現代英語のアルファベットは26文字と決まっているが,英語史の各段階でアルファベットを構成する文字の種類の数は,多少の増減を繰り返してきた.例えば古英語では,現代英語にある文字のうち3つが使われておらず,逆に古英語特有の文字が4つほどあった.26 - 3 + 4 = 27 ということで,古英語のアルファベットには27の文字があったことになる.
PDE | a | | b | c | d | e | f | g | h | i | j | k | l | m | n | o | p | q | r | s | t | | | u | v | w | x | y | z | |
OE | a | æ | b | c | d | e | f | g | h | i | | (k) | l | m | n | o | p | (q) | r | s | t | þ | ð | u | | ƿ | (x) | y | (z) | |
「#17. 注意すべき古英語の綴りと発音」 (
[2009-05-15-1]) の表とは若干異なるが,古英語に存在はしたがほどんど用いられない文字をアルファベット・セットに含めるか含めないかの違いにすぎない.上の表にてカッコで示したとおり,古英語では <k>, <q>, <x>, <z> はほとんど使われておらず,体系的には無視してもよいくらいのものである.
古英語に特有の文字として注意すべきものを取り出せば,(1) <a> と <e> の合字 (
ligature) である <æ> (ash),(3)
th 音(無声と有声の両方)を表わす <þ> (
thorn) と,同じく (3) <ð> (eth),(4) <w> と同機能で用いられた <ƿ> (wynn) がある.
現代英語のアルファベットが26文字というのはあまりに当たり前で疑うこともない事実だが,昔から同じ26文字でやってきたわけではないし,今後も絶対に変わらないとは言い切れない.歴史の過程で今たまたま26文字なのだと認識することが必要である.
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