12月8日,長野県佐久平にて英語に関する素朴な疑問に回答する「千本ノック」 (senbonknock) の企画を開催しました.heldio/helwa のコアリスナーであるみーさんがホストを務めてくださり,初の地方開催での千本ノック,かつ質問者が小中学生である千本ノックが実現した次第です.15名の小中学生,およびその保護者の方々が会場に集まり,生徒さんたちに事前に考えておいてもらった16の質問を題材に,私が80分ほどお話しさせていただきました.同席されたもう1人のコアリスナー Grace さんが,後日,同イベントへの潜入ルポというべき note 記事「佐久平オフ会(千本ノック)レポ」を書かれています.
小中学生から寄せられた疑問をもとに,ぶっつけ本番で千本ノックを敢行しました.大人相手とは異なり質問の角度も鋭角ですし,回答するにも専門用語は使えず,あくまで平易な言葉で分かりやすく答えなければなりません.事前に予想はしていたものの,私にとっては予想以上に難易度の高い課題でした.しかし,非常に多くの気づきを得られたことも確かです.教育上のみならず学術的にも示唆に富んだ質問がいくつかあり,当たり前に思っていた現象を再考察する機会となりました.
今回の佐久平千本ノックの一部始終は,当日の Voicy heldio で生配信しました.後日,それを前半(小学生版)と後半(中学生版)の2回に分割して,アーカイヴとしても配信しました.収録時の問題で,ところどころ聞こえにくいところはありますが,ご容赦ください.以下に,聴取の便のため,寄せられた質問と本編チャプター内の対応する分秒を一覧します.
【前半:小学生部門(約60分) 「#1289. 佐久平千本ノック (1) --- 小中学生の皆からの素朴な疑問」】
(1) 03:12 --- なぜ1のワンは one と書くの?
(2) 08:16 --- なぜ筆記体ができたの?
(3) 12:17 --- なぜ大文字と小文字で違う形の文字があるの?
(4) 18:31 --- アルファベットの形はどんな理由で決まったの?
(5) 22:13 --- なぜ deer, sheep, fish の複数形には -s がつかないの?
(6) 27:40 --- なぜ c と k で同じ発音をするの?
(7) 32:04 --- なぜ bottle の発音は t を読まないの?
(8) 36:38 --- なぜ c は「ク」とか「キャ」と読むのですか?
(9) 41:35 --- なぜ knife の k は読まないのですか?
(10) 45:10 --- なぜ英語が世界共通語なのですか?
【後半:中学生部門(約48分) 「#1292. 佐久平千本ノック (2) --- 小中学生の皆からの素朴な疑問」】
(11) 00:55 --- be 動詞が主語に応じて is, am, are と形を変えるのはなぜですか?
(12) 08:40 --- 序数の形について,なぜ first, second, fifth は変な形なのですか?
(13) 15:32 --- 疑問文で does が出ると動詞の -s がなくなるのはなぜですか?
(14) 22:19 --- 英語やアルファベットは誰が作ったのですか?
(15) 27:14 --- なぜ接続詞の that は省略できるの?
(16) 33:12 --- なぜ be 動詞と一般動詞は一緒に使えないのですか?
佐久平千本ノックに参加した小中学生と保護者の皆さん,本当に大きなインスピレーションをいただきました.あらためて感謝申し上げます.
9月8日(日)に khelf(慶應英語史フォーラム)の主催で heldio の12時間生配信企画「英語史ライヴ2024」が実施されました.ヘルメイト(= helwa リスナー)の方々が全国各地より東京の会場に参集し,当日のライヴに参加されたわけですが,このイベント後,ヘルメイトの「hel活」(英語史活動;helkatsu)がたいへんな勢いで盛り上がってきました.
その1つの現われが,今回ご紹介する『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』です.有志ヘルメイトによる制作で,note 上に公開されています.毎月28日発行です.これまでに創刊号(2024年10月28日)と第2号(2024年11月28日)が公開されています.ぜひこちらの note アカウントをフォローしていただければと思います.
Helvillian は,毎月ヘルメイトが作成した英語史系ウェブコンテンツを集積し,リンク集を作って公開するウェブマガジンです.さらに特集も組まれており,最新号第2号では,制作班がアンケートを実施した上で「ヘルメイトってどんな人」の記事を執筆されています.その他,こだわりをもって制作された表紙やロゴ,編集後記なども見所です.
「英語史をお茶の間に」をモットーに掲げている私としては,このような素晴らしい形で有志のhel活を推進されている編集委員の Grace さん,Lilimi さん,MISATO (Galois) さん,umisio さんに改めて感謝いたします.
創刊号・第2号の各々については「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて以下の配信回でもご案内していますので,ぜひお聴きください.これからも強力に応援していきたいと思います!
・ heldio 「#1282. 月刊 Helvillian 第2号が公開されました --- ヘルメイトさんによる自主的なhel活」(2024年10月29日配信)
・ helwa 「【英語史の輪 #204】祝・Helvillian 創刊」(2024年10月29日配信)
・ heldio 「#1248. 月刊誌 Helvillian 創刊! --- helwa リスナー有志によるウェブマガジン」(2024年12月3日配信)
9月8日(日),khelf(慶應英語史フォーラム)主催で,heldio の12時間連続生配信企画「英語史ライヴ2024」を実施しました.当日は様々な番組をライヴでお届けしましたが,目玉企画イベントとして,夕方のフィナーレに向けて「英語史クイズ大会」を催しました.
そのアーカイヴ版を,昨朝の heldio にて「#1268. khelf 杯「英語史クイズ大会」 --- 「英語史ライヴ2024」より」として配信しました.60分ほどの長尺ですが,ぜひお時間のあるときにお聴きください(同クイズ大会は khelf の公式インスタグラムよりインスタライヴとしても配信しました.アーカイヴ動画はこちらです).
「英語史クイズ大会」のメインMCは,khelf 会長の青木輝さんに務めてもらいました.クイズ出題者は,小河舜先生(上智大学),菊地翔太先生(専修大学),森田真登先生(武蔵野学院大学),矢冨弘(熊本学園大学)先生です.(菊地先生は,ご自身の出題されたクイズについて note 記事で解説を加えられていますので,ぜひ「「英語史ライヴ2024」で出題した英語史クイズ(解答・解説つき)」をご覧ください.)
配信回からは,大盛り上がりの様子が伝わるかと思います.会場には協賛出版社よりクイズの景品としてご提供いただいた書籍等がたくさん陳列されており,それを狙う参加者にとって本気のクイズ大会となりました.
以前にも英語史関連のフェスで英語史クイズ (helquiz) を何度か実施してきました.今後もhel活の一環として英語史クイズの企画を立てていきたいと思います.
英語史クイズといえば,最近ではヘルメイト(= helwa リスナー)による公開出題の動きが目立ちます.リスナーの川上さんによる X 上の試みや,ari さんによる note 上の試みなどもご参照ください.
「#5637. heldio 2024年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月8日までオープン」 ([2024-10-02-1]) でご案内したとおり,今年第3四半期における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.一昨日投票が締め切られましたが,今回は31名のリスナーの皆さんよりご投票いただきました.ご協力ありがとうございます.
投票結果をまとめましたので本記事にて報告いたします(本日の heldio でも「#1229. heldio 2024年第3四半期のリスナー投票開票結果」として報告しています).以下に上位12位までの計16配信回を掲載します(全結果は本記事のソースHTMLをご覧ください).
1. 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 (39%)
2. 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 (35%)
3. 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 (32%)
4. 「#1144. なぜ "have a look" のような表現が現われたのか --- composite predicate をめぐる秋元実治先生との対談」 (29%)
4. 「#1159. ハイブリッド語のおもしろい例をください --- 『ふらんす』8月号で英仏ハイブリッド語に触れています」 (29%)
4. 「#1163. 言葉って自然物ですか?人工物ですか?」 (29%)
4. 「#1213. ヘルメイトの皆さんに質問,あなたはいつ英語学習を始めましたか? --- 「英語史ライヴ2024」裏番組より」 (29%)
4. 「#1214. 教えて khelf 会長! 天候の it って何? --- 「英語史ライヴ2024」より」 (29%)
9. 「#1149. It's me. の me --- 英語史上の「代名詞交替」」 (23%)
9. 「#1187. 英語のSVO固定語順にフランス語の影響はありそうにない」 (23%)
9. 「#1201. 早朝の素朴な疑問「千本ノック」 with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2024」より」 (23%)
12. 「#1147. 日常の英語史・英語学 --- khelf 疋田くんの新シリーズ」 (19%)
12. 「#1156. 教えて khelf 会長! --- どうなるAI時代の語学教育?」 (19%)
12. 「#1174. なぜ音変化はそのとき,そこで起きたのですか? --- 大学院生のための英語史」 (19%)
12. 「#1191. 言語の線状性をポジティヴに見ると」 (19%)
12. 「#1217. イチオシの英語本を教えて! --- 「英語史ライヴ2024」裏番組より」 (19%)
第1位(得票率39%)に輝いたのは,「はじめての古英語」シリーズより「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」でした! リスナーの皆さんの応援によりシリーズとして第10弾に達し,かつ「英語史ライヴ2024」での公開生収録という特別な機会だったこともあるかと想像しますが,それにしてもリスナー投票4連覇ということで強い! 小河舜さん(上智大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),そして堀田隆一のトリオでお届けしてきた古英語入門シリーズです.昨年8月31日に初回の「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」を配信して以来,シリーズ頓挫の危機(?)を乗り越え,時折ゲストを招くなどして変化をつけながら,ここまで続いてきました.次の第11弾は未定ですが(笑),緩く続けていければと思います.過去の配信回や関連する話題は,本ブログの hajimeteno_koeigo でまとめていますので,ご覧ください.
続いて得票率35%で堂々の第2位に輝いたのは,「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」です.khelf の藤原郁弥さん(慶應義塾大学大学院生)が MC を務め,そこに「英語語源辞典通読ノート」で知られる lacolaco さん,およびまさにゃんこと森田真登さんが加わり,45分間の集中精読会が成立しました.ニッチ界隈から熱い支持を受けた配信回です.
第3位には,32%の得票率で「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」が入りました.秋元実治先生(青山学院大学名誉教授)と小河舜さん(上智大学)と堀田の3名が,イディオム(化)について理論的に語らいました.私自身も勉強になった回として,強く印象に残っています.
第4位には,29%の得票率で5つの配信回がタイで並びました.秋元実治先生との対談回が改めて人気で,「#1144. なぜ "have a look" のような表現が現われたのか --- composite predicate をめぐる秋元実治先生との対談」への支持が集まりました.「#1159. ハイブリッド語のおもしろい例をください --- 『ふらんす』8月号で英仏ハイブリッド語に触れています」は,リスナーさんの間でコメントがおおいに盛り上がった回ですので,ぜひコメント欄を訪問していただければ.言語の本質を問うた「#1163. 言葉って自然物ですか?人工物ですか?」も支持をいただきました.「#1213. ヘルメイトの皆さんに質問,あなたはいつ英語学習を始めましたか? --- 「英語史ライヴ2024」裏番組より」は helwa メンバーの有志の収録回でしたが,リスナーさんの間で新鮮さと親近感がウケたものかと理解しています.実際に聴いていて楽しくなる回でした.大人数で議論が弾んだ「#1214. 教えて khelf 会長! 天候の it って何? --- 「英語史ライヴ2024」より」も,リスナーの皆さんに楽しんでいただいたようです.
第9位以下の詳細は省略しますが,今後期待したいシリーズとして「#1147. 日常の英語史・英語学 --- khelf 疋田くんの新シリーズ」を挙げておきましょう.何気ない日常に「hel活」 (helkatsu) のネタがある,という気づきを得られた新シリーズでした.
全体として,今回のリスナー投票では「英語史ライヴ2024」の表番組と裏番組,khelf メンバーや helwa メンバーが出演した配信回,研究者どうしのガッツリ議論回などが上位に入りました.パーソナリティとしては,heldio リスナー,helwa リスナー,khelf メンバー,出演者の方々皆の力でチャンネルを作り続けられているのだなあと,しみじみ感じた次第です.いつもご支援ありがとうございます.
以上,投票結果の報告でした.お聴きでない回がありましたら,ぜひご聴取ください.
Quirk et al. (1226--27; §16.75) に,"Adjective complementation by a to-infinitive clause" と題する項がある.
We distinguish seven kinds of construction in which an adjective is followed by a to-infinitive clause. They are exemplified in the following sentences, which are superficially alike:
(i) Bob is splendid to wait.
(ii) Bob is slow to react.
(iii) Bob is sorry to hear it.
(iv) Bob is hesitant to agree with you.
(v) Bob is hard to convince.
(vi) The food is ready to eat.
(vii) It is important to be accurate.
In Types (i--iv) the subject of the main clause (Bob) is also the subject of the infinitive clause. We can therefore always have a direct object in the infinitive clause if its verb is transitive. For example, if we replace intransitive wait by transitive build in (i), we can have: Bob is splendid to build this house.
For Types (v--vii), on the other hand, the subject of the infinitive is unspecified, although the context often makes clear which subject is intended. In these types it is possible to insert a subject preceded by for; eg in Type (vi): The food is ready (for the children) to eat.
いずれの構文も表面的には「形容詞 + to 不定詞」と同様だが,それぞれに固有の統語的,意味的な特徴がある.要調査ではあるが,おそらく歴史的発達の経路も互いに大きく異なるものが多いだろう.
目下 helwa リスナーからなる Discord 上の英語史コミュニティ内部における「ヌマる!英文法」チャンネルにて,He is sure to win the game. のような構文が話題となっている.この「sure + to 不定詞」の構文は,Quirk et al. によれば (iv) タイプに属するという.理解は必ずしもたやすくない.
・ Quirk, Randolph, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, and Jan Svartvik. A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman, 1985.
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来たる2024年9月8日(日),Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて12時間連続の公開生収録のイベント「英語史ライヴ2024」(hellive2024) が開催されます.khelf(慶應英語史フォーラム)主催の,英語史に特化した企画です.英語史系イベントとしては前代未聞の試みとなります.詳しくは「英語史ライヴ2024」特設ページをご覧ください.
さて,「英語史ライヴ2024」には事前登録した数十名の方々が会場に参集します.参加者には khelf メンバー,大学(院)生,研究者などが含まれますが,とりわけ熱量をもって日本各地から参集してくる方々がいます.それは heldio のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa)(月額800円の有料配信)に加わっているプレミアムリスナーたち,またの名を「helメイト」の面々です.
とりわけhelメイトの皆さんに「英語史ライヴ2024」を何倍も楽しんでいただくために,事前に「helwa コンテンツ」企画を催すことに致しました.この企画に賛同いただいたhelメイトの方々には,事前に英語史に関する「コンテンツ」と称するエッセイ風の読み物を自由に作成していただき,ラジオネーム記名で,あるいは匿名で,ご提出いただきました.その寄せられてきたコンテンツを,「英語史ライヴ2024」の2週間ほど前の8月26日(月)より,毎日1つずつ(ただし土日は2つずつ),こちらのページで公開していくという企画です.
helwa コンテンツの内容は,必ずしも学術的ではありませんし,その必要もありません.英語史を楽しめる内容であることが最大のポイントです.勉強になるコンテンツ,くすっと笑えるコンテンツ,作成者の切り口を味わえるコンテンツ,何でもありです.
「英語史ライヴ2024」当日の11:30--11:55には「helwa コンテンツの講評」と題する生配信が予定されています.コンテンツ作成者にもトークに加わっていただき,このコンテンツが勉強になった,あのコンテンツが笑えた,などワイワイ楽しい25分にしたいと思います.そのためにも,ぜひhelメイトはもとより多くの方々に,ライヴの前までに helwa コンテンツを鑑賞しておいていただければ幸いです.
では,本企画の特設ページ「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」へようこそ」よりコンテンツをたっぷりお楽しみください.すでに3本のコンテンツが公開されています.
新企画のお知らせについては,heldio より「#1185. helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」 --- 新企画がスタート!」もお聴きください.
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