南アフリカで話される英語 "South African English" をめぐる事情は,歴史が込み入っており,関与する言語・変種も多様で一筋縄では行かない.本ブログでは「#343. 南アフリカ共和国の英語使用」 ([2010-04-05-1]) をはじめとして,south_africa の記事群で取り上げてきた.
今回は,南アフリカ英語に端を発し,同変種を特徴づける語彙を紹介したい.3点の文献を参照し,南アフリカ英語らしい単語を,重複しない2つのリストで提示する.
【 Baugh and Cable (312--13) より 】
aardvark(ツチブタ),apartheid(人種隔離制度,アパルトヘイト),veld(t)(広々とした草原),commandeer(徴兵する),commando(市民騎馬軍団),trek(牛車で旅をする),biltong(塩味の切り干し肉),braaivleis(バーベキューパーティ),donga(峡谷),gogga(昆虫),koeksisters(ひねりドーナツ),kopje(小丘),mealies(トウモロコシ),ou(やつ,男),spruit(小川),stoep(ベランダ),veldskoen(革靴)
【 Crystal (English, 40) および Crystal (Encyclopedio, 377) より 】
advocate (法廷弁護士),bad friends (話し合うほどではない仲の者たち),bakkie (軽トラック),bell (電話する),bioscope (映画),boer (ボーア人),bottle store (酒屋),butchery (肉屋),camp (牧草地),dinges (何とかいうもの),dorp (村),eland (イランダ),fundi (専門家),gnu (ヌー),homeland (ホームランド;アパルトヘイト政策によって設けられた黒人住民のための自治区),impala (インパラ),indaba (会議),indri (インドリ),kloof (峡谷),kraal (村落;小屋),lekker (良い),mamba (マムバ),putu (パン状のかゆ),rand (ランド;南アフリカ共和国の通貨),robot (信号機),shebeen (もぐりの黒人酒場),spoor (わだち),springbok (スプリングボック),arvey (午後;= afternoon),tse-tse (ツェツェバエ),verkrampte (超保守主義者;極めて頑迷な),voorskot (前貸し金)
なお,南アフリカ英語の語彙については,同変種版の OED というべき A Dictionary of South African English on Historical Principles (OUP, 1996) が詳しい典拠となる.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
・ Crystal, David. The English Language. 2nd ed. London: Penguin, 2002.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of the English Language. Cambridge: CUP, 1995. 2nd ed. 2003.
・ 日時:11月30日(土) 17:30--19:00
・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(1週間の見逃し配信あり)
・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより
今年度の朝カルシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が,月に一度のペースで順調に進んでいます.主に『英語語源辞典』(研究社)を参照しながら,英語語彙史をたどっていくシリーズです.
1週間後に開講される第8回ではオランダ語と英語の言語接触に迫ります.後期中英語期には,イングランドはオランダを含む低地帯 (the Low Countries) との商業的な交流が盛んで,言語的にも濃い接触があったと考えられています.しかし,伝統的な英語史記述においては,オランダ語との言語接触は,ラテン語,フランス語,古ノルド語などとの言語接触に比べて注目度が低く,大々的に話題にされることはほとんどありません.重要なオランダ借用語をいくつか挙げて終わり,ということが一般的です.しかし,オランダ語の英語への影響は潜在的には一般に考えられている以上に大きく,講座1回分の議論の価値は十分にあると思われます.
今回の講座では,ゲルマン語派におけるオランダ語(および関連諸言語・方言)の位置づけを確認しつつ,同言語が英語の語彙やその他の部門に与えた影響について議論します.また,背景としての英蘭関係史にも注目します.さらに,オランダ単語が日本語語彙に多く入り込んでいる事実にも注目したいと思います.
本シリーズ講座の各回は独立していますので,過去回への参加・不参加にかかわらず,今回からご参加いただくこともできます.過去7回分については,各々概要をマインドマップにまとめていますので,以下の記事をご覧ください.
・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])
・ 「#5669. 朝カルシリーズ講座の第7回「英語,フランス語に侵される」をマインドマップ化してみました」 ([2024-11-03-1])
本講座の詳細とお申し込みはこちらよりどうぞ.『英語語源辞典』(研究社)をお持ちの方は,ぜひ傍らに置きつつ受講いただければと存じます(関連資料を配付しますので,辞典がなくとも受講には問題ありません).
(以下,後記:2024/11/27(Wed))
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
昨日の記事「#5682. Low Dutch という略称」 ([2024-11-16-1]) で,オランダ語やそれと関連する言語変種からの語彙借用の話題に触れた.過去の記事でも,同じ関心から「#4445. なぜ英語史において低地諸語からの影響が過小評価されてきたのか?」 ([2021-06-28-1]) などで議論してきた.
英語とオランダ語はともに西ゲルマン語派の低地ドイツ語群に属しており,単語もよく似ている.したがって,ある英単語が歴史的に英語本来語なのかオランダ借用語なのかを確信をもって判定するのは,しばしば困難である.この困難の背景について,Durkin (356) がもう少し丁寧に解説しているので,引用したい.
Normally such certainty is only available in cases where the absence of an English sound change or the presence of a Dutch or Low German one demonstrates borrowing: the situation is similar to that explored with reference to early Scandinavian borrowings . . . , with the added complication that there are fewer sound changes distinguishing English from Dutch and Low German. The same problem even affects some words first attested much later than the Middle English period, especially those found in regional varieties for which earlier evidence is in very short supply.
英語本来語かオランダ借用語か否かの判定において,音変化の有無の対比といった言語内的な証拠に訴えかけられるチャンスが低いという点が悩ましい.この点で古ノルド借用語の判定にかかわる困難とも比較されるが,古ノルド語の場合には,北ゲルマン語派に属する言語なので,もう少し言語内的な差異に頼ることができるのだろう.
また,現存する歴史的証拠が乏しい地域変種における語彙となると,さらに判定が困難になるというのもうなずける.個々の単語について,言語内的な証拠だけでなく言語外的な証拠をも収集し,厳密に考慮していかなければならない所以である.
・ Durkin, Philip. Borrowed Words: A History of Loanwords in English. Oxford: OUP, 2014.
「#2646. オランダ借用語に関する統計」 ([2016-07-25-1]) で,英語史におけるオランダ借用語をめぐって Durkin を参照した.そこで Dutch でも Low German でもなく,中間的な Low Dutch という用語が使われていた.これが何を指すのかといえば,Durkin 自身が丁寧に解説してくれていた.その1節 (354) を読んでみよう.
Loanwords into English from Dutch (including Flemish) and Low German are normally considered together, because it is so difficult to tell them apart. This is partly because word forms in both languages were, and to some extent still are, so similar, and partly because the social and cultural circumstances of borrowing into English are also often hard to tell apart. 'Low Dutch' is sometimes used as a collective cover term for borrowings from either or both languages into English, although it is important to note that Low Dutch is not itself a language name, but simply a terminological shorthand for referring to a complex situation.
Dutch と Low German は各々区別される言語変種ではあるが,単語の形態が互いによく似ており,借用元同定の文脈においては,実際上区別がつかないことも多いために,便宜上2変種を合わせた用語として Low Dutch を設定しておく,ということだ.ある意味で Low Dutch はフィクションということになる.フランス借用語かラテン借用語か判別がつきにくいときに,便宜上「フランス・ラテン系借用語」などと一括して呼ぶのに似ている.
しかし,こうした用語のフィクション性それ自体も程度の問題ともいえるかもしれない.というのは,上記の Dutch にしても Low German にしても,「区別される言語変種」と一応のところ述べはしたが,やはり何らかの程度においてフィクションでもあるからだ.この点については「#415. All linguistic varieties are fictions」 ([2010-06-16-1]) を参照.
便利に使えるのであれば Low Dutch というタームは悪くない.
・ Durkin, Philip. Borrowed Words: A History of Loanwords in English. Oxford: OUP, 2014.
laugh (笑う)の名詞形は laughter (笑い)である.動詞から名詞を形成するのに -ter という語尾は珍しい.語源を探ってみても,必ずしも明確なことはわからない.ただし類例がないわけではない.
OED の laughter (NOUN1) によると,語尾の -ter について次のように記述がある.
a Germanic suffix forming nouns also found in e.g. fodder n., murder n.1, laughter n.2, lahter n.
上記の laughter n.2 というのは見慣れないが「鶏の産んだひとまとまりの卵」ほどを意味する.「卵を産む」の意の動詞 lay の名詞形ということだ.
ちなみに『英語語源辞典』で laughter を引くと,slaughter (畜殺;虐殺)が参照されており,「古い名詞語尾」と説明がある.動詞 slay (殺す)に対応する名詞としての slaughter ととらえてよい.
他には food (食物)と関連のある fodder n.(家畜の飼料)や foster n.1(食物)にも,問題の接尾辞が関与しているとの指摘がある.稀な接尾辞であることは確かだ.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
「#5675. 日本語に入ったオランダ語の単語」 ([2024-11-09-1]) の続編.オランダ語から日本語へ借用された語はまだまだある.前回と重複する単語もあるが,以下,2つの文献より例を加えたい.まず,沖森 (548) より.
【医科学関係】アルコール,エキス,オブラート,ガス,カテーテル,カリ,カルキ,コレラ,チフス,ハトロン,メス,レトルト,レンズ
【物品名ほか】インキ,ガラス,コーヒー,コック,コップ,ゴム,スコップ,ブリキ,ビール,ピント,ペンキ,ホース,ポンプ,マドロス
続けて,佐藤 (179--80) からも追加する.
【医学・薬学関係】エーテル (ether)・オブラート (oblaat)・エキス (extract)・カルシウム (calcium)・カンフル (kamfer, kampher)・コレラ (cholera)・ペスト (pest)・メス (mes)・モルヒネ (morphine)
【化学・物理・天文】テレスコープ (telescoop)・レンズ (lens)・ピント (brandpunt)・コンパス (kompas)・アルカリ (alkali)・アルコール (alcohol)・ソーダ (soda)・エレキテル (eletriciteit)
【生活関係】コーヒ (kofij)・ビール (bier)・シロップ (siroop)・コップ (kop)・ギヤマン (diamant)・ゴム (gom)・ブリキ (blik)・ペン (pen)・ペンキ (pek)・ポンプ (pomp)・ランプ (lamp)・ズック (doek)・チョッキ (jak)・ホック (hoek)
【軍事関係】サーベル (sabel)・ピストル (pistool)・ランドセル (ransel)
主に明治時代以降に日本語に借用された英単語と事実上同形のものも散見されるが,以上のものはオランダ語からの借用であることに留意したい.
・ 沖森 卓也 『日本語全史』 筑摩書房〈ちくま新書〉,2017年.
・ 佐藤 武義(編著) 『展望 現代の日本語』 白帝社,1996年.
昨日の記事「#5676. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の300語根」 ([2024-11-10-1]) に引き続き,同書の付録 (344--52) に掲載されている主要な接辞のリストを挙げたいと思います.接頭辞 (prefix) と接尾辞 (suffix) を合わせて129種の接辞が紹介されています.
【 主な接頭辞 】
a-, an- | ない (without) |
ab-, abs- | 離れて,話して (away) |
ad-, a-, ac-, af-, ag-, al-, an-, ap-, ar-, as-, at- | …に (to) |
ambi- | 周りに (around) |
anti-, ant- | 反… (against) |
bene- | よい (good) |
bi- | 2つ (two) |
co- | 共に (together) |
com-, con-, col-, cor- | 共に (together);完全に (wholly) |
contra-, counter- | 反対の (against) |
de- | 下に (down);離れて (away);完全に (wholly) |
di- | 2つ (two) |
dia- | 横切って (across) |
dis-, di-, dif- | ない (not);離れて,別々に (apart) |
dou-, du- | 2つ (two) |
en-, em- | …の中に (into);…にする (make) |
ex-, e-, ec-, ef- | 外に (out) |
extra- | …の外に (outside) |
fore- | 前もって (before) |
in-, im-, il-, ir-, i- | ない,不,無,非 (not) |
in-, im- | 中に,…に (in);…の上に (on) |
inter- | …の間に (between) |
intro- | 中に (in) |
mega- | 巨大な (large) |
micro- | 小さい (small) |
mil- | 1000 (thousand) |
mis- | 誤って (wrongly);悪く (badly) |
mono- | 1つ (one) |
multi- | 多くの (many) |
ne-, neg- | しない (not) |
non- | 無,非 (not) |
ob-, oc-, of-, op- | …に対して,…に向かって (against) |
out- | 外に (out) |
over- | 越えて (over) |
para- | わきに (beside) |
per- | …を通して (through);完全に (wholly) |
post- | 後の (after) |
pre- | 前に (before) |
pro- | 前に (forward) |
re- | 元に (back);再び (again);強く (strongly) |
se- | 別々に (apart) |
semi- | 半分 (half) |
sub-, suc-, suf-, sum-, sug-, sup-, sus- | 下に (down),下で (under) |
super-, sur- | 上に,越えて (over) |
syn-, sym- | 共に (together) |
tele- | 遠い (distant) |
trans- | 越えて (over) |
tri- | 3つ (three) |
un- | ない (not);元に戻して (back) |
under- | 下に (down) |
uni- | 1つ (one) |
-age | 状態,こと,もの |
-al | こと |
-ance | こと |
-ancy | 状態,もの |
-ant | 人,もの |
-ar | 人 |
-ary | こと,もの |
-ation | すること,こと |
-cle | もの,小さいもの |
-cracy | 統治 |
-ee | される人 |
-eer | 人 |
-ence | 状態,こと |
-ency | 状態,もの |
-ent | 人,もの |
-er, -ier | 人,もの |
-ery | 状態,こと,もの;類,術;所 |
-ess | 女性 |
-hood | 状態,性質,期間 |
-ian | 人 |
-ics | 学,術 |
-ion, -sion, -tion | こと,状態,もの |
-ism | 主義 |
-ist | 人 |
-ity, -ty | 状態,こと,もの |
-le | もの,小さいもの |
-let | もの,小さいもの |
-logy | 学,論 |
-ment | 状態,こと,もの |
-meter | 計 |
-ness | 状態,こと |
-nomy | 法,学 |
-on, -oon | 大きなもの |
-or | 人,もの |
-ory | 所 |
-scope | 見るもの |
-ship | 状態 |
-ster | 人 |
-tude | 状態 |
-ure | こと,もの |
-y | こと,集団 |
-able | できる,しやすい |
-al | …の,…に関する |
-an | …の,…に関する |
-ant | …の,…の性質の |
-ary | …の,…に関する |
-ate | …の,…のある |
-ative | …的な |
-ed | …にした,した |
-ent | している |
-ful | …に満ちた |
-ible | できる,しがちな |
-ic | …の,…のような |
-ical | …の,…に関する |
-id | …状態の,している |
-ile | できる,しがちな |
-ine | …の,…に関する |
-ior | もっと… |
-ish | ・・・のような |
-ive | ・・・の,・・・の性質の |
-less | ・・・のない |
-like | ・・・のような |
-ly | ・・・のような;・・・ごとの |
-ory | ・・・のような |
-ous | ・・・に満ちた |
-some | ・・・に適した,しがちな |
-wide | ・・・にわたる |
-ate | ・・・にする,させる |
-en | ・・・にする |
-er | 繰り返し・・・する |
-fy, -ify | ・・・にする |
-ish | ・・・にする |
-ize | ・・・にする |
-le | 繰り返し・・・する |
-ly | ・・・ように |
-ward | ・・・の方へ |
-wise | ・・・ように |
英語ボキャビルのための本を紹介します.研究社から出版されている『語根で覚えるコンパスローズ英単語』です.300の語根を取り上げ,語根と意味ベースで派生語2500語を学習できるように構成されています.研究社の伝統ある『ライトハウス英和辞典』『カレッジライトハウス英和辞典』『ルミナス英和辞典』『コンパスローズ英和辞典』の辞書シリーズを通じて引き継がれてきた語根コラムがもとになっています.
選ばれた300個の語根は,ボキャビル以外にも,英語史研究において何かと役に立つリストとなっています.目次に従って,以下に一覧します.
cess (行く)
ceed (行く)
cede (行く)
gress (進む)
vent (来る)
verse (向く)
vert (向ける)
cur (走る)
pass (通る)
sta (立つ)
sist (立つ)
sti (立つ)
stitute (立てた)
stant (立っている)
stance (立っていること)
struct (築く)
fact (作る,なす)
fic (作る)
fect (作った)
gen (生まれ)
nat (生まれる)
crease (成長する)
tain (保つ)
ward (守る)
serve (仕える)
ceive (取る)
cept (取る)
sume (取る)
cap (つかむ)
mote (動かす)
move (動く)
gest (運ぶ)
fer (運ぶ)
port (運ぶ)
mit (送る)
mis (送られる)
duce (導く)
duct (導く)
secute (追う)
press (押す)
tract (引く)
ject (投げる)
pose (置く)
pend (ぶら下がる)
tend (広げる)
ple (満たす)
cide (切る)
cise (切る)
vary (変わる)
alter (他の)
gno (知る)
sent (感じる)
sense (感じる)
cure (注意)
path (苦しむ)
spect (見る)
vis (見る)
view (見る)
pear (見える)
speci (見える)
pha (現われる)
sent (存在する)
viv (生きる)
act (行動する)
lect (選ぶ)
pet (求める)
quest (求める)
quire (求める)
use (使用する)
exper (試みる)
dict (言う)
log (話す)
spond (応じる)
scribe (書く)
graph (書くこと)
gram (書いたもの)
test (証言する)
prove (証明する)
count (数える)
qua (どのような)
mini (小さい)
plain (平らな)
liber (自由な)
vac (空の)
rupt (破れた)
equ (等しい)
ident (同じ)
term (限界)
fin (終わり,限界)
neg (ない)
rect (真っすぐな)
prin (1位)
grade (段階)
part (部分)
found (基礎)
cap (頭)
medi (中間)
popul (人々)
ment (心)
cord (心)
hand (手)
manu (手)
mand (命じる)
fort (強い)
form (形,形作る)
mode (型)
sign (印)
voc (声)
litera (文字)
ju (法)
labor (労働)
tempo (時)
uni (1つ)
dou (2つ)
cent (100)
fare (行く)
it (行く)
vade (行く)
migrate (移動する)
sess (座る)
sid (座る)
man (とどまる)
anim (息をする)
spire (息をする)
fa (話す)
fess (話す)
cite (呼ぶ)
claim (叫ぶ)
plore (叫ぶ)
doc (教える)
nounce (報じる)
mon (警告する)
audi (聴く)
pute (考える)
tempt (試みる)
opt (選ぶ)
cri (決定する)
don (与える)
trad (引き渡す)
pare (用意する)
imper (命令する)
rat (数える)
numer (数)
solve (解く)
sci (知る)
wit (知っている)
memor (記憶)
fid (信じる)
cred (信じる)
mir (驚く)
pel (追い立てる)
venge (復讐する)
pone (置く)
ten (保持する)
tin (保つ)
hibit (持つ)
habit (持っている)
auc (増す)
ori (昇る)
divid (分ける)
cret (分ける)
dur (続く)
cline (傾く)
flu (流れる)
cas (落ちる)
cid (落ちる)
cease (やめる)
close (閉じる)
clude (閉じる)
draw (引く)
trai (引っ張る)
bat (打つ)
fend (打つ)
puls (打つ)
cast (投げる)
guard (守る)
medic (治す)
nur (養う)
cult (耕す)
ly (結びつける)
nect (結びつける)
pac (縛る)
strain (縛る)
strict (縛られた)
here (くっつく)
ple (折りたたむ)
plic (折りたたむ)
ploy (折りたたむ)
ply (折りたたむ)
tribute (割り当てる)
tail (切る)
sect (切る)
sting (刺す)
tort (ねじる)
frag (壊れる)
fuse (注ぐ)
mens (測る)
pens (重さを量る)
merge (浸す)
velop (包む)
veil (覆い)
cover (覆う;覆い)
gli (輝く)
prise (つかむ)
cert (確かな)
sure (確かな)
firm (確実な)
clar (明白な)
apt (適した)
due (支払うべき)
par (等しい)
human (人間の)
common (共有の)
commun (共有の)
semble (一緒に)
simil (同じ)
auto (自ら)
proper (自分自身の)
potent (できる)
maj (大きい)
nov (新しい)
lev (軽い)
hum (低い)
cand (白い)
plat (平らな)
minent (突き出た)
sane (健康な)
soph (賢い)
sacr (神聖な)
vict (征服した)
text (織られた)
soci (仲間)
demo (民衆)
civ (市民)
polic (都市)
host (客)
femin (女性)
patr (父)
arch (長)
bio (命,生活,生物)
psycho (精神)
corp (体)
face (顔)
head (頭)
chief (頭)
ped (足)
valu (価値)
delic (魅力)
grat (喜び)
hor (恐怖)
terr (恐れさせる)
fortune (運)
hap (偶然)
mort (死)
art (技術)
custom (習慣)
centr (中心)
eco (環境)
circ (円,環)
sphere (球)
rol (回転;巻いたもの)
tour (回る)
volve (回る)
base (基礎)
norm (標準)
ord (順序)
range (列)
int (内部の)
front (前面)
mark (境界)
limin (敷居)
point (点)
punct (突き刺す)
phys (自然)
di (日)
hydro (水)
riv (川)
mari (海)
sal (塩)
aster (星)
camp (野原)
mount (山)
insula (島)
vi (道)
loc (場所)
geo (土地)
terr (土地)
dom (家)
court (宮廷)
cave (穴)
bar (棒)
board (板)
cart (紙)
arm (武装,武装する)
car (車)
leg (法律)
reg (支配する)
her (相続)
gage (抵当)
merc (取引)
・ 池田 和夫 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』 研究社,2019年.
近年の研究で,英語史におけるオランダ語 (dutch) の位置づけが少し変わってきていることについては,以下の記事で取り上げてきた.
・ 「#3435. 英語史において低地諸語からの影響は過小評価されてきた」 ([2018-09-22-1])
・ 「#4444. オランダ借用語の絶頂期は15世紀」 ([2021-06-27-1])
・ 「#4445. なぜ英語史において低地諸語からの影響が過小評価されてきたのか?」 ([2021-06-28-1])
・ 「#4446. 低地諸語が英語に及ぼした語彙以外の影響 --- 南部方言の TH-stopping と当中部方言の3単現のゼロ」 ([2021-06-29-1])
オランダ語との言語接触といえば,英語史のみならず日本語史でも重要なテーマである.日本語におけるオランダ借用語について,まず『日本語百科大事典』を開いてみた.その1027ページに「江戸時代の洋語」と題する1節があり,そこでオランダ語からの借用語が扱われている.そちらを読んでみよう.
江戸時代に入った洋語はほとんどすべてオランダ語である.長崎におけるオランダ人との貿易による,貿易に関連した用語および江戸後期に芽生え,幕末にいたってさかんになった蘭学に起因する科学技術の用語である.
貿易に関連した用語には,たとえば,
インデン(Indië,革製品)・ズック(doek)・ボートル(boter,バター)・ガラス(glas)・キルク(kurk)・コップ(kop)・ブリキ(blik)・ランプ(lamp)
などがある.蘭学関係の用語としては,
オブラート(oblaat)・メス(mes,外科用具)・カルキ(kalk)・キナ(kina,マラリアの薬)・サフラン(saffraan,薬草)・ヨジウム(jodium)・アルカリ(alkali)・アルコール(alcohol)・エレキテル(electriciteit)・タルモメートル(thermometer)・レンズ(lens)
などがある.
工業技術関係では,
ダライバン(draaibank,旋盤)・バイト(beitel,刃具)・ポンプ(pomp)・カラン(kraan,給水管のコック)
などがある.
これらのオランダ語系洋語の中には明治以後消失したものもあるが,かなり多くの語が現在まで続けて使われている.
日英語の対照言語史 (contrastive_language_history) という観点からも,オランダ語との言語接触はもっと注目されてよいトピックではないだろうか.
・ 『日本語百科大事典』 金田一 春彦ほか 編,大修館,1988年.
1週間ほど前の10月26日に,今年度の朝日カルチャーセンター新宿教室でのシリーズ講座の第7回が開講されました.今回は「英語,フランス語に侵される」と題して,主に中英語期の英仏語の言語接触に注目しました.90分の講義では足りないほど,話題が盛りだくさんでした.対面およびオンラインで,多くの方々にご参加いただき,ありがとうございました.
その盛りだくさんの内容を,markmap というウェブツールによりマインドマップ化して整理してみました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.
8月24日に開講した,標記のシリーズ講座第5回「英語,ラテン語と出会う」について,その要旨を markmap というウェブツールによりマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.
7月27日に開講した,標記のシリーズ講座第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」について,その要旨を markmap というウェブツールによりマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.
このシリーズ第2回については hellog と heldio の過去回で取り上げているので,ご参照ください.
・ hellog 「#5486. 5月18日(土)の朝カル新シリーズ講座第2回「英語語彙の歴史を概観する」のご案内」 ([2024-05-04-1])
・ heldio 「#1079. 土曜日,朝カル新シリーズ講座第2回「英語語彙の歴史を概観する」が開講されます」
次回の朝カル講座は今週末の9月28日(土)17:30--19:00に,対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)で開講されます.「英語,ヴァイキングの言語と交わる」と題し,英語史上もっともエキサイティングな言語接触に迫ります.予告編として「#5619. 9月28日(土)の朝カル新シリーズ講座第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」のご案内」 ([2024-09-14-1]) をご覧ください.本講座に関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みいただければ.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
今年度,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を月に一度のペースで開講しています.対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)です.
次回第6回は9月28日(土)の17:30--19:00に「英語,ヴァイキングの言語と交わる」と題して開講します.古英語と古ノルド語の言語接触に注目します.
全12回のシリーズも半分ほど進んできました.このタイミングで,前半の各回をマインドマップで要約しておくのも有用かもしれないと思い立ち,markmap というウェブ上のツールを用いて,まずシリーズ初回「英語語源辞典を楽しむ」(2024年4月27日開講)のマインドマップを作ってみました(画像としてはこちらからどうぞ).
このシリーズ初回については hellog と heldio の過去回でも取り上げているので,そちらもご参照ください.
・ hellog 「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」 ([2024-04-01-1])
・ hellog 「#5481. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の第1回が終了しました」 ([2024-04-29-1])
・ heldio 「#1058. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より月一で始まります」
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
一昨日の Voicy heldio にて「#1205. Baugh and Cable 第57節を対談精読実況生中継 --- 「英語史ライヴ2024」より」をアーカイヴ配信しました.これは「#5607. 「英語史ライヴ2024」で B&C の第57節 "Chronological Criteria" を対談精読実況生中継します」 ([2024-09-02-1]) で予告したとおり,9月8日(日)に開催された「英語史ライヴ2024」の早朝枠にて生配信された番組がもとになっています.
金田拓さん(帝京科学大学)がメインMCを務め,小河舜さん(上智大学)と私が加わる形での対談精読実況生中継でした.ヘルメイト(helwa リスナー)や khelf メンバーも数名がギャラリーとして収録現場に居合わせ,生配信でお聴きになったリスナーものべ81名に達しました.たいへんな盛況ぶりです.皆さん,日曜日の朝から盛り上げてくださり,ありがとうございました.
今回取り上げたセクションは,実はテクニカルです.古英語期のラテン借用語について,それぞれの単語が同時期内でもいつ借りられたのか,いわば借用の年代測定に関する方法論が話題となっています.取り上げられているラテン借用語の例はすこぶる具体的ではありますが,音変化の性質や比較言語学の手法に光を当てる専門的な内容となっています.
しかし,今回の対談精読会にそってに丁寧に英文を読み解いていえば,必ず理解できますし,歴史言語学研究のエキサイティングな側面を体験することもできるでしょう.本編48分ほどの長尺ですが,ぜひお時間のあるときにゆっくりお聴きください.
Baugh and Cable の精読シリーズのバックナンバー一覧は「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) に掲載しています.ぜひこの機会にテキストを入手して,第1節からお聴きいただければ.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
・ 日時:9月28日(土) 17:30--19:00
・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)
・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより
2週間後の9月28日(土)17:30--19:00に朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」の第6回となる「英語,ヴァイキングの言語と交わる」を開講します.
前回8月24日の第5回では「英語,ラテン語と出会う」と題して,古英語期(あるいはそれ以前の時代)におけるラテン語の語彙的影響に注目しました.今回は8世紀後半から11世紀前半にかけてのヴァイキング時代に焦点を当て,古ノルド語 (old_norse) と古英語の言語接触について解説します.
ヴァイキングとは上記の時期に活動したスカンジナビア出身の海賊を指します.彼らはブリテン島にも襲来し,やがてイングランド東部・北部に定住するようになりました.その結果,古ノルド語を母語とするヴァイキングと古英語を話すアングロサクソン人との間で言語接触が起こりました.
古ノルド語からの借用語は,現代英語に900語ほど残っています.この絶対数はさほど大きいわけではありませんが,基本語や機能語など高頻度で使用される語が多く含まれているのが注目すべき特徴です.講座では具体的な古ノルド語からの借用語を取り上げ,その語源を読み解いていきます.
古ノルド語と英語の接触は非常に濃密なものでした.これは両言語がゲルマン語族に属しており,近い関係にあったことや,両民族の社会的な交流の深さを反映していると考えられます.ヴァイキングの活動を通じた古ノルド語との接触は,英語の語彙に(そして実は文法にも)多大な影響を与えました.現代英語の姿を理解する上で,この歴史的な言語接触の重要性は看過できません.
本シリーズ講座は各回の独立性が高いので,第6回からの途中参加でもまったく問題なく受講できます.新宿教室での対面参加のほかオンライン参加も可能ですし,その後1週間の「見逃し配信」もご利用できます.奮ってご参加ください.お申し込みはこちらよりどうぞ.
なお,本シリーズ講座は「語源辞典でたどる英語史」と題しているとおり,とりわけ『英語語源辞典』(研究社)を頻繁に参照します.同辞典をお持ちの方は,講座に持参されると,より楽しく受講できるかと思います(もちろん手元になくとも問題ありません).
(以下,後記:2024/09/21(Sat))
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
Baugh and Cable による英語史の古典的名著を Voicy heldio にて1節ずつ精読していくシリーズをゆっくりと進めています.昨年7月に開始した有料シリーズですが,たまの対談精読回などでは通常の heldio にて無料公開しています.
9月8日(日)に12時間 heldio 生配信の企画「英語史ライヴ2024」が開催されますが,当日の早朝 8:00-- 8:55 の55分枠で「Baugh and Cable 第57節を対談精読実況生中継」を無料公開する予定です.金田拓さん(帝京科学大学)と小河舜さん(上智大学)をお招きし,日曜日の朝から3人で賑やかな精読回を繰り広げていきます.
テキストをお持ちでない方のために,当日精読することになっている第57節 "Chronological Criteria" (pp. 73--75) の英文を以下に掲載しておきます.古英語期のラテン借用語の年代測定に関するエキサイティングな箇所です.じっくりと予習しておいていただけますと,対談精読実況生中継を楽しく聴くことができると思います.
57. Chronological Criteria. In order to form an accurate idea of the share that each of these three periods had in extending the resources of the English vocabulary, it is first necessary to determine as closely as possible the date at which each of the borrowed words entered the language. This is naturally somewhat difficult to do, and in the case of some words it is impossible. But in a large number of cases it is possible to assign a word to a given period with a high degree of probability and often with certainty. It will be instructive to pause for a moment to inquire how this is done.
The evidence that can be employed is of various kinds and naturally of varying value. Most obvious is the appearance of the word in literature. If a given word occurs with fair frequency in texts such as Beowulf, or the poems of Cynewulf, such occurrence indicates that the word has had time to pass into current use and that it came into English not later than the early part of the period of Christian influence. But it does not tell us how much earlier it was known in the language, because the earliest written records in English do not go back beyond the year 700. Moreover, the late appearance of a word in literature is no proof of late adoption. The word may not be the kind of word that would naturally occur very often in literary texts, and so much of Old English literature has been lost that it would be very unsafe to argue about the existence of a word on the basis of existing remains. Some words that are not found recorded before the tenth century (e.g., pīpe 'pipe', cīese 'cheese') can be assigned confidently on other grounds to the period of continental borrowing.
The character of the word sometimes gives some clue to its date. Some words are obviously learned and point to a time when the church had become well established in the island. On the other hand, the early occurrence of a word in several of the Germanic dialects points to the general circulation of the word in the Germanic territory and its probable adoption by the ancestors of the English on the continent. Testimony of this kind must of course be used with discrimination. A number of words found in Old English and in Old High German, for example, can hardly have been borrowed by either language before the Anglo-Saxons migrated to England but are due to later independent adoption under conditions more or less parallel, brought about by the introduction of Christianity into the two areas. But it can hardly be doubted that a word like copper, which is rare in Old English, was nevertheless borrowed on the continent when we find it in no fewer than six Germanic languages.
The most conclusive evidence of the date at which a word was borrowed, however, is to be found in the phonetic form of the word. The changes that take place in the sounds of a language can often be dated with some definiteness, and the presence or absence of these changes in a borrowed word constitutes an important test of age. A full account of these changes would carry us far beyond the scope of this book, but one or two examples may serve to illustrate the principle. Thus there occurred in Old English, as in most of the Germanic languages, a change known as i-umlaut. (Umlaut is a German word meaning 'alteration of sound', which in English is sometimes called mutation.) This change affected certain accented vowels and diphthongs (æ, ā, ō, ū, ēa, ēo , and īo) when they were followed in the next syllable by an ī or j. Under such circumstances, æ and a became e, and ō became ē, ā became ǣ, and ū became ȳ. The diphthongs ēa, ēo, īo became īe, later ī, ȳ. Thus *baŋkiz > benc (bench), *mūsiz > mȳs, plural of mūs (mouse), and so forth. The change occurred in English in the course of the seventh century, and when we find it taking place ina word borrowed from Latin, it indicates that the Latin word had been taken into English by that time. Thus Latin monēta (which became *munit in Prehistoric OE) > mynet (a coin, Mod. E. mint) and is an early borrowing. Another change (even earlier) that helps us to date a borrowed word is that known as palatal diphthongization. By this sound change ǣ or ē in early Old English was changed to a diphthong (ēa and īe, respectively) when preceded by certain palatal consonants (ċ, ġ, sc). OE cīese (L. cāseus, chesse) mentioned earlier, shows both i-umlaut and palatal diphthongization (cāseus > *ċǣsi > *ċēasi > *ċīese). In many words, evidence for date is furnished by the sound changes of Vulgar Latin. Thus, for example, an intervocalic p (and p in the combination pr) in the Late Latin of northern Gaul (seventh century) was modified to a sound approximating a v, and the fact that L. cuprum, coprum (copper) appears in OE as copor with the p unchanged indicates a period of borrowing prior to this change (cf. F. cuivre). Again Latin ī changed to e before A.D. 400 so that words like OE biscop (L. episcopus), disc (L. discus), sigel 'brooch' (L. sigillum), and the like, which do not show this change, were borrowed by the English on the continent. But enough has been said to indicate the method and to show that the distribution of the Latin words in Old English among the various periods at which borrowing took place rests not upon guesses, however shrewd, but upon definite facts and upon fairly reliable phonetic inferences.
Baugh and Cable の精読シリーズのバックナンバー一覧は「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) に掲載しています.ぜひこの機会にテキストを入手して,第1節からお聴きいただければ.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
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