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review - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2026-05-19 06:36

2026-05-15 Fri

#6227. World Englishes の新書が登場 --- 寺澤盾(著)『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉 [world_englishes][notice][heldio][review][nazesantangen]


『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』



 「#6211. 寺澤盾先生が PIVOT TALK に出演して【世界の英語と日本人】をお話しされています」 ([2026-04-29-1]) で少し触れましたが,英語史界隈で待望の新書が上梓されました.英語史研究者の寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)による『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉です.3月25日に刊行されました.
 本書は,『英語の歴史:過去から未来への物語』(2008年),『英単語の世界 --- 多義語と意味変化から見る』(2016年)に次ぐ,寺澤先生の新書3部作の3冊目となります.
 本書の最大の特徴は,タイトルに「歴史」や「英語史」という言葉こそ冠していませんが,その実体はきわめて濃密な(特に近現代の)英語史の本である,という点にあります.17世紀以降の大英帝国の拡大とともに,英語がどのように世界へ拡散し,各地の土着の言語と接触しながら変容を遂げてきたのでしょうか.その動的なプロセスを「5大陸」という壮大なスケールで描き出したのが本書です.「世界英語」 (world_englishes) をめぐる議論の現在地を把握するための決定版といえます.
 寺澤先生は本書の中で,英語を単なる言語の枠組みに閉じ込めていません.むしろ,英語を軸とした優れた「社会科の本」になっているものと,私は読みました.世界各地の英語を論じることは,その地域の歴史,地理,政治,そして文化そのものを論じることにほかなりません.世界史的な大事件がどのように言語に刻印されているのか,あるいは地理的な条件がいかに変種間の差異を生み出してきたのか.本書を読み進めることは,英語というフィルターを通して,複雑な現代世界を読み解くようなものです.
 構成の妙も見逃せません.全編を通して,専門的な知見に基づきながらも,一般の読者が興味を持ち続けられるようなエピソードが随所に散りばめられています.写真,グラフ,表,地図などの図版も豊富で,コラムや「豆知識」コーナーも工夫が凝らされています.本文に続く付きものとしては,文献案内,世界英語対照年表,用語解説,人名・作品名・事項索引,語句索引などが丁寧に編集されています.学術的な厳密さを一切妥協することなく,それでいて新書というフォーマットにふさわしい,語りかけるような平易な文体や構成で作られていることに驚嘆せざるを得ません.
 本書は日本における英語のあり方についても鋭い示唆を与えてくれます.「世界の英語」を知ることは,私たちの多くが学んできた「標準英語」という概念がいかに限定的なものであるかを気づかせてくれます.多様な Englishes の存在を認めることは,英語学習において完璧主義に陥りがちな日本人英語学習者にとって,ある種の救いになるのではないでしょうか.多層的な歴史背景を持つ各国の英語の姿を鏡として,ひるがえって,日本人がいかに英語と向き合い,共生していくべきかという未来志向の問いが,本書の底流には流れています.
 私個人としても,本ブログでご案内している通り,来たる6月10日に初めての新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』を上梓します.寺澤先生が長年培ってこられた「英語史×新書」の熟練には遠く及びませんが,身が引き締まる次第です.寺澤先生の三部作を並べて読むことで,英語史という学問が持つ懐の深さと,現代社会におけるその意義を存分に味わうことができるはずです.英語に関わるすべての人に読んでもらいたい3冊です.
 新刊書『世界の英語』については,先日 Voicy heldio にて「#1805. 寺澤盾(著)『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉」としても取り上げました.本記事よりも詳細にご紹介していますので,そちらも合わせてお聴きいただければと思います.



 ・ 寺澤 盾 『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』 中央公論新社〈中公新書〉,2026年.

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2026-05-09 Sat

#6221. 医学専門家と『医学英単語ハンドブック』(研究社,2026年)について対談しました [heldio][helwa][review][notice][kenkyusha][etymology][vocabulary][latin][greek][lexicology][scientific_english][word_formation][combining_form][etymology][grimms_law]


野中 泉(編著)・森田 勝之(編著)・木下 晃吉(監修) 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』 研究社,2026年.



 上掲書については,hellog でも「#6209. 4月23日,研究社から英語語源本が2冊 --- 『コンパスローズ英単語〈新装版〉』と『医学英単語ハンドブック』」 ([2026-04-27-1]) で紹介しました.そこで少し触れていたように,その後,この本をめぐって,医学専門家で heldio/helwa のコアリスナーの「無職さん」こと,佐久間泰司さんと対談する機会を得ました.そちらの音源を heldio 対談として公開していますので,「#1800. 『医学英単語ハンドブック』(研究社,2026年)を片手に「無職さん」と対談」をお聴きください(53分ほどの対談です).



 対談では,専門家である無職さんの視点から,本書の画期的な特徴について多角的に語っていただきました.まず驚かされたのは,従来の医学ラテン語の教本は,格変化などの文法事項から入るものが多く,専門外の学生にはきわめてハードルが高かったという実態です.それに対して本書は,語源 (etymology) と連結形 (combining_form) に特化しており,理系人間にとって非常に馴染みやすく,とっつきやすい構成になっているとのことです.
 医学用語の世界では,解剖学用語はラテン語,疾患名はギリシア語が主流であるという興味深い住み分けについても議論が及びました.無職さんによれば,解剖学用語は国際的にラテン語で統一されている一方,ルネサンス期以降に発達した疾患名などにはギリシア語由来の語彙が流入したという背景があるようです.私のような英語史研究者の視点からは,これらが近代英語期以降の科学語彙の爆発的な増加とどのように関わっているのかという点が最大の関心事となりますが,従来の医学の現場では,これらを単なる記号として「丸暗記」してきたという実情も浮き彫りになりました.
 本書の魅力の一つとして,ギリシア神話に絡めたコラムの充実が挙げられます .例えば眠りの神 Hypnoshypnosis(催眠)の関係など,神話という人間臭い物語から説き起こされる語源解説は,私のような文系人間にとっても読み物としておもしろいものです.無職さんも,こうしたコラムがあることで本を開く心理的障壁が下がり,学習の継続につながると太鼓判を押してくれました.
 一方で,専門家の立場からの要望として,発音記号やアクセント表示の有無,あるいは dent-tooth のような一般語と専門語の結びつきを説明してくれる「グリムの法則」 (grimms_law) の解説があればさらに有意義だったのではないか,といった贅沢なツッコミも飛び出しました.しかし,全体としては,無数の医学用語を要素の足し算で効率よく学べる,これまでにない体系的なハンドブックに仕上がっているという評価で一致しました.
 医学英語はもちろん,科学英語 (scientific_english) や語形成 (word_formation) に興味のある方はもちろん,英語史の観点から語彙の国際性を考えてみたい方にとっても,本書は示唆に富む一冊です.医学関係者ならずとも,ぜひ手に取って,その重厚な語源の世界に触れてみてください.
 また,佐久間さんご自身による関連する note 記事「『語源で学ぶ医学英単語ハンドブック』に見る,医学英語教育の新たな地平」も公開されています.そちらもぜひお読みください.

 ・ 野中 泉(編著)・森田 勝之(編著)・木下 晃吉(監修) 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』 研究社,2026年.

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2026-05-06 Wed

#6218. イラスト入りスコットランド史の本 [scotland][history][scottish_history][review][toc][timeline]


Mackay, James, ed. ''Pocket Scottish History: Story of a Nation''. Broxburn: Lomond, 2024.



 何度目かのスコットランド滞在中で,改めてスコットランドの歴史を振り返っておきたいと思っていた.アバディーンの書店にふらっと立ち寄り,スコットランド関連の棚に平積みされていたのが,こちらの本である.
 比較的新しいスコットランド史の本で,2019年に出版されたものの2024年版を,売り出し中の£7.99で購入した.ポケットサイズ(とはいえ,イギリス流の「ポケットサイズ」なので,全352ページと重厚でポケットには入らない)で読みやすく,何よりも200以上のイラストが含まれているというのに惹かれた.本を開いてみると,予想以上にイラスト,地図,写真などの図版が豊富だ.現代のスコットランドの風景写真も多く含まれているので.絵はがきや写真集を買うよりも良いのではないかと思われるほどだ.
 原則として1節が見開き2ページと短く,すいすい読み進めることができた.時代的には中石器時代から2023年の政治状況までをカバーしている.本文のほかには,用語集,推薦図書,索引が付いている.年表が付されていないのが残念だが,節立てが細かいので目次がそのまま略年表となっていると理解することもできるだろう.以下,目次を掲載する.



Introduction

Mesolithic Hunters and Fishermen
Neolithic Farmers
Stone Circles and Alignments
Beaker People
The Bronze Age
Iron Age
Celtic Migrations
Crannogs
Brochs
Duns, Souterrains and Wheelhouses
Roman Period, AD 80--401
Mons Graupius
Occupation of Southern Scotland to AD 105
The Antonine Wall
Campaigns of Septimius Severus
Final Roman Campaigns in Scotland
The Coming of Christianity, 397--664
Patrick and Columba
St Kentigern
Missionary Activity
The Synod of Whitby
The Peoples of Scotland
The Britons of Strathclyde
The Scots of Dalriada
The Angles of Bernicia
Nechtansmere, 685
Norse Invasions
Kenneth MacAlpin
The Emergence of Scotland, 844--1034
The Battle of Brunanburh, 934
Carham
The Conquest of Lothian, 1018--34
Development of English Influence
Macbeth, 1040--57
Malcolm III Canmore, 1057--93
Queen Margaret
English Clergy and Court
Anglicisation of the Scottish Church
Anglicisation of the Administrative System
Introduction of the Feudal System
David I, 1124--53
The Battle of the Standard, 1138
Malcolm the Maiden, 1153--65
The Treaty of Falaise, 1174
William the Lion, 1165--1214
Alexander II, 1214--49
Alexander III, 1249--86
The Battle of Largs, 1263
The Maid of Norway
Competition for the Throne
Claims of English Overlordship
John Balliol, 1292--96
William Wallace
Robert Bruce, 1306--29
Bannockburn, 1314
Declaration of Arbroath, 1320
Treaty of Northampton, 1328
David II, 1329--71
Halidon Hill, 1333
David II in France, 1334--41
The Auld Alliance
Neville's Cross, 1346
The Release of David II
Robert II, 1371--90
Robert III, 1390--1406
Albany, Rothesay and the Regency
Robert, Duke of Albany, 1406--20
St Andrews University
A Parliamentary System Established
James I, 1437--60
James II, 1460--88
Sauchieburn, 1488
James IV, 1488--1513
The Union of the Thistle and the Rose, 1503
Flodden, 1513
James V, 1513--42
Mary, Queen of Scots
Mary in France, 1548--61
The Regency of the Queen Mother
The Reformation
Mary's Personal Rule, 1561--67
The Murders of Riccio and Darnley
Bothwell
Lochleven and Langside
Mary in England, 1568--87
James VI and I
The Ruthven Raid, 1582
James and Elizabeth
James and Spain
Religious Unrest, 1584--96
Further Plots and Conspiracies, 1587--1600
Union of the Crowns, 1603
Victory over the Church
Laud's Liturgy
The National Covenant, 1638
The Bishops' Wars, 1639--41
The Solemn League and Covenant, 1642
The Scots in the English Civil War
Agreement between the Scots and Charles I
Preston, 1648
Charles II Lands in Scotland
Dunbar, 1650
Scotland Under Military Occupation, 1651--60
The Restoration
Drumclog and Bothwell Bridge, 1679
The Killing Time, 1680--88
James VII and II, 1685--88
Killiecrankie and Dunkeld, 1689
The Religious Settlement, 1690
The Massacre at Glencoe, 1692
The Darien Scheme, 1698--1700
Proposals for Union, 1702--03
Act of Union, 1707
Rise of Jacobitism, 1708
Hanoverian Accession: George I, 1714--27
The Jacobite Rebellions of 1715
Wade's Military Roads
The Highland Forts
The Black Watch
George II, 1727--60
The Porteous Riots, 1736
Bonnie Prince Charlie
Falkirk and Culloden, 1745--46
Aftermath of Rebellion
The Destruction of the Clan System
The Highland Regiments
Industrial Progress
Agricultural Improvements
Social Changes
Henry Dundas, 1775--1801
The Friends of the People
The Downfall of Dundas
The Age of Enlightenment
The Highland Clearances
The Industrial Revolution
The Radical War, 1819--20
Burgh and Parliamentary Reform
Chartism in Scotland
The Great Disruption, 1843
Religious Division
The Development of Heavy Engineering, 1840--1900
Shipbuilding
Tourism
The Crofters' Commission, 1886
Emigration and Immigration
Changes in Local and Central Government
The Birth of Socialism, 1890--1914
Edwardian Scotland
The First World War, 1914--18
Red Clydeside
Postwar Depression
The Rise of Scottish Nationalism
The Local Government Act, 1929
Special Areas
The Second World War
The New Towns
The Scottish Economy
Local Government Acts 1973 and 1994
Resurgence of Nationalism
The Thatcher and Major Years
Devolution and the Scottish Parliament
The Independence Referendum and the Future

Glossary
Recommended Reading
Picture Credits & Acknowledgments
Index




 ・ Mackay, James, ed. Pocket Scottish History: Story of a Nation. Broxburn: Lomond, 2024.

Referrer (Inside): [2026-05-08-1]

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2026-04-27 Mon

#6209. 4月23日,研究社から英語語源本が2冊 --- 『コンパスローズ英単語〈新装版〉』と『医学英単語ハンドブック』 [notice][kenkyusha][review][hee][etymology][vocabulary][latin][greek][renaissance][heldio][combining_form][word_formation][lexicology][scientific_english][neologism]

 4月23日に,研究社より英単語の語源に関する書籍が同時に2冊発売されました.研究社からは,昨年6月に,いまもご好評いただいている『英語語源ハンドブック』が出ていますので,この1年の間に3冊も「英語語源本」が上梓されたことになります.英語語源が活況を呈しているといってよいでしょう.
 新しく刊行されたのは次の2冊です.いずれも公式ページから「試し読み」できます.

 ・ 『語根で覚える コンパスローズ英単語〈新装版〉』(試し読みあり)
 ・ 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』(試し読みあり)

 以下,各々について簡単にご紹介します.


『語根で覚える コンパスローズ英単語〈新装版〉』



 まずは池田和夫氏による『語根で覚えるコンパスローズ英単語〈新装版〉』です.本書は2019年に刊行され好評を博した旧版の装いを新たにしたもので,その名の通り「語根」にフォーカスした単語集です.ベースとなっているのは同社の『コンパスローズ英和辞典』の語源コラムですが,本書ではそこに200以上の項目が大幅に加筆されており,計300の「(最)重要語根」が網羅されています.
 特筆すべきは,語彙学習における語源の実用性を数値で示している点です.1001語レベル以上の単語の7割以上は語源知識が役立つとされており,とりわけ中上級者にとってのボキャビルには語根学習が極めて有効であることが強調されています.音声ダウンロードサービスや,お馴染みの「赤シート」も完備されており,受験対策から一般の学び直しまで幅広く対応する,まさに語源学習の完成版といえる一冊です.


野中 泉(編著)・森田 勝之(編著)・木下 晃吉(監修) 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』 研究社,2026年.



 続いて,木下晃吉氏(監修),野中泉氏・森田勝之氏(編著)による『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』です.一見すると専門的な医学徒向けの書に見えますが,英語史の観点からも興味深い一冊です.医学英単語は,ルネサンス期以降に大量に流入してきたラテン語・ギリシア語の要素の宝庫であり,いわば「連結形」 (combining_form) の見本市のような世界だからです.
 本書の構成は言語学の観点からも医学の観点からも論理的です.「接頭辞+語根+接尾辞」というパーツ分解の解説に始まり,後半では「Body System 別」(脳神経,呼吸器など)」に語彙が整理されています.専門用語が多用される実用的で長めの例文も付されており,音声ダウンロードを活用することで,難解な合成語のアクセントも効率的に習得できるよう工夫されています.付録の「処方箋用語」などは,医学の門外漢の私にとっては,新鮮な切り口でした.また,編著者の目線に立ち,医学語彙を導入する複数の切り口を,本のなかにいかに配置していくかという問題について考えてみたのも,おもしろい体験となりました.医学については何も分からない私ですが,情報量の多い,密度の高い医学英単語ハンドブックであることは確認できました.

 以上,2冊を簡単にご紹介しました.4月24日には,heldio でも「#1790. 研究社より2冊の英語語源本が出ました --- 『コンパスローズ英単語〈新装版〉』と『語源で学ぶ医学英単語ハンドブック』」と題する配信回でお話ししていますので,そちらも合わせてお聴きいただければ幸いです.また,とりわけ『医学英単語ハンドブック』については,近々に本書をめぐる対談も heldio 配信を予定していますので,ぜひご期待ください.
 そして,『英語語源ハンドブック』もお忘れなく!

 ・ 池田 和夫 『語根で覚える コンパスローズ英単語〈新装版〉』 研究社,2026年.
 ・ 野中 泉(編著)・森田 勝之(編著)・木下 晃吉(監修) 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』 研究社,2026年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

Referrer (Inside): [2026-05-09-1]

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2026-04-12 Sun

#6194. 『英語史新聞』第13号が公開されました [hel_herald][notice][khelf][hel_education][link][helkatsu][review][helquiz][interview][plural][bible]

『英語史新聞』第13号



 4月6日(月),khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』シリーズの最新号となる第13号がウェブ上で公開されました.前号から約9ヶ月ぶりとなる最新号です.こちらよりPDF形式で自由に閲覧・ダウンロードいただけます.
 新年度の開始とともに届けられたこの最新号を制作してくれた執筆陣,編集陣の khelf メンバーには,心から感謝します.
 今号も読み応えのある4面構成です.各面のハイライトを紹介していきましょう.
 第1面は,hellog でも推しに推している市河三喜・松浪有による名著『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を紹介する巻頭記事です.昭和の「オヤジみ」を感じさせつつも,現代の至れり尽くせりな参考書とは一線を画す,おおらかな語学学習のあり方を提案する書でもあります.文法事項の丸暗記に走るのではなく,まずは概略をつかんでからテキストに飛び込むという姿勢は,古英語・中英語を学び始めようとする読者にとって,力強いエールとなるはずです.
 第2面では,身近な不規則変化名詞 foot --- feet の謎に迫ります.なぜ語幹の母音が変化するのか.その背景には,ゲルマン祖語にまで遡る i-mutation という規則的な音韻変化が潜んでいます.一見すると「不規則」に思える現象が,歴史的に紐解けばきわめて「規則的」であったことがわかるという,英語史の醍醐味を味わえる記事です.同面のもう1つの記事は聖書の翻訳比較を取り上げており,翻訳者の意図や時代の潮流が言葉選びにどう反映されるかが考察されています.
 第3面は,恒例のインタビューコーナー「英語史ラウンジ」です.今回は,法政大学の福元広二先生に,khelf メンバーがお話しを伺っています.中学時代の恩師との出会いから,ケンブリッジ大学やマンチェスター大学での在外研究のエピソード,そして初期近代英語における文法化や歴史語用論の研究に至るまでの歩みが詳しく語られています.英語史研究者がどのような問題意識をもって英語と向き合っているのかを知る貴重な機会となります.本インタビュー記事についてはウェブ版もありますので,そちらからもお読みになれます.
 第4面には,英語史の始まりを問うクイズの解説と解答の記事が掲載されています.クイズですのでここでは詳細は述べませんが,英語史上の重要な年代が複数挙げられており,それぞれに象徴される出来事が紹介されています.
 今号も,khelf メンバーの「英語史の魅力を伝えたい」という熱意が随所に感じられる仕上がりとなっています.春の新生活の合間に,ぜひじっくりと紙面をめくってみてください.
 最後になりますが,学校・大学の授業等で『英語史新聞』を活用される場合は,使用実績把握のため,こちらのフォームよりご一報いただけますと幸いです.「英語史をお茶の間に」を合言葉とする私たち khelf の活動(hel活)への励みとなりますので,よろしくお願い致します..
 『英語史新聞』のバックナンバーも khelf 公式サイト内のこちらのページにて公開されています.第1号から第12号まで,あわせてお楽しみください.

 ・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
 ・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
 ・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
 ・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
 ・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
 ・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
 ・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
 ・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
 ・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
 ・ 『英語史新聞』第8号(2024年3月4日)
 ・ 『英語史新聞』第9号(2024年5月12日)
 ・ 『英語史新聞』第10号(2024年9月8日)
 ・ 『英語史新聞』号外第3号(2024年9月8日)
 ・ 『英語史新聞』第11号(2024年12月30日)
 ・ 『英語史新聞』第12号(2025年7月7日)

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2026-03-04 Wed

#6155. 「英語史の塔」の4冊と英語史の始め方 [tower_of_hel][hel_education][review][kochushoho][hee][kdee][hajimetenoeigoshi][kenkyusha][helkatsu]

 「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1]) にて「英語史の塔」 (tower_of_hel) が建った経緯について触れました.一見すると,研究社から出版されている英語史関連の既刊書・新刊書を積み上げただけの写真と思われたかもしれません.しかし,あの4冊の並びを眺めてみると,そこには英語史という分野に迫る上で,実に合理的な構造が隠されていることに気づきます.今回の記事では,その構造について解き明かしてみたいと思います.
 英語史という広大な領域に足を踏み入れる際,その入口は決して一つではありません.学習者の関心や動機に応じて,大きく分けて2つのルートが存在します.
 第1のルートは「全体から入る」アプローチです.このアプローチの土台となるのが,2016年に出版された拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』です.本書では,英語史通史は第1章でさらっと概観するにとどめ,残りはトピック別に,すなわち音韻・綴字史,文法史,語彙史,英語社会史といった分野別の歴史を通じて,英語史的な「ものの見方」というレンズを提示することに主眼を置いています.目の前の英語を正誤で裁くのではなく,変化の結果として捉える思考のフレームワークを構築するための1冊と言えます.
 第2のルートは「単語から入る」アプローチです.これに適しているのが,昨年6月に刊行された『英語語源ハンドブック』です.身近な語の語源にまつわるエピソードは,それ自体が独立しておもしろく,どこからでも読み始めることができます.1語1語の背景にあるドラマに触れるうちに,英語という言語がいかに多様な歴史を背負っているかを肌身で実感することになります.単語間の横のつながりにも気づく機会が多いでしょう
 しかし,これら入口の本だけでは,まだ「塔」の全貌は見えてきません.そこからさらに一歩踏み込むための深化のプロセスが必要です.
 英語史の全体像,英語史の見方という骨格を習得した学習者が次に進むべきは,体験としての英語史です.そこで力を発揮するのがこの2月25日に刊行された『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』です.概説を通じて得た知識を,実際の古英語や中英語の原文にぶつけてみる.音や形を自らの目で確かめる作業を通じて,歴史は抽象的な知識から,確かな手応えを伴う身体的な経験へと昇華されます.
 一方で,単語と語源のおもしろさに目覚めた学習者が,その探究を縦に掘り下げたいと思ったときに必須となるのが,『英語語源辞典』新装版(2024年)です.『英語語源ハンドブック』で得た興味を,借用経路や形態変化の詳細,精緻な語形成の分析へとつなげていく.1語1語の背後に潜む数百年の時間を徹底的に掘り下げるこの作業は,まさに学問的な醍醐味に溢れています.
 これら4冊の関係を整理すると,以下のようになります.

 ・ 全体ルート:思考のレンズを得る(『はじめての英語史』) → 原文で身体化する(『古英語・中英語初歩』)
 ・ 単語ルート:語源のおもしろさを知る(『英語語源ハンドブック』) → 1語1語を徹底的に深掘りする(『英語語源辞典』)

 興味深いのは,どちらのルートから登り始めても,結局はもう一方のルートと交差する点にあります.単語を深く追えば必ず言語全体の歴史的背景に行き着きますし,全体を学べば必ず具体的な語の変化という事実に立ち返ることになります.英語史の学びは,平面的な移動ではなく,螺旋状に上昇していく循環構造です.本当に「塔」らしく見えてきたのではないでしょうか.
 前回の記事で紹介した写真は,まさにこの立体的な学びの構造を可視化したものと捉えることができます.土台があり,横の広がりがあり,縦の高さと深さがある.これらが組み合わさって初めて,「英語史の塔」は安定して自立します.
 どこからこの塔を登り始めるかは,読者の皆さん次第です.以下にまとめます.

 1. まず英語史の全体像を俯瞰したいなら『はじめての英語史』から
 2. 単語の語源や語彙のつながりに惹かれるなら『英語語源ハンドブック』から
 3. 過去の英語の響きを直接聴きたいなら『古英語・中英語初歩』へ
 4. 単語の語源を本格的に深掘りしたいなら『英語語源辞典』へ

 英語史の入門者であれば1か2をお薦めしますが,すでに学びを始めている方は,心の赴くままにどこから始めても構いません.これら4冊は互いに補完し合い,行き来することで皆さんの「英語史」をより立体的なものにしてくれるはずです.

 私は「英語史をお茶の間に」をモットーとしています.専門性の追求と親しみやすさは,決して矛盾するものではありません.「英語史の塔」の4冊は,その理想を具現化する1つの形です.塔は眺めるための飾りではなく,より遠く,より深くを見渡すための場所です.ぜひ,ご自身に合った登り方を見つけ,英語という言語の新しい景色を楽しんでいただければと思います.
 全4冊へのアクセスは,研究社公式のこちらのHPが便利です.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

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2026-02-28 Sat

#6151. The Oxford Guide to Etymology --- 英語語源学に入門したい方へお薦めする1冊 [etymology][hel_education][review][kdee][hee]

 おかげさまで『英語語源ハンドブック』『英語語源辞典』の認知度が高まってきている.語源というものは,何語であっても,人を引きつけるものである.人は言葉を道具として使いこなせるばかりか,その道具について知りたい,語りたい生き物だからだ.
 しかし,辞典やハンドブックにみられる記述は,当然のことながら,最初から知られていたわけでもないし,記されていたわけでもない.語源の専門家が調査して初めて得られた知識が,たいていの場合にコンパクトに提示されているということである.言い方をかえれば,語源的知識は「所与」のものではない.所与のように見えるかもしれないが,そうではない.
 OED の語源欄の編集に関わっている Durkin (ix) が,語源学の入門書 The Oxford Guide to Etymology のイントロで,"About this book" と題する1節を書いている.抜き出して読んでみよう.

Etymologies appeal to people with a very wide variety of interests and intellectual backgrounds. A very few people, such as myself, spend most of their time researching etymologies. A slightly larger number do so very occasionally. Many, many more people look at etymologies, but have never researched any themselves. Some people will never even have thought of etymologies as things which need to be researched. Particularly when etymologies are encountered in the compressed form found in many dictionaries, they can seem to be a given, rather than the (often very tentative) results of extensive research.
   This book is intended for anyone who has taken the important first step of realizing that etymologies are the result of research, and would like to discover something about the nature of that research, and the principles and methodologies which underlie it.


 『英語語源ハンドブック』を通読するなどして英単語の語源に十分に親しんだ方で,かつ語源が所与のものではないことを認識した上で,専門家がどのように語源を探るものなのかを部分的に追体験したい方に,お薦めしたい1冊である.歯ごたえはあるかもしれないが,英語史や歴史言語学についても同時に学べる点でもすぐれた書籍だ.語源学の楽しさと厳しさを知りたい方は,ぜひ!

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 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ Durkin, Philip. The Oxford Guide to Etymology. Oxford: OUP, 2009.

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2026-02-17 Tue

#6140. 唐澤一友(著)『英語のルーツ』(筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉) [review][karasawa][hel_education][indo-european][twitter][helkatsu]

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 英語史研究者の唐澤一友さんによる英語史の名著『英語のルーツ』が文庫となって帰ってきました.私も「#5830. 英語史概説書等の書誌(2025年度版)」 ([2025-04-13-1]) など,英語史関連書籍を推薦する際には,いつも定番の1冊として挙げている書籍です.
 本書は,もともと2011年に春風社より出版されており,後に増刷もされてきましたが,ある段階から在庫が切れて書店で入手することができなくなっていました.図書館で借りる,あるいは古書店で購入する,などの方法に頼らざるを得ず,推薦したくてもしにくい状況にありましたが,今回,筑摩書房の〈ちくま学芸文庫〉より復刊されるという朗報を受け,英語史界にいる者として嬉しく思います.たいへん有意義な復刊で,本ブログを定期的にお読みいただいている皆さんにお勧めしたい1冊です.
 本書は英語史の本なのですが,類書よりも「広い」意味での英語史の本と受け取ってよいかと思います.序章を除いて5章立ての本なのですが,最初の3章までは英語前史というべき「印欧祖語」や「印欧語族」の話題で占められているのです.英語史の本としては希有な構成といってよいでしょう.その点では玄人好みする本ともいえ,他の入門書を数冊読んでからトライするのがよいかとも思われますが,現代英語を意識した筆で書かれているために,おもいのほか読みやすいです.
 章立てを示すと「序章 英語発達史概観」「第1章 インド・ヨーロッパ祖語民族の言語・文化・神話」「第2章 英語の語源と印欧語比較言語学」「第3章 印欧諸語の中の英語」「第4章 古英語から現代英語まで」「第5章 文字と綴りのルーツ」となります.「狭い」意味での英語史は,第4章に凝縮されていることになります.今回刊行された文庫版には,オリジナルにはない節も書き加えられていますので,オリジナル版の既読者にも再読をお薦めします.
 著者の唐澤さんは,昨年6月に刊行された『英語語源ハンドブック』(研究社)制作チームの仲間ということもあり,共著者の小塚良孝さんと私との3人で,文庫化のお祝いを兼ねて,先日オンラインで「居酒屋KKH」を開催し,そこで heldio 対談を収録しました.2月13日に「#1720. 『英語のルーツ』文庫化記念 --- 唐澤一友さんとの対談 from 居酒屋KKH」として配信しましたので,ぜひ著者の生の声をお聴きいただければ.



 著者の唐澤さんご自身も,最近 X アカウント @KazuKarasawa で本書に関連する話題を投稿しているので,ぜひフォローしてみてください.

 ・ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉,2026年.
 ・ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 春風社,2011年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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2026-01-25 Sun

#6117. 伝説的入門書『古英語・中英語初歩』が新装復刊されます! [notice][kenkyusha][oe][me][review][timeline][link][kochushoho]


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 あの名著が復刊されます! 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社)が,1ヶ月後の2月25日に出版予定です(定価3300円).研究社公式HPの近刊案内より部分的に「試し読み」もできますので,ぜひチェックしてみてください.「英語史関連・周辺テーマの本」一覧にもアクセスできます.
 本書の歴史をざっとたどってみます.

 ・ 1933--34年,市河三喜が雑誌『英語青年』(研究社)にて,後の『古代中世英語初歩』の母体となる連載記事を寄稿する
 ・ 1935年,市河三喜(著)『古代中世英語初歩』が出版される
 ・ 1955年,市河三喜(著)『古代中世英語初歩』改訂新版(研究社)市河 三喜・松浪 有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社)が出版される(←神山孝夫先生よりじきじきのご指摘により訂正いたしました.2026/01/27(Tue))
 ・ 1986年,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』(研究社)が出版される(松浪による全面改訂)
 ・ 2023年,神山孝夫(著)『市河三喜伝』(研究社)が出版される

 以下,hellog,heldio,その他で公開してきた『古英語・中英語初歩』に直接・間接に関係するコンテンツを時系列に一覧します.

 ・ 2025年4月28日,heldio で「#1429. 古英語・中英語を学びたくなりますよね? --- 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」を配信
 ・ 2025年5月1日,ari さんが note で「#268 【雑談】市河・松浪(1986)「古英語・中英語初歩」こと,ÞOMEB を買ってみた件!!」を公開する
 ・ 2025年5月3日,ぷりっつさんが note で「Gemini 君と古英語を読む」シリーズを開始する(5月9日まで6回完結のシリーズ)
 ・ 2025年5月5日,hellog で「#5852. 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」 ([2025-05-05-1]) が公開される
 ・ 2025年5月10日,helwa メンバーが本書を(計7冊以上)持ち寄って皐月収録会(於三田キャンパス)に臨む.参加者(対面あるいはオンライン)は,ari さん,camin さん,lacolaco さん,Lilimi さん,Galois さん,小河舜さん,taku さん,ykagata さん,しーさん,みーさん,寺澤志帆さん,川上さん,泉類尚貴さん,藤原郁弥さん.
 ・ 2025年5月12日,hellog で「#5859. 「AI古英語家庭教師」の衝撃 --- ぷりっつさんの古英語独学シリーズを読んで」 ([2025-05-12-1]) が公開される
 ・ 2025年5月15日,TakGottberg さんが,上記 heldio #1429 のコメント欄にて,(1986年版の)2011年第16刷の正誤表やその他の話題に言及(本記事の末尾を参照)
 ・ 2025年5月29日,heldio で「#1460. 『古英語・中英語初歩』をめぐる雑談対談 --- 皐月収録回@三田より」が配信される
 ・ 2025年10月5日,heldio にて「#1589. 声の書評 by khelf 藤原郁弥さん --- 神山孝夫(著)『市河三喜伝』(研究社,2023年)」が配信される
 ・ 2025年10月5日,hellog にて「#6005. khelf の新たなhel活「声の書評」が始まりました --- khelf 藤原郁弥さんが紹介する『市河三喜伝』」 ([2025-10-05-1]) が公開される
 ・ 2026年1月20日,研究社より新装復刊が公式にアナウンスされる
 ・ 2026年2月25日,出版予定

 新装復刊を前に,本書とその周辺について,理解を深めていただければ.復刊の Amazon の予約注文はこちらよりどうぞ.

 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
 ・ 神山 孝夫 『市河三喜伝 --- 英語に生きた男の出自,経歴,業績,人生』 研究社,2023年.

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2026-01-23 Fri

#6115. 『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)への書評をいただきました [review][bunkengaku][link][notice][voicy][heldio][youtube][history_of_linguistics][hel_education]

 日本英文学会の編集する学術誌『英文学研究』の第103巻(2026年)に,拙著(家入葉子・堀田隆一共著)『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)の書評が『英文学研究』に掲載されました.評者は愛知教育大学の小塚良孝氏です.
 4ページ分の丁寧な書評を賜りました.小塚氏には,本書の刊行直後にも関連する研究発表会で司会をしていただくなど,お世話になりました.この場を借りて,改めて感謝申し上げます.
 書評では,本書が意図した「文献学と英語史研究の融合」という視点や,近年の研究動向の整理について,評価していただきました.特に,伝統的な英語史研究における「古英語・中英語・近代英語という時代区分」「形態論・音韻論等の分野区分」「共時性と通時性という視点の区分」といった境界線を,絶対視せずに柔軟に乗り越えることの必要性を本書が説いている点について,的確に言及していただきました.これから英語史を志す学生や若手研究者にとっても,またすでに第一線で活躍されている研究者にとっても,本書が提示する見取り図が有用であることを認めていただいた形です.『英文学研究』がお手元にある方は,ぜひ pp. 226--30 の書評をご一読いただければ幸いです.
 さて,ここで改めて,本書『文献学と英語史研究』について紹介しておきたいと思います.本書は,2023年1月に開拓社の最新英語学・言語学シリーズの第21巻として出版されました.
 本書の最大の目的は,1980年代以降の約40年間にわたる英語史研究の動向を整理し,今後の展望を示すことにあります.英語史研究は,コーパス言語学の発達や隣接分野との連携により,この数十年で大きく変貌を遂げました.かつての「文献学」 (philology) の伝統と,現代的な「言語学」 (linguistics) の手法がいかに融合し,新しい知見を生み出しているのか.その最前線を,音韻論,綴字,形態論,統語論といった主要な分野ごとに詳説しています.本書の構成は以下の通りです.

 ・ 第1章 英語史研究の潮流
 ・ 第2章 英語史研究の資料とデータ
 ・ 第3章 音韻論・綴字
 ・ 第4章 形態論
 ・ 第5章 統語論
 ・ 第6章 英語史研究における今後の展望にかえて
 ・ 参考文献
 ・ 索引

 本書に関連しては,hellog でも過去に多くの記事を書いてきました.以下に関連記事へのリンクを掲載しますので,あわせてご参照ください.

 ・ 「#4985. 新著が出ます --- 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.」 ([2022-12-20-1])
 ・ 「#5023. 新著『文献学と英語史研究』で示されている英語綴字史研究の動向と展望」 ([2023-01-27-1])
 ・ 「#5024. 「通史としての英語史」とは? --- 新著『文献学と英語史研究』より」 ([2023-01-28-1])
 ・ 「#5158. 家入葉子・堀田隆一著『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)を改めて紹介します」 ([2023-06-11-1])

 また,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」や,YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」でも,関連する話題をいくつかお届けしています.共著者の家入葉子先生(京都大学)との対談回もあります.本書の舞台裏や,英語史研究への熱い思いが語られていますので,未聴の方はぜひチェックしてみてください.

 ・ Voicy heldio: 「#609. 家入葉子先生との対談:新著『文献学と英語史研究』(開拓社)を紹介します」
 ・ Voicy heldio: 「#611. 家入葉子先生との対談の第2弾:新著『文献学と英語史研究』より英語史コーパスについて語ります」
 ・ Voicy heldio: 「#582. 「境界を意識し,境界を越える」 --- 新著『文献学と英語史研究』が伝えたいこと」
 ・ YouTube: 「家入葉子・堀田隆一『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)のご紹介 --- 言語学も同期する中心から周辺へ?」

 今回の小塚氏による書評を機に,再び本書が英語史に関心を寄せる方々の目に留まり,新たな研究の種が蒔かれることを願っています.

家入 葉子・堀田 隆一『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.



 ・ 小塚 良孝 「書評:家入葉子・堀田隆一著 『文献学と英語史研究』 開拓社 2023年 xii + 251pp.」 『英文学研究』 第103巻,2026年.226--30頁.
 ・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2023年.

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2026-01-22 Thu

#6114. 『英語語源ハンドブック』通読系コンテンツの広がり [notice][hee][review][link][hel_education][helkatsu][khelf]


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 昨年の6月に『英語語源ハンドブック』が研究社より刊行されてから,早いもので7ヶ月ほどが経ちます.おかげさまで多くの方に手に取っていただき,好意的な反響をいただいております.さて,本書は「ハンドブック」と銘打ってはいますが,辞書のように引くだけでなく,通読していただくことも想定した作りになっています.この「通読」に挑戦する読者が増えているようです.
 さらにありがたいことに,この「通読」のプロセスや成果を,ブログや SNS などで発信してくださる方々がいらっしゃり,少しずつ増えてきています.ウェブ上に展開するこれらのコンテンツは,これから本書を手に取る方,あるいは現在通読中の方にとって,よい伴走者となると思います.今回は,それぞれのコンテンツ作成者の方々への感謝の気持ちも込めて,現在ウェブ上で確認できる関連コンテンツをいくつか紹介したいと思います.
 まず,教育的な視点からの通読シリーズです.

 ・ 「研究社の英語語源ハンドブックの Word of the Day」 (ari さん blogspot)
 ・ 「小学生と学ぶ英語史」 (みーさん note)

 ari さんの記事は英語教員向けの「大人のための」通読シリーズとなっており,現場の先生方にとっても有益な情報が満載です.一方,みーさんは「小学生のための」通読シリーズという,これまで誰も足を踏み入れたことのない領域に挑戦されています.英語史の裾野が広がっていることを実感し,感銘を受けています.
 続いて,ゲルマン語比較言語学的な観点から本書を読み解くという,硬派かつユニークな試みを紹介します.

 ・ 「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」 (ykagata さん Hatena Blog)
 ・ 「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」に便乗して眺めるスウェーデン語」 (り~みんさん note)

 ykagata さんはドイツ語の観点から,そしてそれに呼応する形で,り~みんさんはスウェーデン語の観点から英語語源を眺めるという新機軸を展開されています.英語,ドイツ語,スウェーデン語は同じゲルマン語派 (Germanic) の姉妹言語なので,これらを比較対照することは語源学習において非常に有効です.
 プロフェッショナルな視点からの感想や書評も見逃せません.

 ・ 「#翻訳者英語語源ハンドブック1日1語感想」 (天野優未さん X)
 ・ 「【2025年のベスト本】『英語語源ハンドブック』について,思ったことを語り尽くす.」 (やるせな語学さん)

 翻訳者である天野さんからは,常に日英語を対照している翻訳のプロとしての鋭いコメントをいただいています.また,やるせな語学さんには,大変丁寧な書評を執筆していただきました.著者が意図した細部まで読み込んでいただいていることに感謝いたします.
 それから,身内ではありますが khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーによる活動も紹介させてください.

 ・ 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」 (khelf 寺澤志帆さん)

 こちらは『英語語源辞典』が主テキストではありますが,『英語語源ハンドブック』への言及も頻繁になされています.綴字の歴史という観点から語源を深掘りする際に非常に参考になります.
 最後に,版元である研究社による公式コンテンツです.

 ・ 「英語語源クイズ」 (研究社 note)

 本書の編集者によるクイズ形式の記事です.英語史や語源の授業,あるいは英語学習のちょっとした余興などに,大いに活用できる内容となっています.
 私としては『英語語源ハンドブック』を通読するというムーヴメントを作りたいと密かに(公に?)願っています.上記の方々はその先駆者たちです.語源の学習は,1語1語の背景にある歴史や文化を紐解く旅のようなものです.1人で黙々と進むのも楽しいものですが,こうしてウェブ上で自身の学びや発見を共有することで,その旅はより豊かなものになるはずです.
 これらに続く通読挑戦者が現われ,少しでも多くの方が関連コンテンツを発信してくれるようになれば,英語史の楽しみもさらに広がっていくことと思います.皆さんも,ぜひこの「通読ムーヴメント」に参加してみませんか?

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2026-01-17 Sat

#6109. リスナー投票による heldio 2025年第4四半期のランキング [voicy][heldio][notice][ranking][link][helkatsu][hellive2025][khelf][review][nz_english][sobokunagimon]

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 「#6099. heldio 2025年第4四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 1月13日までオープン」 ([2026-01-07-1]) でご案内したとおり,去る2025年の第4四半期(10月--12月)における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.1月13日をもって投票を締め切りました.年始のお忙しい中,25名の皆さんよりご投票いただきました.いつもながら熱い応援をいただき,ありがとうございました.
 投票結果をまとめましたので,本記事にて報告いたします.本日の heldio でも「#1693. heldio 2025年第4四半期のリスナー投票の結果発表」として報告しているので,ぜひお聴きください.



 今回は9月開催の「英語史ライヴ2025」の熱気が残る対談回や,khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーによる書評回,そしてニュージーランド特集など,バラエティに富んだランキングとなりました.以下に上位(4%以上)の配信回を掲載します.



【 第1位(36%)】

 「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」

【 第2位(32%)】

 「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」
 「#1592. 声の書評 by khelf 泉類尚貴さん --- 滝沢直宏(著)『コーパスと英文法』(研究社,2017年)」
 「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」

【 第3位(28%)】

 「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」

【 第4位(24%)】

 「#1590. 声の書評 by khelf 木原桃子さん --- 武内信一(著)『英語文化史を知るための15章』(研究社,2009年)」
 「#1591. 声の書評 by khelf 寺澤志帆さん --- 寺澤芳雄(著)『聖書の英語の研究』(研究社,2009年)」
 「#1596. 声の書評 by 小河舜さん&疋田海夢さん --- 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」
 「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? (1)」

【 その他(4%)】

 「#1636. キュウリの酢漬け gherkin」
 「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」
 「#1638. 海をまたいで等語線」
 「#1639. Speight's 醸造所より pump で水を汲んでいます」
 「#1645. Helvillian 12月号が公開! --- 特集は「旅」」
 「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」
 「#1658. 12月20日の朝カル講座は one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」
 「#1661. 言及数トップの英単語はアレ! --- 語源ハンドブック索引より」
 「#1665. 拙著『はじめての英語史』の10刷が出ています --- コンパニオンサイトもどうぞ」
 「#1666. クリスマス企画「英語史小ネタ50連発」がスタート --- 拙著『はじめての英語史』のプレゼントもあります」
 「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」
 「#1676. 2025年のhel活もおおいに盛り上がりました --- リスナーの皆さんへの感謝を込めて」




 2025年第4四半期の結果を振り返ってみましょう.まず,第1位に輝いたのは「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」でした.「英語史ライヴ2025」での公開収録の模様をお届けした回ですが,have tomust という学習者にとっても身近なテーマを,まさにゃんと川上さんという heldio おなじみのメンバーが熱く,深く議論した点が評価されました.ライヴ感たっぷりの回でしたね.同じくライヴ関連では,第2位の「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」もランクインしており,イベントの余韻がランキングにも色濃く反映されています.
 第4四半期の大きな特徴として特筆すべきは,khelf メンバーによる「声の書評」シリーズの躍進です.同率第2位の #1592 を筆頭に,第4位には #1590, #1591, #1596 と実に4本もの書評回が上位に食い込みました.これらも「英語史ライヴ2025」での企画でしたので,ライヴの勢いがいかに凄まじかったかが知られます.この書評シリーズは,英語史を専攻する大学院生や教員が,専門書や良書をリスナーに向けて丁寧に紹介するものでした.「本×音声×英語史」という組み合わせが,知的好奇心旺盛な heldio リスナーの皆さんに深く刺さった結果といえると思います.学びのコミュニティとしての khelf の成熟を感じさせます.
 また,ランキングの随所に見られるのがニュージーランド関連の話題です.同率第2位の「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」を筆頭に,投票獲得率4%の層には「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」や「#1638. 海をまたいで等語線」も入っています.これは私が第4四半期を通じて同国に滞在していたからで,その土地の言葉や文化を肌で感じて発信する「旅する英語史」の側面も楽しんでいただけたものと理解しています.
 ほかには,第3位に入った「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」のような定番シリーズの安定感も見逃せません.また,「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? (1)」や「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」のような「英語の素朴な疑問」は heldio の原点であり,常に高い需要があることを再確認しました.
 個人的には食レポシリーズの「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」を上位4%に選んでいただけたのが嬉しいですね.
 まとめると,2025年第4四半期は「ライヴ」「書評」「旅」という3つのキーワードに集約されるように思います.教室の中だけの英語史にとどまらず,外へ飛び出し,本を紐解き,仲間と語り合う.そんな動的な「hel活」の様子がランキングからも見えてきます.
 2025年も1年間,heldio をお聴きいただきありがとうございました.2026年も,リスナーの皆さんの知的好奇心を刺激するような,多角的でディープな英語史の世界をお届けしていきたいと思います.引き続き,heldio をよろしくお願いいたします.

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2026-01-12 Mon

#6104. やるせな語学さんによる『英語語源ハンドブック』の書評のご紹介 [hee][review][link][hel_education]

 1月3日付けで,やるせな語学さんによる書評記事「【2025年のベスト本】『英語語源ハンドブック』について,思ったことを語り尽くす.」が公開されています.
 昨年の6月に刊行された『英語語源ハンドブック』 (hee) について,年明け早々,身の引き締まるような書評をいただきました.評者の「やるせな語学」さんは.英語学習や語源に関する記事を精力的に発信されていますが,今回の書評は単なる紹介にとどまらず,本書の意義を英語教育・学習の広い文脈に位置づけて論じてくださっています.
 書評では,まず昨今の「語源本」ブームに触れつつ,学術的裏付けに乏しい「語源の無免許運転」状態の教材が散見される現状を憂いています(ただし,そのなかで学習と研究の目的が異なる件についても触れながらフェアな議論がなされており,私も深く同意しました).その上で,専門家によって書かれた本書が,正しい知識へのアクセスを提供しつつ,「言語の体系」としての語源を学ぶ機会を与えていると評価していただきました.『ハンドブック』の著者たちが目指したのは,単なる暗記の道具としての語源ではなく,音変化や意味変化といった「言語変化」のダイナミズムを読者に感じてもらうことでしたので,この評は本当にありがたく思います
 評者が特に注目してくださったのが,「基本1000語」という本書のコンセプトです.本書は JACET8000 に基づく基本語を徹底的に掘り下げるアプローチを採っています.「この1000語の威力がすごい」という趣旨の評者の指摘は,まさにその通りでして,著者陣も後から驚いたほどでした.基本語だからこそ,そこには英語史の根幹に関わる音変化,意味変化,借用などの歴史が凝縮されています.一見無味乾燥に見える基本語彙の背後に,4次元的な歴史の広がりを見出していただいたたことに感謝します.
 また,書評の後半で述べられている「注意したいこと」にも共感を覚えました.語源はあくまで再建された理論的構築物に依存するものであり,語源不詳のケースも多々あるので,決して「神様」などではないということです.そして,古典語学習のハードルの高さと重要性.これらは,英語史を学ぶ者が常に心に留めておくべき事柄だと思いました.「語源を鞘に収める選択」という表現に,評者の並々ならぬ見識を感じました.
 最後に,本書への要望として「全単語の索引(書籍版)」や「接辞のまとめ」を挙げられています.こちらは本書制作関係者の間で情報共有したいと思います.DL版の索引は昨年末に公開されましたが,やはり紙の書籍として完結していることの価値は大きいという指摘は確かにその通りだと思います.
 ともあれ,『英語語源ハンドブック』が,このように熱量のある読者に届き,深く読み込まれていることは,この上ない喜びです.本書の親本ともいえる『英語語源辞典』 (kdee) と合わせて,ぜひこの「やるせな語学」さんの書評も熟読していただければと思います.
 そして,評者も推している『英語語源ハンドブック』通読,皆さんもぜひ始めてみてください!

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2025-10-12 Sun

#6012. 声の書評 --- 小河舜さんと khelf 疋田海夢さんが紹介する『英語固有名詞語源小辞典』 [khelf][hellive2025][review][voice_review][kenkyusha][heldio][voicy][onomastics][kdee][etymology][ogawashun]



 Voicy heldio でお送りする khelf の「声の書評」シリーズ,第5弾はこれまでとは趣向を変え,対談形式でお届けします.上智大学の小河舜さんと khelf 大学院生の疋田海夢さんのお2人に,刈部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)の魅力を語っていただきました.本編で24分弱の音声配信となります.「#1596. 声の書評 by 小河舜さん&疋田海夢さん --- 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」をお聴きください.
 本書は,人名や地名といった固有名詞の語源を探る「名前学」(onomastics) の世界への扉を開いてくれる一冊です.お2人の対談では,固有名詞が単なるレッテルではなく,その土地の地理や歴史,人々の暮らしといった豊かな物語を秘めていることが熱く語られます.
 昨年度の慶應義塾大学の英語地名史の授業で教員・学生の関係にあったお2人の軽快な掛け合いは,聴いていて飽きることがありません.1つの名前から始まる探求が,いかに多方面へと思わぬ広がりを見せていくか.その知的な興奮が,対話を通じて生き生きと伝わってきます.まさにお2人の名前学と英語史にかける情熱の賜物でしょう.
 この小辞典は,調べ物に便利なだけでなく,ページをめくるごとに新たな発見があり,歴史への想像力をかき立ててくれる読み物でもあります.お2人の楽しげな対談を聴けば,きっと英語固有名詞の世界に引き込まれるに違いありません.今回,専門分野のおもしろさを存分に伝えてくださった小河さん,疋田さんに改めて感謝します.
 なお,本書については,私自身も heldio 「「#1564. 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」」および 本ブログ「#5981. 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」 ([2025-09-11-1]) でも紹介していますので,合わせてご参照ください.
 さらに,heldio/helwa コアリスナーの ari さんが,10月4日付で「#424【通読DEPN】英語固有名詞語源小辞典を読む(その1)」として,本書を通読するシリーズ企画を始められたことも付け加えておきます.いやはや,英語固有名詞が熱い!


苅部 恒徳(編著) 『英語固有名詞語源小辞典』 研究社,2011年.



 ・ 刈部 恒徳(編著) 『英語固有名詞語源小辞典』.研究社,2011年.

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2025-10-08 Wed

#6008. 声の書評 --- khelf 泉類尚貴さんが紹介する『コーパスと英文法』 [khelf][hellive2025][review][voice_review][kenkyusha][heldio][voicy][corpus][collocation]



 khelf(慶應英語史フォーラム)がお送りする https://voicy.jp/channel/1950] の「声の書評」シリーズ,第4弾です.今回は khelf 顧問で,関東学院大学で教鞭をとられている[[泉類尚貴さん|https://note.com/rui_hel/n/n4b3c4fa34656">heldioに,滝沢直宏(著)『〈英文法を解き明かす〉ことばの実際2 コーパスと英文法』(研究社,2017年)を紹介してもらいました.
 泉類さんによれば,本書はコーパス言語学の入門書としてだけでなく,その応用までを視野に入れた実践的な1冊とのことです.コーパス (corpus) とは何か,という基礎的な解説から始まり,実際の研究でどのようにコーパスを活用するのか,具体例を交えて丁寧に説明されています.
 特に,これまで感覚的に捉えられがちだった collocation (語と語の慣用的な結びつき)を,統計的な手法を用いて客観的に分析する方法が紹介されている点は,とても有益です.また,大規模なコーパスを利用する際の注意点や,自分でデータを収集する方法など,研究の現場で直面するであろう課題にも目配りされている点は,さすが専門家による解説書というべきでしょう.コーパスを使って本格的に言語研究に取り組みたいと考えている学生や研究者にとって,心強い味方となる1冊です.
 収録参加者の khelf メンバーによる正規表現談義も聴き応えがありました.今回は,専門的な立場から本書の核心を解説してくれた泉類さんに感謝いたします.今回の「声の書評」は今朝の heldio 配信回「#1592. 声の書評 by khelf 泉類尚貴さん --- 滝沢直宏(著)『コーパスと英文法』(研究社,2017年)」でお聴きいただけます.


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 ・ 滝沢 直宏 『〈英文法を解き明かす〉ことばの実際2 コーパスと英文法』 研究社,2017年.

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2025-10-07 Tue

#6007. 声の書評 --- khelf 寺澤志帆さんが紹介する『聖書の英語の研究』 [khelf][hellive2025][review][voice_review][kenkyusha][heldio][voicy][bible][false_friend][terasawashiho]



 khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーがお届けする Voicy heldio の「声の書評」シリーズ,第3弾をお届けします.今回は khelf 大学院生の寺澤志帆さんに,寺澤芳雄(著)『聖書の英語の研究』(研究社,2016年)を紹介してもらいました.
 寺澤志帆さんによれば,本書は聖書の英語,特に1611年の欽定訳聖書,The Authorised Version (The King James Version [KJV]) の英語に焦点を当てた専門的な内容でありながら,(頑張れば)一般の読者にも読んで理解できる点が魅力とのことです.近代英語期に関心のある方や,聖書翻訳の歴史を学びたい方にとって必携の一冊と言えます.
 特に興味深いのは,近代英語と現代英語で意味が異なる単語です.例えば quick という単語が,かつては「生きている」という意味で主に用いられていたことなど,具体的な例が豊富に挙げられています.このような知識は,近代英語の文献を正確に読み解く上で,たいへん役立ちます.
 さらに,英訳聖書の歴史や,版による誤植といった裏話にも触れられており,聖書が多くの人の手を経てきた「生きた書物」であることが伝わってきます.専門的な知見に基づきながらも,読者の知的好奇心を刺激する筆致はさすがというほかありません.
 以上,専門家を目指す大学院生ならではの視点で,本書の価値を的確に伝えてくれた声の書評でした.今回の放送は「#1591. 声の書評 by khelf 寺澤志帆さん --- 寺澤芳雄(著)『聖書の英語の研究』(研究社,2009年)」でお聴きいただけます.ぜひコメント等もよろしくお願いいたします.


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 ・ 寺澤 芳雄 『聖書の英語の研究』 研究社,2016年.

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2025-10-06 Mon

#6006. 声の書評 --- khelf 木原桃子さんが紹介する『英語文化史を知るための15章』 [khelf][hellive2025][review][voice_review][kenkyusha][heldio][voicy][manuscript][beowulf]



 この秋,khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーによる hel活 (helkatsu) が活発化してきています.昨日狼煙を上げた heldio での「声の書評」シリーズも,khelf による企画です,今回は khelf 副会長の木原桃子さんにご登場願い,武内信一(著)『英語文化史を知るための15章』(研究社,2009年)を紹介してもらいました.著者は,木原さんの青山学院大学時代の恩師でもあります.ぜひ今朝の heldio 配信回「#1590. 声の書評 by khelf 木原桃子さん --- 武内信一(著)『英語文化史を知るための15章』(研究社,2009年)」をお聴きいただければ.
 木原さんは,本書の魅力として,語彙や文法といった英語の内面史を追うだけでなく,その言語が使われている社会や文化と関連づけた英語の外面史,すなわち「英語文化史」を重視する視点を的確に指摘してくれました.単なる「英語史」ではなく「英語文化史」と冠した本書は,その格好の入門書であると.私も本書を最初に読んだとき,同じ印象をもったことを覚えています.
 本書は15の章からなり,それぞれがベオウルフ,英語聖書,シェイクスピア,ジョンソンの辞書,OED といった独立したテーマを扱っているため,どこからでも読み進められます.「英語文化史」を鳥瞰的に見渡せる構成は,特にこれから英語史を学ぶ高校生や大学生にとって,興味の入り口を見つけるのに最適だと思います.
 木原さんは,武内先生ご自身が写本を作成していることを紹介しつつ,先生の運営されている MANUSCRIPT CHOUMEIAN にも触れています.Beowulf と『平家物語』の意外な関係が論じられている章については,木原さんはこの章を読んで英語史の魅力に目覚めたとのことです.体験に裏打ちされた言葉には説得力がありました.
 khelf メンバーが自身の言葉で書籍を紹介してくれるのは,とても嬉しいことです.「声の書評」が,多くの方にとって新たな本との出会いの場となることを期待しています.皆さん,ぜひ本書を手に取ってみてください.


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 ・ 武内 信一 『英語文化史を知るための15章』 研究社,2009年.

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2025-10-05 Sun

#6005. khelf の新たなhel活「声の書評」が始まりました --- khelf 藤原郁弥さんが紹介する『市河三喜伝』 [khelf][helwa][hellive2025][review][voice_review][kenkyusha][heldio][voicy][kochushoho]



 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,khelf(慶應英語史フォーラム)による新しいhel活企画が始まったことをお知らせします.その名も「声の書評」 (voice_review) .英語史に広い意味で関連する書籍を取り上げ,khelf メンバーにその魅力を「声」で語ってもらおうという試みです.文字で読む伝統的な書評とは一味も二味も違う,新しい形の本紹介にご注目ください.まずは,その狼煙となる今朝の heldio 配信回「#1589. 声の書評 by khelf 藤原郁弥さん --- 神山孝夫(著)『市河三喜伝』(研究社,2023年)」をお聴きいただければ.
 この企画は,9月13日の khelf & helwa の共催イベント「英語史ライヴ2025」に向けて,khelf の大学院生メンバーたちが発案したものです.「書評」というと,少し堅苦しくて専門的なものを想像されるかもしれません.もちろん学術的な書評は重要なメディアですが,今回の「声の書評」が目指すのは,もう少し間口の広い,カジュアルで開かれたスタイルです.本の概要を紹介しつつも,話し手が「どこに心を動かされたのか」「どんな発見があったのか」「誰にこの本を勧めたいか」といった,個人的な感想や熱い「おすすめポイント」を気軽に語ることができる,そんな場になればと思っています.声のもつ温度や抑揚を通して,その本の魅力がリスナーの皆さんにダイレクトに伝わるはずです.
 上掲の今朝の配信回が,「声の書評」シリーズの記念すべき第1弾となります.khelf の藤原郁弥さんが,大阪大学時代の恩師でもある神山孝夫先生(大阪大学名誉教授)が著わした『市河三喜伝 --- 英語に生きた男の出自,経歴,業績,人生』(研究社,2023年)を取り上げて,紹介してくれました.
 市河三喜といえば,日本の英語学,英語文献学,そして英語史研究の礎を築いた偉大な学者です.この hellog でも何度もその功績に触れてきました.とりわけ「#5852. 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」 ([2025-05-05-1]) を挙げておきましょう.この巨人の生涯を,神山先生が緻密な調査に基づいて描き出したのが『市河三喜伝』です.
 藤原さんの「声の書評」では,特に市河のオックスフォード留学時代の逸話が生き生きと紹介されていたのが印象的でした.市河が当時,私たち英語史研究者から見れば「伝説」というべき大学者たちから直接講義を受けていたという事実も驚きですが,その講義日程までもが詳細に再現されているというのにも興奮します.このように評者の感動をリアルに追体験できるのが,「声の書評」シリーズの最大の魅力だと思います.
 「声の書評」は,「英語史ライヴ2025」の折にいくつか収録しましたので,今後そちらを継続的に配信していく予定です.とりわけ向こう数日の heldio にご注目ください.
 この企画は,ゆくゆくは khelf メンバーのみならず,hel活に関わる様々な方々と一緒に育てていけたら,と願っています.「この本の書評が聞きたい!」というリクエストはもちろん,「私の好きなこの本について語りたい!」という評者としての立候補もあり得る形にまで育っていくとよいと思います.
 heldio での新しい試み「声の書評」.まずはシリーズ第1弾となる今回の配信をお聴きいただき,この新しい書評の形を体験してみてください.そして,もし興味が湧きましたら,実際に書店でその本を手に取っていただけると,私たちにとってこれに勝る喜びはありません.今後の展開に,どうぞご期待ください.


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 ・ 神山 孝夫 『市河三喜伝 --- 英語に生きた男の出自,経歴,業績,人生』 研究社,2023年.

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2025-09-26 Fri

#5996. khelf の疋田海夢さんが Growth and Structure 連載を始めています [khelf][jespersen][helkatsu][review][hel][notice]

 khelf(慶應英語史フォーラム)によるhel活 (halkatsu) が新展開を示しています.
 4ヶ月ほど前に「#5861. khelf 寺澤志帆さんが「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」シリーズを開始しています」 ([2025-05-14-1]) でご紹介しましたが,寺澤志帆さんによる「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」が絶賛継続中です.昨日時点で123件の記事が公開されており,1つひとつ丁寧に記載されています.読み続けていると,英語史の知識が確実に増していきます.ぜひ RSS フィードを登録して,日々講読していただければ.
 そして先日,もう1人の khelf メンバーによる連載が始まりました.大学院生の疋田海夢さんが自身のHP上で始めたシリーズです.連載タイトルはGrowth and Structure で辿る英語の歴史」です.疋田さんが Jespersen による英語史の名著 Growth and Structure of the English Language (10th ed.) を1節ずつ丁寧に読み,コメントを加えていくという企画です.昨日時点で第8節までの記事が公開されており,シリーズ継続のリズムができてきました.こちらの連載にも RSS フィードが用意されていますので,ぜひフォローしていただければ.
 疋田さんが,なぜこの連載を始められたのか? それについては,最初の記事「0. Growth and Structure of the English Language の講読をはじめます」に記されているので,ぜひお読みください.
 先日,hellog でこの名著に関する以下の記事を2本書きましたが,実は今回の疋田さんの連載開始を受けて執筆したものでした.

 ・ 「#5990. Jespersen による英語史の名著 Growth and Structure of the English Language」 ([2025-09-20-1])
 ・ 「#5991. Jespersen の G&S の第1節を堪能する」 ([2025-09-21-1])

 そこでも述べたとおり,G&S は間違いなく英語史に関する名著の1つです.疋田さんが本書の精読を始め,関連する連載を始めた今,皆さんも一緒に同書を読み始める絶好のチャンスです.ぜひ連載を日々追いかけつつ,皆さんにもこの名著を味わっていただければと思います.


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 ・ Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Chicago: U of Chicago, 1982.

Referrer (Inside): [2026-01-01-1]

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2025-09-21 Sun

#5991. Jespersen の G&S の第1節を堪能する [review][jespersen][hel_education]

 昨日の記事「#5990. Jespersen による英語史の名著 Growth and Structure of the English Language」 ([2025-09-20-1]) で取り上げた名著 G&S.その第1節 (p. 1) をそのまま引用するので,著者の意気込みを感じていただきたい.

1. It will be my endeavour in this volume to characterize the chief peculiarities of the English language, and to explain the growth and significance of those features in its structure which have been of permanent importance. The older stages of the language, interesting as their study is, will be considered only in so far as they throw light either directly or by way of contrast on the main characteristics of present-day English, and an attempt will be made to connect the teachings of linguistic history with the chief events in the general history of the English people so as to show their mutual bearings on each other, and the relation of language to national character. The knowledge that the latter conception is a very difficult one to deal with scientifically, as it may easily tempt one into hasty generalizations, should make us wary, but not deter us from grappling with problems which are really both interesting and important. My plan will be, first to give a rapid sketch of the language of our own days, so as to show how it strikes a foreigner---a foreigner who has devoted much time to the study of English, but who feels that in spite of all his efforts he is only able to look at it as a foreigner does, and not exactly as a native would---and then in the following chapters to enter more deeply into the history of the language in order to describe its first shape, to trace the various foreign influences it has undergone, and to give an account of its own inner growth.


 改めて熟読してみると,私自身が英語史研究者として,hel活の発信者として,Jespersen からかなりの影響を受けていることを再認識した.私は大学の講義「英語史」の初回に「現代英語に戻ってこないような英語史は語らない」などと豪語しているのだが,これは知らず知らずのうちに G&S の第1節の精神が染みついていただけだったということが,ここで判明した(私にとっても驚きである).
 また,Jespersen が非英語母語話者として英語史を記述することを,むしろ「売り」としているかのように読める点が印象的である.私が --- 同じく英語非英語母語話者として --- Jespersen の英語史を魅力的に感じるのも,ごく自然なことなのかもしれない.
 さらに,Jespersen の言語と国民性を直接結びつけようとする性向とそのリスクについての認識も,久しぶりに確認できて新鮮な思いだった.Jespersen は,確かにこの点ではかなりのリスクを冒している,と私は考えている.やや行き過ぎており,差し引いて読むべきだという立場だ.
 だが,今回,冒頭の1節を読み返してみて,英語史なり○○史は,やはりそれを書く人の考え方の集成なのだ,ということを確認できたことが大きい.読者は,この冒頭をどのように読むのかについて自身の考えを整理した上で,先を読み進めるとよいと思う.

 ・ Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Chicago: U of Chicago, 1982.

Referrer (Inside): [2025-09-26-1] [2025-09-20-1]

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