26年ぶりのスペイン
2025年3月
旅人:Profesor Okubo
26年ぶり2回目のスペイン旅行。
マドリード、バルセロナをめぐり、四半世紀の時の流れを感じた旅。

26年前よりもいっそう観光国化したスペイン。新装となったマドリードのサンミゲル市場は観光客でごった返す。ラテンアメリカばかり行ってきた身としては、メルカード(市場)というともっと庶民的なものをイメージするのだが、サンミゲル市場はデパ地下のような高級感漂う雰囲気。

バルでタパス(小皿料理)を食べるのが安くておいしいのは26年前と変わらず。小皿と言っても溢れるような盛り付け。サンミゲル市場近くのメソン・デル・チャンピニョンはキノコ料理で有名。多くのバルに日本語メニューが置かれるようになったのが26年間の変化。


(上)マドリードの観光名所の一つ、王宮。内部も見学できる。18世紀半ばから1931年まで歴代王が住んだが、現国王は別の場所に居住。
(下)王宮の真向かいに建つカトリックのアルムデナ大聖堂は、威厳たっぷりの建物で、こちらを王宮と間違えて写真撮っている人多そう。

王宮前に立つフェリペ4世(在位1621-1665)の騎馬像。後ろ脚だけで立つ騎馬像は作るのが難しく、かの高名な物理学者ガリレオ・ガリレイの助言を乞うたとか。これは26年前に撮影した写真で、確かによく後ろ脚だけで支えているなと感じる。まだフィルム写真の時代、こんな画質でごめんなさい。

26年ぶりのプラド美術館。26年前はできなかったオンライン予約をして行くのがおすすめ。当日券で入る人が長蛇の列を作っているので、間違えてその列に並ばないように。学生は無料なので学生のうちに行こう(慶應の学生証とパスポートで多分OK)。26年前は展示品の撮影可であったが今は禁止で、仕方なく外観だけ撮影。中央の黒い像はプラド美術館の大スター、ベラスケス。

オンライン予約でも紙の入場券を渡される。収蔵品に描かれた手をクローズアップした図柄で、どの作品の手なのか捜すのが楽しくもあり、見つけられなくてつらくもあり。左下のピンクの袖だけ、アンジェリコ作『受胎告知』の天使の手と判明。右下は26年前の入場券で、王国の紋章が小さく描かれているだけだが、これはこれで味わいがある。

マドリードの美術館は夜になると入場無料になることも。ピカソの『ゲルニカ』で有名なソフィア王妃芸術センターは、写真のように長蛇の列であったが、進みは早く、15分ほど並んで入館。

スペイン高速鉄道AVEの起点、マドリードのアトーチャ駅。ここからバルセロナまで約3時間。26年前、マドリード・バルセロナ間は未開通だった。21年前の2004年3月11日、爆破テロがあり、190人超の死者を出した惨劇の場でもある。

バルセロナが近づくと、左手車窓に奇怪な形の岩山が見えてくる。修道院で有名なモンセラ山塊で、遠くから見るとこんな姿の山だとはあまり知られていない。モンセラとはカタルーニャ語で「のこぎり山」の意。

バルセロナの港と丘を結ぶロープウェー。かなりの高所を通り、見晴らし最高。26年前は乗らなかったので、今回こそはと、途中駅であるはずの写真の鉄塔にまで行ってみたら、すでに駅としては使われておらず。

バルセロナを代表する観光地、サグラダ・ファミリア教会は、26年前も今も建設途上。日の当たる角度によって、内部が赤くなったり青くなったり、様々な工夫が凝らされている。

ロシア研究者Kumanoya先生が2016年に訪れたときにはまだ芯だけのものもあった屋根の上の果物がすべて出揃っていた。なぜここに果物を置くのか、作者ガウディの真意は不明というが、こういう遊び心もまた魅力。

教会堂の外壁は精巧な彫刻で埋め尽くされている。剣を持つ兵士の左足がやけに白いのは、一度足だけ崩落して作り直したから。サグラダ・ファミリアは2026年完成予定とも言われているが、ガイドさんによれば、ガウディ没後100年に合わせてそう言っているだけで、もっとかかるでしょうねえとのこと。

ライトアップされた夜景も幻想的。26年前はヤングコーンのような塔8つほどだったが、現在までに11完成して、あと5つ残すのみ。中央背後の太い塔は建設途上のイエスの塔で、完成すると最も高い塔となる。この塔だけなら来年までにできそう。

当サイトではすでにおなじみ、「南米のピカソ」の異名を持つコロンビアの画家ボテロの作品展がバルセロナでも開催されていた。長寿のボテロだったが、2023年惜しくも他界。

26年前は触れたり隣に腰掛けたりすることができたグエル公園の有名なトカゲ像も、オーバーツーリズムのためか白いシートや金網で囲まれてしまって、やや興ざめ。金網の隙間からかろうじて手を伸ばして写真が撮れる。この状態を嘆いているかのようなトカゲの表情。