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infinitive - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2025-11-08 18:13

2016-03-03 Thu

#2502. なぜ不定詞には to 不定詞と原形不定詞の2種類があるのか? [infinitive][verb][inflection][syntax][causative][terminology][sobokunagimon]

 2月19日付けで掲示板に,標題に関する疑問が寄せられた.掲示板上で返答したが,その内容をベースにして記事としてもまとめておきたい.以下,不定詞の略史を記す.
 現代英語には to 不定詞 (to-infinitive) と原形不定詞 (bare infinitive) の2種類があるが,歴史的にはおよそ別物である.起源の古いのは原形不定詞のほうであり,こちらは英語のみならず印欧諸語では広く見られる.いわば本来の不定詞といってよい.古英語では典型的に動詞の語幹に -(i)an を付けた形態が「不定詞」と呼ばれており,それが,現代英語と同様に,主として使役動詞や知覚動詞の目的語の後位置,および助動詞の後位置に用いられていた.この古英語の不定詞の基本的な働きは,本来の動詞を名詞化すること,つまり「名詞的用法」だった.その後,中英語期にかけて生じた屈折語尾の水平化により -(i)an が失われ,語幹そのものの裸の形態へ収斂してしまったので,現在では「原形不定詞」と呼び直されるようになった.しかし,使役動詞,知覚動詞,助動詞の後位置に置かれる不定詞としての機能は,そのまま現在まで引き継がれた.
 一方,「to 不定詞」のほうは,古英語の前置詞 to に,上述の本来の不定詞を与格に屈折させた -anne という語尾をもつ形態(不定詞は一種の名詞といってもよいものなので,名詞さながらに屈折した)を後続させたもので,例えば to ganne とあれば「行くことに向けて」つまり「行くために」ほどが原義だった.つまり,古英語では,今でいう「副詞的用法」は専ら to 不定詞で表わされていたのである.しかし,形態的には,やはり与格語尾を含めた語尾全体が後に水平化・消失し,結局「to + 動詞の原形」という形に落ち着くことになった.機能についていえば,to 不定詞は中英語期から近代英語期にかけておおいに拡張し,古英語以来の「副詞的用法」のみならず,原形不定詞の守備範囲であった「名詞的用法」へも侵入し,さらに他の諸々の機能をも発達させていった.
 後発の to 不定詞が,先発の原形不定詞に追いつき,追い越してゆくという歴史を概観したが,実際には中英語期以降の両者の守備範囲の争いの詳細は複雑であり,どちらでも使用可能な「揺れ」の状況がしばしば見られた.それぞれの守備範囲がある程度決定するまでに,長い混乱の時代があったのである.例えば,使役動詞 make の用法でいえば,能動態においては原形不定詞をとるが受動態では to 不定詞をとるというのも共時的には妙な現象にみえるが,2種類の不定詞の守備範囲争いの結果,偶然このようなちぐはぐな分布になってしまったということである.実際,古い英語では make の能動態でも原形不定詞と並んで to 不定詞も用いられていた.この辺りの事情については,「#970. Money makes the mare to go」 ([2011-12-23-1]),「#978. Money makes the mare to go (2)」 ([2011-12-31-1]),「#971. 「help + 原形不定詞」の起源」 ([2011-12-24-1]) などを参照されたい.

 ・ 中尾 俊夫・児馬 修(編著) 『歴史的にさぐる現代の英文法』 大修館,1990年.

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2015-12-14 Mon

#2422. 初期中英語における動名詞,現在分詞,不定詞の語尾の音韻形態的混同 [gerund][participle][infinitive][verb][inflection][suffix]

 古英語から中英語にかけて,名詞を作る接尾辞(後の動名詞語尾)-ing と現在分詞の接尾辞 -inde (or -ende or -ande) が,音韻形態的な融合と統語的な混交を経たことは,昨日の記事「#2421. 現在分詞と動名詞の協働的発達」 ([2015-12-13-1]) で解説したとおりである.結果的に,中英語以降,-ing という唯一の形態が動名詞および現在分詞の両機能を果たしていくことになった.
 しかし,初期中英語において,上記の -ing と -inde に加え,不定詞語尾 -en(ne) も音韻形態的な混乱に参与していたのではないかという議論がある.これらの語尾はいずれも弱い母音と弱い鼻音に特徴づけられ,現在分詞語尾 -inde から d の脱落する傾向があったと想定すれば (cf. 「#2121. 英語史における /t/ の挿入と脱落の例」 ([2015-02-16-1])) ,確かにすべてが /-ən/ ほどに収斂してしまった可能性がある.Mustanoja (569--70) は,これらの語尾の混乱極まる交替について,例を挙げながら述べている.

One has to take into consideration . . . certain phonological and morphological processes which seem to have brought about a confusion between the verbal noun, the present participle, and the infinitive. . . . [T]he present participle occasionally ends in -en instead of -end, as in he saȝ þe roke And þe brinfires stinken smoke (Gen. & Ex. 1164), probably also in þat heo heora wil-daȝes wælden weoren (Lawman A 1799), and the inflected infinitive may end in -ende, as in to flende (Lawman B, to fleonne, A) and suffraunce may aswagend hem (Patience 3; cf. also Purity 1291). In the North and N Midlands, in the 15th century even in the South, -ng may occur as -n (e.g., drynkyn for drynkyng, Norfolk Gilds). Cf. also unknowen for unknowyng (Deonise 5, MS Kk) and, conversely, I am moche beholdyng [for beholden] unto hym (Malory MD 86).
   While admitting that the examples here given are uneven with regard to their chronology and dialectal distribution, it is difficult to believe that this confusion of forms did not bring the noun in -ing into close connection with the present participle and the infinitive and thus promote its use as the gerund.


 始まりは音韻的な弱化という小さな衝撃だったのかもしれないが,それが形態的な融合を生み出し,種々の統語機能の乗り入れを誘発したというシナリオが受け入れられるのであれば,まさに語末母音の弱化が屈折の衰退を呼び,SVO語順への固定を引き起こしたという英語史上のダイナミックな変化に類似するもう1つの事例となる.言語変化においては,このように「一波動けば万波生ず」ことがある.
 だが,Mustanoja の挙げている例だけでは心許ない.上記の説を評価するには,混同や融合の例をもっと集める必要があるだろう.

 ・ Mustanoja, T. F. A Middle English Syntax. Helsinki: Société Néophilologique, 1960.

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2011-12-31 Sat

#978. Money makes the mare to go (2) [proverb][etymology][infinitive]

 [2011-12-23-1]の記事「#970. Money makes the mare to go.」で取り上げた諺について,調べてみた.OED でのこの諺(の変種)の初例は1659年のもので,そこでは the grey mare (葦毛の雌馬)が目的語となっている.

 1659 Howell Lex., Prov. 6/2 Money makes the grey Mare to go.


 the grey mare は慣用的に「かかあ天下」 (the wife who rules her husband) を意味し,それ自身が別の諺 the grey mare is the better horse (女房が夫を尻に敷く)の一部となっている.これは,「葦毛の馬が良馬」と言い張る妻の強引さに負けて,葦毛の雌馬を買わされた男の故事に基づく諺と言われる.こちらの諺の初例は,OED では16世紀のことである.
 さて,Simpson の英語諺辞典によると,Money . . . の variation としては,1500年より前から見られる.つまり,この諺の発想や教訓は,標題の形で文証されるよりもずっと早くから英語として知られていたことになる.

a a1500 in R. L. Greene Early English Carols (1935) 262 In the heyweyes ther joly palfreys Yt [money] makyght to . . praunce.  1573 J. SANFORDE Garden of Pleasure 105v Money makes the horsse to goe.  1670 J. RAY English Proverbs 122 It's money makes the mare to go.  1857 KINGSLEY Two Years Ago p. xvi. I'm making the mare go here . . without the money too, sometimes. I'm steward now.  1930 L. MEYNELL Mystery at Newton Ferry xiii. 'Tis money makes the mare go. . . They're all afteer it, every one of them.  1978' Countryman Spring 183 Weardale farmer's advice to daughter about to reject proposal of marriage from a wealthy tradesman: 'Never cock your snoop at money, my lass, 'cos it's money that makes the mare to go'.


 上記の例には原形不定詞が用いられている異形もみられるが,実は,現代でも主要な辞書では to がカッコに入れられている.
 mare の語源については,古英語では m(i)ere に遡り,これは mearh "horse" の女性形である.この古英語 mearh は同義の Gmc *marχjōn, IE *marko- へと遡る.もともと「馬丁」を意味していた marshal (司令官)もこの語根に由来する.

 ・ Simpson, J. A., ed. The Concise Oxford Dictionary of Proverbs. Oxford: OUP, 1982.

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2011-12-25 Sun

#972. 「help + 原形不定詞」の使役的意味 [grammaticalisation][auxiliary_verb][causative][infinitive][syntax]

 昨日の記事「#971. 「help + 原形不定詞」の起源」 ([2011-12-24-1]) の冒頭で触れたが,同構文が使役の意味を帯びてきているということについて考えたい.
 Leech et al. (190) は,次の例文を挙げて help の使役性を指摘している.

(19) He made important contributions to a number of periodicals such as Il Leonardo, Regno, La Voce, Lacerba and L'Anima which helped establish the respectability of anti-socialist, anti-liberal and ultra-nationalist ideas in pre-war Italy. [F-LOB J40]

(20) The right person may just happen to come along, or it may be necessary to take certain steps to help this happen. [BNC B3G]


 いずれの例においても,「助ける」という prototypical な意味というよりは「貢献する,可能とする」という使役に近い意味 ("weak causation") が認められる.その使役性の強さは,2つ目の例文でいえば "enable such a thing to happen" と "make such a thing happen" の中間的な強さではないかとも述べている (190) .
 Mair (121--26) は,help の使役的意味の発生を,文法化 (grammaticalisation) の過程として論じている.help が「助ける」という語彙的な意味を失い,より文法的な機能と呼んでしかるべき「使役」の意味を獲得しつつあること,あたかも助動詞であるかのように直後に原形不定詞を取る構文が増えてきていること.これらは,本動詞が助動詞化してゆく過程,広くいえば文法化の過程にほかならない.[2009-07-01-1]の記事「#64. 法助動詞の代用品が続々と」と合わせて考えたい問題である.

 ・ Leech, Geoffrey, Marianne Hundt, Christian Mair, and Nicholas Smith. Change in Contemporary English: A Grammatical Study. Cambridge: CUP, 2009.
 ・ Mair, Christian. Three Changing Patterns of Verb Complementation in Late Modern English: A Real-Time Study Based on Matching Text Corpora." English Language and Linguistics'' 6 (2002): 105--31.

Referrer (Inside): [2016-02-11-1]

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2011-12-24 Sat

#971. 「help + 原形不定詞」の起源 [causative][infinitive][syntax]

 昨日の記事「#970. Money makes the mare to go.」 ([2011-12-23-1]) で,使役動詞 make に後続する to 不定詞について調べたが,今日は現代英語で使役的な意味を帯び始めているといわれる help に不定詞が後続する構文を取り上げたい.
 「help + (目的語 +) 不定詞」の構文については,現代英語において不定詞の形態が to 不定詞から原形不定詞へ移行しつつあるとして,多くの関連研究がある.20世紀半ば以降,原形不定詞が増加していると言われるが,実のところ help と構造をなす原形不定詞の起源はかなり古くまで遡る.
 まず,OED を見てみよう."help", v. B.5. で,help が不定詞を後続させる構文について述べられている.目的語(不定詞の意味上の主語)を伴わない場合が 5.a.,伴う場合が 5.b. で扱われており,いずれも to 不定詞の使用が普通だが,原形不定詞の使用を示す最も早い例が16世紀に現われる.次のような注記があった.

In this and b the infinitive has normally to, which however from 16th c. is often omitted: this is now a common colloq. form.


 OED では中英語に原形不定詞の使用はなかったと明記しているわけではないが,それを示唆しているように読めそうだ.
 ところが,Mustanoja (532) によれば,中英語からの例は確かにある.

. . . the subject of the infinitive, originally a dative, is no doubt looked upon as an accusative in ME. The infinitive usually takes to, but not invariably: --- mine friende þe ic halp to sweriȝen (Vices & V 9); --- alle þat halpe hym to erie, to selle or to sowe (PPl. B vii 6); --- to helpe him to werreye (Ch. CT A Kn. 1484); --- Rymenhild help me winne (Horn 991); --- somme hulpen erie his half acre (PPl. B vi 118); --- I wol thee helpe hem carie (Ch. CT C Pard. 954). Chaucer has four cases of help with the plain infinitive and seventeen with the infinitive with to or for to. The two instances found in the Book of London English (non-literary prose of Chaucer's time) are followed by an infinitive with to (for to): --- Þe wheche dede paien diverse sommes of monye for to helpe to destruye Þe weres yn Tempse (151); --- [dyverse percelles paied] to ij wemen for her travayle yn helpynge to make clene Þe halle (174).


 ここで,MED に当たってみると,"helpen (v.)" 1. (b) の用例にも少数だが原形不定詞の例があった.
 今回は,この構文が中英語にまで遡ることまではわかった.近代以降の同構文の発達については,コーパスを用いた Mair の研究(特に pp. 121--26)が詳しい.

 ・ Mustanoja, T. F. A Middle English Syntax. Helsinki: Société Néophilologique, 1960.
 ・ Mair, Christian. Three Changing Patterns of Verb Complementation in Late Modern English: A Real-Time Study Based on Matching Text Corpora." English Language and Linguistics'' 6 (2002): 105--31.

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2011-12-23 Fri

#970. Money makes the mare to go. [proverb][causative][infinitive][syntax][alliteration]

 標記の文は,「お金は(しぶとい)雌馬をも歩かせる(=地獄のさたも金次第)」という諺である.m の頭韻が効いているほか,一見非文法的にみえる to があることにより強弱のリズム (trochee) が実現しており,韻律的には完璧な諺だ.
 現代標準英語の規範文法では,使役の maketo 不定詞が連なることは許されていないが,古い英語では可能だった.諺という固定表現において化石的に残存した珍しい例である.使役の maketo 不定詞が可能だったことは,現代英語でも受動態では He was made to wait for some time. のように to が「復活」することと関連する.かつては原形不定詞も to 不定詞もあり得た,しかしやがて前者が優勢となり,後者は受動態という限定された統語環境で生き残るのみとなった.これが,make における不定詞選択の歴史の概略である.
 中英語での make の不定詞選択について,Mustanoja (533) を参照しよう.

. . . both forms of the infinitive occur with this causative verb: --- heo makede him sunegen on hire (Ancr. 24); --- she maketh men mysdo many score tymes (PPl. B iii 122); --- þe veond hit makede me to don (Ancr. 136); --- alwey the nye slye Maketh the ferre leeve to be looth (Ch. CT A Mil. 3393). In the Book of London English 1384--1425, make is accompanied by the plain infinitive in three cases and by the infinitive with to in five.


 MED "māken (v. (1))" では,15. (b) が使役の make を扱っているが,多くの用例を眺めると,to 不定詞の使用も普通にみられる.OED では,"make", v.1 53.a. が to 不定詞との構造を,53.b. が原形不定詞との構造を記述している.いずれも中英語最初期から用例が見られる.
 関連する話題について一言.現代英語に起こっている統語変化に,helpto 不定詞でなく原形不定詞を伴う傾向が強まってきているという現象がある.だが,help でも受動態ではいまだに to 不定詞が優勢のようであり,これは make の不定詞選択の歴史と平行しているようにみえ,興味深い.

 ・ Mustanoja, T. F. A Middle English Syntax. Helsinki: Société Néophilologique, 1960.

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2009-12-04 Fri

#221. dinner も不定詞 [etymology][french][infinitive][doublet][loan_translation]

 昨日の記事[2009-12-03-1]では supper を取り上げ,フランス語の動詞の不定詞が名詞として英語に入ってきた経緯を述べた.そこで同じような例をいくつかリストアップしたが,今日は supper と意味的にも関連する dinner を取り上げたい.
 dinner はフランス語 dîner からの借用で,英語での初出は1300年頃である.フランス語 dîner は「正餐をとる」という動詞の不定詞であり,この形態では不定詞の名詞的用法により「正餐」という意味の名詞となる.英語へは,この形態と意味で借用された.一方,フランス語の不定詞から -(e)r を取り除いた形で dine も同じ頃に英語に入ってきた.こちらは「正餐をとる」という動詞である.一般に,フランス語の動詞はこのように不定詞語尾 -(e)r を取り除いた形で英語に入ってきており,dine はその典型例である.
 ちなみにフランス語では,「夕食」を dîner,「昼食・朝食」を déjeuner という.後者はそのままの形態と意味で英語にも18世紀に入っており,やはり「昼食・朝食をとる」という動詞の不定詞に由来する.そして,この二語は形態こそ違え,遡れば同じ語源に突き当たる二重語 ( doublet ) の関係にある.語源はラテン語の *disjējūnāre として再建されており,除去を表す接頭辞 dis- と「空っぽの」を意味する jējūnus からなる派生語である.原義は「空腹・断食を解く」であり,英語の breakfast はその翻訳借用 ( loan translation or calque ) ではないかとも言われている.

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2009-12-03 Thu

#220. supper は不定詞 [etymology][french][infinitive]

 soupsupper は語源的におおいに関係している,と聞くと驚くかもしれない.しかし,形態を比べると,さもありなんという気がしてくるのではないか.
 これらの語は遠く印欧祖語に遡り,seep 「しみ出る」,sip 「すする」,sop 「浸す」,soak 「浸す」,suck 「吸う」,sup 「すする」など,一連の「液体の浸出」を表す語と類縁関係がある.soupsupper はフランス語から英語に入ったが,英語での初例はそれぞれ1653年と1250年頃であり,時間差がある.しかし,フランス語では古くから sopesoper は名詞と動詞の関係であり,語源的・形態的な関係は一目瞭然だった.フランスの農夫たちのあいだでは夕食はスープが普通だったとされ,このコネクションにより「スープ」から「夕食」へと意味が発展したという.
 フランス語では,-(e)r 語尾は動詞の不定詞を表す.不定詞は辞書の見出しにもなり,その動詞を代表する形態であると同時に,英語の不定詞の名詞的用法でもわかるとおり,動詞を名詞化する働きをもつ.したがって,古フランス語の soper は「スープを飲むこと,夕食をとること」すなわち「夕食」を意味した.たとえて言えば,to eat 「食べること」という名詞的用法の不定詞が to 付きで日本語に借用され,「トゥイート」として「食事」を意味するようになったと想像すればよい.
 このように,-(e)r 語尾をもつフランス語の動詞の不定詞が名詞として英語に借用された他の例としては,cesser, detainer, dinner, merger, misnomer, remainder, surrender などがある.

Referrer (Inside): [2020-04-10-1] [2009-12-04-1]

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