hellog〜英語史ブログ

#4310. shall's (= shall us = shall we) は初期近代英語期でそこそこ使われていた[eebo][personal_pronoun][speech_act][analogy]

2021-02-13

 昨日の記事「#4309. shall we の代わりとしての shall's (= shall us)」 ([2021-02-12-1]) で取り上げたように,shall we の代用としての shall's は Shakespeare などにもみられる.関心をもって,初期近代英語の巨大コーパス EEBO Online corpus により "shall 's" と "shal 's" で検索してみると,135例もヒットした.すべてのコンコーダンスラインを精査したわけではないが,多少のゴミは混じっているものの,大部分は目下問題にしている shall we の代用としての用例とみてよさそうだ.いくつか例を挙げよう(最初の4例は Shakespeare より).

 ・ if he couetously reserue it, how shall 's get it?
 ・ where shall 's lay him?
 ・ shall 's haue a play of this?
 ・ shal 's to the Capitoll?
 ・ shall 's daunce?
 ・ shall 's to th' Taverne?
 ・ come, shal 's shake hands, sirs?
 ・ what shall 's do this evening?
 ・ shall 's to dinner now?
 ・ come, come, shall 's go drink?

 そもそもこの表現は統語的には疑問文であり,発話行為としては勧誘であり,口語的な色彩も強い.おそらく,当時,そのような響きをもったフレーズとして固定化していたものと思われる.機能的にいえば let's に近いと言えるが,この let's 自身も let us をつづめたものである.後者では us が正規の目的格形として用いられており,shall us の破格的な目的格形 us の使用とは一線を画していることは疑いようもないが,もしかすると両者の間に機能的類似に基づく類推 (analogy) が作用していたのかもしれない (cf. 「#1981. 間主観化」 ([2014-09-29-1])) .
 なお,省略されていない "shall us" でも検索してみた.こちらでは88例がヒットしたが,us が正規の目的格として用いられている例も多く混じっており,省略版 shall's と比べれば shall we の代用表現としての用例は稀のようだ.

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