hellog〜英語史ブログ

#4760. 過去分詞と現在分詞の由来は大きく異なる[infinitive][germanic][morphology][inflection][verb][oe][germanic][indo-european][etymology][suffix]

2022-05-09

 「#4349. なぜ過去分詞には不規則なものが多いのに現在分詞は -ing で規則的なのか?」 ([2021-03-24-1]) という素朴な疑問と関連して,そもそも両者の由来が大きく異なる点について,Lass の解説を引用しよう.まず過去分詞について,とりわけ強変化動詞の由来に焦点を当てる (Lass 161) .

. . . its [= past participle] descent is not always very neat. To begin with, it is historically not really 'part of' the verb paradigm: it is originally an independent thematic adjective (IE o-stem, Gmc a-stem) formed off the verbal root. The basic development would be:
IE PGmc
*ROOT - o - nó->*ROOT - α -nα-


 強変化動詞に関する限り,過去分詞は動詞語根から派生したにはちがいないが,もともと動詞パラダイムに組み込まれていなかったということだ.形態的には,動詞からの独立性が強く,しかも動詞の強弱の違いにも依存した.
 一方,現在分詞には,歴史的に動詞の強弱の違いに依存しないという事情があった (Lass 163) .これについてはすでに「#4345. 古英語期までの現在分詞語尾の発達」 ([2021-03-20-1]) で引用したとおりである.
 「なぜ過去分詞には不規則なものが多いのに現在分詞は -ing で規則的なのか?」という疑問に向き合うに当たって,そもそも過去分詞と現在分詞の由来が大きく異なっていた点が重要となるだろう.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

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