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NewsPicks 上で岡本広毅先生(立命館大学)が連載している「RPGで知る西洋の歴史」の最新記事が公開されています.「ダンジョンと〈ゴシック〉への入り口---商人トルネコが覗いた闇」です.
RPG 好きには「ダンジョン」 (dungeon) の響きはたまらないのではないでしょうか.その意味は「地下牢」?「洞窟」?「塔」? なぜ RPG にはダンジョンが付きものなの? ゴシック・ロマンスとの関係は? このような問いに答えてくれる文化史・文学史の記事です.
記事でも言及されていますが,英単語 dungeon は古フランス語 donjon を借用したものです(1300年頃).古フランス語での原義は「主君の塔」ほどでしたが,それが後に牢獄として利用された背景から,「牢獄」,とりわけ「地下牢」の意味を発達させました.さらには RPG 的な「未知なる危険の潜む空間」(上記記事を参照)という語義にまで発展してきました.文化史的に味わうべき意味変化 (semantic_change) の好例ですね.
さて,古フランス語 donjon は,さらに遡ると中世ラテン語の dominiōnem に行き着き,これは古典ラテン語の dominium に対応します.「君主の地位;統治権;領地」を意味しました.このラテン単語が直接英語に取り込まれたのが dominion 「領土;支配権」です.つまり,dungeon と dominion は2重語 (doublet) ということになります.
関連する話題は,以下の hellog や heldio のコンテンツで取り上げていますので,ぜひどうぞ.
・ hellog 「#3899. ラテン語 domus (家)の語根ネットワーク」 ([2019-12-30-1])
・ hellog 「#3898. danger, dangerous の意味変化」 ([2019-12-29-1])
・ heldio 「#118. danger のもともとの意味は「権力」」
・ heldio 「#273. 「支配権」 ― 今だから知っておきたい danger の原義」
・ hellog 「#1953. Stern による意味変化の7分類 (2)」 ([2014-09-01-1])
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最終更新時間: 2024-12-16 08:44
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