先日,5月28日(水)の午後1時30分過ぎより,khelf(慶應英語史フォーラム)の協賛のもと,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて「千本ノックGW回 with 小河舜さん」の生配信をお届けしました.平日昼間の65分にわたるライヴでしたが,ご聴取くださった皆さん,ありがとうございました.
その生配信の様子は音声のみならず動画としても収録していたので,このたび YouTube 「heltube --- 英語史チャンネル」より公開しました.上記スクリーン,あるいは「英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- GW回 with 小河舜さん」よりご覧ください.(音声のみで十分という方は,後日 Voicy heldio のアーカイヴとしても配信する予定ですので,しばらくお待ちください.)
今回の千本ノックは,前回の「#5843. 「英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- 年度初めの生配信」のアーカイヴを YouTube で配信しています」 ([2025-04-26-1]) とは異なり,私1人ではなく,小河舜さん(上智大学)にも久しぶりにご登場いただき,2人体制で千本ノックを受けるという形式をとりました.前回は孤独に大量の質問の矢面に立ちましたが,今回は強力な助っ人を得て,心強く千本ノックに臨むことができました.小河さん,ありがとうございました! 小河さんは,最近hel活のために X アカウント @scunogawa を開設されましたので,hellog 読者の皆さんは,ぜひフォローをお願い致します.
さて,今回の千本ノックの質問も,慶應義塾大学文学部英米文学専攻や通信教育課程で「英語史」を受講している学生の皆さんから事前に募ったものがほとんどです.鋭い質問や興味深い観点からの疑問が多く寄せられました.生配信では時間の制約もあり,取り上げられた質問は15件にとどまりますが,英語史の多様な側面が垣間見えたのではないでしょうか.
今回の15の疑問について,おおよその分秒とともに一覧します.
(1) 08:09 --- 肯定の平叙文で some + 名詞を含む文を疑問文や否定文にするとき,なぜ some が any にひっくり返るのか?
(2) 12:48 --- freedom と liberty は重なる部分が多いが,ニュアンスの違いもある.このように基本的に同義でも特定の解釈で慎重さが求められる語が生まれた理由は?
(3) 17:40 --- なぜ(文法書もなかったような)古い時代の英語で屈折に富んだ文法が使えたのか?
(4) 21:55 --- 数が 0 の場合,それを受ける可算名詞がなぜ複数形になるのか? (実際には単数形もあり得ます)
(5) 26:18 --- 不定冠詞 an/a の使い分け(an apple vs. a pen)の現象は,ギリシア語由来の接頭辞 an/a の現象は同じですか?
(6) 28:05 --- なぜ Monday など曜日の最初の文字は大文字なのか? なぜ固有名詞扱いなのか?
(7) 32:19 --- なぜ be 動詞は現在形では am, are, is の3種類なのに,過去形では was, were の2種類になるのか?
(8) 36:35 --- 英語が世界言語として広まったのは,他言語と似ていて習得しやすいからか?
(9) 39:39 --- なぜ英語では親指は finger ではなく thumb というのか?
(10) 43:19 --- なぜ関係代名詞で「前置詞 + that」の形はないのか? なぜ that は非制限用法で使えないのか?
(11) 46:47 --- 日本人の名字の長音(例:「大下」)のローマ字表記は,Ohshita, Ōshita, Oshita のどれが適切か?
(12) 50:02 --- なぜ昔の文章ほど難解に感じられるのか?
(13) 53:28 --- knight や knife の語頭の k は発音しないが,昔は発音されていたのか?
(14) 55:30 --- コンマ (,) の歴史的変遷は? 感嘆符 (!) や疑問符 (?) はどのようにして生まれたのか? なぜ文末にピリオド (.) を打つのか?
(15) 58:28 --- 倒置は強調したい要素を文頭に出す場合に起こるが,仮定法(例:Were it not for ...)では何を強調しているのか?
まだまだ未回答の疑問はたくさん残っていますので,別の機会に取り上げていきたいと考えています.過去の千本ノック企画については,本ブログの senbonknock 記事群よりアクセスしてみてください.引き続き,英語史の学びを楽しんでいきましょう!
昨日の記事「#5843. 「英語に関する素朴な疑問 千本ノック --- 年度初めの生配信」のアーカイヴを YouTube で配信しています」 ([2025-04-26-1]) と関連して,千本ノックの参加者(大学生)から寄せられてきた感想コメントをいくつかピックアップして示します.取り上げられた素朴な疑問の順で挙げていきます.(コメントの文章は適宜編集・要約しています.)
(1) なぜ複数形や3単現では -s を使うのか?
・ 3単現の -s が他の語尾(a や q)でもよかったのでは,という根本的で「聞いても仕方ない」ような疑問にも英語史的な答えがあると知り,感動した.
・ 当たり前だと思っていた3単現の s が,古くは th であり,それが(音が似ているからではなく)置き換わったという歴史に驚き,言語変化のダイナミズムを感じた.
(2) なぜアルファベットと発音記号を分けているのか?
・ 綴り字は保守的だが発音は変化しやすいという原則を知り,綴りと発音の不一致問題が腑に落ちた.
・ 発音しない文字は単なる無駄ではなく,言語の過去(かつては発音されていた事実)を今に伝える「痕跡」であり,歴史の積み重ねだと感じた.
・ 綴り字改革が何度も試みられたが成功しなかった事実に,たとえ非合理でも定着したものを変えることの難しさ,言語の文化的・歴史的な重みを感じた.
(3) 発音しない h の存在意義は?
・ h の問題が「盲腸」や「男性の乳首」に喩えられていた,発音しない h の存在意義の説明が衝撃的で,言語における「進化」の痕跡という視点に感心した.
・ フランス語の影響で英語の h の発音が揺れた歴史を知り,英文学史で学んだノルマン・コンクエストと言語史が繋がり,興奮した.
(5) なぜ英語は左から読むのか?
・ 「なぜ英語は左から読むのか」という当たり前すぎる問いが,実は古英語では右書きもあったという事実から,深い歴史的問題になりうることに驚き,英語史の面白さを感じた.
(7) なぜ冠詞は分かりづらいのか?
・ 冠詞が歴史の途中(近代英語期)から発達した比較的新しい文法項目であり,古英語にはなかったという事実に衝撃を受けた.
・ 冠詞や進行形が比較的新しいことを知り,言語は不変ではなく,必要に応じて変化・進化するものだと実感した.
(8) なぜ英語にはドイツ語やフランス語にはない進行形があるのか?
・ 進行形も比較的新しい(近代英語以降の)文法で,シェイクスピアは使っていなかったこと,今も用法が拡大中であることを知り,言語が生きていることを実感した.
(10) なぜ英語には大文字と小文字があるのか?
・ 大文字と小文字の起源と用途の変遷(威厳 vs 速記 → 文中での強調・区別)を知り,実用性が文字の形や規則を生み出す過程に納得した.
(13) なぜ英語を話せる人を無意識にクールだと感じてしまうのか?
・ 英語話者をかっこいいと感じるのは,言語がもつ社会的な威信が原因であり,言語と権力の関係性(かつてのラテン語やフランス語のように)で説明できることに知的刺激を受けた.
(15) なぜ get in, get together, get over のように,基本動詞と副詞(または前置詞)の組み合わせによる句動詞が多く,多様な意味を持つのか?
・ 基本動詞+副詞(前置詞)から成る句動詞が,中英語期以降に激増したという歴史を知り,なぜそのような(学習者にとっては厄介な)形式が必要になったのか,その背景に興味をそそられた.
(17) なぜ be 動詞の現在形は am, are, is の3種類もあるのか?
・ 頻用される be 動詞が最も不規則変化するのは言語の宿命であり,「特別なんだろう」という曖昧だった認識が,英語史的説明で腑に落ちた.
・ 頻度が高い基本動詞ほど不規則になるという言語の原則に触れ,なぜ最初に習うものが一番複雑なのか納得した.
その他,全体的な感想をいくつか挙げてみます.
・ 目の前でラジオの生放送が進行しているシチュエーションは初めてで,非常に新鮮であった.
・ 今後英語史を学んでいく上でさまざまな「なぜ」が出てくると思うので,また機会があればこのような企画を実施してほしいです.すごく有意義でした.
・ 素朴な疑問こそが英語史の入り口であり,歴史的視点から見ればどんな疑問にも(たとえ完全な答えがなくとも)考える「とっかかり」があるという指摘になるほどと思った.
・ 文法ルールを単なる暗記ではなく,「なぜそうなったのか」という歴史的背景とともに理解することで,英語学習がより深く,面白くなることを実感した.
・ 英語史を学ぶことで,一見無関係に見える文学史や社会史など,他の分野との繋がりが見えた.
私も,千本ノックを通じて,多くの参加者が英語史に関心を抱いたようだと知ることができて嬉しかったです.英語史の本当の楽しさはこれからです.皆さん,ぜひこれから前のめりに学んでいってください!
先日の月曜日,4月21日の午後1時20分より,khelf(慶應英語史フォーラム)の協賛のもと,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の生配信という形で「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」を配信しました.会場では70名ほどの大学生に参加してもらい,ライヴ配信では30名ほどのリスナーに聴取いただきました.盛り上げに協力してくださりまして,ありがとうございます.
会場では千本ノックの様子を動画でも撮影しており,今朝 YouTube 「heltube --- 英語史チャンネル」にて動画を公開しました(音源は後日 Voicy heldio でもアーカイヴとして配信する予定です).「英語に関する素朴な疑問 千本ノック 2025年4月21日 --- 年度初めの生配信(アーカイヴ)」よりご覧ください(65分ほどの動画です).
千本ノックの企画に先立ち,学生の皆さんには事前に英語に関する素朴な疑問を寄せてもらっていました.実に100以上の質問が集まりました.千本ノックでは,時間の都合でその一部の疑問にしか触れられませんでしたが,それでも話題の範囲は広く,英語史の懐の深さの感じられるラインナップだったのでないかと思っています.
今回の千本ノックで取り上げた17の疑問について,おおよその分秒とともに一覧します.
(1) 04:02 --- なぜ複数形や3単現では -s を使うのか?
(2) 07:56 --- なぜアルファベットと発音記号を分けているのか?(発音記号をそのまま文字にすればよいのでは?)
(3) 14:30 --- 発音しない h の存在意義は?
(4) 20:06 --- なぜ過去形などにするとき,短い母音の後の子音字は重ねて書くのか?
(5) 23:52 --- なぜ英語は左から読むのか?
(6) 27:47 --- I am とその省略形 I'm はどう違うのか?
(7) 31:39 --- なぜ冠詞は分かりづらいのか?
(8) 34:48 --- なぜ英語にはドイツ語やフランス語にはない進行形があるのか?
(9) 39:21 --- なぜ u という1つの文字に多様な発音があるのか?
(10) 41:55 --- なぜ英語には大文字と小文字があるのか?
(11) 44:08 --- なぜ曜日の名前は日本語とずれているのか?
(12) 45:52 --- なぜ sister や brother には姉・妹,兄・弟の区別がないのか?
(13) 48:35 --- なぜ英語を話せる人を無意識にクールだと感じてしまうのか?
(14) 51:17 --- なぜ Is this a pen? の答えは Yes, it is. であり,*Yes, this is. ではないのか?
(15) 54:08 --- なぜ get in, get together, get over のように,基本動詞と副詞(または前置詞)の組み合わせによる句動詞が多く,多様な意味を持つのか?
(16) 56:01 --- なぜ英語では固有名詞の所有格にアポストロフィを用いるのか?(ドイツ語のように -s だけではダメなのか?)
(17) 59:49 --- なぜ be 動詞の現在形は am, are, is の3種類もあるのか?
取り上げられなかった素朴な疑問がまだたくさん残っていますので,今後も千本ノックその他の機会を捉えて,話題にしていきたいと思います.過去の千本ノック企画については,本ブログより senbonknock を訪れてみてください.新年度も楽しい英語史の学びを!
私の所属する慶應義塾大学の公式 YouTube チャンネル「慶應義塾 Keio University」には「研究者紹介動画」というシリーズがあります.昨日,そのシリーズの1回として「英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」慶應義塾大学文学部・堀田隆一教授が公開されました.4分22秒ほどの動画です.
公式動画としてきわめて真面目に撮影しているのですが,その割にはサムネで through Tシャツ(=「ゆる言語学ラジオ」公式グッズ)を着た姿でポーズをとっています(cf. 「#5679. through Tシャツ」 ([2024-11-13-1])).(いろいろなポーズと装いで写真撮影をしたのですが,最終的に採用されたのが,これでした.周囲の研究者動画サムネと見比べると浮いているのが分かります.)
動画内では,本ブログについても,大学公式サイト内で運営していることもあり,触れています,また,同じ文学部の英米文学専攻の同僚で,英語学研究者の井上逸兵教授とコラボして制作している YouTube 「いのほた言語学チャンネル」にも言及しています.さらに,khelf(慶應英語史フォーラム)発行の『英語史新聞』も紹介しています.
動画のキャッチフレーズは標題に掲げた通り「英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」です.これについては,本ブログでも「#4361. 英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」 ([2021-04-05-1]) で取り上げたので,そちらもご覧いただければ.
「慶應義塾 Keio University」には,他の所属研究者の紹介動画も多く収められていますし,多種多様なコンテンツが公開されています.ぜひチャンネル登録していただければ.
今年度,慶應義塾大学文学部英米文学専攻の堀田ゼミより13本の卒業論文と1本の修士論文が提出されました.以下,各々の題目を一覧します.私の英語史のゼミでどんなことが研究テーマとなるのかが伝わると思います.
[ 卒業論文 ]
・ The Shifts in Australian Accents: Tracing Changes Through Media Narratives
・ The Characteristics of the Suffix -ive: with Special Attention to Its Noun-Forming Function
・ De-pluralization of Data: A Synchronic and Diachronic Research on Latin-or-Greek Plurals in English
・ Productivity of Suffixes and Their Relationship with Hyphens: A Comparative Analysis across Genres
・ Complexity as a Motivating Factor behind the Choice of more or -er in Comparative Alternation
・ The Changes of Prepositional Verbs Born in the 20th Century: A Case Study of Adjust to, Aim for, Argue about, Complain about and Concentrate on.
・ The Decline of "May" in American English: Simplification as a Driving Force
・ A Study on the Polysemy of Fast through a Diachronic Analysis
・ The Varying Patronymic Surnames in England: Focusing on bare-form, s-form, and son-form
・ Changing Proverbs: Insights into the Use of English Proverbs
・ Analyzing the Stereotype of English Dialect: A Case Study of The TV Corpus, Interview.
・ Relationship between Slang and Its Speaker
・ The Linguistic Community of Singapore: Changes in Public Perception of Singlish After the Launch of Speak Good English Movement in 2000
[ 修士論文 ]
・ The Diffusion of Etymological Spellings in Early Modern English: Reference to the Latin Prefix Ad''- and Analogical Changes
今年度のゼミでも英語史・英語学に関する多様なテーマで研究がなされました.形態論,統語論,意味論,語用論,語法研究,名前学,社会言語学など,関心が多岐にわたっています.例年よりも文法研究が多めだったように思います.
過年度のゼミ卒業論文の題目についてはこちらの記事セットあるいは sotsuron をどうぞ.英語史分野のテーマ探しのヒントとなるかと思います.
ゼミ生はみな khelf (慶應英語史フォーラム)のメンバーです.khelf の英語史活動報告は以下で行なっていますので,ぜひ訪れてフォローなどしていただければ.
・ khelf 公式ホームページ
・ khelf 公式 X アカウント @khelf_keio
・ khelf 公式 Instagram アカウント @khelf_keio
昨年末の12月30日,khelf(慶應英語史フォーラム)が制作している『英語史新聞』シリーズの第11号がウェブ上で公開されました.こちらよりPDFで自由に閲覧・ダウンロードできます.年末のドタバタに紛れての公開となりましたが,今回も力を込めて制作していますので,新年にゆっくりとお読みいただければ幸いです.
2022年4月1日の創刊号発行以来,着実に号を重ねてきました.編集委員会,レイアウト担当,執筆陣もそれぞれスキルアップし,毎回良質の英語史関連の記事をお届けできるようになってきています.いつも khelf のhel活 (helkatsu) を応援してくださっている読者の皆さんのおかげです.感謝申し上げるとともに,本年もよろしくお願いいたします.
さて,今回の第11号の記事のラインナップは以下の通りです.執筆陣には,学部3年生から大学院博士課程の学生まで,khelf の多様なメンバーが集まりました.
・ 英語史の今を訪ねて --- はじまりの地 Ebbsfleet (第1面)
イギリス留学から帰国した大学院生メンバー(古英語専攻)による,英語史旅行記なる新ジャンルの記事.Ebbsfleet とはどこ? 何があるの? どうして英語史と関係があるの? ぜひ読者の皆さんも,アングロサクソン時代にタイムスリップしてみてください.
・ The Englishes of STAR WARS(第2面)
壮大なスケールの英語史・社会言語学の記事.『スター・ウォーズ』ファンは唸ること間違いなし.ファンでなくとも,映画だけでこんなにおもしろく言語学できるのか,と驚くはずです.学部3年生による記事で,力作です.
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第4回 寺澤盾先生 中編」(第3面)
英語史研究者にインタビューするシリーズの第4弾の中編となります.前回に引き続き,khelf メンバーのインタビュアー3名が寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)にお話しを伺っています.寺澤先生の Ph.D を取得後,どのようなご研究をされてきたか,どのような姿勢で研究に向き合ってきたか,また書籍の出版について,お話しくださっています.
・ 英語史クイズ Basic(第4面)
前号より始まった英語史の基本を楽しく学ぶ新企画の第2弾です.英語史の始まりとされる,イングランドに活版印刷術を導入したウィリアム・カクストンが,印刷業に携わっていた期間は? 答え合わせをしつつ,詳しい解説を読んでいただければ.
今号の発行日である年末の12月30日に,heldio 配信回を通じて khelf メンバーとともに広報しています.「#1310. 『英語史新聞』第11号が公開されました with khelf メンバー」をお聴きください.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にて『英語史新聞』を利用される場合には,ぜひ上記 heldio 配信回のコメント欄より,あるいはこちらのフォームを通じてご一報くださいますと幸いです.khelf の活動実績となるほか,編集委員にとっても励みともなりますので,ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,ここに明記いたします.フィードバックを通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月)(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月)(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
・ 『英語史新聞』第8号(2024年3月4日)
・ 『英語史新聞』第9号(2024年5月12日)
・ 『英語史新聞』第10号(2024年9月8日)
・ 『英語史新聞』号外第3号(2024年9月)(2024年9月8日)
英語史クイズ (helquiz) というコンテンツが,徐々に認知されるようになってきました.文字通り英語史に関するクイズという,英語史活動(helkatsu) に資するコンテンツの1種にすぎないといえば,そうなのですが,SNS上で問うてみたり,クイズ大会を企画してみたり,有志のクイズ作家や評論家(?)が現われたり,おもしろい展開となってきています.
以下に,関連する Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の配信回へのリンクを張っておきます.
・ 「#642. heldio 初の「英語史クイズ」」(2023/03/04)(cf. 「#5059. heldio 初の「英語史クイズ」」 ([2023-03-04-1]))
・ 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」(2023/03/31)(cf. 「#5087. 「英語史クイズ with まさにゃん」 in Voicy heldio とクイズ問題の関連記事」 ([2023-04-01-1]))
・ 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」(2023/04/01)
・ 「#1010. 英語史クイズ in hel フェス(生放送のアーカイヴ)」(2024/03/06)(cf. 「#5427. 「英語史クイズ」の heldio 生放送をお届けしました」 ([2024-03-06-1]))
・ 「#1256. 英語史クイズの予習会 (1) --- 「英語史ライヴ2024」の裏番組より」(2024/11/06)
・ 「#1263. 英語史クイズの予習会 (2) --- 「英語史ライヴ2024」の裏番組より」(2024/11/13)
・ 「#1268. khelf 杯「英語史クイズ大会」 --- 「英語史ライヴ2024」より」(2024/11/18)(←このクイズ大会はこちらよりインスタライヴのアーカイヴとしても視聴いただけます)
関連して,hel活の有志メンバーによる「英語史クイズ」関連のコンテンツも増えてきています.
・ 堀田の Instagram アカウント @chariderryu:「Kenning Quiz」 (2024/07/27)
・ 菊地翔太先生(専修大学)による note 記事:「「英語史ライヴ2024」で出題した英語史クイズ(解答・解説つき)」 (2024/09/09)
・ khelf 公式 Instagram アカウント @khelf_keio:「英語史クイズ」 (2024/09/21)
・ コアリスナー・ari さんによる note 記事:「#127 【英語史クイズ】 Williamと語源的につながりのない語は?」 (2024/11/17)
・ コアリスナー・川上さんによる X での活動:「英語史クイズ【誤りはどれ】1: ウムラウト i-mutation の影響関係について」 (2024/11/17)
ますます盛り上がっていきそうな企画です.皆さんも,解くだけでなく問いも作ってみてください!
9月8日(日),khelf(慶應英語史フォーラム)主催で,heldio の12時間連続生配信企画「英語史ライヴ2024」を実施しました.当日は様々な番組をライヴでお届けしましたが,目玉企画イベントとして,夕方のフィナーレに向けて「英語史クイズ大会」を催しました.
そのアーカイヴ版を,昨朝の heldio にて「#1268. khelf 杯「英語史クイズ大会」 --- 「英語史ライヴ2024」より」として配信しました.60分ほどの長尺ですが,ぜひお時間のあるときにお聴きください(同クイズ大会は khelf の公式インスタグラムよりインスタライヴとしても配信しました.アーカイヴ動画はこちらです).
「英語史クイズ大会」のメインMCは,khelf 会長の青木輝さんに務めてもらいました.クイズ出題者は,小河舜先生(上智大学),菊地翔太先生(専修大学),森田真登先生(武蔵野学院大学),矢冨弘(熊本学園大学)先生です.(菊地先生は,ご自身の出題されたクイズについて note 記事で解説を加えられていますので,ぜひ「「英語史ライヴ2024」で出題した英語史クイズ(解答・解説つき)」をご覧ください.)
配信回からは,大盛り上がりの様子が伝わるかと思います.会場には協賛出版社よりクイズの景品としてご提供いただいた書籍等がたくさん陳列されており,それを狙う参加者にとって本気のクイズ大会となりました.
以前にも英語史関連のフェスで英語史クイズ (helquiz) を何度か実施してきました.今後もhel活の一環として英語史クイズの企画を立てていきたいと思います.
英語史クイズといえば,最近ではヘルメイト(= helwa リスナー)による公開出題の動きが目立ちます.リスナーの川上さんによる X 上の試みや,ari さんによる note 上の試みなどもご参照ください.
9月8日(日)に khelf(慶應英語史フォーラム)主催で開かれた「英語史ライヴ2024」の1セッションとして,『文法化する英語』(開拓社,2014年)の著者である保坂道雄先生(日本大学教授)と初の heldio 対談が実現しました.
文法化 (grammaticalisation) の入門となる音声コンテンツとなっていますが,そればかりでなく保坂先生の言語(変化)観をお聴きする貴重な機会ともなっています.対談の際,私の収録態勢が不十分だったために,途中部分を録音できなかったという痛恨のミスを犯してしまいましたが,全体としては一貫したコンテンツとなっております.ぜひお聴きいただければと思います.「#1245. 保坂道雄先生との「文法化入門」対談 --- 「英語史ライヴ2024」より」です(本編は20分弱です).
第2チャプターでは,言語変化における文法化の位置づけ,および迂言的 do (do-periphrasis) の文法化のイントロについてお話ししていただきました.続く第3チャプターでは,完了形 (perfect) の文法化を導入していただきました.(収録に失敗してしまった do 迂言形の話題につきましては,後日,改めて保坂先生にじっくりお話しいただきたいと思っています.)
今回の対談でご紹介した『文法化する英語』や,そこで扱われている個々の文法化の事例については,これまでも hellog および heldio で様々に取り上げてきました.文法化に関わるとりわけ重要なコンテンツを以下に一覧しておきます.
【 hellog 記事 】
・ 「#1972. Meillet の文法化」 ([2014-09-20-1])
・ 「#1974. 文法化研究の発展と拡大 (1)」 ([2014-09-22-1])
・ 「#1975. 文法化研究の発展と拡大 (2)」 ([2014-09-23-1])
・ 「#2144. 冠詞の発達と機能範疇の創発」 ([2015-03-11-1])
・ 「#2146. 英語史の統語変化は,語彙投射構造の機能投射構造への外適応である」 ([2015-03-13-1])
・ 「#2490. 完了構文「have + 過去分詞」の起源と発達」 ([2016-02-20-1])
・ 「#2575. 言語変化の一方向性」 ([2016-05-15-1])
・ 「#2576. 脱文法化と語彙化」 ([2016-05-16-1])
・ 「#3272. 文法化の2つのメカニズム」 ([2018-04-12-1])
・ 「#3273. Lehman による文法化の尺度,6点」 ([2018-04-13-1])
・ 「#3281. Hopper and Traugott による文法化の定義と本質」 ([2018-04-21-1])
・ 「#3669. ゼミのグループ研究のための取っ掛かり書誌」 ([2019-05-14-1])
・ 「#5124. Oxford Bibliographies による文法化研究の概要」 ([2023-05-08-1])
・ 「#5132. なぜ be going to は未来を意味するの? --- 「文法化」という観点から素朴な疑問に迫る」 ([2023-05-16-1])
・ 「#5411. heldio で「文法化」を導入するシリーズをお届けしました」 ([2024-02-19-1])
・ 「#5420. 保坂道雄(著)『文法化する英語』(開拓社,2014年) --- 英語の文法化の入門書」 ([2024-02-28-1])
【 heldio コンテンツ 】
・ 「#988. ぎゅうぎゅうの単語とすかすかの単語 --- 内容語と機能語」
・ 「#989. 内容語と機能語のそれぞれの特徴を比較する」
・ 「#990. 文法化とは何か?」
・ 「#991. while の文法化」
・ 「#992. while の文法化(続き)」
・ 「#1001. 英語の文法化について知りたいなら --- 保坂道雄(著)『文法化する英語』(開拓社,2014年)」
・ 「#1003. There is an apple on the table. --- 主語はどれ?」
英語史の視点からの文法化の入門書として,改めて保坂先生著『文法化する英語』を推します.
・ 保坂 道雄 『文法化する英語』 開拓社,2014年.
慶應義塾大学文学部英米文学専攻では,毎年11月上旬に恒例のゼミガイダンスが開催されます.同専攻の学部2年生に向けて,来年度3年次に所属し,4年次に卒業論文を(英語で)執筆することになるゼミ(公式には「研究会」と称する)を選んでもらう趣旨でのガイダンスです.今年度のガイダンスは本日午後に開催予定です.
私のゼミ(堀田ゼミ)は,英語史を専攻する扱うゼミです.今年度は,3,4年生の現役ゼミ生が30余名集まって,賑やかにゼミ活動を展開しています.英語史ゼミとはいっても,必ずしも皆が古英語や中英語の諸問題を研究テーマに選んでいるわけではなく,近現代英語に関する話題を歴史的・通時的な観点から扱うゼミ生が大半です.過年度の卒業論文タイトルは,本ブログでも sotsuron の各記事で掲載しています.研究テーマの雰囲気は,そちらからつかめると思います.
学部ゼミの上には大学院ゼミもあり,合わせて拡大版ゼミとしての活動も盛んです.この拡大版ゼミは慶應英語史フォーラム (khelf)と呼んでおり,1年中活発な行事を営んでいます(cf. 「#5091. khelf の沿革,活動実績,ミッションステートメント」 ([2023-04-05-1])) .この1年間,khelf として実施してきた主な活動を挙げてみます.
・ khelf の公式ホームページでの英語史活動「hel活」 (helkatsu)
・ 『英語史新聞』の発行(第10号まで続いています)
・ 「英語史ラウンジ」で英語史研究者のインタビュー記事をウェブ掲載
・ 「英語史コンテンツ50+」企画と題する英語史コンテンツのウェブマガジン
・ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」での各種企画への出演や後援
・ Voicy heldio での「英語史ライヴ2024」
・ 他大学の英語史ゼミと合同で開催する「英語史フェスティバル」(helフェス)(helfest) への参加
・ khelf の公式 X アカウント @khelf_keioでのhel活
・ khelf の公式 Instagram アカウント @khelf_keioでのhel活
入ゼミを検討している2年生にとってとりわけ直接的に参考になるのは,公式 Instagram アカウント @khelf_keioの直近数ヶ月のコンテンツだろうと思います.本紹介,個々のゼミ生紹介,9月の「英語史ライヴ2024」やゼミ合宿の様子を含めた文字投稿,写真・画像投稿,リール動画が満載です(むしろ,本日のガイダンスのために Instagram で発信を頑張ってきた経緯があります).
英語の歴史的・通時的側面に関心がある学生,英語に関する素朴な疑問を解決したい学生,イベント企画や情報発信をやってみたい学生は,ぜひ堀田ゼミへの入ゼミを検討してみてください.皆さんの活躍に期待しています.
「#5637. heldio 2024年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月8日までオープン」 ([2024-10-02-1]) でご案内したとおり,今年第3四半期における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.一昨日投票が締め切られましたが,今回は31名のリスナーの皆さんよりご投票いただきました.ご協力ありがとうございます.
投票結果をまとめましたので本記事にて報告いたします(本日の heldio でも「#1229. heldio 2024年第3四半期のリスナー投票開票結果」として報告しています).以下に上位12位までの計16配信回を掲載します(全結果は本記事のソースHTMLをご覧ください).
1. 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 (39%)
2. 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 (35%)
3. 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 (32%)
4. 「#1144. なぜ "have a look" のような表現が現われたのか --- composite predicate をめぐる秋元実治先生との対談」 (29%)
4. 「#1159. ハイブリッド語のおもしろい例をください --- 『ふらんす』8月号で英仏ハイブリッド語に触れています」 (29%)
4. 「#1163. 言葉って自然物ですか?人工物ですか?」 (29%)
4. 「#1213. ヘルメイトの皆さんに質問,あなたはいつ英語学習を始めましたか? --- 「英語史ライヴ2024」裏番組より」 (29%)
4. 「#1214. 教えて khelf 会長! 天候の it って何? --- 「英語史ライヴ2024」より」 (29%)
9. 「#1149. It's me. の me --- 英語史上の「代名詞交替」」 (23%)
9. 「#1187. 英語のSVO固定語順にフランス語の影響はありそうにない」 (23%)
9. 「#1201. 早朝の素朴な疑問「千本ノック」 with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2024」より」 (23%)
12. 「#1147. 日常の英語史・英語学 --- khelf 疋田くんの新シリーズ」 (19%)
12. 「#1156. 教えて khelf 会長! --- どうなるAI時代の語学教育?」 (19%)
12. 「#1174. なぜ音変化はそのとき,そこで起きたのですか? --- 大学院生のための英語史」 (19%)
12. 「#1191. 言語の線状性をポジティヴに見ると」 (19%)
12. 「#1217. イチオシの英語本を教えて! --- 「英語史ライヴ2024」裏番組より」 (19%)
第1位(得票率39%)に輝いたのは,「はじめての古英語」シリーズより「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」でした! リスナーの皆さんの応援によりシリーズとして第10弾に達し,かつ「英語史ライヴ2024」での公開生収録という特別な機会だったこともあるかと想像しますが,それにしてもリスナー投票4連覇ということで強い! 小河舜さん(上智大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),そして堀田隆一のトリオでお届けしてきた古英語入門シリーズです.昨年8月31日に初回の「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」を配信して以来,シリーズ頓挫の危機(?)を乗り越え,時折ゲストを招くなどして変化をつけながら,ここまで続いてきました.次の第11弾は未定ですが(笑),緩く続けていければと思います.過去の配信回や関連する話題は,本ブログの hajimeteno_koeigo でまとめていますので,ご覧ください.
続いて得票率35%で堂々の第2位に輝いたのは,「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」です.khelf の藤原郁弥さん(慶應義塾大学大学院生)が MC を務め,そこに「英語語源辞典通読ノート」で知られる lacolaco さん,およびまさにゃんこと森田真登さんが加わり,45分間の集中精読会が成立しました.ニッチ界隈から熱い支持を受けた配信回です.
第3位には,32%の得票率で「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」が入りました.秋元実治先生(青山学院大学名誉教授)と小河舜さん(上智大学)と堀田の3名が,イディオム(化)について理論的に語らいました.私自身も勉強になった回として,強く印象に残っています.
第4位には,29%の得票率で5つの配信回がタイで並びました.秋元実治先生との対談回が改めて人気で,「#1144. なぜ "have a look" のような表現が現われたのか --- composite predicate をめぐる秋元実治先生との対談」への支持が集まりました.「#1159. ハイブリッド語のおもしろい例をください --- 『ふらんす』8月号で英仏ハイブリッド語に触れています」は,リスナーさんの間でコメントがおおいに盛り上がった回ですので,ぜひコメント欄を訪問していただければ.言語の本質を問うた「#1163. 言葉って自然物ですか?人工物ですか?」も支持をいただきました.「#1213. ヘルメイトの皆さんに質問,あなたはいつ英語学習を始めましたか? --- 「英語史ライヴ2024」裏番組より」は helwa メンバーの有志の収録回でしたが,リスナーさんの間で新鮮さと親近感がウケたものかと理解しています.実際に聴いていて楽しくなる回でした.大人数で議論が弾んだ「#1214. 教えて khelf 会長! 天候の it って何? --- 「英語史ライヴ2024」より」も,リスナーの皆さんに楽しんでいただいたようです.
第9位以下の詳細は省略しますが,今後期待したいシリーズとして「#1147. 日常の英語史・英語学 --- khelf 疋田くんの新シリーズ」を挙げておきましょう.何気ない日常に「hel活」 (helkatsu) のネタがある,という気づきを得られた新シリーズでした.
全体として,今回のリスナー投票では「英語史ライヴ2024」の表番組と裏番組,khelf メンバーや helwa メンバーが出演した配信回,研究者どうしのガッツリ議論回などが上位に入りました.パーソナリティとしては,heldio リスナー,helwa リスナー,khelf メンバー,出演者の方々皆の力でチャンネルを作り続けられているのだなあと,しみじみ感じた次第です.いつもご支援ありがとうございます.
以上,投票結果の報告でした.お聴きでない回がありましたら,ぜひご聴取ください.
9月8日(日)に12時間の公開収録生配信として開催された「英語史ライヴ2024」(hellive2024) の目玉企画の1つとして,人気シリーズ「はじめての古英語」(hajimeteno_koeigo) の第10弾「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」が実現しました.講師はいつものように,小河舜さん(上智大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),そして堀田隆一の3名です.
多くのギャラリーの方々を前にしての初めての公開収録となり,3名とも興奮のなかで34分ほどの古英語講座を展開しました.冒頭のコールを含め,これほど古英語で盛り上がる集団なり回なりは,かつて存在したでしょうか? おそらく歴史的なイベントになったのではないかと思います(笑).
今回の第10弾は,小河さん主導で古英詩の傑作 Beowulf の冒頭にほど近い ll. 24--25 の1文に注目しました(以下 Jack 版より).
lofdǣdum sceal in mǣgþa gehwǣre man geþēon.
忍足による日本語訳によれば「いかなる民にあっても,人は名誉ある/行いをもって栄えるものである」となります.古英語の文法や語彙の詳しい解説は,上記配信回をじっくりお聴きください.
実は上記の公開収録は Voicy heldio のほか,khelf(慶應英語史フォーラム)の公式 Instagram アカウント @khelf_keioでインスタ動画としても生配信・収録しております.ヴィジュアルも欲しいという方は,ぜひこちらよりご覧ください.会場の熱気が感じられると思います.
シリーズ過去回は hajimeteno_koeigo よりご訪問ください.
・ Jack, George, ed. Beowulf: A Student Edition. Oxford: Clarendon, 1994.
・ 忍足 欣四郎(訳) 『ベーオウルフ』 岩波書店,1990年.
少し前のことになりますが,9月25日(水)の Voicy heldio にて「#1214. 教えて khelf 会長! 天候の it って何? ー 「#英語史ライヴ2024」より」を配信しました.khelf のメンバーを中心に大いに議論が盛り上がりました.khelf や helwa の内部では,このような英語史談義は日常茶飯事であり,さして珍しくもありません.しかし,一般に公開してみましたら,多くの方々よりニッチなオタクの集団として喜んで(?)いただいたようで,喜ばしい限りです.こんな感じで,日々hel活を展開しています.
なぜ It rains. なのか,という今回の話題をめぐっては,絶対的な答えが示されているわけではありません.むしろ,この謎を題材として談義自体を楽しんでしまおうという趣旨の企画でした.コメント欄も,リスナーさんによる驚きの声で盛り上がっていますので,ぜひお読みください.
本ブログでは,関連する話題を以下の記事で取り上げてきました.
・ 「#4208. It rains. は行為者不在で「降雨がある」ほどの意」 ([2020-11-03-1])
・ 「#4210. 人称の出現は3人称に始まり,後に1,2人称へと展開した?」 ([2020-11-05-1]))
・ 「#4211. 印欧語は「出来事を描写する言語」から「行為者を確定する言語」へ」 ([2020-11-06-1])
また,収録のなかでも触れられていますが,khelf による『英語史新聞』第9号(2023年5月12日発行)の第1面下部でも「天候の it ってなんだ?」として取り上げられています.
優にあと30分は,皆で議論し続けられたと思います.おかげさまで「英語史ライヴ2024」のなかでも勢いのある番組となりました.
一昨日の Voicy heldio にて「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」を配信しました.これは,9月8日に heldio を媒体として開催された「英語史ライヴ2024」の午前9時過ぎから生配信された精読会のアーカイヴ版です.研究社より出版されている『英語語源辞典』の巻末の専門的な解説文を,皆で精読しながら解読していこうという趣旨の読書会です.当日は多くのリスナーの方々に生配信でお聴きいただきました.ありがとうございました.
khelf の藤原郁弥さん(慶應義塾大学大学院生)が MC を務め,そこに「英語語源辞典通読ノート」で知られる lacolaco さん,およびまさにゃんこと森田真登さんが加わり,45分間の集中精読会が成立しました.ニッチな企画ですが,非常に濃い議論となっています.『英語語源辞典』のファンならずとも楽しめる配信回だと思います.ぜひお聴きください.以下は,精読対象となった文章の最初の2段落です (p. 1647) .
1. 語源学とは何か
語源学の目的は,特定言語の単語の音形(発音・綴り字)と意味の変化の過程を可能なかぎり遡ることによって,文献上または文献以前の最古の音形と意味を同定または推定し,その言語の語彙組織におけるその語の位置を通時的に決定することにある.したがって,語源学はフィロロジーの一分科あるいは語彙論に属するが,その方法論と実践とにおいて,歴史・比較言語学と密接に関連し,また歴史的考証や考古学の成果をも援用する.
英語の場合であれば,現代英語から中期英語 (Middle English: 略 ME),古期英語 (Old English: 略 OE) の段階にまで遡る語史的語源的研究と,さらに英語の成立以前に遡ってゲルマン基語 (proto-Germanic: 略 Gmc),印欧基語 (Proto-Indo-European: 略 IE) の段階を扱う遡源的語源研究とが考えられる.ある単語の語源を特定するためには,この両面を通じて,形態の連続性と同時に意味の連続性が確認されなければならない.そして,英語という言語が成立した後の語史的考察が英語成立以前の遡源的考察に先行すべきこと,すわなち英語史的研究が比較言語学的研究に先行すべきことはいうまでもないであろう.
上記配信回を受けて,私の感想です.この2段落は,実はかなり難解だと思います.2点を指摘します.1つめに「語源学の目的は〔中略〕その言語の語彙組織におけるその語の位置を通時的に決定することにある」をすんなりと理解できる読者は少ないのではないでしょうか.私自身もこの文の字面の「意味」は理解したとしても,それがどのような「意義」をもつのかを理解するには少々の時間を要しましたし,その理解が当たっているのかどうかも心許ないところです.
2つめは,最後の部分「英語という言語が成立した後の語史的考察が英語成立以前の遡源的考察に先行すべきこと,すわなち英語史的研究が比較言語学的研究に先行すべきことはいうまでもないであろう」です.この箇所については,本当にいうまでもないほど自明なのだろうか,という疑問が生じます.というのは,時間的にみる限り,語史的考察は遡源的考察に先行しないからです.それなのに「英語史的研究が比較言語学的研究に先行すべき」というのは,むしろ矛盾しているように聞こえないでしょうか.この2点目については,この後の段落を読めば,確かに真意がわかってきます.いずれにせよ,なかなかの水準の高い最初の2段落ではないでしょうか.
1点目について私は考えるところがあるのですが,皆さんも改めて「語源学の目的は〔中略〕その言語の語彙組織におけるその語の位置を通時的に決定することにある」の解釈を考えていただければと思います.
語源学とは何か? という問いについては,hellog より以下の記事を参照.
・ 「#466. 語源学は技芸か科学か」 ([2010-08-06-1])
・ 「#727. 語源学の自律性」 ([2011-04-24-1])
・ 「#1791. 語源学は技芸が科学か (2)」 ([2014-03-23-1])
・ 「#598. 英語語源学の略史 (1)」 ([2010-12-16-1])
・ 「#599. 英語語源学の略史 (2)」 ([2010-12-17-1])
ここまでのところで『英語語源辞典』に関心をもった方は,ぜひ入手していただければ.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
9月8日の「英語史ライヴ2024」以降,heldio/helwa や khelf のメンバーを中心に,英語史の学びを推進する活動「hel活」 (helkatsu) がますます盛んになってきています.以前より活動されている方のほか,比較的最近活動を始めた方もおりますが,現段階で一度関連リンクをまとめておきます.ほかにもお気づきのhel活がありましたら,お知らせください.
・ ari さんの note いろんな単語の語源や気になることを書いています
・ umisio さんの note 「heldio の風に乗って」
・ Galois さんの note 普段生活していて「なぜ?」と思ったのものを・・・
・ 菊地翔太さん(専修大学)の note 「英語史の観点から身近な問題を考える」
・ Grace さんの note 「自由気ままに言葉について考える --- hel活(英語史普及活動)応援中」
・ まさにゃんの note 「ショートカット英文法」(←以前は「はじめての古英語」や「ゼロから始めるフリジア語」などの名前でした)
・ みーさんの 「ECCジュニア佐久塚原教室 教室日誌」
・ mozhi gengo さんの note もじくりっぷ
・ 矢冨弘さん(熊本学園大学)の ブログ
・ lacolaco さんの note 「英語語源辞典通読ノート」ほか
・ り~みんさんの note 「工学と言語学との狭間にハマってみた」
・ Lilimi さんの note 「Lilimiのオト」
heldio/helwa の活動としては,9月8日に「古英語LINEスタンプ」が公開・発売されています.今後は「週刊英語史」なる新企画も立ち上げられる予定です.
もちろん khelf(慶應英語史フォーラム)のhel活も絶好調です.9月8日に『英語史新聞』第10号と号外(2024年9月8日版)が発行されたほか,公式 X アカウント @khelf_keio や公式 Instagram アカウント @khelf_keio にて英語史関連コンテンツを発信中です.とりわけ Instagram では,「古英語LINEスタンプ」紹介や英語史クイズのコンテンツ公開するなど,活動が賑わってきています.
ぜひ,上記もろもろのhel活をフォローしていただければ.
慶應義塾大学文学部英米文学専攻の堀田ゼミでは,9月16日(月)から18日(水)にかけて伊東の温泉宿にて2泊3日のゼミ合宿を実施しました.初日と2日目は,参加した大学院生,学部4年生,学部3年生の総勢32名が,各々の個人研究のテーマを短時間で紹介・発表する「ポスターなしポスターセッション」の課題をこなしました.
「英語史ゼミ」なのですが,実際にはゼミ学生の扱っているテーマは多岐にわたります.何がどう英語史なのかと疑問に思われるテーマもあるかもしれませんが,そのような疑問が生じること自体が英語史の魅力だと考えています.「○○×英語史」の問題を大喜利のように解いていくことにより,英語史のキャパシティが実際に広がっていくからです.皆さんにも,クイズやパズルのように,楽しんでいただければ.
以下,32名の(仮)テーマを掲げます(注:私がリフレーズしたものもあります).
【 大学院生 】
1. 古英語時代における強変化動詞活用の変遷 --- frīġnan
2. Peterborough Chronicle の統語論と語順
3. EEBO TCP を用いた語源的綴字の普及時期の調査
4. 「大母音推移」研究のこれまでとこれから
【 学部4年生(この冬に卒業論文を控えています) 】
5. オーストラリア国内におけるアクセントの変化
6. 接尾辞 -like について
7. 英語の方言が生み出すステレオタイプの動向
8. 法助動詞の衰退
9. 前置詞を伴う動名詞補文の発達
10. 行為者接尾辞としての -ive の立ち位置を探る
11. ラテン・ギリシア複数形の「脱複数化」
12. スラングの残存と廃滅
13. 英単語の多義性 --- fast に焦点を当てて
14. 英語ことわざの形容詞的用法
15. 脱ダイグロシア化が進むシンガポールの言語社会
16. 比較級形容詞と共起名詞の関係性
17. イングランドにおける父称由来の苗字
【 学部3年生 】
18. 呼びかけ語としての man の用法
19. 日本と韓国の英語学習の比較
20. 英訳「ノアの箱舟」の語彙と意味変化
21. 英語省略語の意義,効果,その歴史
22. 言語変化の因果論
23. 英語・ヒンディー語の code-switching
24. ある語に対する類義語の数と,いつどこから増えていったのか
25. 英語史上にみられる code-switching と現代の code-switching の比較
26. 近代英語における wh- 関係節の考察
27. 呼称からみるフィリピン社会
28. 映画『スター・ウォーズ』シリーズにおける役割語
29. 婉曲表現の分類と用法
30. 名詞 lockdown とコロナの関係
31. 9世紀後半における英語振興と英語教育の歴史的背景
32. 今年ひときわ耳にする nomination の選挙ナラティヴ
以上,32名のテーマについては,合宿中に Voicy 収録した2回の配信回も合わせてお聴きください.
・ 「#1206. khelf ゼミ合宿2024秋 at 伊東 --- Day 1」
・ 「#1208. khelf ゼミ合宿2024秋 at 伊東 --- Day 2」
今回の2泊3日のゼミ合宿では,ほかにも英語史に関するグループコンテンツ作成などの活動を行ないました.その様子や成果は,向こう数日間,khelf の公式 X アカウント @khelf_keio や公式 Instagram アカウント @khelf_keio より発信していく予定ですので,ぜひご注目ください.
今回はとてもエキサイティングなお知らせです.heldio/helwa で企画立案された「古英語LINEスタンプ」が,有志の手により完成しました.先日9月8日の「英語史ライヴ2024」の正午の番組にてお披露目となりましたが,そのときには皆でその場で当該スタンプを購入し,オープンチャット「古英語スタンプお試し会」にてスタンプを交わし合うというイベントも実施しました.ぜひ皆さんも「古英語スタンプ」をご覧になり,よろしければ入手して日常的にお使いください.
メインキャラ Winewulf くん
このスタンプのメインキャラクターはアングロサクソン戦士 Winewulf (ウィネウルフ)くんです.その名は古英語で「友の戦士(狼)」を意味します.彼は勇敢で心優しいアングロサクソンの戦士です.槍と盾を持ち,赤いマントをなびかせた頼もしい戦士の姿ですが,それでいて親しみやすい表情が特徴です.母語である古英語を織り交ぜながら,皆さんのトークに英語史の風を吹き込んでくれます.
上記のイラストでは,Winewulf くんは Ic eom Winewulf 「私はウィネウルフです」と自己紹介をしています.スタンプでは,他の日常使いできる挨拶や感謝の気持ちを母語の古英語で発しています.例えば「おはよう」の意味で Godne morȝen を,感謝の気持ちを込めて Ic ðancie ðe を唱えています.英語史好きの方にはぴったりのスタンプです!
「古英語LINEスタンプ」の試み
「古英語LINEスタンプ」の制作は,他に類を見ない本気の試みでした.スタンプに使用されている古英語の文言は,古英語研究者である小河舜さん(上智大学)と khelf の藤原郁弥さん(慶應義塾大学大学院生),および私自身も補佐的に監修しました.そして,その文言は,古英語の代表的な書体である "Insular Minuscule" で綴られており,まるで中世の古文書を手に取るような感覚を味わえます.日本語訳も付されていますので,大丈夫.日常遣いできます.
こんなシーンで使えます!
・ 友達との日常会話に英語史的なアクセントを加えたいとき
・ 言語 and/or 歴史に興味のある仲間とユニークなやり取りを楽しむ場面で
・ 普段の挨拶や感謝の気持ちを,特殊な言語・文字で伝えてみたいとき
・ Winewulf くんを人気キャラに成長させるために!
古英語の魅力を伝える Winewulf くんの「古英語スタンプ」を使って,いつものトークが一気に特別なものに変わるでしょう.Winewulf くんと一緒に友達や家族とのコミュニケーションを楽しんでみませんか? 他に例のない本格的なスタンプで,メッセージに英語史の深みを加えてください!
入手はこちらからどうぞ
「古英語スタンプ」は,LINEストアにて好評発売中です.最低金額に設定しています.Winewulf くんが登場するスタンプ8個のセットは,古英語文言とキャラ・デザインの両方を楽しめる一品です.ぜひチェックしてみてください!
イラストレーターと監修者への感謝
スタンプのイラストレーターは,heldio の有料版,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の有志リスナーお二方,Lilimi さんと MISATO (Galois) さんです.監修の小河舜さんと藤原郁弥さんを含め,制作班の皆の尽力に感謝いたします.
昨日の記事「#5615. 『英語史新聞』第10号が発行されました」 ([2024-09-10-1]) で khelf(慶應英語史フォーラム)のhel活成果物をご紹介しました.
実は第10号が公開された日に,号外(2024年9月8日版)が合わせて公開されました.英語史ラウンジ by khelf 「第4回 寺澤盾先生 番外編」を掲載した,2面からなる号外です.
第10号の「英語史ラウンジ」では寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)とのインタビュー記事の前半を掲載しました.そのインタビュー記事の後半は次号に掲載される予定ですが,それとは別に寺澤先生とのインタビュー時にお宝エピソードを伺うことができました(ちなみに,インタビューを担当したのは私ではなく khelf のシニアメンバーたちです).それは,寺澤盾先生の御尊父である寺澤芳雄先生が編まれた『英語語源辞典』(研究社) (= KDEE) の誕生秘話というべき貴重なエピソードです.インタビューは寺澤盾先生の研究室で行なわれましたが,その研究室に同辞典のゆかりの品があり,そちらの写真を撮影させていただきました.伺ったエピソードは番外編として,しかも号外として発行するにふさわしい内容であると『英語史新聞』の編集委員会が判断し,今回の号外を作成し公開することになった次第です.ぜひお読みください.
この hellog でも度々お伝えしてきた通り,私は『英語語源辞典』の推し活をしている KDEE ファンです.これまでの推し活履歴や関連する記事については,以下の記事をお読みください(ほかにも kdee より多数の記事にアクセスできます).
・ 「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1])
・ 「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1])
・ 「#5436. 私の『英語語源辞典』推し活履歴 --- 2024年3月15日版」 ([2024-03-15-1])
・ 「#5522. 私の『英語語源辞典』推し活履歴 --- 2024年6月9日版」 ([2024-06-09-1])
・ 「#5553. 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)の新装版 --- 「いのほた言語学チャンネル」でも紹介しました」 ([2024-07-10-1])
『英語語源辞典』は今年6月に新装版が刊行されましたが,早くも重版が決定しています.今回の号外記事を通じて,ますます多くの方々に同辞典の魅力が伝わればと期待しています.
(以下,後記:2024/09/27(Fri))
Voicy heldio を通じて「英語史ライヴ2024」が開催されていた一昨日の9月8日,khelf(慶應英語史フォーラム)が制作している『英語史新聞』シリーズの第10号がウェブ上で公開されました.こちらよりPDFで自由に閲覧・ダウンロードできます.
2022年4月1日の創刊号発行から3年半ほどが経ちますが,ついに第10号の大台に乗りました.ここまで号を重ねてくることができましたのも,khelf のhel活を応援してくださっている読者の皆さんのおかげです.この場をお借りして感謝申し上げます.
実は今回の第10号は「英語史ライヴ2024」内の 10:30--10:55 に配信された番組「『英語史新聞』第10号のお披露目」にて,編集委員会の面々より直々に公開されました.番組に耳を傾けていたリスナーさんには URL を開示し,公開収録の来場者にはA3カラー印刷した新聞を会場で配りました.番組内では,第10号制作に関わった編集委員や執筆者に,それぞれの記事を紹介してもらい,記事執筆の背景を語ってもらいました.こちらの番組の音源は収録しておりますので,後日 heldio の通常配信としてお届けする予定です.
さて,今回の第10号は過去号よりも5割増量しての6面構成です.記事のラインナップは以下の通りです.簡単な紹介文も付します.
・ Pardon? から始めよう:適切な英語の使い方と英語の多様性(第1面)
言葉の階級と聞き返しの表現の関連性に注目する,社会言語学・語用論的な記事です.階級差や英米差が現れる「聞き返し」の表現にフォーカスを当てています.高校生を対象に行なったアンケート調査を通じて,社会言語能力の重要性や Pardon? という表現の使われ方について考えます.英語の多様性を感じてもらえれば.
・ ちょっと深掘り!大母音推移 --- 研究の流れと5つの「謎」(第2面)
英語の音変化として著名な「大母音推移」に焦点を当て,そのプロセスを紹介しつつ,研究史を概説します。特に議論が続く5つの「謎」を取り上げ,同変化の奥深さに迫ります.音の変化がなぜ起こったのか,一緒に考えてみませんか.
・ 英語史ラウンジ by khelf 「第4回 寺澤盾先生 前編」(第3--4面)
英語史研究者にインタビューするシリーズの第4弾は,なんと寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)のご登場です.寺澤先生が幼少期のアメリカ体験から英語史研究者になるまでのエピソードを振り返られています.英語との出会い,アメリカでのカルチャーショック,そして研究者としての道を歩む中での葛藤が率直に語られています.英語史の道を志す学生や研究者にとって共感を呼ぶ内容です.
・ 発音しない <h> とは?(第5面)
英語における黙字 <h> に焦点を当て,hour や honest のような語において <h> がなぜ発音されないのかを,歴史的な観点から解説します.黙字の英語史的背景を通じて,英語学習者が抱える「綴字と発音の乖離」の疑問に答えてくれる記事です.
・ 英語史クイズ Basic(第6面)
英語史に関するクイズを通して,英語史の基本を楽しく学ぶ新企画の登場です.英語史の始まりとされる,449 年頃にブリテン島への侵入・定住を行ったのは? 考えて答えてみた後,答え合わせをし,解説を読んでみてください.
今号の執筆陣は,学部3年生から khelf 顧問までと多岐にわたります.いつもの通り編集委員,執筆陣,レイアウト担当など多くのメンバーが協力して制作しました.監修にも時間をかけていますので,ぜひゆっくりじっくりお読みいただければば幸いです.
もし学校の授業などの公的な機会(あるいは,その他の準ずる機会)にお使いの場合には,ぜひこちらのフォームを通じてご一報くださいますと khelf の活動実績の把握につながるほか,『英語史新聞』編集委員の励みともなります.ご協力のほどよろしくお願いいたします.ご入力いただいた学校名・個人名などの情報につきましては,khelf の実績把握の目的のみに限り,記入者の許可なく一般に公開するなどの行為は一切行なわない旨,ここに明記いたします.フォームへの入力を通じ,khelf による「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)への賛同をいただけますと幸いです.
最後に『英語史新聞』のバックナンバー(号外を含む)も紹介しておきます.こちらも合わせてご一読ください(khelf HP のこちらのページにもバックナンバー一覧があります).
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月)(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月)(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
・ 『英語史新聞』第8号(2024年3月4日)
・ 『英語史新聞』第9号(2024年5月12日)
(以下,後記:2024/09/27(Fri))
昨日9月8日(日),Voicy heldio にて公開収録の12時間生配信企画「英語史ライヴ2024」が開催されました.
収録会場には60--70名の参加者が集結し,生配信のみならず会場での様々なイベントに参加され,盛会となりました.午後の重要な時間帯に,生配信にかかるネットワーク障害によりご迷惑をおかけする案件が発生し,悔やまれるところもありましたが,全体としては一日中賑やかに配信をお送りできたかと存じます.
イベント終了後,夜にはそのまま懇親会になだれ込み,「英語史の輪」の交流を深めることができました.ご参加の helwa リスナー(ヘルメイト),研究者の先生方,学生の皆さん,そして主催側の陣営として事前準備からおおいにお手伝いしてくれた khelf メンバーには心より感謝申し上げます.ありがとうございました.
そして,12時間の生配信を全部あるいは一部お聴きいただいた heldio リスナーの皆様にも,御礼を申し上げます.早朝の番組から数十名規模の方々が参加されたのには驚きました!
折しも今回のイベント開催と前後するタイミングで,heldio のフォロワーが6000名に到達したこともあり,習慣的にお聴きいただいているリスナーの皆さんには,お祝いのお言葉もいただきました.感謝に堪えません.
また,多くの方々より Voicy の「差し入れ」機能を通じて,あるいは会場受付にて,hel活へのご寄付もいただいた由,感謝申し上げます.khelf としては,今後ますますhel活に力を入れていきたいと存じます.
さらに,今回のライヴイベントに協賛いただいた9社の出版社さまにも,たくさんの書籍を景品・リスナープレゼントのためにご提供いただきまして,ありがとうございます.改めて五十音順にお名前を挙げて御礼申し上げます.
・ 朝倉書店
・ 開拓社
・ 研究社
・ 昭和堂
・ 大修館書店
・ 中央大学出版部
・ 白水社
・ 早川書房
・ ひつじ書房
昨日,生配信でお届けした番組はすべで録音しておりますし,ネットワーク障害で生配信できなかったセッションについては代替措置を検討するつもりです.その大半は,今後,順次アーカイヴにて公開していく予定ですので,どうぞご期待ください.
生配信の収録を行なっていたメイン会場とは別に,実は別のサブ会場にて「裏番組」を収録しており,そちらの音源も整理した後,heldio あるいは helwa にて随時公開していく予定です.
「英語史ライヴ2024」はまだ終わっていません.余韻が続いていくと思います.ぜひ今後の heldio/helwa 配信回にご注目ください! この機会に Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のフォロー,さらにはプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa)へのご参加(月額800円)をご検討いただければ.
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow