ノート A (angle-animal)」

 語源辞典を1項目ずつ丁寧に読み解くことで,単なる単語の暗記を超えた英語史のドラマが立ち現れてきますね.ぜひお手元に『英語語源辞典』をご用意の上,または本配信をきっかけに1部入手していただき,この知的な冒険の音源をお楽しみください!


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2026-07-30 Thu

#6303. 類義語,和製英語,数詞の特集 --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第14弾 [note][hee][helkatsu][hel_education][quiz][synonym][waseieigo][japanese][numeral][article][voicy][heldio]



 heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが人気です.隔週土曜日に新作が公開されていますが,今日は7月25日に公開された第14弾を紹介します.
 今回も,授業のウォームアップや親子の雑学タイム,さらには脳トレ(!?)にそのまま活用できる充実したラインナップとなっています.テーマは,意味が似ていて紛らわしい英単語の区別,和製英語の第2弾,そして数詞と不定冠詞 a/an にまつわる語源問題です.
 前半では,put onwear の「動作」と「状態」の違い,日本語では様々な動詞に訳し分けられる wear の万能性,さらには largebig の客観/主観のニュアンスの違いや,laughsmile の対比など,英語学習者が直面しやすい類義語・類義表現の使い分けが丁寧に扱われています.
 続く中盤では,日本語のある乗り物に由来する rickshaw のような英語化された日本語単語のトピックや,「ワイシャツ」「SNS」「ドンマイ」といった英語圏では通じにくい和製英語・カタカナ語を自然な英語でどう表現するかという実践的なクイズが並びます.
 そして後半のハイライトは,数にまつわる語源問題です.only, alone, lonely, between の中に潜む数詞の形跡を探る問いから,不定冠詞 a/an が数詞 one (古英語 ān)からどのように分化・発達したかという英語史の核心へとつながっていきます.母音・子音の環境による n の脱落について,単なる発音の便宜という誤解を解き明かす歴史的事実が紹介されており,まさに heldio の初回「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」と響き合う内容となっています.
 sorami さんのクイズ・シリーズの主な典拠となっているのは,刊行から1年1ヶ月ほどが経つ『英語語源ハンドブック』(研究社)です.1ヶ月ほど前の6月30日に物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ版 (iOS) も発売されていますので,ぜひこちらよりチェックしてみてください.

(以下,後記:2026/08/02(Sun))
 今回紹介した第14弾については,heldio 配信回「#1890. 類義語,和製英語,数詞 --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズ第14弾」でも案内していますので,ぜひそちらもお聴きください.



 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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2026-07-28 Tue

#6301. beast を『英語語源辞典』で読み解く by 寺澤志帆さん&lacolacoさん [notice][kdee][hel_education][helkatsu][khelf][terasawashiho][voicy][heldio][semantic_change][etymology][french][latin][borrowing][gvs][kenkyusha]



 今朝の Voicy heldio にて「#1885. beast --- 『英語語源辞典』読み解きシリーズ by 寺澤さん&lacolacoさん」を配信しました.先日の「#6298. 好評のうちに完結 --- heldio 『英語語源辞典』読み方シリーズ bear 編」 ([2026-07-25-1]) が好評だったことを受け,heldio での『英語語源辞典』 (=KDEE) の読み解きシリーズを本格的に継続することにしました.
 今回も解説を担当してくれるのは,khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーで「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」を日々連載中の寺澤志帆さんです.そして,もう一方,強力な助っ人にもご参加いただきました.heldio/helwa コアリスナーで「英語語源辞典通読ノート」を執筆されている lacolaco さんです.KDEE 通読・精読のトップランナーのお二人による対談という,実に豪華で魅力的なコラボレーションが実現しました.
 今回注目した単語は beast です.研究社さんのご許可のもと,該当する辞典項目を画像として以下に掲載していますので,ぜひ画像を眺めながら,またお手元に辞書がある方は該当ページを開きながら,じっくりお聴きいただければと思います.


kdee_beast_small.png



 beast の項目の精読・解説は,英語史の深さとおもしろさが凝縮された内容となっています.英語史における初出は1200年より前とされる中英語の文献 Ancrene Riwle に遡ります.まず注目すべきは語義の記述順です.KDEE では「動物」が最初にあがり,続いて「獣;野獣」と記載されています.一般的な英和辞典とは異なり,KDEE では歴史的に古く用いられた意味の順に配列されているため,beast は英語に入ってきた当初,現在の animal に相当する一般的・広義の「動物」を意味していたことが分かります.
 語源としては,中英語の best(e) から大母音推移 (gvs) を経て現代の発音・綴字に至っています.この単語自体は古フランス語 beste (現代フランス語 bête)からの借用であり,それは俗ラテン語 *besta(m) に遡ると考えられ,古典ラテン語 bēstia(m) に対応します.対談では,俗ラテン語(話し言葉)と古典ラテン語(書き言葉)を結ぶ「=」記号の持つ深い意味合いや,凡例の読み解きをめぐり,音源を聴いた私も大いに唸らされる精密な議論が交わされました.
 さらに興味深いのは,beast をめぐる意味変化と「取って代わる関係」のドラマです.beast はもともと古英語の本来語 dēor (現代の deer)に取って代わって一般的名称「動物」の座に就きました.しかし近代英語期になると,今度はラテン語由来の animal にその座を追われ,自身の語義は「野獣,獣」へと限定・縮小していったのです.1611年の近定訳聖書では,まだこの過渡期の様相,すなわち一般の「動物」と「野獣」の両義で使われている状態が観察できます.
  なお,おおもとの印欧祖語としては *dhwes- (息をする)にさかのぼる説も示唆されていますが,これは animal の語根の意味「息をするもの」とも響き合い,言語のロマンを感じさせます.
 語源辞典の記号ひとつにまで目を配る精密な読み解きと,そこから広がる言語変化のダイナミズムを,ぜひ音声でお楽しみください.今回の配信は beast をめぐるお二人の対談の前半戦となりますので,近日公開予定の後半戦もお楽しみに!
 また,寺澤さんの直接の記事「386. beast ―『英語語源辞典』読み解き解説第2弾―」もお読みください.


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

Referrer (Inside): [2026-07-31-1]

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2026-07-24 Fri

#6297. 英語史の話題が一日中流れ続ける「The HEL Hub」の RSS [helhub][helkatsu][notice][hel_education][helvillian]

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 9ヶ月前に私が開設した,私の周囲に集まってくる英語史コンテンツのポータルサイト The HEL Hub (helhub) は,この hellog よりも地味であまり知られていないのですが,強力なポータルです.開設時の記事「#6028. hel活の新たな基地が完成 --- ポータルサイト「The HEL Hub」」 ([2025-10-28-1]) をご参照ください.
 私は「英語史をお茶の間に」をモットーに英語史を広める活動「hel活」 (helkatsu) を展開していますが,このhel活に賛同してくれる仲間がたくさんいます.khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバー,Voicy heldio から派生したプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」のメンバー,その他の研究者の仲間たちです.このような賛同者の方々のことを,親しみを込めて「ヘルメイト」 (halmate) と呼んでいます.
 このヘルメイトの皆さんの日々のhel活 --- 主に note などウェブ上のプラットフォームでのコンテンツの発信 --- の勢いが,この1年間ほどをみても,明らかに増してきています.note 上の #hel活 タグを有する記事は,現時点で2040件を超えています.
 上記の helhub は,日々ヘルメイトや私自身の手により公開される英語史関連コンテンツに関する情報を一元化したいという趣旨で作ったページです.具体的には,各ヘルメイトの発信基地の RSS から,数時間に1度ほど,半自動で最新情報を拾ってきて,新着情報を更新しています.コンテンツは常時どんどん流れていっており,私も追いついていけないほどのスピード感です.
 さて,今日ご紹介したいのは,この私の周囲の「hel活まとめサイト」ともいえる helhub 自体の RSS フィード です.こちらを RSS リーダーなどに登録していただくと,「英語史の話題が一日中流れ続ける」ということの意味が,実感できるのではないかと思います.四六時中,誰かが英語史に直接・関節にかかわる何かを発信していることに驚くはずです.
 私自身が発信している hellog や heldio もさることながら,ヘルメイトの皆さんの自主的な探究心と発信力の高さには驚かされるばかりです.専門的な語源解説から,小中学生向けの易しい英語史,マニアックな文法・綴字の考察,さらにはクイズ企画まで,その切り口の多才さには脱帽します.
 英語史は,決して大学や学会のなかに閉じこもった学問ではありません.こうして多様な人々が日々言葉の歴史をおもしろがり,語り合う文化が着実に根付いてきています.「英語史をお茶の間に」が,現実のものとなりつつあることを,この RSS のフィードが物語っています.
 最近おもしろい読み物はないかな,英語(史)の知識を深めたいな,と思っている方は,ぜひ The HEL Hub を定期的にご訪問ください.そして,日常的に英語史の風を感じたい方は,helhub の RSS フィード をご自身の RSS リーダーに登録してみてください.日常のタイムラインに,怒涛のように英語史の話題が流れ込んでくる刺激的な体験をお約束します.
 最後に,helhub とは別に,有志ヘルメイトによる編集委員会が,ヘルメイト皆の note 上でのhel活を月に一度まとめてくださっている「月刊ウェブマガジン Helvillianという媒体もあります.helhub とも関連が深いので,ぜひこちらもフォローしていただければ.

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2026-07-22 Wed

#6295. 『なぜさんたんげん』発売から42日 --- 特設HPが「ポータルサイト」へと成長・進歩を遂げています [notice][voicy][heldio][link][helkatsu][nazesantangen][review][links][nazesantangen_witness][nhkpb]


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 6月10日(水)の『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版)の刊行から,早くも6週間が経ちました.おかげさまで,発売前増刷に始まり,現在も全国の書店で第2刷が展開されるなど,大変大きな反響をいただいております.読者の皆様,そして日々盛り上げてくださっているヘルメイトの皆さん,ありがとうございます.
 さて,本日は刊行と同時に立ち上げた『なぜさんたんげん』特設HPについて改めてご紹介します.本書特設サイトとしてスタートしたこの Web ページですが,発売後のこの1ヶ月あまり,ほぼ毎日にわたってコンテンツを更新・追加してきた結果,単なる新刊紹介の域を超え,文字通り『なぜさんたんげん』を取り巻く公式ポータルサイトへと進化を遂げています.
 サイト上のアクセスカウンターも,本記事の執筆時には2493アクセスを記録しており,連日多くの方にお越しいただいています.改めて,現在の特設HPがどのような充実した構成になっているのか,その見どころをご案内します.

 1. 豪華陣容による反響・推薦の声:英語史研究者の寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)からお寄せいただいた特別寄稿レビューをはじめ,杏林大学の倉林秀男先生による4連スレッド・ロングレビュー,慶應義塾大学の川原繁人先生,九州大学の内田諭先生,上智大学の小河舜先生といった専門家による熱い推薦コメントを掲載しています.さらに,SNS や note,ブクログ等で寄せられた読者の皆さんの生の声を凝縮して掲載しています.
 2. 連動メディア・コンテンツへのリンク:著者自身による本文の公式朗読音声ページへのリンクのほか,NHK出版編集者の田中菜乃香さんとの Voicy 対談全7回,リスナー川上さん企画「聞かせて!『なぜさんたんげん』のなぜ」シリーズ,さらには在外の著者による現地からの最新 YouTube ミニ動画など,本と立体的に連動する音声・動画コンテンツへワンクリックでアクセスできます.
 3. 全目次 & インテリジェントリアルタイム検索機能:本書に詰め込まれた24の疑問とすべての章・節・小見出しを完全網羅.ページ上の検索窓にキーワード(例:「屈折」「マジックe」「語順」など)を入力すると,瞬時に該当するトピックが絞り込まれる便利なシステムを実装しています(←生成AIを用いて密かに実装しているのですが,ほとんど知られていません).
 4. 「24の疑問・総選挙」最終結果:発売前に実施し,投票総数96件を集めた Slido 総選挙の確定順位を全公開しています.堂々1位の「なぜ3単現の s をつけるのか」から,予想外の健闘を見せた「Z のミステリー」まで,読者のモヤモヤ度が一目でわかります.
 5. なぜさんたんげん目撃マップ & 全国書店棚ギャラリー:読者の皆様から寄せられた全国各地の目撃情報をもとに作成した Google Map (すでに100ピン近く立っています)と,撮影許可をいただいた全国の書店様の愛あふれる売り場写真をズラリと展示しています.すでに50枚以上の書棚写真が掲載されています.
 6. 授業用「英語史無料レジュメ」& 店頭用POPポスター配布:全国の中学・高校・大学の先生方が授業や学年通信でそのまま配れる特製 PDF レジュメ第1弾(「なぜ3単現の s をつけるのか」)や,書店員様向けの印刷用販促ポスター(A4/B5対応PDF/PNG)を無料配布しています.

 『なぜさんたんげん』は,本を開いて読むだけでも完結する1冊ですが,この特設HPを経由して,読者の皆さんの感想,著者による音声や動画のコンテンツ,全国の書店の様子とつながることで,何倍も深く立体的に体験できる「開かれた本」となっています.
 まだ特設サイトをご覧になっていない方は,ぜひ一度覗いてみてください.そして,ぜひ周りの英語学習者や先生方,本好きのご友人にも,このポータルサイトのリンクをシェアしていただけますと幸いです.
 学校英語の「呪文」の向こう側にある驚くべき歴史の物語を,一緒に目撃していきましょう!

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-07-21 Tue

#6294. 「研究者配信のポッドキャスト」広がる --- 7月14日日経新聞夕刊(10ページ)より [voicy][heldio][helwa][hellog][helkatsu][outreach]

 標題の記事が掲載されていることを heldio リスナーの ykagata より教えていただき,記事全文を読んでみました.記事のリード文は次の通りです.

大学などの研究者がポッドキャストを配信する動きが広がっている。高度な内容を平明に伝える番組にはファンも付く。専門知の伝達チャネルとして音声メディアが存在感を増している。」


 記事は,犯罪学・刑事政策をテーマとする丸山泰弘さん(立正大学教授)のポッドキャストチャンネル「丸ちゃん教授のツミナハナシ」の紹介に始まり,研究者によるいくつかのポッドキャストが言及されていきます.その他,記事には「研究者がパーソナリティの番組」の一覧表が掲げられているのですが,そのトップに私のチャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」が挙げられており,驚きました.ありがたいことです.


nikkei_20260716_yukan_p10_table.png



 記事は次のように締めくくられています.

音声広告会社オトナル(東京・中央)の調査では月1回以上ポッドキャストを聴く人の割合は25年に18%で、増加傾向が続く。アカデミックナポッドキャストはこれからさらに広がっていきそうだ。


 この記事を読んで,そして heldio やそのプレミアム版「英語史の輪 (helwa)」の音声配信に日々携わっている身として,とても感慨深いものがあります.「知の伝達,活字から声へ」という視点は,長年目指してきた「英語史をお茶の間に」というモットーの実現とも深く関わってくるからです.
 活字離れが叫ばれる現代において,文字情報としての本ブログ「hellog~英語史ブログ」を毎日更新し続ける一方で,2021年からは毎朝の音声配信 heldio を開始しました.これは私にとってもひとつの大きな実験でした.今では,文字による深い解説と,声による平明で血の通った解説.今では,この2つのメディアは,決して対立するものではなく,お互いを補完し合う強力なペアになり得るという確信があります.
 実際,heldio のリスナーコミュニティであるヘルメイトの皆さんとの繋がりや,そこから生まれる様々な「hel活」 (helkatsu) は,まさに「声」のメディアが媒介となって生まれたものです.音声を通じて,学問に近づくためのハードルを下げ,双方向の知的コミュニケーションの触媒になっているのです.
 専門知をアカデミアの内部だけに閉じ込めておくのではなく,いかにして社会へアウトリーチしていくか.これは現代の研究者に課された重要な課題です.ポッドキャストというパーソナルで親密なメディアは,そのための最も強力な武器のひとつと言えます.
 これからも,hellog による「文字」の蓄積と,heldio による「声」のダイナミズムの両輪で,英語史の魅力を発信し続けていきます.読者の皆さん,リスナーの皆さん,引き続きお付き合いのほど,よろしくお願いします.
 ykagata さんによる7月16日公開の関連 note 記事「日本経済新聞が紹介した7つの「研究者配信のポッドキャスト」まとめ」もお読みください.


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2026-07-20 Mon

#6293. 皆さん『英語語源ハンドブック』(冊子版・アプリ版)をどのように使っていますか? [notice][hee][review][hel_education][helkatsu][link][voicy][heldio][kdee][kenkyusha]



 先日「#6278. 「居酒屋KKH」 --- 『英語語源ハンドブック』発売1周年記念のオンライン対談」 ([2026-07-05-1]) で話題にしたとおり,6月18日に『英語語源ハンドブック』(研究社)が刊行されて1年となり,6月30日には物書堂さんより『英語語源ハンドブック』アプリ版も発売されました(アプリ版利用は現時点でiOS ユーザーのみ).
 このような節目のタイミングに,冊子版・アプリ版を普段からご愛用いただいているヘビーユーザーの方々に,この1年間ハンドブック利用の感想をうかがえればという趣旨で,先日,Voicy heldio 対談回を設定しました.司会は,heldio ではお馴染みの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)にお願いしました.7月14日の heldio で「#1871. 『英語語源ハンドブック』(冊子版・アプリ版)の使用感をヘビーユーザーの皆さんに聞いてみました」として配信していますので,アーカイヴよりお聴きください.以下は対談回の要旨です.
 対談の冒頭では,何といってもアプリ版の登場によって検索の利便性が飛躍的に向上したことが大きな話題となりました.毎日 note でハンドブックを元に記事を執筆されているみーさんは,冊子版のみでは出先での執筆の際に不便を感じることがあったようですが,アプリ版の導入によっていつでもどこでも参照できるようになり,まさに「必携の書」として使い倒しているとのことです.物書堂さんのアプリらしく,『英語語源ハンドブック』で調べた後にそのままワンタップで『ジーニアス英和辞典』のような他の辞書へポンとジャンプできる参照機能や,解説文中の「グリムの法則」といった専門用語から関連箇所へ直接飛べるジャンプ機能の快適さについても熱く語っていただきました.さらに,デジタルならではの利点として,表や記述をそのままコピペして note の参照として取り出せる点も,アウトプットを継続するユーザーにとってはたいへん有益のようです.
 うろ覚えの状態で検索する際の「全文検索機能」の強力さについては,しーさんから,地の文のキーワードまで引っかかるので,なんとなくこの辺りにあったという項目からでも探しやすく,人間の記憶に優しい仕様である,との実践的な評価をいただきました.実は私自身は Android ユーザーであるため,まだアプリ版を体験できていないもどかしさを抱えつつも,もしこのような利便性が『英語語源ハンドブック』のみならず『英語語源辞典』のほうでも得られれば,情報量の多さゆえに完全に「語源の森」から抜け出せなくなって迷子になってしまうのではないかと,嬉しくもぞっとするような想像をめぐらせた次第です.
 また,英語教師としての視点からユニークなレビューを寄せてくださったのが ari さんです.ari さんは,画面を自由に拡大できる視覚的な利便性に加え,本ハンドブックに載っているかどうかを,自分が授業で話す内容が一般的な範囲か,あるいはそれ以上の趣味の領域に踏み込んでいるかを見極めるための試金石として活用しているといいます.さらに,地方の書店をめぐって冊子版が2刷か3刷かなどの状況を独自に調査していた経験から,アプリ版であればどこにいても常に最新の記述が手元に届くという,新しい角度からのメリットも指摘されました.
 一方で,アプリ版の引きやすさが際立つ一方で,冊子版がもつ特有の価値についても深い議論が交わされました.yuz さんからは,-fy などの接尾辞をもつ単語を検索して派生語を一網打尽にできるのは電子ならではの楽しさ,というニッチな使い方が紹介されましたが,しーさんや yuz さんが口を揃えるのは,パラパラとめくりながら余白に書き込みしていけるという,紙の本ならではの使い心地のよさです.ハンドブックは,一般的な語源辞典と違って基本1000語に絞り込んで読み物として作られているため,最初からアプリだけで入るよりも,紙でじっくりと通読して全体のネットワークを頭に入れてからアプリの全文検索を活用するほうが,そのありがたみをより深く実感できるのかもしれない,と感じました.
 あまねちゃんからは,本ハンドブックを読むことで初めて知った知識の数々 --- たとえば winter がかつては年(歳)を数える単位であったことや,havecatch が実は同根語であることなど --- が具体的に挙げられ,見出し語こそ基本語でありながらも,縦と横のつながりによって英語史の深みへのめり込める格好のジャンプ台になっているとの嬉しいコメントをいただきました.専門家の立場から日々『英語語源辞典』を読み込んでいる寺澤志帆さんからも,専門書特有の略記号や前提知識の壁を,専門家が苦心して噛み砕いて展開したのが本ハンドブックであり,両者を見比べることで語彙のつながりがより良く見えてくるという評価をいただきました.
 対談の締めくくりとして,orangemorishita さんからは,紙の辞典におけるレイアウトの完成度を電子化する際のノウハウや,媒体の機能性に精通したエキスパートの必要性,そして何より老眼が進む世代にとっての拡大機能のありがたみについてもユーモアを交えて語っていただきました.
 結論としては,司会の Taku さんや著者陣の思いと同じく,ぜひ冊子版とアプリ版の両方を手に入れて,それぞれの特徴を活かして使い倒していただきたい,ということに尽きます.
 さて,『英語語源ハンドブック』アプリ版は通常価格3,800円のところ,発売日より3週間,つまり明日7月21日(火)までは「初回セール期間」として,2,800円(26%オフ)とお得になっています.この機会に,ぜひアプリ版のハンドブックも入手いただき,使い倒していただければと思います.商品の詳細はこちらよりどうぞ.
 今後も冊子版・アプリ版ともにご愛読いただけますよう,よろしくお願いします.

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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2026-07-19 Sun

#6292. 7月25日(土)の朝カル講座「king を探って古英語原文の世界へ」 [asacul][notice][kdee][hee][etymology][hel_education][helkatsu][heldio][oe][kochushoho][anglo-saxon_chronicle][alfred][viking][suffix][indo-european][word_family][link][voicy][kdee][hee][kenning][beowulf][haplology][phonemicisation][lexicology][lexical_stratification][etymology]


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 7月25日(土) 15:30--17:00 に,今年度4回目となる朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座が開かれます.昨年度より継続しているシリーズ「歴史上もっとも不思議な英単語」としては通算第16回目の講義となります.今回はking を探って古英語原文の世界へ」と題して,この大物単語に迫ります.
 現代英語の king は一見すると素朴な日常語ですが,英語史・語源学の観点からその歴史を紐解くと,実にダイナミックで奥深い世界が広がっています.今回の講座では,主に3つの切り口からこの「王」を意味する単語を解読していきます.
 第1のポイントは,印欧語根 *gen(e)- から生み出される広大な語彙の世界です.実は king は,kin (親族)や kind (種類;親切な)などと共通の大きな語根に遡る派生語です.いつものように『英語語源辞典』 や『英語語源ハンドブック』 などの記述を突き合わせながら,印欧語根にまで遡る壮大な単語の家族のつながりを眺めていきます.接尾辞 -ing の歴史についても深掘りします.この辺りは『英語語源辞典』読み方講座に近い内容となります.
 第2のポイントは,古英語期に花開いた「王」の隠喩的複合語,いわゆるケニング (kenning) の世界です.古英語の英雄詩『ベオウルフ』 (beowulf) などを覗くと,王を単に cyning ("king" の古英語形)と呼ぶだけでなく,「指輪をくれる者」 (bēagġyfa) や「黄金の友」 (goldwine) といった詩的な数々の類義語で表現していました.文学的に爛熟した多彩な語彙の魅力を味わいます.
 第3のポイントは,king 周辺の語彙論と同単語の語形変化です.なぜ kingqueen はノルマン征服以降の大量のフランス借用語の波に置き換えられずに生き残ることができたのか,という問題にも触れます.また,かつての古英語の綴字 <c> から中英語の <k> への変化や,軟口蓋鼻音の音素化といった,綴字と発音のダイナミックな変化についても解説します.
 講義の後半には,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)に所収の古英語散文的スト『アングロサクソン年代記』より,アルフレッド大王 (King Alfred) がデーン人(ヴァイキング)との戦いに備えているシーンの短い抜粋部分を読んでみます.丁寧に解説していきますので,古英語初心者の方でも心配要りません.また,上掲書をお持ちでなくても講義資料で関連箇所を引用しますのでご安心ください.
 講座の詳細とお申込みは,朝カルのこちらの公式ページをご覧ください.なお,次回以降の日程と内容は次の通りです.

 ・ 夏期第2回(2026年8月22日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "riddle" を探って古英語原文の世界へ
 ・ 夏期第3回(2026年9月26日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "through" を探って中英語原文の世界へ

 いずれの講座につきましても,多くの方の受講をお待ちしております.


 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2026-07-18 Sat

#6291. 和製英語と語順(文法)にまで話題が及んできました --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第13弾 [note][hee][helkatsu][hel_education][quiz][waseieigo][word_order][nazesantangen]



 heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる『英語語源ハンドブック』に基づいた「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが,快進撃を続けています.隔週土曜日に新作が公開されることになっており,最新回は1週間前の7月11日に公開された第13弾「授業で使える! 中学生向け英語語源クイズ#13~和製英語・語順~」です.
 今回公開された第13弾は,タイトルにもあるように「和製英語」と「語順」という,中学生にとっても身近でありながら英語史的にも奥深いテーマにまで話題が及んできました.ネタバレにならない程度にクイズ問題のラインナップを要約します.
 まずは日常単語の語源を取り上げての軽いジャブから始まり,句動詞のクイズへと展開します.そして,今回の注目ポイントの1つとして,私たちが日常的に使っているカタカナ語の意外な罠を突く和製英語の謎が問われます.さらに,意味変化や語彙交替という英語史の色彩の濃いトピックに移り,最後には英語の語順の歴史的変遷へと導く文法的な問いに至ります.全体が見事なグラデーションで構成されています.単純な単語問題から,英語の統語構造の背景にまで自然と知的好奇心を誘う流れになっており,クイズ職人としての sorami さんの手腕に今回も感心しました.
 とりわけ語順に関する話題は,英語史における最重要テーマの1つです.現代英語は語順が厳格に固定された言語ですが,かつての古英語期には名詞の格変化が豊かだったため,語順は比較的自由でした.歴史の過程で屈折語尾が衰退した結果,語順が文法機能を担うようになり,現代のような固定語順が確立していったのです.このあたりの語順や文法をめぐるダイナミックな変化については,先月刊行されたばかりの私の新刊書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版)でも詳しく解説しています.今回の sorami さんのクイズと合わせて本書をお読みいただくことで,「英語のなぜ」の背景にある歴史のロマンがより立体的に見えてくるはずです.本書もどうぞよろしくお願いします.
 いつもの通り,sorami さんの note 記事では,「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです.ALTの先生を巻き込むのもありですね!」と述べられています.全国の英語教員の皆さん,ぜひこのクイズを実際の学校の授業などで活用してみてください.ALTの先生を巻き込んでペアワークやグループ活動に導入すれば,教室が大いに盛り上がることは間違いありません.
 出題や解説にあたっては,原則として『英語語源ハンドブック』に依拠しているということですので,その点もご安心ください.専門的な知見に基づいた信頼できるクイズだからこそ,自信をもって教材としてお使いいただけます.この素晴らしいクイズシリーズが,さらに多くの教育現場へと広がっていくことを願っています!
 第13弾については,先日の Voicy heldio でも取り上げました.ぜひ「#1870. 和製英語と語順にフォーカス --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズ第13弾」をお聴きいただければ.



 関連して,最後に1つお知らせです.6月30日に,物書堂さんより『英語語源ハンドブック』アプリ版が発売されました(アプリ版を利用できるのは iOS ユーザーのみとなります).通常価格は3,800円ですが,発売日より3週間,7月21日までは「初回セール期間」となっており,セール期間の価格は2,800円と(26%オフ)となっています.この機会に,ぜひアプリ版のハンドブックもご活用いただければと思います.詳細はこちらよりどうぞ.

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-07-15 Wed

#6288. heldio で khelf 寺澤志帆さんによる3回シリーズ「寺澤志帆さんの『英語語源辞典』読み方講座」が始まりました --- bear 「産む」の項目を徹底解説 [notice][kdee][hel_education][helkatsu][khelf][terasawashiho][voicy][heldio][kenkyusha]



 今朝の Voicy heldio より,3日間にわたる「『英語語源辞典』読み方講座」となる対談シリーズが始まっています.本日の初回は「#1872. 寺澤志帆さんの『英語語源辞典』読み方講座 (1) --- bear 「産む」の項目を徹底解説」です.
 khelf メンバーの寺澤志帆さんが,シリーズ「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」にて「384. bear「産む」についてさらに深堀り」と題する記事を投稿されたことは,「#6281. 「英語語源辞典でたどる英語綴字史」の khelf 寺澤志帆さんが『英語語源辞典』の読み方解説を始められています!」 ([2026-07-08-1]) でご紹介したとおりです.これは,『英語語源辞典』通読挑戦者の第一人者である lacolaco さんが,先立つ6月中に,同様の試みをいち早く実践されていたものを受けての,寺澤さんとしての試みでした.今回の対談は,事情により lacolaco さんのご参加はかないませんでしたが,寺澤さんの上記記事に基づいて,ラジオ版として口頭で「読み方講座」を実践していただくという趣旨で企画したものです.
 講座のなかでは,「産む」を意味する bear2 の項目を超精読していきます.1つひとつ記号や略記が意味するところを丁寧に解説し,語源情報を読み解く上で必要となる英語史の前提知識を補いながら進みますので,迷子になることはありません.項目を読み終える頃には,皆さんもほぼすべての情報をほぼ完璧に理解できており,他の単語の項目を読み解く際のスキルも手にしているはずです.
 『英語語源辞典』より,今回注目している bear2 の項目を画像化したものを,版元である研究社の許可を得て,以下に掲載します.お手元に同辞典をお持ちでない方は,こちらをご覧になりながら,今朝の「読み方講義」の本体をじっくりお聴きください.明日,明後日とシリーズは続いていきますが,捕捉や深掘りのアフタートークとなる予定です.ご期待ください.


ダブリン・ギネス収録会



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2026-07-14 Tue

#6287. 「なぜさんたんげん目撃マップ」の全都道府県制覇まであと9県 [notice][nazesantangen][nazesantangen_witness][nhkpb][helkatsu]

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 去る6月10日に刊行されて以来,熱い盛り上がりを見せている新刊『英語語源で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版新書,通称『なぜさんたんげん』)ですが,リアル書店での発見報告を募る「なぜさんたんげん目撃マップ」企画が,連日目を見張る勢いで進展しています.全国の読者・応援者の方々が日々寄せてくださる草の根の目撃情報には,著者として感謝に堪えません.なかには書店さんの許可を得て,素晴らしい書棚の写真を撮ってくださる方も少なからずいらっしゃり,地図を開いてピンを立てるたびに胸が熱くなります.
 さらに心強いことに,NHK出版の営業の皆さんも,全国の書店訪問の最前線から書棚の写真をお送りくださっています.応援読者さん×全国の書店さん×NHK出版営業さん,という3者の熱量が噛み合った結果,昨晩時点の集計で,全国津々浦々の書店に計93本ものピンが立つに至りました.100本の大台も見えてきましたね.
 ここで目撃マップの凡例(ピンの色)を整理しておきましょう.

 ・ 赤ピン:書棚写真あり(有志の皆さんによる書店さんの許可を得ての写真撮影あり)
 ・ 青ピン:書棚写真なし(テキストのみのご報告のケース,あるいは私が写真をアップできていないケース)
 ・ 茶ピン:NHK出版営業さんが回られた書店さん(写真つき)
 ・ 黄ピン:書店さんご自身による書棚の SNS 広報等
 ・ 「文」アイコン:本書が入っていると直接・間接に確認できた図書館

 さて,先日の記事「#6271. 「なぜさんたんげん目撃マップ」の第1次全国制覇達成!」 ([2026-06-28-1]) でお知らせした地方レベルでの全制覇に続き,目下の目標は第2次全国制覇,すなわち47都道府県完全制覇です.昨晩時点の最新データによれば,全都道府県制覇まで,あと9県というところまで迫っています.その9県は,以下の通りです.

 ・ 東北:青森県,岩手県,秋田県,山形県
 ・ 中部:富山県
 ・ 中国:島根県
 ・ 九州:佐賀県,熊本県,宮崎県

 ぜひ該当する県民の方,あるいはビジネスや旅行でこれらの地を訪れた方は,地元のリアル書店を覗いて情報をお寄せいただけますと幸いです.SNS(主に X)にて #なぜさんたんげん目撃マップ あるいは単に #なぜさんたんげん のハッシュタグを付して街と書店の名前をつぶやいていただくか,あるいは毎朝お届けしている Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の任意の配信回のコメント欄より,お知らせください.私が必ず捕捉してピンを立てに伺います.
 書店での写真撮影に関しましては,「#6257. 「なぜさんたんげん目撃マップ」企画が走り出しています」 ([2026-06-14-1]) でも触れたとおり,必ず事前に書店員さんへ一言お声がけをいただき,そのご指示に従っていただきますようお願いいたします.撮影が難しい状況であれば,テキストのみのご報告でも十分に貴い情報となります.ご協力のほど,よろしくお願い致します.
 もちろん,すでに多くのピンが立っている都道府県においても,さらに密度を濃くして地図を面で埋め尽くしていきたいと考えていますので,日本のどこからでも目撃情報をお待ちしています.「英語史をお茶の間に」流通させるためのこの壮大な知的お祭りを,引き続き皆さんとともに楽しんでいければと願っています.
 これまでの「目撃マップ」企画に関する関連記事も合わせてご覧ください.

 ・ 「#6257. 「なぜさんたんげん目撃マップ」企画が走り出しています」 ([2026-06-14-1])
 ・ 「#6267. 「なぜさんたんげん目撃マップ」へピンが多く立ってきています!」 ([2026-06-24-1])
 ・ 「#6271. 「なぜさんたんげん目撃マップ」の第1次全国制覇達成!」 ([2026-06-28-1])
 ・ 「#6275. 「なぜさんたんげん目撃マップ」企画で何をしようとしているのか?」 ([2026-07-02-1])

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-07-13 Mon

#6286. 「ダブリン・ギネス収録会」 --- helwa の価値が最大限に発揮された完全オンライン土曜日 [heldio][helwa][helkatsu][helmate][dubline_guinness_recording_session][note][kdee][hee]


ダブリン・ギネス収録会



 一昨日の土曜日,7月11日の午後,アイルランドはダブリンの地より Zoom で繋ぎ,Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」のメンバー(ヘルメイト)の皆さんとともに半日を費やすオンラインでの「ダブリン・ギネス収録会」を敢行しました.急な呼びかけであったにもかかわらず,入れ替わり立ち替わりで延べ20名近くのヘルメイトの皆さんにお集まりいただき,盛況のうちに幕を閉じることができました.ご参加くださった方々,そしてチャット等で場を盛り上げてくださったギャラリーの皆さんに,この場を借りて心より御礼申し上げます.ありがとうございました.
 滞在先のダブリンでは朝の6時(日本時間の午後2時)からスタートし,気がつけば日本時間の夜11時まで,実にみっちり9時間にわたる濃密な時間でした.もともとは少人数での小さな対談会を調整していたのですが,オープンなオンラインイベントとして企画を立ち上げたところ,驚くべきフットワークの軽さで多くのヘルメイトのご都合がカチリと噛み合い,嵐のような収録会の決行に至りました.前々から周到に準備された企画よりも,こうした突発的なお祭りのほうが不思議とうまくいくケースがあるのですが,今回はまさにその例でした.
 今回の収録会では良質な対談回をたくさん収録することができましたが,その「取れ高」以上に私にとって貴い財産となったのは,ヘルメイトの皆さんと深く歓談し,親睦を深めることができたことです.結果として,今回の収録会の最大の意義はそこにあったと思っています.
 収録会のメニューを時系列で振り返っておきましょう.まず午後2時過ぎのオープニングに続き,kendama_player さんの英語史講義報告の対談から始まりました.3時過ぎからは,khelf(慶應英語史フォーラム)の寺澤志帆さんをゲストに迎え,『英語語源辞典』 (kdee) の bear の項目をじっくりと読み解く対談を行ないました.普段は私自身が解説する側に回ることが多いのですが,寺澤さんの明快な語り口を,ひたすら聞き役に回って味わうという体験は,たいへんに新鮮な時間でした.解説を聴くうちに次々と新しいアイディアが湧き出し,大いに知的好奇心が刺激されました.
 4時過ぎからは上智大学の小河舜さんにお越しいただき,昨日の記事でも触れた「地球ことば村オンラインサロン」より配信された最新動画に絡めて「英国地名×英語史」をテーマに熱く語り合いました.さらに5時過ぎからは,刊行から1年が経ち,物書堂さんからアプリ版もリリースされた『英語語源ハンドブック』 (hee) の使用感について,ご参加されているヘルメイトの皆さんにマイクを回しながら語り合うコーナーを設けました.
 6時からは,本日の目玉企画である川上さん持ち込みの「聞かせて!『なぜさんたんげん』のなぜ」の heldio 生配信を90分枠で敢行しました.私の側の機器の不調により,途中で生配信が途切れるというトラブルがありましたが,『なぜさんたんげん』をご担当いただいたNHK出版の編集者・田中菜乃香さんにもご出演いただくことができました.著者に向けられた鋭いツッコミに対し,著者は頭をフル回転させ,言葉を整理しながら喋る,きわめて消耗的ながらも価値のある時間となりました.後半の生配信未配信部分は別途録音してあるため,後日,アーカイヴ配信したいと思っています.ぜひご期待ください.
 その後は主にギネスビールを片手に,ヘルメイトの皆さんとの Zoom 上での懇親会へと移りましたが,ari さんykagata さんを中心とした「なぜさんたんげんカウントダウン企画」(そして,ari さんによる4コマ漫画シリーズ「英子さんたんげん」)を振り返る回顧展の対談も収録しました.最後には,ヘルメイトの皆さんから総括のコメントをいただきました.
 半日の収録会を通じて私が確信したのは,このコミュニティ「英語史の輪 (helwa)」が,単なるクローズドな音声配信のチャンネルではなく,「学びと継続をお互いに支援し合う最強の環境」に育ってきているという事実です.毎日記事を書く方,独自の新しい勉強法を開発される方,そして何より,対談収録中に驚異的な集中力を発揮して体系的なライヴ議事録を書き残してくださった orangemorishita さんのような存在.各メンバーによる活動が有機的に結びつき,お互いの学びのモチベーションを高め合う文化が形成されてきています.寺澤志帆さんが最後に投げかけてくれた「純度100パーセント」というキラーフレーズが,まさにこのコミュニティの本質を言い当てていました.
 今回の「ダブリン・ギネス収録会」で収録した濃密な対談や振り返りの数々は,今後の heldio 通常回で配信していく予定です.第1弾は,すでに昨日の朝に「#1869. コアリスナー kendama_player さんが,前橋市立図書館で英語史講座を開かれました」としてお届けしました.ぜひ hellog 読者の皆さんも,今後の配信にご期待いただければ.
 そして,もしこの「純度100パーセント」の学びの熱気や,お互いに刺激を与え合うコミュニティの空気を直に体験してみたいと思われた方は,ぜひプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」へのご参加をご検討いただければと思います.毎週火・木・土の午後6時に,heldio レギュラー配信とは一味違うテイストの話題をお届けしています.月額800円のサブスクリプション配信ですが,初月無料のサービスも用意されていますので,一歩足を踏み入れ,数週間その環境に浸っていただければ,なぜこれほどまでに今「hel活」(helkatsu) が盛り上がっているのか,その理由が必ずお分かりいただけるはずです.hellog 読者の皆さんを helwa でもお待ちしています!

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2026-07-08 Wed

#6281. 「英語語源辞典でたどる英語綴字史」の khelf 寺澤志帆さんが『英語語源辞典』の読み方解説を始められています! [notice][khelf][kenkyusha][kdee][lacolaco][helkatsu][hel_education][helmate]


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 7月4日,khelf メンバーの寺澤志帆さんが,シリーズ「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」にて「384. bear「産む」についてさらに深堀り」と題する記事を投稿された.
 タイトルからは普段と変わりない投稿かと思いきや,記事を読んでみると何かが異なる.そう,『英語語源辞典』の読み方解説が丁寧になされているのだ.記号の使い方や略記の説明,そして専門家の視点からの追加的解説が施されており,それに沿って読み解いていくと,辞典初心者にとっても,動詞 bear 「産む」の項目に記述されている語誌の詳細が理解できるようになっているのだ.
 しかも,続けて7月6日には,同じ読み解き解説の趣旨で「386. beast ―『英語語源辞典』読み解き解説第2弾―」も投稿されている.
 実は2週間ほど前に,『英語語源辞典』通読挑戦者の第一人者である lacolaco さんが,同じような試みをいち早く実践されていた.すでに hellog でも「#6268. 「英語語源辞典通読ノート」の lacolaco さんが『英語語源辞典』の読み方解説を始められています!」 ([2026-06-25-1]) で紹介した通りである.直接 lacolaco さんの desire -- deskdespite, develop, device の2つの記事をお読みいただきたい.
 『英語語源辞典』通読の試み自体が勇気ある挑戦といえるが,通読挑戦者たちが自らこの辞典の(読み解きを含めた)おもしろさを広く伝えるために,読み解き方を易しく解説してくれるとは,なんという辞典愛であり語源愛だろうか.
 同辞典を持っているけれども,希望するほどには読みこなせず,使いこなせていなかった,という方は少なくないだろう.この辞典は高価だが,専門性が高く信頼できる代物なので一旦入手すれば一生モノである.だからこそ,多くの方々に使いこなして欲しい.ぜひ辞典を開きつつ,先日の lacolaco さんの記事や今回の寺澤さんの記事をじっくりと読み,語源辞典の懐の深さを味わっていただきたい.
 私自身もこれまでに『英語語源辞典』の読み方解説に類することを試みてきたが,必ずしも体系的に行なってきたわけではない.それでも役に立つだろうとは思われるので,ぜひ「#6232. 『英語語源辞典』を読みこなせるようになりたい方へ」 ([2026-05-20-1]) に掲載されているリンク集より,各コンテンツをたどっていただければ.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

Referrer (Inside): [2026-07-15-1]

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2026-07-05 Sun

#6278. 「居酒屋KKH」 --- 『英語語源ハンドブック』発売1周年記念のオンライン対談 [notice][izakaya_kkh][hee][review][hel_education][helkatsu][link][voicy][heldio]



 「#6265. 『英語語源ハンドブック』刊行から1年 --- 索引と正誤表の最新版も」 ([2026-06-22-1]) で予告していたように,ハンドブックの著者3名(唐澤一友さん,小塚良孝さん,堀田隆一)が刊行1周年記念日となる2026年6月18日の夜にオンラインで集合し,「居酒屋KKH」を開きつつ,本書について語り合いました.
 その鼎談の様子は録音していましたが,本編だけでも計60分を優に超える長丁場となったので,前編と後編に分けて Voicy heldio にて公開しました.濃密な対談となっています.お時間のあるときにじっくりお聴きいただければ.

 ・ 「#1861. (前編)居酒屋KKH --- 『英語語源ハンドブック』発売1周年記念」(7月4日配信)
 ・ 「#1862. (後編)居酒屋KKH --- 『英語語源ハンドブック』発売1周年記念」(7月5日配信)

 前編では,この1年間で読者の方々より Amazon レビューで寄せられてきたご感想をいくつか紹介しつつ,3人でハンドブックの活用法や意義について改めて議論しました.
 後編も,Amazon レビューを取り上げてコメントバックするところから始まりましたが,3人の議論が段々と濃厚になってきます.私の「英語史は伏線回収である」との発言を拾ってくれた唐澤さんが,話しをどんどんおもしろい方向に展開してくれ,さらに小塚さんが「英語史×英語教育」論にまで発展させてくれたおかげで,議論が大きく広がっていきました.一般のハンドブックの読者にとってはもちろん,広く英語教育関係の方々にも示唆のある内容となっていると思います.また,あまり表には出ない英語史研究者の視点についてもおおいに語りましたので,それなりに貴重な対談となっているのではないかと考えています.実際,3人自身が対談を非常に楽しむことができました.
 この1年間,多くの読者の皆さんに,『英語語源ハンドブック』へ様々な角度からご意見をお寄せいただいたり,ハンドブックに基づいて関連する教材や記事などのコンテンツを制作・公開していただきました.ぜひ今後も引き続きご愛用,ご愛読いただき,ハンドブックの価値を広めていってください.
 最後に重要なお知らせです.6月30日に,物書堂さんより本書のアプリが発売されました.物書堂のアプリを利用できるのは iOS ユーザーのみとなりますが,ハンドブックをアプリ版で入手できるようになりました.通常価格は3,800円ですが,発売日より3週間は「初回セール期間」となっており,セール期間の価格は2,800円と(26%オフ)となっています.この機会に,ぜひアプリ版のハンドブックもご活用いただければと思います.詳細はこちらよりどうぞ.

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

Referrer (Inside): [2026-08-25-1] [2026-07-20-1]

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2026-07-03 Fri

#6276. soccer/sports 特集 --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第12弾 [note][hee][helkatsu][hel_education][quiz][helwa]



 heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる『英語語源ハンドブック』に基づいた「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが,素晴らしい注目度を集めつつ継続しています.隔週土曜日に新作が公開されていますが,最新は6月27日に公開された第12弾です.
 今回のクイズは,目下開催中の FIFA World Cup を睨んで,サッカーやスポーツに関連する言葉の特集となっており,非常にタイムリーな企画です.
 毎回のことながら,相変わらずの良質の出題と丁寧な解説には脱帽するばかりです.あまり細かく書いてしまうとネタバレになってしまうので,ここではいくつかのおもしろい問いを厳選して紹介していきましょう.
 まずは基本となる soccer というスポーツ名についてです.日本やアメリカでは soccer と呼びますが,実はサッカー発祥の地であるイギリスでは soccer とは呼ばない,というナゾから始まります.イギリスでは football なのですが,ではなぜ soccer という語が生まれたのかという語源のストーリーが解説されています.日常的な英単語の背景に,意外と知られていない語形成の歴史が隠されているのを知ると,ニヤリとしてしまうはずです.
 さらにクイズは英語にとどまらず,日中語スポーツ名比較へと展開します.中国語で野球を「○球」,テニスを「○球」と別の呼び方をするなど,同じスポーツを翻訳するにしても言語によって着眼点が異なるという指摘は,対照言語学的に興味深い視点です.また,ある球技で「0点」のことを love と呼ぶのはなぜかという問いや,大谷翔平選手が所属するドジャースのチーム名とも深く関わる dodgeball の語源など,知的好奇心をくすぐる良問が目白押しです.
 嬉しいことに,作者の sorami さん自ら「今回のスポーツ関連クイズも,授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです.ALTの先生を巻き込むのもありですね!」と言ってくださっています.pdf 形式の印刷用資料も用意されていますので,英語の教材として学校の授業やサークルなどで,すぐにでも活用できます.
 さて,この出題のベースとなっている『英語語源ハンドブック』(研究社)ですが,2週間前の6月18日に,めでたく刊行1周年を迎えました.また,3日前の6月30日には物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ (iOS) が発売されました.7月21日までセール販売とのことですので,こちらより詳細をご覧ください.
 この1年間,本当に多くの読者の皆様に温かく迎えられ,愛用されてきたことは,著者陣・関係者一同にとって大きな喜びです.心より御礼申し上げます.読者の皆さん,今後とも本書を末永くご愛用いただけますよう,よろしくお願いいたします.
 今回の sorami さんのクイズ記事を通じて,1人でも多くの方が英単語の奥深い世界に触れ,英語史のロマンを感じていただければ幸いです.ぜひ過去号も含め sorami さんの note へと足をお運びください!

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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2026-07-02 Thu

#6275. 「なぜさんたんげん目撃マップ」企画で何をしようとしているのか? [notice][nazesantangen][nazesantangen_witness][nhkpb][helkatsu]

 去る6月10日に刊行された新刊『英語史で解く英文法の謎 --- なぜ三人称単数のsを付けるのか』(NHK出版新書)をめぐり,全国のリアル書店での発見報告を募る「なぜさんたんげん目撃マップ」企画が連日盛り上がっています.毎朝の Voicy heldio のコメント欄などを通じて,有志の読者の皆さんから全国津々浦々のリアル書店での目撃証言が続々と寄せられており,感謝に堪えません.私が皆さんからの報告をもとに Google マップ上にピンを1本ずつ立てていくという企画ですが,本日までに累計で73本もの熱いピンが立っています.地図を画面で開くたびに,あちらこちらに熱いピンが灯っていく様子は,壮観です.
 関連して重要なのは先日6月29日に出来した第2刷分が,今まさに全国の書店の棚に並び始めていることです.リアルな本の流通というダイナミックな動きと,デジタル上のマップが連動していくおもしろさ.今回は,著者の視点から,単なる本書のプロモーションを超えた,この目撃マップ企画の真の狙いを,学問論・メディア論の観点からお話ししてみたいと思います.
 結論から申し上げれば,この「なぜさんたんげん目撃マップ」企画は,もちろん販促活動の一環ではあるのですが,3つのレイヤーにおいて学問と社会の新しいつなぎ方の実験でもあるのです.
 第1のレイヤーは,書店員さんへのエールです.日々無数の新刊に囲まれるなかで,『なぜさんたんげん』に注目し,平積みや面陳をしてくれる全国の書店員さんがいらっしゃいます.その熱意をマップ上で可視化すること.また,それを見た他の書店員さんに影響を与えていただくこと.それによって,私の「英語史をお茶の間に」も,現実的な意味で達成されるからです.
 第2のレイヤーとして,読者の皆さんに,hel活の当事者になっていただきたい,という思いがあります.ただ本を買って読むだけの存在から,目撃情報を寄せていただくことで,英語史を世の中へ流通させる同志兼当事者になっていただきたいという趣旨です.読者・著者・書店・出版社の「運命共同体」の創造ですね.
 第3のレイヤーは,人文系アカデミアにとってのメディアサバイバル戦略としての側面です.とりわけ人文系に関して大学や学界が縮小の危機に瀕している現代,研究者が研究室や論文のみに閉じこもっている時代は終わりました.研究者がマルチメディア/クロスメディアを自前で構築し,時間をかけて,新しいインフラを整えていくこと.これこそが新しい時代においてアカデミアの活力となるだろうと信じています.
 先日の記事「#6271. 「なぜさんたんげん目撃マップ」の第1次全国制覇達成!」 ([2026-06-28-1]) で触れた地方レベルでの第1次全国制覇に続き,ここからの目標は第2次全国制覇,すなわち47都道府県完全制覇です.以下の通り,まだピンの立っていない空白地帯は数多く残っています.

【 まだピンが立っていない県 】

 ・ 東北:青森県,岩手県,秋田県,山形県
 ・ 関東:栃木県
 ・ 中部:富山県,福井県,山梨県,静岡県
 ・ 中国:鳥取県,島根県,岡山県,広島県
 ・ 四国:徳島県,香川県
 ・ 九州:佐賀県,熊本県,宮崎県

 もちろん,すでに多くのピンが立っている東京都,大阪府,愛知県などの皆さんも,さらに密度を濃くして面で埋め尽くすための追加報告は大歓迎です.「〇〇県〇〇市の〇〇書店に平積みされていました!」という一言の報告が,日本地図を英語史で埋め尽くしていく原動力になります.2刷を店頭で見つけた hellog 読者の皆さん,そして書店員さんからも,さらなる目撃情報をお待ちしています.皆さんとともに日本地図がピンで埋め尽くされる日を楽しみにしています!

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

Referrer (Inside): [2026-07-14-1]

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2026-07-01 Wed

#6274. 英語史の月刊ウェブマガジン Helvillian の2026年7月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][nazesantangen]



 去る6月28日,「英語史をお茶の間に」届けようと日々奮闘している有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 7月号が公開されました.通算第21号となります.
 今号のキャッチコピーは「まだまだ続く,#なぜさんたんげん そしてhel活の波」です.6月10日に世に送り出された新著『英語史で解く英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版新書)に関連する記事や熱い応援記事が,前号に引き続き,誌面を埋め尽くしています.
 まずは ykagata さんによる「表紙のことば」から覗いてみましょう.瀬戸内海から四国をめぐる旅の記憶とともに,ドイツ語の "Straße von Hormus" (ホルムズ海峡)が英語 street に対応するという興味深い話題を展開してくれています.広い海峡を「ストリート」と呼ぶ言語的なおもしろさを,旅の実感と結びつける筆致はさすがです.ykagata さんは他にも「[古英語]名詞屈折表が stān で始まる本,始まらない本」など,英語史に直接・間接に関わる魅力的な記事を多数寄稿されています.
 今号の収載記事をいくつかカテゴリー別に紹介していきましょう.
 何といっても今号のお祭りの中心は『なぜさんたんげん』です.ari さんによる「英子さんたんげんシリーズ」は,普段のユーモアとダジャレのセンスが凝縮された4コマ漫画で,『なぜさんたんげん』のエッセンシャル版としての期待が集まっています.Grace さんの「『なぜさんたんげん』目撃の巻」は,書店での劇的な「昇格」の瞬間を淡々と描き出し,多くのリスナーの涙を誘う秀逸なドキュメンタリー「石巻の奇跡」を世に送り出しました.さらに umisio さんは「告白・懺悔」と題して,自身が過去に「3単現の s」に疑問を抱かなかった理由を深く掘り下げるシリーズを連載されています.
 一方,お祭りの熱気の中でも淡々と学びを進めるレギュラー陣の記事も輝いています.その代表格が,listener kawakami さんによる「Prologue to Eneydos を読むシリーズ」です.Caxton の印刷技術と英語史の深淵に迫るこの硬派な連載は,編集委員の umisio さんをして「浮かれた頭を冷やしてくれる,ウェーランドの経済学言論の講義のようだ」と言わしめるほどのシリーズとなっています.私自身も,専門家の観点から,これが貴重な中英語精読シリーズになっているものと評価しています.
 語源やクイズの分野も百花繚乱です.mozhi gengo さんは「Beryl と同語源の日本語は○○」やヒンディー語の借用語コラムなど,圧倒的な知識量で独自の深掘りを展開されています.lacolaco さんによる「英語語源辞典通読ノート D」は,着実に歩みを進める職人技の鑑です.『英語語源辞典』の読み方解説も加わり,ますます有用性が高まっています.sorami さんの「中学生向け英語語源クイズ」は,学校の授業ですぐに使える実践的な内容とすぐれた出題センスが相変わらず光っています.
 さらに,前橋市での英語史講座を満員御礼のなかで終えられた kendama_player さんの熱い報告記事や,あまねちゃんによる「オフ会感想」と『英語語源ハンドブック』1周年記念記事,こじこじ先生の楽曲「不規則動詞戦争」,みーさんによる「小学生と学ぶ英語史」シリーズなど,各世代や地域におけるhel活のリアルな息吹が伝わってきます.佐久間さんの「日本語由来の医学英語」も専門家らしい視点を与えてくれます.
 巻末の「あゆみ」では,Grace さんが北千住オフ会の定着や helwa 開設3周年の軌跡をきれいにまとめてくださいました.そして umisio さんによる「編集後記」は,今号の多様な熱量をユーモアたっぷりに総括してくれています.
 最後になりますが,今号を編み上げてくださった編集委員の Lilimi さん,Galois さん,Grace さん,umisio さんには深く感謝いたします.そして,素晴らしいコンテンツを寄稿してくださったヘルメイトの皆さんも,本当にありがとうございました.
 hellog 読者の皆さんも,ぜひこの熱気溢れる Helvillian 7月号のページを訪れて,じっくりと味わってみてください.そして,自分も日頃のhel活の成果をこのウェブマガジンに載せてみたい,英語史の輪に加わりたい,と思われた方は,ぜひ Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」への参加をご検討いただければと思います.helwa にお入りになった瞬間から,あなたもヘルメイトです.一緒に英語史をお茶の間に届けていきましょう!

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