hellog〜英語史ブログ

#2469. アジアの英語圏[demography][world_englishes][new_englishes][esl][map][timeline][efl]

2016-01-30

 アジアの英語圏については,以下の記事その他で取り上げてきた.

 ・ 「#177. ENL, ESL, EFL の地域のリスト」 ([2009-10-21-1])
 ・ 「#215. ENS, ESL 地域の英語化した年代」 ([2009-11-28-1])
 ・ 「#273. 香港の英語事情」 ([2010-01-25-1])
 ・ 「#375. 主要 ENL,ESL 国の人口増加率」 ([2010-05-07-1])
 ・ 「#759. 21世紀の世界人口の国連予測」 ([2011-05-26-1])
 ・ 「#1589. フィリピンの英語事情」 ([2013-09-02-1])
 ・ 「#1590. アジア英語の諸変種」 ([2013-09-03-1])
 ・ 「#1593. フィリピンの英語事情 (2)」 ([2013-09-06-1])

 英語の未来を占う上で,アジア英語の話者に関する人口統計は重要な意味をもつ.様々な文献から数字を挙げることができるが,ここでは Gramley (313, 314) の "Anglophone South Asian countries" と "Anglophone Southeast Asian countries" の表をドッキングしたものを示そう.  *

countrysignificant UK contactbeginning of colonial statusindependencetotal populationEnglish speakers
percentagetotal number
Bangladesh169018581947162,000,000--2%3,500,000
India160018581947--1.2 billion> 20%> 230,000,000
Nepal none 25,000,000> 25%7,000,000
Pakistan185718581947164,000,000--11%18,000,000
Sri Lanka17961802194820,000,000--10%2,000,000
 
Singapore1819186719655,000,000--80%--4,000,000
Hong Kong1841184219976,900,000--36%2,500,000
PhilippinesUSA: 18981898194697,000,000> 50%50,000,000
Malaysia178617951957, 196327,000,000--27%7,400,000


 英語話者の人口統計という観点からは,インド,パキスタン,バングラデシュの潜在力が群を抜いている.フィリピンも21世紀中にまだまだ伸びてゆくだろう.また,表に掲げられている国・領域はいずれもESL地域であるが,いうまでもなく南・東南アジア,そして極東アジアには別途広大なEFL地域が広がっており,そこでは英語教育が例外なく盛んになっている.実際上および潜在的な英語話者が今世紀中増え続けることは間違いないが,そのなかでアジアは今後の世界の英語とその行方に影響を与え得る一大エリアとなるだろう.日本は,このような近隣の英語を巡る環境の変化に,よく注意を払うことが必要である.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.

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