言語変化について様々に論じてきたが,言語変化を考察する上での諸々の切り口,研究する上で勘案すべき種々のパラメータを整理してみたい.言語にとって変化が本質的であるならば,言語変化研究こそが言語研究の革新ともいえるはずである.
以下に言語変化の切り口を,本ブログ内へのリンクを張りつつ,10項目立てで整理した.マインドマップ風にまとめた画像,PDF,あるいはノードを開閉できるFLASHもどうぞ.記事末尾の書誌は,最も重要な3点のみに限った.以前の同様の試みとして,「#729. 言語変化のマインドマップ」 ([2011-04-26-1]) も参照.
1. 変化は言語の本質
言語変化の逆説
ソシュールの2分法
共時態
静的な体系
通時態
動的な混沌
共時態と通時態の接点
変異
変化
2. 変異は変化の種
変異から変化へ
変異(変化の潜在的資源)
変化(変化の履行=変異の採用)
拡散(変化の伝播)
A → B の変化は
A (100%)
A (80%) vs B (20%)
A (50%) vs B (50%)
A (20%) vs B (80%)
B (100%)
変異の源
言語内
体系的調整
言語外
言語接触
3. いつ?
時間幅
言語の起源
言語の進化
先史時代
比較言語学
歴史時代
世代間
子供基盤仮説
話者の一生
一瞬の流行
スケジュール
S字曲線
語彙拡散
分極の仮説
右上がり直線
定率仮説
突如として
青年文法学派
速度
変化の予測
4. どこで?
範囲
言語圏
言語
方言
地域方言
社会方言
位相
個人語
伝播
波状理論
方言周圏論
飛び石理論
ネットワーク理論
5. 誰が?
変化の主体
言語が変化する?
話し手が言語を刷新させる
聞き手が言語を刷新させる
「見えざる手」
個人
変化の採用
「弱い絆」の人
6. 何?
真の言語変化か?
成就しなかった変化
みかけの変化
どの部門の変化?
意味
文法
語彙
音韻
書記
語用,言語習慣,etc.
証拠の問題
インフォーマント
現存する資料
斉一論の原則
記述は理論に依存
7. どのように?
理論・領域
形式主義
構造主義言語学
生成文法
普遍文法
最適性理論
機能主義
認知言語学
使用基盤モデル
文法化
語用論
余剰性,頻度,費用
社会言語学
コード
言語接触
地理言語学
波状理論
言語相対論
比較言語学
再建
系統樹モデル
類型論
含意尺度
体系への影響
単発
他の言語項にも影響
大きな潮流の一端
8. なぜ?
問いのレベル
変化の合理性
一般的な変化
歴史上の個別の変化
不変化がデフォルト?
なぜ変化する?
変化を促進する要因
なぜ変化しない?
変化を阻止する要因
目的論
変化の方向性
偏流
変化の評価
要因
言語内的
およそ無意識的
調音の簡略化
同化
聴解の明確化
異化
対称性の確保
効率性と透明性の確保
およそ意識的
綴字発音
過剰修正
類推
異分析
言語外的
言語接触
干渉
借用
2言語使用
混合
ピジン語
クレオール語
基層言語仮説
言語交替
言語の死
歴史・社会
新メディアの発明
語彙における指示対象の変化
文明の発達と従属文の発達?
言語の評価
標準化
規範主義
純粋主義
監視機能
言語権
複合的原因
Samuels の言語変化モデル
9. Weinreich et al. の切り口
制約
移行
埋め込み
評価
作動
10. まとめ
変異は変化の種
複合的原因
話し手が言語を刷新させる
・ Samuels, M. L.
Linguistic Evolution with Special Reference to English. London: CUP, 1972.
・ Smith, Jeremy J.
An Historical Study of English: Function, Form and Change. London: Routledge, 1996.
・ Weinreich, Uriel, William Labov, and Marvin I. Herzog. "Empirical Foundations for a Theory of Language Change."
Directions for Historical Linguistics. Ed. W. P. Lehmann and Yakov Malkiel. U of Texas P, 1968. 95--188.
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