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hellog〜英語史ブログ / 2017-05-27

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2017-05-27 Sat

#2952. Shakespeare も使った超強調の副詞 too too [reduplication][intensifier][adverb][preposition][iconicity][shakespeare]

 「あまりに」を意味する強調の副詞 too を重複 (reduplication) させ,強調の度合いをさらに強めた too too なる副詞がある.too 自身が前置詞・副詞 to の音韻形態的・意味的な強形というべき語であり,それを重ねた too too においては,強調まさに極まれり,といったところだろうか.Shakespeare でも O that this too too sallied flesh would melt. (Hamlet 1. 2. 129) として用いられており,現在でも口語で She is too-too kind. などと用いられる.
 OED によると,かつては1語で toto, totoo, tootoo などと綴られたこともあったというが,形容詞や副詞の程度を強める副詞としての初出はそれほど古くなく,初期近代の1542年からの例が挙げられている(ただし,動詞を強める副詞としては a1529 に初出あり).

1542 N. Udall tr. Erasmus Apophthegmes f. 271, It was toto ferre oddes yt a Syrian born should in Roome ouer come a Romain.


 この表現の発生の動機づけは,長々と説明する必要もないだろう.重複とは繰り返しであり,繰り返しは意味的強調に通じる.重複と強調は,iconicity (図像性)の点で,きわめて自然で密接な関係を示す.とりわけ感情のこもりやすい口語においては,言語現象として日常茶飯事といえる(関連して「#65. 英語における reduplication」 ([2009-07-02-1]) を参照).
 なお,上にも述べたように強調の副詞 too 自体が,前置詞・副詞 の強形である.古英語では to は単独で「その上,さらに」の意の副詞として用いることもでき,形容詞などと共起すると「あまりに?」の副詞の意味を表わすことができた.主として,母音部を弱く短く発音すれば前置詞に,強く長く発音すれば強調の副詞として機能したのである.役割の分化にもかかわらず,綴字上は同じ to で綴られ続けたが,16世紀頃から強調の副詞のほうは too と綴られるようになり,独立した.
 起源を一にする語の強形と弱形が独立して別の語と認識されるようになる過程は,英語史でも少なからず生じている.「#55. through の語源」 ([2009-06-22-1]),「#86. one の発音」 ([2009-07-22-1]),「#693. as, so, also」 ([2011-03-21-1]),「#2077. you の発音の歴史」 ([2015-01-03-1]) を参照.

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最終更新時間: 2024-11-26 08:10

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