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blend - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2022-05-18 15:41

2011-01-18 Tue

#631. blending の拡大 [word_formation][morphology][phonaesthesia][blend][productivity]

 昨日の記事[2011-01-17-1]blending 「混成」,blend 「混成語」,portmanteau word 「かばん語」といった術語を紹介したが,今日は英語における blending の通時的傾向について概説しつつ,blend の例を挙げたい.
 中英語期以前には,混成語の明らかな例はほとんどない.Chaucer の nifle ( nihil + trifle ) "trifle" が例として挙げられることがあるが,MED の語源によれば Anglo-French からの借用語だという.近代英語以降は少しずつ混成語が現われ始め,2語の意味を合成するという本来の機能に加えて,滑稽・揶揄・嘲笑などの効果を狙ったものも出てくる.foolosopher ( fool + philosopher ), balloonacy ( balloon + lunacy ) などである.Lewis Carroll (1832--98) は昨日の記事で挙げた slithy, mimsy のほかにも chortle ( chuckle + snort ) や galumph ( gallop + triumphant ) などの例を生み出しており,まさに portmanteau word の生みの親といえる.
 しかし,混成語の生産性が真の意味で爆発したのは20世紀に入ってからである.政治・文化・科学など社会のあらゆる側面で情報量が爆発的に増加するに伴って,新しい語彙の需要も増した.少ない音節に多くの情報を詰め込む "densification" の潮流 ( see [2011-01-12-1] ) に合致するスマートな語形成の1つが,混成だったのである.
 上記の経緯で,現代英語にはきわめて多数の混成語が存在する.枚挙にいとまがないが,混成語の生産性の高さと活用の広さをつかむために,ランダムに例を挙げてみよう.

blend1st element2nd element
avionicsaviationelectronics
brunchbreakfastlunch
docudramadocumentarydrama
EbonicsEbonyphonics
edutainmenteducationentertainment
electretelectricitymagnet
electrocuteelectroexecute
EurovisionEuro-television
flushflashblush
FranglaisFrançaisAnglais
infomercialinformationcommercial
ligerliontiger
motelmotorhotel
OxbridgeOxfordCambridge
ParalympicsparallelOlympics
podcastpodbroadcast
simulcastsimultaneousbroadcast
SinglishSingaporeEnglish
smogsmokefog
telethontelephonemarathon


 多くの混成語は一方の語の前部と他方の語の後部を組み合わせる構成になっているが,docudramapodcast のように一方の語は縮約されずに語幹全体が活用されているものもあるし,electrocuteelectro- や EurovisionEuro- のように combining form ( see [2010-10-31-1] ) として定着している要素が用いられているものもある.
 最新の例としては,2010年の流行語 ( see [2011-01-10-1] ) としてノミネートされた語から,メキシコ湾への石油流出事件に引っかけた「多数」を意味する spillion ( spill + million ) ,米政治家 Sarah Palin による造語 refudiate ( refute + repudiate ) ,hacktivism ( hacking + activism ) などがある.現代英語で最も勢いのある語形成の1つであることは間違いないだろう.
 なお,[2010-01-10-1]の記事で挙げた phonaesthesia の各例も広い意味では blending の一種と考えられるかもしれない.

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2011-01-17 Mon

#630. blend(ing) あるいは portmanteau word の呼称 [word_formation][morphology][popular_passage][terminology][blend][contamination]

 blend混成語」は blending混成」という語形成によって作られる語である.最も有名な混成語の1つは brunch だろう.breakfast + lunch をつづめたもので,2語を1語に圧縮したものである.複数のものを1つの入れ物に詰め込むイメージで,かばん語 ( portmanteau word ) と呼ばれることも多い( portmanteauOADL8 によると "consisting of a number of different items that are combined into a single thing" ).
 portmanteau word という表現は,Lewis Carroll 著 Through the Looking-Glass (1872) の6章で Alice と Humpty Dumpty が交わしている会話から生まれた表現である.Alice は,鏡の国の不思議な詩 "JABBERWOCKY" の最初の1節を Humpty Dumpty に示した.

'Twas brillig, and the slithy toves
   Did gyre and gimble in the wabe:
All mimsy were the borogoves,
   And the mome raths outgrabe.


 これに対して Humpty Dumpty が一語一語解説してゆくのだが,1行目の slithy について次のように述べている.

'Well, "slithy" means "lithe and slimy." "Lithe" is the same as "active." You see it's like a portmanteau --- there are two meanings packed up into one word.'


 同様に3行目の mimsy についても,"flimsy and miserable" の portmanteau word として説明を加えている.
 より術語らしい響きをもつ blending という呼称については,OED によると初例は Henry Sweet 著 "New English Grammar" (1892) に見いだされる.

Grammatical and logical anomalies often arise through the blending of two different constructions.


 通常 blending とは2語を基にした意識的な造語過程を指すが,2語の意味の同時想起によって生じる無意識の混乱に基づいた needcessity ( need + necessity ) のような例も含みうる.ただし,後者は contamination 「混同」として区別されることもある.
 blending は語形成の一種として広く知られているためにその陰であまり知られていないが,文法的な「混成」の現象もある."Why did you do that?" と "What did you do that for?" が混成して "Why did you do that for?" なる表現が表出したり,"different from" と "other than" から新しく "different than" が生じたりする例である.日本語の「火蓋を切る」と「幕を切って落とす」が混成して「火蓋を切って落とす」となるのも同様の例である.

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