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metanalysis - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-04-26 08:56

2009-05-25 Mon

#27. 異分析の例を集めるにはどうすればよいか? [metanalysis][methodology]

 研究や調査を行うとき,どうしたら効率よく例を集めることができるかを徹底的に考えることは重要である.以前 異分析 ( metanalysis ) について書いた記事[2009-05-03-1]で,いろいろな異分析の例を収集したいと書いたが,具体的にはどのような調べ方をすればいいだろうか.
 例えば,思いついた限りでは,次のような方法がありそうだ.

 (1) 複数の英語史概説書や英語学辞典などから異分析についての解説箇所を探しだし,挙げられている例を丹念に拾い出す
 (2) 電子検索が可能な大型辞書で,語源欄を対象に "metanalysis" のキーワード検索をかける.異分析によって生じた単語の語源欄には,"metanalysis" というキーワードが含まれているという前提である.気合いさえあれば,紙の辞書でひたすら人力スキャンという手もあるが,あまりやりたくない.
 (3) ずばり異分析について書かれた学術論文を探す.いい論文が見つかれば,準網羅的に,かなり多数の例がリスト化されているだろう.効率が良すぎて,他にやることはないかも(ということはないと思うが).
 (4) hellog の読者に個々に知っている例を挙げてもらい,集約する."wisdom of crowds" 的な発想.

 さて,これらの手段で例が集まったと仮定しよう.次は何をすべきだろうか.集めるだけでは研究にならないので,次の一歩が必要である.多数の例を分析して,どんな種類の異分析が多いのか,どの時代に多いのか,日本語や他言語からの例も集めて比較できないかなど,問題は広がるはずである.興味を持った人は是非トライしてみて,hellogにフィードバックを!

Referrer (Inside): [2014-11-11-1]

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2009-05-03 Sun

#4. 最近は日本でも英語風の単語や発音が普及している? [japanese_english][metanalysis][article]

 先日,ドラッグストアの店頭の売り出しで「トイレットティシュー」や「エイプロン」という表記があった.私の日本語では「トイレットペーパー」と「エプロン」が通常である.前者は英語では確かに toilet tissue が普通であるし,後者の英語発音は確かに/ˈeɪprən/だ.

toilet tissue and apron

 これは,この店の担当者が英語を意識してカタカナ書きしたという個人的なことなのか,あるいは日本語に一般的に普及しつつあることなのか.読者の方,この表現をカタカナ語として普通に見かけたことはありますか?(まあ,写真の商品には確かに toilet tissue とある.)
 さて, apron といえば,英語史入門ではおなじみの単語である. 異分析 ( metanalysis )の代表例として必ず出される例である.異分析とは,語と語の区切りなどを誤って分析してしまい,結果として間違いに基づいた新単語が生み出されるような現象である.
  apron は語源的には本来 napron だが,不定冠詞をつけた a napron が誤って an apron と異分析されてしまった結果, apron が正しい語形として定着してしまったというのである.
 他の代表例としては, nickname (本来は ickname で"ick"「またの」+"name"「名」)や orange (cf. スペイン語の naranja )がある.他に, pea は本来 peas(e) だったが,s(e)が語幹の一部ではなく複数形のsと誤って解釈された結果,sのない形が正規形として定着したものである.
 ほとんどの英語史入門書で異分析には同じ例しか挙げられていないことを不満に思っている.これでは新しさがないので,いずれマイナーな例を含め,収集してみたいと思っている.
 読者の方も一緒に例を集めてみてください.そして,是非,hellog に貢献してください.

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