ここ数日,集中的に英語史における黒死病の意義を考えてきた.これまで書きためてきた black_death の記事を総括する意味で「英語史における黒死病の意義」のまとめスライド (HTML) を作ってみたので,こちらよりご覧ください.
13枚からなるスライドで,目次は以下の通り.
1. 英語史における黒死病の意義
2. 要点
3. 黒死病 (Black Death) とは?
4. ノルマン征服による英語の地位の低下
5. 英語の復権の歩み (#131)
6. 黒死病の社会(言語学)的影響 (1)
7. 黒死病と社会(言語学)的影響 (2)
8. 英語による教育の始まり (#1206)
9. 実は中英語は常に繁栄していた
10. 黒死病は英語の復権に拍車をかけたにすぎない
11. 村上,pp. 176--77
12. まとめ
13. 参考文献
HTML スライドなので,そのまま hellog 記事にリンクを張ったり辿ったりでき,とても便利.英語史スライドシリーズとして,ほかにも作っていきたい. * *
朝日カルチャーセンター新宿教室にて,この4月から6月にかけて「英語のなぜに答える」と題する英語史入門の講座を開講しています.昨日,4月15日に,第1回「綴字と発音の関係を探る――なぜ doubt に <b> があるのか?」を終えました.参考資料として紙媒体で配布したものの電子版 (PDF) を,こちらに置いておきますので,自由にご参照ください.本ブログ記事へのリンクもたくさん張っています.
英語の綴字と発音の関係についてはいろいろと考えてきましたが,文字というものには,言語を表現する媒体としての共時的な機能と並んで,重層的な歴史を物語る通時的な機能というものが宿っているのではないか,と思っています.そして,この2つの機能は,ともに文字という媒体に否応なしに内在しているものではないかと.後者の機能は,文字にたまたまオマケとして付属しているものではなく,音声と異なり時空を超えることができるという,即ち歴史を担うことができるという文字の本質的特徴から必然的に湧き出てくる機能なのではないかと.「文字とは言語を表現する1つの媒体である」という,ごく自然に受け入れられそうな見解は,文字の半面を見ているにすぎず,反対の側面には,同じくらい豊かな通時態の世界が広がっているのではないかと.
さて,英語史講座の第2回は5月13日に「文法の歴史をたどる――なぜ3単現に -s が付くのか?」と題して,第3回は6月10日に「語彙の多様性をひもとく――なぜ類義語が多いのか?」と題して,現代英語について歴史的観点から迫る予定です.英語史のおもしろさを,どんどん開拓していきたいと思います.
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