昨日,学部生よりアップされた「英語史導入企画2021」の20番目のコンテンツは,goodbye の語源を扱った「goodbye の本当の意味」です.
God be with ye (神があなたとともにありますように)という接続法 (subjunctive) を用いた祈願 (optative) の表現に由来するとされます.別れ際によく用いられる挨拶となり,著しく短くなって goodbye となったという次第です.ある意味では「こんにちはです」が「ちーす」になるようなものです.
しかし,ここまでのところだけでも,いろいろと疑問が湧いてきますね.例えば,
・ なぜ God が good になってしまったのか?
・ なぜ be が bye になってしまったのか?
・ なぜ with ye の部分が脱落してしまったのか?
・ そもそも you ではなく ye というのは何なのか?
・ なぜ祝福をもって「さようなら」に相当する別れの挨拶になるのか?
いずれも英語史的にはおもしろいテーマとなり得ます.上記コンテンツでは,このような疑問のすべてが扱われているわけではありませんが,God be with ye から goodbye への変化の道筋について興味をそそる解説が施されていますので,ご一読ください.
とりわけおもしろいのは,別れの挨拶として日本語「さようなら(ば,これにて失礼)」に感じられる「みなまで言うな」文化と,英語 goodbye (< God be with ye) にみられる「祝福」文化の差異を指摘しているところです.
確かに英語では (I wish you) good morning/afternoon/evening/night から bless you まで,祝福の表現が挨拶その他の口上となっている例が多いように思います.高頻度の表現として形態上の縮約を受けやすいという共通点はあるものの,背後にある「発想」は両言語間で異なっていそうです.
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow