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subjunctive - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-07-24 09:43

2010-04-07 Wed

#345. "mandative subjunctive" を取り得る語のリスト [subjunctive][mandative_subjunctive]

 "mandative subjunctive" の話題については本ブログでも[2010-03-19-1], [2010-03-18-1], [2009-08-17-1]などで何度か扱った.今後もこの問題に迫るかもしれないので,今回は,現代英語において後続する that 節の動詞に「仮定法現在」を要求しうる語をできる限り多くリストしたい.基本的には浦田先生の論文 (126--27) にある,Quirk et al. の諸例から整理された単語リストがベースになっているが,他の文献で触れられているものも追加した.いずれも仮定法を必ず要求する語ではなく,要求しうる語のリストとして理解されたい.

(1) verbs: advise, agree, allow, arrange, ask, beg, command, concede, decide, decree, demand, desire, determine, enjoin, entreat, insist, instruct, intend, move, ordain, order, pledge, pray, prefer, pronounce, propose, recommend, request, require, resolve, rule, stipulate, stress, suggest, urge, vote

(2) adjectives: advisable, appropriate, anxious, compulsory, crucial, desirable, eager, essential, expedient, fitting, imperative, important, impossible, improper, insistent, keen, necessary, obligatory, preferable, proper, urgent, vital, willing

(3) nouns: advice, agreement, arrangement, command, decision, decree, demand, desire, determination, entreaty, insistence, instruction, intention, motion, order, pledge, preference, proposal, recommendation, regulation, request, requirement, resolution, resolve, rule, ruling, stipulation, suggestion, urging, vote, wish

 (3) にはここに挙げているもののほかにも,一般に(1)(2)の語に対応する名詞形を加えてもよいかもしれない.

 ・ 浦田 和幸 「現代イギリス英語に於ける Mandative Subjunctive の用法」 『帝京大学文学部紀要 英語英文学・外国語外国文学』18号,1987年,123--36頁.
 ・ Quirk, Randolph, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, and Jan Svartvik. A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman, 1985.
 ・ Huddleston, Rodney and Geoffrey K. Pullum, eds. The Cambridge Grammar of the English Language. Cambridge: CUP, 2002. 999.
 ・ 綿貫 陽(改訂・著);宮川幸久, 須貝猛敏, 高松尚弘(共著) 『徹底例解ロイヤル英文法』 旺文社,2000年.458--59, 557--58頁.

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2010-03-19 Fri

#326. The subjunctive forms die hard. [subjunctive][drift][mandative_subjunctive]

 昨日の記事[2010-03-18-1]で,mandative subjunctive がアメリカ英語のみならずイギリス英語でも勢いを増してきていることに触れた.英語史の大きな流れからすると,屈折の種類は減少する方向へ推移し続けていくだろうと予想されるところだが,mandative subjunctive が拡大している状況を知ると,大きな流れのなかの小さな逆流を見ているかのようである.100年以上も前,Bradley は英語史の流れを意識して,次のような予測を立てていた.

The only formal trace of the old subjunctive still remaining, except the use of be and were, is the omission of the final s in the third person singular of verbs. And even this is rapidly dropping out of use, its only remaining function being to emphasize the uncertainty of a supposition. Perhaps in another generation the subjunctive forms will have ceased to exsit except in the single instance of were, which serves as a useful function, although we manage to dispense with a corresponding form in other verbs.


 約100年後の現在,Bradly の予測がみごとに外れたことがわかる.ではなぜ,しばしば drift と呼ばれる英語の屈折衰退の傾向に対して,逆行するかのような言語変化が起こっているのか.これは今後の研究課題であるが,英米差であるとか米から英への影響であるとか以外にも,考えるべきパラメータは多そうである.浦田和幸先生の論文を読んだが,そこから思いつく限りでも,以下のパラメータが関与している可能性がある.

 ・ that 節を従える動詞の語義(特に insist, suggest などは factive な語義と suasive な語義が区別されるべき)
 ・ that 節内の動詞が,be 動詞か一般動詞か(一般に be 動詞の頻度が高いといわれる)
 ・ 文が否定文かどうか
 ・ 文が疑問文かどうか
 ・ that 節内の benot で否定されている場合の,両者の統語的な前後関係
 ・ 話者の年齢
 ・ 語用の formality
 ・ that 節内の主語(動作主)の volition
 ・ that 節を従える動詞から派生した名詞とともに使われる mandative subjunctive の頻度

 ・ Bradley, Henry. The Making of English. New York: Dover, 2006. 95. New York: Macmillan, 1904.
 ・ 浦田 和幸 「現代イギリス英語に於ける Mandative Subjunctive の用法」 『帝京大学文学部紀要 英語英文学・外国語外国文学』18号,1987年,123--36頁.

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2010-03-18 Thu

#325. mandative subjunctiveshould [ame_bre][subjunctive][mandative_subjunctive]

 現代英語において,特定の動詞や形容詞と関連づけられた that 節内の動詞が接続法 ( subjunctive mood ) の屈折形態をとるという文法がある.学校文法で一般に仮定法現在 ( subjunctive present ) と呼ばれている現象である.特に,このような that 節内に現れるケースを mandative subjunctive と呼ぶ.
 この話題については[2009-08-17-1]で軽く触れた.またその使用頻度の英米差については[2010-03-08-1], [2010-03-05-1]で触れた.かいつまんでいえば,AmE ではいまなお接続法が一般的だが,BrE では代わりに should を用いることが多い.しかし,AmE の影響で BrE でも接続法の使用が増えてきている.
 学校文法では,AmE 型の mandative subjunctive は BrE 型の should の省略であると説明されることがある.

 AmE: I advised that John read more books.
 BrE: I advised that John should read more books.


 共時的には省略であるとする記述も可能なのかもしれないが,歴史的にはこの記述は不適当である.歴史的には,現代の AmE 型の subjunctive のほうが古い.古英語以来 Shakespeare の時代でも,mandative subjunctive は広く使われていた.この Shakespeare 時代の用法がそのままアメリカに渡り,AmE では現在まで変わらずに受け継がれているのである.一方,BrE では Shakespeare より後の時代に mandative subjunctive の用法が廃れ,当該の動詞形が不定詞形と再解釈されたうえで,直前に法助動詞 should が挿入されたのである.
 したがって,歴史的にみれば,AmE 型の mandative subjunctive の使用は should の省略などではまったくない.むしろ正反対で,BrE 型の should こそが後付の挿入なのである.[2010-03-08-1]でも触れたが,この例は AmE が保守的で BrE が革新的であるという,一見すると意外な例の一つである.
 こうした歴史的経緯を踏まえると,現在 BrE でも mandative subjunctive が復活しつつあるという状況が俄然おもしろく見えてくるだろう.

 ・ 児馬 修 『ファンダメンタル英語史』 ひつじ書房,1996年.60--65頁.

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2009-08-17 Mon

#112. フランス・ラテン借用語と仮定法現在 [subjunctive][loan_word][lexicology][syntax][lexical_diffusion]

 フランス語やラテン語からの借用語については,これまでの記事でも何度も触れてきた.現代英語の借用語彙全体に占めるフランス・ラテン借用語の割合は実に52%に及び[2009-08-15-1],とりわけ重要な語種であることは論をまたない.起源によって分かれる「語種」は,語彙論,意味論,形態論,音素配列論の観点から取りあげられることの多い話題だが,統語論との接点についてはあまり注目されていないように思う.今回は,フランス・ラテン借用語と仮定法(接続法) ( subjunctive mood ) の関連について考えてみる.
 現代英語には,特定の形容詞・動詞が,後続する that 節の動詞に仮定法現在形を要求する構文がある.

 ・It is important that he attend every day.
 ・I suggested that she not do that.

 このような構文では,that 節内の動詞は,仮定法現在(歴史的にいうところの接続法現在)の形態をとる.現代英語においては,事実上,仮定法現在形は原形と同じであり,be 動詞なら be となる.一般にこのような接続法構文はアメリカ英語でよく見られるといわれる.イギリス英語では,that 節内の動詞の直前に法助動詞 should が挿入されることが多いが,最近はアメリカ英語式に接続法の使用も多くなってきているようだ.また,イギリス英語では,口語では直説法の使用も多くなってきているという.
 いずれにしても,この特徴ある構文を支配しているのは,先行する特定の形容詞や動詞であり,その種類はおよそ網羅的に列挙できる.

 ・形容詞(話し手の要求・勧告や願望などの意図を間接的に示すもの)
  advisable, crucial, desirable, essential, expedient, imperative, important, necessary, urgent, vital

 ・形容詞(適切さを示すもの)
  appropriate, fitting, proper

 ・動詞(提案・要望・命令・決定などを示すもの)
  advise, agree, arrange, ask, command, demand, decide, desire, determine, insist, move, order, propose, recommend, request, require, suggest, urge

 そして,この閉じた語類のリストを眺めてみると,興味深いことに,赤で記した fitting (語源不詳)と ask (英語本来語)以外はいずれもフランス・ラテン借用語なのである.なぜこのように語種が偏っているのか,歴史的な説明がつけられるのか,調査してみないとわからないが,語種と統語論の関係についてはもっと注意が払われてしかるべきだろう.
 語彙拡散 ( Lexical Diffusion ) という理論でも,統語変化を含め,言語の変化は,語彙のレイヤーごとに順次ひろがってゆくことがわかってきている.現代英語の仮定法現在の構文を歴史的に研究することは,言語変化と語種の関係を考える上でも意義がありそうである.

 ・Gelderen, Elly van. A History of the English Language. Amsterdam, John Benjamins, 2006. 106.
 ・Bahtchevanova, Mariana. "Subjunctives in Middle English." SHEL 5 paper. 2005.

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