
1週間後の5月23日(土) 15:30--17:00 に,今年度の2回目となる朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座が開かれます.昨年度より継続しているシリーズ「歴史上もっとも不思議な英単語」の通算第14弾ということで,今回は「again を探って中英語原文の世界へ」と題して,日常的な副詞 again とその双子の兄弟である前置詞 against に注目します.
講座では,『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』を参照しつつ,この単語の語源や意味・形態上の発達を追いかけ,副詞 again と前置詞 against とで棲み分けがなされるようになった背景に迫ります.本来は接頭辞にすぎなかった形態素が,独立した単語となっていくという興味深い歴史をもっているのです.関連して,古英語の前置詞全体についても概観する予定です.
この単語の発音やスペリングの変化・変異にも注目します.異形が非常に多く,古英語や中英語の辞書ではどの形が見出し語に上がっているのかを予想するのが困難なほどです.
また,この春期クールでは,2月25日に研究社より刊行された伝説的入門書,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)を参考テキストとして活用します.今回はこの入門書に収載されている初期中英語のテキスト Peterborough Chronicle より,again を含む,中世の拷問をおどろおどろしく描写する箇所を少々読んでみたいと思います.
中英語の原文が初めてという方も心配は要りません.上記参考テキストについても,講座で読む部分については配付資料内で引用しますので,受講に必須ではありませんが,テキストには現代英語訳や辞書も付属していますので,あれば学びが深まると思います.
講座の詳細とお申込みは,朝カルのこちらの公式ページをご覧ください.See you again!
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

私は英語史を広める活動「hel活」 (helkatsu) として本ブログを毎日更新していますが,それとは別に note 上でも不定期に記事を書いています.note では主に #hel活 というハッシュタグを付けて記事を投稿していますが,最近では少なからぬhel活仲間の note クリエーターたちも同じハッシュタグを付すようになってきています.現時点で調べてみると,note 上で「hel活」ハッシュタグを帯びた記事は,なんと1770件にも及んでおり,驚いた次第です.
この1769件を人気順に並べ替えてみると,本ブログでも推してきた sorami さんによる『英語語源ハンドブック』に基づいた「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが,上位をさらっています.隔週土曜日に更新されるシリーズで,第8回まで進んできています.
「無職さん」こと,佐久間泰司さんによる「『語源で学ぶ医学英単語ハンドブック』に見る,医学英語教育の新たな地平」も上位につけています.私自身の「「英語史の塔」が建設されました」や,昨日公開した「【祝・Amazon1位】「英語史をお茶の間に」への挑戦が本格的に始まりました! 『なぜさんたんげん』予約爆撃アワーへの御礼」も人気のようで何よりです.
ari さんによる「#653【英語史クイズ】 chair,bench,sofa,couchのうち英語本来語はどれ?(答え編)」,lacolaco さんによる「英語語源辞典通読ノート D (depopulate-desert)」,ykagata さんによる「バリバリボールの思い出:社会言語学と第二言語習得の交差点,あるいは日本の教育現場の英語方言について」,mozhi gengo さんによる「#350. 言葉の海」も上位入賞です.
寺澤志帆さんの「約1年かけて『英語語源辞典』のAで始まる語を通読してみた」や,みーさんの『英語語源ハンドブック』に基づくシリーズも「小学生と学ぶ英語史#110 "oh"」が上位にランクインしています.
ほかにも挙げていけばキリがありませんが,「hel活」ハッシュタグの下でhel活の輪が広がってきていることは確かです.ぜひ本ブログをお読みの皆さんも,note でのhel活に参加しませんか?
ちなみに,6月10日に発売予定の『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』の公式統一ハッシュタグ #なぜさんたんげん を帯びた note 記事も,(著者によるもの以外にも)現われてきています.こちらのハッシュタグも,ぜひ積極的にお使いいただければと思います.

6月10日に発売予定の『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』の版元であるNHK出版が展開するNHK出版マガジンにて,本書の一部が5月11日付けで記事として無料公開されました.
記事のタイトルは「紀元前からのこだわり?なぜ3単現の s をつけるのか【英語史で解く英文法の謎】」です.この記事は本書の第1章第5節「なぜ3単現の s をつけるのか」にまるまる相当します.発売に先立って,まずこの話題についてじっくりお読みいただければと思います.
「3単現の s」問題は,本書の副題に含まれている通り,本書で取り上げる「英語に関する素朴な疑問」の代表選手です.すべての英語学習者が,つまずいたり,引っかかったり,あるいは疑問に思った経験があるのではないかと思います.しかし,ほとんどの英語学習者は,「なぜ3単現の s をつけるのか」への納得のゆく答えを与えられたことがありません.いまだにモヤモヤしている人もいれば,深く考えないことにして疑問を記憶から消し去った人もいるでしょう.しかし,英語史の観点からみると,答えがあるのです.少なくとも考えるヒントが確かにあるのです.英語史は,かつて抱いていた素朴な疑問に改めて光を当ててくれます.
本書は,「3単現」問題に代表される,皆さんが抱いたことのある(かもしれない)素朴な疑問を集め,英語史の観点から切っていく,そのような本です.素朴な疑問のスタンダード集を目指して執筆・編集しました.どうぞご期待ください.
発売までの約1ヶ月の間に,NHK出版デジタルマガジンからは,本書に関する別の記事も出ることになっております.そちらもお楽しみにしていただければ(デジマガの X アカウント @nhkpb_digimag もぜひフォローを!).
hellog 読者の皆さんにおかれましては,各種のSNSアカウントをお持ちでしたら,ぜひ今回公開された「3単現の s」の記事について,広めていただいたり,ご感想やご質問を発信していただければと思います.最近はとりわけ 有志による note 上での「hel活」(=英語史活動)が盛んです(現時点で1767件の記事!)ので,note などで皆さんと「3単現の s」で議論できればと思います.そして,発信される際には,ぜひ本書の公式統一ハッシュタグ #なぜさんたんげん を添えていただければ.
・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

heldio/helwa のコアリスナーであるみーさんが,note 上で展開されている連載「小学生と学ぶ英語史」が,先日4月21日に記念すべき第100回に到達しました.1月12日の連載開始以来,一日も欠かすことなく毎日更新を続けての100回達成です.この偉業に,心よりお祝い申し上げます.
このシリーズは『英語語源ハンドブック』の項目をベースとしながら,みーさんご自身が教えられている英語教室での経験を活かし,小学生にもわかるように丁寧に,かつ優しくかみ砕いて解説されているものです.タイトルには「小学生と学ぶ」とありますが,その内容は決して小学生向けに限定されるわけではありません.各記事には語源に関する確かな知識に加え,学習上の助けとなる周辺知識やエピソードが豊富に盛り込まれており,中高生や大学生,さらには学び直しを志す大人の学習者にとっても,非常に示唆に富む内容となっています .
みーさんの記事の魅力は,何といっても語り口の柔らかさにあります.『英語語源ハンドブック』の記述をそのまま提示するのではなく,目の前にいる子供たちがどこで躓き,どこで目を輝かせるのかを熟知した教育実践者としての視点が貫かれています.たとえば,lady の語源が「パンをこねる女性」であるという話から,聖母マリアにちなむ ladybug 「てんとう虫」の話題へと繋げ,子供たちの好奇心を刺激する手法などは,まさにその真骨頂と言えるでしょう .
また,みーさんは,hel活をしている helwa の仲間たちがアルファベット順に語源をたどる試みにインスピレーションを受け,ご自身も a, b, c ... と一巡し,また a に戻るという独自のルーティンを確立されました.このように志を同じくする仲間たちが互いに刺激し合い,学びを深めていく姿は,まさに「英語史をお茶の間に」を体現するものだと思います.
このたび,100回突破を祝して heldio にてみーさんとの対談を収録しました.4月28日(火)の朝に配信した「#1794. 祝・みーさん「小学生と学ぶ英語史」100回記念対談」です.連載を始めたきっかけから,日々の継続のコツ,そして教室での子供たちの生の反応まで,たっぷりとお話しを伺っています.
さらに,同日の夕方に,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」でも,対談の続編を「【英語史の輪 #0438】みーさんとお祝い対談(今朝の続き)」と題して配信しています.こちらでは,よりリラックスした雰囲気で,継続の仕組みや仲間との交流について深掘りしています.ご関心のある方は,あわせてお聴きください.
英語史という分野は,一見すると難解に思われがちですが,みーさんのように橋渡しをされる方がいれば,小学生であっても「印欧祖語」 (indo-european) などの用語も自然に使いこなすようになるのです.こうした英語史の草の根の活動が,英語教育の現場に新しい風を吹き込むことを期待してやみません.読者の皆様も,ぜひみーさんの note を訪れ,フォローしたり温かいコメントを寄せていただければと思います
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

4月28日(火),熱心なヘルメイトの皆さんによる月刊ウェブマガジン Helvillian 5月号(第19号)が公開されました.今号も,英語史を軸とした知的探究心が多方向に展開し,読み応えのあるラインナップとなっています.
今号の「表紙のことば」を担当されたのは ari さんです.桜島をめぐる地元民によるエッセイ,いかに桜島が身近な存在であるかが分かりました.その ari さんの記事群は,今月も ari 節が全開で絶好調です.セム語に由来する英単語から,「エイゴシーの塔」の攻略を経て,フランダース関連の話題まで,記事の守備範囲の広さにはいつも驚かされます.
Grace さんは,英語の「息づかい」というタイトルで寺澤盾先生の新刊書『世界の英語』(中公新書)を紹介されています.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」は,D ゾーンを走行中で,今回は demand から demesne までをカバーしています.lacolaco さんの継続的な試みが,「辞書を読む」という静かなムーブメントを呼んでいますね.実は,これこそが最も堅実で強力なhel活なのではないかと,最近,思い始めています.
mozhi_gengo さんは,今号でも圧巻の寄稿数です.scale の語源といった入りやすそうな話題から,ヒンディー語における be 動詞に相当する単語の語源に至るまで,相変わらずの縦横無尽ぶりです.
英語史教育・普及の観点からの記事も,ますます充実してきています.sorami さんの中学生向け語源クイズは,綴字の謎に迫る第7弾まで到達しています.みーさんの「小学生と学ぶ英語史」シリーズは,「小学生×英語史」という革命的な趣旨で始まり,100回に迫る(実際には本日までに優に100回を超えています)勢いで続いています.
umisio さんは,川上さんの名言「英語愛はありません」を深掘りするシリーズで続投されています.『英語史新聞』第13号への熱い暴走レポートも,読者の共感を呼ぶこと間違いなしですね!(khelf の応援,いつもありがとうございます.)
ykagata さんのブログも安定の継続で,ドイツ語を軸に『英語語源ハンドブック』をご紹介いただいたり,学びそのものについて考察する記事が公開されています.あまねちゃんの記事では,mark や zany の語源記事に始まり,最後にはついに『英語語源辞典』通読の挑戦へと禁断の一歩を踏み出されました.
また,川上さんによる古英詩に関する補遺は,異色の専門的な記事となっています.この記事を通じて,ぜひ古英詩の世界に触れてみてはいかがでしょうか.私自身も,微力ながら elvillian の前号の紹介記事を公開し,最新号の目次に名を連ねさせていただきました.
最後は Grace さんによる helwa のhel活の活動報告と,umisio さんによる『英語語源辞典』の流行に注目した暴走的編集後記で締めくくられています.
このように今号も,質量ともに充実したできあがりとなっています.ぜひ時間をかけてゆっくりと各コンテンツを味わっていただければ幸いです.
次号はいよいよ第20号の大台に乗ります.この Helvillian という媒体は,誰かに強制されたものではなく,英語史を愛し,学びを共有したいという有志の自発的なエネルギーによって継続しています.読者の皆さんにおかれましては,ぜひこの熱量を一緒に楽しんでいただき,温かい応援をいただければ幸いです.
また,「読むだけではなく,自分も書く側や編集側に回ってみたい」「このhel活の輪に直接貢献したい」という方は,ぜひプレミアムリスナー限定チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」を覗いてみてください.ともに学び,ともに創る喜びが溢れている空間ですので.
新年度の私の「hel活」 (helkatsu) の新機軸として,「旅する英語史 旅hel」 (tabihel) という動画シリーズを立ち上げました.目下,私はスコットランドのアバディーンに滞在しているのですが,旅をし街歩きをしながら英語史に関係する話題を見つけ,ビデオカメラで撮影しつつ,自由にお話ししていこうという Vlog シリーズです.
シリーズ第1弾は,4月13日に半日をかけて撮影した「アバディーン編」です.こちらは一般公開はしておらず,Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」にお入りいただいているメンバーへの限定公開となっております.helwa メンバーの方は,4月16日配信の「【英語史の輪 #0433】旅する英語史「旅hel」アバディーン編をご視聴ください」を経由して,本編動画への URL にアクセスできます.
今回の動画の舞台は,スコットランド第3の都市 Aberdeen です.「花崗岩の街」 (Granite City) としても知られる美しい街並みを歩きながら,いくつかの英語史ポイントを拾い上げました.
例えば,Upperkirkgate という通りの名前です.この gate は,現代英語の「門」ではなく,北イングランドやスコットランドで「道,通り」を意味する古ノルド語に由来すると考えられます.南部の way や street に相当するもので,まさに北部的な語といえます.実は kirk ももう1つの北部ポイントです.
また,町の北を流れるドン川に架かる歴史的な橋 Brig o'Don にも訪れています.ここで注目したいのは橋を意味する brig という語形です.標準的な bridge の最後の子音が -dg- /dʒ/ ではなく -g /g/ となっているのは,やはり古ノルド語の影響を強く受けた北部方言の特徴を色濃く残している証拠です.
動画内では他にも,1593年創立の歴史ある Marischal College を眺めたり,最後には銀行の建物を改装したパブでエールを楽しんだりと,37分にわたる盛りだくさんの内容になっています.Osmo Pocket 3 という小型ビデオカメラを手に,慣れない動画編集に苦戦しながらも,楽しく英語史の視点から街の魅力を切り取ってみました.
この「旅hel」シリーズの立ち上げについては,一昨日の heldio でも「#1792. 旅する英語史「旅hel」アバディーン編の動画を helwa 経由で配信しています」としてお話ししましたが,そこではダイジェスト版となる5分ほどの「音声」もお聴きいただけます.本編動画の雰囲気を味わうことができるかと思います.
本編動画にご関心のある方は,ぜひプレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」にお越しください.helwa は初月無料となっておりますので,ぜひ4月分にお入りいただき,試し聴きしつつ,特に4月16日配信の「【英語史の輪 #0433】旅する英語史「旅hel」アバディーン編をご視聴ください」を経由して動画にアクセスしていただければ.

新年度が始まりました.今年度も「英語史をお茶の間に」広げていく活動「hel活」 (helkatsu) を精力的に展開してまいります.hellog 読者の皆様も,ぜひそれぞれの現場でhel活を推進していただければ幸いです.
昨年に引き続き,今年度の私のhel活の柱の1つとなるのが,恒例の朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座です.シリーズ全体のタイトルは昨年のものを継承し「歴史上もっとも不思議な英単語」のままですが,少なくともこの春期クールについては「語源を探って古英語・中英語原文の世界へ!」という副題を添えて,少々装いを新たにスタートします.
昨年度は,1つの単語を掘り下げることで英語史のパノラマを展望するというスタイルでした.今期もその精神は受け継ぎつつ,そこに「原文の味読」という付加価値を加えたいと考えています.具体的には,去る2月25日に研究社より刊行された伝説的入門書,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)を参考テキストとして活用します.
春期クールの公式の案内文は以下の通りです.
「なぜこの英単語は,こんな意味や使い方をするのか」.その答えは,現代英語の外にあります.春期は,古英語・中英語の短い原文を入口として,英単語の不思議な歴史を探ります.名名文を丁寧に読み解いたうえで,そこから英語史の話題へと縦横に広げていきます.原文に構えず,英語史の物語として楽しめる講座です.(注:市河三喜・松浪有『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)を参考テキストとし,そこから原文を選んで味読します.)
本講座の最大の特徴は,単なる語源解説にとどまらず,その語が実際に過去の文献でどのように息づいていたのかを,実際のテキストを通じて体験していただく点にあります.もちろん,これまで通り『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』も頻繁に参照しながら,語源の深淵に迫っていきます.
春期クールは毎月1回,土曜日の 15:30--17:00 に開講されます.オンライン限定の講義ですので,全国どこからでもご参加いただけますし,2週間の見逃し配信もございます.予定されているラインナップは以下の通りです.
1. 4月25日(土):knight を探って中英語原文の世界へ
2. 5月23日(土):again を探って中英語原文の世界へ
3. 6月27日(土):ghost を探って古英語原文の世界へ
1週間後に開講される第1回は,中世騎士道でおなじみの knight を取り上げます.元々は「少年」や「従者」を意味していたこの語が,いかにして高貴な身分を指すようになったのか,中英語の原文に触れながらその意味変化を辿ります.
第2回は,日常語の again です.何の変哲もないように見えるこの語には,副詞や前置詞としての用法にとどまらず,多くの話題が隠されています.中英語期のテキストではどのように綴られ,用いられていたのでしょうか.
第3回は,現代では「幽霊」を指す ghost です.古英語期には「精神」や「魂」を意味していたこの語の変遷を,当時の格調高い原文とともに味わいましょう.
古英語や中英語の原文と聞くと,難しそうに聞こえるかもしれませんが,心配は無用です.「英語史の物語」を楽しむための材料として,私がナビゲートします.講座の詳細とお申込みは,朝カルのこちらの公式ページをご覧ください.
本シリーズの開講に向けて,Voicy heldio でも案内を放送しています.ぜひ「#1778. 4月25日(土)『古中初歩』による新年度の朝カルシリーズが始まります」をお聴きください.新年度,皆様と一緒に,原文とともに英語史の森を散策していくことを楽しみにしています.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーであり,英語綴字史を専門とする寺澤志帆さんから,なんとも喜ばしい,そして驚くべきニュースが届きました.
昨年5月1日からご自身のウェブサイトで公開されている連載企画「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」が,ついにアルファベットの最初の文字である A の項目をすべて読み終え,完走を果たしたとのことです.まずは寺澤さん,A のコンプリート,おめでとうございます!
この企画がどれほど希有で無謀(?)なものであるかは,以前の hellog 記事(末尾のリンク参照)でも示唆してきました.私が「世界一の英語語源辞典」と公言して推しに推している『英語語源辞典』 (kdee) を1ページ目から通読しようと試み,綴字史的に興味深いトピックを拾い上げて解説するという,まさに苦行ともいえるチャレンジです.
当初の予定では3年ほどで通読を目指していたとのことですが,蓋を開けてみれば A だけで約1年を要したという事実に,この辞典の奥深さと,寺澤さんの学究的な執念が象徴されています.ご自身が先日4月15日付の note 記事 「約1年かけて『英語語源辞典』のAで始まる語を通読してみた」でその道のりを振り返っていますが,A だけで 307 もの記事を積み上げてきたというのは,本当に驚きです.
私から寺澤さんの最新 note 記事に寄せたコメントを,ここでも共有したいと思います.
1年かかって A のコンプリート,おめでとうございます.hel活の新たな地平を築かれたことに感服です.何よりも,一つひとつの話題がおもしろいですね.副題に表れる「視点」にも,いつも注目しています.イニシャルごとの様々な風景も楽しみです.これからも日々のトピックを楽しみにしています.
寺澤さんの解説の魅力は,単なる辞典の要約にとどまらず,専門家としての視点,特に副題によく現わているスペリング観にあります.毎日の定点観測があるからこそ,一つひとつの記事に重みが出るのだと思います.
hellog 読者の皆さんには,ぜひこの稀有な連載を日々追いかけていただければと思います.更新頻度も高いですし,読むたびに新しい発見があるはずです.寺澤さんの連載サイト より RSS をフォローしていただければと思います.また,寺澤さんの note 記事 も合わせてチェックを!
『英語語源辞典』通読といえば,heldio/helwa のコアリスナーである lacolaco さんによる 「英語語源辞典通読ノート」 も要注目です.専門的な綴字史に特化した寺澤さんと,総合的なおもしろさを追求する lacolaco さん,このお2人の競演によって,現在『英語語源辞典』をめぐるhel活は,かつてない盛り上がりを見せています.お2人の対談回として,「#1718. 『英語語源辞典』を通読しているあの2人が初対談 --- helwa 新年会より」も,ぜひお聴きください.英語の見方が,大きく変わると思います.
辞典は「引く」ものではなく「読む」ものだ,という文化がこれほど根付いているコミュニティも珍しいと思います.出版元の研究社さんも,きっと草葉の陰ならぬ編集部で喜んでくださっているのではないでしょうか.
khelf や helwa を通じたhel活の輪がどんどん広がっています.読者の皆さんも,ぜひこれらの活動を応援したり,あるいは自ら参加したりして,英語史の世界をともに盛り上げていきましょう.
寺澤さんは,昨日より B の領域に突入していますね.B の初回は「308. B, b ―小文字ができるまで―」です.これからも楽しみです.
以下,関連する記事も合わせてお読みください.
・ 寺澤さん note 「helwaはまさに「英語史の輪」だった!~helwaオフ会潜入記~」(2025年5月18日公開)
・ 寺澤さん note 「約1年かけて『英語語源辞典』のAで始まる語を通読してみた」(2026年4月15日公開)
・ hellog 「#5861. khelf 寺澤志帆さんが「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」シリーズを開始しています」 ([2025-05-14-1])
・ hellog 「#6034. khelf 寺澤志帆さんの「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」が開始から半年」 ([2025-11-03-1])
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

「#6188. heldio 2026年第1四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 4月12日までオープン」 ([2026-04-06-1]) でご案内したとおり,2026年の第1四半期(1月--3月)における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票を実施しました.4月12日をもって締め切らせていただきましたが,年度初めのご多忙な時期にもかかわらず,多くのリスナーの皆さんに温かい1票(最大10票)を投じていただきました.ご協力いただき,ありがとうございました.
投票結果がまとまりましたので,ここに報告いたします.本日の heldio でも「 #1781. heldio 2026年第1四半期のリスナー投票の結果発表」として音声で解説していますので,あわせてお聴きください.
今回のランキングは,正直にいうと,たいへん驚きました.一言でまとめれば「『古英語・中英語初歩』祭り」でした.伝説の教科書の復刊という大きなニュースが,リスナーの皆さんの学習意欲と見事にシンクロした結果と言ってよいでしょうか.以下に上位(得票率19%以上)の配信回を掲載します.
【 第1位(44%)】
「#1755. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (1)」
【 第2位(37%)】
「#1751. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を音読する」
【 第3位(33%)】
「#1758. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (2)」
【 第4位(30%)】
「#1710. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (1) --- 古英語の母音」
「#1761. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (3)」
「#1764. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (4)」
【 第7位(26%)】
「#1716. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (3) --- 古英語の子音(後編)」
「#1720. 『英語のルーツ』文庫化記念 --- 唐澤一友さんとの対談 from 居酒屋KKH」
【 第9位(22%)】
「#1677. 2026年,英語史は飛躍します!」
「#1685. 表音文字,表語文字,表意文字」
「#1713. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (2) --- 古英語の子音(前編)」
「#1723. 『古英語・中英語初歩』新装復刊の裏にはヘルメイトたちのドラマがあった」
「#1742. 緊急対談 --- teach/taught に関する中学生の天才的指摘をめぐって」
【 第14位(19%)】
「#1705. khelf 寺澤志帆さんとの対談 --- 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」200回記念」
「#1706. 伝説の教科書『古英語・中英語初歩』(研究社)が新装復刊」
「#1717. 天野優未さんの『英語語源ハンドブック』『はじめての英語史』実況中継がおもしろすぎる」
「#1722. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (4) --- 古英語の強勢」
「#174. ten と -teen」6
「#1750. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第28弾」
2026年第1四半期の結果を振り返りますと,なんといっても目立つのは,2月25日に研究社より新装復刊された『古英語・中英語初歩』に関連する諸々の回でした.「精読シリーズ」を筆頭に,ベスト10の半分以上がこの伝説的な教科書に関連する内容でした.音声だけで古英語を精読するという,いささか「攻めた」企画ではありましたが,リスナーの皆さんが紙面を片手に熱心に食らいついてくださったことがうかがえます.特に,復刊の裏側にあるドラマを語った「#1723. 『古英語・中英語初歩』新装復刊の裏にはヘルメイトたちのドラマがあった」や,通常はニッチと思われるような古英語の母音と子音を各々解説したシリーズも高い支持を得ており,単なる知識の習得にとどまらない「hel活」を評価していただいたものとして,受け取らせていただきました.
対談回も豊作でした.第7位には唐澤一友さんとの居酒屋対談「#1720. 『英語のルーツ』文庫化記念 --- 唐澤一友さんとの対談 from 居酒屋KKH」がランクイン.お酒の席ならではの(?)リラックスした雰囲気の中での英語史トークが,皆さんの耳に心地よく響いたのであれば,たいへん嬉しいです.また,第9位の「#1742. 緊急対談 --- teach/taught に関する中学生の天才的指摘をめぐって」は,中学生の鋭い観察眼に始まり英語史の深淵へと連なる,ワクワクの止まらない対談回として評価されました.
khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーも活躍しており,「#1705. khelf 寺澤志帆さんとの対談 --- 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」200回記念」が上位に入りました.また,「#1717. 天野優未さんの『英語語源ハンドブック』『はじめての英語史』実況中継がおもしろすぎる」も注目を集め,英語史の熱が周囲に広がっていることを感じます.
四半期の幕開けを飾った元旦の「#1677. 2026年,英語史は飛躍します!」も,支持をいただきました.そこで宣言した通り,この3ヶ月間はまさに飛躍の準備期間、あるいは助走期間であったように思います.古英語の精読に多くのリスナーが挑戦し始めたことは,今後のhel活にも大きな意味をもつことになりそうです.パーソナリティとしては感謝しかありません.
最後に,今回のリスナー投票に関する,コアリスナー ykagata さん の note 記事をご紹介します.投票期間の最終日の4月12日に「「heldio 2026年第1四半期のベスト回を決めるリスナー投票」に投票した」と題する記事を公開されました.パーソナリティとしてたいへん参考になり,かつ嬉しい記事でした.ありがとうございます.
2026年も早くも4分の1が過ぎました.今回のリスナー投票の結果をよくよく分析し,第2四半期も,リスナーの皆さんとともに様々な英語史の景色を眺めていければと思っています.引き続き heldio をよろしくお願いします!
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉,2026年.
3月28日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」最終回となる第12回(冬期クールとしては第3回)が開講されました.2025年度のシリーズの締めくくりに選んだ単語は,be 動詞でした.議論しがいのある英単語ですね.
be 動詞は,あまりに異常な英単語です.なぜ am, is, are, was, were, be, being, been が同一の動詞なのか? 語形,文法,意味,社会規範のあらゆる観点から注目すべき超高頻度語(第1位の the に次いで第2位)にして,英語史の不思議さとおもしろさが凝縮された単語です.90分の講義では案の定語りきれないほどでした.
今回の内容を,いつもの通り markmap によりマインドマップ化して整理しました.復習用にご参照いただければ.

これまで,2025年度のシリーズの第1回から第11回についても以下の通りマインドマップを作成しています.2025年度のマインドマップでのまとめシリーズはこれで完結となります.ご参加いただいた皆様,ありがとうございました.
・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
・ 「#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました」 ([2025-10-01-1])
・ 「#6041. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第7回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-11-10-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6098. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第9回「one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」をマインドマップ化してみました」 ([2026-01-06-1])
・ 「#6139. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第10回「very --- 「本物」から大混戦の強意語へ」をマインドマップ化してみました」 ([2026-02-16-1])
・ 「#6167. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第11回「that --- 指示詞から多機能語への大出世」をマインドマップ化してみました」 ([2026-03-16-1])
2025年度のシリーズは以上で終了ですが,2026年度も朝カルでの毎月の英語史講座は継続していきます.少なくとも年度の前半はオンライン講座として続け,かつこの春期クールのテーマは昨年度からの「歴史上もっとも不思議な英単語」を引き継ぎます.これまで通り,注目すべき1単語を選び,そこから始まるスケールの大きな英語史を描いていきます.ただし,新たな試みとして,新刊書『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を参照し,古英語や中英語からの短い原文を読み解きながら,当該の単語のナゾに迫っていきたいと考えています.春期クールの3回のラインナップは以下の通りです.
1. 4月25日(土)15:30--17:00 "knight" を探って中英語原文の世界へ
2. 5月23日(土)15:30--17:00 "again" を探って中英語原文の世界へ
3. 6月27日(土)15:30--17:00 "ghost" を探って古英語原文の世界へ
詳細やお申し込みはこちらの公式ページよりどうぞ.新年度の朝カル講座もよろしくお願いいたします!

4月6日(月),khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』シリーズの最新号となる第13号がウェブ上で公開されました.前号から約9ヶ月ぶりとなる最新号です.こちらよりPDF形式で自由に閲覧・ダウンロードいただけます.
新年度の開始とともに届けられたこの最新号を制作してくれた執筆陣,編集陣の khelf メンバーには,心から感謝します.
今号も読み応えのある4面構成です.各面のハイライトを紹介していきましょう.
第1面は,hellog でも推しに推している市河三喜・松浪有による名著『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を紹介する巻頭記事です.昭和の「オヤジみ」を感じさせつつも,現代の至れり尽くせりな参考書とは一線を画す,おおらかな語学学習のあり方を提案する書でもあります.文法事項の丸暗記に走るのではなく,まずは概略をつかんでからテキストに飛び込むという姿勢は,古英語・中英語を学び始めようとする読者にとって,力強いエールとなるはずです.
第2面では,身近な不規則変化名詞 foot --- feet の謎に迫ります.なぜ語幹の母音が変化するのか.その背景には,ゲルマン祖語にまで遡る i-mutation という規則的な音韻変化が潜んでいます.一見すると「不規則」に思える現象が,歴史的に紐解けばきわめて「規則的」であったことがわかるという,英語史の醍醐味を味わえる記事です.同面のもう1つの記事は聖書の翻訳比較を取り上げており,翻訳者の意図や時代の潮流が言葉選びにどう反映されるかが考察されています.
第3面は,恒例のインタビューコーナー「英語史ラウンジ」です.今回は,法政大学の福元広二先生に,khelf メンバーがお話しを伺っています.中学時代の恩師との出会いから,ケンブリッジ大学やマンチェスター大学での在外研究のエピソード,そして初期近代英語における文法化や歴史語用論の研究に至るまでの歩みが詳しく語られています.英語史研究者がどのような問題意識をもって英語と向き合っているのかを知る貴重な機会となります.本インタビュー記事についてはウェブ版もありますので,そちらからもお読みになれます.
第4面には,英語史の始まりを問うクイズの解説と解答の記事が掲載されています.クイズですのでここでは詳細は述べませんが,英語史上の重要な年代が複数挙げられており,それぞれに象徴される出来事が紹介されています.
今号も,khelf メンバーの「英語史の魅力を伝えたい」という熱意が随所に感じられる仕上がりとなっています.春の新生活の合間に,ぜひじっくりと紙面をめくってみてください.
最後になりますが,学校・大学の授業等で『英語史新聞』を活用される場合は,使用実績把握のため,こちらのフォームよりご一報いただけますと幸いです.「英語史をお茶の間に」を合言葉とする私たち khelf の活動(hel活)への励みとなりますので,よろしくお願い致します..
『英語史新聞』のバックナンバーも khelf 公式サイト内のこちらのページにて公開されています.第1号から第12号まで,あわせてお楽しみください.
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
・ 『英語史新聞』第8号(2024年3月4日)
・ 『英語史新聞』第9号(2024年5月12日)
・ 『英語史新聞』第10号(2024年9月8日)
・ 『英語史新聞』号外第3号(2024年9月8日)
・ 『英語史新聞』第11号(2024年12月30日)
・ 『英語史新聞』第12号(2025年7月7日)

新年度が幕を開けました.去る3月28日(土),英語史を愛する有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 4月号(第18号)』が公開されました.今号は記念すべき年度開始号ということで,春らしい勢いと,ますます研ぎ澄まされた知的好奇心が凝縮された号となっています.
今号の「表紙のことば」は,インド事情に精通した mozhi gengo さんが担当されています.インド中央部の崖の上に建つ櫓から眼下の川を望む印象的な1枚ですが,驚くべきはその構図です.最近,私が heldio 等で激推ししている『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』の表紙デザインに酷似しているのです.「何の因果か」と感じさせる,新年度の始まりにふさわしい劇的な表紙ですね.
執筆陣の記事も,質・量ともに進化が止まりません.ari さんは,キャンセル界隈の語源から,hel活系統図のジョークまで,相変わらずの「ari 節」が炸裂しています.
編集委員のお1人 Grace さんは,私がジョークで提唱した「英語史の塔」建設を紹介してくださったほか,認知言語学の観点から文法に迫る本格的な書評も寄稿されています.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」は D ゾーンの深部に入っています.アルファベットの文字ごとに異なる語源の「景色」を語れるのは,通読者ならではの境地でしょう.
Lilimi さんは,仏検の振り返りとともに,NHK ラジオ『古典講読』への熱い思いを綴っています.ラジオ文化を愛する者として,非常に共感を覚える内容でした.mozhi gengo さんは,表紙に関連した記事のほか,valueless と priceless の意味論的な対比など,鋭い言語学的考察を展開されています.
教育現場や学習のヒントも充実しています.sorami さんによる中学生向け語源クイズは,もはや hel 活のインフラと言えるほどの完成度です.みーさんの「小学生と学ぶ英語史」シリーズは,実は大人こそが学ぶべき視点に溢れています.umisio さんによる川上さんの「プロの流儀」に迫る新シリーズ「愛などなくったって…」についても,今後の展開に目が離せません.
ykagata さんは,『古英語・中英語初歩』新装復刊を盛り上げる「30連発」の舞台裏や,ドイツ語を通じた比較言語学的な知見を共有してくれています.新星「あまねちゃん」の,古英語に初めて出会った際の瑞々しい違和感の記録も,ベテラン勢にはない(?)新鮮な視点を与えてくれており人気急上昇です.
しーさんによる『古英語・中英語初歩』のアンバサダー的活用術も要注目です,り~みんさんによる「明るい L と暗い L」の沼も思いのほか深いです,「無職さん」こと佐久間さんによるによる「歯・噛む」のアングロサクソン文化論,そして川上さんによる北欧語混交の歴史的詳述などは,どこを切り取っても英語史のロマンが溢れ出ることを証明しています.また,私も note 記事で「英語史の塔」の攻略法について少し触れさせていただき,今号の Helvillian で取り上げていただきました.
最後は Grace さんによる3月の helwa によるhel活の活動報告と,umisio さんによる編集後記で締めくくらています.
今月号を読んで感じるのは,このコミュニティの熱量と質の高さです.決して英語史だけを語るのではなく,お互いの学び合いを尊重し,高め合う居心地の良さが誌面から伝わってきます.
この春,新しい学びを始めてみたいと思っている皆さん,ぜひこの hel 活の輪に加わってみませんか? まずはプレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」を覗いてみてください.初月無料となっておりますので,この月初に気軽にエントリーしていただければ!
Helvillian 4月号のご案内は,声でも「#1768. Helvillian 4月号が公開! --- この春,ことばのルーツをたどる旅をしよう。」としてお届けしています.ぜひそちらもお聴きくださいね.


隔週土曜日は,heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズの新作が note 上で公開される日です.昨日は第6弾が公開されました.相変わらず楽しく学べる良質の教材です.2週間前に公開された第5弾とともに,ご紹介したいと思います.
まず3月21日に公開された第5弾ですが,相変わらずの良問揃いで,私自身も感激しつつ解いていました.取り上げられているトピックは多岐にわたります.偽装複合語 holiday の話題から始まり,続けて listen と hear の使い分けなど,学習者がつまずきやすいポイントが鮮やかにクイズ化されています.また,nice の意味変化の話題は英語史の鉄板のネタですが,これを「すごい」や「やばい」といった日本語の語義変化と対比させて解説する手際の良さには感心しました.
また,第5弾からはユーザーインターフェースが改善され,さらに pdf での配布まで始まっています.出血大サービスと言わざるを得ません.学校の授業の余興や,ちょっとした頭の体操に利用しない手はないですね.
続いて,昨日公開されたばかりの第6弾です.こちらは冒頭からギリシア語由来の単語に焦点を当てるという,なんとも心憎い構成になっています.現代の私たちにとって極めて身近な単語が,いかにして古代ギリシアの文化を背景に成立したのかが分かります.ギリシア語特有の高尚な響きも相まって,クイズとしての難易度も少し上がっているかもしれませんが,西洋文明の源流に触れる歴史学習としても非常に教育的です.
後半では right の多義性や,trip と travel の語源的な対比など,深く掘り下げた問題が続きます.travel がなんと「拷問器具」に由来するというエピソードには,答えを見て「え~,まさか!」と声を上げる挑戦者が続出すること間違いなしですね.
sorami さんのクイズは,単語の背後にある歴史や文化という人間の営みを感じさせてくれます.そして,「英語史をお茶の間に」をハイレベルで体現している素晴らしいコンテンツとなっていると思います..
両記事の冒頭には「このシリーズでは,研究社『英語語源ハンドブック』の中に詰まった「へぇーッ」をクイズにしてお届けしています.授業のネタに,親子の雑学タイムに,脳トレに,お役立てください.昔中学生だったあなたもぜひ!」という,ほっこりするメッセージが付されていますね.最後にはいつものように「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです」ともあります.とても嬉しい心遣いですね.
今回の新作紹介と合わせて,sorami さんのクイズ・シリーズの過去回をご紹介した,以下の hellog 記事もお読みいただければと思います.
・ 「#6125. heldio/helwa リスナー sorami さんによる『英語語源ハンドブック』のクイズ・シリーズが開始 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-02-1])
・ 「#6132. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第2弾 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-09-1])
・ 「#6166. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズが第3弾,第4弾と快進撃 --- 中高生のための英語史」 ([2026-03-15-1])
ぜひこちらのクイズ・シリーズを解いてみてください.そして,さらに広めていただければと思います.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

新年度が始まりました.英語史の学び始めにふさわしいこの時期,本日は数日後の英語史講座のご案内を致します.
来たる4月11日(土)と12日(日)2日間にわたり,オンラインにて東京言語研究所の春期講座が開講されます.同研究所は,私が学生の頃から憧れをもって仰ぎ見ていた伝統ある言語学の研究・教育機関であり,ここ数年は私も講師として登壇させていただく機会を得ております.
春期講座は,2日間にわたる単発講義のオムニバスです.今年度,私は2日目の4月12日(日)の1限目(10:00--11:20)にて「英語史入門」を担当します.内容は「80分で英語史」です.実は私にとってこれは大きな挑戦です.
普段の大学の講義や,同研究所で担当する10回ほどのシリーズとなる理論言語学講座では,時間をかけてじっくりと英語の歴史を紐解いていきます.しかし,今回はそれをギュッと凝縮した80分間のダイジェスト版となります.1600年以上にわたる英語のダイナミズムをこの短時間でどう描き切るか,現在も最終段階の構成を練りながら,私自身が緊張しつつもワクワクしているところです.
講義の核となるのは,外面史を用いて内面史を解説するという試みです.発音の変化,綴字の変遷,文法の転換,そして語彙の拡大など.これらをバラバラに扱うのではなく,現代英語に潜む「なぜ?」という素朴な疑問を入口に,英語史全体のパノラマが見えてくるような網羅的な内容を目指します.
今回の春期講座では,魅力的な講義が勢揃いしています.heldio にもご出演いただいた嶋田珠巳先生先生(社会言語学)の講座は1日目に予定されています.言語学ファンにとってはたまらない2日間となるはずです.
なお,今年度の秋のシーズンには,同研究所にてシリーズの英語史講座(10週)も担当する予定です.今回の80分間の講義は,そのエッセンスを味わっていただくためのジャンプ台として位置づけています.
いずれもオンライン開催ですので,全国どこからでも,あるいは目下の私のように海外からでも(時差には注意が必要ですが!)ご参加いただけます.後日配信はありませんが,リアルタイムでの充実した議論を楽しみましょう.
申込期限は4月6日(月)の午前10時までとなっています.詳細およびお申し込みは,東京言語研究所の公式HPよりどうぞ.
(以下,後記:2026/04/03(Fri))
本記事と同じ趣旨で,4月3日の heldio にて「#1769. 「80分で英語史」 --- 4月12日に東京言語研究所の春期講座で」をお届けしましたので,ぜひそちらもお聴きいただければ.

今年度の毎月,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「歴史上もっとも不思議な英単語」と題して,英語史のシリーズ講座を展開してきました.『英語語源辞典』(研究社)や『英語語源ハンドブック』(研究社)をお供に,毎回,日常的な単語を1つ取り上げ,そこから縦横無尽に広げたり掘り下げたりしつつ,ダイナミックな英語史を味わおうという趣旨で進めてきました.
今度の土曜日の回は,今年度のシリーズとしては最後となる第12回です.話題としては,最終回に相応しい単語として be 動詞を選びました.90分ではとても語り尽くせそうにない大物単語です.最初に出会う英単語の1つであり,かつ何年も英語を学んできても必ずしもうまく使いこなせない,そんな be 動詞の謎と魅力に迫ります.
以下,be 動詞をめぐってどんな論点があり得るのか,ブレスト風に書き出してみます.
・ be 動詞の起源は?
・ be 動詞の歴史的異形を覗いてみよう!
・ be 動詞の特殊性5点
・ be 動詞は動詞でもあり助動詞でもある
・ 存在を表わす be 動詞
・ 連結辞 (copula) としての be 動詞
・ 仮定法過去 If I were/was a bird, . . . をめぐる考察
・ be 完了とは?
・ be 動詞は人称・数・時制・相・態・法を表わすことができる
・ 死に絶えた be 動詞
・ ain't をめぐる社会言語学的考察
・ 非標準変種における be 動詞の使われ方
ほかにも思いつく点がたくさんあります.講座では,なるべく多くの点に触れ,この得体の知れない,しかし常に付き合って行かざるを得ないナゾの動詞に90分間漬かっていきましょう!
講座への参加方法は,今期もオンライン参加のみとなります.リアルタイムでの受講のほか,2週間の見逃し配信サービスもあります.皆さんのご都合のよい方法でご参加いただければ幸いです.開講時間は 15:30--17:00 となっています.講座と申込みの詳細は朝カルの公式ページよりご確認ください.そして,ぜひお手元に『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』もご用意いただください.講座が何倍も楽しくなります.
ご案内した講座のお知らせは,先日の heldio でも「#1754. 3月28日の朝カル講座は be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」として予告編をお届けしましたので,そちらも合わせてお聴きください.
さて,今回で2025年度のシリーズは一区切りとなりますが,4月からも2026年度の新シリーズが始まります.新シリーズ開始とはいっても,少なくとも春期クールについては,2025年度のシリーズの主題「歴史上もっとも不思議な英単語」は引き継いでいく予定です.毎回1つの英単語に注目してダイナミックな英語史の動きを追っていきますが,新年度からは2月25日に研究社より刊行された『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』の古い英語の原文テキストを参照しつつ展開する予定です.新年度春期クールについては,すでに朝カルの公式の案内も出ていますので,そちらから詳細をご確認ください.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

1ヶ月前の2月18日は「英語史の塔」が建った記念日です.私のhel活の歴史において,おおいに注目すべき出来事でした.この塔の建設の経緯は本ブログを含め様々な媒体で公開してきました.
この1ヶ月の間,「英語史の塔」がジワジワと知られるようになってきました.note 上で塔に反応くださる英語史ファンの方も現われており,元気づけられている次第です.「英語史の塔」が言及されているウェブ上の主要コンテンツを,いくつか挙げておきます.
・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」が建設されました」(2月18日)
・ hellog 記事「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1])
・ heldio 配信「#1736. この春は英語史を始めよう! --- 「英語史の塔」の登り方」(2月28日)
・ Grace さんによる note 記事「「英語史の塔」建設により見えるもの」(3月1日)
・ heldio 配信「#1735. 「英語史の塔」をご覧ください」(3月1日)
・ hellog 記事「#6153. 昨朝の朝日サンヤツ広告に『古英語・中英語初歩』と『英語語源ハンドブック』が掲載」 ([2026-03-02-1])
・ mozhi gengo さんによる note 記事「#332. 登ってみよう英語史の塔に」(3月4日)
・ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」動画91年前の市河三喜の名著が新装復刊!【いのほた言語学チャンネル第407回】(3月9日)
・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」(3月9日)
この塔は見栄えがよいだけの代物ではありません.そこには,英語史の学び方の提案という意図が乗っています.塔としてご紹介している4冊,すなわち『はじめての英語史』『英語語源ハンドブック』『古英語・中英語初歩』『英語語源辞典』は,有機的に結びついており,どこから学び始めてもいずれは出会うべき運命の書籍です.どれからでも自由に学び始めることができますが,お薦めのルートはあります.それを,note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」で公開していますので,ぜひお読みください.
昨年から今年にかけて英語史関連の書籍が複数冊出版されており,英語史を学び始めるのに最適なタイミングとなっています.この春,皆さんも英語史を学び始めてはいかがでしょうか.私も,本ブログや他のメディアを通じて英語史の学び始めをサポートし応援するコンテンツを多く挙げていく予定です.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

1ヶ月前の2月18日は「英語史の塔」が建った記念日です.私のhel活の歴史において,おおいに注目すべき出来事でした.この塔の建設の経緯は本ブログを含め様々な媒体で公開してきました.
この1ヶ月の間,「英語史の塔」がジワジワと知られるようになってきました.note 上で塔に反応くださる英語史ファンの方も現われており,元気づけられている次第です.「英語史の塔」が言及されているウェブ上の主要コンテンツを,いくつか挙げておきます.
・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」が建設されました」(2月18日)
・ hellog 記事「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1])
・ heldio 配信「#1736. この春は英語史を始めよう! --- 「英語史の塔」の登り方」(2月28日)
・ Grace さんによる note 記事「「英語史の塔」建設により見えるもの」(3月1日)
・ heldio 配信「#1735. 「英語史の塔」をご覧ください」(3月1日)
・ hellog 記事「#6153. 昨朝の朝日サンヤツ広告に『古英語・中英語初歩』と『英語語源ハンドブック』が掲載」 ([2026-03-02-1])
・ mozhi gengo さんによる note 記事「#332. 登ってみよう英語史の塔に」(3月4日)
・ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」動画91年前の市河三喜の名著が新装復刊!【いのほた言語学チャンネル第407回】(3月9日)
・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」(3月9日)
この塔は見栄えがよいだけの代物ではありません.そこには,英語史の学び方の提案という意図が乗っています.塔としてご紹介している4冊,すなわち『はじめての英語史』『英語語源ハンドブック』『古英語・中英語初歩』『英語語源辞典』は,有機的に結びついており,どこから学び始めてもいずれは出会うべき運命の書籍です.どれからでも自由に学び始めることができますが,お薦めのルートはあります.それを,note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」で公開していますので,ぜひお読みください.
昨年から今年にかけて英語史関連の書籍が複数冊出版されており,英語史を学び始めるのに最適なタイミングとなっています.この春,皆さんも英語史を学び始めてはいかがでしょうか.私も,本ブログや他のメディアを通じて英語史の学び始めをサポートし応援するコンテンツを多く挙げていく予定です.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
2月28日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第11回(冬期クールとしては第2回)が開講されました.今回注目した単語は「that --- 指示詞から多機能語への大出世」です.
現代英語における that は,指示詞,関係詞,接続詞をはじめとする様々な文法的な役割を果たす多義語です.多くの機能はすでに古英語にもみられますが,各々の機能はどのようにして起こり,発展してきたのでしょうか.超高頻度の単語でもあり,いちいち気にしたこともないと思いますが,今回あえて注目し,歴史的発展を追いかけてみました.講義は,that の八面六臂の活躍の秘密に迫る濃密な90分となりました.
朝カル講座第11回の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました.復習用にご参照いただければ.

なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第10回についてもマインドマップを作成しているので,そちらもご参照ください.
・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
・ 「#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました」 ([2025-10-01-1])
・ 「#6041. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第7回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-11-10-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6098. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第9回「one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」をマインドマップ化してみました」 ([2026-01-06-1])
・ 「#6139. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第10回「very --- 「本物」から大混戦の強意語へ」をマインドマップ化してみました」 ([2026-02-16-1])
次回の第12回は3月28日(土)で,今年度の最終回となります.テーマは「be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」です.開講形式は引き続きオンラインのみで,開講時間は 15:30--17:00 となります.ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認ください.
また,2026年度も朝カルでの英語史講座を継続します.シリーズとしての大テーマも2025年度の「歴史上もっとも不思議な英単語」を引き継ぎますが,新たな試みとして,新刊書『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を参照し,古英語や中英語の原文に挑む機会を増やしていく予定です.詳細はこちらの公式ページよりご覧ください.


本ブログでも2月より「#6125. heldio/helwa リスナー sorami さんによる『英語語源ハンドブック』のクイズ・シリーズが開始 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-02-1]) と「#6132. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第2弾 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-09-1]) の2回にわたりお知らせしてきました.heldio/helwa コアリスナーの sorami さんが,協力者の方とともに繰り広げる『英語語源ハンドブック』をベースとした,中学生に向けての英語史クイズのシリーズです.その後もクイズを公開し続けられ,上記の通り第3回と第4回にもアクセスできるようになっています.
中学校などの「授業で使える」と謳っているからでしょうか,シリーズ初回公開から1ヶ月半で,早くも note 上で人気シリーズとなっています.問題の質が高く,ヒントも中学生にとって親切で,解説も必要十分な詳しさ.実際に授業で活用されることを念頭に,コンテンツが磨き込まれているという印象です.
第3回は,日本語になっている身近な英単語を参照して,語源で種明かしするという趣旨のクイズが多く出されています.最後の問題で黙字 (silent_letter) に注目している辺りにも,出題センスが光ります.
第4回は,英語の諺と英語の人名と愛称形に関する興味深い話題です.ここにもやはり,日本語になっている諺や,日本でも馴染みのある英語人名をとっかかりに,その語源に踏み込んでいくという見事な構成が仕組まれています.解説は情報量が多いものの,皆が親しみやすい話題なので,知識が頭にスルスルと入ってきますね.
すでに読者の方々からも感想が寄せられてきている通り,「中学生向け」と題しているものの,大人も楽しんで学べてしまう良質のコンテンツとなっています.
sorami さんは,今回も結びで「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです」と述べられています.全国の英語教員の皆さん,ぜひこのクイズを授業などで活用してみてください.出題や解説にあたっては,原則として『英語語源ハンドブック』に依拠しているということですので,その点もご安心ください.
そして,慣れてきたら,皆さんご自身が『英語語源ハンドブック』からおもしろい話題を引き抜いて,クイズを作問してみてください.その折りには,ぜひ一般にも公開していただければ.「英語史を教室に」の輪が広がっていくことを期待しています!
sorami さんのクイズシリーズについては,先日の heldio 配信回「#1748. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズが絶好調」でもご紹介しています.ぜひそちらもお聴きください.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
1月26日から2月24日までの1ヶ月間,X(旧 Twitter)にて展開してきた「古中英語30連発」企画は,無事に完走しました.この企画は,2月25日の『古英語・中英語初歩』の新装復刊を記念し,古英語や中英語の魅力を1日1ネタずつ紹介していくという試みでした.本日は,この30日間の歩みを振り返り,どのような内容の投稿が皆さんに響いたのか,そのデータ分析の結果を共有したいと思います.
まず,全体的な傾向として驚かされたのは,想像以上の反響です.全30本の投稿で得られた「いいね」の総数は約1,480件,総インプレッション数は実に31万件を超えました.平均して1投稿あたり1万ビュー以上という数字は,英語史という,ともすればマイナーと思われがちな分野に対してでも,関心が集まり得ることを示しています.
分析の結果,特に反響が大きかったのは3つのカテゴリーに集約されます.第1は日英語を比較対照する内容の投稿です.今回,圧倒的な1位(440いいね)を記録した No.11 「英語の語彙は「3階建て」の構造」は,その典型です.英語語彙の3層構造は,本ブログでも繰り返し取り上げてきたテーマですが,日本語との比較対照がおもしろい話題でもあります.英語学習者の皆さんの単語暗記の悩みにストレートに刺さったということもあったかもしれません.
第2に,日常語の意外なルーツを扱ったカテゴリーです.No.8 の Wednesday や No.9 の Friday といった,誰もが知る曜日の名前に潜む神話や語源のドラマは,安定した支持を集めました.特に Wednesday の綴字に残る d の謎などは,日頃から綴字と発音の乖離に悩まされている英語学習者の皆さんの知的好奇心を刺激したようです.
第3は,「衝撃の事実」型です.No.3 の「古英語は現代の英語ネイティヴでも理解できないほどなのに,本当に「英語」と呼べるの?」という問いかけは,5万ビューを超える最大の拡散力を発揮しました.現代英語の感覚からは想像もつかない古英語の異質さと,それでも連綿と続いてきたという矛盾する事実は,英語史のダイナミズムを物語っているといえるでしょう.
また,いくつかの話題にかこつけて「英語史大喜利」も開催しましたが,そこではリプライや引用リポストが相次ぎ,活気のある交流が生まれました.例えば No.14 の「ちゃんぽん(混種語)」の小ネタをもとにした大喜利では,主に日本語からの事例ではありましたが,多くの秀逸な混種語が集まり,たいへん賑わいました.SNS という媒体は,単なる情報発信の場に留まらず,言語に対する鋭い観察眼を持つ読者の皆さんと対話できる貴重な空間であることを再認識した次第です.
今回の企画を通じて,英語史という分野がもつ「解決力」を改めて実感しました.歴史を知ることは,現代英語の「なぜ」を解き明かす鍵となるのです.30日間の投稿の詳細やリンクは,以下のテーブルにまとめてありますので,興味のある方はぜひ各投稿へ飛んでみてください.
最後に,連日の投稿企画にお付き合いいただいたフォロワーの皆様,そして企画の原動力となった『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』に関心を寄せていただいた皆様,ありがとうございました.引き続き様々な方法で英語史の楽しさを発信していきますので,お付き合いのほど,よろしくお願いいたします.
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